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    • 2023.01.12 Thursday
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    悪魔のいけにえ 公開40周年記念版

    4

    JUGEMテーマ:Horror

     

    悪魔のいけにえ

     

    「悪魔のいけにえ」

    原題:The Texas Chainsaw Massacre

    監督:トビー・フーパー

    1975年 アメリカ映画 83分 R15+

    キャスト:マリリン・バーンズ

         アレン・ダンジガー

         ポール・A・パーティン

         ウィリアム・ヴェイル

         ガンナー・ハンセンテ

     

    テキサスの暑い夏、5人の若者が田舎道を車で走って

    いる。彼らはサリーとフランクリンの昔の家に向かって

    いるのだったが、途中で不気味なヒッチハイカーを乗せて

    しまう。

     

    <お勧め星>☆☆☆半 今見るとそれほど怖くないし、

    逆にコメディっぽいなあ。


    絶叫クイーン、マリリン・バーンズここにあり!


    ジャンル分けで、ファンタジー映画スリラー映画と

    書いてありますが、どこをしっくり返しても「ファンタジー」

    要素はありません。(3回目の鑑賞)ああ、頭の中が

    「お花畑」の人が登場しているからなのか。
    青い空、強い日差し、草の生い茂った荒野、茨のような木々が

    ひしめき合う森、その中に若者の汗と悲鳴がが入り込むわけです。

     

    悪魔のいけにえ
     

    冒頭から汗まみれの若者がエアコンのないバンに乗り、

    何が楽しいのか、フランクリン、サリー兄妹のかつて住んでいた

    家に向かおうとしているのですが、今やホラーの鉄則となった

    『ガス欠』を起こします。
    登場人物はフランクリン(車いす)、

    サリー(フランクリンの妹でしっかり者)、

    カーク(当時のイケメンの象徴的姿)、

    ジェリー(70年代にはよく見かけた風貌)、

    パム(占い好き)の5人で、彼らは特に悪ふざけをする

    わけでもなく、ドラッグや酒を飲みまくるわけでもなく、

    無駄なお色気シーンを振りまくわけでもなく、ただ異常な

    人々によって不条理な扱いを受けてしまうのです。

    アメリカ映画特有の勧善懲悪要素は一切ありません。
    さらにその異常な一家は一応3兄弟+ゾンビのような

    グランパがいるのですが、特に仲が良いわけでもなく、

    一方的にはしゃぐばかりで、この辺りの不協和音と

    マリリン・バーンズの絶叫、大きく見開いた瞳の大アップなどで、

    見ている側を独特の世界に引き込むのです。

     

    悪魔のいけにえ

     

    悪魔のいけにえ
     

    グランパのハンマーシーンは何回見ても笑える。

    まず持てないんだからね。

     

    悪魔のいけにえ

     

    ラストのレザーフェイスのダンスは何度見ても飽きないなあ。

    あれは朝陽だろうか、夕陽だろうか。

     

     

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    ニュースの真相

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    ニュースの真相

     

    「ニュースの真相」

    原題:Truth

    監督:ジェームズ・バンダービルト

    2015年 オーストラリア=アメリカ映画 125分

    キャスト:ケイト・ブランシェット

         ロバート・レッドフォード

         エリザベス・モス

         トファー・グレイス

         デニス・クエイド

     

    2004年CBSテレビの「60ミニッツ」は再選を目指す

    ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑を報じる。プロデューサーの

    メアリーは、丁寧な裏付けをとり、内容に自信を持っていたが、

    一部のブロガーから、疑惑を追及され始めると、証言者が発言を

    次々に撤回していくのだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ まさに現代の報道の現場を見るような内容

