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    • 2023.01.12 Thursday
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    この自由な世界で

    3
    JUGEMテーマ:洋画

    この自由な世界で

    「この自由な世界で」
    原題:It's a Free World
    監督:ケン・ローチ
    2007年 イギリス=イタリア=ドイツ=スペイン映画
    96分
    キャスト:キルストン・ウェアリング
         ジュリエット・エリス
         レズワフ・ジュリック
         ジョー・シフリート
         コリン・コフリン

    アンジーは外国人就労派遣会社をクビになり、親友ローズと
    共同で職業紹介所を開く。派遣先は次々と決まり、仕事は順調
    に行っているかに見えたが、ある時元請からの賃金が未払いと
    なり、労働者の不満をまともに受けるのだった。

    <お勧め星>☆☆☆半 かなり重いテーマですが、この監督
    ならではのメッセージ性の強い内容になっています。


    ポーランド、カトヴィツェでコアフォース人材派遣会社の面接員
    として仕事をするアンジーは、一人息子ジェレミーを実父母に
    任せきりで、借金のために働き詰めなのです。ところがセクハラ
    まがいの行為を受けたあげく、会社を突然クビになります。この
    会社は外国人の就労を斡旋しつつ、多額のピンハネをし、劣悪な
    環境で過酷な労働を強いているのです。しかしそこで労働者を
    面接していたアンジーさせ、結局は使い捨てにされてしまう。映画
    の中で様々な人が「儲けているのは上の人」と言います。この
    ピラミッド構造の社会の底辺にいるのは、移民や出稼ぎ者だけで
    なくイギリス人も含まれているのですね。


    この自由な世界で

    そしてアンジーは、親友ローズと共に「アンジー&ローズ紹介所」
    を開き、同じ様に稼いでいこうと考えたわけです。パブの裏庭で
    人を集め、怪しげなバンに乗せて勤務先へ移動させる。その先には
    おそらくは、劣悪で過酷な労働が待っているはず。アンジーはその
    実情を知っていても、今の状況から上に行くために働き続けるの
    です。アンジーの息子ジェレミーが学校で問題行動を起こしても、
    そして今はそばにいてやりなさい、と母親に言われても、彼女は
    とにかく経済的にゆとりができるまで働こうとするわけです。


    この自由な世界で

    彼女の父は普通の労働者であり、今は妻と隠居生活をしています。
    特に生活の困るわけでもなく、アンジーとジェレミーの世話
    くらいはできるのです。しかし彼女はもっと上の生活を目指した
    かったのですね。それは限りなくグレーな仕事に手を染めていく
    ことを意味するわけで、常識人のローズは、その都度反対しますが、
    それでもアンジーは止まりません。映画の中盤で、イラン人一家を
    家に泊めてあげる優しさを持っているアンジーが、終盤には、
    新しい労働者のための宿泊所のために、彼らが生活している
    トレーラーハウスを求め、入国管理局に密告します。それは
    イラン人の強制送還を意味するもので、彼は帰国すれば逮捕
    される運命なことも知っての上なのです。
    「あと1回金を金を稼ぐ」
    そうせざるを得ない運命になったアンジーの終わりのない綱渡り
    生活を暗示するようなラストでした。
    その先に何が待っているのか。自由な世界でありながら、自由
    に生活できる人々がいかに少ないことか、考えさせられる映画です。


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    夏時間の庭

    3
    JUGEMテーマ:洋画

    夏時間の庭

    「夏時間の庭」
    原題:L'heure D'ete
             Summer Hours
    監督:オリヴィエ・アサイヤス
    2008年 フランス映画 102分
    キャスト:ジュリエット・ビノシェ
         シャルル・ベルリング
         ジェレミー・レニエ
         エディット・スコブ

    有名な画家を叔父に持つエレーヌは、パリ郊外の
    広大な邸宅に住んでいる。そこへ彼女の誕生日を
    祝うために子供たちが集まり、彼女は自分の死後、
    これらを全て売却してほしいと話すのだった。

