君が君で君だ

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JUGEMテーマ:邦画

 

君が君で君だ

出典:IMDb

 

「君が君で君だ」

監督:松居大悟

2018年 日本映画 104分

キャスト:池松壮亮

     キム・コッピ

     満島真之介

     大倉孝二

     高杉真宙

     向井理

               YOU

 

10年にわたり、向かいのボロアパートから一人の

女性を見続けている3人の男がいる。彼らは女性を

「姫」と呼び、彼女と接することなくひたすら姿を

見続けているのだったが、ある時女性の恋人が作った

借金の取り立て屋に姿を見られてしまい...。


<お勧め星>☆☆☆ 誰が一番その世界に入り込んで

いたのかを考えると胸が苦しくなります。


姫のすべてを受け入れる


キム・コッピは「息もできない」(2008)で初めて

知り、そして「クソすばらしいこの世界」(2013)

で成長した姿を見ました。「息もできない」は、まさに

息もできなくなるくらい重い映像がズシンと胸に突き刺さり、

逆に「クソ素晴らしいこの世界」では見事なスプラッター映画

である意味爽快感を感じました。

「この映画すごくいいからぜひ見てね!」

とは簡単にお勧めできないけれど、キム・コッピの存在感は

大きかったです。

 

君が君で君だ

出典:youtube 


そしてこの映画では、勝手に「姫」と呼ばれ、向かいのアパートに

住む3人の男たちに一日中監視、盗聴、盗撮されているのです。

ほぼストーカー状態ですが、彼らは特に接触を求めるわけではなく、
逆に接触すること、姿を見られることを極力避けているという感じ。

汚いアパートに新聞や段ボールで覆いをかけ、ひたすら「姫」の

姿を見て、声を盗み聞き、同じものを食べる。それだけでうれしい
らしい。ソンというその女性と共に3人の過去が時系列バラバラに

描かれていきます。そこで気づくのは、ソンが母の夢をかなえるため、

日本語を勉強するために韓国から夢いっぱいで来日した当初の
透き通ったような姿や笑顔が、ほとんど明るい日差しの下で映って

いたのにひきかえ、母を亡くし、ダメ男に貢ぐような女性に落ちて

行く過程では、次第に夜や雨のシーンが多く、暗く薄汚れているように
映されていくことです。

客観的に見ると、重い男が嫌いなくせに、自分が重くなっている

ことに気づかない、夢を追うのを諦めたら、他の人物の夢を支える

ことに希望を見出すという、女性の立場からするとこれは都合の

いい女になるタイプだと思ってしまいます。
一方、そんな彼女をなんと10年間も見続けている3人の男は、

ソンが歌が大好きな尾崎豊、顔が好きなブラット・ピット、信条が

好きな坂本龍馬とそれぞれ名乗り、本当の名前を捨て、ちっとも

似ていないのにその名前で呼び合うわけです。彼らはこの狭い

アパートの一室を「城」と呼び、そこに存在するのがソンという

「姫」であり、「姫」をただただ見守るのが使命と考えている

ようです。ここがまずおかしい。
しかしその世界にどっぷり浸かっている3人はそれなりに幸せなのです。

少し前に80年代のアイドル歌手のコンサートに行く機会があって、

そこでどう見ても母と息子で訪れている2人を見たのですが、
息子は(50代近い)オープニングから立ちっぱなしで、アイドルの

振りを全て真似しながら歌を歌っていました。その時隣に母らしき人は、

ずっと座ったままで、まあ高齢だからしんどいのでしょうが、
こうやっていつもコンサートに来ていたのだろうか、と目の前の

アイドルだった歌手の姿よりも気になってしまいました。自分の

世界に浸かってしまい、そこから出ることがなくなると、ある部分では
幸せだけれど、ある部分ではかなり歪な姿になってしまうかも。

そしてソンの恋人が作った借金を取り立てに来た友枝(向井理)と

ボス星野(YOU)がその空間を引き裂いてしまうと、とっ散らかって

いながらも存在し続けた世界が、風船の空気が抜けていくようにしぼんで
いくのです。それも小さな穴なので少しずつです。

向井理とYOUの言い合いはすごいですねえ。キレイな顔の俳優さんと

おしゃれな女優さんがこんな演技を見せるなんて思いもしません

でした。さらには間の抜けたようなソンの恋人ソウタ役の高杉真宙が

またイケメンなんです。なのにクズなんです。しかしクズになって

しまった理由はソンにもないわけではない。それらをすべて知っている

3人はソウタを「王子」とまで呼びます。このズレ具合が、見ている側に

一風変わった空気を送り込むのです。
3人は明らかに究極の愛を追求していたけれど、それは現実に手に

したいと思っていたのではなく、あの空間で共有できていたものだった

かもしれません。「姫」のすべてを受け入れるという狂気を
止めたのが「中途半端」な友枝なのも皮肉です。何が常識で何が

狂気かの境は、極めてあいまいですが、今までなかったものが急に

現れた時、自分の見てきた世界が色あせていくことに気づく者が多いし、
それでもその世界を捨てきれない者がいるのも確かなんでしょう。

個人にとっての幸せは個人にしか理解できないものだから。

 

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