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    • 2023.01.12 Thursday
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    最初に父が殺された

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    最初に父が殺された

     

    「最初に父が殺された」

    原題:First They Killed My Father

    監督:アンジョリーナ・ジョリー

    2017年 アメリカ映画 136分

     

    <お勧め星>☆☆☆☆ 

     

    ルオンは何も知らない

     

     

    監督はアンジョリーナ・ジョリー。「最愛の大地」

    (2011)ではボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争中

    の性暴力への国連の無策ぶりを訴えたかったので

    しょうが、的が絞り切れておらず不要と思われる恋愛も

    絡めてあって、全く感情移入ができませんでした。
    「不屈の男 アンブロークン」(2014)は公開前から

    反日映画とネットで叩かれていたのでどんなものかと

    思いとりあえず見始めたものの、10分ほどで脱落。

    日本人の描かれ方があまりに雑すぎて、問題のシーンまで

    辿りつくことができませんでした。というわけで、わたし

    の心の中ではアンジョリーナ・ジョリーは、女優としては

    才能があるけれど、製作する側には向いていないのではと
    思い続けていたのです。彼女が人道支援の崇高な志を持ち、

    実際に活動していることはとても尊敬に値するのですが、

    それが映像になったときにはグロテスクなシーンが誇張

    されてストーリーが追い付いていない気がしていました。
    今作はルオン・ウンという人物の

    「最初に父が殺された 飢餓と虐殺の恐怖を超えて」

    という実話を基にした映画です。
    カンボジアといわれて頭に思い浮かんだのは、

    アンコールワット

    シハヌーク国王

    ロン・ノル将軍

    ポル・ポト政権

    大虐殺

    という単語でそれらがどのようにつながっているのか全く

    理解できていません。しかしこの程度の知識で映画を見ると

    まるで、映画の主人公で8歳のルオン同様に何が起きている

    のかわからず、言われるがままに田舎へ追い立てられ、

    強制的に働かされ、身内の死に涙を流し、突然の爆撃や銃撃に

    怯える気持ちになれたような気がします。

     

    最初に父が殺された
     

    最初に父が殺された

     

    冒頭、かなり裕福そうな一家が映ります。父は政府の職員で

    あったのに、突然現れた武装集団、クメール・ルージュに

    よって家を追い出され、街から農村へと強制移住させられるの

    です。それは1975年クメール共和国崩壊により、反米かつ

    極端な共産主義をとるクメール・ルージュと総称される

    政治勢力によるもので、半植民地主義と原始共産制をめざすと

    いうもの。だから映画内で欧米のものは捨てさせられ、財産は

    すべて没収、労働キャンプで働き、すべて国のものとして納めて

    いくことになるのです。
    しかしこの極端な思想が広がった元をたどると、アメリカが

    引き起こしたベトナム戦争が存在し、さらに南ベトナムへの空

    爆はカンボジア全域にも達していたことから、今の世界情勢と

    少しも変わらない構図が見え隠れします。
    ただルオンにしてみると、なぜ急に自分の家を追い出されたのか、

    父が農民と身分を隠すのか、「オンカー」と呼ばれる少年兵も

    含む戦闘服の人たちが、なぜに自分たちを憎み、労働を強制する

    のか全く分からないのです。それは飢えと暴力、監視され、

    密告されることへの恐怖、やがては拷問され死んでいく恐怖を、

    目のまえに広がる光景から察して行くのが手に取るようにわかります。

    同じ国の人民なのに、同じ言葉を話すのに、なぜにこんな行動を

    とるのだろうか。
    「灼熱の魂」(2010)ではレバノン内戦での少年兵の姿が映り

    ましたが、ここでも洗脳しやすい少年少女を戦闘員として扱います。

    これは現在も中東やアフリカなどで数多く見られている状況で、

    いったいいつになったらこのような悲惨な光景を見なくなるのだろう

    と考えるだけで心が暗くなります。

     

    最初に父が殺された
     

    ベトナム側の難民キャンプに逃れて仲間ができたと思ったとたん、

    そこをクメール・ルージュが襲う。なぜに自国民を銃撃するのか。

    この不条理さを体験したルオンはそれでも兄妹たちと再会する

    ことができました。しかしそれ以上に失われた命の多さを考えると、

    戦争ということの不毛さを感じざるを得ないのです。
    映画全体がルオン視点で描かれており、ラストも希望が見えるもの

    だったことで、今までのアンジョリーナ・ジョリーの映画の中では

    最も好きなものになりました。

     

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    壁の中の男

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    壁の中の男

     

    「壁の中の男」

    原題:The Man in the Wall

    監督:イェフゲニ・ルーマン

    2015年 イスラエル映画 92分

    キャスト:タマル・アルカン

         トム・アントポルスキー

         シュロミ・アブラハム

     

    シルが寝ている間に愛犬と散歩に出かけた夫ラミは戻らず、

    犬だけが近所の人に保護される。彼女は夫の身を案じ

    あちこちに連絡するが..。


    <お勧め星>☆☆☆ 何が起きているのか好奇心をくすぐられ

    続ける映画です。


    安息日だったのに...。


    ネタバレしています。

     


    舞台はラミとシルが暮らす自宅アパート内のみで、シルは

    そこから一切外に出ません。一度だけ庭に出て夫を捜した

    のみだと思います。その代わりに幾人もの人がこの部屋を訪れ、

    様々な話をしていきます。それがどれも夫の失踪につながり

    そうなものばかりなのです。何か起きた時最悪のことを想定

    する人とそうでない人と分かれるものですが、シルはどちらに

    入るのだろう。最悪のことを想定しておけば、大体のことは

    受け入れられるのかもしれないけれど、なぜかわたしは個人的

    には割と良い方に考えてしまい、あとでがっかりすることが

    多いです。

    さて、夫ラミ、いやまず愛犬ブルーノを呼んだかな。それから

    夫を捜す姿から始まるこの映画は、玄関のチャイムや、

    ノック音、携帯電話の着信音でしばしば動きが遮られます。
    1人目は犬グルーノを連れてくる男性。ここでシルはラミが

    失踪したのではないかと不安に囚われます。ウンチを片づける

    ように言われてもそこは後回しで、まずラミに持ち物をチェック。

    よし、すべてあるぞ。何がよしだ。

    では事故に遭ったのではないか。
    2人目は親友アディ。彼女はラミの元カノで、恋人と一緒に

    ワインを持って登場。安息日を一緒に過ごす約束だったらしい

    けど、シルはそれどころじゃないのよ。それにしてもこの部屋は

    乱雑すぎる。テーブルの上にとどまらず、キッチンのシンクも

    寝室も「お片付け」というものができない2人のようです。

    そこでアディは「ラミは根に持つタイプ」「狂人」とまで言うの

    ですよ。見ている側としたら夫妻に対する予備知識がないので、

    そうか、何かあってラミは根に持っているのかと憶測してしまう

    はず。それは何だろう。それがこの失踪の原因だろうか。
    3人目は2人連れの警官。失踪では相手にされないのでDVを

    受けた、と通報したことに対し、これまた嘘の理由をしつこく

    聞いたあげく、ラミには暴力的な経歴があるとまで暴露していく

    のです。警官は「ラミが浮気して失踪したんじゃないか」と言う。

    あら〜、それじゃあ、ラミは不倫していたのかしら。また見て

    いる側は悩むわけです。
    4人目はドロン。彼はラミの実父だけれど、幼い頃に離婚して

    いるからめったに会わないらしい。「なんとかなるさ」まるで

    わたしが思うような言葉をかけて、いったんはドアを閉めるのに

    再び戻ってきて「ラミは2万シェケル借りに来た」と伝えます。

    調べてみると2万シェケルは日本円で60万円ほど。かなり

    中途半端な額なので、これが失踪の原因なのか全く判断できません。

    ああ、謎ばかり増えていきます。
    5人目はトミー。彼は家に入らず、外の庭から電話しているんです。

    会話から想像するにシルの不倫相手らしい。あらら、シルが

    不倫していたのね。いやまだわかりません。
    6人目はシルの母。でも、これはシルがマリファナを吸って

    いい気分になったときに見た幻影です。

     

    壁の中の男
     

    これらの人々が現れては消える間にも幾度となく家の中で

    物音がし、シルはあちこちのドアを開閉するのです。幾度と

    なく映るドアに貼ってある写真。題名通り壁の中に隠れている

    のかと思ってしまう。
    7人目は5人目と同じトミー。じゃーん!やはり浮気相手だった

    のね。まったくもうシルったら無理やりに誘惑しちゃって...。

    ああ、たいへんそこに
    8人目のドゥディが登場します。彼はラミの親友であり、何かを

    疑っている模様なんだよね、それは序盤にシルがかけた電話でも

    におわせていたな。傘やら靴やらで夫以外の男がいたことが

    バレちゃって、シルったら大変よ〜。
    9人目はラミの携帯に数多く通話履歴が残るエラ。これこそ

    ラミの浮気相手?これだけもったいつけといて、彼女はただの

    ドラッグの売人だとわかっちゃうとシルはなぜかイラつくんです

    よね。この時のシルの気持ちはエラが浮気相手だったら良かった

    のにと思っていたのかも?と勝手に憶測しました。

     

    壁の中の男
     

    さて、ラミはいつどこで見つかるか。これだけ好奇心をくすぐって

    おいて、なんと玄関からしれ〜と戻って来るんです。そして愛犬

    ブルーノだけにあいさつをするという仕打ち。そこで思い出すのは

    アディが「ラミは根に持つタイプ」という言葉。いや、根に

    持つというより、もう一つの言葉「狂人」の方がぴったりくると

    思う。家中に仕掛けられた盗聴器で自分がいない間の妻の言動を

    全て外で聞いていたなんて、何の目的があったのかと思って

    しまうわ。
    シルが薬を大量に飲んでしまったラミに「今日は死なないで」と

    必死で介抱するシーンを見ると、ああ、シルの心は本当に彼から

    離れているのだなと実感します。ラミもドゥディに

    「シルはつまらない」と語っていたというから、だったら別れたら

    いいのにと思うけれど、そのタイミングは今日ではないということ

    でしょうか。
    ラストシーンはおそらくは冒頭のシーンの前の姿で、夫妻が別々に

    眠っていることから、この2人の関係が全く上手くいっていなかった

    ことを物語るのです。
    いや、ややこしい。確かにラミは「根に持つ」嫌な男だわ。

     

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    LOCK DOWN ロック・ダウン

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ロックダウン

     

    「LOCK DOWN ロック・ダウン」

    原題:Monolith

    監督:アイバン・シルベストリニ

    2016年 アメリカ=イタリア映画 83分

    キャスト:カトリーナ・ボウデン

         デイモン・ダユブ

         ブランドン・W・ジョーンズ

     

    最新セキュリティを誇るAI搭載車「モノリス」に

    乗り、サンドラは息子デビッドと夫の実家へ向かう。

    しかし夫カールの浮気を疑い、急遽彼が滞在する

    ロスへ行くことを決意するが、途中鹿と衝突して

    しまう。さらにサンドラが車外に出たすきにデビッドが

    車を「防護モード」にしてしまうのだった...。


    <お勧め星>☆ オーマイガー! イライラし続ける83分。


    マミーと呼ばれるための試練


    「未体験ゾーンの映画たち2017」にて上映された

    作品で、まさに未体験のシチュエーションなのですが、

    ジャケットにあるような「暴走者」「制御不能」

    「孤立無援の荒野」となった原因はただ1つなのです。
    「クリスティーン」(1983」のように車が意志を

    持っているわけでもなく、車ではないけれど

    「ゴーストライダー」(2007)のように悪魔絡みの

    バイクというわけでもない。主人公の新米ママ、サンドラが

    ただただ「アホ」なのです。手元のメモには、幾度となく

    「サンドラ、アホ」と書かれているではありませんか。
    最新セキュリティを誇るモノリス社の車には「リリス」と

    いうAIが搭載されていて、なんと乗車した人の体重まで

    わかるのです。

     

    ロックダウン

     

    映画開始早々に、直前に乗った人物の体重をたずねるサンドラは

    明らかに夫カールの浮気を疑っているんですね。どうやら

    彼女もカールを元の奥様から奪った身の上らしく、歌手の

    座を捨て妻の道を選んだことに少々後悔もある模様。前半は

    立ち寄ったコンビニで歌手時代を知っている若い男性に声を

    かけられているうちに、デビッドが姿を消し大騒ぎしたり、

    ジェサという彼女の後釜で歌を歌い始めた女性とカールの仲を

    疑ったり、それでいて泣き始めるデビッドをただただあやし

    続けたりと、彼女の心の不安定さが露呈するばかりです。

    それにしても最新鋭の車のデザインの悪さといったら、もう!

    不細工だったらありゃしない。究極の安全性を追求すると

    こうなってしまうのかしら。やだ戦車みたいじゃないの。

     

    ロックダウン
     

    予想通りこのウルトラ安全な車の中にデビッド一人閉じ込められ

    てしまうのです。そこは誰も通らない砂漠の中であり、

    「誰か〜!」と叫ぶサンドラの姿に、まずアホ1点。いや

    その前に何点も入っていたな。そもそもなぜこの車が

    「防護モード」になったかをたどると、イライラして煙草を吸う

    →AIが煙を探知しアラーム音を鳴らす→窓を開けてるでしょ!

    とサンドラ怒り、AIを切る→鹿と衝突→外に出る→泣きべそを

    かいたデビッドに携帯を持たせる→デビッドが携帯で車を

    操作してしまうという流れでございます。カールに

    「携帯で遊ばせるな」と言われていたのにですよ。さらに

    デビッドは喘息持ちなのですよ。煙草吸ったらケホケホしています。
    サンドラはおつむも弱ければ、手癖も口も悪いと来た。カール、

    ちょっと可愛いくて若いからって血迷ったんだな。いやこういう

    ことは言ってはいけない。サンドラ目線で映画を確認しよう。
    それにしても助けを求めるにしてもノロノロ歩くし、自分だけ

    水を飲むし、来た道を戻らないし、いろいろ見ていると灼熱の

    太陽の下、車内に取り残され、クマの着ぐるみを着ている

    デビッドが不憫でなりません。

     

    ロックダウン

     

    結局何もしないんですよ。ただあれこれ騒いで泣きわめいて

    眠って、はっと思いつくのが、この車が「最も安全である」と

    いうこと。そして映画でなにを言いたかったかというのは最

    後のワンカットでデビッドが発した言葉「マミー」。でもさ、

    あれこれ話せるのになんで「マミー」は言えなかったんだろうね。

    それとカールは浮気していたのかな。その辺りもふくめて前半の

    シーンは全て無駄だったような気がしてなりません。
    イライラするので気分が悪いときはお勧めしません。

     

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    物静かな男の復讐(静かなる復讐)

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    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    物静かな男の復讐

     

    「物静かな男の復讐(静かなる復讐)」

    原題:Tar de para la ira

    監督:ラウール・アレバロ

    2016年 スペイン映画 92分

    キャスト:アントニオ・デ・ラ・トレ

         ルイス・カイェホ

         ルス・ディアス

         ラウール・ヒメキス

     

    アナは8年前の強盗事件に関わり服役中の夫クーロと

    一人息子がいる。彼女は兄の経営するバーで働いて

    いたが、1人の物静かな男が毎日通っていることに

    気づくのだった。


    <お勧め星>☆☆☆半 心の奥に秘めた静かな怒りを

    ひしひしと肌で感じる映画です。


    無表情に隠された怒りの炎


    映画開始後すぐに始まる強盗事件の犯人たちの顔は

    黒いマスクに覆われており、唯一顔が分かるのは運転手役

    の男です。あとから考えるとこれが大きなカギでもあった

    と気づきます。
    映画は3つの章に分かれており、まず「バー」と出てくる

    のです。バーと言っても家族経営のような小さな店で、

    常連客が日中カードゲームをしてのんびりと過ごすような感じ。

    そこにたった一人無表情の男がカウンターで酒を飲んでいます。

    なぜにカウンター席にいるのかとか目的があるのかとか全く

    わかりません。とりあえず場違いなのは確か。

     

    物静かな男の復讐

     

    彼の名前がホセであるというのも次の章「アナ」に入って

    ようやくわかるというくらい、不明な点がたくさんあるのです。

    大体人物相関図が全くつかめない。毎回映画ではメモを取るの

    ですが、名前を書きとめるにも名前がわからないので「ひげ1」

    「おしゃべり女」などと書く始末です。

     

    物静かな男の復讐
     

    そして「アナ」の章でホセがアナの後を追い、2人は意気投合

    したことやアナの夫クーロが収監中でもうすぐ釈放されることを

    知ります。このホセとアナのラブシーンは、刑務所内でのアナと

    クーロのラブシーンと同じくまことになまめかしいです。

    (スペインって刑務所への面会であんなことができちゃうんだー。)

     

    物静かな男の復讐
     

    しかしながらホセの素性がまだわからないのです。彼が病院へ

    見舞う意識不明の老人は誰なのか。ただクーロの顔を見て、

    ああ、あの時のドライバー役の男であると確信すると、ホセの

    目的が少しずつわかってきます。
    いや、邦題で「復讐」とあるから、ホセが冒頭の事件の関係で

    何かの復讐を企てているのだととっくに想像できてしまいますね。

    「復讐」といえば、韓国映画パ・チャヌク監督のの復讐三部作

    「復讐者に憐れみを」(2002)「オールド・ボーイ」

    (2003)「親切なクムジャさん」(2005)を思い出します。

    しかしながらあのようなドロドロした復讐劇ではなく、

    静かに静かに進んでいくのです。
    「怒り」の章では、まさにここまでとことん静かだったホセの

    眉間の皺がみるみるうちに深くなり、ピクピクと少し動いたかと

    思った瞬間、突然爆発します。これこそ彼が8年間ため続け、

    防犯テープを擦り切れるほど見返し、毎日病院へ見舞い、孤独と

    絶望に耐えながら自分を奮い立たせてきたものの正体であると

    知ると、その大きさに恐怖しか感じません。そのシーンでは

    無機質な効果音が流れ、ズームアップされたホセの顔が映るのです。
    ホセは後半はほぼクーロと車で旅を遂行しますが、それは当然

    クーロが望んだものではなく、ホセ主導です。釈放直後は

    イキがっていたクーロがなぜにホセに歯向かわないのか。ホセが

    本当に成し遂げたかったことは何かを知るのは、見る側の頭の中で

    考えるしかないのですが、幾つかシーンを思い返して、彼が最初に

    持っていた思いが、アナやクーロと接していくうちに少しずつ

    変わっていたことは確かだと思います。それほどまでに彼は孤独で

    あったことにも気づかされ愕然とするのですが。

     

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    ある母の復讐

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    JUGEMテーマ:韓国映画全般

     

    ある母の復讐

     

    「ある母の復讐」

    原題:AZOOMA

    監督:イ・ジスン

    2012年 韓国映画 74分

    キャスト:チャン・ヨンナム

         マ・ドンソク

         ペ・ソンウ

         オム・テグ

     

    娘ヨンジュが男に暴行されたアジェンマは、

    犯人を一向に逮捕できない警察や、世間体ばかり

    気にする別居中の夫にあきれ果て、ある決意を

    固めるのだった。


    <お勧め星>☆☆ ストーリーの構成が悪く心に

    響くことがなかった映画です。


    復讐したい気持ちは痛いほどわかる


    同じように少女が暴行される事件を扱った映画と

    しては「ソウォン/願い」(2013)がありますが、

    あの映画では主人公の少女が心身ともに大きく傷つき、

    退院後も数々の困難にさらされるものの、彼女自身が

    未来を切り開いていく姿を最後に見せられ、卑劣で鬼畜

    のような犯人と対照的に感じられて涙が止まりません

    でした。

     

    ソウォン
     

    一方この映画では時系列を変えて映し出したり、

    同じシーン、特に事件の前後を幾度となく映すの

    ですが、それがほとんど意味がなく、犯人は早々に

    わかってしまいます。大体最初から顔が映っているし。

    なので事件を知った母親が泣き叫び、警察に訴え、

    冷たくあしらわれるという姿を幾度となく見せられる

    ことの連続です。

     

     

    ある母の復讐
     

    韓国警察はボンクラだというのは映画内で幾度も見て

    きました。賄賂の横行、証拠のねつ造、逆に証拠隠滅、

    権力にすり寄る姿など数え上げればきりがありません。

    それでも中に1人くらいまともな刑事がいて..というのが

    常なのですが、この映画には一人も登場しません。

     

    ある母の復讐
     

    またアジェンマと別居中の夫は高名な歯科医であり、

    世間体ばかり気にして、娘を気づかうそぶりすら見せず、

    逆に事件を荒立てないように、刑事や週刊誌記者に金を

    渡す始末なのです。
    さらに無意味シーンは冒頭から見られ、ヨンジュを迎えに

    行くはずのアジェンマの商談相手の男性がとても嫌らしい

    視線を送るのを映したり、夫が歯科医院の受付と診察台で

    関係を持つシーンなどを流すのです。
    これらは本題に何か意味があるのでしょうか。
    担当刑事マ・ドンチョル役のマ・ドンソクは、確かにいい

    加減な刑事とか血の気の多い金貸し役とか演じることがある

    けれど、実は心が優しかったりするので、この映画でもそうか

    と思うと、とことんクズなんです。何やら借金も背負っている

    らしいし。どいつもこいつもクズで、犯人を突き止めていく

    のがアジェンマというのはあまりに酷すぎる。

     

    ある母の復讐
     

    ここまでで60分くらいでしょうか。残りはもうホラー映画並みの

    映像が映ります。怖いです。痛いです。そこまでする気持ちは

    とてもよくわかるけれど、これで母娘に明るい未来が開ける

    はずもなく、ソウォンのように少女自身で自分を立ち直らせる

    しかないのだと気づくとただただ呆然とするだけでした。

     

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    空の沈黙

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    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    空の沈黙

     

    「空の沈黙」

    原題:The Silence of the Sky/O Silencio do Ceu

    監督:マルコ・ドゥトラ

    2016年 ブラジル映画 102分

    キャスト:レオナルド・スバラーリャ

         カロリーナ・ジッケマン

         チノ・ダリン

         アルバロ・アルマン・ウゴン

     

    夫マリオが留守中に妻ダイアナは2人組の男に

    乱暴される。偶然その現場を見てしまったマリオは

    ダイアナがその事実打ち明けることを望むが、彼女は

    一切口にせずいつも通りの生活を送っていく..。


    <お勧め星>☆☆☆ なんとなく不快な思いに包まれた

    ままエンドロールを迎えます。


    言葉と心の断絶


    オープニングクレジットの背景は昼間の真っ青な空。

    この空の下のある一軒の家では大変なことが起きている

    のです。それはまずダイアナの視点から描かれ、おそらく

    2人組の男が彼女の自宅の寝室で彼女を乱暴しています。

    彼女の悲鳴とぼんやりした映像、そして男たちの声と

    ガタガタと小さく響く音が何が行われているのかを想像

    させるのです。そしてすべてが終わった後、1本の電話が

    かかり、夫マリオからだとわかっても、子どもたちの迎えを

    頼むだけなのです。なぜに夫に知らせないのか。そもそも

    なぜ通報しないのか。

     

    空の沈黙
     

    一方、この時間を再び映し、今度はマリオの視点からダイアナが

    乱暴を受けるシーンが映ります。外で岩を持ち、ガレージでそれを

    はさみに持ち替え、現場付近まで行くものの、結局何もできない。

    彼は妻に電話をかけ、普通通りの会話をするのです。なぜに

    お互いに知らないふりをするのでしょう。この2人の間に広がる

    心と心の隔たりは何に起因しているのでしょうか。

     

    空の沈黙
     

    どうやら夫婦は8年間の結婚生活のうち、2年余り別居しており、

    妻子を残して、マリオは他の女性と暮らしていたらしい。何と

    なく会話がおかしいなと思っていたら、夫妻はスペイン語で

    話すのに、ダイアナは知人とはポルトガル語で話しているらしい。
    これは後から知ったことで、この言葉の壁によって微妙な感情を

    伝えきれずにいたかのように感じられます。何かを象徴するように

    出てくるサボテン。このトゲがまたとても鋭いのです。サボテンは

    昔はよく見かけましたが、今は観葉植物の方が多く売られていて、

    敢えてとげとげしたサボテンを購入することもなくなりましたねえ。
    マリオは最初のシーンで、このサボテンを握ったために掌が

    ぼつぼつの血まみれになるんです。これは夫妻のお互いの心の中を

    表しているのかもしれません。
    そしてマリオは独自に暴行犯を調べ上げていくのです。調べて

    どうするというのか。そこでも真っ青な空が映ります。
    エンドロールの背景は少しずつ明るさを取り戻していく早朝の空。

    ただただ無音でその光景が映るのみです。目の前で起きたことは

    大変なことばかりなのに、お互いに何もかも知っている夫妻は、

    何もなかったかのように「家に入ろうか」と言葉を交わす。この

    夫妻はずっと平行線をたどるような人生を送っていくのでしょうか。

    それを考えると深い絶望のような感情に包まれて、明け方が

    夕やみに変わっていくように思えました。

     

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    鬼はさまよう

    4

    JUGEMテーマ:韓国映画全般

     

    鬼はさまよう

     

    「鬼はさまよう」

    原題:The Deal

    監督:ソン・ヨンホ

    2015年 韓国映画 103分

    キャスト:キム・サンギョン

         キム・ソンギュン

         パク・ソンウン

     

    ソウル東南部を中心にして連続女性子供失踪事件が起きる。

    一向に捜査が進展しない中、刑事テスは当て逃げ犯の車から

    血痕を見つける。と同時に彼の妹スギョンが行方不明に

    なったと知るのだった。


    <お勧め星>☆☆半 あと一歩なんですが、どうもモタついた

    ストーリーです。


    目には目を歯には歯を、の本当の意味


    韓国映画のサスペンスの類は手に汗を握るスリルと緻密な

    ストーリー、リアルな映像、ドロドロした人間関係などが

    うまく融合していて、大体どれを見ても「すごい」と思うの

    ですが、この映画に関しては「へ?」と思ってしまいました。

    別につまらなくはないけれど、肝心のシーンでダラダラと

    したシーンが流されるのです。このクライマックスダラダラ

    (わたしが勝手につけた)が際立っていたのは「藁の楯」

    (2013)ですね。とても褒めているレビューが多いですが、

    い〜やあれはないだろうと思います。
    この映画のオープニングは、韓国映画で本当によく見かける

    雨の夜。一人帰宅する女性のあとをつける人影が映ります。

    ああ、この無事に帰宅で来たと思ったフェイントのあとで

    ..やっぱりね。
    そして何人もの行方不明の女性や子供がいるというのに、

    相変わらずボンクラな韓国警察の刑事の姿に変わります。

    「今日も帰れないなあ」←当たり前だ。刑事なら現場百回足を

    運ぶもんだ!刑事テスもその一人で、同僚ギソクと覆面パトカーで

    意味もなくカップラーメンをすすっているんです。

     

    鬼はさまよう

     

    テス役は「殺人の追憶」(2013)のキム・サンギョン。

    2年ほどの間にあの若くて甘いマスクの男性がぽってり

    中年体型になっちゃってちょっと驚きです。
    テスが急にやる気を出したのは、当て逃げ犯の無線を聞き、

    それらしき車を止めて、男ガンチョンを拘束した時、車の

    後部座席から血痕のついた髪の毛を見つけた時からです。
    いやその時に義弟のスンヒョンから「スギョン(テスの妹)

    が戻らない。携帯も繋がらない」と電話をもらい、現場に

    捨ててある携帯を見つけてからですね。公私混同すぎる。

     

    鬼はさまよう

     

    スンヒョン役は「悪いやつら」(2012)などの

    キム・ソンギュン。彼が序盤の真面目な銀行員から後半の復讐者

    への変貌ぶりはちょっと誰だかわからないくらいのものがあります。
    まあそこからストーリーが始まり、肝心の「Deal(取引)」に

    至るまでの過程はそこそこ見ごたえがあります。ガンチョは裁判で

    死刑判決を受けたものの全然執行されないし、そもそも8人の

    行方不明者のうち5人は見つかっていないのです。彼はなぜに

    その遺体の場所を言わないのか、これ全然わからない。
    快楽殺人犯だから周りがあたふた焦りまくる姿を見るのもまた

    快楽なのかもしれません。

     

    鬼はさまよう

     

    ガンチョ役のパク・ソンウンは「新しき世界」(2013)

    にも出演していましたが、高身長かつものすごくマッチョな

    体つきなんです。映画内のシャワー室での格闘でその肉体を

    見せつけられると「イースタンプロミス」(2007)の

    ヴィゴ・モーテンセンを思い出すというもの。あのように明るい

    お風呂場で繰り広げたらもっと楽しめるのに、あいにく暗いんです。
    そして3年後やくざの組長が刺殺される事件が起き、勘のいい

    テスは次に襲われるであろうもう一人の組長の元へ向かうと

    そこから逃げ出すのは、な、な、なんとすっかり雰囲気が

    変わったスンヒョンなんです。なぜスンヒョンがやくざ殺しを

    するのかを辿っていくのも、もちのろん勘のいいテスです。

    刑事の勘...その乱用はいけません。証拠があってなんぼです。
    無理やりこじつけた話だと感じてしまいます。それもさておき、

    一応カーチェイスらしきものがあった後、遂にクライマックスへと

    向かうわけですよ。さあ、ここでモタモタしてはいけません。

    一気にドドドーと進めようではありませんか。いや進みません。
    ガンチョンはすごい大柄なんですよ。ちょっとやそっと傷つけた

    くらいでは何ともない肉体なんですよ。そして遅れて到着した

    テスは変わり果てたスンヒョンを抱きしめてしばしの嗚咽。

    ねえねえそれは後にしてまずガンチョンを追いつめませんか?

    もうね、ここは全然泣けないんです。一番大事なシーンに

    もたついた時間を持たせると映画は全くつまらなくなるという

    典型例です。題材や俳優はいいのに、とても残念に感じてしまう

    映画でした。

    「目には目を、歯には歯を」は、”やられたらやり返せ”という

    意味ではなく、そもそもハンムラビ法典とは、過剰な報復を

    止めるため、復讐の連鎖を抑制するための法律であり、

    「犯した罪は必ず自分に返ってくる」

    という戒めのニュアンスであるともう一度声を大にして言いたい。

     

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    FOUND ファウンド

    3

    JUGEMテーマ:Horror

     

    ファウンド

     

    「FOUND ファウンド」

    原題:Found

    監督:スコット・シャーマー

    2012年 アメリカ映画 103分

    キャスト:ギャビン・ブラウン

         イーサン・フィルベック

         フィリス・ムンロー

         ルーイ・ローレス

     

    いじめられっ子のマーティは兄スティーヴが

    自室のクローゼットのバッグの中に人間の生首を

    隠し持っているのを知っている。秘かにそれを

    眺めていたが、ある時それが兄にバレてしまう...。


    <お勧め星>☆☆ 製作した監督がおかしいのか、

    作品がおかしくできあがったのか、世界の方が

    おかしいのか。とても気分が悪くなる映画です。


    ホラーオタクの名を汚す

     

     

    多分ネタバレ

     

     


    自称ホラー映画オタクとしてはまずこの映画は嫌い。

    ホラー映画にもいろいろあって、ゾンビ映画なら

    メッセージ性の強いものを製作した

    ジョージ・A・ロメロ監督はもう神様のような存在です。
    またコメディゾンビ映画では「ゾンビーノ」(2006)

    「ゾンビランド」(2009)、ラブストーリーゾンビ

    映画なら「コリン LOVE OF DEAD」(2008)

