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    希望の灯り

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    JUGEMテーマ:洋画

     

    希望の灯り

    出典:IMDb

     

    「希望の灯り」

    原題:In den Ganden

    監督:トーマス・ステューバー

    2018年 ドイツ映画 125分

    キャスト:フランツ・ロゴフスキ

         サンドラ・フラー

         ペーター・クルト

     

    巨大スーパーマーケットに勤務することになった

    クリスティアンは、飲料品在庫担当として先輩ブルーノ

    の指導を受けながら黙々と働く。そして菓子担当の

    マリオンに心を惹かれるが、彼女には夫がいると
    聞かされるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 美しい音楽とそれに合わせるか

    のように動いていく人々の姿が静かに目に入ってきます。


    波の音に似ている


    原題「In den Ganden」は「通路にて」という意味で

    まさにそのものずばりです。巨大スーパーマーケット

    (Costcoに似ているなあとずっと思っていた)の通路での

    人間模様が描かれていきます。

    主役のクリスティアンは「未来を乗り換えた男」(2018)

    のゲオルクを演じたフランツ・ロゴフスキ。あの映画では

    多弁でイケメンな男性と思っていたけれど、今作では

    ほとんど話をしない、陰のある男性を演じています。そして

    彼が心を惹かれるマリオン役は「ありがとう、トニ・エルドマン」

    (2016)で鬱陶しい父親を持った仕事人間の娘を演じた

    サンドラ・フラー。とても印象に残る顔立ちなのですぐに

    わかります。

     

    希望の灯り
    出典:IMDb

     

    舞台は東西統一後のドイツ、ライプチヒ。かつては国営運送会社

    だったこの場所が、今は巨大スーパーマーケットに変わっており、

    クリスティアンを指導するブルーノを始めとして、ユルゲン、

    ルディなど多くの男たちが長距離トラック運転手から一気に

    電動フォークリフト操縦へと転向させられたらしい。

    「ライプチヒの奇跡」と呼ばれて東西ドイツのきっかけとなった

    非暴力デモを始めた地域であっても、統一後、かつての東ドイツに

    郷愁を感じる人々が既にいたわけで、ブルーノも

    「いい時代だったよ。」

    とクリスティアンに語ります。労働者階級が支配階級であり、

    自分たちが社会を支えているという実感があった時代と異なり、

    今は支配され、隅へ隅へと追いやられていく気持ちを抱くのを、

    ブルーノの自宅を見てまさに実感しました。

     

    希望の灯り
    出典:IMDb

     

    しかし映画は個人に深く立ち入り過ぎず描かれていきます。

    クリスティアンの上半身に入った大きなタトゥーが何を物語るかは、

    誰も詮索しないし、マリオンに夫がいて、実はそれほど幸せで

    ない結婚生活を送っているということもさりげなく伝えるのです。

     

    希望の灯り
    出典:IMDb

     

    さて、この職場はなんせかなり天井が高く、ものすごく上まで

    商品を積み上げていかなければなりません。そこでのマスト

    アイテムが「電動フォークリフト」です。これを操縦できないと

    一人前ではなくクリスティアンもブルーノに指導を受けながら、

    さらに会社での講習も受けます。この時に流れるVTR映像は爆

    笑物なので、何回でも見たいし、もっと詳しく見たい!

    (ぜひご確認を)
    クリスティアンが、タトゥーの入った体を覆うように職場の制服を

    まとっていく姿と、コーヒーマシーンにスイッチを入れる指や

    コーヒーが注がれていくカップのシーンは何度でも映ります。

    それは全く同じことを繰り返す日々の中で、人の心や世の中が

    少しずつ変化していくことを意味しているのかもしれません。
    クリスマスイブに職場のパーティーで、暖かいビーチで日光浴を

    するかのように振舞う同僚の姿や、コーヒーマシーンの部屋の壁が

    南欧の風景であるのは、彼らが訪れたことはないものの、いつかは
    足を踏み入れたいと願っている証でしょうか。

    それはまたフォークリフトを一番上まで上げてゆっくり下げる時の

    音が「波の音」と感じるところにも表れていると思います。
    マリオンの自宅が映画の中盤に映るのですが、そこがあまりに

    豪華な屋敷なので、彼女の夫はもしかしたら西ドイツ出身者で、

    東ドイツ出身のマリオンを蔑んでいるのではないかと思ったのは

    考え過ぎかしら。
    スーパーのオープン時に流れる「美しき青きドナウ」と夜勤時に流れる

    「G線上のアリア」はただただ耳障りがよく、いつまでも聞いて

    いたいくらいでした。
    「さあシベリアに行くわよ」は「冷凍室」を意味する言葉なのも

    笑えてきます。

     

