「パンズ・ラビリンス」
原題:el laberinto del fauno/pan's labyrinth
監督:ギルレロ・デル・トロ
2006年 スペイン=メキシコ映画 119分 PG-12
キャスト:セルジ・ロペス
マリベル・ベルドゥー
イバナ・バケロ
ダグ・ジョーンズ
内戦終結後のスペインで、母の再婚相手ビダル大尉の駐屯する
山奥へやって来たオフェリアは、飛んできた虫を追いかけていくうちに
迷宮に入り込んでしまう。ゲリラとフランコ将軍側との戦闘が続く中、
彼女は3つの試練を耐え抜けば、魔法の国へ戻れると守護神から
告げられるのだった。
監督は「デビルズ・バック・ボーン」(2001)のギルレモ・デル・トロです。
ジャケットを見てファンタジー映画を想像してしまうと、実はとても深い意味を
持つ内容で、このシーンはとてつもなく悲しいのだと最後にわかります。
1944年、スペイン。内戦終結後も人々は、フランコ将軍による独裁政権と戦い
続けていました。そんな中、臨月の母カルメンと共に、娘オフェリアは山奥に駐屯
する、母の再婚相手ビダル大尉の元へやって来ます。山道で気分を悪くする母を
よそに、オフェリアは不思議な石像を見つけ、そこに止まる虫を見て
「妖精がいたわ。」
なんて言います。ちょっと不思議な少女です。この不思議さん、オフェリアはおとぎ話が
好きで、その影響と、彼女が味わってきたつらい現実から逃避する手段として時折
おとぎの世界に入り込んでいるのでしょうか。
実は彼女の父は戦死しており、残された美しい母は、おそらくは夫を殺した側の
人間であるビダル大尉と、生活のために再婚しているのです。
そして最初は虫に見えたものが、本当の妖精のような姿になり、ある晩、守護神
パンが現れて、オフェリアに「標の本」なるものを手渡し、
「これから与えられる3つの試練を満月の日までに耐えれば、魔法の国の王女
になれる。」
と言い残していくのです。何も書かれていない「標の本」が、オフェリアが1人の時に
開くと、みるみるうちに文字や絵が浮き上がってきます。このシーンはファンタジー
ですね。
オフェリアが体験している夢のような世界の話と、その外ではゲリラと疑われた農民
父子が無残にも射殺されていまう。それが交互に映ることで、戦争の残酷さを淡々と
訴えかけます。特にビダル役のセルジ・ロペスの残酷さは際立っています。
オフェリアがは1つ目は何とかクリア。金のカエルはめっちゃ気持ち悪い!しかし2つ目
の試練の時、目の前に広がるおいしそうなブドウに目がくらみ、決まり事を破ってついつい
つまみ食いしてしまうのです。つまみ食いを止めようとする妖精とそれを顔をしかめて振り払う
オフェリアは、うまく描けています。さらにその後に出現する目玉が手の平にあるお化けは
これまためっちゃ気持ち悪いです。
しかし、その結果、「魔法の国へは戻れない。人間のままだ。」とパンに言われてしまう。
その絶望に加え、ここを出たいと訴えるオフェリアに対して、母は幾度となく
「人生はおとぎ話ではないのよ。」
と叫びます。さらに彼女や母を守ってくれていた医者が、ゲリラのスパイであることが
ばれて射殺されてしまいます。さらには、最愛の母が、出産の際の大出血で亡くなって
しまうのです。こんな絶望の中で、まだ10代前半の少女が強い心を持ち続けることは
限りなく不可能に近いのです。
彼女が正装した姿は映画の中で2回見られます。けれど本当に幸せな気持ちで過ごして
いるのは、明らかに後者の方でしたね。
<マープルの採点>
お勧め星 ☆☆☆☆
グロ星 ☆☆
ハラハラ星 ☆
エロエロ星
ダルダル星
昨日の雷はすごかったなあ。今日は大丈夫らしいけど。