しあわせの百貨店へようこそ

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JUGEMテーマ:洋画

 

しあわせの百貨店へようこそ

出典:IMDb

 

「しあわせの百貨店へようこそ」

原題:Ladies in Black

監督:ブルース・ベレスフォード

2018年 オーストラリア映画 109分

キャスト:ジュリア・オーモンド

     アンガーリー・ライス

     レイチェル・テイラー

     アリソン・マクギアー

 

1959年シドニー。グッズ百貨店はクリスマスシーズンを

控え準備に大忙しである。華やかな婦人服売り場にはリサと

いうアルバイト職員が配属され、先輩のフェイとパティと

共に接客を始めるが、一筋縄ではいかない客に失敗続き。

しかし売り場のリーダーのマグダはそんな彼女に「一点物の商品」

の扱い方を丁寧に教えるのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 立場や出身国の異なる女性たちが夢を

かなえていく姿が楽しく描かれています。


夢は女優か小説家か詩人かその全部か


インターネットで買い物をするなどということが頭の片隅にも

なかった時代、百貨店は人々の夢やあこがれがぎっしり詰まった

場所でした。この映画は1959年のシドニー、グッズ百貨店の

女性販売員の出勤風景から始まります。出勤してきた女性たちは

更衣室で黒色の制服らしきものに着替えます。ストッキングを

はき替え、メイクを直していざ持ち場へと向かうのです。

 

しあわせの百貨店へようこそ
出典:IMDb

 

百貨店のクリスマスシーズンは繫忙期で、それに向けて臨時で

雇われたのがメガネをかけたダサい少女リサです。職場のリーダー

であるマグダはヨーロッパからの移民であり、他の女店員から陰口を
言われているものの、ヨーロッパ仕込みのファッションセンスは

ぴか一。それに対し、オーストラリアで生まれ育ったリサの教育係で

あるフェイとパティは「避難民に気をつけて」などとささやきます。

 

しあわせの百貨店へようこそ
出典:IMDb

 

オーストラリアは18世紀にはイギリスの植民地政策下にあり、本国や

アイルランドの犯罪者の刑務所として使われていましたが、1901年

連邦政府として独立し、キャンベラが首都決められました。

(日本からの海外旅行ではほとんどパックに入っていないかも)

ところがイギリスへの忠誠から第一世界大戦、第二次世界大戦、

さらには朝鮮戦争、ベトナム戦争と参戦し、多くの人民の命が失われた

ため、1950年代〜60年代は移民政策へと舵を切ったのです。

マグダはスロべニア人、彼女の夫ステファンはボスニア人、そしてのちに

登場する彼らの友人ルディはハンガリー人といずれも本国の内戦や動乱

から逃れ、この国へ亡命してきた身の上です。

 

しあわせの百貨店へようこそ
出典:IMDb

 

一方臨時雇いのリサは当時の典型的な中流家庭に育ち、大そう成績が

よく大学進学を目指しているものの、「女に学問はいらない」という

父と専業主婦で娘をいつまでも子ども扱いする母の一人娘なのです。

マグダの家では夫が料理をするという話を聞いた父が

「ほう、俺はそれならパブで酒を飲む方がいい」などと言います。

家にいたら目の前に食事が運ばれ、テレビ番組は自分の好きな競馬

中継のみ見るいう男性なのです。でも母もそれを苦にしません。

 

しあわせの百貨店へようこそ
出典:IMDb

 

パティは労働者の夫フランクがいるのですが、子供ができないことを

悩んでいます。しかし自分の体に異常がないことがわかり、

「ご主人の検査も」と言われると、即座に断るのです。リサの母親に

言わせると「結婚したら子供ができるものよ」だそうです。
そしてフェイは、恋人募集中なのですが、元の職場(ダンサー)の

友人が紹介してくれる相手は、しょっぱなから彼女の体にべたべた

触る男ばかりで、もう理想の相手に巡り合えないんじゃないかと
落ち込んでいます。

 

しあわせの百貨店へようこそ
出典:IMDb

 

3人の私生活を見せた後で、映るのがマグダの優雅な生活で、

夫ステファンと豪華な家に住み、友人を招いてはパーティーを楽しんで

います。彼女は、今の職場を足掛かりにヨーロッパ仕込みの

ファッションをオーストラリアに広めるお店を持つという夢があります。

この対比でわかるように、その土地から出たことがない人々の視野の

狭さは、その人たちが持っていたであろう能力を埋もれさせてしまって

いることを本人にも他人にも気づかせません。したがってリサのように

若い世代への期待が高まります。
クリスマスの日、プレゼント開けると、リサの母の手作りのピンクの

フリフリドレスが入っているんですね。

「だってピンクが好きだったでしょう?フリルも好きだったじゃない」

それはいつのリサのことなのか。

母は、彼女が百貨店でいろいろなファッションを知り、接客するうえで

多くのことを学んだことに気づけないのです。でも母はリサを束縛する

わけではなく、彼女がいつかは自分の手から離れていくこと寂しく

思っているだけで、それがもうすぐそばにあることに敢えて目を

向けないようにしているのかもしれません。
パティーの夫フランクは、ある日突然失踪し、彼女は暗い表情で売り場に

立ちます。逆にフェイはオーストラリア人女性と交際したいという

マグダの友人ルディと映画デートをして、ヨーロッパ映画に涙を流し

続けるのです。彼女は音楽も映画も本も美術も何も知らず、生活のために

働いてきました。したがってオーストラリア人男性しか知り合う機会が

なかったのです。二人が山にデートに行くシーンはオーストラリアの

大自然を堪能できます。彼女の短パン姿も可愛いです。
ここまで順調に来たので何か一波乱あるのかとずっと心配して

いましたが、特に波乱もなく「みんな来ては去って行くデパート売り場」

と売り場の上司カートライトと支配人レイダーが語る通り幸せへの

通過点としての百貨店の売り場が描かれていました。
カートライトさんのクリスマスは年老いた母親と二人きり、レイダーは

未婚らしく甥や姪とひっそり過ごすというのも対照的です。
最後にリサが将来の夢を聞かれ「女優か小説家か詩人かその全部か」と

答える姿は、若い世代のほとばしるようなパワーを感じるものでした。

将来、なんでもできると思っていた年頃が懐かしいです。

 

 

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