ストリート・オーケストラ

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JUGEMテーマ:洋画

 

ストリートオーケストラ

出典:IMDb

 

「ストリート・オーケストラ」

原題:The Vidin Teacher

         TUDO QUE APRENDEMOS JUNTOS

監督:セルジオ・マチャド

2015年 ブラジル映画 103分 PG12

キャスト:ラザロ・ハーモス

     カイケ・ジェズース

     サンドラ・コルベローニ

 

ブラジル、サンパウロで交響楽団のオーディションに

不合格となったラエルチは、生活費のためにスラム地区の

NGOが運営する学校で楽器の演奏を指導することになる。

しかし彼らは楽器の構え方どころか座って指導を受ける

ことすらできない生徒がほとんどで...。


<お勧め星>☆☆☆半 音楽が人の心に及ぼす力を実感

できるけれど、劣悪な環境はどうやったら変えられるのかと

最後に思ってしまいます。


自分にも価値がある


ブラジルは貧富の差が激しく、国民の60%が国民平均所得の

半分未満と言われています。その中でファベーラと呼ばれる

いわゆるスラム街が国内のいたるところに点在し、この写真の

ように豪華なホテルの裏側が無秩序に並んだ貧困層が住む家

(そう呼べるのでしょうか)がひしめき合っているのです。

 

ストリート・オーケストラ
出典:IMDb

 

さて主人公のラエルチは幼い頃からの英才教育のおかげで

「神童」と呼ばれるほどのバイオリンの演奏能力を持っている

のですが、サンパウロ州交響楽団の入団オーディションの

最終選考でなぜか弾けなくなってしまい不合格となるのです。

どうやら彼の家も貧しいもようで、彼がバイオリンの演奏で

稼いだお金を仕送りする約束になっているらしい。だから

不合格になったなどと口が裂けても言えないのです。とはいえ

カルテットを組んでいた仲間にイラつき、一人が抜けてしまうし、

バイオリン指導の職探しも全く見つからず、遂に家賃滞納の

督促状まで届きます。

 

ストリートオーケストラ
出典:youtube

 

背に腹は代えられないということで、前に話をもらっていた

ファベーラでNGOが運営する学校の生徒たちにバイオリンを

教える仕事を選択します。安月給だけれど、とりあえずのお金が

欲しいだけの話です。ラエルチの住んでいるアパートもそれほど

きれいではありませんが、彼が向かったファベーラは、もう

危険な香りがプンプン立ち込めています。

いや、本当に危険なんですよ。ちょっとググってもらえばその

画像やニュースがいくつでも見られるはずです。

 

ストリートオーケストラ
出典:youtube

 

そのど真ん中に位置する学校で彼は生徒たちに楽器の演奏を

教えるのですが、まず、彼らは

「人の話を聞けません」

「座っていられません」

「喧嘩を始めます」

「差別言葉を平気で言います」
「授業中にスナックを買いに行きます」(これに関しては注意

したことで逆にラエルチが脅されます)

「そもそも楽譜が読めません」
という悲惨な状況なのです。しかしそれらはこの生徒たちの

置かれた環境のせいであり、土曜日にも練習をするという提案には、

多くの生徒が反発するのです。
「土曜日はおやじの仕事を手伝うんだ」
「弟たちの世話をする日なの」
その中で女子生徒が

「でも音楽をやっていると自分にも価値があると思えてくるの」
と言って泣き始めます。彼らは家で「子供」として愛情を注がれて

いる者はほとんどいないし、そもそも親のいない子供も多くいる

のです。

 

ストリートオーケストラ
出典:IMDb

 

一方生徒の中でも熱心に指導を受けるサムエルは、ラエルチに

褒められ、さらに練習しようと考えますが、家では父親の仕事を

手伝う必要があります。それも父親が、息子や、娘をこの

ファベーラから抜け出すために金を稼がなければならないと思って

いるからなのです。サムエルにはVRという親友がいますが、

この子はまさにギャングの手下で、クレジットカード詐欺に手を

染めています。そんなことが日常であるのがこの地区なのでしょう。
サムエルのバイオリンとVRのウクレレ?の協奏はとても楽しく

明るい音楽を聞かせてくれて、二人が最も生き生きして見える瞬間

です。
ところが、幸運にもラエルチには再びオーディションを受ける

チャンスが巡ってくるのです。それが幸運なのはラエルチやその

仲間たちで、生徒、特にサムエルにとっては納得のできるものでは

ありません。
さらにVRとサムエルがバイクの乗っている時に検問に引っかかって

しまいます。「止まれ」というサムエルにVRは「盗難車なんだ」

と言って猛スピードで逃走するんです。ファベーラは道路という

ものが整備されているはずもないので、小道に入ってしまえば逃げ

通せると思ったのでしょう。しかし警官たちに背後から発砲される

のです。検問から逃走したとしても丸腰で明らかに少年とわかる人へ

警察は躊躇なく発砲するんですよ。これがこの国の現実なのです。

「ブラジル 消えゆく民主主義」(2019)に描かれているように、

ルーラ(人気者)→ジルマ(初の女性大統領)→ボルソナーロ(極右)

にいたるブラジル民主主義の混乱によってこの国の腐敗は進み、

政府が国をコントロールできなくなっています。したがって貧困層の

住むファベーラなどは警察への憎悪が強く、ギャングが治安を握って

いる状態になっているわけです。

 

ストリートオーケストラ

出典:IMDb

 

終盤、警察隊とファベーラの住民が対峙するシーンがありますが、

偽の警官隊と言い聞かせてもエキストラとして参加したファベーラ

の住民の怒りは収まらず、監督が何度止めに入ってもコントロールが

きかず、何人かの警察役の人が怪我をしたそうです。

(The Asahi Shinbun Globe+ 2016.8.19版より)

あの怒りに満ちた表情こそ彼らの真実の思いが詰まっているのです。
この映画は実際に存在する「エリオポリス交響楽団」に基づく話で、

音楽を通して自らの存在を主張できることを示した素晴らしい内容

でした。ただ、楽譜の読めない子があんなに急にうまく演奏できる

ようになるのだろうか、とか、ラエルチは、試用期間で練習を

休めないはずなのに、なぜ指導に来れたのかなどちょっと疑問が

残ります。
それでもファベーラで行われる演奏会のシーンは胸が震えるほど

感動的なものでした。そして最後にラエルチに初舞台を見に来る

VRたちはVRのクレカでチケットを購入するというシーンもついて

います。つまり現実は何も変わっていないということなのです。

 

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