    <お勧め星>☆☆☆ 映画的にはやや単調ですが、
    自然描写が美しく一度は訪れてみたくなります。


    作品自体は淡々としていて、母が所有していたパリ
    郊外ヴァルモンドワの邸宅やそこにある有名な画家
    だった大叔父の絵画、調度品などを、彼女の死後に
    どうするか、ということを1つ1つ丁寧に描いていく
    のです。
    冒頭はこの広い邸で、長年使えた家政婦エロイーズの
    手料理を楽しみながら、遊びまわる、エレーヌの孫たち
    が映ります。彼女にはフレデリック、アドリエンヌ、
    ジェレミーという3人の子供がいるのですが、それぞれ
    忙しい日々を送り、年に数回しか集まることができないの
    です。母の誕生日であるこの日に渡したプレゼントその1
    「電話機」には「使い方がわからないわ」「まだ壊れて
    いないわ」「後で設置してね」などと戸惑うエレーヌの姿
    に自分の母親を重ねてしまいます。
    そしてエレーヌは、長男フレデリックに、「自分の死後は
    この家や調度品を全て売却し、そのお金を3分割する」と
    話すのです。

    実はこの家には無造作に置かれている、机や棚がものすごく
    価値があるものばかりで、庭の花を生けた花瓶もかなり高価
    なものらしい。でもかれらにとっては、大叔父の趣味で収集
    された品々がそこにあっただけで、特に高価とは思っていな
    かったのです。使うことでいきてくる調度品の1つでしか
    なかったということですね。そしてその大叔父ポールと母
    との関係を今さら怪しみつつ会は終了。そして1年後の母の
    葬儀にシーンへと変わるのです。


    夏時間の庭

    この家にあった調度品や絵画は莫大な相続税がかかってくる
    ことから、彼らはそれを美術館に寄贈することにします。
    終盤に出てきますが、今までその機能を自由に生かしてきた
    家具や花瓶がただの展示品となり、それをろくに見ることも
    なく観客が通り過ぎていく姿を見て、フレデリックは家を
    買い戻したいと訴えます。使ってこそ価値があるけれど、
    美術品はそれをしまっておくことに価値があるのでしょうか。
    アドリエーヌやジェレミーの考え方は極めてドライであり、
    現実的です。誰だってこれからの生活の方が大事なのです。
    家や調度品などの売却を巡って、事前に準備していた2人を
    知り、やや驚くフレデリックも世間知らずという感じ。
    それでも家政婦のエロイーズが空っぽになった家を訪れ、
    エレーヌの墓に花を手向けていくシーンや、警察のお世話に
    なっては父フレデリックを悩ませた娘シルヴィが、ラストに
    この家や祖母への愛着を語るシーンは心に残りました。


    夏時間の庭

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    オーケストラ!

    5
    JUGEMテーマ:洋画

    オーケストラ!

    「オーケストラ!」
    原題:Le Cocert
    監督:ラデュ・ミハイルアニュ
    2009年 フランス映画 119分
    キャスト:アレクセイ・グシュコフ
         メラニー・ロラン
         フランソワ・ベルレアン
         ミュウ=ミュウ

    ロシアのボリショイ劇場の清掃員アンドレイは
    政権のユダヤ人排斥に従わなかったため、指揮者
    の座を追われて30年経つ。そんな彼が、パリの劇場
    からの演奏依頼を知り、かつての仲間と共に「ボリショイ
    管弦楽団」になりすまして演奏に向かうことを計画する。

    <お勧め星>☆☆☆半  終盤の演奏のシーンは感極まる
    ものがあります。


    前半はほぼコメディなのです。30年前、ユダヤ人演奏家
    を守るために、当時のブレジネフ政権に反発したことから
    アンドレイ・フィリポフは指揮者の座を追われ、今は劇場
    の清掃員として働いています。時折演奏を盗み聞きしては、
    指揮者に叱られる始末。天才指揮者だった彼は酒に溺れる
    日々を送っているのです。演奏中に携帯の着メロが流れて
    盗み聞きがバレる姿はコントそのもの。
    そしてある時、パリのシャトレ劇場からのボリショイ管弦
    楽団への演奏依頼のFAXを見つけてしまいます。これこそ
    自分たちの復活のチャンスとばかりにFAXを盗み、かつて
    の仲間で今は救急車の運転手をしているサーシャと共に
    昔の仲間を捜しはじめるわけです。


    オーケストラ!

    中には彼らを追い払う者もいるし、市場で働く者、博物館
    の受付、エロビデオの声優さんさえいる。ピーポーとサイレン
    を鳴らしながら、仲間を捜す姿もコメディです。
    ところが演奏曲は、チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」
    で、ソリストはパリに住むアンヌ・マリー=ジャケと決めた
    辺りから、アンドレイたちが隠してきた悲痛な歴史を感じ始め
    ます。アンヌ役はメラニー・ロラン。やはり美しい。


    オーケストラ!