    でした。


    真実を追求することはジャーナリストの本質だ


    原題「Truth」そのものの内容です。この映画が製作されたのが、

    アメリカ大統領選を控えた時期であり、政治的な意図を感じるの

    ですが、問題はそんな単純なものではないと知ってほしい、いや

    知るべきなのです。
    「昔は良かったね」昭和の人間はよく言います。情報源がテレビ、

    ラジオ、新聞、雑誌のみであり、各々が限られた情報の中から、

    自分の考えを持つことができ、それを見ず知らずの人に批判される

    ことなどなかった。しかし、ネットが普及した現代社会においては、

    東京五輪のロゴ盗作問題がネット上の指摘から始まったことのように、

    あらゆる人々が溢れる情報を得、そこから真偽を指摘することが

    できるのです。悪意のある偽情報も流せます。

     

    ニュースの真相
     

    CBSテレビのプロデューサー、メアリー役はケイト・ブランシェット。

    もう貫禄の演技なので安心して見られます。そして彼女の父親的存在で

    看板キャスター、ダン役はロバート・レッドフォード。ルックス的

    にはかつての面影もないけれど、広い心を持ちいつも落ち着いている

    人間を好演。

     

    ニュースの真相
     

    スクープとして取り上げたブッシュ大統領の軍歴詐称問題が、1つの

    綻びから始まって、CBS会社自体の問題となり、親会社が共和党側で

    あったことも大きく関係して、報道の撤回、さらには調査委員会実施

    まで追い込まれていく様は、映画中盤より坂道を転がり落ちるように

    描かれていきます。
    そこでの論点が「真実」つまり「軍歴詐称があったのか否か」ではなく、

    報道した人間の個人の資質にすり替えられていくのは、まさに

    現在進行形で起こっているようで空恐ろしい気がします。どれだけ

    「確証」をあげたところで、出来上がった構図を塗り替えることは

    困難を極めるのです。

     

    ニュースの真相
     

    「権力者の横暴」と冒頭にメアリーは語りますが、

    「報道する側の傲慢」も見え隠れするし、取材された人間が、

    一般人でありながら追いつめられるのは見ていて辛い。

     

    ニュースの真相
     

    「真実を追求すること」の難しさは、時代が変わるにつれてますます

    困難になっているのかもしれません。しかしだからといって、真実を

    求める姿勢をうしなってはいけないのです。

     

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    T2 トレインスポッティング

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    トレインスポッティング2

     

    「T2 トレインスポッティング」

    原題:T2 Trainspotting

    監督:ダニー・ボイル

    2017年 イギリス映画 117分 R15+

    キャスト:ユアン・マクレガー

         ユエン・ブレムナー

         ジョニー・リー・ミラー

         ロバート・カーライル

         ケリー・マクドナルド

     

    20年前麻薬の売買で得た大金を持ち逃げしたレントンは

    故郷のエディンバラに戻ってくる。そこではまさに自殺を

    図ろうとしていたスパッドや彼を憎み続けるサイモンが

    待っており、彼らは再び一儲けしようと計画するが...。


    <お勧め星>☆☆☆半 映像と音楽がかっこいいんです。

    20年たっても色あせない雰囲気が大好き。


    チャンスと裏切り そして Chose Life

     

    トレインスポッティング2

     

    前作をすっかり忘れていて、そうかヘロインに溺れる若者は

    5人だったことに気づくのは、レントンとスパッドとサイモンが、

    トミーの供養に訪れるシーンを見た時。ちょいちょいかつての

    シーンが入り込むので、忘れていた内容を思い出させてくれる、

    20年前は若かったけれど、今はちょっと人の名前が

    出てこなくって...とお悩みの方にはとても優しい作り方です。
    そしてかつては「若気の至り」で済まされ、「未来」が開けて

    いたはずのレントンたちも、今は「明日の生活」を切実に考える

    世代になっているのです。そこを痛感すると本当にイタタタタ。
    それでもスタイリッシュな映像(とにかく走る走る)と音楽で、

    まるであの時代に戻ったような気分になるから不思議です。


    レントン→子供ができず離婚し、無職の上、冠動脈の手術を

    受けたばかり

    ラリった画像はやはりこんな感じ

     

