「まほろ駅前多田便利軒」
監督:大森立嗣
原作:三浦しをん
2011年 日本映画 123分
キャスト:瑛太
松田龍平
鈴木 杏
本上まなみ
大森南朋
柄本 佑
高良健吾
まほろ駅前で便利屋をしている多田は、バツイチでひとり暮らし。今日はチワワを
預かる、という仕事を始めて請け負う。その日、別の仕事を終えた時、中学の同級生
行天に出会う。その日から彼は、多田の家に転がり込んでしまうのだった。
東京から神奈川へ突き出た町「まほろ市」。人も物も流行も最後に行きつく場所、という
瑛太のナレーションから始まります。まほろ市は、架空の地方都市で、実は東京、町田市
をモデルにしているそうです。
まほろ駅前で便利屋を営む多田啓介役は瑛太。淡々と1日を送りながら、心の奥に深い
悲しみを隠し、時々熱くなる、そんな男を演じています。
預かったチワワを連れて、バスの間引き運転のチェックをする、という仕事に出かけた家の
前のバス停で中学時代の同級生行天春彦に出会うのです。
この間引き運転チェックの仕事を依頼するじいさん役が麿赤兒。息子の大森南朋も
駅前の弁当屋役で出演しています。
「こういう寒い夜は、小指がちぎれそうに痛むんだ。」
中学時代に多田の過ちから傷つけられてしまった自分の小指の傷跡を見せながら、
「今晩泊めて。」
なんて行天はスルっと言ってのけます。そしてずるずるそのままいついてしまうのです。
実は行天もつらい過去を持っており、表面では無関心を装いながら、本当は優しい心を
持った人物です。
置き去りにされたチワワの飼い主になってくれた自称コロンビア人の一人は鈴木杏。映画の
中ではハイシーです。彼女たちの家を訪れるヤク中の男、ストーカー男。そして塾のお迎えを
頼まれた由良という少年がバスの座席に隠すスティックシュガー、この中味は...。次々と
事件が起こっていきます。
2人の乗った軽トラックを2人組の男に襲撃され、フロントガラスを叩き割られた時、思わず
多田がこう叫びます。
「なんじゃこりゃ!」
すると即行天が答えます。
「誰?全然似てない。」
この間の取り方と表情が最高です。
行天役の松田龍平の飄々とした演技は、ふわふわと浮かぶような歩き方、走り方、さらに
セリフの言い回しまでこだわっているのがわかりますね。
でも2人ともタバコの吸いすぎ!
ヤクザのボス、星役の高良健吾がめっちゃかっこいいです。
誰か自分を待っている人がいてくれることは、人間が生きていく上で欠くことのできなこと
なのだと実感する映画でした。
<マープルの採点>
お勧め星 ☆☆☆☆
雨がザーザー降っている。出かけるのがめんどうだなあ。