    パスポートすらない持たない仲間に偽のパスポートを空港で
    手渡していき、楽器は現地でポンコツを調達。ついでにリハ
    には全然人が集まらない。こんなので演奏できるはずがないと

    思っていると一人の男のバイオリンの手腕にアンヌは感動
    するのです。上手くいき過ぎだけど、何とか公演にこぎつけた
    ものの、弾き始めは何ともひどい音色が響きます。
    しかしアンヌの演奏が始まった途端、心の琴線を揺さぶる
    素晴らしい音楽が響き始めるのです。それはスキルではなく、
    まさに魂で弾いているという感じ。当然弾く真似をしているだけ
    でしょうが、メラニー・ロランの表情がものすごく心をひきつけ
    ます。それ以前に見る側にはわかっていた彼女と楽団の関係、
    そして演奏中に映る、彼らの演奏後の姿や、家族の様子などが
    くるくると回転するように映し出されていきます。
    アンヌが自分の両親のことをいつ知ったか、いや知ったのかどうか
    はもうどうでもいいのです。彼女がこの曲をこの仲間と演奏できた
    ことが、皆の希望だったということですね。よかった。


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    そして、私たちは愛に帰る

    3
    JUGEMテーマ:洋画


    そして、私たちは愛に帰る

    「そして、私たちは愛に帰る」
    原題:Auf der Anderen Seite
             The Edge of Heaven
    監督:ファティ・アキン
    2007年 ドイツ=トルコ映画 122分
    キャスト:バーキ・ダヴラク
         トゥンジェル・クルティズ
         ヌルギュル・イェシルチャイ
         ハンナ・シグラ
         ヌルセル・キョセ
         パトリシア・ジオクロースカ

    トルコからの移民で、ブレーメンに暮らすアリは
    トルコ人娼婦イェテルと暮らし始める。しかし息子
    で大学教授ネジャットとの仲を邪推したアリは
    誤って彼女を殺してしまうのだった...。

    <お勧め星>☆☆☆ 静かな映画ですが、3つの家族
    が少しずつつながり、余韻の残るラストになっています。


    この映画では、3つの親子のそれぞれの行動をしばしば
    すれ違いを織り交ぜながら描いています。


    そして、私たちは愛に帰る

    「イェテルの死」では、ブレーメンに住むトルコからの
    移民の初老のアリという男が、通称ジェシーという娼婦の
    元を訪れることから始まります。妻と死別したアリは、
    彼女を気に入り、一緒に暮らし、一生寝てくれということ
    を申し出ます。実はジェシーは本名はイェテルといい、
    夫はトルコで右翼に殺され、一人娘アイテンのために学費を
    送っているものの、全然会うことができない。そのことを
    聞いた息子のネジャットは、ちょっと彼女のことを見直す
    けれど、心臓発作で入院していたアリは、息子と彼女の仲を
    疑うのです。ちょっと色ボケしたじいさんにとって、彼女は
    自分の所有物。でもイェテル的には、あくまでもプライドが
    あり、彼の元を去ろうとすると、アリに殴られてしまいます。
    そしてイェテルは死亡し、アリは刑務所に収監、息子は彼女
    の親族の元へ向かうのです。トルコの空港に降り立つ棺。この
    シーンは逆のものが次の親子で見られます。


    そして、私たちは愛に帰る

    「ロッテの死」は、トルコで反体制活動を行う女性がハンブルグ
    に向かうところから始まります。すぐにピーンときますが、
    彼女はアイテンらしい。学食めあてで入り込んだ大学の授業で
    眠り込んでいるアイテン、その授業はネジャットのものです。
    そして学食でロッテという学生と出会い、意気投合し、彼女の
    家に間借りすることになります。なぜだかとっても親密になっちゃう。
    アイテンの存在からロッテと母親スザンヌの関係もぎくしゃく
    してきます。ここで幾度となくネジャットが本屋にはったイェテル
    の娘捜しのビラが映るのですが、まるで昼メロのように様々な
    すれ違いによって2人はつながることができないのです。ここは
    惜しい!と思うばかり。でもつながったところで生きては会えない
    のですが。


    そして、私たちは愛に帰る

    「天国のほとりで」では、突発的な事件からロッテが亡くなり、
    母スザンヌはトルコを訪れます。棺がトルコからドイツに向かう
    飛行機に運び込まれるのです。ここの重なりも絶妙なシーンと
    なっています。
    その事件の原因を作ったアイテンと会ったスザンヌは、彼女への
    怒りはなく、逆に真の親子のように心を通わせます。このスザンヌ
    は娘が間借りしていたネジャットの家でしばらく滞在することに
    する。こういう風につながっていたのです。
    そしてネジャットはスザンヌの話を聞いて、絶縁していた父アリの
    元へ向かうことになります。アリはスザンヌがトルコに到着した
    飛行機で強制送還されています。

