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    • 2023.01.12 Thursday
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    ザ・ホークス〜ハワード・ヒューズを売った男〜

    3
    JUGEMテーマ:洋画
     
    ザ・ホークス

    「ザ・ホークス〜ハワード・ヒューズを売った男〜」
    原題:the hoax
    監督:ラッセ・ハルストレム
    2006年   アメリカ映画   114分
    キャスト:リチャード・ギア
         アルフレッド・モリーナ
         マーシャ・ゲイ・ハーデン
         ホープ・ディヴィス

    1971年、ニューヨーク。売れない作家クリフォードは、今世紀最大の
    内容の作品ということで、大富豪ハワード・ヒューズの偽自伝執筆を
    思いつく。彼は調査員のディックと共に巧みな話術で情報を集め、
    有名出版社から多額の手付金を受け取ることに成功するのだった。

    ザ・ホークス

    hoax=「でっち上げ」
    この映画の主役クリフォード・アーヴィングを演じるのは、ややぽっちゃり
    していた頃のリチャード・ギア。彼がハワード・ヒューズそっくりの声や話し方
    を真似ていく様子は、さすが俳優!と思ってしまいます。そして相棒のディック
    役のアルフレッド・モリーナのひょうきんな表情や動きが、また対照的でうまく
    組み合わさっています。

    ザ・ホークス

    「ホラ」もあまりにも壮大に吹いてしまうと、普通は信じない人間も信じ、
    欲と名誉のためにマスコミも踊らされてしまう、という世界を皮肉っているよう
    でもあるのです。そうそう、最近もそんなことがありましたね。確かな裏付けの
    ないまま、スクープを狙って失敗してしまうと、本当に後始末が大へんです。
    1971年、世間ではベトナム戦争反対の風が吹き荒れる中、ニューヨークの
    売れない作家クリフォードは焦っていたのです。ようやく出版できそうになった
    原稿がボツになり、彼は次作で何とか挽回しなければならない。担当者も既に
    新人さんになってしまっている。

    ザ・ホークス

    「今世紀最大の内容の作品を出すから期待してくれ。」
    出版社で大見得を切ったものの、何のネタも持ち合わせていないのです。
    そんな時、彼は著名な大富豪でありながら、15年もの間、表舞台に現れて
    いないハワード・ヒューズをターゲットにしようと考えます。まず、ヒューズの
    筆跡や筆圧を真似して、偽の自伝執筆依頼の手紙を作成、それを出版社に
    持参するのです。もちろん筆跡鑑定されますが、見事本物と認められます。
    このように様々なシーンで、チェックを受けるクリフォードとディックの虚勢と
    動揺する表情が、本当にうまく演じられています。一番スリルがあったのは
    序盤のペンタゴンから機密資料を持ち出す時のボディチェックですね。両脚の
    チェックの後、胴体に移った時にすかさず資料をズボンの中へ落とす。うまい!
    ここはフィクションですよねえ。
    クリフォードの巧みな話術とディックの調査能力で、ヒューズの資料がどんどん
    手元に集まって来ます。そこにはかなりヤバい内容までも含まれており、それを
    知ったディックが、この仕事から抜けようと考えると、クリフォードはこの友を
    陥れてまでも手元に置くことを画策するのです。さらに妻エディスさえも仲間に
    引き込んでしまいます。
    ここまで来るとクリフォードは、ヒューズの役作りにのめり込み過ぎて、自分自身
    さえも創作し、現実と虚構との区別がつかなくなってしまう。ここは原作者の
    自己弁護に過ぎないと考えましたが、精神的にも追い込まれていた、と言いたい
    のでしょう。

    ザ・ホークス

    結局クリフォードのウソを暴いたのは、表舞台を毛嫌いしていたヒューズの肉声
    だったことは皮肉です。
    70年代のファッション、車、街並みなどがうまく再現され、当時のニュース映像も
    含めながらテンポよく作られた映画でした。

    <マープルの採点>
    お勧め星   ☆☆☆

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    今の時期ってコートを着るかどうか悩むよねえ。

    ファースター 怒りの銃弾

    4
    ファースター

    「ファースター 怒りの銃弾」
    原題:faster
    監督:ジョージ・ティルマン・Jr
    2010年   アメリカ映画   98分
    キャスト:ドウェイン・ジョンソン
         ビリー・ボブ・ソーントン
         オリヴァー・ジャクソン=コーエン

    10年前、銀行強盗を成功させた直後、何者かにはめられ、仲間と
    ともにドライバーは兄も殺されてしまう。服役を終えた彼は、かつて
    襲った相手に一人ずつ復讐していく。一方、退職間際の刑事とイケメン
    の殺し屋 は、ドライバーの後を追うのだった。

    ファースター

    「ドライバー」役のドウェイン・ジョンソンは、プロレス界のスーパースター
    だっただけあり、見事な体格をしています。鋭い眼光...と言いたいところだけれど
    個人的には、筋肉バカに見えてしまいました。
    10年前に、大好きな兄に誘われて、他の2人の仲間と共にドライバーは銀行強盗
    を働き、まんまと大金を手に入れるのです。ところが帰宅した彼らを待ち伏せしていた
    何者かによって、仲間2人は射殺され、兄も目の間でのどを掻き切られ、ドライバー
    自身も頭に銃弾を撃ち込まれるのです。幸運にも命を取り留めたドライバーは、
    刑務所内で日々兄の復讐のためにトレーニングを積んで、やっと出所します。
    弾が後頭部から頬に抜けたので、彼の頬には傷跡が残り、頭には鉄板が入って
    いるのです。
    この彼は出所した1日目から、探偵に調べさせた事件の対象者を次々と襲って
    行きます。1人目は通販会社へさっさと入り込み、狙った相手の眉間をズドン!
    2人目は、変態ビデオ野郎で、そいつもあっという間にズドン!とここまでは
    鮮やかに殺していきます。その間にも、この対象者たちが、事件の時何を
    したがが回想シーンで流れるのです。ふむふむこれはわかりやすい。
    大好きな兄のためにどんどん復讐していくドライバーに対し、殺し屋が雇われ
    ます。