    トレインスポッティング2
     

    サイモン→妻子とは10年前にあったきりで、今はオランダ人

    ベロニカを使って恐喝で金を稼ぐ

     

    トレインスポッティング2
     

    スパッド→ヘロイン中毒から抜けられず、妻子とは別れて暮らす

     

    トレインスポッティング2
     

    そして残る一人が冒頭に登場するベグビー。彼だけ刑務所暮らし

    なのに、ちゃんと妻子が待っている家があるのです。
    何と言う皮肉でしょう。
    結局4人はあの頃から少しも変わっておらず、下流を下っていく

    人生なのだと実感するけれど、それを見て気分は暗くならないのは

    なぜだろう。

     

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    太陽のめざめ

    2

    JUGEMテーマ:洋画

     

    太陽のめざめ

     

    「太陽のめざめ」

    原題:La tete haute

    監督:エマニュエル・ベルコ

    2015年 フランス映画 119分 R15+

    キャスト:カトリーヌ・ドヌーブ

         ロッド・パラド

         ブノワ・マジメル

         サラ・フォレスティエ

         ディアーヌ・ルーセル

     

    マロニーは6歳の時からフローランス判事の保護下に

    ある。彼は成長してもその攻撃行動は変わらず、遂に

    田舎の更生施設に送られるが...。

     

    <お勧め星>☆☆☆☆ 少年の更生の可能性を描いた

    秀逸な作品です。

     

    「自信の回復」には何が必要なのだろう?

     

    原題は「頭を上げて」「胸を張って」というような意味。

    前に見た「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」(2015)で、

    フランスでは教師と生徒、教師同士がとことん話し合って

    問題に取り組む姿勢を知りました。移民も多く、様々な人種の、

    宗教を持つ人々が混在する国だからこそ「自由 平等 博愛」と

    いう標語が限りなく必要なのだと思います。そうでなくても

    持つべき考えなのは明らかなことですが。

     

    太陽のめざめ
     

    この映画の主人公のマロニーは、6歳の時から裁判所の世話に

    なっているわけです。それは彼の母親の幼稚さに起因する

    家庭環境の悪さであり、カトリーヌ・ドヌーブ演じる

    フローランス判事は、6歳の時に彼を一時保護してから、

    ずっと彼を担当しています。
    母フェランドも中盤登場する実父と不仲なのがわかり、

    (アバズレと言い放つ)ろくでもない男にコロリと騙される

    女性なのですが、マロニーとは強い絆で結ばれているのが

    わかるのです。普通の(なにが普通か言えないけれど)母子の

    絆ではなく、極めて歪であることは第三者からしてみると

    一目瞭然。

     

    太陽のめざめ

     

    人間は生誕直後から「泣く赤ちゃん」「噛む赤ちゃん」と

    して観察されるという話を読んだことがあります。マロニーは

    それで言うとまさに「噛む赤ちゃん」。新生児からの生育過程で、

    愛情、善悪、倫理などを少しずつ周りの支えで吸収していく

    はずなのに、マロニーにはそれがなかった。
    喧嘩、暴力、反社会的な行動を行い、その場でただ叱り、

    同情をひこうとする母親や懲罰だけを求める検事の

    アドバイスでは、回復困難なのです。

     

    太陽のめざめ
     

    彼は判事とヤンという教育係(彼もマロニーのような境遇だった

    ことがわかる)そして彼を無条件に愛し、彼の子供を身ごもる

    テスとの出会いで、自分への自信を獲得します。

     

    太陽のめざめ

     

    映画内で幾度となく映る裁判所内で、問題を持つ母子や

    少年少女がいかに多いかを思い知ると、これはフローレンス判事の

    「忍耐」の賜物であると実感せざるを得ません。最後に裁判所を

    出るときの、マロニーの自信に満ちた表情が印象的でした。

     

     

     

     

     

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    YOU ARE NEXT  ユー・アー・ネクスト

    3

    JUGEMテーマ:Horror

     

