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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般
出典:IMDb
「ホテル・ムンバイ」
原題:Hotel Mumbai
監督:アンソニー・マラス
2018年 アメリカ=インド=オーストラリア映画
123分 R15+
キャスト:デヴ・パテル
アーミー・ハマー
アヌパム・カー
ジェイソン・アイザック
ナザニン・ポニアディ
2008年11月26日、インドのムンバイでイスラム
過激派による同時多発テロが起き、タージマハル・ホテル
では侵入した犯人たちによって客や授業員が次々に射殺
され始める。給仕のアルジュンは料理長の指示で客たちを
安全な部屋に集めるのだったが...。
<お勧め星>☆☆☆☆半 123分があっという間で、その
時間ずっと肩に力が入ったままでした。
それぞれの視点
テロを描いた映画では多くの場合、テロリスト=悪であり、
それに向かう人達を英雄視したり、被害者たちの悲痛な姿を
見せたりします。
一方「ダイ・ハード」(1980)のようにアクション映画と
して作られ、エンターテインメント化したものも多く
「ホワイトハウス・ダウン」(2013)
「エンド・オブ・ホワイトハウス」(2013)はどちらが
好きかと分かれる内容でしたが、どちらもテロリストからの視点が
欠けていました。アクション映画ですね。
この映画は、タージマハル・ホテルという五つ星ホテルに
たまたま居合わせた客とホテルの従業員、そしてテロ実行犯の
うちの特に1人について、それぞれの境遇や家族、宗教、人種に
目を向けさせる描き方をしています。
デヴ・パテル演じるホテルの給仕アルジュン一人をとっても
彼はシーク教徒で頭にターバンを巻いており、ひげを生やしている。
そして身重の妻と小さな娘を抱えた父親でもあるのです。
出典:IMDb
またVIP客の女性はアメリカ人の夫(アーミー・ハマー)と赤ちゃん、
そしてシッターとホテルを訪れ最高のおもてなしを受けるけれど、
彼女自身はイラン人であることが中盤にわかります。
それに対しての偏見もあり、パニックに陥った時にそれが露呈して
いく様が短い時間ながら描かれ、それをどうやってしのぐかを
見ていると、人間としての誇りや相手を思いやる気持ちが本当に
必要であると実感します。
出典:IMDb
一方で、オープニングから映り続けるテロ実行犯はその顔も幼さが
残る少年に近い人たちばかりで、おそらくは貧しくちゃんとした
教育を受けることができなかったのだと考えると、もしテロで身内を
奪われたら絶対に思わないけれど、元々持っているはずのもの
奪われたなら戦うことを選択し、それを家族に称えられたなら、
きっと満足するんだろうと考えてしまいます。
監督が語っているように家族を持ち、夢を見ることが許され、
安心して暮らせることができれば、テロなどなくなるはずなのです。
それぞれをさらりと紹介しつつ、今起きているテロの現場を映し
続けます。あまりに凄惨で目を覆いたくなりますが、これが
現実に今も起きていることなのです。綺麗ごとではすまされない。
出典:IMDb
出典:IMDb
美しかったタージマハル・ホテルと海から静かに小舟で近づく
犯人たちの姿から、「すぐに」それは始まり、そして
「いつ終わるのかわからない」という状況になります。
ニューデリーからのテロ対策部隊はすぐには到着しません。
「ボーダーライン」(2015)の製作陣が創り出した映画だけ
あって、激しい銃撃、爆発シーンはあまりに唐突かつ残酷です。
R指定がありますが、殺戮シーンの多さゆえのことでリアルな
血しぶきや傷跡を見せるわけではないので、もしも血が苦手で
あっても見ることができると思います。
テロが始まった時から映画内で終了するまでのおよそ120分、
息をのむシーンの連続で、息を殺さないといけないシーンでは、
思わずこちらも息を止めてしまうほどでした。
予告編で声高に語られていたホテルの従業員の勇気だけでなく、
宿泊客の中にも果敢な者もおり、テロに遭遇した時の人間の本性を
見た気がします。
実際の事件での人物像をいろいろ重ねて作り上げた人たちが多いと
読みましたが、見終わってしばらく放心状態が続くような、心に
ずしんと響く内容でした。