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    馬三家からの手紙

    4

     

    馬三家からの手紙

    出典:IMDb

     

    「馬三家からの手紙」

    原題:Letter from Massanjia

    監督:レオン・リー

    2018年 カナダ映画 75分

     

     

    2012年秋、オレゴン州ダマスカスに住むジュリー・キースは

    ハロウィンのため2年前購入した墓石のオーナメントを

    取り出すと、その箱の中に1通の手紙を見つける。そこには

    中国の「馬三家労働強要所」での窮状を訴える内容が書かれて

    いた。彼女は地元新聞にそれを持ち込み、その内容は瞬く間に

    全米メディアが報道することになる。一方手紙の主のスン・イは、

    その状況を知り、中国国内での思想犯への残忍な教育方法を映像

    に収めようと考えるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆☆ これはほとんど外部に出ることのない

    中国における人権侵害の現実です。しっかり見ておいてほしい。


    信念と自由


    「法輪功」というと、中国国内でカルト教団のように扱われ、

    危険な思想とみなされて弾圧を受けていることは少しだけ聞いた

    ことがあります。しかしそれがどういう思想で、なぜ弾圧を受けて

    いるのか、またその弾圧方法はどのようなものなのかほとんど

    情報を得る術がないのです。ただ画像検索をするとおぞましいほど

    残酷なものが次々に出てきます。
    2012年秋、ハロウィンの時期が近付いたアメリカ、オレゴン州

    ダマスカスで、主婦のジュリー・キースは2年前に購入した

    ハロウィンのオーナメントを出そうと考えるのです。それは発泡

    スチロール製の墓石でしたが、その箱の底に1通の手紙が入って

    いることに気づきます。内容は英語と中国語で書かれており、

    中国にある「馬三家労働教養所」に収容されている人物が、そこ

    での拷問や虐待の状況を訴えるものでした。人権団体への接触が

    難しく、結局彼女は地元のオレゴニアン紙にその手紙を持ち込みます。

    そして記事が掲載されると、それは全米で反響を呼び、瞬く間に

    メディアが大々的に報道し始めるのです。
    一方手紙を書いた人物スン・イは、当時北京に住んでおり、

    インターネットから違法に欧米のメディアを見ており、その記事を

    知って驚くのです。彼はかつては中国国営石油企業勤務のエリートで、
    英語にも長けており、またフ・ニンという妻もいました。しかし

    1997年法輪功を学習し始めてから、彼の境遇は一変します。
    法輪功はリ・ホンジが1992年に中国、吉林省で創始し、健康増進

    に役立つとして(ただし、この効用は後に批評家により否定)大成功

    を収めました。数百万人の信者が早朝に集まり、法輪功の五式の
    基本動作、佛展千手法、法輪椿法、貫通両極法、法輪周天法、

    神通加持法を行う姿が見られました。また、実践者が「真」「善」「忍」

    に基づいた道徳正しい生活をしなければ、効果が現れないという教義も
    政府を喜ばせました。健康増進と道徳水準の向上に役立つと考え、

    法輪功を指示していた中国共産党は、その教義の曖昧さが党の方針を

    脅かすと考え、増え続ける信者に対し迫害を開始します。

    (BITTER WINTERより)
    1997年江沢民国家主席が法輪功を非合法組織と指定し、

    反プロパガンダ放送を流す一方で信者を逮捕、拘禁、拷問し始めます。

    スン・イも2001年にその職を懲戒免職となり、逮捕、監視の

    繰り返しを受けていました。2008年北京オリンピック前には、

    法輪功学習者通報に報奨金が出されるようになり、信者の逮捕が

    相次ぎます。スン・イも同年突然逮捕され、遂に「悪魔の巣窟」と

    呼ばれる「馬三家労働教養所」に収容されるのです。

     

    馬三家からの手紙

    出典:IMDb

     

