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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般
出典:IMDb
「ユリゴコロ」
監督:熊澤尚人
2017年 日本映画 128分 PG12
キャスト:吉高由里子
松坂桃李
松山ケンイチ
佐津川愛美
清野菜名
カフェを営む亮介の婚約者千絵が突然姿を消す。一方
彼は余命わずかな父親の押し入れから「ユリゴコロ」
と書かれたノートを見つけ、その内容に衝撃を受けつつ、
むさぼるように読むのだった。
<お勧め星>☆☆☆ 前半と後半の雰囲気が全く変わり、
個人的には前半の方が好きです。
ユリゴコロはよりどころ
熊澤尚人監督の映画と言えば「おと・な・り」(2009)
が最高、いやそれしか見ていません。都会のアパートの
隣同士に暮らし、その音だけで互いの存在を知り、心を
通わせていくという、とても静かでおしゃれな映画でした。
隣に岡田准一君が住んでいたら、もうサイコー!
さてこの映画の原作は沼田まほかるさんの同名小説です。
出典:IMDb
カフェを営む亮介は末期がんで余命わずかな父がいるものの、
千絵という可愛い婚約者がいてそれなりに幸せな日々を送って
いるのです。しかしその千絵が突然、本当に神隠しに合ったか
のように姿を消してしまいます。そこで初めて気づくのです。
彼女についてほとんど知らなかったことを。これだけでも話が
できそうなのに、本筋はそこではありません。亮介がひょんな
ことで父の部屋の押し入れの中の段ボールに入っていた
「ユリゴコロ」と書かれたノートを見つけたことから始まるのです。
前半は、なぜかどうしてもそのノートの内容の先を読み漁りたい
亮介と、そのノートに書かれた狂気に満ちた内容が実写と
して出てきます。とにかく残酷なのと血の量が大層多いので、
血が苦手な人はここで脱落すると思います。
出典:IMDb
このノートに登場する美紗子役の吉高由里子さんの何も感情の
宿っていないような空っぽな瞳と彼女の友人みつ子役の
佐津川愛美さんの明らかにイカれているのがわかってしまう
大きな瞳がとても対照的です。佐津川さん、大丈夫かしら。
みつ子のリストカットのシーンは、音が「グググ」と聞こえ、
血が流れる腕がアップになると、思わず「痛い!」と口走ってしまう。
「ユリゴコロ」は幼い時に美紗子を診察した医師が
「この子は心のヨリドコロがないね」
と言ったのを聞き間違えたことらしい。それでも「ユリゴコロ」
というものが存在しそうな気がしてしまうのです。
「言葉を発するために安全な場所にいるという気持ち」それが
美紗子は、人形への虐待行為から人間への攻撃へと変化していく
わけです。情け容赦のない行為の連続を映像で見せられると、
このまま映画はどういう方向に向いていくのだろうと思って
しまいます。読んでいる亮介の心の中にも何かが目覚め、幸せを
呼ぶと言っていた百足を残酷に踏みつぶし、肉のミンチを狂った
ように作り続けます。
出典:IMDb
しかし美紗子が洋介と知り合い、ぎこちなく関わりながら少し
ずつ心を通わせていく過程は、見ていると本当に幸せを感じて
しまいます。ある理由で性的不能になった男と人と関わるのを
嫌い、娼婦となった女がいかにして2人の生活を築き上げていく
のか。そしてこの内容が書かれたノートを読んでいる亮介との
関係もすぐにわかってしまいます。
出典:IMDb
千絵の行方を知っているという細谷という女性の存在。そして
引っ付き虫と言われる草の実。クライマックスは美紗子と洋介が
初めて結ばれるシーンじゃないだろうか。「蛇にピアス」
(2008)では大胆なヌードを見せてくれた吉高さんも今は何も
見せません。それどころか引っ付き虫で覆われています。まあいいか。
そしてそれ以降後半になると話の流れが変わり、愛にに満ち、
涙を流すシーンが多く、それも時間が長く、やや冗長にも感じ
られます。もちろん納得のいくラストではあるけれど、原作で
どうしても確認したいことがいくつかあって、その1つが女1人で
ヤクザの男たちを殺せるか、ということなんですよね。偶然が
呼んだ奇跡ということで片付けてもいいのかしら。