    ユーアーネクスト

     

    「YOU ARE NEXT ユー・アー・ネクスト」

    原題:Sneekweek

    監督:マルタイン・ハイネ

    2016年 オランダ映画 113分

    キャスト:カロリーン・スプーア

         フェリー・ドゥーデンス

         ヨルド・ノッター

         ホリー・ブロート

         イェル・デ・ヨンク

     

    男子寮に入寮するための悪ふざけテストで1人の

    男子学生が死亡する。2年後、彼らは男女6人で

    「スネークウィーク」を楽しむため、貸別荘を訪れるが、

    心の傷が癒えないメレルは不気味なマスクの人物を目撃

    するのだった。

     

    <お勧め星>☆☆ 復讐物の定番でストーリーも冗長、

    ラストは意味不明。

     

    パーリーピーポーは小心者ばかり

     

    青春ホラーの定番シーンをすべて踏襲した映画で、オランダ

    にもこんな能天気アホ学生が集まり大騒ぎする時期があるのかと

    思って調べてみると、あるんです。

    「スネークウェーク」オランダではこう発音するらしい。

    フリースランド州の人口33000人の町スネークで開催される

    ヨーロッパ最大の水上イベントで、それに参加する人や、この

    町の美しい運河に憧れる人、また陸でも楽しめる様々なイベントに

    参加するために、その時期は大賑わいになるらしい。だから地元の

    警察署長が、小さな傷害事件などもみ消したくなるんだね。

    冒頭の氷風呂による学生死亡事件が、この楽しそうなアホボンたちに

    恐怖を与えるのが2年後とは、さぞかし丁寧に計画されたことと期待?

    して鑑賞すると、様々なホラー映画のパクリシーンの寄せ集めだと

    気づき、それもかなりレベルが低く、これが本国で大ヒットって、

    絶対に誇大広告だと怒る人が出るなと思う。

     

    ユーアーネクスト

     

    もうね、この中の誰から消えても文句は言いません。あ、できたら

    向かって右の脳みそが「女」まみれのボリスからお願いします。

    こいつらも含め、参加している若者はひたすら酒とクスリと

    色ごとに励みます。

    入寮のためのしきたり→「血塗られた入寮式」(1984)

    マスクと長靴と雨合羽のようないでたちの殺人鬼

    →「ラストサマー」(1997)

    くぎ打ち機攻撃→「ファイナルデッドコースター」(2006)

    大きな光る刃物→「スクリーム」(1996)

    そしてビキニのお姉さんのバストやヒップの大サービスは

    「ピラニア3D」(2010)

     

    ユーアーネクスト

     

    少し考えただけでもこれほど元ネタが思い浮かんでしまう。

    それでいていまいちグロくない。スリルもない。犯人が弱い。

    殺害の手法に一貫性がない。工具をずらりと並べているから、

    それで間に合わせると思いきやロープを使ったりするんです。

     

    ユーアーネクスト

     

    中盤にカラクリがわかってくるんですが、パーリーピーポーは

    アホなので気づくはずもない。おまけに地元警察は限りなくアホと

    来た。アメリカの田舎の州の保安官以下だぞ。

     

    ユーアーネクスト

     

    あれだけの傷でよくぞ生きていたなと思う人や、全然無関係なのに

    殺されていく人もいて、不条理な内容にもやや不快感を覚えます。

    そしてそしてラストはなんじゃこりゃー。

    「次はこいつ」的な画像が変な着メロと共に送られてくるけれど、

    それも適当に使われすぎ。あー、つまんない映画。

     

     

     

     

     

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    淵に立つ

    4

    JUGEMテーマ:邦画

     

    淵に立つ

     

    「淵に立つ」

    監督:深田晃司

    2016年 日本=フランス映画 119分

    キャスト:浅野忠信

         筒井真理子

         古館寛治

         大賀

         篠川桃音 

     

    鈴岡金属を経営する利雄の元に古い知り合いの八坂が

    訪ねてくる。勝手に仕事や部屋を提供した夫に不満を持つ

    妻章江や戸惑う娘蛍だったが、次第に八坂を受け入れて

    いく...。

     

    <お勧め星>☆☆☆ よくできた映画だと思いますが、

    鑑賞後、心が暗くなること間違いなしです。

     

    淵に立つとはどういう意味だ?

