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    • 2023.01.12 Thursday
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    ツォツィ

    4
    JUGEMテーマ:洋画

    ツォツィ

    「ツォツィ」
    原題:Tsotsi
    監督:ギャヴィン・フッド
    2005年 南アフリカ=イギリス映画 95分 R15
    キャスト:プレスリー・チュエ=ヤハエ
         テリー・フェト
         モッスィ・マッハーノ
         ゼンゾ・ンゴーベ

    南アフリカのスラムに暮らすツォツィは、仲間と
    ともに窃盗やカージャックを繰り返している。しかし
    ある時、女性に発砲し、車を奪ったところ、その後部
    座席に赤ん坊がいることに気付くのだった。

    <お勧め星>☆☆☆☆ 今なお残る南アフリカでの
    格差社会の中で、一筋の光を感じることができます。


    この映画は未成年者による殺傷シーンがあるため、映倫
    ではR15指定を受けつつ、何やかやで、今は15歳未満
    でもレンタル可能、おまけにBSジャパンで放送されて
    います。第78回アカデミー賞では外国語映画賞を受賞して
    います。


    ツォツィ

    ツォツィは「不良」という意味であり、彼の本名は
    デビッドです。しかしその本名を誰も知らないし、知ろう
    ともしない人々が暮らすスラムに住んでいます。仲間と
    つるんでは、窃盗やカージャックをして小金を稼ぎ、
    酒を飲み、ぼろい家に一人帰る日々が日常。しかしある時
    仲間のブッチャーが、地下鉄の中で、なんの躊躇もなく
    財布を盗んだ相手を殺す姿を見てしまいます。それに対し、
    ボストンが
    「品位がない」

    と言う。しかしもともと無学のツォツィは「品位」という
    言葉すら理解できないし、自分の感情を言葉で表現したり、
    人を思いやる気持ちすら知らないのです。したがって
    ツォツィは、ボストンをボコボコにします。それでしか
    自分の気持ちを表せないのです。
    そして1人で金持ちの女性の車を奪おうとしたところ、大きな
    声をあげられ、思わず彼女に発砲してしまいます。その後
    奪い去った車の後部座席から赤ん坊の泣き声が聞こえるのです。
    この時の被害者はかなり裕福な黒人で、富裕層が暮らす地域
    に邸宅を構えており、車もセキュリティも立派。かたや
    スラム、かたや金持ちと同じ人種間での格差もうかがい知れ
    ます。

    ツォツィは赤ん坊をどう扱っていいかわからず、とりあえず
    家に連れて帰るのです。


    ツォツィ

    時折映り込む彼の幼少期の姿は、あまりにも悲惨であり、母の
    愛を受けられなかったことや、父の暴力から逃れるため、ドラム
    缶暮らしをしていたことがわかるのです。
    赤ん坊の世話などできるはずもなく、汚れたおむつを替えた後、
    新聞紙でお尻を覆ったり、ミルクの代わりに缶入りのスキムミルク
    を与えたりするのですが、それでも彼はこの赤ん坊が宝物の
    ように思えてくるわけです。

    その心の変化は、最初は地下鉄構内で物乞いをする体の不自由な
    男性を軽蔑していたのに、彼から
    「なぜ生き続けるかは、手で温もりを感じたいからだ」
    と言われたことも重なって、さらに大きく動きます。今まで
    人のものを盗むことへの罪悪感など持ち合わせなかった彼が、
    初めて自分の犯した罪の重さを感じ始めた瞬間でもあります。
    終盤に同じ家に仲間と盗みに入ると、他の仲間は貴金属を盗む
    のに、彼は子供部屋に入り、ミルクやおもちゃを盗む。さらに
    再び無駄な発砲をしようとしたブッチャーを逆に射殺します。

    これによって彼は仲間と疎遠になりますが、本人は、赤ん坊
    を見て「人間としての愛」を知るのです。ほとんど表情の
    変わらないツォツィが、とても愛おしそうに赤ん坊を見つめ、
    思わず涙を流すシーンは、見ている側も感動します。赤ん坊
    のために乳を与える女性を見つけ、彼女からも、違う美しさ
    つまり、彼女が作るガラス細工はただのガラスと思えていた
    のに、実は様々な色に輝いている、ということを教わるのです。
    赤ん坊を返しに行った家で待ち受けていた警官隊を制止する
    その家の男性も同じ人種として、彼を救いたかったのかも
    しれません。これが白人富裕層なら一発ドカンで終わりでしょう。

