1978年、冬。

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JUGEMテーマ:洋画

 

1978年、冬

出典:IMDb

 

「1978年、冬。」

原題:西幹道

監督:リー・チーシアン

2007年 中国=日本映画 101分

キャスト:チャン・トンファン

     リー・チエ

     シエン・チアニー

     チャオ・ハイイエン

     ヤン・シンピン

 

1978年、中国北部の田舎町、西幹道。仕事をさぼり

出歩いているスーピンと内気で学校でいじめられている

ファントウの住む家の前の家に北京からシュエンという

女性がやって来る。一目で彼女を気に入ったスーピンは

行く先々で待ち伏せするが彼女に無視される。一方

ファントウは自分の絵をシュエンに褒められ画用紙まで

もらうのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ このタイプの映画は個人的に大好き

です。時代に翻弄される若者たちの迸る感情が心に響きます。


やきもちと思いやり


1978年という年は、1966年5月から毛沢東主席に

よって実施された文化大革命が1976年10月に終了し、

(同年9月に毛沢東死去)復活した小平が改革開放政策を

展開し始めた時期です。
とはいえ冒頭に字幕で出てくるように「中国北部 田舎町 西幹道」

あたりには、まだ変化の兆しがほとんど見られていません。

古い汽車に乗り通勤、通学する人々が映ります。その中にスーピン、
ファントウ兄弟がいるのです。

 

1978年、冬

出典:IMDb

 

スーピンは18歳で国営工場で働いているはずが、どうやら

そこには行かず、あちこち出歩いているらしい。そのせいで

母親に猛烈に叱られるのです。この叱り方が尋常ではなく、

口だけでなく手も出てしまう。一方ファントウは内気で漫画を

描くのが楽しみなのですが、学校ではいじめられているのです。
ところが彼らの家の前にシュエンという女性が北京からやって

来ます。彼女は向かいの家人の戦友の娘で事情があって

預けられているらしい。

 

1978年、冬

出典:IMDb

 

このシュエンが顔が小さくてとても綺麗なんですよ。曇った窓

からチラリと目に入ったシュエンがあまりに美しく、スーピンは

必死のパッチで見続けます。スーピンの彼女への恋心はあまりに

不器用すぎて伝わらず、逆に勝手に彼女の二胡を弾いて怒らせて

しまうのです。

 

1978年、冬
出典:IMDb

 