     

    「淵」というのは「流れの水がよどんで深くなった所」を意味し、

    深み、淀みという表現を使うことがあります。

    監督は「崖の淵に立ち、人間の心の奥底の暗闇をじっと凝視

    するような作品になってほしい」という思いで、この題名を

    つけたそうです。と言われても抽象的すぎるので、まず映画を

    鑑賞。

    ごく普通の親子3人が暮らす家に突然現れた八坂草太郎を

    演じるのは浅野忠信。彼は利雄の妻、章江が敬虔なプロテスタント

    信者だと知ると、信仰には

    1、サル型 子供(信仰する人間)が自分から親(神様)に

    しがみつく

    2、ネコ型 親(神様)に子供(信仰する人間)が首根っこを

    くわえられる

    という2つの信者がいると語ります。この辺りで、映画の根底に

    ヨーロッパ映画特有の宗教色が盛り込まれているのを感じます。

    さらに八坂自身が4つの罪を犯したと語るのです。

    1、約束を命よりも大切に守る

    2、その価値観は他人も同じ

    3、自分は正しいと思い続ける

    4、その価値観で人を殺した

    そして遺族のために自分は生き続けるのだと言うのです。この時点で

    章江は八坂を気に入っており、なぜかウキウキし始めるのが手に

    取るようにわかります。オープニングに夫に対し無表情だった彼女が

    水を得た魚のように輝き始めるわけです。

     

    淵に立つ

     

    それは娘蛍も同じであり、オルガンを教えてくれる八坂が大好きに

    なっていく。利雄はなぜに無関心なのだろう。そこには彼と

    八坂とのつながりが関係しているわけで、丁寧な言葉遣いの八坂が

    声を荒げて利雄を罵った時、全てがわかります。また、白いシャツを

    脱ぎ、中の真っ赤なTシャツ姿になった八坂は、それが彼の本心で

    あることを象徴するような行動をとるわけです。川辺に咲く赤い花。

    それが赤いシャツに変わり、赤い血に変わる。それらには全て

    つながりがあるわけで、人間の心に潜む「闇」を見させてくれる

    きっかけとして使われているような気がしてなりません。

     

    淵に立つ

     

    そして後半登場する孝司の存在も、その存在自体が罪であり、

    彼が介護していた母親に何かしたのではないか?と連想させる

    言葉を吐く。「ゆとりですがなにか」で超むかつく新入社員を

    演じた大賀の演技も秀逸。

     

    淵に立つ

     

    川原で4人で寝そべって撮影した写真の並び方が、ラストには

    左右の2人の位置と人が変わっている。考えれば考えるほど深みに

    はまっていきます。罪を犯していなかったのは誰だったのか。

    それは川の中を動かないはずの手足を使って泳いでいく蛍だけ

    だったのかもしれません。逆に言うと「生きたい」と思っていた

    のは彼女だけだったとも思うのです。

     

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    ギリー・ホプキンズ 不機嫌な日常

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    ギリー・ホプキンズ

     

    「ギリー・ホプキンズ 不機嫌な日常」

    原題:The Great Gilly Hopkins

    監督:スティーブン・ヘレク

    2016年 アメリカ映画 98分

    キャスト:ソフィー・ネリッセ

         キャシー・ベイツ

         ジュリア・スタイルズ

         ビル・コップス

         オクタビア・スペンサー

         グレン・クローズ

     

    問題を起こしては里親の下を転々とするギリーが

    トロッター家にやって来る。実母を慕い、反抗し続ける

    ギリーを周囲の人間は深い愛情で受け止めるが、彼女が

    ある計画を実行したことから、事態は変わっていく。

     

