レッド・ファミリー

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レッドファミリー

出典:IMDb

 

「レッド・ファミリー」

原題:RED FAMILY

監督:イ・ジュヒョン

製作総指揮、脚本:キム・ギドク

2013年 韓国映画 99分

キャスト:キム・ユミ

     チョン・ウ

     ソン・ビョンホ

     パク・ソヨン

 

北朝鮮工作員4人が疑似家族としてある一軒家に

住み始める。任務は脱北者の暗殺であり、彼らは

指示通りその任務を遂行していく。しかし夫婦喧嘩

してばかりの隣家の家族と次第に親しくなり、

ある日一緒に食事をすることになるのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 これが2013年製作で、

今もおそらく少しも変わっていないであろう現実を

知り愕然とします。


一緒に暮らすのが本当の家族


祖父と夫妻と一人娘というごく普通の一家が

イムジンガン食堂で食事をしようとしています。

イムジンガンって「イムジン河」で歌われている場所

ですよね。フォーククルセダーズの歌うその歌は、

歌詞も曲も郷愁を誘うもので、その歌を巡る騒動も含め、

胸に残り続ける内容です。

で、娘のミンジは撮影禁止区域でのんきに写真を撮って

いたり、別の席で家族喧嘩をしている一家と違って、
年長者を敬い、妻は夫を敬い、楽し気に食事を口に

運ぶのです。そして車を運転中の祖父は突然事故を

起こしてしまい、その事故の写真を、今度は妻が撮影

するのです。もちろん撮影禁止区域であり、すかさず

駆け寄る軍人に「事故の様子を撮ってるだけよ!」と

怒ります。「ん?」なんかおかしいぞ。

 

レッドファミリー
出典:IMDb

 

レッドファミリー

出典:IMDb

 

その理由は、彼らが住み始めた一軒家に入った途端に判明

します。妻であるはずのスンヘが義父であるミョンシク、

夫であるジェホン、娘であるミンジに命令口調で指示を飛ばす

のです。つまり彼らは家族を装った北朝鮮の工作員であり、

スンヘが班長で、これから何かの任務を遂行していくために、

ここに引っ越してきたのです。静かに食事をしていると、

隣家から大きな喧嘩の声が聞こえてきます。こちらは

「北にいる時にはこんな豪華なものを食べられなかった」

とメソメソしているのに、隣家はあろうことか食事のメニューが

気に入らないという理由らしい。それについて

「資本主義の腐敗一家」とスンヘは言い、他の3人もそれに

納得します。彼らは祖国に家族を残しており、その家族を

思いつつ、国家に忠誠を誓って何年も韓国で工作活動をして

いるわけです。それもいつか家族と幸せな暮らしができる

だろうと信じ、この資本主義にどっぷりつかり堕落した韓国の

人々を軽蔑しています。いや憎んでいると言った方が正しい

かもしれない。
ところがある暗殺任務でスンヘが乳児を殺せないんですよ。

脱北した人々は暗殺の対象であり、それは老若男女問わず粛清

されていきます。誰がターゲットになるかは、韓国内で町工場を

営んでいる風の男の指示によるらしい。(通称野ウサギ)

その男も韓国人の恋人がおり、果たして何年この仕事を続け

ているのだろうと思ってしまいます。その任務を完ぺきに

遂行したのは部下のミンジであり、「愛する家族のために
指示に従わないことは死活問題だ」と語ります。これらの

出来事は逐一上層部に報告されますが、それだけで終わる

はずがありません。この家自体が盗聴されているのです。

よくアメリカのCIAのエージェントが身分を偽り他国がスパイ

活動をする映画を見かけますが、彼らのこんな風に盗聴されて

いるのでしょうか。
さて夫婦げんかの絶えない隣家とも次第に仲良くなっていき、

ミョンシクはおばあさん、ミンジは一人息子のチャンスと

結構親しくなっていきます。チャンスは同級生にじめられ、

金を奪われているところをミンジに見つかり、可愛い顔の

ミンジがテキパキぶん殴って彼を救うのです。そうか、

工作員は銃の扱いだけでなく、武術にも長けていないと

いけないんだな。
そして隣家のおばあさんの誕生日会に、偽物一家4人は

呼ばれます。すぐに言い争う隣家の夫婦とそれを止める息子や

おばあさんの姿を見て、彼らは故郷に残した家族への思いは

一気に強まるんですね。いやそれはずっと持っていたことだと

思います。それを隠して、いつかは家族一緒に暮らせると考え、

国からの指示の任務を遂行しているのに、隣家では、普通に

一緒に暮らしています。喧嘩すらできない、子供の成長すら

見られない、誕生日を祝うこともできない、それがいかに

おかしなことであるか気づいてしまうのです。

 

レッドファミリー
出典:IMDb

 

ミンジの誕生日には隣家の4人が突然やって来ます。急いで

金日成や金正恩等の写真を外し、普通を装う4人ですが、

食事中に北朝鮮の話になった途端、全く意見が分かれてしまい

ます。ソフトながら金正恩を崇める偽家族と、明確に蔑む

隣家の人々。その中でミンジとチャンスは「南北統一」こそが

最終目標だと語るのです。かつては1つの国だったのに、大国の

代理戦争のような形で南北に分断されました。(代理戦争という

言葉は韓国国内では「親北」と思われ、映画内で隣家の夫が

言うように「アカ」になるようです。)若い二人の考えこそ未来

への希望を象徴しています。

またこの食事風景を見ていると、理念、国境、思想は飾りに

過ぎず、個人レベルでの交流はいくらでも進めることができる

ようにも感じます。そんなに甘いものではないことは、この後の

映像で分かってしまいますが。
さらにジェホンの妻子が脱北に失敗し、捕まったということを

スンヘは知らされます。脱北失敗=死を意味することを知って

いるスンヘは、なんとか彼の妻子を守るために独断で任務を

行います。工作員は家族を装っていても、個人的な思いで

接してはならないという基本をすっ飛ばしてしまったんですね。

つまり班長であるスンヘ自ら、偽家族への愛情を抱いてしまった

のです。

この独断で行った任務により、彼らは大変な窮地に追い込まれ

ます。いつも任務を指示する町工場の男にスンヘはボコボコに

殴られてしまうのです。こいつ、韓国女性に食事などの世話を

受けていて、さらに妊娠までさせているんですよ。
こいつはいけなかったな。彼にも北に残した家族がいるかも

しれません。
「わたしたちは人間らしくない。時計の部品と同じ。」スンヘは

語ります。義父役のミョンシクは、末期のガンに冒されているのに、

20年以上も家族に会えず、そしておそらく会えないまま寿命を
終えようとしています。
全てをチャラにするという任務は隣家を皆殺しにするというもの

でした。翌日楽しそうにキャンプに向かう隣家の家族と、めっちゃ

暗い偽家族は対照的です。しかし夜のキャンプファイヤーで歌った
「アリラン」はオリンピックやアジア大会などの国際ゲームで

南北合同行進のときなどに流れることもあるように、南北の垣根を

越えてどちらでも歌われています。それを歌いながら、偽家族は

涙を流すし、隣家の家族は「いい歌だなあ」と言います。
これがどうして現実のものにならないのでしょう。同じ言葉を話し、

同じ民族であり、元は1つの国であったのに、なぜ分断が続くの

でしょう。
現実に引き戻されたシーンの後でラストに映るミンジは、あれは

チャンスの願望だったんだろうな。ミンジのおかげで殴り返す

ことができる人間になれたんだろうな。

 

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