    ラストは釣りに出たアリをひたすら海岸で待つネジャットの姿が
    エンドロールとともに映ります。彼らはどうなるのか。出会える

    のに、会うことを避ける親子もいれば、出会いたいのに命を亡くす
    親子もいる。その運命の皮肉が静かに綴られていくような気がしま
    した。



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    渇き。

    4
    JUGEMテーマ:邦画

    渇き

    「渇き。」
    監督:中島哲也
    2014年 日本映画 118分 R15+
    キャスト:役所広司
         小松菜奈
         清水尋也
         妻夫木聡  
         二階堂ふみ
         中谷美紀
         オダギリジョー

    元刑事の藤島の元へ、突然、娘加奈子が失踪したと
    元妻から電話がかかる。自宅に向かった藤島が見た
    ものは、加奈子のカバンに入っていた覚せい剤と
    注射器で、彼は娘が何かの事件に巻き込まれたと直感
    するのだった。

    <お勧め星>☆☆ 最初から最後まで話に入り込めず、
    うるさいBGMと怒号にイラつき通しでした。


    ストーリーは、3年前の加奈子の様子と失踪後の藤島の
    姿が入り乱れて映り、精神を病んでいる彼の妄想も混在
    して、理解するのが難しい展開となっています。
    原作は深町秋生の「果てしなき渇き」で、こちらは藤島が
    娘から間接的に罰を受けるという内容なのに対し、映画
    では、娘の失踪に絡む人々の利害関係をまとまりなく描いて
    いるので、とてもわかりづらい内容になっています。特に
    冒頭のコンビニ店員等3人の刺殺事件と藤島の娘の失踪と
    の関係がなかなかわかりません。

    とりあえず、血しぶきとグロさは激しく、セリフも「クソが」
    「殺す」「クズ」など汚い言葉の連発で、ドロドロ感の飽和
    状態に陥っています。


    渇き

    加奈子役の小松菜奈さんがとても可愛いので、3年前の制服
    姿に見とれていると、あれあれ、実はとてもえげつないことに
    なっていると気づかされるのは、映画の終盤。彼女の仲間で
    二階堂ふみちゃんが出演しています。こっちは見るからに不良
    です。
    一方、離婚した妻からの電話で娘の失踪を知った元刑事の藤島
    役は役所広司。暑いぞ。汗がダラダラ流れてますって。
    娘のカバンから見つけた覚せい剤と注射器を見て、
    「誰か悪い奴にそそのかされた」

    と藤島は勝手に思い込むのです。そして警察の手を借りずに
    自ら暴力的に捜査を開始します。加奈子の塾の仲間、通って
    いたらしい神経クリニックの院長、小、中学の友人、不良たち、
    そして元担任と調べを進めていくと、なにやら加奈子は自分の
    思い描いていた娘とはかなり違っていることに気づくのです。
    ここに不良連中やそれと対立したヤクザ、藤島をつけている
    浅井刑事なども絡んで、ますます話はややこしくなり、死人ばかり
    山積みになっていきます。これってどういう話だったっけ。
    それと藤島のグロリアは年代ものなのに、ばっちりカーチェイス
    ができるのは、改造しているのかなあ、なんて勝手に推測。


    渇き。

    クリスマスや雪のシーンは少しも美しく感じられず、特に
    ラストの雪原のシーンは、韓国映画「オールドボーイ」を
    彷彿させると思いきや、不毛な行為と聞き飽きたセリフの
    連発で、やはり気分がよくない映画でした。


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    超高速!参勤交代

    5
    JUGEMテーマ:邦画

    超高速参勤交代

    「超高速参勤交代」
    監督:本木克英
    2014年 日本映画 119分
    キャスト:佐々木蔵之介
         深田恭子
         伊原剛志
         寺脇康文
         上地雄輔
         六角精児
         西村雅彦

    江戸時代、磐城国湯長谷藩は、金山を隠している
    と老中、松平信祝に疑われ、5日以内に参勤交代
    を実行するという命が下される。彼らは知恵を絞り
    奇想天外な作戦で、参勤交代を終えようと考えるが...。