    <お勧め星>☆☆☆ 家族の定義が多様化している欧米

    ならではのストーリーです。

     

    toughな人生も幸せ

     

    WOWOW放送時の題名が「ギリー・ホプキンズ 不機嫌な日常」

    で、ソフトリリース時は「ギリーは幸せになる」だそうです。

    なんか陳腐な感じ。

    ストーリーは、とてもありがちなもので、賢いけれど

    反抗的なギリーが里親の家を転々とし、最後のチャンス

    として送られた家で、理解ある里親や教師と知り合い、

    本来の姿を取り戻すというもの。ヒロイン、ギリー役は

    「やさしい本泥棒」(2013)のソフィー・ネリッセ。

     

    ギリー・ホプキンズ

     

    撮影当時17歳だったということもあって、映画内の年齢より

    かなり大人びて見えます。前を走るアグネスと同級生に

    見えないんだよね。しかしそれは些細なことで、この映画が

    素晴らしいものに仕上がったのは、ひとえに豪華な脇を固める

    俳優さんたちの演技だと思います。

    今回の里親トロッター夫人役はキャシー・ベイツ。

     

    ギリー・ホプキンズ

     

    どうしても「ミザリー」(1990)の超怖い女性のイメージが

    抜けないのよね。

     

    ミザリー

     

    あの映画以降、結構楽しいおばちゃま役や愛情深い母親役など

    演じているのに、何かしでかしそうな雰囲気が離れません。

    もちろんこの映画でも、大きな体と同じくらいに大きな心で

    ギリーを受け入れ、人間としての善悪をきっちり教えていく

    のです。

    またギリーの担任教師ハリス役のオクタビア・スペンサーも

    有色人種であることを揶揄したギリーに対し、それを逆手に

    取った対応をしていくのです。

     

    ギリー・ホプキンズ

     

    この表情はマリア様みたいでしょう?

    そして中盤から登場するギリーの祖母役はグレン・クローズ。

     

    ギリー・ホプキンズ

     

    グレン・クローズ

     

    彼女もかつて「危険な情事」(1987)で怖ーい女性を

    演じました。それが今では優しいおばあちゃまを演じるとは

    時の流れを感じます。そうそう、ラスト付近に少しだけ登場する

    ギリーの実母コートニー役は、ボーンシリーズの

    ジュリア・スタイルズ。決して美人とは思わないけれど印象に

    残る女優さんです。

    ギリーは実はとても賢く、それは悪く言うと狡猾でもあって、

    ある計画を実行したことが後半の展開に大きく変わってくるのです。

    行動の結果を想像する力というものは、年齢に伴って広がるもので

    (広がらない人もいるかもしれない)ギリーにはそれが不十分

    だったのです。そして誰の力でも変えられない結果を招いてしまう。

    じゃあその時どうするか。トロッター夫人の言葉が重いんですよ。

    ありきたりの言葉だけれど、そのことを忘れてしまうことが多い。

    ぜひ鑑賞して思い出してほしいです。

     

     

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    盗聴者

    4

    JUGEMテーマ:Horror

     

    盗聴者

     

    「盗聴者」

    原題:La Mecanique de L'ombre

    監督:トマス・クライトフ

    2016年 ベルギー=フランス映画 91分

    キャスト:フランソワ・クリュゼ

         ドゥニ・ボダリデス

         シモン・アブカリアン

     

    失業中で断酒会に通うデュバルは、謎の仕事の依頼を

    受ける。内容は盗聴した通話内容を文字に書き起こす

    ものだったが、それが政府高官殺害に関わっていると

    気づいてしまい...。

     

    <お勧め星>☆☆☆ 中年失業男の転職失敗談という感じ

     

    真面目ならいいというわけではない

     

    生真面目が取り柄のデュバルは、それが災いし、職を失い、

    アル中となり、断酒会に出席しているというのが始まり。

    まあ、畳みかけるようなオープニングを後でゆっくり考えると、

    つまり上司が指示し忘れた翌日の会議資料作成を、適当では

    済まされない性格のデュバルが焦りまくり呆けて朝が来た、

    という感じですかね。失職→アルコールに溺れる→妻逃げる、

    こんな悲惨なオヤジの姿を「最強のふたり」(2011)の

    フランソワ・デュバルが演じています。

     

    盗聴者

     

    盗聴者

     

    面接で「右派ですか?左派ですか?」と面と向かって尋ねる

    雇用主なんて、不信感を抱くのは当たり前だし、他の条件も

    胡散臭いものばかり。しかし「働いてこそ一人前」という

    真面目なデュバルはしっかり約束を守り、突然現れた上司らしき

    ジェルフォの指示にも従うのです。あ、強制もあったか。

    上からの指示に反発しないのは、日本のサラリーマン特有の姿と

    思ったらフランスにもいたんだ。

     

    盗聴者

     

    彼は断酒会で知り合ったサラという女性を心の支えにしている

    ようなのに、そこも一歩踏み出せず、めっちゃ歯がゆい。

    役柄とはいえ表情の変化が乏しすぎるデュバルには、ちょっと

    イラつきます。そこ、はっきりせんかい!それでいて急に暴走

    するときもあるけれど、極めて中途半端です。

     

    盗聴者

     

    さらにもう一つの組織が彼に接触してくるけれど、口で言うほど

    怖くない相手なんです。なんだろう。国家機密的なものを耳にして

    「えらいこっちゃ」と主人公が慌てている予告編とは感じがかなり

    異なります。

    ラスト付近のデュバルの必死のパッチの行動だけは素晴らしいけれど、

    それが吉と出たのか凶と出たのかは、暗転した画面に向かって考える

    しかないのでした。

     

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    アシュラ

    4

    JUGEMテーマ:韓国映画全般

     

    アシュラ

     

    「アシュラ」

    原題:Asura:The City of Madness

    監督:キム・ソンス

    2016年 韓国映画 133分 R15+

    キャスト:ファン・ジョンミン

         チョン・ウソン

         チュ・ジフン

         クァク・ドウォン

         チョン・マンシク

     

    警官のドギュンは、職を辞し、市長ソンベの下で

    働こうと考えていたが、思わぬアクシデントから

    上司を殺害してしまう。彼はチンピラを犯人に仕立て

    上げるが、検察から執拗な追及を受け始めるのだった。

     

    <お勧め星>☆☆☆☆ すごいですねえ。悪と暴力が

    渦巻く世界を色気を一切排除して描いています。

     

    一番悪い奴は誰だ

     

    「国際市場で逢いましょう」(2015)のファン・ジョンミンは

    架空都市アンナムの悪徳市長を、「私を忘れないで」(2016)

    でイケメン弁護士を演じたチョン・ウソンは、市長の手先となって

    動く飼い犬同然のクズ警官ドギョンを演じています。

     

    アシュラ

     

    アシュラ

     

    そしてドギョンの部下で使命感に燃える警官ソンモ役は

    「コンフェッション 友の告白」(2014)のチュ・ジフン。

     

    アシュラ

     

    オープニングシーンでは純朴だった青年が、市長の下で働き始める

    うちに、どんどん凶悪化していく姿は見ものです。韓国警察の

    腐敗ぶりは、多くの映画で描かれており、特段驚くことはないの

    ですが、この映画では誰も彼もが腐っています。ズブズブのワルの

    市長を何とか立件しようとするキム検事とて、目的のためには手段を

    選ばず、暴力を伴う脅迫同然の方法で、ドギュンを利用しようとする。

    このキム検事の部下に、おなじみのチョン・マンシクが登場。

    ドギュンに拷問に近い暴行を加えるときの表情が嬉々としていてそこが

    また怖いです。

     

    アシュラ

     

