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    • 2023.01.12 Thursday
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    ワンドゥギ

    5
    JUGEMテーマ:韓国映画全般

    ワンドゥギ

    「ワンドゥギ」
    原題:Punch
    監督:イ・ハン
    2011年 韓国映画 108分
    キャスト:キム・ユンシク
         ユ・アイン
         パク・スヨン
         キム・ヨンジュ
         キム・サンホ

    かつてキャバレーで踊っていた父と叔父と慕う
    ミングと暮らすワンドゥクは、貧しい暮らしの上
    勉強もできず、喧嘩っ早い。そんな彼を隣に住む
    担任ドンジュは口うるさく罵り、向かいのおやじ
    は、その姿を見て怒鳴り散らす生活が続いていたが...。

    <お勧め星>☆☆☆☆ ラストが何とも言えないいい気分
    になります。押しつけがましい感動でないのも好感が持て
    ますね。


    主役のワンドゥク役のユ・アインが結構イケメンさん。役
    の上では、貧しく、父は体に障がいがあり、思春期であり、
    行方知れずだった母親はフィリピン人というもすごい設定
    で、ついでに勉強ができないくせに、すぐに手を出し、
    とことん相手を殴りつけてしまうのです。


    ワンドゥギ

    そんなワンドゥクを心配しつつ、父は生活のために、同居する
    ミングと共に地方へ出稼ぎに出かけるわけです。自暴自棄と
    なり家出をしたワンドゥクの置手紙を最初に見つけるのが、
    家に戻って来た自分自身という大笑いの姿も実は、結構
    悲惨な状況なんだよね。でも映画全編に笑いが散りばめられて
    いるため、どよよーんとなることはありません。


    ワンドゥギ

    口うるさい担任が隣に住み、生活援助品をパクるし、学校では
    体罰までされる始末です。


    ワンドゥギ

    また毎晩怒鳴り合う2人を、さらに大きな声で罵るのが、向かい
    に住むおやじ。担任ドンジュ役はキム・ユンソク、おやじ役は
    キム・サンホとどちらも「海にかかる霧」(2011)で見た
    ばかりです。特にキム・サンホは大体の韓国映画で、こんな役で

    出ていますね。
    フィリピン人の母と再会するのも、キックボクシングを知るのも
    実は、ワンドゥクが「死んでほしい」と教会で祈っているドンジュ
    のおかげであるとわかるのは、映画の後半です。ドンジュがなぜ
    教会へせっせと通うのかとか、そこになぜ外国人がいるのかとか、
    そこには極めてまっとうな彼の考えがあるのですが、なんせ口が
    悪い男なので、頭の悪いワンドゥクに伝わるのに時間がかかります。
    そしてやっとそれに気づいたワンドゥクは小さな声で

    「ありがとう、先生」
    と言うわけですよ。ドンジュは不法滞在者を匿い、不当に働かせて
    いた経営者を告発したのですが、逆に逮捕されてしまう。でも彼
    はちゃんと教壇に復帰できるんです。この辺りも彼の家庭事情に
    関係しているんです。
    それはさておき、父と母を再会させた後、母と帰宅するワンドゥク
    は帰り道で、彼女のために靴を買ってあげるのです。彼女の粗末
    な靴を見ていたから。店員に
    「どういう関係?」
    と尋ねられ、
    「お母さん、ぼくの」

    と答えるワンドゥクを見て、母スッキは心から嬉しそうな表情を
    浮かべます。こういう話の進め方がすてきです。感動の押し売りを
    せず、決してそのシーンだけを長く映さず、テンポもいい。
    ワンドゥクはなぜか、クラス一頭のいいユナと親しくなって、つい
    教会でチューしちゃいます。するとドンジュが、2人に
    「どうやってくどいたのか」
    「どうやってくどかれたのか」
    と必死で尋ねるのです。実は彼は向かいのおやじの妹が好き。
    ラストは皆で楽しく踊って、食べて、本当にハッピーに終わります。
    いい映画だったな。ワンドゥクの青春はこれからなんだね。


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    震える舌

    3

    震える舌

    「震える舌」
    原作:三木 卓
    監督:野村芳太郎
    1980年 日本映画 114分
    キャスト:渡瀬恒彦
         十朱幸代
         若命真裕子
         中野良子
         宇野重吉

    昭と邦江は一人娘昌子と三人である団地に暮らして
    いる。ある日昌子は外遊びで指先を傷つけ、その日
    から少しずつ様子がおかしくなる。ある晩痙攣を
    起こした昌子は救急車で搬送されるが...。

    <お勧め星>☆☆☆☆ ホラーのジャンルにあります
    が、違う意味での恐怖を描いています。


    原作は三木卓が1975年に発表した同名小説で、彼
    の実体験がベースになっているとのこと。
    オープニングは、蝶々を追いながら泥水の中で何かを
    探して遊ぶ女の子が映ります。この子、昌子は目の前
    の団地に父昭、母邦江と暮らしており、甘やかす母と
    厳しくしつける父をそれぞれ十朱幸代、渡瀬恒彦が
    演じています。


