ヘイター

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JUGEMテーマ:映画

 

ヘイター

出典:IMDb

 

「ヘイター」

原題:Sala samobojcow/Hejter

監督:ヤン・コマサ

2020年 ポーランド映画 136分

キャスト:アガタ・クレシャ

     ダヌタ・ステンカ

     マチェイ・ムシャウォウスキー

 

論文の盗用を指摘され大学の法学部を除籍になった

トメクは、彼に奨学金を渡しているクラスカ家に

そのことを告げられないでいる。そして生活費を稼ぐ

ため、メディアでの評判を落とす目的の会社

ベストバズ社で働き始める。彼はその会社で優れた

能力を発揮するが、その一方で退学の事実がクラスカ家

に知れてしまい、心を寄せていた娘のガービとも疎遠に

なってしまうのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 とてもよくできた映画ですが、

これが実際に起きていそうで怖くてたまりません。


孫子の兵法ー捨て駒の利用

 

 

 

<ネタバレしているかも>


この映画は監督が2011年に製作した「ログアウト」

の続編のような内容だそうです。「ログアウト」は未見

なので映画情報で内容を確認すると、ベストバズ社の

やり手の女性ベアタは一人息子を亡くしており、それが

「ログアウト」の主人公ドミニクのようです。この

ドミニクが性的嗜好をきっかけにいじめに遭い、自宅で

チャットをし続ける日々を送り、そのチャットのアバター

との交流が心の支えという毎日を送るらしい。チャット

でのアバターは、この映画でも終盤の大事件の直接的な

犯人とトメクとの連絡手段としても使われていました。

現実世界で生きづらい人は、2次元の世界で自分の自由を

謳歌するのでしょうか。

 

ヘイター
出典:youtube

 

冒頭、大学の法学部1年のトメクが学部長に呼ばれます。この

トメクが特にイケメンでもなく、体が大きいわけでもなく、

またとても優秀な頭脳の持ち主でもないことはすぐにわかります。

しかし学部長から「論文の盗用」を指摘された途端、必死で

弁解する姿を見ると、もしかしたら狡猾さにかけては一流では

ないかと感じてしまうのです。彼は映画内で幾度も涙をこぼし

ますが、本心から流したものが、どれなのか全く区別がつきません。

そういうわけで大学を除籍処分になったトメクは、彼に奨学金を

払ってくれている裕福なクラスカ家に向かうのです。

このクラスカ家というのは政治家ともつながりがあるほど有力者で

あり、民族や性的マイノリティなどへの差別を強く否定する活動

にも賛同しています。ところが、トメクが「退学」を言い出せない

まま、その家を後にして、わざと置き忘れたスマホで彼が帰った

後の家族の会話を聞くと、差別丸出しなんですね。
「あの格好見た?」

「育ちは変えられないわね」

「田舎者は田舎者だ」

「エビのしっぽまで食べてたな」

「住んでいる学生寮なんて足も踏み入れたくない場所よ」
つまり表面上は綺麗ごとを並べていても、心の底では、トメクの

ような田舎生まれの貧しい育ちの者を見下しているのです。彼らが

移民排斥を非難したところで、それはお金持ちの道楽に過ぎない

ような気がします。それでもそういう活動に資金を出し、優しい

言葉を発するだけでも良しとしないといけないほど、世界は

悪意に満ちた人々であふれかえっているのは確かです。
さて学生寮を出なければならないトメクは、住居を探す必要が

あります。さらに生活費を稼がなければなりません。そこで

「ベストバズ社」というメディアを使って、ターゲットの人物や

会社の評判を落とすという、違法すれすれの仕事を請け負って

いる会社にインターンとして入るのです。

 

ヘイター

出典:youtube

 

この会社はベアタという女性が運営しており、あらゆるアカウント、

つまり世界各地で作られた偽アカウントを使ってネット上での

攻撃を仕掛けます。それがうまく進んでいる時のベアタの表情が、

本当に嬉々としていいるんですね。これを見ると彼女がネットに

おいて、何か恨みを持つような出来事を体験したとしか思えなく

なります。(「ログアウト」を見よう)

 

ヘイター
出典:IMDb

 

また、ドラッグでハイになったガービに、自分の退学の話をすると、

それがクラスカ家に伝わってしまうのです。この後はとても気持ち

悪いですよ。トメクはメイドしかいないクラスカ家に侵入し、
ガービのPCに盗聴器を仕掛け、奨学金の返済以上の金と手紙と

真っ赤なバラの花を置いてくるのです。

まじ、キモイ。

そこで主人であるロバートが一言。
「精神異常は遺伝だな」
一方、ベストバズ社での仕事は、新しい市長候補ルドニツキの

弱点をネット上に拡散させるというもので、このルドニツキは、

市民派、人権派、多様な移民の受け入れ賛成というリベラルな思想で
多数の人々の支持を集めています。

 

ヘイター

出典:youtube

 

トメクは、アンチを捏造し、移民差別を利用して、残酷な映像を

編集したうえで、ルドニツキがイスラム系の過激派を扇動して

いるかのようにイメージを植え付けて行くのです。この仕事の

最中に家を訪れた宅配の配達員がイスラム系で、顔に大けがを

負っていたことは、自分の拡散させた映像によるものだとすぐに

気づきます。しかしトメクは、本当に右から左へ聞き流すかの

ように忘れ去るのです。ここは怖いですね。

抑圧され、差別を受け、蔑まれている自らの身を守るために、

さらに弱い立場への攻撃を仕掛けて満足しているかのように感じます。
ルドニツキへのネット上の攻撃では一時的な効果に過ぎない

とベアタに言われたトメクは、「孫子の兵法」という戦法を

教えられ、「捨て駒」を用意します。それがグゼックです。

彼はミリオタであり、ヨーロッパへのイスラム侵害の脅威を

ネット動画で配信しています。彼とはネット上のゲームの

アバター同士で連絡を取り合い、グゼックの行動を起こさせる

のです。さらには、ルドニツキの事務所にボランティアとして働き、

彼を食事に誘って(ルドニツキはとてもいい人物なんです)

さらには、酒に薬を混ぜ、酩酊さえたうえで、ゲイの集まるバーに

連れて行き、そこでの行動を動画に撮影します。
性的嗜好への差別も利用するわけです。もうモラルもへったくれも

ありません。こんな映画をどこかで見たと思ったら

「ナイト・クローラー」(2014)ですよ。良心など一切ない彼が、

さらに行動をエスカレートさせていったように、トメクもさらなる

行動を起こし始めます。まずはルドニツキ陣営の平和的なデモ行進と

アンチとのイベントを同じ日に行うことを拡散するのです。これさー、
会社の他人にPCからそのアカウントで拡散するんですよ。それを

責められたら「何でもありだろ」だって。
そして最終的に悲劇が起こります。いやそれをおぜん立てしたのは

トメクなんですけどね。ヒーローになったはずのトメクの元に現場

では誰も駆け寄ってくれず、亡くなっているクラスカ家の長女に
家族が駆け寄ります。この時もトメクは無表情なんです。もちろん

病院には花束などが山ほど届くし、メディアでもヒーロー扱いされる

けれど、誰も寄り添う人はいないのです。
ラストは、これまた孤独な者同士の共鳴というか、脅しあいというか、

なんとも不愉快極まりない気分にさせられました。

 

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