    首都ヨハネスブルグは、高層ビルが立ち並び、近代化された
    街並みを見せていますが、そのすぐ脇には、ツォツィたちが
    暮らすスラムがあり、それは今も存在しているということが
    現実です。


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    真夜中のピアニスト

    5
    JUGEMテーマ:洋画

    真夜中のピアニスト

    「真夜中のピアニスト」
    原題:De Battre Mon Cieur Se'st Arrete
             The beat that my heart skipped
    監督:ジャック・オーディアール
    2005年 フランス映画 108分
    キャスト:ロマン・デュリス
         ニエル・アレスリュプ
         オーレ・アッティカ
         エマニュエル・ドゥヴォス
         リン・ダンフアン

    トムは父の跡を継ぎ、不動産裏ブローカーとして
    働いている。しかし名ピアニストだった亡き母の
    かつのマネージャーに再会してから、再びピアノへの
    情熱が湧き上がるのだった。

    <お勧め星>☆☆ あらすじやジャケットから想像する
    内容とはかなり異なり、かなり芸術的な映画です。


    1978年のアメリカ映画「マッド・フィンガーズ」の
    リメイクとのことですが、そもそもその映画を知りません。
    主人公トムは、ファブリス、サミーと組んで、不動産裏
    ブローカーの仕事をしています。値上がりを見込んでは、
    住民を追い出して、安く買った建物を高値で売るような
    仕事のようです。そこには不法に占拠する移民たちが
    住み着いており、3人で暴力的な行為で追い出しを図る
    というかなり荒手の手法を用いています。

    トムはこの仕事に満足しているわけではないのが、深夜
    帰宅すると亡き母のテープを聴く姿から伺えるのです。
    で、ある時母のマネージャーだった男性と再会したこと
    から、彼は再びピアニストとして頑張ろう!という気に
    になります。その辺りの心に動きがいまいち掴めないのと、
    ちょくちょく女性が入り込むことから、いまいち映画に
    集中できません。

    父が再婚相手だと紹介する女性は、エマニュエル・ドヴォス。
    「もう一人の息子」(2012)の印象が強く、かなり
    豊満な体型だったような。トムは彼女を嫌いますが、終盤
    には既に別れた父を見張ってほしいとお願いしたりする。
    そしてトムにピアノを教える中国人女性、ミャリオン。
    フランス語ができず、ミャリオンは中国語、トムはフランス語
    でピアノのレッスンって...。言語が理解できなくても叱られ
    たことはわかるようです。でも師弟関係以上にはならず。


    真夜中のピアニスト

    また、相棒ファブリスの浮気をカモフラージュする役を
    演じているうちに、彼の妻アリーヌと関係ができてしまいます。
    これも知らないうちに終わったらしい。
    さらに、父の金を騙し取ったロシア人ミンスコフの愛人?
    役はメラニー・ロラン。彼女を脅すはずが、なぜかトイレで
    いちゃつく始末。


    真夜中のピアニスト

    その一方でピアノの練習に明け暮れるのに、10年のブランク
    は大きく、肝心のオーディションでは、出だしから失敗して
    しまうのです。また、ピアノに心を奪われているうちに、仕事
    のミーティングを忘れたり、仕事中も指を動かすほどで集中
    ができなくなっています。
    相棒からは、ピアノは趣味だ、仕事の傍らに楽しめばいい、と
    言われ、ついトムはカッとなってしまう。
    つまり父の仕事=不動産業と母の仕事=ピアノの間で揺れ動く
    トムの心を描きたかったということでしょうか。金になる仕事
    は男、芸術は女かなあ。カメラワークは凝っていて、トムに
    指の大映しは、いままさに弾いているかのように感じましたが、
    個人的にはあまり面白くなかった。



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    トゥヤーの結婚

    4
    JUGEMテーマ:洋画

    トゥヤーの結婚

    「トゥヤーの結婚」
    原題:Tuya's Marriage
    監督:ワン・チュアンアン
    2006年 中国映画 96分
    キャスト:ユー・ナン
         バータル
         センゲー

