恋恋風塵ーデジタルリマスター版ー

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恋恋風塵

出典:IMDb

 

「恋恋風塵ーデジタルリマスター版ー」

原題:戀戀風塵

監督:ホウ・シャオンエン

1987年 台湾映画 110分

キャスト:ワン・ジンウェン

     シン・シューフェン

     リー・ティンルー

 

1960年代後半の台湾の山村。中学3年生の

アワンは幼なじみで1つ年下のアフンと兄妹の

ように育っている。しかし互いの家の生活は苦しく、

アワンは、中学卒業後台北で働きながら夜学で学ぶ道を
選択する。1年後お針子として働くためアフンも台北に

やって来て、2人は前と同じように仲良く日々を

送り始めるが...。


<お勧め星>☆☆☆☆ ああ、切ない。セリフが最小限

なのにその時に服装や態度ですべてが読み取れてしまい

ます。


いつの間にか追い越されていた


この映画での山村のロケ地は台湾の九份だそうで、よく

旅行会社のパンフレットにカラフルなちょうちんで

飾られた美しい情景が載っています。

 

九分

出典:youtube

 

19世紀後半から20世紀前半まではゴールドラッシュで

大そう景気がよく、多くの労働者がこの地に住み、栄華を

極めていましたが、採掘量の激減により、1971年に

閉山となり静かな町に戻ったようです。したがってこの

主人公の二人が中学生時代を送っていた1960年代後半は

最も貧しい時期だったとも言えます。それを物語るかのように、

アワンのじいさんは、夕食で「アワンが食べ過ぎだ」と言い、
アワンの母親は彼の弟に「調味料や歯磨き粉を食うな」などと

言っています。日々の食事にすら困っていたのです。

 

恋恋風塵

出典:IMDb

 

アフンとアワンが電車に乗って中学から帰るシーンは、のどかな

田園風景と青々と茂った草がどこまでも続き、二人の初々しい

胸の内と同じように感じられます。

アワンは読書好きで成績もよかったのに、自分の判断で高校

進学をあきらめ、台北で働きながら夜学に通うという道を選択

します。炭鉱事故で怪我をし、退院してきても働けない父は

「わざわざ厳しい道を選ぶんだな」

とだけ答えるのです。次第にわかってきますが、父は婿養子で

あり、この家ではじいさんの言葉が一番重要視されるらしい。

 

恋恋風塵

出典:IMDb

 

じいさんも第二次世界大戦前は、「あいうえお」を学ばされ、

終戦した途端「台湾語」を学ばされたという話をします。

そこにどれだけの苦難の歴史があったのかは深く語られません。
さて台北の印刷工場で働き始めたアワンは、意地悪なおかみさん

に叱られながらも黙々と働き、1年後同じように台北に出てきた

アフンを出迎えるのです。この時のアフンは田舎者丸出しで、

悪いおっさんに荷物を奪われそうになるし、ホームシックで

泣いてばかりの日々を送ります。少しの間アワンが会いに

来なかっただけで泣けちゃうお年頃だったんです。
そして知り合いのアヒョンが兵役に行くことになり、彼らは

送別会を盛大に開きます。不思議なことにみんな未成年だと

思うんだけど、煙草もお酒もたしなむんです。この時顔が

真っ赤になっているアワンが少し可愛い。それに比べて初めて

お酒を飲んでも全然平気な顔をしているアフンは、もしか

したらすでにアワンに追いつきつつあったのかもしれません。
アワンが高熱を出せば、アフンが看病に訪れます。何も起こら

ないけれど、二人は惹かれあっているのが感じられるシーンが

いくつも見られるのです。ただアワンが転職し、その仕事で

使っているバイクを盗まれてしまうことが起きた時、

「盗み返す」と言うアワンに対し「やめて」というアフンを

見ると、アフンが一気に成長してしまったことも感じて

しまいます。

 

恋恋風塵

出典:IMDb

 

それは家族に会うのを楽しみにお盆休みに戻っていた故郷に、

アフンが「帰らない」と言って駅から去って行った時が決定的な

出来事でした。
それでもお針子として実力をつけてきたアフンは、アワンの

ためにシャツを縫います。かなり大きいからお直しするね、と

語るアワンはとても可愛い表情をするんです。

アワン、もううれしくてたまりません。
ところがアワンは兵役に行くことになってしまうのです。この

時代の兵役はのんびりしたもので、兵士同士の軽口の

たたき合いのシーンが見られます。アワンはアフンと手紙を

交換し続けるんです。それだけが唯一の心の支えという感じです。

しかしある時から手紙が受取人不明で戻り始めます。同時に

アワンは体調が悪化し、食べ物を戻し寝込んでしまうのです。
実はアフンは郵便配達人との結婚が決まり、それを知った

アワンは、海へ向かい、ずぶぬれになり、遂には海上保安庁の

ような職員に助けられます。

ああこんなに彼女のことを思っていたんだ。

手から離れてしまうとこんなにも心が痛むんだ。

ここは見ているだけでとても切なくなります。
ラストシーンでは、故郷に戻ったアワンが、アフンに手直しして

もらったシャツを着ており、彼はじいさんとの約束通りこの家を

継いでいく決意を固めつつ、アフンへの思いは消えていないことを
物語るものになっています。

ああ、これって「ラ・ラ・ランド」(2016)を彷彿とさせる

ラストじゃないでしょうか。そこにアフンとその夫がいないだけ

の違いです。
恋愛映画が見たくて、これを選んで鑑賞しましたが、大正解の

映画でした。でもとても切ないです。

 

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コメント
 ミス・マープルさん、初めまして鉦鼓亭と申します

週末、観る作品を探していたところ、こちらのサイトの記事を見掛け興味が沸き観てみました。
僕の感想はちょっとアレでしたが、アフンの作っシャツをアワンが試着してのやり取りシーン、二人の雰囲気の何とも甘酸っぱい感じ、アワンの入営で祖父が爆竹を鳴らしながら送っていくシーン、又、台湾の美しい自然を的確に捉えるカメラ等、良い所が沢山ありました。
観る事が出来て良かったです、ありがとうございました。
その内、この監督の「悲情城市」を観てみたいと思ったのですが、DVDがTSUTAYAにありませんでした、残念。
はじめまして。コメントありがとうございます。返信が遅れて申し訳ありません。甘酸っぱい恋愛もどきの姿がなぜか懐かしく感じられましたね。台湾の景色も素晴らしかったです。「非情都市」は私がいつも利用しているAmazonにもありませんでした。残念です。「冬冬の夏休み」はご覧になりましたか?そちらもお勧めです。よろしければどうぞ。
  • ミス・マープル
  • 2020/08/30 11:43 AM
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