スターリンの葬送狂騒曲

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JUGEMテーマ:コメディ映画全般

 

スターリンの狂騒曲

出典:IMDb

 

「スターリンの葬送狂騒曲」

原題:The Death of Stalin

監督:アーマンド・イヌアッチ

2017年 イギリス映画 107分

キャスト:スティーブ・ブシェーミ

     サイモン・ラッセール

     ジェフリー・タンバー

     マイケル・ペイリン

     ポール・ホワイトハウス

     オルガ・キュリレンコ

 

1953年、スターリンと秘密警察NKVDが国を

支配して20年経ったソビエト。ある晩、スターリンが

自室で倒れてしまう。翌日その姿を発見した側近たちは、

彼の後継を巡って卑劣な駆け引きを開始するのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ このような風刺の利いた映画は

いくらでも見たい。笑いの中に渦巻く恐怖を体感できます。


スターリンの粛清リスト


スターリンと聞くと社会の教科書に載っていた、立派な髭と

パイプをくわえた姿を思い浮かべます。しかし実は彼の顔は

天然痘のあとで醜く、身長は163cm程度の貧弱な体格

だったそうです。それを隠すために厚底の靴を履き、遠近法

を利用したりして、似ても似つかない写真や絵を作成し

自分自身の威厳を保ったと言います。顔を小顔に見せたくて

遠近法を活用している身としては、この逸話にはあまりに小

者感が漂っていて、見た目だけで力をアピールしようとする
愚かさも感じてしまいます。

絶対権力者はそういうものなのだろうか。
1953年、NKVDとスターリンが国を支配して20年。

何かのミスや言い間違い、密告などで「リスト」に載った

人物が次々に粛清、つまり処刑されていった時代です。映画内で

「記録」という言葉がしきりに出てくるのは、その「記録」が

「リストアップ」へとつながっていることを意味していて、

ここは秘密警察の恐怖を感じます。

 

スターリンの狂騒曲
出典:IMDb

 

スターリンのは「自分の周りにいる人は全て敵である」と思い

込んでいたため、優秀な医師は全て、スターリン毒殺計画を

企てていたとみなされてすべて処刑されていました。そのため、

脳卒中で倒れたスターリンを診察する医師が存在しないのです。

急遽召集した医師団は、どう見てもリタイアしたじいさんか

インターンのような若造しかいない。
「最高の医師団です」
スターリンの娘スヴェトラーナに真顔で紹介する側近の姿と

医師団のメンツを見るとクスリと笑えてしまいます。さらにそ

のスターリンは、いったんは意識を取り戻したものの結局亡くなる

のですが、その前後に開始される側近の後継者争いは、あまりに

醜く、卑劣で、あきれ返るほどです。だからこそここも笑って

しまう。実際にはこの間にも、何も知らされない一般人が数多く

処刑されたり、拷問されたりしているわけで、自分たちの立場

しか考えていない権力の中枢にいる人々の「鈍感さ」をぜひ

見てほしいと思います。

 

スターリンの狂騒曲
出典:IMDb

 

側近の中には、スティーブ・ブシェーミ演じるフルシチョフと

NKVD最高責任者ベリヤがおり、映画内ではこの2人の権力闘争

の姿が主に描かれていきます。スターリンが倒れた時に、急いで

側近の報告文書を持ち出すベリヤは、秘密警察のトップだけ

あって、駆け引きが上手い。相手の弱みを握って、自分の都合の

いいように話を進めようとします。

 

スターリンの狂騒曲

出典:IMDb

 

フルシチョフは、序盤はどうもパッとしない存在なのですが、
彼の計画が上手く行き始めると、急に側近たちが彼のもとに

集まるのは、本当に愚かでみっともない。
そして権力者が変わったとたん、シベリアでの処刑がパッと止まり、

逮捕が終了し、囚人が解放されていくのです。今までの方針が

180度変わり、周囲の人物がどちらを支持するか、この先の自分の
立場への損得勘定で計算するのは、この時代の残虐な歴史を

踏まえたうえで笑ってしまう。
またスターリンの次男ワシーリーが酒浸りでどうしようもなく

愚かに描かれているし、娘スヴェトラーナの悲しい身の上を少しだけ

わかります。ちなみに長男は大戦中にドイツ軍の捕虜となり、

スターリンがヒトラーからの捕虜交換を拒否したため、そのまま

強制収容所で亡くなっています。
終盤、フレシチョフが今まで冷遇されてきた、勲章キラキラ輝く

ジューコフ元帥を取り込んで赤軍を活用し、みるみるうちに権力を

握っていく姿を、残酷なシーンも交えて描いています。その場に

いる人々の誰もが汚いことに手を染めたことがないということが、

互いを責める発言で飛び出し、モロトフのように処刑されたと

思った妻が、解放されたとたん、彼女への非難が消え去るという、

もはや人間性のかけらすらも感じられない人々の姿が映し出されます。
このフレシチョフも1964年には失脚し、その後ほぼ軟禁状態で

年金生活で一生を終えたと知ると、権力の一極集中の恐怖と

愚かさを、痛感せざるを得ません。エンドロールでは、写真が幾つも
映り、その中から消えたり、削り取られたり、黒く塗りつぶされる

人物を次々と見せていきます。それは権力者でも一般人でも同じで、

時代の変化で消されていく人々の存在を知ることは、修正された歴史を、

正確なものへと変えるものでもあると思いながら映画を見終えました。

 

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