香港製造 メイド・イン・ホンコン 4Kレストア・デジタルリマスター版

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JUGEMテーマ:香港映画

 

香港製造

出典:IMDb

 

「香港製造 メイド・イン・ホンコン」

4Kレストア・デジタルリマスター版

監督:フルーツ・チャン

1997年 香港映画 108分 PG12

キャスト:サム・リー

     ネイキー・イム

     ウェンダース・リー

     エイミー・タム

 

チャウは中学を落第し、そのままウィンという男の

もとで借金の取り立てをしている。ある時取り立てに

行った先の娘ペンと出会い、一目で気に入ってしまうが

彼女は重い腎臓病を患っていた。

一方チャウが可愛がっている知的障がいのあるロンは、

投身自殺の現場に居合わせてしまい、そこから遺書を2通

持ち帰るのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ ほとばしるようなエネルギーは

若さの象徴であるもののその先に希望が見えない閉塞感も

覚えます。


不安定な時代に生きる若者

 

<ネタバレしています>


フルーツ・チャン監督「香港返還三部作」の一作目で、

「花火降る」「リトル・チュン」と続いています。
1997年製作のこの映画を20周年記念として、

4Kレストア・デジタルリマスター版として公開されました。
主人公のチョンチャウは「中秋」と書き、暦の上で中秋に

たまたま生まれたからその名前になっただけと本人が吐き

捨てるように言います。父親は若い愛人のもとに去り、母親は

コンビニでわずかなお金を稼いでいるのみ。
その上チャウは、中学を落第し、そのまま学校に戻らず、

ウィンという男の手下として借金の取り立てを行っているの

です。チャウ自身は「ウィンは他のチンピラとは違う」と

信じているけれど、少し考えれば、ウィンのコマの1つに

すぎないと気づくはずなんですよね。そこまで考えられない

幼稚さと、目先の金が必要な貧困が重なっているわけです。

チャウの体にはぜい肉はほとんどなく、幼さの残る顔の額から

噴き出す汗には、彼の体にたまっているエネルギーがどこかで

発散できるのを待っているかのように映ります。映画内で何度も

白いブリーフを洗うシーンがあるのもそれを象徴する一つでも

あります。
チャウは、知的障がいがありいじめられているロンをとても

可愛がり、彼が窮地に陥るとすかさず助けに行くという勇敢さも

持ち合わせています。口から出る言葉は下品で叱るようなもの

ばかりでも彼の本心は優しく、愛に飢えていることが実感できる

のです。誰かを愛することで誰かに愛されたいという思い。

 

香港製造
出典:IMDb

 

そんな時借金の取り立てに行った家の娘ペンと出会います。

この子が写真では全然可愛いく思えないのに、映画で見ると

とてもチャーミングなんです。ロンは鼻血を出すし、チャウは

一目ぼれしてしまいます。
チャウの家にしてもペンの家にしても貧しい人々が暮らす狭い

アパートで、時折窓から見える高層ビル群とは無縁であることが

わかります。頑張ったらあのビル群で働いたり、大きな屋敷に

暮らせるという夢が叶うことは限りなくゼロに近いのです。

 

香港製造
出典:IMDb

 

そしてロンは、サンという女子高生の投身自殺現場に居合わせて

しまいます。そこから2通の遺書を持ち帰ってから、チャウの

様子が変わり始めるのです。と本人が語っているけれど、どこが

どう変わったのかあまりわからなくて、サンが夢に出てくると

いうことばかり映り、ペンも好きだけれど、あの若さで「死」を

選んだサンの気持ちを知りたくてたまらなくなったということ

でしょうか。
サンは両親から愛されていたのに「死」を選んだ。ペンは母親に

愛されているのに「死」が目前に迫っている。一方、ロンは家族から

絶縁されていて、大けがをしても誰も病院に来ないし、チャウは
喧嘩しつつも慕ってた母親にも捨てられてしまう。愛されていない

のに「死」とは無縁の位置に立っています。しかしロンもチャウも

貧しく未来への「希望」などが持てないという立場は同じです。

 

香港製造
出典:IMDb

 

入院していたペンが病院を抜け出し、ロン、チャウでサンのお墓を

探しに行くシーンは、音楽も素晴らしく、また高台にある墓から

見下ろす香港の街が、いつもは見上げているのと真逆で、まさに爽快
な思いにさせてくれます。
「大人は無責任」とチャウに言い放った少年は実父の腕を切り落として

いました。無責任であるけれど、求めるものを手に入れる術を考える

力を持っているのが大人であり、若者は限られた方法でしか力が

発揮できません。その未熟さゆえに大人に利用され切り捨てられて

いくのです。

 

香港製造
出典:IMDb

 

大人は大陸人のよう、若者は香港人のように感じるのは、今の

香港の情勢を重ね合わせてしまうからかもしれません。
この映画は5人のスタッフで撮影されたそうで、中国では

「体制に反対するようだ」と上映禁止になったそうです。
映画のラストに映るサンが両親にあてた遺書には、ペンが文を

書き足し、さらにチャウが拙い文を書き足しています。その内容を

読むと、映画の最後に流れる

「世界は君たちのもの、そして私たちのもの。しかし最終的には

君たちのものだ。君たち若者は気力旺盛で、活気にあふれている。

まるで朝8時の太陽のようだ。私たちの希望を君たちに託したい」

という毛沢東の言葉と現実との距離の大きさに思わずため息が

漏れてしまいました。

 

 

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