    震える舌

    ところがその昌子が、ある日口を開けなくなり、次にうま
    く歩けなくなるのです。近所のかかりつけ医では、風邪だの
    心因性のものだのとはっきりと原因がわからないまま、ある
    晩、夫妻が楽しいひと時を過ごしていたその襖1枚隔てた
    部屋で、寝ている昌子の手がピクピク動き、次の瞬間、
    「キィー!」
    という悲鳴と共に、昌子は舌を噛み体を大きく痙攣させます。
    真っ赤に染まる口元はこの映画では幾度となく映る痙攣シーン
    であり、何度見ても恐怖を覚えます。
    救急搬送された昌子は大学病院で検査を受けるのですが、この
    検査風景も、細い腕に足に背中に針を刺し、そのたびに昌子の

    「キィー!」
    という悲鳴が流れます。しかしそれはまだこれから始まる
    夫妻の苦悩の日々に序盤に過ぎないのです。「破傷風」と診断
    され、脳腫瘍や髄膜炎でなかったことに安堵した昭をよそに
    担当医、能勢は、
    「決して安心できる病気ではない。」
    と言うのです。能勢役は、まだ若くてお美しい中野良子。


    震える舌

    「破傷風」という名前は聞いたことはあっても、いったいどんな
    病気なのか、治療法はなんのかピンと来ません。この病気は刺激
    によって痙攣を起こし、それが引き金で心不全や呼吸困難を
    起こし極めて致死率の高い病気と聞き、そんな恐ろしい病気なの
    かと実感したぐらいにおおよそ今の生活では起こりえない、と
    思ってしまう。しかし東日本大震災の瓦礫撤去の際に、この病に
    かかった人たちもいたと聞き、実は身近に潜む病なのだと知り
    ました。

    さて光や音を遮断するため、昌子は個室に入れられ、窓は黒い布
    で覆われます。周りは病気ながら、ある程度元気な子供の大部屋
    であり、その子たちが騒ぐことで昌子は痙攣を起こすのです。
    「静かにしてちょうだい!」
    邦江の悲痛な叫びが響き渡ります。その一方で、昌子は血清注入
    されたものの、病状は悪化の一途をたどり、鼻からの栄養補給、
    直腸麻酔、舌を噛む恐れがあるからと乳歯を抜歯、さらには酸素
    テントの中へと入れられます。それと共に疲弊していく夫妻の姿
    を渡瀬、十朱が本当に上手に演じます。
    「俺も昌子に噛まれたから、感染したんじゃないか」
    と言う昭。
    「もう何もしないで」
    と果物ナイフを持って医師に迫る邦江。この頃には見ている側も
    昌子の親のような気持になっているのです。


    震える舌

    病室内はいつも薄暗く、その中で聞こえるのは、昌子の荒い
    息遣いとしばしば起こる痙攣の声。必死で付き添う昭が疲れの
    あまりううたた寝した時、昌子が痙攣をおこすと、医師は
    「もっとしっかり見ていてくれ」
    と冷たく言うのです。この医師は能勢ではないけれど、病人を
    家族に持ったことがある人ならば、こういう場面に遭遇した
    経験を持つ人も少なくないはず。追いつめられた家族をもっと
    追いつめるのは医療従事者だと思う。
    ラストはあっけなく訪れ、カーテンが開いて、昌子の口から
    呼吸の管が抜かれていきます。その時昌子が言うのです。

    「チョコパン食べたい」
    「ジュースの薄めたものならいいわよ」
    と言う能勢の言葉を聞き、大喜びで自販機に向かう昭は本当に
    体全体でその気持ちを表しているのです。そして缶ジュースを
    持ったまま、勢い余って転んでしまう。転がる缶を見つめてまた
    笑う昭を見ると、それは昌子の回復だけでなく、今までの拘束
    からほどかれた喜びにも満ちているのだと思いました。


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    007 スペクター

    2


    スペクター

    「007 スペクター」
    原題:Spectre
    監督:サム・メンデス
    2015年 アメリカ映画 148分
    キャスト:ダニエル・クレイグ
         クリストフ・ヴァルツ
         レア・セドゥー
         レイフ・ファインズ
         モニカ・ベルッチ

    ジェームズは生家「スカイフォール」で焼け残った
    写真の謎を解き明かすためにメキシコへ向かう。そこ
    での爆発事件が原因で停職処分となった彼は、命令に
    背いて単身ローマへ向かい、悪の組織の存在を知るの
    だった。

    <お勧め星>☆☆☆半 劇場で見る価値のある迫力です。
    但しダニエル・クレイグ主演の前3作を復習しておく
    ことをお勧めします。


    史上最年長(51歳)のボンド・ガールなんて失礼なことを
    言われるモニカ・ベルッチは相変わらずきれいでお色気抜群。
    ジェームズったらちゃっかり未亡人となった彼女とベッドイン!