    内モンゴル自治区の草原に暮らすトゥヤーは
    事故で下半身不随となった夫と2人の子供を
    抱え、日々の生活に疲れ果てていた。彼女は
    夫と離婚し、新しい伴侶を求めることを考える
    が、そこには夫も一緒に暮らす、という条件を
    つけており、そのためになかなか話が進まない。

    <お勧め星>☆☆☆ 内モンゴル地区の過酷な
    自然とその中でたくましく生きる女性をうまく
    描いています。


    トゥヤー役のユー・ナンは、実際にはかなり
    美しい女優さんですが、遊牧民の服装をし、顔
    の大部分をスカーフで覆っているので、全く
    気付きません。


    トゥヤーの結婚

    ほぼノーメイクで、かつ乾燥した気候ゆえの唇の
    ひび割れまで上手に映し出されます。
    最初と最後にトゥヤーの結婚式で、彼女が息子を叱り、
    そして一人テントに戻って涙を流すシーンが映ります。
    最初はその涙の意味が全くつかめませんげ、ラストには
    なんとなく理解できてきます。
    トゥヤーはラクダに乗って、羊飼いの仕事をして生計を
    たて、1日に2往復、30kmの道のりを水汲み場まで向かう
    のです。その間に、動けない夫バータルと子供2人の世話
    までこなすのです。


    トゥヤーの結婚

    かつてはモンゴル相撲の優勝者だったバータルも、井戸掘り
    の際、ダイナマイトの爆発で下半身不随となっているのです。
    この地域での水の大切さは、過酷な自然を映しながら、描かれ
    ます。家の周りは乾いた土ばかり。冬場は凍えるほどの寒さ
    なのです。ラクダを家畜に使っているのは初めて知りました。
    「ハン」「フン」とか指示を出すと、進んだり、止まったり
    さらには、「ウン」とか言うと上手に体を折りたたんで、
    主人が降りられるような高さにしてくれるのです。結構賢い。

    そして隣人センゲー(といってもどこが隣なのか)は、嫁に
    駆け落ちされては、金をむしりとられるお人好しです。でも
    何気にトゥヤーの息子はなついています。ところがこの
    センゲーを助けたことが原因で、彼女は腰を痛めていること
    が発覚し、夫と離婚し、新しい伴侶を捜そうと考えるわけです。
    ところがこの再婚の条件は「バータルも一緒に養うこと」。
    じゃあなんで離婚するのか、と思ってしまう。そこには、
    バータルへの強い愛情を持ちつつ、生活のために違う夫を
    持たねばならない苦渋の選択があったのです。とはいっても
    そんな都合のいい男性はそうそういません。トゥヤーの離婚
    を聞いて、プロポーズに訪れる男たちもことごとくフラれるか、
    条件を聞いて帰っていきます。そりゃそうだ。

    唯一トゥヤーの同級生でいまや会社経営のボロルと再婚を決意
    するも、バータルとの同居は拒まれ、介護施設に入居させら
    れたバータルの自殺未遂騒動もあって、やっぱりおじゃんに
    なるのです。この時のトゥヤーの怒り具合は、彼女の深い愛情
    を表しています。
    そして結局彼女が再婚を決意したのは...。
    華やかなモンゴル独特の結婚の宴で、再びあれこれもめ事が
    起きます。彼女はその時に初めて一人で涙を流すのです。その
    涙の意味は、思うようにいかない自分の人生と、これからも
    きっと変わらない人生への悲しみだったのでしょうか。
    四季おりおりの自然が壮大に描かれ、彼らの生活を垣間見る
    ことができました。



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    白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々

    4
    JUGEMテーマ:洋画

    白バラの祈り

    「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」
    原題:Sophie Scholl-Die Letzten Tage
    監督:マルク・ローテムンド
    2005年 ドイツ映画 121分
    キャスト:ユリア・イェンナ
         フロリアン・シュテッター
         マキシミリアン・ブリュックナー
         アレクサンダー・ヘルト

    ハンス、ゾフィー兄妹たちは、ナチス政権下のドイツで
    秘かに反ナチ運動を繰り広げている。しかし大学構内で
    ビラまきが見つかり、彼らはゲシュタポに逮捕されて
    しまうのだった。