気持ちが上手く伝えられないスーピンとは逆に、ファントウは、

シュエンに漫画をほめられ、ついでに新しい画用紙ももらいます。

スーピンがこれに嫉妬して、湯たんぽの湯をファントウの布団に

流し、「おねしょ」を偽装するシーンは、なんともまあ幼稚と

しか思えないけれど、恋愛経験などなかったであろうスーピンに

とっては初めて抱いた気持ちだったんだろうね。
「おねしょ」布団を激おこの母親が玄関先に干すものだから、

シュエンにそれを知られてしまい、ファントウは二重のショック

です。
一つ一つに行動に何の説明もあるはずもないので、その人物の

気持ちになるほかありませんが、なぜかスーピンはシュエンが

投函した手紙をポストから盗み、中に入っていた金を盗むのです。

餃子を注文し、気取ってナイフとフォークで食べるスーピン。

しかしその手紙の裏に書かれていた内容を呼んでスーピンは愕然と

します。シュエンは二胡を弾いたり、踊りを踊るのがとても似合って

いるのに、今は砕石所でひたすら石運びをしているのです。どうやら

父親が文革で失脚し、そのまま病に伏せ、彼女の賃金で薬代を

賄っている模様。その金を盗んだことを知ったスーピンは、なんとか

金を工面しようと考えるのですが、その方法が結局は工場の銅を

盗んで売るというものだし、おまけに手紙を送り直す前にシュエンに

バレて棒で叩かれる始末です。さらに銅泥棒についてシュエンも

巻き添えになってしまい、「なぜ盗んだんだ」と問い詰められると、

スーピンは「彼女に踊ってほしくて」とかなりズレた返答をします。

最初から二人の関りを見ている人にはわかるけれど、第三者には

銅を盗む=彼女の踊りは明らかに結びつきません。でもそれで

スーピンの気持ちがようやくシュエンに伝わったのです。
思い込んだら一直線のスーピンは、金持ちの友人ワンノンの力を

借りてシュエンが文芸団員である証拠写真を送ってあげようと

考えるのです。彼女の手紙には「今文芸団員として頑張っています」
と書いてありましたが、実際は石運びの日々を送っています。それを

不憫に思ったのと自分の贖罪もこめたのでしょう。スーピンは大事に

してきたラジオを売り、カメラを2日間借りて、シュエンにその

つぎはぎ衣装を着せて写真に収めるのです。このつぎはぎ衣装が

できるまでの様子はパパっと映るけれど、この映画で唯一大爆笑

できるシーンです。
そのあと、スーピンの上着が破れていたのを見つけたシュエンが

それを繕ってくれて、その中に何と真っ赤なハートマークが縫って

あるんです。スーピン勝利の雄たけびを上げたい気分!でもそれを
ファントウは複雑な思いで見ているんですよね。
そしてシュエンが突然北京に戻り、次に戻ってくると大そう暗い顔を

しています。雪が降り積もった線路をシュエン、スーピンの順に

離れて歩いて行きます。そのかなり後ろをファントウがついていく

のです。そして廃屋に入るとシュエンは「父が亡くなった」と

言って衣服を脱ぎ始めます。外は雪が積もり、寒々しい空が広がる

冬のことです。そこで何が起こったかは、後をつけてきたファントウが
慌てて逃げだしてくることから想像できます。

ところがスーピンは工場から解雇通知を受け、母親に殴られるし、

それを見ていたファントウが自傷行為で頭にけがを負ってしまうし、

次の逢引きがなぜか町の人に見つかり「不良」呼ばわりされるし、
散々な目に遭うのです。それはスーピンだけでなくファントウへの

いじめにもつながり、ファントウは服を脱がされてしまい、自ら

崖を飛び降ります。
スーピンはこの後急に人民解放軍に入隊することを決意するのです。

それは同じように「不良」呼ばわりされたシュエンやファントウへの

謝罪の意味もあっただろうし、仕事のない身で家にいることは

できないと考えたのでしょうか。この時期人民解放軍に入隊する

ことは強制ではなかったのですべてスーピンの意志に基づいています。

汽車に乗るのを見送る母親は、いつもあんなに叱り飛ばしていたのに
ひたすら彼の身を案じる言葉ばかりかけるんですよね。そして案の定、

駅の先で、シュエンがこっそり見送っています。シュエンは自転車を

捨て、走って汽車を追いかけるし、スーピンは手を振り続けます。
石に躓いて転んでから顔を上げると、汽車は緩く曲がって進んでいき、

スーピンの振る手は見えなくなります。ここは切ないですね。
1年後、シュエンは二胡を弾く仲間に入っています。その頃、

スーピンの自宅にやって来た解放軍の車が何を告げるのか。
いじめられっ子だったファントウが兄を不良呼ばわりされた時、激しく

反抗できるまで成長したのは、すべて兄のおかげではなかったの

でしょうか。
シュエンは西幹道の音楽教師として働き、ファントウ一家は北京に

引っ越していったと最後に字幕で出ます。1978年の冬はスーピン、

ファントウ、シュエンにとって特別なものであったに違いありません。
映画内でしばしば出てくる西幹道発着の汽車の中の映像もどこか

懐かしいものす。そしていつもファントウの隣にいたスーピンの席が

空いているのやスーピンが工場に入るまで見届けていたファントウの

視線の先に彼がいないのを見ると、ジワリと悲しさが湧いてきます。

 

 

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