    スペクター

    オープニングのメキシコ・シティでの「死者の日」のお祭り
    でのアクションは、レディとホテルに入り込んでさあお楽しみ
    と思った途端にシフトチェンジし、スナイパーとなり、爆発の
    影響で倒れつつあるホテルからの逃走と目まぐるしい展開です。
    そしてオープニング曲へ。サム・スミスの「Writing's On The
    Wall」がしっとり流れます。ちなみに映像で流れるタコの足が
    絡まるシーンはかなり気色が悪いです。

    そしていまや組織解体の危機にあるM1-6の00部門は、新しいM
    を迎え、極めて近代的な建物へと所在を移す予定になっています。
    M役は「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014)の
    レイフ・ファインズ。しかしそのMにとってかわって諜報部門を
    指揮するのがC。「パレードへようこそ」(2014)の
    アンドリュー・スコットが狡猾な役を演じています。
    ジェームズはメキシコ・シティでの大騒ぎをMに注意され、停職
    処分になるのに、009用のアストンマーティンDB10を勝手に
    乗り回し、ある目的のためにローマへ向かい、見事なカーチェイス
    の末に5億8000万円の車をしっかり川に沈めて来ちゃう。


    スペクター

    そして悪の組織の存在を知り、その過程でオーストリアの山の
    上で医師をしているマドレーヌを守ることも任務になっていく
    のです。マドレーヌ役は「グランド・ブダペスト・ホテル」で
    可愛いクロチルド役を演じたレア・セドゥー。


    スペクター

    この映画では最初は普通のフランス娘という感じなのに、ドレス
    に着替えると、なんとも大人の魅力を漂わせてくれます。ちなみ
    に、このマドレーヌがいなかったら、ジェームズは2回死んで
    いると思う。
    そして遂にモロッコの砂漠で悪の組織スペクターと対決するわけ
    です。この組織のボス、フランツ役はクリストフ・ヴァルツ。
    全くこういう嫌な役がとてもよく似合う。
    アクションは、車だけでなく、小型飛行機、ヘリコプター、
    モーターボートを使って、国をまたいで繰り広げられ、派手な
    爆発シーンが幾度となく見られます。個人的に好きなのは
    オーストリアの雪山でのランドローバーと小型飛行機の
    チェイスシーンですね。飛行機って羽根が無くなっても前には
    進むんだなあと見ていました。ラストまで瞬きするのが惜しい
    ほどの展開です。



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    大統領の理髪師

    6
    JUGEMテーマ:韓国映画全般

    大統領の理髪師

    「大統領の理髪師」
    原題:The President's Barber
    監督:イム・チャンサン
    2004年 韓国映画 116分
    キャスト:ソン・ガンホ
         ムン・ソリ
         リュ・スンス
         イ・ジェウン
         ソ・ビョンホ

    1960年代、大統領官邸がある町に住むハンモは
    一人息子を授かり、床屋として平凡に暮らしている。
    しかしひょんなことから大統領専属の理髪師になった
    ことで、彼の生活は一変するのだった。

    <お勧め星>☆☆☆☆ 笑いあり、涙あり、喜びあり、
    悲しみありと一市民の人生をうまく描いた映画です。


    まさにソン・ガンホの演技に尽きるのです。この人は
    少し太ったり痩せたりするけれど、いつも少しとぼけて
    いながら、その背中に哀愁を漂わせることのできる素敵
    な俳優さん。
    時は1960年〜70年代にかけての韓国国内の動乱期。
    豆腐一丁というあだ名のソン・ハンモという床屋がいたの
    です。最初から感じるのは映像がすこし黄色がかっていて
    「三丁目の夕日」のようだし、コミカルなBGMと鮮やかな
    色が使われるシーンなどはウェス・アンダーソンの世界感
    を思わせます。

    ハンモの住む町は普通の小さな町であり、住んでいる人々も
    人情味あふれる仲間ばかりで、抜け駆けしようとか、人を
    騙そうとかするものなどいません。ただ一つ、他の町と
    違っていたのか、この町に大統領官邸があったことです。
    ハンモが無理やり身ごもらせた従業員ミンジャは、実は
    故郷に恋人がいたけれど、妊娠5か月は四捨五入で人間だ、
    ということで、妻にしてしまいます。この四捨五入話も
    町の知識がある人に聞いたものをさも自分の知恵のように
    話すから笑えてしまう。おまけに産気づいた妻を病院へ

    運ぼうと白衣を着てリヤカーを押していると、反政府デモ隊
    に巻き込まれ、「医者」と間違われ、リヤカーにはけが人も
    乗せられるわけです。このドタバタ感も、テンポよく進み、
    実はかなりシリアスなシーンであったことにも気づかないほど
    です。この後家が揺れ、外に出ると戦車が来たことから、
    軍事政権が発足したことがわかるわけです。


    大統領の理髪師

    一方名前選びでは「平凡だけれど長生きする」というナガン
    と名づけられた息子は成長し、ついでにハンモは、妙なきっかけ
    で大統領専属の理髪師に抜擢されるのです。大統領の訪米にも
    付き添い、一躍町の有名人になったハンモはこの時が絶頂期
    です。初めて大統領の髭を剃った時、つい傷をつけてしまった
    ハンモのビビリ方は、ソン・ガンホの名演で見事に描かれて
    います。