    <お勧め星>☆☆☆ 強い信念と正義を貫いた若者の
    姿に静かな感動と、胸の痛みを覚えます。


    「白いバラ」は第二次世界大戦中のドイツにおいて行われた
    非暴力主義の反ナチ運動をさすということを、この映画で初めて
    知りました。
    ナチスドイツ時代を描いた映画は、様々な立場から数多く作ら
    れており、その都度あの暗黒ともいうべき時代の恐怖を感じ
    させられます。
    この映画は前述の「白いバラ」という学生を中心とした運動に
    参加した学生が、ゲシュタポに逮捕され、不当な裁判の末、たった
    5日で処刑されたハンス、ゾフィー、クリストフのうちゾフィーの
    視点でストーリーが進みます。


    白バラの祈り

    1943年2月18日、反ナチのビラを大学構内で撒くことを決行する
    兄妹の姿が、白い壁と効果音と共に映し出されていきます。そして
    ナチス党員の大学職員の通報でハンスたちはゲシュタポに逮捕され
    るのです。当初、ビラとは一切関係がない、と主張するゾフィーは
    「ノンポリよ」と毅然と答えます。しかし家宅捜索の結果数々の
    証拠が見つけ出され、ゾフィーは兄と共に行為を認め、「良心」
    で行ったこと、と主張を変えます。このゾフィーとゲシュタポの
    モーアとのやり取りは、最初は朗らかにそして次第にシリアスな
    ものに変わっていきます。しかしそれ以上に怖いのは、その後
    ミュンヘンでの公開裁判の時の判事と3人とのやり取りです。
    極めてヒステリックな判事は、彼らの主張をことごとく遮断し、
    一方的な考えを押し付けます。弁護士も飾り物にすぎません。
    上から与えられた思想と異なる考えは排除し、違うことを違うと
    言えない、間違っていることに異を唱えられない状況は、その先
    には破滅の道しかないことを物語っているかのようです。
    ちなみにこの判事は終戦間際に、米英の戦闘機の爆撃で死亡した
    とのこと。それに何の意味もないのですが、なぜか自業自得と
    考えてしまいます。

    そして「言葉」による行動の広がりをナチスドイツが大きな脅威
    と考えていたことは、ゾフィーたちが皆「ギロチン」という
    残酷な方法で処刑されたことからも伺えます。
    映画内で拘留中のゾフィーが窓から日差しを見続けるシーンが
    映ります。それが彼女の見た明るい未来だったと思いたいです。


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    生きてるものはいないのか

    4
    JUGEMテーマ:邦画

    生きてるものはいないのか

    「生きてるものはいないのか」
    監督:石井岳龍
    原作:前田司郎
    2011年 日本映画 113分
    キャスト:染谷将太
         高梨 臨
         白井廿日
         飯田あさと
         高橋真唯

    神西大学周辺で鉄道事故が連続して起こる。そして
    都市伝説を研究している学生、三角関係の話し合いを
    している男女、友人の結婚式の出し物を決めている
    人々などが次々に謎の死を遂げるのだった。

    <お勧め星>☆☆ 戯曲が原作なのでセリフが多いのは
    わかりますが、最後まで話に入り込めず。


    「シャニダールの花」(2013)の石井岳龍監督作品
    であることからして、こんな内容だろうと思ったら、その
    通りでした。やっぱりよくわからない。
    神西大学構内で大学病院の場所を尋ねる男は、腹違いの
    妹で、医学生のマキを捜しているのです。そして構内の
    喫茶室では、恋人の子供を身ごもった女性と男女が深刻な
    話をしています。


    生きてるものはいないのか

    ところがこの男が全然深刻でないのです。極めて優柔不断
    だし、かみ合わない3人の会話は滑稽です。ウェイター役
    は染谷将太。そして冒頭の男と話した女子学生は都市伝説
    を卒論のテーマにしており、大学病院の地下3階に秘密の
    研究施設がある、という話を友人にしています。このナナ役
    の高橋真唯が可愛いです。

    そしてナナが雑談をしている友人たち、アンドレ、エイコ、
    エナリは、三角関係でもめる男女の結婚式の出し物を決め
    ているわけです。その他様々な人物が出てきますが、どれも