    ファースター

    これが結構イケメンなんですが、なんかちょっとおかしい。何かのカウンセリングを
    受け、クスリも飲んでいます。ついでにリリーという恋人との結婚を夢見る可愛い
    所もあるのです。これって映画に何か意味あるのかな。
    そして最初の通販会社での殺人事件を担当するのが、あと10日で退職を控えた、
    どうやらドラッグ中毒らしい刑事です。この男がかなりヘタレ気味で、妻は元情報屋
    であり、かつ今は別居中。一人息子はデブでドン臭いけれど可愛くて仕方なく、
    何とか時間を作っては会いに行っている模様です。

    ファースター

    この超個性的な2人の男がドライバーを追い始めるのです。とりあえず3人の
    私生活を一通り見せながらストーリーは進むのですが、3人目の対象者に行き
    着いた時、今までのスタイルとうってかわって、ドライバーは、アイスピックで
    戦います。相手はナイフでのタイマン。
    「後で1人出ていく。それが誰でもサツには言うな。」
    対象者の言葉はかっこいいけれど、すぐにアイスピックの嵐を浴び
    「息子に伝えてくれ。」
    なんて言ってドライバーに携帯を渡すシーンが加わって、ややダレます。え〜、
    この筋肉バカは忠実にその電話を使って事の次第を息子に話すのです。なんか
    無駄な情のような気がします。
    そして筋肉バカの極めつけは、この対象者の死を確認しなかったことです。ニュース
    で彼の生存を知り、再び戻ってきて、治療中の手術室でズドン!だから最初から
    そうすべきなのよね。
    そして4人目に至っては、今や宗教家になっていて、彼の説教を聞いているうちに、
    なぜかドライバーはうるうるしてきます。この男も死を覚悟するとドライバーに
    「息子に伝えてくれ。」
    と言うのです。復讐に燃え続けた男が、こうも簡単に変心できるものなのでしょうか。
    一応ズドンと一発銃声が鳴り響きます。
    ドライバーというだけあって、明らかにスタントでしょうが、猛スピードでバックする車の
    ドライブテクニックは見ごたえがあります。さらに殺し屋のフェラーリとドライバーの
    シボレーとのカーチェイスもなかなか見せてくれますよ。

    ファースター

    ファースター

    そうそうドライバーの元恋人役でジェニファー・カーペンターが出演しています。
    アゴでわかるよ。


    ファースター

    高評価のレビューもありますが、個人的には、中身のないしょうもない筋肉バカ
    映画と判断しました。

    <マープルの採点>
    お勧め星   ☆☆
    グロ星
    ハラハラ星  ☆
    エロエロ星
    ダルダル星



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    急に寒くなった。オコタを出しておいてよかったわあ。

    The Cat ザ・キャット

    4
    JUGEMテーマ:Horror
     
    the cat

    「The Cat ザ・キャット」
    原題:CAT
    監督:ピョン・スンウク
    2011年   韓国映画   105分
    キャスト:パク・ミニョン
         キム・ドンウク
         キム・イェロン

    ペットショップのトリマー、ソヨンは、白い猫ビダンのトリミングを
    担当する。ところがその飼い主が、帰宅するエレベーター内で
    変死し、彼女はその猫を預かることになる。そしてその日から
    彼女は不気味な少女の幻影を見るようになるのだった。

    the cat

    ヒロインのソヨン役のパク・ミニョンは可愛いのですが、ちょっと演技が
    ワンパターンで、怖さを表現するのをもう少し様々な表情で表したら
    いいのになあ、と思ってしまいます。お顔は明らかにお手入れ済みですね。
    出てくる猫たちは可愛い子ばかりです。
    気になるのは、ソヨンが幼い頃のトラウマから閉所恐怖症となっていて、
    通院までしているのに、その理由はわからず、また、実父が精神病院に
    入院しているのに、病院へは行くものの面会しないのです。この辺りは
    説明が一切ありません。
    そこを抜きにしてこの映画を見ると、ありきたりなストーリーながら、要所、要所
    はドキドキする怖いシーンの連続です。
    まずトリマーのソヨンがビダンという白い猫のトリミングを楽しそうに行っている
    シーンが映ります。飼い主が迎えに来て(これがよくある金持ちだけれどブサイク
    なおばさん風)猫を手渡していると、トリミング室の窓に、無気味な少女が張り
    ついているのです。気づかないソヨンをよそに、その窓には、次のシーンでは
    小さな手形が残っています。ゾゾー。
    そして外で見送っていると、そのビダンのしっぽを触る無気味な少女が、今度は
    ソヨンの目にも入って来ます。口を押えて、「は〜!」、腰を抜かして「ひ〜!」
    目を見開いてワナワナ震えるなどが恐怖を表す演技らしく、その少ないパターン
    がこれから何度でも見られます。(これ、嫌味)
    さて、ビダンを連れて帰ったおばさんは、マンションのエレベーターに乗り込むの
    ですが、なかなかドアが閉まらない。ふむふむここで何かが起こるな。
    猫が鳴く声が響き渡る中、シーンは変わります。実はというかやはりこの飼い主は
    エレベーター内で急死し、とりあえずソヨンがこの猫を預かることになるのです。
    白くてぷくぷくしたとても可愛い猫が、ソヨンのベッドの下に入り込むので、覗き込む
    ビダンの2つの目の後ろに、もう2つの目が光っています。キャー怖い!
    それからソヨンは、ペットショップの倉庫で大量の猫の死骸や、そこから伸びてくる
    ちいさな手に体をつかまれるような幻影を見始めるのです。猫、小さな手。ここに
    ヒントがあるようですね。

