未来を乗り換えた男

4

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

未来を乗り換えた男

出典:IMDb

 

「未来を乗り換えた男」

原題:Transit

監督:クリスティアン・ペッツォルト

2018年 ドイツ=フランス映画 102分

キャスト:フランツ・ロゴフスキ

     パウラ・ベーア

     ゴーデハート・ギーズ

 

ファシズム体制下のドイツ。ヴァイデルという作家に

手紙を渡すように依頼されたゲオルグは、彼の死を

確認し、遺品を持って貨物列車に乗り込む。そして

マルセイユにたどり着いたゲオルグは謎の女性を何度も

見かけながら、自分の身を守るためにヴァイデルに

なりすまし、メキシコへ亡命することを計画するのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 結構ややこしい内容ですが、現代の

問題に置き換えて考えると納得できるものになっています。


自分でなくてよかったという恥


監督は「東ベルリンから来た女」(2012)

「あの日のように抱きしめて」(2015)の

クリスティアン・ペッツォルトです。

「東ベルリンから来た女」は、ベルリンの壁崩壊前の

東ドイツを舞台にした小児科医バルバラの話で、医師と

してのモラルと自分の将来を天秤にかけざるをえなかった

女性の葛藤が描かれていました。秘密警察シュタージの

監視対象に対する行為は、身体精査などというおよそ

非人道的なものが存在し、恐怖しか感じません。
そして「あの日のように抱きしめて」はナチス強制収容所で

顔に大けがを負い、再生手術を受けた女性が、彼女に

気づかない自分の夫の態度に驚きつつ、それを受け入れて

いくもので、自分の存在をアピールする妻とひたすら

それから目をそらそうとする夫との駆け引きは見ごたえが

あります。
この「未来を乗り換えた男」はファシズム体制下のドイツ

から逃れてきたゲオルクという男性が主人公です。

彼は反体制派の仲間から作家ヴァイデルへの手紙を託される

のです。
ずっと疑問なのは、ゲオルクがなぜIDを持っていないのか

とか「ドイツ人と占領軍の掃討作戦」は何に対して行われる

のかとか、そもそもこれはいつの時代の話なのかということ

です。通信手段は固定電話や手紙なのに、道路を走っている

警察車両は現代のもの。これが最後まで違和感として漂い

続けるものの、中盤あたりでゲオルクが可愛がっていた子供と

その母が姿を消し、その部屋に数えきれないほどの難民らしき

人たちがいるのを見ると、これはナチス時代の迫害と今

ヨーロッパで起きている難民排斥の波と被るのではないかと

感じます。

その話は別にして、ゲオルクはヴァイデルの死を知らされ、

彼の遺品を半ば押し付けられるのです。そしてケガをした

ハインツと貨物列車に乗り込みマルセイユにたどり着くと、

彼は亡くなり、ゲオルクは辛うじて追手から逃れることが

できます。彼は仲間の指示通りハインツの家をたずねると、

そこには息子と耳が不自由な母親が住んでいる。

 

未来を乗り換えた男

出典:IMDb

 

この二人がドイツ人の風貌ではないのです。ここはとても

ややこしいです。

 

未来を乗り換えた男
出典:IMDb

 

さらに街では同じ女性に数回出会い、2回は誰かと間違えられ

肩に手をかけられます。この女性は誰なのか?
それを知った時には、ゲオルクは身の危険を感じてヴァイデルに

なりすまし、メキシコへ渡航する手続きを進めています。

マルセイユ→メキシコ→アメリカへと乗り継ぐらしい。そのときの

メキシコ領事の

「捨てられた者と捨てた者とどちらが先に忘れる?」

という問いも意味深ですね。ゲオルクだけ亡命することを知り、

ハインツの息子は二度と会おうとしません。またヴァイデルは妻に

絶縁状を送られていたらしいのです。

 

未来を乗り換えた男
出典:IMDb

 

そして例の女は医者のリヒャルトと愛人関係にあるのに、ゲオルク

にも気のあるそぶりを見せます。

ゲオルクが彼女のためのビザ申請に成功すると(これは成功と

いうのかしら)酒場で二人は大喜びするのです。

 

未来を乗り換えた男
出典:IMDb

 

そのとき周りにいた人たちの冷たい視線は

「不幸な者は他人の幸福を嫌う」

というナレーションとぴったりなんです。また映画内でゲオルクが

ヴァイデルになりすまして取り締まりから逃れた時に他の女性が

連行されますが、そのときホテルにいた人々がみな下を向くのです。

「自分でなくてよかった」と考えたことを恥じているという

ナレーションがここで流れ、その通りだと感じます。
最終的にゲオルクが決断したことは、タクシー内で例の女性マリーに

聞いた言葉が引き金でしょうが、全て振り返ってもあの選択しか

ありえなかったと思うのです。ゲオルク、リヒャルド、マリーの
胸の内を深く考えてしまう映画でした。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

カレンダー

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

ブログランキング

今日のわんこ

powered by 撮影スタジオ.jp

アマゾン

遊びにきてくれてありがとう!

カウンター

死語レッスン

最新記事

categories

過去の記事

コメントありがとうございます!

トラックバックありがとうございます!

recommend

お友達

ミス・マープルについて

書いた記事数:3070 最後に更新した日:2019/11/14

あの映画を探そう!

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM