ヘイト・ユー・ギブ

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JUGEMテーマ:洋画

 

ヘイト・ユー・ギブ

出典:IMDb

 

「ヘイト・ユー・ギブ」

原題:The Hate U Give

監督:ジョージ・ティルマン・Jr.

2018年 アメリカ映画 133分

キャスト:アマンドラ・ステンバーグ

     レジーナ・ホール

     ラッセル・ホースビー

     K・J・アパ

 

白人社会と共存するように父親から教わってきた

黒人のスターは、白人の通う私立校に在籍し、白人の

友人やボーイフレンドと学校生活を楽しんでいる。

しかしある日幼馴染のカリルが目の前で白人警官に
射殺され、報道が真相をかけ離れたものであることから、

彼女は真実を証言しようと決意するが..。


<お勧め星>☆☆☆☆☆ 今年見た映画の中で今のところ

ナンバー1です。きれいごとで済まされない不条理な

世の中をリアルに描いています。


憎み合うのが罪


原作はアメリカで大反響を呼んだ小説「ザ・ヘイト・ユー・ギブ」

です。銃による事件など日常茶飯事のように起こっている

アメリカにおいて、日本人が犠牲になった事件がありました。

1992年、ルイジアナ州バトンルージュで起きた日本人

高校生射殺事件です。ホームステイ中の高校生がハロウィン

パーティーへ出かけたものの、訪問先を間違え、住民の白人

男性に射殺された事件でした。
「Freeze」を「Please」と聞き間違えたとか、他人の敷地に

入ること自体違法だとか、被害者が武器を持っていたかの

ように見えたとか様々な報道がされました。結局裁判では

陪審員の全員一致で無罪となり当時は怒りに燃えたものです。

その後銃弾を放った白人男性の私生活を暴く記事が日本では

幾つも取り上げられ、

「彼が無罪になるのはおかしい。こんな私生活なのに」

とアメリカ人で白人である義兄に訴えたところ

「亡くなったことは悲劇だけれど、彼は天使ではない

(つまり完ぺきな私生活を送るものなどいないという意味)」

と言い返されました。わたしの問いが的を外れたものであった

としても文化の違いを感じた瞬間です。

 

ヘイト・ユー・ギブ
出典:IMDb

 

全く状況は異なりますが、この映画のヒロイン、スターは黒人

低所得者地域ガーデン・ハイツに住みながら、両親の願いで、

地元ではなく白人が通う私立校に在籍しているのです。彼女は

学校と家の近所では頭を切り替え、言葉も使い分けていると

言います。スポーツや勉強に励み、白人の友人やボーイフレンド

すらいるのです。もちろん学校の中で差別の目で見る生徒も

いるけれど、金持ちの白人はただ睨むだけ。

 

ヘイト・ユー・ギブ
出典:IMDb

 

ところがある晩、黒人だけのパーティーで再会した幼馴染の

カレリが、彼女の目の前で白人警官に射殺されてしまうのです。

この時の状況は、いくつもの映画で見たシーンや実際に起きた事件の

ようにまことに理不尽で一方的な発砲なのですが、地域的に見て

犯罪率の高い場所を、夜一人でパトロールしている警官の恐怖心は、

おそらくはかなりのものだろうと推測されます。

映画内でスターが黒人警官にこう尋ねるシーンはあります。
「白人がベンツに乗って、ドラッグを売っている可能性があったら

どうするのか?」

黒人警官は

「まず手を挙げろと言う」

と答えます。では相手が黒人だったらどうするかと尋ねると

「危険を察知したら発砲する」と答えるのです。この矛盾した答えを

黒人警官が苦しそうに口にします。そこにあるのは「犯罪率の多さ」

であるけれど、根底に横たわるのは「貧困」にほかなりません。

 

ヘイト・ユー・ギブ
出典:IMDb

 

カリルの死後、現場に居合わせたスターは大陪審で証言するか否か

悩みます。それは彼女が「さらし者」になることを恐れる母親の

気持ちと彼女自身が学校での状況が悪くなるのではないかと危惧

するからです。
一方で、街では事件によって、黒人は怒りを募らせデモを開始し、

警察は彼らを格好の標的にしていくのです。この繰り返しは

どれだけの期間続けられてきたのでしょうか。そしていつになったら
止まるのでしょうか。積み重なった小さな怒りが、何かあるたびに

爆発し、それを彼らが待っていたかのように感じてしまうのは

大きな人種差別が存在しないと思われる(思いたい)日本にいるから

こその浅はかな考えなのですね。
またスターの親友だった白人のヘイリーのように、黒人の真似を

したり、黒人の気持ちがわかるようなふるまいをしていても、実は

根本には人種差別意識を持っている人たちが数多くいるのも現実です。
「ゲット・アウト」(2017)はそれを逆手に取って驚くような

ストーリー展開の映画でした。

 

ヘイト・ユー・ギブ
出典:IMDb

 

後半、警官が無罪になったことへの抗議デモは、とにかく涙が

溢れました。ここまで憎み合う人間の姿を見たくない。けれど

それが現在進行形で起きているのです。スターの言う通り

「憎み合うのが罪」であり、その連鎖は断ち切れるはずなのです。
そして「子供に与える憎しみが全てをむしばむ」ということは肝に

銘じておきたい言葉です。「理不尽な世の中でも黒人である誇りを

忘れるな」とスターの父が言う通り、それぞれが誇りを持ち、

互いを尊敬し、寛容な社会を築いていけるように少しずつ世界が

変わっていくといいと心から思います。

 

 

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