    the cat

    そして保健所から猫を譲り受けた、ソヨンの親友ボヒも自宅で謎の死を遂げ、その
    現場にもソヨンは居合わせてしまうのです。ボヒの元カレは交番の警察官になって
    いて、最初から事件を担当しているのですが、この彼をソヨンは片思い中。ここは
    余分な恋愛話のような気がします。

    the cat

    傍目に見ると、ソヨンの方がかなり可愛いのにこの警察官ジュンソクは、ボヒ
    のことが忘れられないようです。
    そんなこんなであまりに怖い思いをしたソヨンは、ビダンを公園に捨てることに
    します。そこでばったり認知症のおばあさんと出会い、彼女を交番まで連れて
    行ってあげたことから、ストーリーは一挙に進むのです。これまでの怖いシーン
    は前菜ですかね。謎の解けるのも速いです。もっと上手に組み立てて、ソヨンの
    過去も絡めたら、すっきりさっぱりしたと思うなあ。

    the cat

    映画のラストも可愛い子猫が映ります。ソウルの冬は寒いのね。
    「猫の実写シーンは、獣医の指導の元、安全に行われました」という字幕が
    出てきます。それであっても猫好きの人には、見るのがつらいシーンがたくさん
    ありました。

    <マープルの採点>
    お勧め星   ☆☆☆
    グロ星    ☆☆
    ゾクゾク星  ☆☆
    エロエロ星
    ダルダル星



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    近所で解体工事中。地震みたいに揺れる我が家...。

    ビリーバーズ

    3
     

    ビリーバーズ

    「ビリーバーズ」
    原題:believers
    監督:ダニエル・マイリック
    2007年   アメリカ   103分
    キャスト:ジョニー・メスナー
         ジョン・ウェルタス
         ダニエル・ベンサーリ
         キャロリン・ヘネシー

    救命士のデイブとヴィクターが、救助要請を受けて現場に向かうと
    そこには、女性が倒れており、そばには1人の少女が立っていた。
    そして女性を蘇生し始めたデイブ達の前に謎の集団が現れ、彼らに
    よって、4人は連れ去られてしまう。その集団は「クアンタ」というカルト
    集団であった。

    ビリーバーズ

    これ、かなり怖いです、グロさとか怨霊ではなく、人間がいとも簡単に
    洗脳されていく姿が描かれており、リアルな怖さを感じます。普段は
    カルト集団に属することなど、ものすごく非現実的に感じているのに
    このドラマを見ると、人の心の弱い部分を刺激し、そこから巧みに集団
    へ引きずり込むという、まるで人の心の中に増殖していく無気味な生物
    のようにさえ思えてくるのです。

    ビリーバーズ

    冒頭「クアンタ」という自給自足の集団の広報担当者がTV出演し、様々な
    うんちくを話しています。
    「神について話しませんか?」
    という訪問をしばし受けますが、その人たちの口から出るような言葉とはやや
    異なった、かなり論理的な内容です。しかしアナウンサーは適当に受け流し、
    時間だから、と次回の出演者の紹介を始めるのです。そりゃそうだ。
    一方、救命士のデイブは、愛妻のおなかの中の子供が男の子とわかり、
    大はしゃぎ。そこへ救援要請が入り、同僚で親友のヴィクターと2人で出動
    するのです。この時の2人の会話から、幸せの絶頂にあるデイブとは裏腹に何やら
    心に影を持っているヴィクターが見えてきます。ふふん。こういう人物こそターゲット
    になりやすいのよね。
    現場に到着すると、そこには瀕死の女性が横たわっており、そばにリビーという
    少女がいるのです。
    「追われているの。」「奴らが来るわ」
    レッベカという母親に体には、無気味な数式のタトゥーが彫られているのです。
    とりあえず救命士としての職務を果たそうとしていると、突然謎の集団が現れ、
    彼らは発砲されたあげく連れ去られてしまいます。あれ?現場のガススタンドの
    男もグルなのかしら?電話で救急要請したのは、リビー?

