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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:洋画
出典:IMDb
「フィッシャーマンズ・ソング
コーンウォールから愛をこめて」
原題:Fisherman's Friends
監督:クリス・フォギン
2019年 イギリス映画 112分
キャスト:ダニエル・メイズ
ジェームズ・ピュアフォイ
デヴィッド・ヘイマン
デイヴ・ジョーンズ
2010年、イギリスの南西部コーンウォール州、
ポート・アイザックにロンドンからトロイ、ダニー、
ヘンリー、ドリスが休暇を楽しみにやってくる。
そこで漁師たちの歌声を聞いた彼らはダニーに
「彼らをスカウトしよう」と持ち掛け、彼だけ残して
ロンドンへ帰っていまう。その話を真に受けたダニーは
漁師のジムと交渉を始めるのだた。
<お勧め星>☆☆☆☆ 海の男とビールと歌と。という
感じで勇壮さと悲哀を奏でる男たちの歌声が楽しめます。
500年の歴史を持つ海の歌
舞台のコーンウォール州というのはイングランド南西部の
この辺り。
出典:Google map
かつてアングロ・サクソン族がイギリスを征服した際、
先住民族だったケルト人はスコットランドからウェールズに
向かいましたが、この南に居残ったのがコーンウォール人で
あり、イングランドからの独立心がとても強いのです。
映画内でもロンドンから休暇に訪れたダニーたちを
「エメット」(あり)と言ってよそ者扱いするし、ビールも
ラガーではなく地ビールのみ置いているパブ、そして何より
海での掟がいくつも存在します。これはもう迷信という類の
ものですが、危険と隣り合わせの日常生活を送る人々に
とっては当然のことかもしれません。
さてフィッシャーマンズ有限会社で漁師として働くジェイゴは
息子ジムと今日も船に乗り、孫娘のアルウィンはその
娘タムシンの世話をしています。
アルウィンの車とダニーたちの車が真正面で向き合ったのが
彼らと知り合ったきっかけであり、父に負けず劣らず勝気な
アルウィンは「ピー用語」を使って、彼らの車をバックさせる
のです。これは個人の思い込みなのですが、日本でも漁師町は
男性も女性も気性が荒く、そして豪快なイメージ、つまり
お酒をバンバン飲むし、祭りやかけ事大好きという雰囲気を
持っていると感じています。
出典:IMDb
さて、そのポート・アイザックでパドルボードを楽しんでいた
ロンドン男4人は、潮に流され遭難してしまいます。それを
助けに行くのが町の住民で、つまりここでは漁だけでなく
救助も同時に行っていることがわかるのです。とはいえ一人
忘れられたドリスは海を漂い続けヘリコプターでも救助と
なるのですが。
そんな彼らは「フィッシャーマンズ・フレンズ」という
グループ名で漁師たちが歌っている姿を見かけるわけです。
「あいつらをスカウトしてこい」
とトロイに支持されたダニーが車から降り、彼らのもとに
向かっているうちに車は発車、ダニーの荷物だけ置いて
行かれます。つまり元々トロイたちはふざけただけだったの
ですが、ダニーはスカウト話を信じ、彼らに接近します。
ここでどうやらトロイたちがロンドンで音楽業界では有名な
マネージメント会社のお偉いさんたちだとわかってきます。
ヘンリーは大金持ちの父を持ち結婚を控えているらしい。
つまりお金のあるチャラい男たちだったんですよ。
(ものすごい偏見)
出典:IMDb
一人残されたダニーは漁師たちの心を開かせようと、一緒に
漁に出かけたり、パブで浴びるほどビールを飲んだりします。
本当に仕事中と寝ているとき以外は常に酒を飲んでいる感じ
です。それはそれで楽しそうだ。
出典:IMDb
ダニーは何とか彼らと話をつけ、デモテープを録音し始めます。
港で録音するとカモメの声が気になって仕方がありません。
では教会で..。
これは見事に勇壮な歌声が響き渡るではありませんか。
特にパブを経営しているローワンの歌う「未亡人」という歌は
悲しい歌詞とメロディで心を揺さぶられます。こうなったら
ロンドンから戻れと言われても、「冗談だった」で済まされる
話ではないし、さらにはジムの娘アルウィンとなんだかい
雰囲気になっているんです。
出典:IMDb
それもロンドンのチャラ男たちからすると、
「女をモノにしたいから戻れないんだ」
という理屈になっているらしい。
そして遂にヘンリーの結婚式で「フィッシャーマンズ・フレンズ」
が歌うチャンスが与えられるのです。見事に着飾りお金持ち
そうな人々の前に登場する漁師たちは、全くの場違いだし、歌う
歌も詞が下品に思えるものばかりです。日本で言うと白ガネーゼの
結婚式に超へき地のおっさん連中がご当地ソングを歌いに行った
ようなものかしら。
ダニーはアルヴィンとレコードオタクという趣味も同じで
意気投合し、ついにフォーリンラブ♡トロイの会社を辞め、
本格的にこのグループを売りこもうと考えるのです。
一方で漁師たちの憩いの場であるローワン経営のパブは
借金のため売却の危機にあります。
とりあえずレーベルに売り込もうにも、同業者トロイの横やりが
入ってうまく行きません。しかし、売り込みに行った会社の社員の
紹介で、女王陛下の誕生日に国歌を歌う機会が与えられるのです。
大チャンス到来ですが、「国歌」が気になりますね。そして
案の定、彼らは「コーンウォールの歌」を合唱するのです。
「だって俺たちの国家だぜ!」
そしてその動画がネットで流れ再生回数が100万回を超えると、
前に断られた会社から逆に「100万ポンドの漁師バンド」という
ネーミングで売り出す話を持ち掛けられます。
「レトロな歌が人気なんだ」
そうですね、日本でも昭和歌謡がとても人気があるように、
新しいものばかりがヒットするわけではありません。懐かしい
曲調を聞くと心が揺さぶられるのは年齢のせいだけではないよう
です。しかし、ジムの父ディエゴが亡くなり、さらにパブの
売却話がみんなに知られると、再びダニーは漁師たちや
アルウィンからの信頼を失ってしまうのです。
ここまでで残りが18分。多分このように動くだろうなという
通りにこの後の話は進みます。イギリスで実際に活躍している
漁師バンド、“フィッシャーマンズ・フレンズ“の実話をもとに
作られた映画ですが、登場した俳優たち自身が歌っている
野太い声の歌は、心を強く揺さぶります。
レンジローバーが水没するのはおまけだろうな。