マッドバウンド 哀しき友情

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JUGEMテーマ:洋画

 

マッドバウンド

出典:IMDb

 

「マッドバウンド 哀しき友情」

原題:Mudbound

監督:ディー・リース

2017年 アメリカ映画 120分

キャスト:キャリー・マリガン

     ギャレット・ヘドランド

     ジェイソン・クラーク

     ジョナサン・バンクス

 

1940年代、ミシシッピ州デルタ地帯に

マッカラン一家は待望の農場主として住み始める。

一方その農地では、土地所有を夢見てひたすら仕事に

励む黒人ジャクソン一家がいた。マッカラン家の次男
ジェイミーとジャクソン家の長男ロンゼルは、

第二次世界大戦勃発により召集されて戦地に向かう。

そして二人とも戦勝国の勇士として故郷に帰還するが、

その立場はかつてと全く変わっておらず...。


<お勧め星>☆☆☆☆ 見ているのが辛い映画だけれど、

80年経ってもほとんど変わっていない状況に愕然と

します。


差別の根底にあるもの


冒頭の語りはヒロイン、ローラ演じるキャリー・マリガン

の声です。大雨が来る中、夫の父親の墓穴を掘ろうとして

いる夫ヘンリーと義弟ジェイミーを見ながら、その死を全く

悼んでおらず、彼女は何か違うことを嘆いているような表情を

浮かべているのです。棺は重く、ちょうど通りかかった

黒人で彼の農園で働いているジャクソン一家に手伝いを頼む

ヘンリーは、その手伝いをしてもらえるのが当然であるかの

ような口調です。それに対し、ものすごく複雑な表情を

浮かべるジャクソン家の主、ハップとその妻(サングラスを

かけているのでよくわからない)。このシーンはラスト付近に

再び登場し、あらゆる「なぜ」を知ったうえで見ることが

できます。
そしてローラとヘンリーの出会いから結婚に至るまでが

映し出されていきます。ヘンリーの口癖は

「大丈夫、何とかなる」

話をしても面白みのないヘンリーに比べ、彼の弟のジャクソン

はすべての女性をひきつける魅力的な男性なのですが、

とりあえず今のメイドの仕事から脱したくて、ローラは

ヘンリーと結婚し、娘をもうけます。ところが彼は、あらゆる

ことを全て自分一人で決め、妻は家で家事と育児をして

いればいいという考えの持ち主なのです。

「ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」(2011)は、

1960年代前半のミシシッピ州ジャクソンが舞台ですが、

大学を卒業して地元に戻った女性が目にするのは、家事や

育児を黒人メイドたちに任せきった気楽な生活を送っている

同級生ばかりです。そうか、20年経ってもほとんど変わって

いなかったのかと今更ながらに気づきます。
一方綿花畑で働くジャクソン一家は、かつてこの土地の

譲渡証書を持っていたのに、突然現れた白人の土地を奪われた

経緯があり、金を貯めて自らの土地を所有しようと考えている

のです。

 

マッドバウンド
出典:IMDb

 

そんな時新しい農園主としてマッカラン一家がやって来ます。

雨が多く、いったん降った雨によって土地がすぐに固まって

しまうような過酷な場所を彼(ヘンリー)は購入したのです。

それも「自分の農園が欲しい」という自分の希望だけ決めました。

もれなくついてきたのは、人種差別(おそらくは女性も)

主義者の父親パピーで、ヘンリーが騙されて家を手に

できなかったために、農園にある小屋で住むことになります。

父親と同じ小屋に住むことだけは何としても拒否したローラ

ですが、その後、水浴びをしているところを、このじいさんに

じろじろ見られるシーンがあります。これは既視感があって、
日本でも田舎だとプライバシーなどが全く存在しない家がある

のです。そういう家の男性たちは、自らの心の奥に女性を

見下している気持ちがあることに一生気づけません。都会で

暮らしたことがないから世間を知らない「無知」な人々とも

言えると思います。
ところが第二次世界大戦が勃発し、マッカラン家のジェイミーと

ジャクソン家のロンゼルが出征することになるのです。

ジェイミーは爆撃機の操縦士、ロンゼルは戦車の操縦士です。

それを聞いてもこのじいさんは「黒人はサル並みの頭だから..」

などハップに言い続けます。

 

