「魔法使いの弟子」
原題:the sorcerer's apprentice
監督:ジョン・タートルトープ
2010年 アメリカ映画 110分
キャスト:ニコラス・ケイジ
ジェイ・バルチェル
アルフレッド・モリーナ
トビー・ベル
モニッカ・ベルッチ
10歳の少年デイヴはベッキーへのラブレターの返事のメモを風に
さらわれ、見知らぬ建物に入り込む。そこにはバルサザールという
不気味な男がおり、指輪を渡され、「キミは魔法使いになるのだ」と
言われてしまう。ところがそこへホルヴァルトという同じように無気味
な人物が現れ、2人は激しい戦いを繰り広げるのだった。
見終わってみるとなぜか楽しいディズニー映画です。魔法、冒険など
昭和の子供が好きそうな題材がそろっています。今でもこのイメージで
映画を作り続けているのだなあ、と実感。
それでも大人も楽しめるのは、魔法使いヴェロニカ役のモニッカ・ベルッチ
の妖艶さでしょうか。グラマラスなからだと艶っぽい眼差しで、おそらくは
その辺の男はイチコロだな。
さらに悪い魔法使いの末裔で、現代ではマジシャンをしているドレイク役
は「タイタンの逆襲」(2012)のトビー・ベル。こういうイカサマ師っぽい役
が本当にぴったりです。
さて、かつて魔法使いマーリンの弟子、ヴェロニカ、バルサザール、ホルヴァルト
は、悪い魔法使いモルガナを倒すために戦っていたのですが、ホルヴァルトの
裏切りにより、彼らはピンチになって...。この辺りは、映画を見ていくと概要が
つかめます。冒頭のシーンだけではちょっとわかりづらいです。とりあえず悪者
もひっくるめてマトリューシカのような入れ子人形の中に閉じ込めていたわけです。
そしてモルガナを完全に倒すために、マーリンの後継者を捜し続けて1000年
以上の月日が流れ、このラブレター捜しのわんぱく坊主と出会いました。そんな
ことは全然理解できないデイヴは、目の前で繰り広げられる、魔法使い同士の
派手なアクションに唖然、茫然。最後は現場で火事が起こり、水をかぶった時に
先生に見つかり、濡れたズボンから「オシッコもらし」と呼ばれて笑い者になって
しまいます。これっていじめだわ。
このデイヴは10年経った今、物理オタクの大学生になっています。この役のジェイ・バルチェルが全くイケてない。そしてジェシー・アイゼンバーグを
彷彿とさせる、理屈っぽいへっぽこ男なんです。それでもバルサザールが彼を
見つけ出し、魔法を教えようとするのですが、ろくろく努力もせず、恋い焦がれて
いた例の女子ベッキーと再会したことで、彼女とのデートを優先させてしまう始末。
この前半のイライラ感は、中盤から繰り広げられる、ドラゴンの大暴れや大学の
トイレでのアクション、そしてカメハメハーのような火の玉攻撃などを見るとやや
解消されます。そしてきわめつけは、バルサザールの愛車のクラッシックカーが
メルセデスのスポーツカーになり、ホルヴァートの乗るタクシーがフェラーリに
変わって、ものすごくド派手なカーチェイスを繰り広げます。実際には、一般人に
けが人が出たとのことで、そこまでしなくてもいいのに、というほどの力の入り方です。
あのクラッシックカーはニコラス・ケイジの愛車かなあ。
終盤になって、ようやくこのダサ男が底意地を見せます。そして魔法使い同士の
戦いの結末は、デイヴの恋の結末も絡めてエンディング。
全てめでたしめでたしというところが、本当に無難な映画ですねえ。
魔法だけでは古く、今や物理も活用しなければならないということです。
<マープルの採点>
お勧め星 ☆☆☆
今朝も涼しかった。だんだん寒くなるのね。