    <お勧め星>☆☆☆半 気軽に見られる映画ですが、
    ところどころ深いセリフが入っています。


    映画の中で、磐城国の小藩湯長谷の藩主、内藤が
    「裏返した2日目の鯛はうまいのう。」
    と粗末な食事にも感謝するのに対し、江戸の老中
    松平信祝が、何尾もの鯛を前にして
    「鯛はおいしいところが少ない」
    と文句を言います。この価値観や倫理観の違いが
    全ての物事に表れているのです。
    ストーリーはとても単純明快。人のいい田舎の小さな
    藩主、内藤が参勤交代を終えて、やれやれと思った
    のもつかの間、再び江戸から参勤交代の命が届き、5日
    以内に来い、という実行不可能な内容を突き付けられる
    のです。それは単に欲深い老中、松平信祝が湯長谷藩に
    「金山」あるということを隠密に探らせ、それをわが物
    にしようと企んだ計画なのです。この老中役の陣内孝則

    がものすごく上手い。逆に内藤役の佐々木蔵之介はとても
    おいしい役どころです。で、湯長谷藩VS老中という構図が
    できあがり、湯長谷藩の知恵袋、家老、相馬の計画と実行
    それを行く先々で邪魔をする忍び達との争いが面白可笑しく
    時にスリルを交えながら、描かれていきます。
    お人好しすぎるこの藩の欠点を補うのは、雲隠段蔵という
    抜け忍。伊原剛志はやはりかっこいいです。この忍がなぜ
    この藩を救うのかは、まあそれほど深い理由もなく、偶然
    っぽいけれど、彼がいたからこの藩はなんとか進んでいける

    のです。
    冒頭に扉を開けて便所に座る内藤は、閉所恐怖症。そのため
    籠に乗ることができず、猿の千代丸が代わりに乗り込み、
    内藤は山びこの術(腹話術)を使ってピンチを切り抜ける
    シーンには大笑いでした。また途中、井戸に転落した相馬の
    姿はもう落ち武者で、これまたよく似合っています。5日の
    うちに、藩のメンバーはもうボッロボロなのですよ。


    超高速参勤交代

    笑いだけかと思うと、終盤には本格的な殺陣の連続や手裏剣、
    矢を使ったアクション、爆発まであって、見せ場は満載です。
    華を添えるのが途中の旅籠で出会った、飯盛り女のお咲なん
    だけど、この役は深田恭子。あまり好きな女優さんではない
    ので、特に必要なかったと個人的に思います。


    超高速参勤交代

    最終的には、人の好さが自らの藩を救ったのだという、幸せな
    映画でした。吉宗役の市川猿之助はさすがの貫録です。




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    ロルナの祈り

    4
    JUGEMテーマ:洋画

    ロレナの祈り

    「ロルナの祈り」
    原題:Le silence de Lorna
    監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
    2008年 ベルギー映画 105分
    キャスト:アルタ・ドブロシ
         ジェレミー・レニエ
         ファブリツィオ・ロンジョーネ
         アウバン・ウカイ

    ロルナはベルギー国籍を取得するためだけにドラッグ
    中毒のクローディと偽装結婚している。彼女にはソコル
    という恋人がおり、彼と店を開くことを夢見ているのだが..。

    <お勧め星>☆☆☆ 見終わるとなぜか悲しい余韻に
    包まれる映画です。


    始まり方が唐突で、意味がよくつかめないままストーリー
    が進みます。アルバニア人であるロルナは、ドラッグ中毒
    のクローディとベルギー国籍を取得するためだけに、偽装
    結婚し、それを仕切っているのがファビオというタクシー
    運転手なのです。


    ロレナの祈り

    ベルギー国籍を取得したら、クローディは用済みとなり、
    彼女は次にロシア人と結婚するという話が進んでいます。
    つまり闇ビジネスに手を染めているのです。そこまで
    わかる前に、これでもかというほどクローディのダメ男
    ぶりが描かれ、ドラッグを断とうと努力するも、挫折し
    かけてはロルナにすがり、病院まで連れて行ってもらう、
    という姿が映ります。
    「トランプしようよ。」


    ロレナの祈り

    彼はいつもトランプをし、うるさい音楽を聴いている。
    それもロルナは鬱陶しくてしかたがないのです。
    この底辺でうごめくようなクローディをロルナは心底
    軽蔑しているかのように思えるのですが、実は、自分も
    恋人ソコルもアルバニアから流れついた同じような底辺
    でうごめく存在であることは薄々わかっていたはず。
    でなければ、こんなビジネスに手を染めないし、ソコルは
    絶対に被曝しているであろうドイツの原発で働いている
    のです。それでも2人でいつか店を持つことが夢。