    セリフが畳みかけるようなものばかりで、やや理屈っぽい。
    それとなぜか知らないけれど、世界中の人々がどんどん死んで
    いるのに、パニックとか緊張感とかが描かれていません。
    極めて淡々と、次に来るであろう自分の死を待つのです。
    死ぬ時に「誰かに見守ってほしい」という者。「一人がいい」
    という者。「死ぬ前にいう言葉を考えている」という者など
    様々ですが、長い文章を考えたあまり、すべて言い切れずに
    死んでしまう男はかなり滑稽。一方で、恋人や息子の死を
    目の当たりにし、「殺して」という人間の首を絞める病気の
    女性などがいて、シリアスさも同時に描いています。
    死ぬ前に告白してもフラれ、死ぬ間際に再び告白してまた
    フラれる男に至っては哀れでもあります。
    ただラストは何が言いたかったのか、やはりよくわかりません
    でした。



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    サマリア

    5
    JUGEMテーマ:韓国映画全般

    サマリア

    「サマリア」
    原題:Samaria
    監督:キム・ギドク
    2004年 韓国映画 95分
    キャスト:クァク・チミン
         ハン・ヨルム
         イ・オル

    ソウルの女子高生ヨジンは、親友チェヨンの援助交際
    の見張り兼代金の管理をしている。2人はヨーロッパ
    への航空券を購入を夢見ているのだ。しかし警察から
    逃れるために、チェヨンはホテルの窓から転落死し、
    ヨジンは自分なりの罪の償いを始める。しかし刑事の
    父が彼女の行動に気付いてしまうのだった。

    <お勧め星>☆☆☆半 静かな音楽と映像美が独特の
    雰囲気を醸し出しています。


    早撮りで有名なキム・ギドク監督だけあって、この映画
    も11日で撮影したそうです。
    映画は3つの章に分かれています。
    第1章。「バスミルダ」
    インドの伝説の娼婦の名前で、援助交際をしているチェヨン
    は「これからわたしをバスミルダと呼んで」とにっこり
    笑うのです。誰でも愛し、受け入れ、癒す、ということに
    喜びを感じる存在として彼女も満足しているのでしょうか。
    この映画では、韓国映画特有の家族の強い絆はヨジン親子
    のみ描かれ、チェヨンの身の上は一切わかりません。

    ヨジンは、彼女の援助交際の手配をしつつ、見張り、そして
    金の管理をしています。しかしチェヨンと異なり、相手の
    男性たちに深い嫌悪感を抱いているのです。それは、仕事
    の後で、共同浴場で彼女の体を洗ってあげるシーンからも
    うかがえます。


    サマリア

    チェヨンは光のように輝き、愛くるしいのと反対に、ヨジンは
    陰のようであり、縁の下の力持ちといった感じです。この2人
    も親友以上のように描かれますが、そこもはっきりとは語ら
    れないのです。

    第2章。「サマリア」
    警察の取り締まりから逃れるために、チェヨンはホテルの窓
    から転落します。大けがを負っても彼女の家族の連絡先さえ
    知らないヨジン。とりあえず、一番チェヨンが気に入っていた
    援助交際の相手を呼びに行くのです。そこでヨジンは...。
    そんな犠牲を払って男を連れてきたのにチェヨンは既に亡くなって
    います。それもにっこり微笑んで姿です。この辺りは淡々と
    映像が流され、ヨジンの心がどのように変わっていったのかは、
    見ている側に理解させるものになっています。親友を失い、
    一人になったヨジンが、親友の血を、バスルームで流す姿は、
    彼女がいったい何を消し去りたかったのか、と考えます。
    そしてヨジンは、これまでチェヨンが相手をした男性とホテルに
    行き、逆に金を返すことで、手帳からその名前を消していくという
    行為に進むのです。


    サマリア

    第3章。「ソナタ」
    全てを集結するこの章では、娘の行為をたまたま見かけてしまった
    刑事の父ヨンギが、その相手に復讐していくシーンが映し出され
    それが次第にエスカレートしていくところまで、一気に描かれ
    ます。妻を亡くしたヨンギにとってかけがえのない娘の思いがけ
    ない行動は、娘ではなくその相手への激しい憎しみと変わるのです。
    終盤、ソウルから離れた片田舎へ2人で旅行した際、夜更けに
    一人で泣きじゃくるヨジンとそれをこっそり見ている父。肝心な
    話は一切しないのに、おそらくはお互いのことをすべてわかって
    いたのだと理解します。

