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    家へ帰ろう

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    JUGEMテーマ:洋画

     

    家へ帰ろう

    出典:IMDb

     

    「家へ帰ろう」

    原題:El ultimo traje/The Last Suit

    監督:パブロ・ソラーズ

    2017年 アルゼンチン=スペイン映画 93分

    キャスト:ミゲル・アンヘル・ソラ

         オルガ・ポラズ

         アンヘラ・モリーナ

         ユリア・ベアホルト

     

    ブエノスアイレス在住のアブラハムは老人ホーム入所前日、

    娘や孫たちに囲まれ、記念撮影をする。そして家政婦が

    1着のスーツを見せ「これはどうします?」と尋ねてから、

    彼はそのスーツと共にある場所に向かうことを決意するの

    だった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 気難しそうな老人の胸の奥にしまって

    あった思いを知った時、思わず涙がこぼれます。


    封印した記憶とスーツ


    学生時代のゼミの教授の専攻が「ポーランド現代史」だった

    けれど、エアヘッドだったので、ポーランドという国について

    ほとんど興味を持たず、また知る努力もせず、ただ見た目が

    かっこいいというだけでゲバラを中心にキューバ革命について

    卒論を書きました。今考えると全て参考文献から丸写しして

    いたような気がします。ああ、恥ずかしい。
    そのポーランドは、現在ナチス占領時代の損害賠償540億ドル

    をドイツに請求することを検討し始めている

    (2018 9/1付 朝日新聞より)

    と知り、そしてこの映画を見て、ポーランド人に対し、先の
    大戦中ドイツ軍が何を行ったのでしょうか。

    それはあまりにも非情な行為の数々なのです。ユダヤ人に対する

    ホロコーストは幾つもの映画で目にしますが、ポーランドに

    対するドイツ軍、ソビエト連邦軍の行為は

    「カティンの森」(2007)で初めて知ったくらいです。西から

    ドイツ軍、東からソビエト軍が侵攻し、国を分断されたポーランド

    において、ヒトラー率いるドイツ軍は、彼の著書「我が闘争」
    で計画されたように大ドイツとして東ドイツが構成されるとし、

    ポーランド文化そのものを破壊していきました。「カティンの森」

    ではポーランド軍将校はソ連軍、兵士はドイツ軍の捕虜になったと

    描かれていましたが、一般人は、ユダヤ人同様の扱いを受けていた

    のです。

    「家へ帰ろう」の主人公アブラハムが時折夢に見る過去の忌まわしい

    記憶や彼が語る言葉から、彼がワルシャワでの生活をほとんど口に

    しなかった理由がおのずとわかってきます。
    序盤は老人ホームに入る前日の、そこそこ和やかそうに見える一家の

    姿がややコミカルに描かれ、偏屈だけれど少しおちゃめなアブラハム

    の性格が少しだけわかります。その彼が急に表情を変えたのは
    1着のスーツを目にしたときです。そのときからある決意を抱き、

    即行動に移すのです。

     

    家へ帰ろう
    出典:IMDb

     

    マドリッドまで乗った飛行機の中で、話しかけ続け、相手が嫌がって

    席を立つと、ゆったり3席独占して横になるアブラハム。

    なかなかやるぞ。しかし入国審査で「目的」を話さないアブラハムは
    管理官に別室に呼ばれるし、そこで例の相手と再会です。なんと彼は

    妻子に会いに来たもののビザなし渡航かつ金がないので強制送還される

    と言う。ここでケチなアブラハムは温情を示すんですよね。
    足が悪く家から出ることが少なかった老人が、あかの他人と接した

    ことで、気持ちが変化していくのがわかります。

    ほんの少しですけどね。

     

    家へ帰ろう
    出典:IMDb

     

    またマドリッドのホテルの女主人は、すばらしい歌声を披露し、

    さらに久しぶりに男と女同士の会話をするんです。かつては

    アブラハムもモテたのかもしれない。ところが留守中にホテルに

    何者かが侵入し、有り金を全て盗まれてしまいます。

    アブラハムがっかり。

    そのときのアドバイスもこの女主人がしてくれたし、移動する際の

    運転手は例の空港の青年です。

     

    家へ帰ろう
    出典:IMDb

     

    勘当していた娘に金を借り、パリから目的地に行こうとすると、

    彼が絶対に通りたくないし、名前すら口にしたくない国を通過する

    ことに気づくのです。この時言葉の通じない駅で駅員に必死で

    訴えるのですが、その言葉を理解しているだろうし、その歴史も

    少しは知っているであろうという年頃の人々がみな眉をひそめる

    のです。

    「ノードイツ」「ポーランド」
    その場を助けてくれたのは、スペイン語も話せるパリに住む女性

    ですが、なんとドイツ人です。アブラハムが最も忌み嫌うドイツ人が

    手を差し出すというのは何とも皮肉なことだけれど、その巡り合わせが
    彼の心中を吐露するきっかけにもなるのです。

    「罪は何だったのか」
    「この目で見た」
    楽しそうに創作物語を披露していた可愛い彼の妹やそれを笑いながら

    聞いていた彼の両親も含め多くの人々は、その後どうなったの

    でしょうか。さらに切断を勧められている彼の右足を傷めた原因は
    なんだったのでしょうか。あまりにむごい戦争の傷跡は、70年間

    封印され、決して思い出さないようにしてきたことが強く伝わります。
    マドリッド、パリ、そしてワルシャワで人と出会い、人に助けられ、

    最終目的地で彼がしたかったことができたのかどうか、必ず自分の

    眼で確かめてほしいです。
    列車の窓から見えるのどかな景色や歴史と現代が混在する街並みにも

    目を奪われてしまいました。大好きな映画です。

     

     

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