マッドバウンド

出典:IMDb

 

どちらも祖国のために戦いに向かっているのにですよ。

じいさんの頭には自分が南北戦争で北軍の兵士を何人殺したか

という自慢話しかないらしい。それでもハップはこの南部で

生きる術を知っており、一つも彼に逆らいません。
マッカラン一家の田舎の生活がいかに過酷であるか描きつつ、

戦地で死と隣り合わせの状況にいるロンゼルとジャクソンが

映ります。ロンゼルは故郷とは異なり、黒人への差別がない

ヨーロッパで白人の女性と親しくなるのです。ジャクソンは

というと女遊びに明け暮れています。

 

マッドバウンド

出典:IMDb

 

しかし二人とも一緒に戦っていた仲間を目の前で亡くして

しまう経験も味わうのです。
そしてミシシッピでは、ヘンリーの娘が百日咳となり、医者を

呼ぼうにも大雨で橋が流されて呼んでこれない。そこで

ジャクソン家の妻で助産師のフローレンスを夜中に呼びに

行きます。

「金は払う」
深夜の大雨の中であっても、ヘンリーは黒人なら、自由に従うと

信じて疑いません。もちろんフローレンスもそれに従いますが、

その後、彼女に、マッカラン家の家事や育児を任せようという話に
なってしまうのです。あまりに一方的な申し出とそれを受けざるを

得ない立場を見ると、怒りがわいてきます。
逆にヘップが怪我をしてしまうと、手を貸すどころか、種まきの

進み具合を案じ、ラバを貸すから、収穫の半分をよこせとヘンリーは

言うのです。そのラバだって、ヘンリーの農園で働いていた白人
労働者の誤射で亡くなっているんです。つまりあらゆる面において、

自分たち白人の立場は常に黒人の上にあり、白人の要求を断る

黒人など存在しないと考えているんですね。これはじいさんパピー
の思想を受け継いでいるんだろうな。
さて、戦争が終わり、生き延びた二人の兵士が帰還します。

ヨーロッパでの戦争を経て、世界観が広がった二人が目にしたのは、

相変わらず差別がはびこるミシシッピの町なのです。そもそもバスの
席すら有色人種は後ろにされているのですから。

パピーじいさんは

「何人殺した?」

「ちゃんと目を見て殺したか?」

などジャクソンの心の傷を押し広げるような質問を重ね、遂には

自分自慢で終わります。そして帰還する際、家族のために食料品店に
立ち寄ったロンゼルに対し、「店の裏口から出ろ」と威嚇するの

ですよ。その場にはローラもいたけれど、ヘンリーとじいさんに

何も言うことができません。そしてそれは「揉め事」を起こした

としてハップに伝えられるのです。

 

マッドバウンド

出典:IMDb


戦争帰還兵にしばしば見られるようにジェイミーはPTSDから

酒に溺れます。そしていつしか同じ帰還兵のロンゼルと親しく

なるのです。これはこのド田舎では「大問題」なんですよ。

でも祖国のために戦い、その辛さも同時に味わった二人は

「誇り」を共有できる唯一の相手だったのです。祖国のために

戦ったのに、父に認められないジェイミーと相変わらず差別の

対象であるロンゼル。
実はロンゼルはドイツに恋人を置いてきており、その女性との

間に息子も生まれているのです。しかし家族のためにこの地に

残って、父の願いである土地を購入する資金を稼ぐ手伝いを

しなけらばならない運命を理解しています。
そして大事件が起こります。このシーンはもう直視できなかった

です。この人たち虫けら以下なんじゃないの?人間としての

「恥」がないんじゃないの?
このシーンの後、冒頭に棺を埋める映像に変わるのです。最初に

見た時の人々の表情の一つ一つの意味が深く理解できます。
ラストシーンだけは少し心が明るくなりました。

 

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