    クローディはダメ男だし、用済みになれば殺される運命
    なのですが、ロルナはそんな彼にいつしか同情?愛情?
    よくわからない感情を抱き始めるのです。ファビオに
    殺さなくても「離婚」ですればいい、と訴えます。しかし
    ビジネスはビジネスなんですよ。
    自ら演出したDVによって2人の「離婚」が認められそうに
    なった時、クローディは再びドラッグの売人を家に呼んでいる。
    ロルナはそれを阻止し、涙を流しながら彼と関係を持つの
    です。この心は見ていてよくわからなかった。おそらくは
    彼に自分と同じ匂いを感じたからでしょう。もしくは、
    このとことんダメな男の優しさを日々感じていたからかも

    しれません。事実彼は、DVを偽装するにも、彼女を殴る
    ことができないし、お金への執着もありません。
    その翌日2人が満面に笑みを浮かべて、自転車を買い、彼が
    「その日の目標を決めるよ」
    と走り去るのを、ロルナが嬉しそうに見送る姿は印象的です。
    しかしその次のシーンはクローディの遺体と対面するものと
    変わります。この間は全て省略され、推測できるのは、予定
    通りに事が行われたということです。そして彼女は次には
    ロシア人との結婚話が決まっています。

    クローディの家族の彼やロルナに対する冷たい言葉、態度は
    彼女にどう映ったのでしょうか。
    確かにクローディは存在したし、ロルナともつながりがあった。
    そしてそんな彼の存在を消すことを納得していた自分も結局
    彼と同様に底辺から這い上がれない人間なのだと気付くのです。
    それは恋人ソコルもボス、ファビオとて同じこと。そんな時に
    彼女の身に起きた体調の異変は、彼女の未来への夢へと変わって
    いくわけです。それは現実の世界とは明らかに異なっていますが
    彼女が自分の世界の中でその夢の実現を目標に眠りにつくの
    です。
    ラストのロルナの静かな寝息が、ひたすら穏やかに聞こえました。


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    ヘッドハンター

    3

    ヘッドハンター

    「ヘッドハンター」
    原題:Hodejegerne
    監督:モーテン・ティルドゥム
    2011年 ノルウェー=ドイツ映画 100分
    キャスト:アクセル・ヘニー
         ニコライ・コスター=ワルドー
         コーリー・ウルゴード

    ビジネスマンの転職を手伝うヘッドハンターのロジャー
    は、裏では、絵画の窃盗をして荒稼ぎしている。という
    のも背の低い彼とは不釣り合いな美しい妻ダイアナの
    心を離さないため。しかしある高価な絵画を盗みに入った
    家で彼はある物を発見し、その後次々とトラブルに巻き
    込まれていく...。

    <お勧め星>☆☆☆☆ 最後のオチまでうまくつながった
    スリル満点の映画でした。


    既にハリウッドでのリメイクが決まっているそうですが、
    「ミレニアム」シリーズ同様にカットされるシーンが出て
    くるでしょう。特に犬のシーンは、不要だし、見ていても
    不快です。「ミレニアム」では猫でしたね。
    それを抜かすととても面白い。
    主役のロジャー・ブラウン役は「パイオニア」(2013)
    のアクセル・ヘニー。

    そして彼を中盤以降執拗に追い続けるクラス・グリーブ役は
    「MAMA」(2013)「オブリビオン」(2013)で
    イケメンぶりを見せてくれたニコライ・コスター=ワイルド
    です。
    身長168cmのロジャーは、美しい妻ダイアナを持ち、豪邸に
    暮らす幸せ者なのですが、裏ではヘッドハンターの仕事を利用
    し、転職希望者の財産を調べ、不在時をチェックした上で、
    その家に侵入、絵画を贋作とすり替えるという仕事をしている
    のです。それもこれもダイアナに裕福な暮らしと好きな仕事を
    させるため。


    ヘッドハンター

    コンプレックスの塊のようなロジャーはこういう方法でしか
    愛情が表現できないし、不安で仕方がなかったのですね。なので
    ダイアナが子供を欲しがっても、子供を持つことによって、彼女
    の心が自分から離れるのでは?なんて極めて幼稚な発想からそれを
    拒んでしまいます。多分、自分に似たら嫌だという理由もあった
    のです。なんかものすごく幼稚だわ。


