ベトナムを懐う

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JUGEMテーマ:洋画

 

ベトナムを懐う

出典:IMDb

 

「ベトナムを懐う」

原題:Hello Vietnam/Da co hoai lang

監督:ヌエン・クワン・ユン

2017年 ベトナム映画 88分

キャスト:ホアイ・リン

     ゴック・ヒエップ

     デイン・ヒウ

 

1995年、ニューヨーク。トゥーは老人ホームを

抜け出し、ニューヨークの自宅に戻ってくる。彼は

妻ウットの大切な命日を忍ぶために戻ってきたのだが、

そこにいた孫娘タムはBFの誕生日祝いをしようと

している。プイライバシーを主張するタムと伝統的な

家族観を押し付けるトゥーとは全く話がかみ合わず、

トゥーの友人ナムを呼ぶのだったが..。


<お勧め星>☆☆☆半 育った環境で同じ民族であっても

価値観が全く異なることを知りつつ、その原因を知る

と悲しくてやりきれなくなります。


故郷に帰りたい気持ち


この映画は前半と後半で全く雰囲気が変わります。前半の

コメディ調に慣れていると、トゥーの息子グエンが登場

する後半のシリアスな内容であっという間に涙がこぼれます。

それは不意に訪れるのです。
1995年ニューヨーク、タムがBFのハリーとイチャコラ

ベタベタしているところに、突然ノックもなしに祖父の

トゥーが入ってきます。
「ノックくらいしてよ」
「自分の家だからいらんだろう」
「プライバシーの侵害よ」
「家族に秘密は作らないもんだ」

 

ベトナムを懐う
出典:IMDb

 

ベトナムを懐う

出典:IMDb

 

全くかみ合わない会話をする二人は、血のつながりがある

ものの、1か月前にニューヨークにやってきたトゥーと

アメリカ生まれのアメリカ育ちのタムでは、言葉だって、

ベトナム語しか話せないトゥーとバイリンガルでありながら、

英語で会話をするタムでは、そもそも価値観が全く異なり

ます。トゥーは公園の鴨を捕まえてきて料理しようとして

いるし、老人ホームには内緒で抜け出してきたこともバレて

しまいます。タムはすぐに電話を持って「警察を呼ぶ」と

言うんです。

アメリカだと家の中の出来事であっても警察が介入して

くるんですよね。児童虐待やDVであれば、とても良い方法

だと思うけれど、すべてがそれでうまくいくわけではないなあ。

と思うのは日本的な価値観だからでしょうか。

 

ベトナムを懐う
出典:IMDb

 

トゥーは故郷の親友で同じくニューヨークにいるナムに電話を

掛けます。実はナムも同じ老人ホームに入っているのですが、

彼も一時帰宅しているのです。この電話1本でもトゥーを

からかうナムが「うひゃひゃひゃ」と笑い転げたりして、

彼らが実は強くつながっていることを感じさせます。
祖母の命日とBFの誕生日。

顔も知らない祖母<目の前のBF

であることはタムとっては当たり前のことです。しかし

トゥーはベトナム式の供養をしなければ妻に申し訳ないと

考えるのです。そしてナムが到着すると、故郷のかつての

景色を描いたシーツを広げ、タムには内緒で供養を始めます。

絵に描かれているのは、二人がかつて遊んだ川、あぜ道を

走り抜けた行った数々の田んぼ、池、そして二人が
大好きだったウットの可愛い姿です。

 

ベトナムを懐う

出典:IMDb

 

この明るい日差しとどこまでも広がるのどかな田園風景は

ベトナム戦争前の時期ですね。彼らはウットをめぐって

あれこれ争うわけです。しかし村一番の金持ちのナムと

かなり貧しい家庭らしいトゥーではどう考えてもナムに

軍配が上がります。ナムの親が求婚しに来たことをトゥーに

告げるウットの悲しそうな顔もまた可愛いのなんのって。

トゥーは貧しかったけれど、回想シーンではかなりイケメン

だし、まず歌が上手いのです。ミュージシャンが私生活が

だらしなくても、その作る歌や声が素晴らしければ帳消しに

なった時代があったのと同じですね、いや違う。
ナムはウットの本心を知り、「進学する」という口実で

身を引きます。ナムいい奴じゃん。

ここからベトナムでの新婚生活やわが子ができたこと、また

おそらくは戦争に向かうであろうトゥーを見送るウットの姿が

走馬灯のように映るのです。そして死の床についているウット

の最後の言葉も思い出します。
ところが法要など知るはずもないタムは、勝手にケーキを

使ったり、部屋で線香を焚いたことに大激怒するんですよ。

この家になぜタムの母親がいないのかの理由が、その口から

語られます。また無料だと思っていた老人ホームは実は

高級有料老人ホームで、ナムさんと同じ場所で暮らすために

グエンが掛け持ちの仕事をして入居料を払っていることまで

知らされます。
そもそもタムは1か月前に急に家にやって来た祖父に血の

つながりを感じるどころか恐怖を抱いていたのです。勝手に

部屋に入ってきて布団を掛けなおすなどという行為は

「親愛」ではなく「恐怖」ととらえられるのですね。

「プライバシー」の範囲が難しい。
トゥーがナムと家を出て行った後に、父グエンが戻ってきます。

グエンの日記をトゥーは読み、それもタムにプライバシーの

侵害と言われていましたが、その中に重要なことが書かれて

いたのです。
1975年、ベトナム戦争が終結すると、ベトナムは

社会主義体制となり、多くの人々が国を離れました。彼らは

「ボートピープル」となって海を漂い、運が良ければ亡命でき、

不運にも命を落とすものも多かったのです。そのボートピープル

だった時に、グエンが犯した「裏切り行為」を彼はずっと

引きずっていたのです。それは彼のせいではないし、身重の妻と

自分の命を救うための必然的な行為だったけれど、彼は

そのことで「故郷」への恐怖を抱き続けていたわけです。同胞を

裏切ったことは国を裏切ったことと同じではないか。そもそも

国を捨ててきたこと自体裏切り行為ではないかと。
一方雪が降りしきる中、ナムはトゥーと酒&ドラッグを楽しむ

ためにビルの屋上に上ります。

「雪がやんだらお前のSが見える」←ちょっとこの意味が

わかりませんでした。そして歌が上手いトゥーに対抗するために

こっそり練習していたナムが口ずさむ故郷の歌は、なんとも

明るく、極寒の街にいるとは思えなくなります。
ベトナム人のトゥー、ベトナムからアメリカに渡ったグエン、

アメリカ育ちのタム。この3人のルーツはやはりベトナムに

あり、そこを訪ねる姿が映るラストはまばゆいほど輝いて

見えました。

 

 

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