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    コリーニ事件

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    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    「コリーニ事件」

    原題:Der Fall Collini/The Collini Case

    監督:マルコ・クロイツパイントナー

    原作:フェルディナント・フォン・シーラッハ

    2019年 ドイツ映画 123分

    キャスト:エリアス・ムバラク

         アレクサンドラ・マリア・ララ

         ハイナー・ラウター

         フランク・ネロ

     

    2001年、ベルリン、マイヤー機械工業社長

    ハンス・マイヤーが殺害される。犯人は

    ファブリツィオ・コリーニというイタリア生まれの男で、

    3か月前に弁護士になったばかりのライネンが国選弁護人を

    引き受ける。しかしコリーニは犯行の動機など一切黙秘する

    のだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 犯行の動機にはすぐに気が付きますが、

    実行しなければならなかった理由を知ると衝撃を受けます。


    ワルサーP38


    coco-映画レビューサイトのオンライン試写会に当選し、

    劇場公開前に鑑賞しました。
    原作はフェルディナント・フォン・シーラッハで、デビュー作の

    短編小説「犯罪」がベストセラーとなり、この「コリーニ事件」

    はドイツのクライスト賞を受賞しています。全く知らない作家

    でしたので翻訳された原作小説を読みたくなりました。
    舞台は2001年、ドイツのベルリン。高級ホテルのスイート

    ルームに滞在する裕福そうな老人が、誰かを笑顔で招き入れる

    シーンから始まります。そしてカメラは彼の足だけを映し、

    その血で染まった足跡をたどりながら、彼がフロントのソファに

    座ると、ようやく顔が映るのです。

    「奴は死んだ」

    声をかけてきたホテルの女性に彼はそう告げます。
    一方新米弁護士のカスパー・ライネンは、この容疑者

    ファブリツィオ・コリーニの国選弁護人となるのです。判事も

    検察官もベテランであり、証拠はバッチリで、ライネンは文字通り

    の国選弁護人としての仕事だけすればいいはずだったのです。
    早速コリーニに面会するも彼は一言も発しません。罪の認否すら

    できないのです。
    ところが被害者の名前を聞いて、ライネンはピンと来ます。また

    テレビニュースでこのマイヤーの孫娘ヨハナが後継者になったと

    報道されると、それは確信に変わるのです。映像は過去のものに

    遡り、少年時代のライネンと母親がいるところへ同じ年頃の少年が

    差別言葉を投げかけるとそれを優しく制する祖父が登場します。

    これらとヨハナの話を総合すると、ライネンは、コリーニの

    孫息子フィリップと仲良しであり、祖父のコリーニにはフィリップ

    と同じように可愛がられ、また姉のヨハナとはなかなかいい関係

    だったようです。その関係が終わったのは、フィリップが両親と

    共に交通事故死したためで、この辺りはやや簡略に描かれています。
    思い出が流される一方でマイヤーの検死解剖が行われ、その遺体の

    状況だけでも、犯人は彼に強い憎しみを抱いていたことが分かります。

    かなりリアルな映像なので要注意です。

    同席した検察官は「遺体は人ではなく物と思え」と言いますが、

    かつて可愛がってくれた人物であるがゆえにさらに「物」と割り切る

    ことはできません。そしてライネンは犯行の「動機」を知るために

    コリーニと面会しますが、彼は完全黙秘状態で何も語らないのです。
    ところでライネンには一応両親が生きているのですが、父はまだ

    彼が小さい頃に家を出たらしく、どういう経緯で知ったのかマイヤー

    の葬儀に父が現れてしまい、彼は冷たくあしらいます。原作では
    この弁護士役はエリートととして描かれているそうで、敢えて差別を

    受けるトルコ人の設定にしたのは、やはり時を経ても残る「差別」

    を映像として見せたかったのでしょうか。映画内で

    「トルコ人の弁護士は似合わない」とか

    「今頃ケバブの店員だったかも」などと言うセリフを吐かれている

    ことに象徴されます。
    さてイタリア生まれでドイツ育ちのコリーニ役はなんと

    「続荒野の用心棒」(1960)

    「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012)

    のフランコ・ネロです。なんとも味わい深い風貌になりました。
    そしてマイヤー側の弁護士は、かつてライネンが刑法を教わった高名な

    マッティンガー教授で、彼を信奉するライネンは、コリーニのために

    自白をさせ、謀殺(計画殺人)ではなく故殺であることで減刑を

    求める裁判にしようと考えるのです。しかしまず「動機」が分かり

    ません。生粋のドイツ人のマイヤーとイタリア生まれで仕事上の

    トラブルもなかったコリーニを結びつけるものは何か、ライネンは、
    ひたすら探し求めるのです。そして事件に使われた銃に注目します。

    ワルサーP38。

    カール・ワルサー社製の9mm軍用自動式拳銃。1937年に

    Heeres-Pistole(HP)の名で開発され、翌1938年にP38として
    ドイツ国防軍の制式拳銃に採用された。第二次世界大戦中は

    ルガーP08と共にドイツ軍によって広く使用され、終戦までに

    約120万挺が製造された。(Wikipediaより)
    ライネンは、ここであることに気づきます。しかしそれは自分が

    信じていたものを全て壊していく内容を露呈するもので、個人の

    愛情か真実かで苦悩するものになります。愛情だけでなく信頼すらも
    破壊していく内容です。
    これ以降の法廷劇は見ごたえがあり、また「法律」というもので

    裁かれるべきことが逆に守られているという不条理さを知ると、

    自国の闇を自国民の手で小説にでき、また映画にできるということが

    いかに重要であるかを強く感じます。過去に犯したことをなかった

    ことになどできないのです。

     

     

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