    ヘッドハンター

    そしてダイアナの画廊のパーティーでクラスという男と知り合い
    ます。なんでも彼はものすごく高価な絵画を持っているらしいと
    妻に聞かされ、ロジャーは早速行動を開始します。いつものように
    ヘッドハンターとして彼と接しながら、留守に時間を聞き出す。
    そして仲間の警備員の手引きで、家に侵入。がしかーし、そこで
    彼はとんでもないものを発見してしまいます。妻の携帯が乱れた
    ベッドの中に転がっていたのです。自分はロッテなんて女性と
    最近まで浮気していたくせに、妻の浮気はものすごく嫌。でも
    本人には言えず、とりあえず、クラスの就職を絶対に邪魔してやる
    という発言へとつながるわけです。このクラスとダイアナの浮気が
    なかったら、話は進まなかったから、クラスがなぜこういう行動に
    出たのかはちょっと腑に落ちないけれど、そこは目をつぶります。

    いつも通り盗み出した絵画を仲介人オヴェに渡そうとするうちに
    彼の周りでは次々にトラブルが起こり、死体の山が築かれていきます。
    そしてどこまでも追って来るクラスと殺人犯として彼を追う警察。
    ロジャー絶体絶命。山小屋の便所の糞便の中に潜り込むシーンは
    見ているだけで臭そう。臭ってくる〜。
    こんなに行く先々をクラスが知っているのは...そうだ、彼が前の
    会社で超小型のGPS発信機を作っていたと言っていたな。それも
    ジェル状のものだったな。あ!ダイアナめ、俺の髪の毛をゴシゴシ
    してくれたぞ。ロジャーは血まみれの体で、なおかつ髪の毛を剃り
    始めるのです。もうあっちもこっちも傷だらけ。死体の山はグロい
    し、そこそこエロシーンもあります。でもその中に涙や笑いも見え

    隠れするから不思議です。
    終盤一気に真相がわかった時、序盤に張り巡らされた伏線を1つずつ
    丁寧に回収していきます。それも1つ残らずです。
    ラストに至っては、この人が採用ね〜、ロジャー嘘つかないだわ。
    と思ってしまいました。


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    オール・ユー・ニード・イズ・キル

    1
    JUGEMテーマ:SF映画 一般

    オール・ユー・ニード・イズ・キル

    「オール・ユー・ニード・イズ・キル」
    原題:Edge of Tomorrow
    監督:ダグ・リーマン
    2014年 アメリカ映画 113分
    キャスト:トム・クルーズ
         エミリー・ブラント 
         ビル・パクストン
         ブレンダン・グリーソン
         ノア・テイラー

    近未来、異星人の侵略を受けた地球では、多国籍軍が
    敵との激しい戦いを繰り広げていた。アメリカ軍PR担当
    ケイジ少佐は、ブリカム将軍からの前線での作戦PR活動
    命令を拒否したことから、二等兵として戦地へ送られる。
    しかし敵ギタイの血を浴びて戦死したケイジが再び目を
    覚ますと、彼は戦地へ行く前日に戻っていた。

    <お勧め星>☆☆☆☆ SFが苦手でもこれはおもしろい。
    できたら劇場で3D映像を見たかったです。


    2004年発行の桜坂洋の同名小説が原作ですが、それを
    ふんだんに資金をつかってハリウッドで映画化したもの
    です。とはいえ、ものすごくみごたえがあるし、ストーリー
    もダラけていません。
    冒頭、いかにもデスクワーク専門っぽい、アメリカ軍メディア
    担当のウィリアム・ケイジ少佐がロンドンへ降り立ちます。
    トム・クルーズはこういう時に、ヘタレぽく笑うととても
    よく似合います。実は地球は、異星人の侵攻を受けており、
    UDFという総合防衛軍を結成して、その攻撃に立ち向かって
    いたのです。それに使われるのが、機動スーツと呼ばれる
    とても重そうでがに股歩きになるけれど、いっぱい機能の
    ついた戦闘服です。

    で、ケイジは前線で敵への「殲滅作戦」のPR活動をブリカム
    将軍から命じられるのですが、「実務経験ない」「自分の
    仕事ではない」などと拒否したあげく、「ボクが死んだら
    どこに責任がいくか」などと将軍を脅しちゃうもんだから、
    あっという間に脱走兵扱いで逮捕されるのです。