    ビリーバーズ

    そこからは誘拐された2人が、黙想室という「トイレ」の個室に入れられ、念仏の
    ような声を聞かされながら、監視カメラで監視され続ける映像が流れます。ここが
    かなり長く、ややダレます。時折、変な男たちがやってきて、彼ら「クアンタ」という
    集団の目的について話しますが、これがちっともわからない。量子力学に基づいた
    公式の発見により、世界消滅の脅威が近づく中、選ばれた者たちが「永遠の命」
    を手に入れるために、宇宙の反対側へ行くのだ、てなことを言っているようです。
    デイブはひたすら抵抗し続けますが、この集団のタルボット博士は、2人の過去や
    心の中を全て見通しているのです。先ほどの発砲により負傷したうえ、彼のために
    身を粉にして働いた母親を亡くしているヴィクターは、その弱い所を突かれ、見事に
    洗脳されてしまいます。その時、なぜか先ほどのレベッカが、健康な体で現れ、
    数式のタトゥーだらけの身体で誘惑してくるのです。もう、ヴィクターは元の彼では
    なくなってしまいましたー。
    この「クアンタ」集団は、変な形のタトゥーを首の後ろに入れており、白い上着を着て
    います。この白い衣装というのが、どこかで見た危険な宗教団体を彷彿とさせますね。
    但し、この映画ではこの集団は、財産を寄付しろ、とか不必要な暴力を行うわけでは
    ないのです。ひたすら、博士の公式が絶対的な真実であり、そのために全てを捨てて
    その時を迎えよう、ということを唱えるのです。
    終盤、デイブには「時間がない」ということで高電圧ショックを続けざまに与えられます
    が、それとて「その時」が目前にあるからなのです。
    というと、この集団が正しいかのように思えます。いや、違う。
    ラストは、ある意味では驚愕のものでしたが、このように世紀末を唱えて、人々の心を
    掻き乱し、それに乗じて集団に取り込んでいくのはやはり邪道です。もしも正しい論理
    ならば、選ばれし者、などという言葉は使わないのでは?と思ってしまいました。
    但し、ヒタヒタと伝わる恐怖は格別のものがあります。

    <マープルの採点>
    お勧め星   ☆☆☆
    グロ星
    ハラハラ星  ☆☆
    エロエロ星  ☆
    ダルダル星  ☆



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    雨は止んだけれど、なにやら曇ったまま。

    ヴェラ・ドレイク

    4
    JUGEMテーマ:洋画
     
    ヴェラ・ドレイク

    「ヴェラ・ドレイク」
    原題:Vera Drake
    監督:マイク・リー
    2004年   イギリス=フランス=ニュージーランド映画   125分  PG-12
    キャスト:イメルダ・スタウントン
         フィル・ディヴィス
         ピーター・ワイト
         ヘザー・クラニー
         エイドリアン・スカーボロー

    第二次大戦後のロンドン。ヴェラは夫と息子、娘と共に貧しいながらも
    幸せに暮らしていた。彼女はあちこちの家の家事を手伝っていたが、実は
    秘密の仕事もこなしていた。

    ヴェラ・ドレイク

    働き者で世話好きで、家族だけでなく近所の誰からも愛され、信頼されて
    いるヴェラのまわりにはいつも笑顔があふれ、まるで太陽のように輝いて
    いあるのです。ヴェラ役のイメルダ・スタウントンが本当に芸達者で、汚れ
    のない心の持ち主であることを見る者に印象づけます。
    1950年の大戦の影が残るロンドンで、彼女たちは貧しいながらも必死で
    生きているのです。
    「ヴェラの心は黄金だ」
    「いやダイアモンドなんだ」
    ヴェラの夫スタンとその弟フランクが彼女について語ります。かぼちゃの
    ような柄のカバーがかかったティーポットで、毎日家族のみんなに紅茶を
    注いで回るヴェラを中心として、この一家は小さな幸せをかみしめていたのです。

    ヴェラ・ドレイク

    ところがヴェラには誰にも内緒にしているもう一つの仕事がありました。それは
    幼なじみのリリアンの紹介する望まない妊娠をした女性の堕胎を行うことだった
    のです。

    ヴェラ・ドレイク

    彼女は人を助けるため、と無償で引き受けています。リリアンが実はお金を
    もらっていることなど、つゆ知らず。
    この当時イギリスでは、1861年制定の人身保護法で、医師の診断なしでは
    堕胎ができず、その診断を受けるためには莫大な費用がかかっていました。
    貧しい人々は、食べていく当てがなくても出産するしかなかったのです。
    ヴェラがどうしてこの仕事に入ったのかは、映画内ではほとんど触れていません。
    おそらくは、彼女が過去に同じような体験をしたのでしょう。全てヴェラの笑顔で
    丸く収まっていくのかのように思えました。
    現在行われているアメリカ大統領選の争点にもなっている「中絶」という問題は
    宗教もからみ、かなり難しいものです。しかし「レイプでは妊娠などしない」などと
    いう全く根拠のない意見を述べる議員が存在するのには唖然としました。
    この映画の中でも金持ちの娘がレイプされ妊娠します。しかしお金があることで
    しっかりとした医師の診断を受け、清潔な病室へ入院できるのです。その一方で
    薄暗い部屋で、粗末な器具と石鹸水で流産を促す処置を行うヴェラの姿が映り
    ます。この時代、おそらくは後者の女性の方が多かったのではないでしょうか。
    ヴェラはあくまでも「人を助けただけ」なのです。それが法律に触れることももちろん
    承知だったはずです。
    ところが彼女が処置をしたパメラという女性の容体が急変し、病院へ運び込まれて
    しまうのです。遂にヴェラの行為が警察の知ることとなったのです。