    大統領の理髪師

    しかし、北の工作員が持ち込んだ下痢を「マルクス病」と名付け
    下痢をした者→北の工作員と接触した、と決め付け、スパイ容疑
    で情報部が捜索し始めると、なんとナガンも下痢をしていることが
    わかってしまうのです。いや、とりあえず町の警察署に連れて行く
    のが国民の務めということで、ハンモは息子を連れて行ったものの
    それきり息子は戻ってきません。「マルクス病」は政治犯であり、
    数々の拷問が待っているわけです。実際この時は国家が危機的な
    状況にあり、それゆえ情報部はスパイとみなされた者を即死刑
    にしていたのです。序盤に時の大統領のために尽くした町の名士
    チェさんも拷問を受け、銃殺されます。ところがナガンは通電の
    拷問は全然平気であり、そのシーンでは、ハモニカを吹いたり、
    色とりどりの電球が通電によって点灯し、彼は大笑いをしている
    のです。しかしよく聞いてください。背後には悲痛な叫び声が響き
    渡っていますよ。

    ナガンはその後解放されますが、拷問の後遺症で足が動かなくなって
    います。そこからハンモは彼を背負って、あちこちの治療院へ
    向かうわけです。針、灸は当たり前のこと、一休さんのような子供
    の書いた地図にしたがって山奥に向かい、仙人のようなじいさまの
    ありがたい教えを聞くのですが、どうも意味不明。そこへ行く時に
    極寒の川を、裸足になり、ナガンを背負って渡るハンモの姿は
    ただただ子を思う親の気持ちにほかならないのですね。

    そして1979年、大統領が殺害され、戒厳令が敷かれます。
    例の仙人の言葉を思い出し、大統領の遺影の瞳をこそげとるハンモ
    の姿もまたおどおどしていて、本当に彼が小心者であることを
    物語るのです。竜の瞳と菊を飲んでも全くナガンの足は動きません。
    そういえば仙人はもう1つ「心」とか言っていたな。
    それがわかるのは、心ならずも新しい大統領の理髪師に抜擢された
    時、さあ毛を切ろうとすると、大統領の頭は禿げ頭であり、それを
    見て思わずハンモの口から出た言葉です。
    「髪が伸びたらまた来ます」

    初めて本心を言ったわけです。今まで全て言う通りに国に務めて
    きたハンモはおそらく相当なストレスを抱えていたはず。
    もちろんハンモは半殺しになって麻袋に入れられて、家の前に
    捨てられるんだけど、それでも生きています。そしてその日から
    彼の表情は明るくなり、ついでにラストにはナガンに奇跡が起こる
    のです。あの仙人もあながち嘘だらけでもなかったのかな。
    国家の状況に左右されながらも、強くたくましく明るく生きて行く
    庶民のエネルギーを感じる映画でした。




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    ザ・トゥルー・コスト ファスト・ファッション 真の代償

    4
    JUGEMテーマ:洋画

    真の代償

    「ザ・トゥルー・コスト ファスト・ファッション
    真の代償」
    原題:The True Cost
    監督:アンドリュー・モーガン
    2015年 アメリカ映画 93分

    ファッション業界では安価なファスト・ファッション
    がもてはやされているが、そこには搾取される人々や
    汚染される地球環境などの犠牲が払われていることを
    多くの人々は知らない。

    <お勧め星>☆☆☆☆☆ 全く知らないことばかりで、
    この映画を見て知って本当によかったと思います。


    ファッションの真のコストなど考えてみたこともなかった
    です。安価で丈夫、冬は暖かく、夏は涼しい衣服が出れば
    それを競うようにして買い、来シーズンには、少しデザイン
    の異なるものを目にし、再び買うということを何年も続けて
    来ました。
    しかしそれはどういう経路で作られていたのか、この映画
    を見て初めて知りました。

    人件費や物の値段は上がっているのに、なぜか価格が下降
    し続けるファスト・ファッション。それがいつの間にか
    当たり前のようになっています。考えてみればかつては
    仕立て屋があり、職人が作った服を着たり、何かの催し
    のためにだけ、高価な服を買っていた気がします。では、
    今衣服の製造地はどこになっているのでしょうか。中国から
    ベトナム、バングラデシュ、カンボジアへと工場は移って
    いるのです。それは仕事を必要な国へ移ったと言えば聞こえ
    がいいですが、販売側の価格で生産できないとなると、すぐ
    違う場所へ移しているだけのことであり、そこには劣悪な
    環境かつ低賃金で長時間働く人々がいるわけです。


    真の代償

    映画の中で「フェア・トレード」という言葉が出てきます。
    これも初めて聞いたのですが、言葉の通り、作る側と売る側が
    公平な取引である、ということです。
    しかしバングラデシュでは、日給2ドルで働き、工場の安全
    管理は不徹底であり、建物のの倒壊や火事で多くの人々が
    亡くなっています。映画内でそこを指摘した評論家に
    「もっと危険な仕事、つまり炭鉱や石油採掘などの仕事が
    ある。」
    と言い返す経営側の人が映ります。彼らは現地の工場を管理
    しているわけではなく、あくまでも現地の法律に基づいて
    働かせているので、労働組合もなければ、安全管理もなされて
    いなくても構わないわけです。