    オール・ユー・ニード・イズ・キル

    目を開けたら、なんとヒースロー基地に転がっている有様。
    彼は二等兵として明日出撃する身となってしまいます。え?
    銃を撃ったこともないし、そもそもこの機動スーツなんて
    使い方もわからないよ〜。という間もなく出撃、そして戦地
    で当然のごとく敵ギタイに殺されてしまいます。しかしその時
    彼は、敵の血を思い切り浴びてしまいました。
    そこから、戦死するたびに、ヒースロー基地に転がる姿に戻る
    の繰り返しになります。つまり2日間を何度も繰り返すループ
    に入ってしまったのです。どれだけ素人でも、数をこなせば
    慣れてくるというもの。さらに、戦地で会ったリタ・ヴラクスキ
    軍曹に「目覚めたらわたしを捜して」という謎の言葉を聞き、
    彼は使命感に燃えて戦死していくのです。この繰り返しのシーン
    も少しずつケイジが行動を変えていくので、飽きることはないし、
    話も違う方向へと展開していきます。


    オール・ユー・ニード・イズ・キル

    リタのニックネームはかなり下品。やはり「ヴェルダンの女神」が
    似つかわしいのでは。
    様々な戦法を試みて敵と戦いつつ、幾度となく失敗していくうちに
    確実に勝つ方法を理解していくのもまた面白いです。
    クライマックスシーンが夜だったため、動きがよく見えないのが
    残念でした。
    でもラストシーンはまた気分爽快のものです。あんな風に失敗を
    リセットできたらどんなにいいことでしょうねえ。



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    gift(松井玲奈出演)

    4
    JUGEMテーマ:邦画

    gift

    「gift (松井玲奈出演)」
    監督:宮岡太郎
    2014年 日本映画 91分
    キャスト:遠藤憲一
         松井玲奈
         柿崎勇人
         石井貴就
         佐伯 新

    借金の保証人にされ、取り立てに追われるキャバ嬢
    沙織は、ある男のカバンを盗もうとして、逆にその
    男に「お前の100時間を100万円で買う」と
    言われる。彼女は疑いつつ、彼の命令通りに東京へ
    車を走らせていくのだった。

    <お勧め星>☆☆☆☆ 思っていたよりずっといい映画
    でした。


    「Mシネマ」第1弾で、主演はSKE48の松井玲奈です。
    この映画は「日本全国各都道府県の1つの地域にスポット
    を当てて制作し、地域で公開する」といコンセプトで、
    今作は「愛知県発」。愛知県出身ですが、特にその地域性は
    感じませんでした。どちらかというと富士山が目に入った
    ような気がします。

    驚いたのは松井玲奈の演技が、思いのほか上手なこと。
    ホストにだまされ、借金を背負わされたキャバ嬢、山根沙織
    役なのですが、はすっぱな口調や下品な仕草、投げやりな
    表情などがとてもぴったりなのです。この子よりブスの
    キャバ嬢が彼女の客を獲るというのは、ちょっと納得しがたい
    けれど。

    一方、一代で大会社の会長までのぼりつめた篠崎善三は、
    ワンマンで、冒頭にお手伝いや秘書をクビにするのです。
    それはただわがままなジジイというわけではなく、ある目的
    のために身辺整理をしたわけですが、その目的がわかるのは
    映画の後半です。
    そして取り立て屋に追われる沙織は、彼のバッグを盗もうと
    考えるのです。ところが実は彼はその前に彼女が、他の老人
    の財布を盗んだのを見つけている。彼は沙織に
    「お前の100時間を100万円で買う」
    と申し出ます。いやいや変態プレイは無理云々と騒ぐ沙織を
    よそに、彼はレンタカーを借り、彼女に運転させて、東京へと
    向かわせるのです。それはある人に「贈り物」を届ける目的

    だったのです。「贈り物」が入った青い箱の中身はなんだろう。


    gift

    道中、立ち寄る神社でおみくじの大吉が出るまで引き続ける
    篠崎。昔の下宿場所を一晩50万で借りる篠崎。どうしても
    見たい映画を大金を払って貸切上映させる篠崎。その時々の
    彼の言葉と沙織の受け答えがとてもうまく組み合わさって
    いきます。50万で借りた下宿場所の夫婦のいかさまぶりも
    沙織によって暴かれたのは痛快でした。
    しかし執拗に追いかけてくる取り立て屋に怯える沙織。彼女
    の過去も悲惨なら、篠崎の過去も悲惨です。
    ナンパ男をぶん殴り、警察に拘束された沙織を引き取りに
    行った篠崎が、警官の横柄な態度に怒る姿は小気味よいもの
    です。
    「簡単に謝るんじゃない」
    「欲しいものは欲しいと言わないと手に入らない」
    彼の言葉とは裏腹に、手に入れても喜びは全くないのです。
    そこには彼が失った大きなものが存在しているから。
    ラスト付近はありきたりの展開になりましたが、しみじみと
    見入ることのできる映画でした。
    取り立て屋役の柿崎勇人もうまかったなあ。


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