    ヴェラ・ドレイク

    雪の降りしきる日、折しも内気な娘エセルがやっとレジーという男性と婚約
    したお祝いの日に、非情にも警察が訪れます。彼女は涙を流しながら、全てを
    家族に知らせなければならないことを悟り、さらにむせび泣くのです。これ以降は
    ヴェラが小さな手で、くしゃくしゃのハンカチを握りしめながら、ひたすら泣き続ける
    シーンが続きます。彼女にとって、その行為は犯罪ではなく、「人助け」の1つに
    すぎなかったのです。しかし重大な犯罪であることも知っていた。
    事実を知った息子シド、夫スタンの弟フランクの妻ジョイスは、ヴェラの行為
    を強く責めるのです。その気持ちもわかります。彼女は確かに犯罪を行い、それ
    によって人の命が脅かされたのですから。

    ヴェラ・ドレイク

    しかしヴェラは犯罪者とは程遠い、結婚指輪を外したことさえない、普通の主婦
    なのです。何よりも家族を愛し、大事にし、それは近所の人、お手伝いに行っている
    先の家でも理解されていました。
    クリスマスの日、エセルの婚約者レジーがが
    「最高のクリスマスだよ。」
    とおそらくは本心を言葉に出します。戦争で家族を失ったレジーにとって、ここは
    最高の場所だったのですね。ヴェラはその言葉に今度はうれしい涙を流すのです。
    しかし、現実には彼女は収監され、一人欠けたテーブルで家族が紅茶を飲もう
    とするシーンが映り、エンディングです。彼女がこの家の太陽であり、笑顔を誘って
    くれていたことを印象づけていました。この家に再び笑顔は戻るのでしょうか。
    ヨーロッパ映画特有の静かさの中で、心の機微を描いた作品でした。

    <マープルの採点>
    お勧め星   ☆☆☆☆



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    明日は雨らしい。いやだ、用事がある...。

    アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ

    4
    JUGEMテーマ:Horror

    アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ

    「アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ」
    原題:I spit on your grave
    監督:スティーヴン・R・モンロー
    2010年   アメリカ映画   106分
    キャスト:セーラ・バトラー
         ジェフ・ブランソン
         ダニエル・フランゼーゼ
         ロドニー・イーストマン
         チャド・リンドバーグ

    作家のジェニファーは、執筆活動のためモッキングバードという田舎町の
    ロッジへやってくる。しかしその町の男たちに暴行され、彼女は川へ身を
    投げる。彼女の所在もわからぬまま不安な日々を送っていた男たちの元
    へ、やがて無気味な出来事が起こり始めるのだった。

    アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ

    「悪魔のえじき」(1978)、本国では「発情アニマル」というポルノ映画扱いと
    なったオリジナルを以前に見ました。ヒロインの女性は都会から来たか弱そうな
    雰囲気を持ち、その彼女を襲う鬼畜並みのアホ男たちを、後半バッサバッサと
    やっつけていく姿には、残酷でありながら爽快感を覚えたような気がします。
    この映画も設定は同じで、作家のジェニファー・ヒルズがモッキングバードという
    田舎町を訪れるシーンから始まります。この人わりとたくましい体つきなんです。
    ちょっとイメージ狂うわあ。そして立ち寄ったガソリンスタンドには、いやらしそうな
    目つきや言葉をかける男たちがたむろしています。彼らの家庭環境はほとんど
    わからず、ただ悪い奴ららしいということだけわかるのです。でも確かにアホで田舎
    者のひがみ丸出しの発想は同じですね。

    アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ

    で、例のトロいマシューはというと、ジェニファーが滞在するロッジの水道管の
    修理のやって来ます。これでメンツは全てそろいました。するとあっという間に
    奴らの悪事が始まり、とても陰湿なのですが、じわりじわりと来るのではなく、
    本当にあっという間の展開です。そしてノーパンのジェニファーはなぜかそのまま
    森の中へ向かい、助けてもらえそうな保安官ストークと出会うのです。そっかー。
    そう来たかー。

    アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ

    この保安官こそ諸悪の根源であり、その一方で家ではマイホームパパなんです。
    その保安官も参戦して再びジェニファーへの暴行が始まり、彼女はそのまま川に
    身を投げます。ここからの復讐劇はもはやホラー映画、スプラッター映画です。
    マシューはとりあえず後で使うために、気絶だけさせ、スタンリーはウサギ用の
    ワナでとっ捕まえます。そしてジェニファーを水責めにしたアンディは、水酸化
    ナトリウム入りのバスタブに顔をつけられ、その間にスタンリーは口にネズミの
    死骸を突っ込まれ、大好きなVTRを見るために瞼を釣り針で引き上げられるのです。

    アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ

    こんなにも準備してたのね。そういえば最初の方で、ロッジのそばに、いろいろな
    用具が入っている納屋のような建物が映ったなあ。
    「I want to see your teeth.」
    と言い続けたジョニーは、歯を抜かれ、局部を切り落とされて、口の中に突っ込まれ
    ます。おい、おい、どこまでやるんだね。ここまでする執念深い女は、これからの
    人生が怖すぎます。
    お尻大好き保安官ストークなんてお尻の穴に銃口を刺しこまれ、マシューを活用して
    ズドン。後半のグロい展開はそれなりにおもしろいのですが、ジェニファーが復讐
    の鬼に変わっていく過程が一切描かれていないので、ただその映像にドキリとした
    だけでした。
    鬼畜にはこれだけのことをしてやるのが一番だけどね。

    <マープルの採点>
    お勧め星   ☆☆☆
    グロ星    ☆☆☆
    ゾクゾク星  ☆
    エロエロ星  ☆
    ダルダル星



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    今日はおこたに初めて電源を入れました。寒かった。