    河原で車の運転を教えながら
    「ここからは、一人で走るんだよ。パパはついていかないよ」
    とヨンギはヨジンに声をかけます。その意味についてヨジンは
    額面通りに受け取るのですよ。
    朝もやの中の湧き水、車の赤いテールランプなど幻想的な映像美
    に酔いしれました。


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    ノア 約束の舟

    4
    JUGEMテーマ:洋画

    ノア

    「ノア 約束の舟」
    原題:Noah
    監督:ダーレン・アロノフスキー
    2014年 アメリカ映画 138分
    キャスト:ラッセル・クロウ
         ジェニファー・コネリー
         レイ・ウィンストン
         エマ・ワトソン
         アンソニー・ホプキンス

    アダムとイブが禁断の実を食べ、悪が世界に広がる。
    彼らの息子のカイルは、堕天使に守られ、唯一正しい
    血筋を守り抜いたセトの最後の末裔、ノアは、神の
    お告げにより、世界の再生のため、箱舟を作り始める
    のだった。

    <お勧め星>☆☆ 聖書にほとんど触れない立場では
    全く話に入り込めず、ただひたすら長い映画でした。


    箱舟を作り始めるシーンまでは、それなりにおもしろく
    理解しようと頑張ったのですが、大洪水が起き、動物
    たちとノア一家が箱舟に乗り込んでからは、すっかり
    ストーリーがだるくなってしまいました。
    ノア役はラッセル・クロウ。
    妻ナーマ役はジェニファー・コネリー。


    ノア

    ノアが神から告げられた使命は、穢れのない動物たちの
    つがいを生き残し、世界を再生すること。そのために穢れ
    た人間はノアも含めて命を終えることになるのです。
    ノアとナーマには、セムとハム、ヤフェトという息子が
    おり、その使命を果たすため、祖父の元へ向かう途中、
    イラという少女の命を救うのです。幾年か過ぎるとこの
    イラはエマ・ワトソンが演じる可愛い子になっている。
    でも古傷は子供が産めない体にさせているのです。


    ノア

    「ぼくの女の子は?」
    こう尋ねるハムの気持ちもよーくわかります。お年頃の
    僕の前でいちゃいちゃされたらねえ。いや、そんなことを
    考えるのは、穢れた人間だからか。
    一方、カイル率いる人間たちは、さもしい、卑しい、醜い
    姿をさらけ出し、生き物を片っ端から食べつくしているのです。
    ノアには神の使いである泥の巨人が味方をし、使命を果たす
    ために、箱舟作りにはげみながら、カイルたちの攻撃に
    耐えます。なんやかやで壮大なストーリーなのですが、中盤
    以降はダラけてしまい、「使命」が違う方向に向かっていく
    のは、もう何だこりゃという感じ。
    長くて飽きちゃった。




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    麦子さんと

    4
    JUGEMテーマ:邦画

    麦子さんと

    「麦子さんと」
    監督:吉田恵輔
    2013年 日本映画 95分
    キャスト:堀北真希
         松田龍平
         余貴美子
         麻生祐未
         温水洋一

    兄憲男と2人で暮らす麦子のアパートに長年
    音信不通だった母、彩子がやって来る。2人は
    自分たちを捨てた母を許せず、つらく当たるが、
    その母が突然亡くなり、麦子は故郷へ納骨に
    向かうのだった。

    <お勧め星>☆☆☆半 「赤いスイトピー」が流れる
    エンディングが秀逸です。


    映画内で麦子の母、彩子を演じる余貴美子は、「食堂
    かたつむり」(2010)の母親役と同じ匂いが漂って
    いました。もちろん全然設定は違いますが。
    冒頭、お骨を持って五藤駅に降り立つ麦子は駅員からも
    そしてタクシーの運転手、その他町の人々から視線を浴び、
    かつて母彩子がいかに人気者であったかを、初めて知る
    のです。それはなぜか?