    さらに、原材料に遡ると、遺伝子組み換え種子で綿を栽培し、
    その種子を独占的に販売、また大規模な殺虫剤散布が行われ
    ています。それによって土壌、河川は汚染され、住民が病に
    冒されると、処方される薬も同じ会社が販売しているという。
    インドのバンジャブ地方では、先天的に障がいを持って生まれた
    子供が多く、貧困ゆえ治療さえされずに亡くなっています。
    その上、製造された服は、その多くがすぐに廃棄され、アメリカ
    国内のチャリティーでは、ほぼ買われず、ハイチなどの国へ
    運ばれると、結局地元企業は消滅せざるを得なくなるわけです。


    真の代償

    そういうピープル・ツリーの中で唯一豊かになるのは、
    ファスト・ファッションの経営者であり、また消費者も
    家や車といった、本当に欲しいものは「高価」と感じ、
    安価な衣服を買うことで物欲を満たしていくわけです。
    人権とか環境を守ることの大事さはずっと訴えられてきたのに
    ファッションに関しては、こういう状況にあることに気づく
    事さえなかった自分が恥ずかしいです。
    安価な衣服は、どこから来たのかじっくり考えてみる必要が
    あると思いました。



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    パッション

    4

    パッション

    「パッション」
    原題:Passion
    監督:ブライアン・デ・パルマ
    2012年 ドイツ=フランス映画 94分 R15+
    キャスト:レイチェル・マクアダムス
         ノオミ・ラパス
         カロリーネ・ヘルフルト
         ポール・アンダーソン

    広告会社の重役クリスティーンは、アシスタントの
    イザベルと二人三脚で仕事を進めていた。しかし
    イザベルのアイデアを彼女が横取りしたことで関係
    は悪化し、男性関係も絡んで対立は深まるのだった。

    <お勧め星>☆☆ デ・パルマ監督ならではの雰囲気
    満載の映画ですが、使い古された感じは否めません。


    Rotten Tomatoesでは「ゴミ」「退屈」「古典的すぎる」
    などと酷評の嵐にさらされていますが、日本での評価は
    結構高いので期待して鑑賞。
    「ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて」(2010)のリメイク
    だそうです。これはまだ見てないな。ヒロイン、イザベル役
    は「ミレニアム」シリーズのノオミ・ラパス。


    パッション

    そして彼女のボスである重役クリスティーン役は
    「アバウト・タイム」(2013)のレイチェル・マクアダムス
    です。ええ、全然雰囲気が違っている〜。このクリスティーン
    が、女を武器に出世街道を上り詰めた魔性の女であり、実は
    女性も好きというなんでもありの性癖の持ち主なのです。
    ボーイフレンドの1人で会社の重役ダークとのラブシーンでは
    なぜか仮面をかぶらされているダークがいます。ここは結構
    ソフトな映像です。いやなぜにR15なのかわからない。ちょいと
    ノオミ・ラパスのバストが見えたくらいなのにねえ。

    さてイザベルのアイデアを自分のものとして発表し、本社へ
    復帰話が持ち上がったクリスティーンに対し、イザベルとその
    助手ダニは納得がいきません。ダニの入れ知恵もあり、イザベル
    は直接本社にアイデアを送ると、それが見事に称賛されるわけ
    です。あら、今度はクリスティーンがだまっていないわよ。


    パッション

    クリスティーンの代わりに一緒に出張したダークを恋人と思って
    いたイザベルは見事にフラれ、やけっぱちで地下駐車場で車を
    ぶつけまくるんです。きれいな人のイビリって壮絶よね。また
    イザベルがどうもルックス的に暗いイメージなのも対照的です。
    ところがダークは会社の金を横領しており、その弱みを握られて
    いるからクリスティーンに逆らえないらしい。あらまあ、昼ドラ
    の世界じゃないの。
    クリスティーンのいびりは徹底的であり、それは実はイザベル
    への愛情の裏返しでもあったようで、なぜかダニがレズである
    事も知っているんです。だから、彼女もついでにいじめちゃう。
    もうイザベルは睡眠薬なしでは生活できなくなっているんです。
    薬の白い粒や、コップの水など小道具が上手く映され、遂に
    スプリット・スクリーンとなり、バレエを鑑賞するイザベルと
    自宅でのパーティーを楽しんだ後、クリスティーンが、謎の
    訪問者によって喉を掻き切られるまでが長回しで映ります。


    パッション

    手袋、不気味なマスク、光るナイフ、そしてマフラーという
    もう懐かしい小物のオンパレード。
    そして現代ではあり得ない杜撰な捜査と自白の強要、状況証拠
    でイザベルは逮捕されるわけですよ。80年代なら許せるけれど
    こんなことで犯人逮捕になるのかすごく疑問。ただそこから、
    イザベルは自白を取り消すのです。そのためには遺体が握って
    いたマフラーがなくてはいけない。このマフラーがなぜ自宅に
    あると、彼女が言い張り、そしてそれがなぜないのか、そこは
    上手く作られていたな。

