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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:洋画
出典:IMDb
「ブリムストーン」
原題:Brimstone
監督:マルティン・コールホーベン
2016年 フランス=イギリス=スウェーデン
=オランダ=ベルギー映画 148分
キャスト:ダコタ・ファニング
ガイ・ピアース
キット・ハリントン
カリス・ファン・ハウテン
開拓時代のアメリカ。助産師をしているリズの住む村に
新しい牧師がやって来る。その時からリズにとって不幸な
出来事が連続して起こるのだった。
「リズを罰するために来た」という牧師の正体は..。
<お勧め星>☆☆☆半 女性が抑圧された時代に強く生きた
一人の女性の姿が描かれています。
支配者は都合よく解釈する
<ネタバレしています>
brimstoneの意味は、1、硫黄、2、地獄の業火、
3、激しい情熱、4、口やかましい女の4つが出てきます。
映画を見終わってどれが当てはまるかと言われると2でしょうか。
映画は四部作で
「第一章 啓示 黙示録」
「第二章 脱出 出エジプト」
「第三章 起源 創世記」
「第四章 服従 審判」の順に描かれるものの、時系列では
三章→二章→一章→四章です。
まず、小さな村で口の利けないリズが助産師をしている姿から
始まります。それなりに人望もあり、村人からも気軽に声を
かけてもらえ、父親かと思うほど年の離れた夫イーライと
その連れ子マシュー、実子のサムとでささやかながら幸せに
暮らしていたのです。
マシューは継母を母と認めず反抗的だけれど、イーライは優しく、
サムは可愛い盛りです。これ以上求めるものはありません。
出典:IMDb
しかーし、一人の新しい牧師が村にやってきた途端、リズは
身を固くするのです。さらに取り上げた子供が死産だった
ことで村人からの信頼はなくなり、その報復で銃弾を撃ち込まれ
たりと、彼らの身に危険を迫り始めます。
あの牧師は「悪魔」なのかと思ってしまうほど。ここから
リズの周りで起きる出来事はかなり残酷であり、この映画が
生ぬるい内容ではないと急に気づきます。
出典:IMDb
そして二章では、傷だらけの少女が娼館に売られるシーンから
始まるのです。
この少女はどこから来たのか。
それよりも娼館で働く女性への差別や暴力の激しさには怒りを
覚えるほどで、客に反抗すれば公開処刑や射殺も当たり前のことと
いうのは、娼婦に対してだけではなく、この時代の女性の地位の
低さを物語っています。カッコいいと思っていた西部開拓時代の
男たちの陰にはこのような闇の部分が横たわっていたのですね。
そして一人の客が現れ、店を貸し切りにすると、なぜか例の少女
だったジョアナを指名するのです。これがジョアナがリズと名乗り、
自ら舌を切って話せなくした理由だと知ると、あまりに悲惨極まり
ないことです。絶望の先に行ってしまった感があります。
出典:IMDb
そして三章では、幼いジョアナ(この子がかわいい)と夫を嫌う
妻アナが映るのです。
「あ!!」この人...。
夫に反抗すればむち打ちされ、背中に生々しい傷跡をつけられ、
さらには金属製のマスクをつけさせられるのです。それでもアナは
逃げ出そうとはしません。そういう選択肢が存在しなかった時代
でしょうか。しかし夫はさらなる要求をするのです。
「おい、こら、ええかげんにせんかい!」などという人はおらず、
そもそも夫は牧師として村人に敬われている人物なのです。
その口から出てくる聖書の一説はどれも自分に都合の良いように
解釈され、それを強要しているのだけれど。
出典:IMDb
四章は夫も夫の父親も殺されたリズが遂に銃を持ち、人を撃つのは
男性だけではないと勇気を感じさせる姿を見せてくれます。しかし
実際に発砲するのは、最後の最後の選択で、そこまで服従させられる
のが普通であった時代なのかとも感じさせられるのです。
皮肉なラストは冒頭に映った水中のシーンへとつながります。
「母の記憶」を受け継いだサムは恐らくは、それほど変わることは
なかったと思いますが、無条件に服従を強いられた時代に、抵抗する、
声を上げるという姿を少しは見せたのではないかと信じています。
ガイ・ピアースの悪人顔がものすごくぴったりでした。