ナチスの犬

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JUGEMテーマ:洋画

 

ナチスの犬

出典:IMDb

 

「ナチスの犬」

原題:Suskind

監督:ルドルフ・バン・デン・ベルグ

2012年 オランダ映画 118分

キャスト:ユルン・スピッツエンベルハー

     カール・マルコビクス

 

1942年、ドイツ占領下のオランダで、ドイツ系

ユダヤ人、ズスキンドは、家族のためにユダヤ人移送の

指揮官の任務に就く。しかし同胞の移送が「労働」の

ためではないことを知った時、子供たちを救うため

様々な方法を試みるのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 ナチスドイツ支配下でのユダヤ人の

姿をまた違った角度から描いています。


悪の凡庸さ


ナチスドイツによるユダヤ人迫害を描いた映画は

数えきれないほど作られているし、その視点がナチスドイツ側、

ユダヤ人側の両方からこれまた幾つも、そして様々な国の

人々の立場で描かれてきましたが、この映画のように

ナチスドイツに利用されるユダヤ人の姿を映したものは

本当に恐ろしくて悲しい。
「灰の記憶」(2001)「サウルの息子」(2015)は

強制収容所内で自らが生き残るために、同胞の死体処理を行う

ゾンダーコマンドの姿を描いていました。

「もしかしたら自分だけはガス室送りにならないかも」
「少しでも長く生きて終戦を迎えたい」

など、淡い期待を抱かせつつ、自らの手を汚さないナチスドイツの

残虐さには言葉を失います。その仕事は断ることはできず、

引き受けるか自殺するかしか選択肢がなかったことや、彼らが

3か月から1年程度でガス室送りになったことを知ると、

これほど残酷な行為が人間にできるものかと驚いてしまうのです。

ガス室内に転がる自分の家族を見つけた時の気持ちはどのように

表現できるのだろう。

 

ナチスの犬
出典:IMDb

 

この「ナチスの犬」では主人公のズスキンドは、オランダに

住むドイツ系のユダヤ人で、同じユダヤ人を「労働力」と

してドイツに移送するために一旦収容する施設の管理を

任せらるわけです。
まず自分たち家族が収容される名簿から外すために、その仕事を

引き受けたはずが、実は「労働」のための移送ではなく、

「粛清」のためであったと知ると、彼は、その仕事に加担して

いたことに驚くと同時に、自分の地位を利用して、子供たちを

逃がす計画を立てていきます。

 

ナチスの犬

出典:IMDb

 

それにはSSの大尉フュンフテンに取り入ることから始まります。

そもそも移送免除を出すのがユダヤ人評議会で、彼らはナチスドイツ

から言われた人数を名簿に載せるという流れ作業を、これまた

他人事のように行っているのです。ユダヤ人であっても立場が

これほど異なるわけです。ズスキンドが親しくなる

(親しくなりやすいと察した)フュンフテンは、実は孤独で酒好き

であり、自らの弟が戦争で大けがを負っているという状況で、

映画内でも少佐に叱責されるように、極めて人間味あふれる人物

だったことは確かです。

それは彼がズスキンドを信頼し、自らの誕生日会にも招待した

時に「平時なら親友になれた」と語るように、戦争がなければ、

自分で思考し、自分で行動できたはず。それが戦争が起き、組織の

中に取り込まれると、「正義」というのは、指示に従うことに

ほかならなくなるのです。
その点はズスキンドも同じであり、たとえ知らなかったとはいえ、

同胞を移送列車に乗せる任務を請け負ったことは、邦題にあるように

「ナチスの犬」になっていたと誰が見ても思うでしょう。自らの
家族を優先して、他人を犠牲にしてしまったとも言えます。

それでもズスキンドは、危険を冒しながら子供たちを逃がすわけ

です。すべてがバレるのは時間の問題だったとはいえ、移動列車に

乗せられたら、その先にあるのは「灰」になることで、何十万の

犠牲の中の数百人の救済だったとしても、彼の行為は勇敢なもので

あったと思います。しかし彼が移動列車に乗った時には、同胞に

唾をかけられるのです。それもとてもよくわかる。
ユダヤ人は被害者であったけれど、その姿は様々なもので、

命のために売春婦になったり、同胞を売ったり、ユダヤ人親衛隊と

なったものもいました。一方、ナチスドイツは完全に加害者で

あるけれど、一人一人が完全な悪人であったとは思えないのです。

もちろんそれが行った罪を許す理由にはならないし、必ず

裁かれるべきことなのに、終戦間際に逃亡を開始した者や、無関係を

装った者たちがかなりいたことは確かで、戦争によって

引き起こされる人間性の破壊の恐ろしさを、しっかり目に焼き付けて

おきたいです。

 

 

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