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洋画「360」
原題:360
監督:フェルナンド・メイレレス
2011年 イタリア=オーストリア=フランス=ブラジル映画
110分
キャスト:アンソニー・ホプキンス
ジュード・ロウ
レイチェル・ワイズ
マリア・フロール
ベン・フォスター
ウィーンの高級娼婦ブランカは、イギリス人との約束をすっぽかされる。
そのイギリス人マイケルの妻はブラジル人と浮気中。そしてブラジル人
ルイの恋人は、彼に愛想を尽かし、ブラジルへ帰国する飛行機の中で
ジョンという初老の男性と知り合うのだった。
音楽、映像、脚本がいいんですよ。イラっとするセリフや言い回しも
ありません。それが時にお洒落で、時に教訓めいて聞こえるのです。
まず、ウィーン。高級娼婦として働き、金持ちになることを夢見る
ブランカのバストから始まります。「その眼はやめて」付き添いの妹に
何度も言うブランカ。そして最初の客マイケル(ジュード・ロウ)は、
仕事の交渉相手に邪魔をされ、その日は遊びをあきらめるのです。
したたかな交渉相手ピーター役は、「es エス」(2001)の
モーリッツ・ブライプトロイ。
そしてパリ。アルジェリア人歯科医が、部下のバレンティーナの後を
タクシーでつけています。彼は敬虔なイスラム教徒であり、既婚者である
バレンティーナへの恋心に悩むのです。ロンドン。ブラジル人ルイに別れを切り出すローズ。(レイチェル・ワイズ)
彼女が帰宅した家に先述のマイケルが帰ってきます。そう2人は夫婦なのです。そしてルイの浮気に業を煮やした恋人ローラは、荷物をまとめてブラジルへ
帰国する飛行機に乗ります。ルイの落ち込みようったらありません。
コロラド。6年間服役したタイラー(ベン・フォスター)は、犯罪更生
プログラムに参加するため、単身飛行機に搭乗。彼は自分が再犯するのでは
ないかと不安で仕方がないのです。その飛行機の乗継便が遅延し、空港のロビーには、例のローラはおり、先の
飛行機内で席が隣合わせだったジョンと食事の約束をします。ジョン
(アンソニー・ホプキンス)は自身の浮気が原因で娘に家出され、その行方を
ひたすら追っているのです。久しぶりの外の世界に戸惑うタイラーを誘うローラ。性犯罪で服役していた
彼を誘うなんて...。ベン・フォスターってこういう役をやらせたら天下一品
ですね。一方のジョンは、約束をすっぽかしたローラに自分の娘の姿を重ね
合わせ、翌日、搭乗口に彼女の姿を見て、一安心。
さらにバレンティーナの夫セルゲイは、ロシアマフィアのボスに犬のように
こき使われ、罵倒されるし、妻からは離婚を切り出されます。
この話が最初のブランカとどうつながっていくかは、ホテルでの数発の銃声
で締めくくられます。ブランカのレビューに星5つつけたのは、ピーターの
いたずらであり、それを信じてボスのためにブランカを用意したセルゲイ。
誰が幸せになるのか。それを考えながらこの映画を見るととても楽しいです。
ラストはブランカが最初に行った、高級娼婦としてのプロフィール写真撮影
のために1人の女性がバストを見せる。バストに始まりバストに終わります。
<マープルの採点>
お勧め星 ☆☆☆
爽やかだねえ。夏の暑さを忘れます。