    実はドギュンには重い病を患う妻がおり、その治療費用を工面

    するために、市長の犬になっていたのに、その場しのぎの行動の

    連続でどんどん窮地に陥ってしまいます。市長側、検察側の両方から

    責めたてられ、彼の美しい顔には傷が増えるばかり。

    クライマックスの葬儀場シーンでは、一発の銃声がゴングのように

    鳴り響くと、銃で、斧で、なたで、あの人もこの人もそんな人まで

    血みどろになって倒れていきます。そのカメラワークは素晴らしく

    臨場感あふれる映像でした。

     

     

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    マイ・プライベート・アイダホ

    2

    JUGEMテーマ:洋画

     

    マイ・プライベート・アイダホ

     

    「マイ・プライベート・アイダホ」

    原題:My Own Private Idaho

    監督:ガス・ヴァン・サン

    1991年 アメリカ映画105分 PG12

    キャスト:リヴァー・フェニックス

         キアヌ・リーヴス

         ジェームズ・ルッソ

         ウィリアム・リチャード

     

    ポートランドで男娼をして暮らすマイクは親友の

    スコットと共に自らの母親を探す旅に出る。しかし

    母親はイタリアに渡っており、彼らはイタリアへ

    向かうのだったが...。

     

    <お勧め星>☆☆☆ 残酷で切ない青春映画です。

     

    ボクの未来は変われるのか?

     

    ナルコレプシー=発作的睡眠

     

    マイ・プライベート・アイダホ

     

    ストレスを感じると発作的に深い眠りに落ちてしまう、

    という持病を持つマイク役は、撮影当時19歳の

    リヴァー・フェニックス。そして彼の親友で市長を父に

    持つ裕福な家庭に育ったものの親への反発から、マイク達

    と行動を共にしているスコット役は、当時24歳の

    キアヌ・リーヴス。本当に端正な顔立ちなんです。この後

    激太りしたり、「ノック、ノック」(2015)でトホホな役

    まで演じる俳優になるとは想像もできません。

    マイクが今にも壊れそうなガラス細工のような美しさだと

    すると、スコットはギリシャ彫刻のような存在感のある美しさと

    いう感じです。

    家庭的に恵まれず、男娼をしたり盗みを働いて生活している

    マイクは、ボブというホームレスに誘われてこの道に入った

    スコットを愛しているのです。

     

    マイ・プライベート・アイダホ

     

    彼がスコットに本心を打ち明けるシーンはまことに切ない。

    マイクはホモセクシャルであるのに、スコットはそうでは

    ないのだとお互いに知っているからこそ切ないのです。

     

    マイ・プライベート・アイダホ

     

    さらにマイクの母親探しの旅に向かったアイダホでは、

    実兄ディックと話すとなぜかマイクは発作を起こします。

    その理由をマイク本人はとっくに知っていた。

    じゃあなぜ向かったのだろう?

    そして実母がいると聞いたイタリアへ向かう2人ですが、

    スコットは現地の女性カルミラと恋に落ちます。さらに

    マイクの母は既にアメリカに帰ったという事実を突き

    つけられた時、マイクは大泣きするんですよ。スコットの胸を

    借りて大泣きするのに、スコットは「しばらく別行動しよう」

    と語ります。しばらくじゃないことなんて誰だってわかります。

    結局2人の境遇は全く違うものであり、マイクはどこまでも続く

    アイダホの一本道のような人生を進み続けるしかない。

     

    マイ・プライベート・アイダホ

     

    他に選択肢はないのです。一方、スコットは単に若気の至りで

    この期間を追終え、亡き父の遺産を相続し、政界への道を進む

    かもしれない。あらゆる可能性を持っています。

    それを知った後アイダホの路上で発作に襲われ、今度は一人で

    倒れるマイクを見ると、23年という短い人生を終える

    リヴァー・フェニックスの人生と重なり、とてつもなく胸が苦しく

    なる映画でした。

     

     

     

     

     

     

     

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