    魔法使いの弟子

    4
    JUGEMテーマ:洋画
     
    魔法使いの弟子

    「魔法使いの弟子」
    原題:the sorcerer's apprentice
    監督:ジョン・タートルトープ
    2010年   アメリカ映画   110分
    キャスト:ニコラス・ケイジ
         ジェイ・バルチェル
         アルフレッド・モリーナ
         トビー・ベル
         モニッカ・ベルッチ

    10歳の少年デイヴはベッキーへのラブレターの返事のメモを風に
    さらわれ、見知らぬ建物に入り込む。そこにはバルサザールという
    不気味な男がおり、指輪を渡され、「キミは魔法使いになるのだ」と
    言われてしまう。ところがそこへホルヴァルトという同じように無気味
    な人物が現れ、2人は激しい戦いを繰り広げるのだった。

    魔法使いの弟子

    見終わってみるとなぜか楽しいディズニー映画です。魔法、冒険など
    昭和の子供が好きそうな題材がそろっています。今でもこのイメージで
    映画を作り続けているのだなあ、と実感。
    それでも大人も楽しめるのは、魔法使いヴェロニカ役のモニッカ・ベルッチ
    の妖艶さでしょうか。グラマラスなからだと艶っぽい眼差しで、おそらくは
    その辺の男はイチコロだな。

    魔法使いの弟子

    さらに悪い魔法使いの末裔で、現代ではマジシャンをしているドレイク役
    は「タイタンの逆襲」(2012)のトビー・ベル。こういうイカサマ師っぽい役
    が本当にぴったりです。

    魔法使いの弟子

    さて、かつて魔法使いマーリンの弟子、ヴェロニカ、バルサザール、ホルヴァルト
    は、悪い魔法使いモルガナを倒すために戦っていたのですが、ホルヴァルトの
    裏切りにより、彼らはピンチになって...。この辺りは、映画を見ていくと概要が
    つかめます。冒頭のシーンだけではちょっとわかりづらいです。とりあえず悪者
    もひっくるめてマトリューシカのような入れ子人形の中に閉じ込めていたわけです。
    そしてモルガナを完全に倒すために、マーリンの後継者を捜し続けて1000年
    以上の月日が流れ、このラブレター捜しのわんぱく坊主と出会いました。そんな
    ことは全然理解できないデイヴは、目の前で繰り広げられる、魔法使い同士の
    派手なアクションに唖然、茫然。最後は現場で火事が起こり、水をかぶった時に
    先生に見つかり、濡れたズボンから「オシッコもらし」と呼ばれて笑い者になって
    しまいます。これっていじめだわ。
    このデイヴは10年経った今、物理オタクの大学生になっています。


    魔法使いの弟子

    この役のジェイ・バルチェルが全くイケてない。そしてジェシー・アイゼンバーグを
    彷彿とさせる、理屈っぽいへっぽこ男なんです。それでもバルサザールが彼を
    見つけ出し、魔法を教えようとするのですが、ろくろく努力もせず、恋い焦がれて
    いた例の女子ベッキーと再会したことで、彼女とのデートを優先させてしまう始末。
    この前半のイライラ感は、中盤から繰り広げられる、ドラゴンの大暴れや大学の
    トイレでのアクション、そしてカメハメハーのような火の玉攻撃などを見るとやや
    解消されます。そしてきわめつけは、バルサザールの愛車のクラッシックカーが
    メルセデスのスポーツカーになり、ホルヴァートの乗るタクシーがフェラーリに
    変わって、ものすごくド派手なカーチェイスを繰り広げます。実際には、一般人に
    けが人が出たとのことで、そこまでしなくてもいいのに、というほどの力の入り方です。
    あのクラッシックカーはニコラス・ケイジの愛車かなあ。
    終盤になって、ようやくこのダサ男が底意地を見せます。そして魔法使い同士の
    戦いの結末は、デイヴの恋の結末も絡めてエンディング。
    全てめでたしめでたしというところが、本当に無難な映画ですねえ。
    魔法だけでは古く、今や物理も活用しなければならないということです。

    <マープルの採点>
    お勧め星   ☆☆☆

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    今朝も涼しかった。だんだん寒くなるのね。

    ディファイアンス

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    JUGEMテーマ:洋画
     
    ディファイアンス

    「ディファイアンス」
    原題:defiance
    監督:エドワード・ズウィック
    2008年   アメリカ映画   136分
    キャスト:ダニエル・クレイグ
         リーヴ・シュレイバー
         ジェイミー・ベル
         ミア・ワシコウスカ

    1941年、ソ連領ベラルーシの森をナチスによるユダヤ人狩りから
    逃れた多くのユダヤ人がさまよっていた。その中にビエルスキ兄弟が
    おり、兄トゥヴィアをリーダーとして彼らは次第に増えていく同胞と共に
    追手からの逃走を図るのだった。

