ルック・オブ・サイレンス

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JUGEMテーマ:洋画

 

ルック・オブ・サイレンス

出典:IMDb

 

「ルック・オブ・サイレンス」

原題:The Look of Silence

監督:ジョシュア・オッペンハイマー

2014年 デンマーク=フィンランド=インドネシア

=ノルウェー=イギリス映画 103分

キャスト:アディ・ルクン

     アミール・シアハーン

     アミール・ハサン

     イノン・シア

 

かつて兄を虐殺されたアディは、今も権力者として暮らす

加害者たちに無料の視力検査と称して様々な質問を投げ

かける。彼らには全く罪の意識はなく、逆に自らの英雄談

として語り始めるが、アディの素性を知るとその態度は

一変するのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 本当に辛い。しかし起きたことを

正しく知らないで済ませることが幸せな未来につながるの

でしょうか。


過去は過去では済まされない


アメリカ、テキサス州出身のジョシュア・オッペンハイマー監督

が、本作の前に製作していた

「アクト・オブ・キリング」(2012)

をなぜ見逃していたのでしょう。その映画は今映画と同じ

1965年に起きたインドネシアの「9月30日事件」以降の

大量虐殺事件を加害者本人が演じていたと言います。もちろん

彼らは自らを国のために共産主義者を粛清した英雄と思い込んで

いるわけですから、映画も英雄伝説のように描かれると考えて

いたはずです。それがふたを開けると、この虐殺事件を全世界

に知らしめるおぞましい内容であり、オッペンハイマー監督が

「アクト・オブ・キリング」の発表直前に

「ルック・オブ・サイレンス」の撮影を終了していたことも含めて、

極めて危険な行為であったと考えられます。いまだに

インドネシア国内では、この事件いついて語ることはタブーであり、
当時のスハルト大統領が亡くなった今となっては事件の全容解明

は不可能に近いのです。
事件は1965年9月30日、インドネシア共産党による

軍事クーデター未遂から始まります。スカルノからほぼ無理やり

大統領の座を奪ったスハルト政権は、クーデターの首謀者や

共産勢力の一掃を図ります。そしてその思想に染まっていると

疑われた人々も含めて100万人もの犠牲者を生む虐殺事件が

起きるのです。さらに恐ろしいのは、その加害者たちが今も政権の

内部にいたり、地域の有力者であるということです。

 

ルック・オブ・サイレンス
出典:IMDb

 

主人公のアディは、1965年の事件で兄を虐殺され、その

2年後に誕生したので、実際には事件を知りません。しかし

母親からずっと聞かされてきたのでしょう。そして無料の

視力検査を実施する話を持ち掛けて、加害者たちに接近し、

事件についての話を聞き始めます。

 

ルック・オブ・サイレンス

出典:IMDb

 

加害者が嬉々として語る虐殺行為は、耳をふさぎたくなるほどで、

彼らはアディが
「私の兄ラムリが殺された」
と語るまでは、自分がいかに英雄だったというようにその様子を

事細かに話すのです。そしてその言葉を聞いた途端、
「覆われた過去を掘り返すな」
「終わったこと」
「過去の問題を騒ぎ立てると再び同じことが起こる」
とまで言い始めます。誰もが自分の罪ではない、命令されたことを

したまでだと言うわけです。

 

ルック・オブ・サイレンス

出典:IMDb

 

ルック・オブ・サイレンス

出典:IMDb

 

加害者の家族も
「全く知らなかった」
と言い、アディの叔父に至っては、ラムリが収容されていた

刑務所の看守で、ラムリが殺害のために連行されるのも知って

いたのです。彼の言葉を借りると、
「看守をしていただけで何も知らない」
彼らがみな裕福な暮らしをしており、逆にアディの両親は貧しく、

村の中でも疎外されているように感じます。
アディが求めた謝罪の言葉は加害者たちから一切聞かれず、

唯一加害者の娘の一人が
「許してあげて」

と涙を流します。それも父が娘に誇りに思わせていた殺害行為で、
「人の血を飲むと殺しても狂わずに済む」
と父親が普通に語った時に、涙が頬を伝います。彼女にとって

尊敬すべき父が、国のために行動した父が、まさかそんな

非人道的なことをしていたとは知らなかったのでしょう。
アメリカが資源目的に介入し、共産主義者一掃に一役買っていた

ことも知ると、軍は民間人に、人民闘争として共産主義者

(そのように思われただけの人々)を虐殺させるという最も

卑怯な行為をさせていたのだと思うのです。そこには共産主義者は

「神を信じない」「不道徳である」という偽りのプロパガンダの

大きな存在があります。
しかしこの「絶対悪」の責任はどこにあるのでしょうか。彼らは

命令に従い、インドネシアの民主主義のために闘ったと自負し、

周りからも信奉されています。
見終わって思うのは、人間の残酷さには際限がなく、そして

加害者と被害者はいつ入れ替わるかわからないということでした。

 

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