ガザの美容室

4

JUGEMテーマ:洋画

 

ガザの美容室

出典:IMDb

 

「ガザの美容室」

原題:Degrade

監督:タルザン・ナザール

   アララブ・ナザール

2015年 パレスチナ=カタール=フランス映画 

85分

キャスト:ヒアム・アッパス

     ヴィクトリア・パリツカ

     マイサ・アブドゥ・エルハディ

 

ガザにある一軒の美容室に数名の女性客が順番を

待っている。ごく日常の会話をかわす女性たちだったが、

店の外で銃撃や爆撃が始まり、店から出られなくなって

しまう。


<お勧め星>☆☆☆半 パレスチナ地区内での抗争に

飽き飽きした女性たちの姿を鮮明に描いています。


外の男たちと中の女たち


1994年オスロ合意により、パレスチナ暫定自治協定が

結ばれ、パレスチナ解放機構(PLO)の主流派「ファタハ」

主導でパレスチナ自治が始まったものの、2006年選挙で、

イスラム組織「ハマス」が勝利を収めると、2007年には、

ガザでハマスがファタハを排除し始めます。その時から

イスラエルによる封鎖が始まったのです。

(ニュースウィーク日本版より)
新聞でパレスチナへのイスラエル軍の空爆の理由が

「ハマスによるイスラエル人への危害」

と書かれているのを目にするのは、このハマスが軍事面で

強力であり、それに対抗するためにさらに大きな武力を

用いているわけです。これに今はアメリカが大きな関心を

持ち始めてしまい、混迷の一途をたどっています。
「ガザ」地区というと「もう一人の息子」(2012)では、

イスラエルで暮らす青年が、実は湾岸戦争中の出生時に、

今は高い壁で隔てられているパレスチナ地区の子供と取り

違えられていたことを知らされ、宗教、紛争、壁のせいで、

多くの苦悩を抱え込んでしまうという姿が描かれていました。

その時のイスラエルが、近代的な街並みであったのに比べ、

壁を隔てたパレスチナ地区は、破壊された建物や整備されて

いない道路、そしてその中でかなり貧しく暮らす人々が映って

いたと思います。
しかしこの映画では、そんな街並みは全く映らず、1軒の

美容室の内部がほぼ舞台です。実はガザ地区も富裕層がおり、

彼らは高級な店で買い物をし、豊かな暮らしをしているらしい。

この美容室に来ている女性たちも、貧困にあえぐという姿とは

少し違う感じがします。ガザ=仕事なし、紛争ばかり、貧しい

暮らしと決めつけるのではなく、その中でも人々は日々の

暮らしを送っているのです。

 

ガザの美容室
出典:IMDb

 

美容室にいる女性たちは、全く個性的な人々ばかりで、女主人は

ロシア人、手伝いの美容師は、マフィアのダメ男と別れられず

にいて、電話ばかりしています。ちょっと言わせてもらうと、

本当に仕事がノロい。物資が十分でないことを考慮しても、

手がさっさと動きません。「これが私のやり方よ」

はい、わかりました。

 

ガザの美容室
出典:youtube

 

ドラッグをしゃぶるおしゃべり女は、夫が戦争で負傷しているし、

隣には人一倍信仰心が厚いヒジャブ姿の女がいます。しかし

この女の夫は浪費癖があり、さらに強権的らしい。

 

ガザの美容室

出典:youtube

 

鏡の前できれいにメイクしてもらう結婚式を控えた女性は、

後ろで待つ姑と実母の正反対の指示に泣きべそをかいているし、

突然入ってきた身重の客は産気づいてしまう。さらに離婚話

を進めている派手な中年女性は、始終イラつき、たばこを吸い、

文句ばかり言っています。なんで下着姿かと思ったら、脱毛

処理しているんですね。

なんだ、この喧騒は。
いやこの喧騒には流血や破壊はない。それがあるのは、今まさに

外で起きている、イスラム系警察とマフィアとの戦いなのです。

銃撃、ロケット砲の音が鳴り響き、美容室は揺れ、停電して

しまいます。
それでも彼女たちにとってはこれが日常であり、ひとたび

争いごとが起きたら、女は家の中に入って静かにしている(いや

のぞき見しているか)ことに慣れきっているのです。
ドラッグの飴をなめている女性が「女は有能よ」と言いながら、

ファタハもハマスも敵であり、この客たちにそれぞれ国の重要

ポストを決めていくシーンは、なかなか興味深いです。

同じパレスチナ人同士の争いにとことん嫌気がさしていることが

伺えるのです。

イスラエルの病院に行こうと思っても、強力なコネがなければ

不可能で、ハマスの検問、ファタハの検問をくぐれたとしても

行き着く先はイスラエルの刑務所という話には絶望を感じて

しまいました。
実際にはイスラエル軍の大規模な空爆で多くの命が奪われ、

建物が破壊されているけれど、そこに住む人々にとって、最も

厄介な問題はパレスチナ人同士の争いだということに尽きると

思います。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ

 

 


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

カレンダー

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

ブログランキング

今日のわんこ

powered by 撮影スタジオ.jp

アマゾン

遊びにきてくれてありがとう!

カウンター

死語レッスン

最新記事

categories

過去の記事

コメントありがとうございます!

トラックバックありがとうございます!

recommend

お友達

ミス・マープルについて

書いた記事数:3070 最後に更新した日:2019/11/14

あの映画を探そう!

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM