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    • 2023.01.12 Thursday
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    暗黒街(2015)

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    暗黒街

     

    「暗黒街」

    原題:Suburra

    監督:ステファノ・ソッリマ

    2015年 フランス=イタリア映画 135分 R15+

    キャスト:ピエルフランチェスコ・ファビアーノ

         エリホ・ジェルマーノ

         ジャン=コーグ・アングラード

         グレタ・スカーアーノ

     

    2011年、イタリア与党の議員マルグラーディは、

    ある再開発法案の成立を目指していた。その法案には、

    利権にありつこうとする政治家やマフィア、教会も

    絡んでいたが、彼がある事件を起こしたことで、抗争

    へと発展していく。


    <お勧め星>☆☆☆半 まさに血で血を洗う抗争の中に

    人間の際限のない欲望を感じます。


    「取引は今度にしな」


    監督は「ボーダーライン」(2015)の続編を担当する

    ステファノ・ソッリマ。「ボーダーライン」は「灼熱の魂」

    (2010)「メッセージ」(2016)

    「ブレードランナー2049」(2017)の

    ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が製作しており、まさに

    「善悪の境界線」の曖昧さを緊張感あふれるストーリーで

    描いていました。ベニチオ・デル・トロの凄みのある演技に

    酔いしれましたねえ。続編ではさらに非情でかつ無慈悲に

    なっているらしいです。
    さて、この映画の舞台は、2011年のイタリア、ローマ。

    「アポカリプスまで7日」と字幕で出る通り、アポカリプス

    (黙示→滅亡、終末)までのたった7日の出来事を描いて

    いるのに、中身が本当に濃く、事件が次々と目まぐるしく

    起こり続けるのです。
    序盤は、人物構成が全く分からず、ただ映像を見ている

    しかないのですが、始まってすぐに、未成年のコールガールが

    ドラッグ中毒死。その場にいた大物政治家マルグラーディと

    もう一人のコールガール、ニンニの行動が、彼が成立を目指す

    ウォーターフロント計画の1つの法案とどう関係してくるのか。
    このマルグラーディが終盤に検察関係者に向かって放つ言葉が
    「司法なんて、くそくらえ。」
    権力を持つと人間は万能だと勘違いしていくものなのですね。

     

    暗黒街

     

    その権力がいかにもろい土台であることすら忘れてしまう

    らしい。とりあえず登場する人物は悪い奴ばかりです。

    時折映り込む夜のローマの限りなく美しく、そこで

    繰り広げられる数々の暴力が全く対照的に映し出されて

    いきます。

     

    暗黒街

     

    暗黒街

     

    暗黒街

     

    昔気質の一匹狼「サムライ」、マフィアの父を持った

    アウレリアーノ、ジプシー集団という見ての通りの悪い奴と、

    政治家、教会という表向きは人々のために動くはずのメンツ、
    その間を右往左往するチンピラなどが、アポカリプスに近づく

    につれて、窮地に追い込まれ、死人が出ていきます。
    映像がモノクロっぽく、ノワール・アクションの雰囲気を

    醸し出し、音楽もシーンにぴったりのものが流されます。

    全てが金のために動いていることが人間の醜さをあぶりだし、

    見ていてとても気分が悪くなるのですが、多かれ少なかれ

    世界はこんな感じなのだろうと思ってしまう。少し気に

    なったのは、皆危険な身の上なのに護衛がいなかったり、

    いたとしても弱かったり、自宅が無防備すぎること。まあ

    それを抜かすと、大変見ごたえのある映画でした。

     

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    150ミリグラム ある女医の告発

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    150ミリグラム ある女医の告発

     

    「150ミリグラム ある女医の告発」

    原題:La file de Brest

    監督:エマニュエル・ベルコ

    2016年 フランス映画 128分

    キャスト:シエ・バベット・クヌッセン

         ブノワ・マジメル

         シャルロット・レンメル

     

    フランスの大手製薬会社セルヴィエ社が販売する

    メディアトールを処方された患者の多くが心臓弁膜症

    を発症することに疑問を抱いた医師イレーヌ。彼女は

    データを示し、医薬品安全庁にその危険性を主張するが

    受け入れてもらえず...。


    <お勧め星>☆☆☆半 完全な実話ベースなので地味では

    ありますが、丁寧に作られています。


    全ては患者のために


    製薬会社というのは身内に社員でもいないと、薬の箱の

    裏に名前が書いてあるとか、テレビCMで見かけるとか、

    医師の処方された薬のパッケージに名前がある程度しか

    イメージがわきません。MRと呼ばれる製薬会社の担当者が

    かかりつけ医に営業をかけているシーンは幾度となく

    見かけたし、かつて務めていたクリニックの院長室には、

    何やら素晴らしいい贈り物が並んでいました。お中元、

    お歳暮でいただいた食べ物を「みんなでわけてください」

    と言うので「先生、そのエルメスのグラスをくれませんか?」

    と軽く尋ねたらこれまた軽くいや完ぺきに無視されました。
    多分製薬会社や医療機器会社からの贈り物だったんだろうなあ。

    MRの給与水準は高くて、30歳代で年収1000万を超える人

    も多いと聞きます。もちろん成果主義だから、休日接待、

    医師や病院との良い関係つくりも必要なんでしょうね。
    ただこれだけの高水準の給与をもたらす製薬会社は莫大な

    利益を得ていることは確かで、人間は誰でも病気になるし、

    病気になれば薬に頼る、だから薬というものは絶対に必要だし、

    市場に出ているものは、十分な治験を経て安全であると確認

    されているという考えが根底にあるのです。(いや普段は

    そこまで深く考えないか)その製薬会社が30年以上も心臓病

    の引き起こす危険性のある薬を販売していたとしたら?

    その危険を示すデータが隠されていたとしたら?

    取り締まるべき官庁と癒着していたら?

    この映画はそんな薬の危険性を訴えた一人の女性医師の闘いを

    描いた実話なのです。

     

    150ミリグラム ある女医の告発
     

    フランスの田舎で呼吸器科医をしているイレーヌは、

    「メディアトール」という糖尿病患者のために処方された薬を

    服用した患者が心臓弁膜症を発症し、亡くなる人も出ている

    ことに注目するのです。糖尿病患者は欧米ではほぼ肥満体で

    あり、この薬を飲むと「痩せる」ということで大変人気がある。

    つまり「やせ薬」として使用されていたんですね。なので

    患者もイレーヌが「危険」と言って処方を中止すると、太って

    しまうから不満に思うわけです。さらにイレーヌが勤務する

    病院での少ないサンプルで証拠を示してもフランス医薬品安全庁

    では全く相手にされないのです。「手順」が大事なんです。

    お役所仕事ってやーね、全く。
    イレーヌは調査部のアントワーヌのチームとデータを極秘で

    積み上げていくのですが、このアントワーヌがまことに心が弱い。

    アントワーヌ役は「太陽のめざめ」(2016)の

    ブノワ・マジメル。この人急にお腹が出てしまったような感じ。

    ちょっと同一人物に見えませんでした。

     

    150ミリグラム ある女医の告発
     

    さて邦題の副題に「ある女医の告発」とあるのがとても気に

    なったのですが、映画を見ていると「女性」ということで逆に

    しがらみがなく、全てをかけて患者を守ろうという立場に

    なれたのかもしれません。映画内でも権威に真正面から立ち

    向かうのは、イレーヌ、彼女を最初から支える異端の

    学者カトリーヌ、フロールという博士課程の学生、終盤登場

    するフィガロ紙の記者と女性ばかりなんです。逆に助成金

    打ち切りに怯えるアントワーヌ、「サンタ」と称する

    内部告発者などは男性という構図。いやこれは実話だから

    こうだったんだよね。「女医」などという名前の雰囲気とは

    程遠い勝ち気で弁のたつイレーヌも幾度となく行く手を阻まれ、
    医師免許はく奪の危機に瀕すると、初めて「恐怖」というものを

    実感するのです。弱音を吐いたのはこのシーンだけだったかな。

    それを支えたのは夫をはじめとする家族の存在で、最も信用

    できて最も頼りになる存在があったことは彼女にとって最大の

    武器だったと思います。そして今なお薬による被害者を救済

    するために活動しているのをエンドロールの字幕で知ると、

    彼女は真の意味で「強い女性」だと実感します。

     

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    善悪の刃

    4

    JUGEMテーマ:韓国映画全般

     

    善悪の刃

     

    「善悪の刃」

    原題:New Trial

    監督:キム・テユン

    2017年 韓国映画 119分

    キャスト:チョンウ

         カン・ハヌル

         キム・ヘスク

     

    釜山でタクシー運転手が刺殺され、第一発見者の

    少年ヒョヌがたまたま持っていた刃物のせいで犯人

    として逮捕され懲役刑となる。彼は10年後出所

    するが、被害者への賠償金の返済を迫れら、再び

    逮捕の危機に陥る...。


    <お勧め星>☆☆☆ 実話ベースだけあって見ごたえが

    あり、歯がゆさの中に人間味を感じる映画です。


    世間の常識と法の常識は異なる


    韓国警察の腐敗ぶりは、映画内で必ず描かれており、

    司法に関しても「正義」が「民意」に翻弄されているのは

    実際のところそうなのではないでしょうか。そして警察に

    関しては取り調べ段階での暴力はもれなくついてきます。
    この映画のモチーフとなった事件は2000年に韓国の

    薬村で実際に起きた「タクシー運転手殺害事件」であり、

    犯人が誰か?ではなく、冤罪で服役した少年の再審開始及び

    無実が証明されるのかがメインテーマです。
    なのでサスペンス要素はあるけれど、極めて人間ドラマ色の

    濃い内容になっており、主人公の弁護士ジュニョンと服役

    した少年(当時)ヒョニュ、そしてその母の心情の移り変わりを

    丁寧に描いているのです。いや所々駆け足もあるけれど。

     

    善悪の刃
     

    ジュニョンは大儲けしようと考える貧乏弁護士であり、

    そのためにヒョニュの再審を利用しようとする。一方の

    ジョニュは警察の暴行による自白の強要から10年の服役を

    経て、すべてに投げやりになっているのです。この自白の

    強要から服役中の状況まで見ていると本当に気分が悪く

    なります。これが2000年の出来事なんですよ。ほんの

    18年ほど前のことなんですよ。
    ジュニュがいつ「金」ではなく「正義」を追求することを

    求め始めたのかは、おそらくは彼が貧しい家庭の出身であり、

    根は誠実な人柄だったのだろうと推察するのです。役の上で

    もふんぞりかえっている検察のトップや悪徳警官はとにかく

    「悪そうな」顔つきをしていて、これがまたわかりやすい。

     

    善悪の刃

     

    ヒョニュはよく見るととても端正な顔つきをしているのです。

     

    善悪の刃

     

    彼の母親役は「お嬢さん」(2016)「渇き」(2009)

    などで存在感あふれる演技を見せたキム・ヘスク。貫禄抜群

    なんですが、この映画ではヒョニュの出所後は盲目の役を

    演じています。まさに「ママ」という感じです。
    貧しい者はとことん貧しく、無実を証明する手立てすらなく、

    あったとしても警察、検察の筋書き通りに上書きされていく。

    そんな不条理な様子を見続けるととても悲しくなるのですが、

    実際にこういう状況なのでしょうね。財閥の誰かが何か罪を

    犯したとしてもすぐに保釈されるし、ほとぼりが冷めれば公の

    場に堂々と姿を現す。それでもこの映画のラストを見ると

    「正義」を証明しようと考える人々は確かに存在し、それが

    成功することもあるのだと実感します。
    話の構成の部分で緩急をつけすぎたのか、ジュニョンの家族や

    友人弁護士との関係など多くを盛り込みすぎたのか、やや説明

    不足の個所がみられましたが、見終わってモヤモヤしないので

    お勧めかもしれません。
    だけど終盤のミョンソン・ホテルのシーンは、あれだけ警官を

    痛めつけてどう説明したのか謎が残るなあ。まあいいか。

     

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    ジェーン・ドゥの解剖

    4

    JUGEMテーマ:Horror

     

    ジェーン・ドゥの解剖

     

    「ジェーン・ドゥの解剖」

    原題:The Autopsy of Jane Doe

    監督:アンドレ・ウーブレダル

    2016年 アメリカ映画 86分 R15+

    キャスト:エミール・ハーシュ

         ブライアン・コックス

         オフィリア・ラビボンド

     

    バージニア州の田舎町で遺体安置所を営むトミー

    の元に嵐の晩、若い女性の遺体が運び込まれる。

    彼は息子オースティンと共に通常通り解剖を

    始めるが、その体内の異常さに驚くのだった。

    そして...。


    <お勧め星>☆☆☆☆ もう超絶怖い。最近観た

    映画の中では群を抜いています。


    17世紀 ニューイングランド


    ジェーン・ドゥというのは人の名前ではなく、

    身元不明の遺体につけられる名称だと初めて知り

    ました。オープニングから凄惨な事件現場が映り、

    そこで現場検証を行う幾人もの警察官があちこち

    出入りし、そして地下で土に埋められた若い女性の

    遺体が発見されるのです。警察官が動く部屋、廊下、

    床、壁にはもうべったりと血のりがついていて、

    何が起きたのかわからないけれど、とりあえず数名が

    亡くなったことがわかります。うん、このくらいは平気。

    一方ティルデン遺体安置火葬場では、トミーと息子

    オースティンが、これまた焼けただれた遺体の検死解剖を

    行っているのです。ポップな音楽を流し、ノリノリに動く

    オースティンを見ると、慣れって怖いなあと思ってしまう。
    かつてテレビドラマで「きらきらひかる」というのが

    ありましたが、あの映像なんてちゃんちゃらおかしいくらい

    優しいものに感じられます。でもあの漫画原作のドラマは

    面白かったです。深津絵里ちゃんが若かったなあ。

     

    ジェーン・ドゥの解剖
     

    そしてこんな場所にわざわざ入り込むのがオースティンの

    恋人エマで、あろうことか「遺体を見てみたい」なんて言う。

    そこで彼女は遺体の脚につけてある鈴についての説明を

    受けるわけです。「死んでいることの証明」というその鈴は、

    昔の風習のままだという。つまり鈴が鳴ったら生きている

    わけですね。(ここ強調)

     

    ジェーン・ドゥの解剖
     

    この鈴の音が一瞬でも可愛いと思ったら後半必ず後悔するし、

    絶対にこの鈴が使われると確信してしまう。
    さらに安置所が自宅の地下にあるのですが、その部屋に行く

    までの通路の角にあるミラーが、これまた不気味なんですねえ。

    わざわざトミーやオースティンをミラー越しに映したりして、

    少しずつ恐怖の世界に引き込んでいきます。

     

    ジェーン・ドゥの解剖
     

    さあ、エマとデートに行こう!と思ったら、例の遺体が運び

    込まれてきます。暴風雨だし、晩だし、それなのに

    「明朝までに検死報告を」と求められ、トミーは「あいよ!」

    と引き受けます。
    「明日にすれば良かった」いえ「明日にしても同じだった」の

    です。ここからそのぱっと見は美しい遺体を手順を踏んで

    検死解剖を行うのですが、1つ1つのことがあり得ないこと

    だらけなのです。ここはかなりリアルなので、グロ映像が

    苦手な方はお勧めできません。ああ、そもそも最初から

    すごいのでその時点で脱落した方がいいと思います。
    終盤、ラジオが混線し、不気味な歌詞の陽気な歌が流れ、

    安置所のドア、ジェーン・ドゥの遺体とオースティン、トムの

    表情が次々に映り、電灯が点滅すると、恐怖はマックス。
    さらに鈴も聞こえてきます。鈴の意味を思い出すと、ゾクゾク

    しまくること間違いなし。最後までその恐怖は連続し、最初は

    こんな映画とは思わなかったと感じてしまいました。

    怖いのが好きな方にはお勧めです。

     

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    ブラック・バタフライ

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ブラック・バタフライ

     

    「ブラック・バタフライ」

    原題:Black Butterfly

    監督:ブライアン・グッドマン

    2017年 アメリカ=スペイン映画 93分

    キャスト:アントニオ・バンデラス

         ジョナサン・リース=マイヤーズ

         パイパー・ペラーボ

     

    スランプ中の作家ポールは、ダイナーで客と諍いに

    なりかけた時、ジャックという男に救われる。彼は

    ジャックを家に泊めることにするが、そのジャックは、

    次第にポールに執筆を強要するようになり...。


    <お勧め星>☆☆ 特に盛り上がることもなくラストも

    予想通りです。


    お酒はほどほどにしましょう


    人気作家がとても怖い目に遭うのはスティーヴン・キング

    原作の映画「ミザリー」(1990)をすぐに思い出し

    ます。自称ナンバーワンファン、アニーが人気作家ポールを

    助けたものの、小説の先を知りたがりそれが思ったような

    ものでなかったことの怒り、彼をベッドに縛り付け、すごい

    拷問を..。おおう怖い!自称って怖いよね。

    ほぼほぼストーカーよね。

     

    ミザリー

     

    この映画でアニーを演じたキャシー・ベイツの怪演に度肝を

    抜かれました。アカデミー賞主演女優賞を獲得したのも納得

    です。もう痛いシーンの連続で、原作はもっと残酷だったから

    あの程度で終わってよかったと思ったくらいです。

     

    ブラック・バタフライ
     

    この「ブラック・バタフライ」の主人公も同じ名前のポール。

    あら、意識したのかしら。しかしアントニオ・バンデラスが

    ラテン系の陽気で女好きなイメージが強すぎて、シリアスな役

    に似合わないと最初から思ってしまう。実際に映画が始まっても

    少しも面白くならないのです。30代前に書いた小説が

    ベストセラーになり、それを映画化する話でアメリカに来た

    ものの脚本は別の人が担当し、その後鳴かず飛ばずかつ妻は

    彼のもとを去り、今は田舎で酒浸りの生活を送っている。まあ

    転落人生を絵に描いたような姿です。「しくじり先生」に出して

    あげたい。
    そして彼のこのボロ家を売るために接触する不動産業社職員の

    ローラ役はパイパー・ペラーボ。

     

    ブラック・バタフライ

     

    確か「プレステージ」(2006)「フェーズ6」(2009)

    では、目立って美しいと思ったのに、今見ると普通の感じに

    なってしまいました。
    とても残念なことに映画を見ていると大体序盤でオチがわかる

    んですよ。さらにオチに行く過程があまりにつまらない。
    「書けない」ことと「酒浸り」「連続殺人」「ポールが家に

    招きいれたジャック」がうまくつながらないのです。

     

    ブラック・バタフライ

     

    いや書けないことと酒浸りはわかります。
    それ以外は無理やりにこじつけたとしか思えない展開です。

    まあ、この程度のものしか書けないのであれば、この道は

    あきらめてスペインに戻り、地道にコツコツ働きましょうと

    アドバイスしたいです。

     

     

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    オリエント急行殺人事件

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    オリエント急行殺人事件

     

    「オリエント急行殺人事件」

    原題:Murder on the Orient Express

    監督:ケネス・ブラナー

    2017年 アメリカ映画 117分

    キャスト:ケネス・ブラナー

         ジョニー・デップ

         ミシェル・ファイファー

         ジュディ・デンチ

         ペネロペ・クルス

     

    雪の中を走るオリエント急行車内で1人の男が刺殺

    される。偶然乗り合わせた名探偵ポアロは得意な推理を

    進めて行くが、乗客の証言によって幾度となく先を

    阻まれてしまう。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 原作を知っていても十分楽しめる

    ミステリーです。


    善と悪の中間はないのか?


    映画館で流される予告編で幾度となく観たのですが、

    どうしても灰色の脳細胞を持つエルキュール・ポアロが

    1974年映画のアルバート・フィニーのイメージが強く、
    TVドラマ版のポアロ役デヴィッド・スーシェに至っては、

    小説から読者が想像するポアロ像そのものであるため、今回の

    ケネス・ブラナーがかなり印象を変えてしまったと少々

    心配しつつ鑑賞しました。

     

    オリエント急行殺人事件

     

    オリエント急行殺人事件
     

    しかし考えてみると名探偵シャーロック・ホームズも

    ロバート・ダウニー・Jr.によってダイナミックな変貌を

    遂げたもののそれはそれで楽しさが増したことは確かです。

    まさかのアクションが加わるなんて!
    ストーリーは全て知っているし、犯人も動機もわかっている

    のでさてどのように映画化されたのかと余裕で観られると

    思っていたら、そうでもないのです。

     

    オリエント急行殺人事件

     

    映像が大変凝ったもので、乗客がオリエント急行に乗るシーン

    から、車内を見せていく時、まことに滑らかに映し出され、

    また車窓から見える景色も当然のことがら合成でなく、

    かといってCGでもない雰囲気のあるものです。調べて

    みたらスクリーン・プロセスという、合成を行わずに

    映像を車外のスクリーンに投影するという、昔ながらの

    方法とのこと。

     

    オリエント急行殺人事件
     

    また早々に起きるラチェットの殺人現場は最初はドア越しで、

    見た人のみの表情でそれを知らせるものから、真上の映像に

    変わり、ようやく無残な刺殺体の彼が映し出されます。

    ラチェット役はジョニー・デップ。インチキ臭い嫌な男を

    わずかな時間に感じ取れる好演技。遺体の彼が真っ逆さまの

    位置に映るので、この列車の中で彼だけが唯一異なるタイプの

    人間であると印象づけるのです。その後原作にはない雪崩が

    起き列車が脱線するという事故が起きますが、これは原作では

    雪だまりに突っ込んで立ち往生するというものでした。この時

    に荷物がバラバラになったことで乗客の素性がポアロには

    わかっていくきっかけになるのです。でも映画ではとっても

    素早く描かれているので、まさかあの短い時間にあれこれ

    見られたとは思えないけれど、そこはそれほど気にならず。
    豪華なキャストに目を見張りながら、117分という時間内に

    すべてを盛り込んで見ごたえのある映画にしたのは素晴らしい

    です。ポアロが少しだけ列車外に出て追跡するシーンがあって、

    あれをアクションと呼んでいいのかわからないけれど、動きの

    少ないストーリーの中で「は!」と目が冴えてくる瞬間になる

    かもしれません。
    なんてベタ誉めしていますが、実は客人の素性が一気に分かり

    すぎたというのは少し気になります。でもポアロのイメージを

    一新したことは、既に公開が決まっている「ナイルに死す」に

    期待が高まることは間違いありません。

    ああ「ナイル殺人事件」(1978)のエンディングに流れた

    「ミステリー・ナイル」が耳に蘇ります。

     

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    ザ・ウォール

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ザ・ウォール

     

    「ザ・ウォール」

    原題:The Wall

    監督:ダグ・リーマン

    2017年 アメリカ映画 90分

    キャスト:アーロン・テイラー=ジョンソン

         ジョン・シナ

     

    2007年、イラク戦争終結後、復興支援に

    向かったアメリカ軍の中で、アイズとマシューズは

    何者かによって狙撃されたある村の偵察にあたる。

    アメリカ兵の遺体が横たわる村を監視して20時間が

    たち、マシューズが安全チェックに向かうとどこからか

    飛んできた銃弾を受けてしまう..。


    <お勧め星>☆☆☆ とても地味な映画なのですが、

    その中に織り込まれたメッセージが強く伝わります。


    その壁はかつて学校だった


    「ザ・ウォール」という題名を聞くと、どうしたって

    思いだすのが「グレートウォール」(2016)です。

    マット・デイモン主演で大々的に宣伝したものの見事に

    大コケを果たしましたが、監督はチャン・イーモウなん

    ですよね。「初恋のきた道」(1999)

    「あの子を探して」(1999)はどちらも大好きな映画で、

    特に「初恋のきた道」なんて、チャン・ツィイーの

    愛くるしさに涙が溢れてしまいました。

     

    初恋
     

    その監督が怪獣スペクタクルアクション映画を製作するとは

    まさか、まさかです。これ以上は言いません。
    こちらの壁は文字通り「壁」なんです。とはいえそこは砂漠の

    真ん中にあり、数名のアメリカ兵が狙撃されて遺体として

    周りに横たわっています。それを20時間も遠くから偵察

    しているのが、アーロン・テイラー=ジョンソン演じる

    アイズとジョン・シナ演じるマシューズで、砂にまみれ

    どっちがどっちかわからない。

    登場人物で動いているのはラスト付近をのぞくとこの2人

    のみです。極めて地味なんです。マシューズは業を煮やして

    安全チェックに向かうと、どこからか狙撃されてしまう。

     

    ザ・ウォール

     

    そして助けに向かったアイズも脚を撃たれるのです。なぜか

    2発撃たれるのには訳があって、水筒と無線機のアンテナを

    破壊したかったらしい。そこまでできるのか!いや伝説の

    スナイパーをモデルにしているから百発百中でないといけません。

     

    ザ・ウォール
     

    アイズは命からがら壁の向こうに隠れるわけですよ。すると

    無線機から英語が聞こえてきて、それがどうも訛りがあるの

    です。そう、狙撃手と同一人物なんですね。それは早々に

    わかり、アイズと狙撃手との地味な攻防が始まるわけです。

     

    ザ・ウォール

     

    会話の端々にイラク戦争への批判が盛り込まれていて、

    イラク側からすると、終わった戦争ならなぜ何度もアメリカ軍

    が来て民間人をも攻撃するのかと言う。全員がテロリスト

    なのかと問う。逆にアイズはなぜテロを起こしたのかと

    言いつつ、自分自身が幾度もイラクに来るのは、故郷に

    戻りたくないからだと語るわけです。つまり自分のせいで

    亡くなった同胞がいて、そのために町には居場所がないと言う。
    この壁がかつて学校であり、そこには子供たちが楽しく学び

    遊んでいたのに、それを壊したのはアメリカ軍であり、そこに

    インフラ整備を行うためにアメリカ軍がやって来るというのは、

    やはり不毛な行為としか思えないのです。破壊しておいて

    再建する。それで全てが元通りになるはずもない。
    ラスト付近にわかる真相を知ると、ここでの出来事は、

    今イラクで起きている様々な戦闘行為を例えているのだと

    実感するばかりでした。

     

     

     

     

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    どこでもない、ここしかない

    2

    JUGEMテーマ:洋画

     

    どこでもない、ここしかない

     

    「どこでもない、ここしかない」

    原題:No Where,Now Here

    監督:リム・カーワイ

    2018年 スロベニア=マケドニア=マレーシア

    =日本映画 90分

    キャスト:フェルディ・ルッビジ

         ヌーダン・ルッビジ

         ダン

         アンニャ・チルミッスイ

         アウグストゥス・クルースニック

     

    スロベニアでゲストハウスを経営するフェルディ、

    ヌーダン夫妻。事業を拡大していくにつれてフェルディ

    の女遊びは激しくなり、遂にヌーダンは実家のある

    マケドニアに戻ってしまうのだった。

     

    観終わって感じたのは、ヨーロッパ映画の雰囲気でした。

    (観始める前に感動したのは「梅田ブルク7」の

    プレミアシートの座り心地の素晴らしさで、こんな

    シートに座ったのは後にも先にも昨日が初めてです。)

    ある人物の様子を美しい情景と共に淡々と描いていく。

    そこにものすごく大きな事件や争いごとがあるわけでは

    ないのです。ただ観ているとヒーリング音楽を聴いている

    かのように心が穏やかになっていくのです。
    今まで観た映画のメモをひっくり返して探したのですが、

    同じ思いを持ったものはほとんどなく、敢えてあげるなら

    「ダブリンの時計職人」(2010)「蜂蜜」(2010)

    でしょうか。特に「蜂蜜」はストーリーに始まりも終わり

    もなく、盛り上がることはないものの、BGM代わりに

    使われる鳥のさえずり、虫の羽音、風、木の枝がこすれる

    音などが幻想的な映像も加えて効果的に使われていました。
    リム監督の作品は「FLY ME TO MINAMI 恋するミナミ」を

    昨年鑑賞し、大のお気に入りになっています。今回は

    バルカン半島を舞台にトルコ系移民であるフェルディの姿を

    描いていますが、バルカン半島にはこんな国々が位置して

    います。日本から遠く感じますよね。

     

    どこでもない、ここしかない
     

    そして主人公のフェルディは本当に女好き。この映画では

    登場人物がそれぞれ本人が演じているそうで、フェルディと

    フルダンも実の夫婦だし、結婚式のシーンは本物だそうです。

    男性専用祝賀パーティー、女性専用祝賀パーティーと分かれ

    ているのも宗教色を感じます。
    フェルディの女好きについては監督曰く「トルコの男性は

    自分が女性にモテると思っていて、ハーレムを築きたいと

    考える人も多い」とのこと。日本から観光に来た若い女性、

    友人の恋人..。次々に心を惹かれていく様が映ります。特技は

    ビリヤードで、教えるふりをして自分をアピールするみたい。

    でも教えるほど上手くないし、だれもスカッとショットを

    決めていないと思う。(Wiiでしかやったことのない人の

    極めていい加減な感想)
    また口説き方もわかり切った文句なので、日本人から見ると

    「絶対に目的があるだろう」とみえみえなのです。一方、

    ヌーダンとは冒頭に水辺で少しずつ近づいて行ったように

    「本命」にはこのように接するのかと変な憶測をしてしまい

    ます。この時の景色はまことに美しく、中国の川沿いを

    映しているかのように見えるのです。
    毎晩帰宅の遅い、いや朝帰りのフェルディを問い詰める

    ヌーダンは決して怒鳴りません。静かにどこまでも静かに

    怒りを心にため込んでいくのです。そして突然家を出る。

    ここで一人黙々と皿を洗うフェルディの姿が映り

    (監督自身はこのシーンが一番好きだそうです)ここから

    ヌーダン探しの旅へ出発することを決めたらしい。
    あるべき人がある日いなくなることには、ものすごい喪失感を

    持つのでしょうか。わかるような、当然だろうと思うような

    両方の気持ちです。映画内でしばしば登場する「橋」は誰かと

    接する「場所」で「エスカレーター」は必ず「すれ違うもの」。

    これは映画鑑賞後、指摘されて気づきました。平面では

    出会えるが、上下では永遠にすれ違う。そこにいることが

    すなわちその人の「存在」を意味していて、それが「場所」を

    作るのだと少しだけわかったような気持ちになっています。
    映画のチラシが欲しかったけれど、列に並ぶ時間がなかったので

    入手できなかったことが残念です。

     

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    泣く男

    4

    JUGEMテーマ:韓国映画全般

     

    泣く男

     

    「泣く男」

    原題:No Tears for the Dead

    監督:イ・ジョンボム

    2014年 韓国映画 116分 R15+

    キャスト:チャン・ドンゴン

         キム・ミニ

         ブライアン・ティー

         キム・ジュンソン

         キム・ヒウォン

     

    アメリカのアジアン・マフィアの殺し屋ゴンは、

    任務中1人の少女を射殺してしまう。心に大きな

    傷を負った彼の次の任務は、ソウルに住む投資会社

    取締役モギョンを殺害することだったが、彼女が

    少女の母親だと知ってしまい...。


    <お勧め星>☆☆☆ 派手な銃撃戦とアクションが

    楽しめますが、ストーリーには疑問が残ります。


    何に疲れているのか


    監督は「アジョシ」(2010)のイ・ジョンボム。

    あの映画では、今はとってもきれいな女性に成長した

    キム・セロンと甘いマスクのウォンビンが共演し、

    もうね、とにかくウォンビンがかっこ良くて、さらに

    セロンちゃんの名演技に涙を流した覚えがあります。

    孤独な少女ソミとこれまた孤独な男テシクの繋がり方が

    極めて自然な流れだったことが、感情移入を誘ったと

    思っています。
    さて、この映画はどうでしょう。冒頭アメリカでの任務で、

    華麗に銃を扱うチャン・ドンゴン演じるゴン。

    (タンスにゴンかごんぎつねを思い出すのは日本人だけ)

    彼が現場となるバーで最初から1人の可愛い少女に目を

    向けることが不自然なのです。そもそもバーに少女がいる

    のも不自然だけれど、その後彼の幼い頃の状況をなど

    映されても、この少女に目を向ける理由が1つも見当たら

    ないのです。

     

    泣く男
     

    そこは「この少女が純真で可愛いから」と考えたとしても、

    たまたま任務中に誤射で殺害してしまったその子への罪悪感

    が強すぎる気がします。自分にもこのくらいの娘がいる、とか、

    この少女が自分の過去の姿とそっくりだというならまだしも、

    ただ危険を感じて銃を発射したドアの向こうに少女がいたと

    いうもの。さらに次の任務で韓国にいるモギョンという女性を

    殺害することになり、その女性が少女の母親だと知ってからの、

    モギョンへのゴンの執着が強すぎると感じてしまう。殺し屋で

    あれば、血も涙もなく、色恋も捨てて任務を全うするのが筋だ

    と思う。ここに絶対に納得できる「理由」が見当たらないので、

    ストーリーの根幹が崩れてしまっています。

     

    泣く男
     

    モギョン役は「お嬢さん」(2016)のキム・ミニ。

    あの映画では体当たり演技ですごかったですねえ。モデル

    出身だけあって170cmの長身で颯爽と歩く姿はとても

    様になっています。でも投資会社の敏腕取締役、認知症の

    母親の介護、離婚した夫の元で暮らす娘がいる母親という

    設定が盛りだくさん過ぎるのも確かです。特に認知症の母親

    の存在は不要でしょう。

     

    泣く男
     

    そうそうゴンの仲間のチャオズ役のブライアン・ティーは

    「ワイルド・スピード TOKYO TRIBE」(2006)の

    タカシじゃないですか。あの日本語が上手くない日本人ですよ。

    個人的にはチャン・ドンゴンより彼の方がタイプです。

    (誰にも聞かれないけれど強調します)
    一方映画内で発生する団地での銃撃戦は、棟をはさんですごい

    勢いで撃ちまくるし、屋上にはスナイパー登場、ナイフや

    ナタでアキレス腱切りするなど迫力満点、血しぶきオンパレード

    です。ここは廃墟ではなく実は人々が多く住んでいるはずなのに、

    他の住民は一切登場しないし、これだけの騒動があっても

    パトカーが一台も来ないのです。すごく不思議。

     

    泣く男
     

    さらにどこで手に入れたか、ゴンはC4爆弾を爆破させるんです。

    ソウルは無法地帯ですか?終盤のビル内での攻防はもう

    「すごい」としか言いようがないです。こんなに大騒ぎに

    なっているのに当然警官が1人もやって来ません。まあ、

    アクション映像を楽しむのであれば、これで良かったし、

    チャオズが銃口の向きをすっと外してエレベーターの

    開閉ボタンを押すのもかっこよかった。ゴンがあそこまで

    する理由がどうしても納得のいくものが見当たらないのが

    残念です。

     

     

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    特別捜査 ある死刑囚の慟哭

    4

    JUGEMテーマ:韓国映画全般

     

    特別捜査

     

    「特別捜査 ある死刑囚の慟哭」

    原題:Proof of Innocence

    監督:クォン・ジョングァン

    2016年 韓国映画 121分

    キャスト:キム・ジョンミン

         ソン・ドンヨル

         キム・サンホ

         キム・ヨンエ

     

    暴力事件を起こし刑事をクビになったピルジェは、

    法曹ブローカーに転身し、コネを活用して荒稼ぎ

    している。そんな彼宛に、スンテという死刑囚

    から無実を訴える手紙が届くのだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 勧善懲悪の話の中にコミカルな

    シーンもあって十分楽しめます。


    習慣は抜けないもの


    韓国映画は、警察、検察、政治家、財閥批判などを

    コミカルに描きながら実際は鋭く切り込んだに内容で

    日頃不満に感じている観客にとっては大変救われるもの

    が多いです。サスペンス映画に関して言うと、実際の

    事件を扱っているものも多く、「チェイサー」(2008)

    「イテウォン殺人事件」(2009)「殺人の告白」

    (2012)などは犯人がわかるものの捜査における

    警察のいい加減さやその事件を取り巻く人間関係などを

    上手く絡めて描いていました。一方で「殺人の追憶」

    (2003)「あいつの声」(2007)

    「カエル少年失踪殺人事件」(2011)は、未解決事件

    を扱っているため、当然モヤモヤとしたラストになるわけ

    ですが、そこに郷愁を感じる景色や歌などを挿入しており、

    決して不完全燃焼に終わることはありません。

    (でも犯人が捕まらないのは悔しい)

     

    特別捜査
     

    突然の逮捕劇で始まるこの映画は、容疑者スンテが前科者で

    あり、明らかに冤罪だとわかっているのに、死刑囚になって

    しまうのは、すべて韓国国内における力関係、つまり財閥が

    最大限の権力を握っていることを伺わせます。

     

    特別捜査
     

    一方ピルジェは刑事であったものの、暴力的な捜査を行い、

    ライバル、ヨンスに嵌められて、その職をクビになって

    しまうのです。ついでにヨンスに暴行をしたことで賠償金等々

    のために家まで取り上げられてしまった模様。そして今は

    元検事に誘われて金儲け主義の法曹ブローカーになって

    いるわけです。もちろん愛車はBMW。アメリカ映画でも

    お金持ちさんはBMWに乗っていることが多くてメルセデス

    よりも人気があるのかしら、といつも思うのです。乗ってみたい。
    で、このピルジェとスンテがどうやって結びつくかというと、

    そこに善意があったわけではなく、スンテの事件を担当した

    のがヨンスであり、彼に復讐するために再捜査してみようと

    思っただけのこと。すごいんですよ。「コネ」があるから、

    警察資料も検死報告書も入手できちゃう。するとこの事件、

    つまり「テヘ製鉄の嫁殺人事件」の奥にものすごい闇が存在

    することに気づいてしまうのです。事件の名前も「嫁」などと

    つけているし、この「嫁」が何か所も胸を刺されていたものの、

    シリコン入りだったため、致命傷は1か所だったなどという

    点もなんとも韓国らしい。いや日本でも実はそういうことは

    起きているかもしれない。ただ「シリコン入りの

    (生食パックかも?)胸を刺されたので命を落とさずに済んだ」

    などとは発表されるはずもないですよね。

     

    特別捜査
     

    ヨンスへの仕返しだけだったピルジュの心が変わったのは、

    スンテの娘ドンヒョンと幾度も会って会話をしたから、と

    だけ考えるのは少し無理があり、自分自身の父が前科者で

    そのせいで苦労したことを彼女に投影していたのかと考える

    方が納得できるかな。

     

    特別捜査
     

    刑務所で死刑囚として過ごすだけのスンテにまで数々の力を

    及ぼす財閥の力ってすごい。財閥の女史役は2017年に癌で

    亡くなったキム・ヨンエ。大変美しいのですが、その中に

    冷酷さを秘めた表情、行動は秀逸です。あちこちで起きる争い

    に毎回ハラハラされつつ、ラストへと向かうとこれはもうスリル抜群。
    「習慣は抜けないもの」ということを実感します。さらに

    「恥」の認識を再びそして強く確認するピルジェの一言が胸を

    打ちます。「恥の意識」は本当に大事なことなんです。
    多少ツッコミどころがありますが、見ごたえのある映画でした。

     

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