    終盤になるとどこまでが現実でどこからがイザベルの妄想なのか
    わからなくなります。ただね、とっておきの証拠がスマホでの
    動画というのはいただけません。どう考えてもバレエの劇場で
    スマホ撮影はできないと思うし、うまいこと転がって送信ボタン
    を押すだけになっているなんて出来過ぎだわ。
    「殺しのドレス」(1980)の世界観はまだ健在ということでしょう。
    聞き覚えのある効果音、らせん階段、緑のハイヒールなども出て
    きましたね。



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    スタンリーのお弁当箱

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    JUGEMテーマ:洋画

    スタンリーのお弁当箱

    「スタンリーのお弁当箱」
    原題:Stanley Ka Dabba
    監督:アモール・グプテ
    2011年 インド映画 96分
    キャスト:パルソー
         ディヴィヤ・ダッタ
         アモール・グプテ

    クラスの人気者スタンリーは家庭の事情で弁当を
    持ってくることができず、水を飲んで空腹をしのいで
    いる。そんな彼に級友は弁当を分けてあげるのだが、
    同じように同僚から弁当を分けてもらっている教師に
    「弁当を持たずに学校へ来るな」と言われるのだった。

    <お勧め星>☆☆☆半 明るいコメディ映画と思って
    いるとラスト付近でインド社会の問題を描いていること
    に気づかされます。


    インド映画につきものの突然始まるダンスや歌のシーンは
    なく、BGMとしてそのシーンにあった歌が流れます。
    インドのお弁当といえば「めぐり合わせのお弁当」(2013)
    で見ているので、あの丸い4段重ねの弁当箱には驚きません。
    いやこの映画の方が前にできているから、これを見ていたら
    驚かなかったのかな。主役のスタンリー少年は、監督で映画
    内で食いしん坊の国語教師を演じるアモール・グプテの実の
    息子パルソーだそうです。表情が豊かでとても可愛い子。
    さてこのスタンリーは、家庭の事情で学校に弁当を持って来ず、
    昼休みは水を飲んで空腹をしのいでいるのです。


    スタンリーのお弁当箱

    制服も顔も薄汚れているから、普通なら仲間外れにされる
    と思うのですが、この映画の子供たちはみないい子で、彼の
    その姿を見て、自分の弁当を分けてあげようと考えます。
    スタンリーが弁当を持って来れない理由は、本人曰く、父が
    デリーに仕事に行き、母もついて行ったから弁当を作る人が
    いないそうな。スタンリーはみんなのお弁当を分けてもらい
    ながら、卑屈にならず、また級友も彼ととても仲良しなのです。
    そんな彼の勉強の能力を認めるのがロージー先生。


    スタンリーのお弁当箱

    終盤に彼女の結婚相手が映りますが、その人がものすごく
    ハンサムなんです。
    ところが、弁当を持って来ない人は教師の中にもいて、それが
    太っちょの国語教師ヴァルマー先生なのです。彼は指輪をして
    いるから既婚者だと思うけれど、なぜか弁当を持って来ず、同僚
    から分けてもらっています。そんな彼の鼻はとてもよく効くから
    早弁しているとすぐにわかっちゃう。


    スタンリーのお弁当箱

    そして補講の時彼はアマンの素晴らしい弁当箱の気づくわけですよ。
    ここから弁当を巡って、スタンリーを含めた生徒VSヴァルマー先生
    の攻防が始まります。その姿はとても滑稽で、弁当を食べる場所を
    あちこち変え、そこを必死で探す先生の様子が、まことにおもしろい。
    しかし遂にヴァルマー先生に見つかると、彼はスタンリーに
    「弁当を持たずに学校へ来るな。野良犬め!」
    とまで言うわけですよ。この学校はキリスト教系のはずなのに、この
    狭い心の教師に誰も気づかないのかしら。そもそもスタンリーが水
    で空腹をしのいでいることに教師は気づかないのかしら。なんて
    疑問は沸き起こりますが、それは置いといて、その日をきっかけに
    スタンリーは登校しなくなります。すると生徒の冷たい視線、そして
    結婚式を終え戻って来たロージー先生に、ヴァルマーは責められ、
    遂には仕事を辞めるのです。晴れてスタンリーは学校へ登校再開。

    さらになにやら「コンサート」のオーディションに合格し、様々な
    学校の生徒とともにミュージカルを演じて大成功収めます。彼は
    なんでもできるのね。とちょっと腑に落ちないでいると、帰宅した
    スタンリーを待っていたのは、忙しい日曜日に家を空けたことで
    怒る叔父のビンタでした。

    そう、ここでスタンリーが弁当を持って来ない本当に理由がわかる
    のです。彼の両親は事故死し、飲食店を営む叔父の世話になって
    いること。そしてその店で彼は深夜までこき使われていること。
    小さな体で配膳をし、重い荷物を運び、食器を洗い、やっと残り物
    を食べる。一緒に働き店の料理を作っている青年が、スタンリーに
    残り物を弁当として持たせるのです。それを彼は
    「母さんが2時間かけて作ってくれた」
    と自慢する姿は子供らしくて微笑ましい嘘でしたが、ラストに字幕
    で流れるインドの子供の状況は、それを描きたくてこの映画を作った
    のか、と思い、少し心が暗くなりました。
    でもどんな困難も強くたくましく乗り越えて行くスタンリーを見ると
    インドの人々のパワーを感じます。




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    アドバンテージ〜母がくれたもの

    4
    JUGEMテーマ:SF映画 一般

    アドバンテージ

    「アドバンテージ〜母がくれたもの」
    原題:Advantageous
    監督:ジェニファー・ファング
    2015年 アメリカ映画 92分
    キャスト:ジャクリーン・キム
         ジェームズ・アーバニアク

    バイオ企業のモデルとして働くグウェンは、年齢を
    理由に会社から解雇通知を受ける。次の仕事は全く
    見つからず、彼女は一人娘ジュールスの進学費用の
    ために、ある計画の治験者になることを決意するの
    だった。

    <お勧め星>☆☆☆ 近未来とは時代を逆行していく
    ことなのかと感じてしまいました。


    「社会にとって女性を家庭に閉じ込める方が、男性が
    路上にあふれかえるより安心だ」これが近未来の人々
    の考えなのでしょうか。女性の社会進出、子育て支援
    を掲げる今の時代から、景気が先細り、社会が不安定
    のなると、結局元の状態に帰って行くのではないかと
    思ってしまいます。
    先進ライフ研究所勤務のグウェン・コウは、美を追求
    する会社のモデルとして働きながら、ジュールスという
    一人娘を育てているシングルマザーなのです。


    アドバンテージ

    彼女はかつて従妹リリーの夫が経営する店で働いていたの
    ですが、あることがきっかけでそこを辞め、今の仕事に
    就いています。このあることがジュールスと関係しており、
    夫のいないグウェンは、とにかく彼女のために働くしか
    ないのです。近未来では、どんなに経験があっても結局
    若い労働力ばかりが求められ、モデルとして年を取り過ぎた
    グウェンは突然解雇通知を受けるのです。

    時折映る世の中の状況は、テロが頻発し、路上生活者が
    増え、貧富の格差は広がる一方。したがってジュールスは
    良い学校に入れなかった時点で負け組となってしまうのです。
    さらに10代前半の女子による売春行為も広がり、自殺者も
    増えている。映画内で描かれる近代的なビル群と移動手段、
    端末のない携帯電話などとは裏腹に、どこまでも暗い未来
    が映し出されていきます。


    アドバンテージ

    グウェンはジュールスの進学のためにどうしても学費が必要
    であり、自分の経歴を売り込むのですが、年齢がネックで
    紹介される仕事は「卵子提供」などというものしかありません。
    結局グウェンは、元の勤務先が開発中の「新研究の実験対象」
    になることを選択するのです。この時彼女は、元上司のデイヴ
    と話すのですが、その会話がすっぽり抜け落ちており、それは
    ラストにつまびらかにされます。

    どういう研究なのかは、「この研究によって、老いも病も心配
    がなくなる」という説明を聞くとなんとなく分かって来ますね。
    そしてジャケット写真のような姿が映るのです。その前に娘と
    楽し気に過ごすクリスマスの風景と、仕事を引き受ける決意を
    した後、路上で泣き叫ぶグウェンが映り、彼女の大きな悲しみを
    感じ取ることができます。
    女性が「老いる」ことは、それほどまでに社会から拒絶される
    ことなのか、とか、人間の果てしない欲望は結局「不老不死」
    へとつながるのだろうか、などと考えてしまう映画でした。



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    ライフ・オブ・クライム

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    ライフ・オブ・クライム

    「ライフ・オブ・クライム」
    原題:Life of Crime
    監督:ダニエル・シェクター
    2013年 アメリカ映画 101分
    キャスト:ジェニファー・アニストン
         アイラ・フィッシャー
         ウィル・フォーテ
         マーク・ブーン・Jr.
         ティム・ロビンス

    1978年、デトロイト。富豪フランクの妻
    ミッキーを誘拐し、身代金100万ドルを要求した
    ルイスとオデールは、愛人のいるフランクに支払い
    を拒否される。彼らは次々と計画を変更していくが...。

    <お勧め星>☆☆☆ 普通に面白いんですけど、もう
    少しテンポを良くしたら秀逸なサスペンスコメディに
    なったのに、という感じがします。


    面白くなりそうで、あと少し...。スリルが出て来そうで
    消えてしまう...。そんな中途半端な内容です。別にあくび
    が出るほどダルくはなりませんから、見て損はないです。
    「ジャッキー・ブラウン」(1997)の前章という触れ込みの
    映画です。したがってルイス、オデール役はそれぞれ
    ロバート・デ・ニーロ、サミュエル・L・ジャクソンの
    若かりし頃の姿を演じているのです。オデール役は
    「僕らのミライへ大回転」(2008)などのモス・デフが
    ヤシーン・ベイと改名して演じています。


