ディリリとパリの時間旅行

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ディリリとパリの時間旅行

出典:IMDb

 

「ディリリとパリの時間旅行」

原題:Dilili a Paris

監督:ミッシェル・オスロ

2018年 フランス=ドイツ=ベルギー映画 

95分

声:プリュネル・シャルル=アンブロン

  ナタリー・デセイ

 

ニューカレドニアからやって来たディリリは、配達人の

オレリと友人になる。2人は「男性支配団」という組織

による少女誘拐事件について調べ始めるが、ディリリ

自身にも危険が迫り...。


<お勧め星>☆☆☆☆ パリの名所の美しさに見とれつつ、

ディリリの行動力と映画自体のメッセージに強く共感します。


多様な人々が心から助け合うこと


ヒロインのディリリはニューカレドニアからやって来た

少女であり、それも本来なら乗れないはずのクルーズ船に

乗り込み、伯爵夫人の好意でフランス、パリまで到達し、

その家で裕福な暮らしをしているのです。
しかし彼女自身は幼いながらも「肌の色が濃いと非難される」

と語ります。それを感じながらかつ、映画の後半にはディリリ

は出身地であるニューカレドニアでは「カナック」(先住民)

と言われて阻害され、ここパリでも「カナック」と言われて

よそ者扱いされると言うのです。つまり自分の居場所がないと

いうことがいかに宙ぶらりんであり、それがいかに彼女の心を

傷つけているかを感じます。
とはいえディリリはそういうことにへこたれない強い心を

持っているのです。ここで強い心と言うと、それがない人たちは

弱いと思われるかもしれませんが、強い心は一人で持ち続けられる

ものではありません。彼女の周りで彼女を支える人々がいたから

こそ、彼女は自分の信念を曲げずに進むことができるのです。
ベル・エポックというフランス語で「良い時代」を意味し、

その時にディリリはパリで伯爵夫人の元で暮らしています。当時の

パリは特に、ヨーロッパでの19世紀末から20世紀初頭、

第一次世界大戦が始まるまでの発達した資本主義のもとで

大衆文化が花咲き、反映した時代でした。それを大戦後に

「古き良き時代」=ベル・エポックと懐かしんで言ったようです。

(「世界史の窓」より)
そこでディリリは、オレリという配達人の若い男性と知り合い

ます。彼はディリリについて好奇心を持つけれど、それはなぜ

ここに来たのかを知りたいだけで、何の差別心もありません。

ディリリはパリ市内で見世物のような扱いをされていたのですが、

普段は伯爵夫人の好意でいろいろな教育を受けさせてもらえた

ことで、とても上品で、フランス語も堪能だし、縄跳びはもう

プロ並みにうまいのです。
ああ、縄跳びは二重飛びができなかった身の上としては

うらやましい限りです。
そしてディリリはオレリとパリ市内を騒がせている「男性支配団」

による少女誘拐事件を追うことを決意します。正義感の強い

女の子と清らかな心を持った青年が力を合わせて問題解決!と

いう簡単な話ではありません。

 

ディリリとパリの時間旅行
出典:IMDb

 

ディリリとパリの時間旅行

出典:IMDb

 

パリはエッフェル塔や凱旋門、オペラ座、モンマルトルなど

繁栄した部分がある一方で、とても貧しい地区も存在するのです。

オレリの三輪車に乗ってそこを通り抜けようとすると、貧しい

身なりの男性がディリリに金をせびります。しかし彼女は

それをはっきり拒否するのです。同じパリに暮していても

このような格差が存在するし、それを知らないですまされない

けれども、そこで子供に金をせびることは人間の誇りを捨てる

ことだとも気づかされます。でもそういう人たちの存在も

ちゃんと心に刻んでおくべきことだよ。
この映画では当時の有名な人たちが次々に登場し、それが普通に

ディリリと会話するから不思議な感覚を覚えます。
マリー・キュリー:女性化学者。ポロニウム、ラジウムを発見。
ルイ・パスツール:化学者・細菌学者。狂犬病のワクチンを開発。
フリーダ・カーロ:女性画家。代表作『ディエゴの肖像』
ヘンリー・マティス:画家。野獣派。代表作『大きな赤い室内』
パブロ・ピカソ:画家。代表作『ゲルニカ』
アンリ・ルソー:画家。素朴派。代表作『眠れるジプシー女』
マルセル・プルースト:小説家。代表作『失われた時を求めて』
クロード・モネ:画家。印象派。代表作『睡蓮』
オーギュスト・ルノワール:画家。印象派。

