「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」
原題:Mau som hatar kvinnor
監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
2009年 スウェーデン映画 155分
キャスト:ミカエル・ニクヴィスト
ノオミ・ラパス
スヴェン・バーティル・トープ
ステファン・サウク
雑誌「ミレニアム」の編集者ミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの
スキャンダルを告発するが逆に名誉棄損で訴えられ、裁判で有罪となって
しまう。失意の彼の元へ大企業グループ、ヴァンケルの元会長から奇妙な
調査を依頼される。それは、40年前、一族の住む孤島から失踪した彼の
姪ハリエットが誰に殺されたかを調べるというものだった。
先にハリウッドリメイク版「ドラゴン・タトゥーの女」(2011)を見てしまったので
大体のストーリーはわかっているのですが、文句なくこちらの方がおもしろいです。
スウェーデンの壮大な自然、ヴァンケル一族の複雑な人間関係、ミカエル
とリスベットの微妙な距離感、そして失踪当日の様子などが、2作品で全く違う
描かれ方になっています。 ミカエル役はダニエル・クレイグの方が明らかにステキ
です。上映時間はほとんど同じなので、何を丁寧に映し、何をさらりと済ませたか
を比べるとこれはこれでおもしろいです。
映画はまずミカエルが裁判に敗訴するところから始まります。
リメイク版では、共同経営者の女性とのロマンスがありましたが、それは一切なく
彼は離婚し、恋人もいないちょっと個性的な風貌の中年男です。裁判で有罪と
なり、3か月後の収監を控えて失意のどん底にいる彼の元へ、突然大企業ヴァンケル
グループの中心人物ヘンリックから
「40年前に一族の住むヘーデビー島から姿を消した16歳の少女ハリエットが誰に
殺害されたか調べてほしい。」
と依頼されるのです。ヴァンケル一族の複雑な人間関係はさらりと描かれ、混乱も
なく頭に入って来ます。ヘンリックと敵対するのが誰かを事細かに描かず、誰が
親ナチスかだけを知らされるので、ははん、つまりこの人たちはつながっているんだ
とわかるわけです。それとハリエットの両親についてもそれほど詳しく話されません。
この辺りで、リメイク版は何回も巻き戻して見たのよね。
一方ミルトン社調査員リスベットは映像記憶能力に秀でており、天才的なハッカー
でもあるのです。そして調査対象だったミカエルのPCにハッキングし、彼が行き詰った
調査の手助けを始めます。リスベット役は「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」
(2011)のノオミ・ラパス。
野性的かつ筋肉質な体型で、かなり小柄なので、北欧の女性という印象を受けません。
ルーニー・マーラの方が神秘的な感じがするなあ。また彼女が後見人の弁護士に
暴行されるシーンはこの映画では、映像的にはソフトなものであり、逆にその弁護士に
復讐するシーンは残酷かつ時間をかけて描いているので、爽快でもあります。
そしてミカエルとリスベットが真相に近づいていき、遂に発覚した事実と絶対絶命の
危機に陥っているミカエルの姿。過去の事件の被害者の写真がリアルかつ幾度と
なく映しだされ、その詳細が十分すぎるほど伝わります。
そして終盤の展開もかなり異なったものとなっており、リスベットがなぜこの事件の
調査に加わったのか、その気持ちも様々な角度からわかってきます。2,3も見ないと
いけませんね。というか原作を読みたくなりました。これまた長い本です。
<マープルの採点>
お勧め星 ☆☆☆☆
グロ星 ☆☆
ハラハラ星 ☆☆
エロエロ星 ☆
ダルダル星
早起きしても暑い。夜も暑い。もう秋になってほしい。