    ディファイアンス

    西からはヒトラー率いるナチスドイツ軍、東からはスターリン率いるソ連軍
    に侵攻されたポーランドに住んでいたユダヤ人の姿を描いています。これ
    は彼らがあくまでも誇り高く生き続けた姿を描いたわけではなく、とにかく
    生き延びるために、農家から牛乳や卵を略奪し、ドイツ軍を襲撃して、薬品や
    武器を奪いながら、極限状態で過ごしたユダヤ人の姿です。
    1941年に始まった、ナチスによるユダヤ人狩りは、占領されたポーランド
    国内にもおよび、何万というユダヤ人が銃殺されたのです。その中には
    両親を殺されたトゥヴィア、アザエル、ズシュ、アーロンという兄弟もいました。
    映画内では、トゥヴィアのすぐ下がズシュ、そしてアザエル、アーロンという
    順になっていますが、実際は、トゥヴィアとアザエルは年が近く、ズシュはかなり
    年下だったとのことです。
    彼らは、とりあえずソ連領ベラルーシの森へ逃げ込むのです。ところがそこには
    他にも逃げ込んできたユダヤ人がおり、あれよあれよという間に大きな集団と
    なっていきます。
    「1人捕まえれば、500ルーブルもらえる」
    とつい少し前まで、自分たちの町の警察署長だった男が語ります。お金のために
    ユダヤ人を売り、逆にユダヤ人をかくまったり、援助した者は、容赦なく殺害されて
    いく、という恐ろしい状況だったのです。
    トゥヴィア役は、ダニエル・クレイグ。

    ディファイアンス

    アメリカ映画なので普通の会話は英語です。時折ソ連軍と話す時は、ロシア語、
    ドイツ兵はドイツ語を話している、というちょっと複雑なもの。英語以外の会話では、
    英語の字幕が出てきます。
    弟ズシュ役は「ソルト」(2010)でアンジーの上司ウィンター役を演じた
    リーヴ・シュレイバーです。

    ディファイアンス

    どちらかというとこの人の方が老けて見えます。
    森の中を移動しながら、彼らはトゥヴィアをリーダーとした共同体を作り、ユダヤ人
    が自由に行動できる場所を作ろうと考えるのです。
    一方、好戦的なズシュは、ロシア赤軍に入隊し、ドイツ軍と直接戦い始めます。

    ディファイアンス

    アザエルとハイアがこの森で知り合い、結婚式を挙げるというしばしの楽しい時間
    の時、ズシュの属するロシア赤軍は、ドイツの車列に機関銃を撃ちこんでいきます。
    このシーンが交互に映り、人間らしさと非人間的な姿を対比して見せつけてくれます。
    しかし冬になり、食糧が底をつくと、人間の中の醜い一面が姿を現すのです。遂に
    力で抑えつけるトゥヴィア。彼はあくまでも厳しく行動し、危険を回避したかったのです。
    ところが森で恋仲になったリルカに
    「人間らしく生きよう」
    と提案され、妊婦の出産した子供に夢を託します。その一方で、捕虜となったドイツ兵
    に対する彼らの暴行には、一切口出ししません。
    「子供が2人いるんだ」
    子供がいようといまいが、同じように家族を奪われたユダヤ人にとって憎しみの対象は
    変わらないのです。この集団での暴行シーンも、そこにいた人々の真の姿であろうと
    理解できます。
    終盤のドイツ軍の戦車に対抗する彼らの姿は、かなり創作だったようですが、彼らは
    その後2年生き延びて、最終的には、学校や病院まであったとのこと。
    映画のラストに字幕で流れるビエルスキ兄弟のその後の実際の姿と、ここで生き延びた
    ユダヤ人の子孫が数万人にのぼり、今なお生き続けている、という文章は胸にぐっと
    きました。

    <マープルの採点>
    お勧め星   ☆☆☆☆



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    今朝の気温は8度。寒いはずだわ。

    カティンの森

    4
    JUGEMテーマ:洋画
     
    カティンの森

    「カティンの森」
    原題:Katyn
    監督:アンジェイ・ワイダ
    原作:アンジェイ・ムラルチク 「カティンの森」
    2007年  ポーランド映画   123分  R15+
    キャスト:マヤ・オスタシェフスカ 
         アントゥル・ジミイェフスキ
         マヤ・コモロフスカ
         ヴワディスワフ・コヴァルスキ

    1939年ドイツとソ連による侵攻で、ポーランド国内を逃げまどう人々
    の中に、クラクフから夫アンジェイ大尉を捜しにやって来たアンナが
    いた。彼女は、捕虜となってソ連軍に連行される夫と一瞬再会できたものの
    生き別れになってしまう。夫の帰還を待ち望むアンナの前につらい現実が
    次々と起こるのだった。

    カティンの森

    「カティンの森事件」は第二次世界大戦中、ドイツとソ連によって国を分断
    されたポーランドにおいて、ポーランド軍将校1万数千人が虐殺された事件
    です。この事件を巡っては、大戦中、ドイツ軍がソ連軍によるものと発表した
    ものの、戦争終結後、戦勝国であるソ連は、ドイツ軍による行為だったと主張
    し続け、1989年にポーランドの共産主義政権が崩壊するまで、国内では
    真相の究明がされないままだったのです。
    ストーリーは事実に忠実に進められ、1939年、西からドイツ軍、東から
    ソ連軍に侵攻されたポーランド国内で、その時々の時流に翻弄される民衆の
    姿を描いています。
    大尉アンジェイを夫に持つアンナは、娘ニカと共に、捕虜となった彼に会いに
    駅へ向かいます。線路の上で東西から行きかう人々の姿が、これからさらに
    混迷していくポーランド国民の姿を暗示しているようです。ポーランド軍は、
    将校たちはソ連軍、兵士たちはドイツ軍の捕虜となったのです。

    カティンの森

    アンジェイ大尉は、1冊のメモ帳に事実を克明に記していきます。
    実は、この映画の監督の実父も虐殺の被害者であり、それゆえに、冷静かつ
    淡々とした映像でありながら、その底辺に流れる強い憤りを感じ取ることができます。
    BGMはほとんどなく、当時の記録フィルムも交えて目の前に映し出されるのです。