    麦子さんと

    一方、パチンコ店員の兄、憲男役は松田龍平。飄々として
    いながらも、要所要所はキレのある演技を見せてくれます。
    この頼りない兄と2人暮らしの麦子の家に、突然母、彩子
    がやって来るのです。この時の彩子がとても低姿勢で、
    やや卑屈にさえ映るのは、本当はため込んでいた愛情を
    思い切り出したいのを必死でこらえているのだと感じます。


    麦子さんと

    そして憲男は「ババア」と彼女を呼び、麦子は「あの人」
    と呼ぶのです。自分たちを捨てた恨みをずっと持ち続けて
    きたわけですね。そこにある大人の事情まで気が付かない
    のは、人生経験のなさに起因するものでしょう。なぜ一度
    も会いに来なかったのか。そもそもなぜ兄妹を捨てたのか。
    麦子と母との微妙な隔たりは、小さな言動や行動で表され、
    そしてある時爆発します。それでも彩子は笑っているんで
    すよ。ここは胸が痛い。

    そしてある日彩子がガンで亡くなります。火葬を終えた時
    兄憲男は大泣きをするんですが、麦子は涙を一切見せません。
    そんな彼女は、母の納骨のために、故郷の町へ向かうのです。
    これが冒頭のシーン。そして次第にわかっていくのは、彩子
    の過去で、彼女がいかに町の人気者であったのかということ
    です。何をしても長続きせず、何をしたいのかもわからない
    麦子は、母の過去を知ると心が揺れ始めます。それは、母に
    優しくできなかった後悔も混じり合って、世話になっている
    ミチルという女性への冷たい言葉となって表れるのです。
    麦子自身も実は母を強く愛していた。そして会いに来なかった
    の気持ちも本当は理解できていた。ただそれを認めると、
    母を亡くした喪失感で自分が壊れてしまいそうだったのかも
    しれませんね。

    その愛の深さに気付いたのは、母の納骨の時だったのですから。
    それでもどこまでも優しい町の人々と、彼女と同じように親
    に反抗する旅館の息子の姿を見て、母を許し、自分も許すこと
    ができたのだと思います。「赤いスイトピー」がよくマッチ
    したラストでした。




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    MIA ミア

    4

    MIA

    「MIA ミア」
    原題:Born of War
    監督:ビッキー・ジューソン
    2013年 イギリス映画 108分
    キャスト:ソフィア・ブラック=デリア
         ジェームズ・フレイン
         リディア・レオナルド
         フィリップ・アルディッティ

    イギリスに住むミアは、何者かに自宅を襲撃され、
    両親を殺されてしまう。生き残ったミアは、MI:6
    にかくまわれるが、彼女の父は、テロリスト、カルド
    であり、その父の仲間が、殺人犯だと知るのだった。

    <お勧め星>☆☆ あ〜だるい、だるい。根性と忍耐
    で最後まで見ました。


    ストーリー自体は悪くないんです。だからもっと上手に
    作れば、「ハンナ」ぐらいの映画には仕上がったはず。
    ところがめちゃくちゃダルい。ある時はあっさり相手を
    殺害するくせに、この小娘1人を逃がしてしまうし、
    反撃まで食らうドジな敵。好みの問題ですが、ミア役
    の少女もなんか好きじゃない。
    1988年、アフガニスタンのワハーン回廊で、テロリスト
    集団のリーダー、カリド・ゼーラクが何やら演説をして
    いると、ソ連軍が急襲します。ゼーラクの息子も含め、
    多くの人々が死亡し、その場から金髪女性が逃げ出します。
    どうやらヒッチハイクをしていたらしいのですが、スパイ
    と疑われ、女戦士にバンバン撃たれますが、うまいこと
    逃げて、どこかの国の車に救われます。はて、誰が救った
    だろう。

    そして現在。オックスフォード大学で学ぶミアは、なぜか
    友人0。アメリカ訛りの英語を嫌われているらしい。で、
    妹ディーと両親の帰りを待っていたある晩、3人組に
    襲われた両親が帰宅するのです。この時にディーの妹の
    悲鳴がキーキーうるさい。それと敵からの逃亡劇が限りなく
    ノロいのです。窓から逃げ出すのも遅ければ、それを追う
    敵も遅い。そして隣家から町の中まで結構距離があるはず
    なのに、あっという間に着いちゃう。ついでにミアはもの
    すごく強くて、敵の顔をガスコンロで焼くなんて技もでき
    るんです。そもそも敵が弱いんだな。スリルがないんですよ。
    で、姉妹2人そろって車に跳ねられた後、MI:6にかくまわれ
    ます。ミアの傷は最後まで消えません。
    で、MI:6のオリビアなる人物が現れ、へたれっぽい傭兵
    サイモンに警護をさせて隠れ家に住まわせるんです。


