ナイチンゲール

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JUGEMテーマ:洋画

 

ナイチンゲール

出典:IMDb

 

「ナイチンゲール」

原題:The Nightingale

監督:ジェニファー・ケント

2019年 オーストラリア映画 136分 R15+

キャスト:アイスリング・フランシオシ

     サム・クラフリン

     バイカリ・ガナンバル

     ディモン・ヘリマン

 

18世紀オーストラリアのタスマニア地方でアイルランド人の

クレアは囚人としてイギリス軍将校ホーキンスの支配下に

あった。彼女は夫と娘がいるものの、ホーキンスの性暴力を

受け、約束の仮釈免状を入手することができない。そして

ある日、一家3人でこの地を去ろうとした時に突然自宅を

訪れたホーキンスや部下によって、夫と娘を殺されてしまう。

彼女は復讐の鬼となり、ホーキンスが向かった
ローンセストンへ案内人のビリーと共に向かうが...。


<お勧め星>☆☆☆☆ 白人間での憎悪、アボリジニへの差別、

女性への暴力行為など目をそむけたくなるシーンがたくさん

ありますが、真実から目をそらさず作られた秀逸な作品です。


弱さは暴力へと繋がる


18世紀はオーストラリアが英国植民地であった時代で、当時は

英国軍がアボリジニーを征服し、殺害、土地を奪い、さらに

囚人の流刑地としても使用していました。その囚人の中には、

イギリスが最初に植民地化したアイルランド人も含まれており、

映画内でアイルランド人のクレアなどがイギリス人を深く憎んで

いる理由がここにあるのです。この後オーストラリアは白豪主義

を取り、アボリジニは内陸部に強制移動させられます。移動の

前にかなり多くのアボリジニが虐殺されています。

(クリス・プレイジマ著「世界史の時間」より)

 

ナイチンゲール
出典:IMDb

 

ナイチンゲール

出典:IMDb

 

ナイチンゲール

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クレアは貧しい生い立ちで盗みの罪で有罪となったのですが、

将校ホーキンスのおかげで流刑を免れ、同じ罪人でアイルランド人

の夫エイデンと結婚できた模様。二人の間には可愛い女の赤ちゃん

もいるのです。しかしホーキンスは彼女を自らの所有物として扱い、

歌を歌わせ、酒を注がせ、性的暴行を加える日々を送っています。

仮釈免状を渡すから、という条件をちらつかせ、3年経っても一向に

状況が変わらず、エイデンはホーキンスと話し合いに行くのです。

もちろんまともに取り合うはずもなく、もみ合いになっているところを

たまたま視察に来ていた大尉に目撃されてしまいます。

どう考えてもこの隊は戦闘能力ゼロの飲んだくれ、女好きばかりです。

大尉は「キミの栄転はなくなった」とホーキンスに告げるのです

そして異論があるならローンセストンまで2,3日中に行けと言う。
一方エイデンは、この地から去ろうとクレアと旅支度を始めるのです。

 

ナイチンゲール

出典:IMDb

 

ところがそこにホーキンスと部下が訪れ、クレアはエイデンの

目の前でレイプされ、さらに謝罪するエイデンをルースが射殺し、
泣き叫ぶ赤ん坊はジャゴが投げつけて殺してしまいます。そして

クレアは銃で頭を殴られ気絶するのです。ここまでの時間が映画

開始から10分程度。すでに心にずっしりと重荷を背負わされた

ような気持ちにさせられます。
目覚めたエイデンは夫と子供の亡骸の埋葬を友人に頼み、ホーキンス

への復讐の旅に出発します。しかしこのタスマニアの山中を土地勘の

ない人間が移動できるはずもなく、友人の夫の勧めでアボリジニの
ビリーを雇います。

 

ナイチンゲール

出典:IMDb

 

この時のクレアはビリーに対し偏見の塊なんです。イギリス人に

虐げられたアイルランド人ではあるが、自分は白人であり、この

アボリジニは野蛮で、白人の家を襲い、殺害する恐ろしい奴らと

いう認識です。ビリーは家族や親せきを白人に殺された身の上で

あり、お金のためにただ道案内をするのみなのです。
この怒りや憎しみや悲しみが渦巻く人間世界と裏腹に、タスマニアの

自然は美しく、森の中では鳥がさえずり、雨が緑の葉を濡らし、

虫の声が響き、空は様々な表情を見せていきます。夜になると流れる

雲の間から月が見え隠れし、朝の陽ざしはさんさんと降り注ぐのです。
しかしホーキンス一行はさらに残虐な行為をしでかします。ルースは

川に来ていた子連れのアボリジニ女性のうち女性のみ連れ去り、

慰み物にします。それを許すホーキンスとどこまでも深く絶望の
色をたたえた眼差しを送る案内人のチャーリー。彼は同じアボリジニの

女性への凌辱をどう考えたでしょうか。そして仲間が迎えに来た

アボリジニ女性は無残にも射殺されるのです。その時にアボリジニ
仲間の攻撃で負傷したジャゴは、後から追いついたクレアによって

撃たれ、ナイフでめった刺しにされます。しかしこの暴力が彼女の心を

少しは救ったかというと全くその逆なのです。
またホーキンスの一行の案内人チャーリーを殺害してしまったルースは

一気にランクダウンし、道案内人にされます。子供のエディがにわか

軍曹になるのです。この姿を見ているだけでもホーキンスに軍人と

しての威厳や誇りは皆無なのがよくわかりますが、それでもずる賢く、

ローンセストンまで到達するのです。誰かこのズル男&ルースを

吹っ飛ばしてくれないかしら。
またビリーを奪われたクレアは森をさまよっていると1羽のクロウタドリ

によって道を教えてもらえ、そこで逃げ出したビリーと再会します。

大きな道に出ると白人であることが圧倒的に有利なのです。
そして白人の中でも善良な人はおり(当然なのです)彼らに食事を

ふるまい、一晩泊めさせ、翌日町まで連れて行ってくれます。

このように、白人=悪、アボリジニ=善、とはっきり分けず、土地や

家屋を奪った白人は悪であり、アボリジニへの残虐行為を徹底的に

描いていますが、アボリジニの報復行為もちゃんと映像として残して

いきます。
自分の族だけでなく近隣の族も壊滅させられ、さらにはこれまでの白人に

よる残虐行為への怒りを遂に爆発させるビリーは、最後まで部族の風習に

従います。それが彼の誇りであり、アイデンティティーを示すことに

なるのです。

 

ナイチンゲール
出典:IMDb

 

海面を昇ってくる朝日を挟んで座ったビリーと馬とたたずむクレアは

何を考えてあの太陽を見つめているのか、と考えようとした途端、

パッと画面は消えます。それはエンドロールを見ながらゆっくり
考えたらいいのでしょうか。それとも見たものが全てということ

でしょうか。

この映画は今の時代に最も見てほしい内容だと実感しました。

 

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