代表作『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』
エマ・カルヴェ:女性歌手。『カルメン』を得意とする。
シドニー=ガブリエル・コレット:女流作家。

『クローディーヌ』シリーズで有名。
トゥールーズ=ロートレック:画家。

「ムーラン・ルージュ」のポスターを制作。
エリック・サティ:作曲家。代表作に、バレエ『パラード』
フランシス・デ・ゴヤ:画家。代表作『カルロス4世とその家族』
オーギュスト・ロダン:彫刻家。代表作『地獄の門』

『カレーの市民』
カミーユ・クローデル:彫刻家。ロダンの弟子。
サラ・ベルナール:女優。『椿姫』のマルグリット役で、

一躍有名に。
エドワード7世:ヴィクトリア女王の長男。サラ・ベルナールと

付き合っていた。
ルイーズ・ミシェル:女性革命家。アナーキストとして活躍。
ギュスターヴ・エッフェル:技術者。エッフェル塔を設計。
フェルディナント・フォン・ツェッペリン:発明家。

硬式飛行船を開発。
アルベルト・サントス=デュモン:発明家。飛行船や飛行機を

製造。
ポール・ポワレ:服飾デザイナー。コルセットなしの服を作り、

現代服の基礎を築く。
この辺りは知っている人もいれば知らない人もいて、必死で

メモを取りながら見続けました。ディリリがオレリと探偵活動を

するとき、エマ・カルヴェというオペラ歌手の元を訪れますが、

彼女の運転手はディリリのことを「チビ猿」と言うんです。

それに対しディリリは「みんなブタね」と言い返します。

ここは気分がいいぞ、ディリリ。

 

ディリリとパリの時間旅行
出典:IMDb

 

このエマはディリリをこよなく愛し、白鳥の姿の舟の上で

「抱擁」するんです。彼女は終盤にも子供への愛情の深さを

その言葉で表します。「私の太陽」「私のお星様」「私の天使」

ありとあらゆる表現を使うんですね。この姿は本当に優しい

聖母のように感じられます。
オレリが狂犬病に犬にかまれ、足を怪我をしてしまうと、

ディリリが三輪車を漕いでパリの街を疾走するんですね。

「狂犬病なんだー」と言えばみんなよけるからそこは平気。

しかしその病に感染したことで誰もが救いの手を差し出さない

姿は、今の時代でも同じように感じられます。

 

ディリリとパリの時間旅行
出典:IMDb

 

さて「男性支配団」を追う2人は宝石強盗団を捕まえたことで

ディリリが一気に有名になってしまい、実は大変危険な状況に

置かれるのです。ディリリに対して批判的なルブフを活用し、

彼女は誘拐されてしまいます。
この「男性支配団」の活動というのが、本当に下劣で、

「パリを正す」という大義を掲げながら、実は社会進出して

きた女性をかつてのような男性の支配下に置きたいというだけの

ために活動しているのです。
彼らの本拠地は下水道の奥にあって、誘拐され女性や少女は

黒い布をかぶせられ「四つ足」歩行を命令されています。人間と

してではなく、椅子、チェスト、ワゴンなど「もの」として

扱われる訓練をさせられているのです。そこのボスがあまりに

醜悪な姿で、それが人物の心をすべて物語っているのは皮肉

でしょうか。
なんとか一人で勇気を振り絞って脱出したディリリを、オレリや

エマが出迎えます。エマは下水で汚物にまみれたディリリすらも

愛しそうに「抱擁」するのです。この時ディリリは初めて声を上げ
泣きます。それは恐怖と屈辱と絶望を味わったせいだけではなく、

人の優しさを強く強く感じたからでしょう。
そして復活したディリリは、誘拐されている少女たちをすべて

救い出す作戦を練り始めます。実行される作戦は、スリルとともに

美しいパリの夜空とそこを光り輝きながら浮遊する飛行船とが

見事にマッチして、思わず「わー」という声が出てしまいました。

エッフェル塔の上でディナーを楽しむ人たちが見たそのまばゆい

ばかりに輝く飛行船の上で、エマが歌います。
そしてエンディング曲「太陽と雨」はミッシェル・オスロ監督の

作詞、「イングリッシュ・ペイシェント」でアカデミー賞

最優秀作曲賞を受賞したガブリエル・ヤレドが作曲というこれまた

明るく楽しい歌になっています。でも深い意味があるのも感じられ、

その可愛いアニメとともに気分よく見終えることができました。

 

 

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