    「ウォーム・ボディーズ」(2013)などぞろぞろ

    名前が出てきますね。
    一方スプラッター映画となると「悪魔のいけにえ」

    「13日の金曜日」「サスペリア」「SAW」「ホステル」

    「スクリーム」「ピラニア」などこれまた結構な数をあげる

    ことができます。どちらもそれなりの魅力があり、やはり

    「作り物」という前提があるので「痛い」「きゃっ」と

    声が出るものの平気なのです。

    他には悪魔物「ローズマリーの赤ちゃん」「エクソシスト」

    そして「死霊館」シリーズもあげられますが、これについては

    夜一人で見るのは少しいや全然自信がありません。ただ

    この怖さも好きな部類ではあるのです。
    ところがホラー映画でも「ムカデ人間2」は嫌いな映画の

    1つ。汚い。とにかく汚い。もう1つは「デッドガール」

    (2008)で、これは人間として、つまり生きている

    人間として許せない部分が多いと感じてしまいました。
    そして今回遂に嫌い映画が3つになったわけです。
    低予算映画でスマッシュヒットというのはよく聞きますが、

    この映画も予算8000ドルとのこと。俳優も知った人は

    いないし、舞台も主人公マーティの自宅、公園、車の中など

    わずかなものしかなく、セットも特にお金をかけていない

    感じです。
    映画内でビデオで流れるスプラッター映画の製作や大量の

    血しぶきにお金をかけたのかしら。ゴアシーンもその

    映画in映画でほとんど使われ、実際のシーンでは、悲鳴や

    音でそれを想像させているのです。

     

    ファウンド
     

    映画の始まりから大変不気味かつBGMは耳障りで不協和音の

    ように流れます。とりあえずマーティ一家は父と母と兄との

    4人暮らしで、父は家庭では君主的な存在かつ差別主義者、

    母は自分の仕事にしか関心がなく世間体第一の人間、兄は

    定職はなくバイトで小遣い稼ぎをしている社会的には下層の

    (父が思っている)人間、そしてマーティは成績もよく行儀も

    良いけれど、いじめられっ子で趣味はホラー漫画を描くことで

    友人はデヴィッドただ1人。ああ、なんて悲惨な家庭なんだろう。
    この両親にしてこの子供ありでは簡単に片づけすぎだ。彼らは

    特に貧しいわけでもなく、またおそらくは1990年代なの

    ですが、白人であることから人種的な差別を受けているわけ

    でもないのです。
    兄がクローゼットのバッグの中に生首を隠し持っていることは、

    父が車庫のエロ本を隠していることや母が昔の恋人の手紙を

    大事にしまい込んでいることとはレベルが異なるとマーティは

    気づかないのだろうか。様々な疑問を抱きながら映像を見て

    いると、マーティが唯一に友人デヴィッドと共に兄が持って

    いた「ヘッドレス」といビデオを見始めます。この内容が

    もう下劣の極みなのです。ホラー好きなマーティはなぜに

    映像から目を背けるのだろうか。大体生首は平気でチープな

    映像が怖いとは思えない。そこには映画内の犯人が兄の顔に

    見えて、兄が「おかしい」と確信したからなのではない

    でしょうか。自分が空想で描いていたホラー漫画を燃やし

    ながらマーティは涙を流します。この涙の意味を彼になった

    つもりで考えてしまいました。ここも理解不能。

     

    ファウンド
     

    兄は自分の置かれている境遇の悪さを人種差別にすり替え、

    さらに暴力で物事を解決するという考えをマーティに教え

    込みます。これは明らかに間違っていると断言できるけれど、

    映画内の牧師が言うように対話ですべてが解決するとは、

    これまたにわかに信じられないのです。ただ力に対抗して力を

    行使するとそれ以上の力を招くことは確実で、せめてその

    ことだけは信じていてほしいと思ってしまう。
    ラスト付近はもう阿鼻叫喚のシーンのはずが、両親の怒る声と

    悲鳴、呻く声などを聞くマーティを映してそれらを想像させます。

    ああ、おぞましい。何が解放されるのか、大体みんなから

    嫌われてしまい、友人もいない一家のこの様子を誰が一番

    最初に気づくのか、その方が問題だと思う。
    キャッチコピーには「イット・フォローズ」(2014)を超えた、

    とあるけれど、いーや、全然超えてなどいないし、そもそも話の

    レベルが違いすぎると感じてしまいました。

     

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    ベター・ウォッチ・アウト

    3

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ベターウォッチアウト

     

    「ベター・ウォッチ・アウト」

    原題:Better Watch Out

    監督:クリス・ペッコーバー

    2017年 アメリカ=オーストラリア映画 89分

    キャスト:オリビア・デヨング

         ヴァージニア・マドセン

         パトリック・ウォーバートン

         デイカー・モンゴメリー

     

    両親がクリスマスパーティーに出かける晩、ルークは

    シッターのアシュリーと過ごすことになる。しかし、

    無言電話や不気味な物音がし、2階に人の気配を感じた

    ことから2人は恐怖の中様子を見に行くのだったが...。


    <お勧め星>☆☆☆ もう笑えない不快な部分が多すぎる

    けれど、あっと驚く展開が見られます。


    どこが「ホーム・アローン」だ!!