    ライフ・オブ・クライム

    一方のルイス役は「ウィンターズ・ボーン」(2010)で
    失踪したオヤジを演じたジョン・ホークス。どちらもやや
    パンチが足りないなあ。
    さらにストーリーが、悪徳富豪フランク・ドーソンの妻
    ミッキーを誘拐し、身代金100万ドルをせしめようとしたら、
    フランクは愛人メラニーがいて、彼女の言うまま、身代金を
    支払わないことから始まる、というまあよくある設定です。
    所々笑わせるツボがあるのに、いまいち笑えません。うーん、
    このコンビの会話もいまいちだなあ。


    ライフ・オブ・クライム

    そして誘拐したミッキー役のジェニファー・アニストンが
    いつものように演じているのに、どうも魅力が半減している
    気がするのです。なんならやり放題で、誘拐犯を困らせたら
    いいのに、なぜかルイスと心を通わせ合ってしまうという
    何とも中途半端な展開。そうなんですよ、誘拐犯が結構いい
    人たちで、悪いのは、夫フランクとさらにはその愛人メラニー
    という設定も話をつまらなくさせた原因かもしれません。


    ライフ・オブ・クライム

    誘拐犯のアジトとなり武器を提供するリチャードがものすごい
    差別主義者で、ネオナチであるのは、何か意味があるのだろうか。
    あんな旗を部屋に貼っていたら、不快に思う人々が多いはず。
    序盤にミッキーを誘ってきたマーシャルの存在も全然笑えないし、
    そもそも彼に意味があったのかしら?
    あっというラストになるはずが、ごちゃごちゃしたあげく、割と
    想定内のものになってしまいました。




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    ナタリー

    2
    JUGEMテーマ:洋画

    ナタリー

    「ナタリー」
    原題:La Delicatesse
    監督:ダヴィッド・フェキノス
       ステファン・フェキノス
    2011年 フランス映画 109分
    キャスト:オドレイ・トトゥ
         フランソワ・ダミアン
         ブリュノ・トデスキーニ

    ナタリーは最愛の夫フランソワを事故で亡くして
    3年、仕事に没頭する生活を送っている。そんな
    彼女は、突然同僚の一人でさえないマーカスに
    キスをしてしまったことから、2人の奇妙な交流が
    始まるのだった。

    <お勧め星>☆☆☆☆ 音楽も含め、胸がキュンと
    なりつつ、ちょいちょい笑いも絡めた素敵な映画です。


    主演のオドレイ・トトゥは、「アメリ」(2001)で有名
    であり、まさにおしゃれなパリ娘という雰囲気です。


    ナタリー

    今回は大好きなフランソワと結婚し、新しい仕事も決まって
    子供はもう少し後ね、なんて幸せの絶頂期にいた時、突然
    事故で彼を失った未亡人役なのです。なので序盤は、やや
    悲し気な彼女の姿に、ちょっと胸が痛みます。
    原題は「デリカシー」という意味で、この事故の後、彼女の
    友人、家族、同僚が、まるで腫れ物に触るかのように、彼女に
    接する姿と、それを一切考慮しないかなりズレた行動の持ち主
    のマーカスの姿が対照的に映るのです。そしてどちらが彼女
    にとっての「思いやり」になるのかということも考えさせて
    くれます。
    しかしナタリーとマーカスの出会いは、まさに衝撃的であり、
    チーム長であるナタリーの呼ばれ、彼女のオフィスに来た
    マーカスに彼女が突然キスをすることから始まるのです。


    ナタリー

    マーカスはもう絶好調!スウェーデン人である彼は、両親くらい
    しか彼の存在を認めないくらい薄い存在感と、頭もかなり寂しい
    し、気の利いた話もできません。でもこんな優秀で美しい女性を
    ゲットしたと勘違いしていると、ナタリーは「忘れてちょうだい」
    とさらりと言うのです。え?
    実はナタリーはその前に社長の誘いをきっぱりと断っており、
    2人の関係に嫉妬した社長は、わざわざマーカスを呼び出す始末。
    そこでもマーカス=この存在感の薄い男と気づきません。


    ナタリー

    自分になくてこいつのある物はなになのか、全くわからないわけです。
    「さえない男のくせに」
    おお、嫉妬に狂うと負け惜しみまで言っちゃうぞ。まあ確かに当たって
    います。さらにナタリーの親友ソフィも、マーカスをみて「ん?」と
    いう表情を浮かべるわけです。彼女にはふさわしくないということ
    でしょうか。

    ナタリーが欲しいのは名誉や昇進ではなく、ありきたりに「安心」
    と「心の優しさ」なのですが、なかなか実生活では気づかないものです。
    さすがのマーカスも、自分を恥ずかしく思うわけですよ。すると
    ナタリーは、かつて育った祖母の家にマーカスを連れて行きます。祖母
    は何の違和感もなく彼を受け入れ、「心の優しい人ね」と言う。
    ナタリーはそれを聞いて初めて安心するのです。
    ラストの祖母の家の庭でのかくれんぼは、彼女が生まれ育った場所に
    隠れ続けることで、一生彼女のそばにいる、という決意の表れと
    して使われているのでしょう。かくれんぼは1人ではできないです
    からね。もちろんすぐに見つかると思うわ。だってマーカスはかなり
    体が大きいんだもの。



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