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      コメント
      私も、この映画☆4です(笑)

      この映画のドイツ時代背景や地域性、市民の暮らしは、私、この映画で初め実感したというか、全く知らなかったです。
      彼らは、一生南部の避暑地に行けるはずがない、貧しさの中で、それでも、その気分だけ味わってるんですよね。なんか、面白かったです(^^ゞ

      それから、
      クリスティアンが、体のタトゥを隠すため長袖制服ジャンパーの袖をパンと伸ばして着るシーン。
      日没まじかの薄明るい空とアウトバーン。帰路のバスの中。タイムカード。フォークリフトの上げ下げ。行き交う通路。無口なクリスティアン。
      説明シーンを極力抑えて、淡々と描く演出が、私にはホント心地よかったです。
       それでも、そんな繰り返される穏やかで大切な日常が、少しずつ変わっていくんですよね。
      不良仲間が来たり、下手なフォークリフト運転でも試験を受けなきゃならなかったり。
      クリスティアンのマリオンに対する愛情も、ブルーノとの信頼関係も、思いもよらない衝撃が訪れたり、と否応なく変わっていくわけでね。
      だけど、たとえどんなに日常が変わったとしても、
        「どんなことがあっても、俺たちは前に進んでいかなければいけないんだ!」
      と、ルディが、悲嘆にくれるクリスティアンに言う。このシーンには胸を打たれました。
      これだな!とも思いました。
       あの戦禍を経験した彼らは、何があっても、穏やかで変わらない日常を手放したくないんだろうな、と。

       まゆみさんが書かれた通り、とても美しい構図、巧みな演出、音楽の素晴らしいセンスでしたよね。
      広い倉庫内の電灯に輝く通路のパンフォーカス。フォークリフトのパンフォーマンス。マリオンとクリスティアンのツーショットと光。「美しく青きドナウ」「G線上のアリア」、ドイツのロック?がとても効果的でしたよね。

       あと、クリスティアンとマリオンのケーキにロウソクのシーン❤胸キュンシーン! 
      それと冷凍室のイヌイット族の鼻キス❤
       ザンドラ・フラーは、私の一昨年のベスト10入りした作品『ありがとうトニ・エルドマン』のヒロインで、大のお気に入りです。

      そうそう、マリオンの豪邸については、謎でしたが、なるほど、西ドイツと東ドイツの関係なんですか。あのシーンだけ、良く分からなかったです。

      かなり長くなって、ごめんねm(__)m
      つい、嬉しくなったので❤
      • 中浜 恵子
      • 2019/10/26 12:50 AM
      恵子さん、コメントありがとうございます。わたしもこの映画が大好きです。大きな出来事はブルーノの件くらいで、特に何の変化もないし、毎日の従業員の姿が淡々と描かれているのに全然飽きません。冷凍室のシーンは、キスしそうでしないというもどかしさが可愛いかったですね。マリオンの夫について同僚が口を濁していたのは、そこにあるのかなあと勝手に想像していました。豪邸に住んでいるのにスーパーで働こうと思うのは、労働することが重要だった東側の考えをそのまま持ち続けているのかなと感じたんですよ。でもそれぞれが他人に深入りしないくせに、クリスティアンのフォークリフト研修合格をみんなで喜ぶなど、一つの家族のようにも思えました。ブルーノの件はちょっと理由がわかりづらかったです。トラック運転手として華々しく活躍していた時代への憧憬を捨てきれなかったのかなあ。
      恵子さんと同じ映画が好きで楽しいです。これからもお好きな映画が出た時はぜひコメントしてくださいね!
      ありがとうございます。
      • ミス・マープル
      • 2019/10/26 9:08 AM
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