    映画内でシッター、アシュリー役を演じた

    オリビア・デヨングと主人公ルークの親友ギャレット役

    のエド・オクセンボウルドは、ナイト・シャラマン監督

    「ヴィジット」(2015)で姉弟役を演じていた2人と

    知り、この年頃の成長の早さを実感します。

     

    ベターウォッチアウト

     

    「ヴィジット」に関しては、シャラマン監督の原点回帰映画と

    思えるようないくつものトリックがありましたが、やはり

    「シックス・センス」(1999)に勝る映画には

    なりませんでした。あれ以上の作品がこの先生まれるの

    でしょうか。

     

    ベターウォッチアウト
     

    さて、この映画の良い点は2つ。オリビア・デヨングがとても

    美しく成長したことと、主人公リッキー役のリーバイ・ミラーが

    将来有望な美少年なのです。役の上では12歳。まだまだ

    シッターがいないと家を空けられない年齢なんですよ。
    母親は特に彼を子ども扱いし、アシュリーに一から十まで

    指示をして行きます。しかーし、このお年頃の少年たちの頭の

    中は妄想が渦巻いているんでしょうね。今宵、なんと、

    アシュリーとキメたい!と思っているんです。え、え、え〜〜。
    アシュリーと二人きりになると、ホラー映画を見て「キャー」と

    しがみつくのを待ったり、2階から聞こえる不気味な物音に

    「僕が君を守る」なーんてかっこつけたりします。どれもかなり

    幼稚な発想なんだけど、それが物音や電話のベルを鳴らせたり、

    窓に人影などを映らせることで、見ている側はすっかり違う方向の

    話と思ってしまいます。
    くそう、間違えちゃったじゃないか!
    ところが後半に入ると、話はすっかり様相を変え、このクソガキ

    いい加減にせいよ!と必ず思うシーンの連続です。ルークが

    美少年すぎるのが功を奏し、冷たい恐怖を感じつつ思いがけない

    ラストへと突入。
    だてにホラー映画ばかり見ていたわけではなかったんですねえ。

     

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    黒い雪

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    黒い雪

     

    「黒い雪」

    原題:Nieve Negra

    監督:マルティン・オダク

    2017年 アルゼンチン映画 90分

    キャスト:ライア・コスタ

         リチャード・ダーリン

         ドロレス・フォンシ

         ミケル・イグレシアス

     

    スペインに暮らすマルコスは、父の訃報を受け、

    身重の妻ラウラとアルゼンチンに戻って来る。父の

    遺言の実行と土地売却話を進めるため、彼らは長年

    疎遠だった兄サルバドルの元に向かうが..。


    <お勧め星>☆☆☆ 真っ白く美しいはずの雪景色が

    少しも清らかに見えなくなる愛憎ドラマです。


    雪に残る真っ赤な血の跡


    サルバドル役のリカルド・ダリンは、私の大好きな

    映画「瞳の奥の秘密」(2010)の主役を演じて

    いました。ラテン系の顔立ちの大きな瞳が印象的で

    とても色気のある俳優さんです。ところがこの映画では、

    人里離れたパタゴニア地方の山奥にたった一人で暮らす

    孤独な男を演じており、白いものが目立つ髭も髪の毛も

    ボーボーで獣のように感じます。ただそのつぶらな瞳は

    健在であり、一目で彼だとわかりました。
    オープニングに映るホアンという少年が、マルコスの

    弟であることは、映画内の会話からわかってきますが、

    なぜかマルコスはその話を口にしたがらない。さらに

    父の遺言を実行するためにどうしてもサルバドルに会

    わなければならないのに、ものすごく腰が重いことから、

    マルコスとサルバドルの間に大きな確執があることは

    わかってくるのです。

     

    黒い雪

     

    また妹サブリナは精神疾患で病院に収容されている。現在

    のマルコスやラウラの姿と20年以上前の一家の姿が交互に

    映るものの、20年以上前の出来事が切れ切れで、さらに

    時を前後して映り込むので、見ている側は、その「謎」に

    ついてものすごく好奇心をかきたてられます。父、サルバドル、

    マルコス、サブリナ、ホアンで雪山で狩猟をする姿。

    そこでいったい何が起きたのか??なぜサルバドルは父から

    折檻を受けていたのか。

     

    黒い雪
     

    この好奇心はマルコスの妻ラウラが代わりに満たしていくの

    です。なんせものすごく詮索好きだし、のぞき見、盗み聞き、

    盗み読みが大の得意らしい。隠されているとわかると見たく

    なるし、調べたくなるのは誰でも同じなのね。姉の日記の

    盗み読みは叱られることがわかっていても、ついこの手が

    ふすまを開けてしまい、ついこの指が日記のページをめくって

    しまったものです。特に大したことは書いてなかったのに、

    その後ろめたさが逆にワクワク感を誘いました。
    このラウラはとっても可愛い女性なんですが、マルコスの

    父親が遺した土地が900万ドルで売れると聞かされた時、

    はっと目を見開きます。この目は、次にサルバドルから、

    900万ドルではなく1100万ドルなんだ、と聞かされた時

    にも見られるのです。こんなどへき地でも鉱山としての価値が

    あり、それほどの値段がつくと地元の有力者は語ります。

    この有力者もかなり胡散臭い。ただカナダの企業が買おうと

    している話は本当らしい。

     

    黒い雪
     

    「一人にして悪かった」と頭を下げるマルコスに殴りかかる

    サルバドルの額に残る深い傷跡は父がつけたものであり、

    そのきっかけは...。さらに盗み読み得意のラウラが知って

    しまったおぞましいこの一家の秘密。ラウラは涙にくれる

    ものの、やはりその目には強固な意志=金を手にすること、

    が宿っていた気がします。
    アルゼンチンという国の閉鎖的な面や兄弟間の口では語れない

    ほど濁ったドス黒い憎悪の感情を見せつけられた気がしました。

    雪に広がる真っ赤な血が、唯一美しいと思えるものだというのも

    悲しすぎる事実です。それにしても車がボロい。

     

    黒い雪

     

    あんなボロい車が今でも使われているんだろうか。

     

     

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