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    馬を放つ

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    JUGEMテーマ:洋画

     

    馬を放つ

    出典:IMDb

     

    「馬を放つ」

    原題:Centaur

    監督:アクタン・アリム・クバート

    2017年 日本=ドイツ=キルギス=フランス

    =オランダ映画 89分

    キャスト:ヌラリー・トゥルサンコジョフ

         ザレマ・アサナリヴァ

         アクタン・アリム・クバート

     

    キルギスのある村に住む通称ケンタウロスは、耳と

    言葉が不自由な妻と一人息子との3人暮らしで大工を

    して生計を立てている。彼は深夜厩舎に忍び込む馬を

    野に放って、それを乗り回すということを行っていたが、

    ある晩放した馬が村の有力者カラバイのものだったこと

    から大騒ぎになるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆半 キルギスの大草原をさっそうと

    駆け抜けていくケンタウロスの姿は自然と一体化して

    いて神々しいほどです。


    キルギス遊牧民の血


    映画内で吊り橋を渡るシーンが数回出てきます。1度目は

    女性に引率された子供の集団が半分以上橋を渡った時、

    前から来た主人公ケンタウロスを見ると、わざわざ

    引き返して道を譲ります。女性が髪を覆っていることから

    イスラム教徒であるとわかるのです。次はケンタウロスと

    妻マリパと息子ヌルペルティが仲良く橋を渡るシーンです。

    そして最後の方で中学生くらいの若い男女が橋の上で
    親し気の話し込んでおり、そこを通り抜けようとした

    ケンタウロスを見ても気にも留めず、そのまま話し続け、

    逆にケンタウロスの方が彼らをよけて通る抜けるのです。

    この3つのシーンだけでも多くの意味を持っているように

    感じます。
    キルギスという国は中央アジアに位置しており、東に中国、

    西にウズベキスタンから始まる地中海沿岸諸国をつなぐ古代の

    貿易ルート、シルクロード沿いにあるのです。民族としては

    キルギス人が7割占めているのに対し、キルギス語を母国語と

    する者が5割、3割弱はロシア語を話すという国で、

    ケンタウロスの妻がロシア語しか読めないというのも理解

    できるのです。彼女は耳が不自由で言葉を発することが

    できません。したがって手話かロシア語の筆談しかできない

    のです。

     

    馬を放つ
    出典:IMDb

     

    ストーリーは、深夜厩舎から馬を解き放ち、その馬に乗って

    両手を挙げながら草原を駆け抜ける男の姿から始まります。

    ケンタウロスは「馬は人間の翼である」と昔のキルギス人の

    考えを持ち続け、馬が食肉や競争用に使われることに強い

    抵抗感を抱いています。ケンタウロスが大工仕事で稼ぐ金が

    わずかなのかどうかわかりませんが、移動手段はもっぱら徒歩で、

    馬に乗って移動する者や日本製のSUV車に乗る者とは格差を

    感じます。かつては遊牧民として、家畜と共に家を移動した

    キルギス人も時代の変化で、貧富の格差が生まれてしまったと

    思えてなりません。

     

    馬を放つ
    出典:IMDb


    一方ケンタウロスの息子ヌルペルディは父親にとても懐いて

    いるし、成長も人並みなのですが、5歳になっても言葉を

    発しません。中盤、隣村で透視できるという人物のテントに

    向かうシーンがありますが、そういうもの頼っていることや、

    終盤、ケンタウロスの罪に対し、村長が村人を集めて多数決で

    贖罪の方法を決めるというのも、まだこの地に残る習慣と

    いうものを実感します。その時に女性もしっかり意見を

    述べるんですよね。

    「キルギス人の女性はかつて権力を持っていた」

    と語るけれど、近年では、この国で行われている「誘拐婚」と

    いうものが国際的に問題視されているので、そのあたりは
    どのくらい昔の時代のことかと考えてしまいました。
    またケンタウロスは、ちょっと女好きっぽく描かれ、マクシム

    売りの女性シャラパットととても親し気に接します。この

    シーンを見て「浮気」と告げ口するおせっかいおばさんが存在

    するのはどこの国でも同じだよなと少しだけ親近感?を覚えます。

    ケンタウロスはなぜシャラパットのマクシムばかり飲んでいたん

    だろう。彼女は未亡人で、夫は25年ほど前にアフガニスタンで

    戦死していているという話を聞くと、かつてこの国はソビエト連邦

    に属していたことを思い出しました。
    ケンタウロスはイスラム教に入信し、メッカ巡礼をした後、

    カラバイの厩舎で働くという罰を与えられます。これを受け入れて

    いれば妻子と再び暮らすこともできたはずなのです。しかし彼は
    礼拝中に、礼拝所のモスクの2階にある映写室に入り、映写技師

    だったことを思い出すかのように馬に乗って男性が草原を駆けて

    いくフィルムを見て満足気に笑います。本当にかつてのキルギス人

    の姿にこそ自分の中の魂が宿っていると信じているとしか思えません。

    その2階を木で打ち付けて入れなくすると、モスクのドアがぱたん

    と開き砂ぼこりが立ち込めるのです。過去との決別を表すの

    でしょうか。
    富や便利さと引き換えに失っていくものがそれだけ多いのか、人は

    それを受け入れつつも時々振り返ってみる必要があると思います。

     

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