    MIA

    サイモンは全然魅力的でないし、プロの傭兵というには
    いまいちどころかすごく弱そう。そしてミアは自分が
    テロリスト、カリド・ゼーラクの娘であり、彼らの仲間が
    両親を殺したと知らされるのです。ちょっと、髪の毛の
    メッシュ部分がその証拠ってありえなくない?DNA検査
    の結果もものすごく速くわかります。
    そいでもってミアはキプロスで、サイモンから戦闘訓練を
    受けるわけです。この小娘にこれしきの訓練で銃が使える
    はずがないと思ったら、
    「銃がないときはこれで耳の下を刺せ」
    なんてとっておきの技を教わっちゃう。


    MIA

    この技は絶対に使うな、と思ったけど、使ったのは1回だけ
    のような気がする。それも精鋭ぞろいのMI:6の警備員に
    ですよ。弱すぎる。
    真相はあれこれ入り組んでいるので、なんでこんなに下手に
    作られてしまったのか残念無念。
    離陸する飛行機の中での女同士のタイマンも決して見どころに
    なっていません。それと誰が飛行機を止めたんだろう。以上。





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    偉大なる、しゅららぼん

    5
    JUGEMテーマ:邦画

    偉大なる、しゅららぼん

    「偉大なる、しゅららぼん」
    監督:水落 豊
    原作:万城目学
    2014年 日本映画 114分
    キャスト:濱田 岳
         岡田将生
         深田恭子
         渡辺 大
         貫地谷しほり
         
    琵琶湖畔の町、石走で先祖代々の不思議な力を
    受け継いできた日出家へ分家の息子、涼介が修行
    に訪れる。そこには同級生の淡十郎という息子が
    いたが、彼は殿様のような暮らしをしており、入学
    した高校には、対立する棗家の息子広海もいるの
    だった。

    <お勧め星>☆☆☆☆ 原作も面白かったけれど
    それをうまく映像化していると思います。


    原作は「鹿男あをによし」「鴨川ホルモー」などの
    万城目学。原作本についても評価が分かれていると
    同様に映画も評価が分かれています。個人的には
    原作のポイントをうまく押さえて作られた楽しい映画
    だと感じました。
    琵琶湖近くの町、石走駅に降り立つ日出涼介役は私の
    大好きな岡田将生クン
    ハート町のほとんどが日出家関連の会社
    であることからわかるように、日出一族は、代々この町の
    主として君臨してきたのです。涼介が向かったその本家は
    なんとお城です。とりあえず登場人物をさらりと前半で紹介
    していきます。細かいエピソードは割愛してあり、ほとんどが
    口での紹介なんだけれど別に気にならず。役と俳優のイメージ
    がぴったり合っているのも気分がいいです。


    偉大なる、しゅららぼん

    ただ日出家の長女清子役の深田恭子が、原作では「キヨコング」
    と淡十郎に陰で呼ばれていたほどの体格であったこととは
    打って変わり、かなりきれいで、ただのひきこもりどS
    女性になっています。スタイルがやけにいいのよ。


    偉大なる、しゅららぼん

    そして日出家と対立する棗家の長男、広海役は、渡辺大。
    どう見ても高1には見えない。いや他のメンツも全部そうか。
    だから許す。
    日出家は精神を、棗家は肉体を操るパワーを持っていて、
    その修行のため、涼介は本家に呼ばれ、師匠藤宮壽子から
    訓練を受けるわけです。貫地谷しほりはどんな役もできる
    わねえ。
    ところが両家のパワーを跳ね返す、違う力の持ち主が出現
    したのです。さあどうするか。終盤はCGを駆使しつつ、
    笹野高史と濱田岳の熱演でジンときます。そこが大事なのは
    わかるけれど、やや長いかな。
    ラストは「しゅららぼん」の意味がわかり、またずっこけます。
    楽しい映画です。



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