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    ヒトラーへの285枚の葉書

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    JUGEMテーマ:洋画

     

    ヒトラーへの285枚の葉書

    出典:IMDb

     

    「ヒトラーへの285枚の葉書」

    原題:Alone in Berlin

    監督:ヴァンサン・ペレーズ

    原作:ハンス・ファラダ「ベルリンに死す」

    2016年 イギリス=ドイツ=フランス映画

    103分

    キャスト:エマ・トンプソン

         ブレンダン・グリーン

         ダニエル・ブリュール

     

    1940年ベルリンに住む工員オットーは息子ハンスの

    死の報せを受け取り、妻アンナと共に悲しみにくれる。

    そして2人は息子の死を招いたヒトラーを告発する内容の

    カードを書き、街のあちこちに置き始めるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆半 見終わってこんなにも心が暗くなる

    のは、同じような息苦しさを今感じているからかもしれません。


    思考力を奪われてはいけない


    この映画の登場人物はたくさんいるのですが、名前と顔が

    はっきりわかるのは、主人公のクヴァンゲル夫妻オットーと

    アンナ、そして同じアパートの住民のフロム判事、映画開始

    早々に自殺を遂げるユダヤ人のローゼンタール夫人、それと

    エッシャルヒ警部です。郵便配達人やその夫も幾度か登場する

    ものの、名前を1,2度聞くのみだし、他にも多くのドイツ人や

    SS将校、警察官が出てきても、姿が映るだけで、その名前

    どころか彼らについてはほとんど情報を与えられません。

    足元しか映らない人もいます。

     

    ヒトラーへの285枚の葉書
    出典:IMDb

     

    「顔のないヒトラーたち」(2014)で描かれたように、

    ヒトラーや親衛隊のみが第二次世界大戦中に「悪事」を行った

    わけではないのです。もちろん指示等はあったものの、積極的に

    彼らに協力をし、密告をし、時には略奪行為、暴力行為を行った

    のは、名も知れない数多くの平凡な人々です。そして彼らのうち

    そのほとんどが告発されることはなく、一般市民として戦後を

    生き抜いていったのです。

     

    ヒトラーへの285枚の葉書
    出典:IMDb

     

    息子ハンスが戦死したクヴァンゲル夫妻は、その悲しみをヒトラー

    総統への憎しみに転換します。決して息子の死を「英雄」として

    受け入れたり、「正当化」しなかったのです。オットーは筆跡を

    変えてヒトラー体制への批判のメッセージカードを書き、街の

    あちこちに置き始めます。その頃には新聞は真実を報道しておらず、

    ドイツはフランスの降伏後すぐにイギリスも占領下におけるなどと

    いう偽のプロパガンダに喜ぶ市民が大多数でした。
    工場長であるオットーは、徴兵逃れのためにわざと怪我をする

    工員を見たり、同じアパートで昔から親しくしてきたユダヤ人女性

    ローゼンタール夫人へのドイツ人親子の略奪行為やその後自死した

    ことも知ってしまいます。

    この戦争のせいで皆がまともな感情を持たなくなってしまったこと

    にも気づくのです。
    一方アンナは、国家社会主義女性同盟として活動していても、

    親衛隊幹部の妻がメイド付きの豪邸で優雅に暮らしているのを

    見てしまいます。国民全員が働いているわけではないのです。つまり

    ある特定の人々だけの富のために、市井の人々が命を落としたり、

    貧しい暮らしを強いられていることに疑問を持つのです。

    それは怒りにも変わります。
    オットーがカードを書き、夫妻の見事な連係プレイで、街中のあちこち

    にカードは置かれていくのです。それを読んだ人々の反応を期待して

    いたのでしょうか。いえ、それを実行することで

    「自分が解放された」
    とい思いが最も強かったと思います。監視の目が光り、同じアパート

    にも密告者、略奪者がいて、本音も言えず、情報も限られたものしか

    得られないという、閉塞感に満ちたベルリンの街が、灰色で暗く

    よどんでいるかように映り続けます。

     

    ヒトラーへの285枚の葉書
    出典:IMDb

     

    また捜査を行うエッシャリヒ警部も一向に見つからない犯人と

    増え続けるカードを前にして、自慢の頭脳使うものの、親衛隊の

    幹部からは「犯人逮捕」を要求され、激しい暴行を受けるのです。

    理不尽な行為が平気で行われる時代は、人々の心も薄汚れ、善悪の

    判断すら正しく(誰にとって?)できなくなるのかもしれません。
    285枚の葉書のうち警察の届けられたのは267枚。18枚は

    行方が分かりません。しかし監督が話している通り、それらの

    多くは届けるのすら恐れて破棄してしまったのでしょう。
    1940年〜43年の間にハンペル夫妻によって実際に行われた

    行為を、ゲシュタポの記録文章をハンス・ファラダが

    「ベルリンに死す」という小説として発表したものを映画化した

    作品です。

     

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      戦争で息子を亡くした夫婦が、ヒトラーを非難するメッセージを書いた葉書を町中に置きつづける。
      • 或る日の出来事
      • 2019/10/16 8:38 AM

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