    カティンの森

    国内で一度は、ソ連軍により大量の将校が虐殺された、というニュース映像が
    流され、ポーランド軍元大将の妻は、ドイツ軍のプロパガンダに利用されそうになります。

    カティンの森

    彼女の毅然とした態度は、極めて誇り高いものであり、拒否した後、建物の外で崩れ
    落ちる姿は胸が痛みます。ところが戦後は、戦勝国であるソ連が、この虐殺はドイツ軍
    によるものだというニュース映像を流すのです。映像は同じで、ナレーションが変わって
    いるだけです。そして学校も教会さえも、ソ連軍の支配下に置かれ、歯向かうものは
    全て検挙されていきます。
    アンナが待ち続けた夫アンジェイの父ヤン教授は、戦時中にドイツの収容所で病死。
    しかし日々ラジオで流され、広報として配布される戦没者名簿には、アンジェイの名前は
    ありません。一筋の望みを糧に戦後の厳しい暮らしを続けるアンナの前に、夫の部下イェジ
    が現れるのです。彼は今はソ連軍配下の新ポーランド軍の少佐になっています。そこで
    知ってしまった真実。
    戦時中人民解放軍として戦ったことが認められ、かつては大佐のメイドだった女性の
    夫は今や市長。その一方で、中尉だった兄の墓石に、「ソ連軍のよる」と入れただけで
    検挙される女性。全てがソ連の支配下にあるポーランド国内での悲劇だったのですね。
    「分別」することが、世の中をうまくわたっていく方法ならば、プライドはどこに持つべきか。
    アンナや大尉夫人などの姿を見ると考えさせられるものでした。
    忘れてはならない事実は、正しく伝えていくべきものだ、ということを訴えたいです。

    <マープルの採点>
    お勧め星   ☆☆☆☆




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    久しぶりの土砂降り。そういえば夏は大雨が多かったなあ。

    ミッドナイト・トレイン

    4
     
    ミッドナイト/トレイン

    「ミッドナイト・トレイン」
    原題:night train
    監督:ブライアン・キング
    2009年   アメリカ=ドイツ=ルーマニア映画   91分
    キャスト:ダニー・グローヴァー  
         リーリー・ソビエンスキー
         スティーヴ・ザーン
         ジェフ・ベル

    雪深いクリスマスイブの夜、列車ナイチンゲール号には、数名の乗客が
    乗っており、途中の駅から小柄な男が乗り込んでくる。ところがその男が
    突然泡を吹いて急死する。車掌マイルズが通報しようとした時、その男の
    カバンの中に奇妙な箱があるのが見つかるのだった。

    サスペンスというより、ホラー映画という感じです。ロケ地はブルガリアだ
    そうですが、列車の走るシーンはほとんどCGで、舞台もおおむね列車内
    です。その狭い列車内と限られた登場人物でうまくストーリーがまとめて
    あります。
    車掌は実直そうなマイルズ


    ミッドナイト/トレイン

    若いフランキーの2人、乗客は医学生のクロエ

    ミッドナイト/トレイン

    胡散臭い営業マン、ピート

    ミッドナイト/トレイン

    ポメラニアンを連れた老婦人、囲碁をする2人組の日本人です。そこへヒーハー
    必死で走ってくる男が現れます。背の低い貧弱な白人ですが、何やら怪しげ
    なバッグを大事そうに抱え、左手の小指には無気味なリングをはめています。
    2009年の映画とは思えない、いつの時代の設定なんだろうとまず感じます。
    さて、さっきのヒーハー男は、ピートに勧められたウォッカと何かの薬を飲んだ
    直後に泡を吹いて死んでしまうのです。
    「事件現場はそのままで」なんて鉄則はそっちのけで、ピートは、その男のバッグ
    をさばくると、何やら変わった箱が出てきます。これをのぞいたピートは思わず
    「おお〜。」
    すごい物が入っているらしい。クロエも息をのみます。これがいったい何なのかは
    見ている側には最後までわかりません。但し500万ドル以上の価値があるようです。
    ここで悪魔の囁き。
    ーこの男は切符を持っていない。だから死体を捨てて、これを山分けしようー
    ピート、クロエ、マイルズの3人はその計画を進める始めます。で、この男の死体
    をどうするか、必死こいて先頭車両まで運んだのに、詰め込めるような大きさの
    トランクが見当たらない。男2人であれこれ意見を言っているうちに、クロエが大きな
    包丁で、死体をどんどん切り刻んでいきます。こういう時の女子は思い切りがいい。

    ミッドナイト/トレイン

    医学生だから、どこを切ればうまくまとまるかわかるんだって。
    何とか死体を列車が橋の上を通過する時に、ポイしたもののすぐに目撃者の通報で
    警察がやってきます。ここから3人の裏切りあり、脇からの参戦アリで、死体の
    山が出来上がっていくのです。あれよ、あれよと言う間ですよ。
    終盤のクロエの執念は、グレン・クローズ並みの怖さです。とどめを刺されて
    いないとはいえ、怖い怖い。
    で、箱の中身は一体なんだったのかというと、結局モヤモヤしたままなんです。
    ただ、その箱の中身を見た者は、夜明け前に死ぬ、というのは本当のようです。

    <マープルの採点>
    お勧め星   ☆☆☆
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    気持ちがいい秋の日です。ぎんなんが実っています。


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