    妻フ・ニンも2週間洗脳施設に拘束、さらには妻の弟まで取り調べを

    受けています。容赦ない迫害です。

    スン・イは収容所での様子を到着時から克明に記憶していました。

    到着すると監視役の受刑者がこん棒を持って立っている前に座らされ、

    少しでも動くとこん棒で殴られます。また一部屋に押し込まれ、部屋

    の半分以下の場所に3,40人がすし詰めで寝かされるのです。窓の

    外には頭蓋骨や大腿骨を運ぶみすぼらしい姿の受刑者がぞろぞろ歩いて

    行きます。それは第8班と呼ばれ、死体を扱う恐怖の班だったのですが、

    スン・イもそこに呼ばれるのです。そこでは朝4時から夜11時過ぎ

    までひたすら「墓石のおもちゃ」を作る作業が待っており、

    (これがハロウィンのオーナメント)寝ていても手が動くほど働かされ

    ます。しかし頭のきれるスン・イは、作っている物が外国の輸出される

    ことを察し、今の状況を国外の人々に知らせる手紙を書くことを思い

    つきます。

     

    馬三家からの手紙

    出典:IMDb

     

    夜中に力の入らない指で音を立てずに文字を書くことの難しさを

    彼は静かに語るのです。時折回ってくる監視に見つかれば命は

    ありません。法輪功で調べると多くの画像が出てきますが、想像を

    絶する拷問の数々が行われ、それによって傷つき命を落とした

    人々があまりに多くいることに言葉が出ません。
    スン・イが手紙を入れている姿をある時一人の仲間に見つかりますが、

    その人物は「自分も仲間に入る」と語るのです。そして数名が手紙を

    入れる作業に携わり始めた時、法輪功メンバーが手紙を入れて

    いるのを見つかってしまうのです。その人物は電気ショックによる

    拷問受けたものの、決して口を割りませんでした。しかしそれに

    よって「法輪功への専門家チーム」が結成され、わずか10分で
    屈服する拷問を受け始めます。この拷問内容と当時監視役をしていた

    受刑者がインタビューを受けるシーンが交互に映りますが、監視役の

    受刑者も「そうするほかなかった」と後悔で涙を流します。
    強い信念で拷問に耐えたスン・イは2010年9月、人権派弁護士の

    訴えによって刑期通り解放されます。しかしこの弁護士も2016年に

    消息不明になっているのです。
    Lensという香港の雑誌がスン・イの手紙からこの状況を全世界に

    報道すると、今までほとんど知ることがなかった中国国内の人々の

    耳にも入るようになり、16万人の受刑者釈放へと繋がるのです。
    しかしこれも今は閉ざされた方法になっていますね。そもそも国外で

    中国の体制について批判することすら許されない状況なのですから。
    スン・イは2008年収容所からフ・ニンとの離婚を決意し、手紙を

    送付していました。しかし今回の釈放が二人で暮らせる最後の

    チャンスと考え、再婚し、出国して、亡命申請をしようと考えます。
    それはス・イの50歳の誕生日のことです。20年間結婚していて、

    一緒に暮らせたのは2,3年と涙を流しながら話すフ・ニンの姿を

    見ると、夫への愛情の深さと不条理な社会に対する悲嘆を感じます。
    この一連の行動は一つも実行されることなくスン・イはまた逮捕

    されるのです。そして2週間で体調を崩し、フ・ニンが呼ばれ仮釈放に

    なります。警察内で亡くなれば、今や世界的に有名な人物のため
    あれこれ死因について詮索されることを恐れたと推理するフ・ニンの

    話は限りなく真実に近いと思われます。

     

    馬三家からの手紙

    出典:IMDb

     

    そしてスン・イは一人でインドネシアに脱出するのです。そこで

    冒頭のアメリカ人女性ジュリーさんと対面します。ジュリー

    は自分の行動が彼を逆に危険にさらしたのではないかと思っており、
    それがスン・イによって否定されると涙を流して喜ぶのです。

    さらにスン・イは二度と妻と会えないという話を聞くとさらに涙を

    流します。
    彼は2017年にインドネシアに飛び、亡命を申請しましたが、

    その後中国公安当局の接触を受け、現地の病院で突然病死しています。
    「公安はどこの国に行っても存在するから」と語っていたスン・イ

    の言葉を借りると、彼は暗殺されたのではないかと想像できますが、

    家族の願いもむなしく検死や捜査は行われていません。
    インターネットで「中国 人権侵害」と検索すると次々にヒットする

    出来事を絶対に忘れてはいけないし、それを許す国家になっては

    いけないと強く思います。

     

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