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    • 2023.01.12 Thursday
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    セールスマン

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    セールスマン

     

    「セールスマン」

    原題:Forushande

    監督:アスガー・ファルハディ

    2016年 イラン=フランス映画 124分

    キャスト:シャハブ・ホセイニ

         タラネ・アリシュスティ

         ババク・カリミ

     

    国語教師エマッドは、妻ラナと俳優として舞台に

    立っている。2人の住むアパートが倒壊の恐れが

    あり、急遽引っ越しをするのだが、ある晩、ラナは

    侵入してきた男に襲われてしまうのだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 舞台に始まり舞台に終わる。

    人生はそういうものかもしれません。


    暴力が生み出すもの


    ファルハディ監督の映画では「彼女が消えた浜辺」

    (2009)「別離」(2011)と見ていますが、

    どちらも大好きな作品です。「彼女が消えた浜辺」

    では、一人の女性が姿を消し、仲が良かった友人、

    夫婦がそれをきっかけに険悪な雰囲気に変わっていく

    様をどこまでも青い空と、白い砂浜を舞台に描かれて

    しました。真相がわかった後に何もなかったかのように

    帰っていく彼らの表情がいろいろな思いを起こさせる

    ものになっています。

    「別離」は、娘の教育のため外国に移住したい妻と

    実父の介護のため国に残りたい夫との離婚話から始まり、

    雇われた貧しい介助人の女性に起きた悲劇から起こる

    人間模様が丁寧に描かれています。全ての決定権を

    持つ男性と地位が低い女性、また貧富の差を見せ、

    根本に横たわる宗教の厳しい戒律を印象づけています。

    それでも「別離」では若い世代に希望の持てるものに

    なっていました。
    「セールスマン」は、アーサー・ミラー原作の舞台劇

    「セールスマンの死」を演じる夫妻の舞台上の姿と

    私生活を重ね合わせて描いていきます。アパートの倒壊の

    危険があり、慌てて避難する住民たちの中にエマッドと
    ラナがいます。彼らは俳優仲間ババクの紹介で礼金なしの

    物件に入居するのですが、どうも隣人やババクが前の住人

    について口ごもるのです。おまけに荷物が1部屋に

    置きっぱなしであり、約束の日にも取りに来ません。それ

    でも夫妻は「この部屋で赤ちゃんができるかも〜」などと

    希望に胸を膨らませ笑顔で語り合い、笑い合うのです。

     

    セールスマン

     

    2人の笑顔はこれ以降に見られたでしょうか。
    エマッドが帰宅したと思い、オートロックを開け、

    玄関ドアを開けてシャワーを浴びようとするラナの姿は、

    次には病院に駆けつけるエマッドの姿へと変わります。

    何が起きたのか、それはあのドアとラナの怪我が物語るのです。
    たくさんの証拠があり、救出してくれた隣人の証言もあるから

    警察の届けて犯人を捜すのはたやすいことでしょう。しかし、

    ラナはそれを望まないのです。そこにはイスラム法

    「シャリーア」の存在とが重くのしかかるだけでなく、彼女

    自身の「恥」という気持ちがかなり深いと思う。犯人を

    見つけ出し復讐したいというラマッドと、実はすべてを忘れて

    なかったことにしてしまいたいラマの心が次第にすれ違い、

    その距離がどんどん広がっていく様を映像から感じ取ることが

    できます。

     

    セールスマン
     

    その隙間をうめようと舞台仲間の女性の息子を招いてご馳走を

    ふるまうラナに「カード(キャッシュカード)は出てきたのか?」

    とラマッドが尋ね、「出てこないけど引き出しのお金で買ったわ」と
    答えるラマ。無理やりなのかもしれないけれど、久しぶりの笑顔に

    あふれた食卓が凍り付く瞬間です。

     

    セールスマン

     

    つまりその金は例の男が置いて行ったものだということです。
    序盤はあんなに穏やかだったラマッドが、職場でも舞台でも

    家庭でも怒りっぽくなり、次第に暴力的になっていく。

    そして明るかったラナがいつも悲しそうな顔しか見せなく

    なっていく。一つの事件が夫妻をこんなにも変えるのかと

    思うのと同時に、ラスト付近に起きた悲劇は、真実を追求する

    ことがさらなる悲劇を生んでしまうことを実感します。いや、

    だからといって事件は許されないけれど。
    ラストにいつもと同じように舞台に立つためにメイクをする

    2人が映りますが、老いを感じさせるために少しずつ皺を描き、

    白髪を見せていく。このように実生活でもともに老いを迎えて

    行けるのだろうか。再び信頼し合い、笑い合えるのだろうか。

    そんなことを考えながら、暴力に対する暴力が生み出すものは、

    さらなる悲劇でしかなく、それは小さな範囲だったものが、

    取り巻く人々へ次々に波及していくのだと思ってしまいました。

     

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    密偵

    4

    JUGEMテーマ:韓国映画全般

     

    密偵

     

    「密偵」

    原題:The Age of Shadows

    監督:キム・ジウン

    2016年 韓国映画 140分

    キャスト:ソン・ガンホ

         コン・ユ

         ハン・ジミン

         鶴見辰吾

         オム・テク

         イ・ビョンホン

     

    1920年代、日本統治下の朝鮮半島で警務局に

    勤めるジョンチュルは、ヒガシ部長から義烈団を

    捕まえることを指示される。ジョンチュルは義烈団

    の隊長ウジンとの接触を試みるが..。


    <お勧め星>☆☆☆☆ ストーリー、映像、音楽、

    俳優すべてにおいて心にズシンと来る映画でした。

     

    密偵


    「前進あるのみ」


    第一次世界大戦直後ですから、日本でいうと大正時代の

    朝鮮半島では、朝鮮民族の中でも「親日派」と

    「抗日派」に分かれ、同じ民族でありながら、日々の

    暮らしのために、自分の地位のために、家族のために
    朝鮮総督府に服従する人々と、独立運動を繰り広げる

    人々とが争っていたわけです。
    冒頭、京城の骨董品を扱う商人に、仏像を持ちこむ

    義勇団のジャンオクは、あっという間に警察に包囲

    され、警務として働くジョンチュルの説得を受ける

    ものの、自らのこめかみを撃ち抜きます。2人は

    かつては幼なじみだったとはいえ、このように対立し、

    また同胞さえ売るような輩も存在するのです。この

    追跡シーンの映像は瓦屋根の上を走るジャンオクと

    それを追う多数の警察隊の姿が次々に映し出され、

    そのスリルは抜群。ちょっと日本の時代劇の「忍び」

    を思い出しました。

     

    密偵
     

    そしてジョンチュルはヒガシ部長から、義烈団の団長チェサン

    を捕まえるために、ウジンと接触するように指示されるのです。

    チェサン役はソン・ガンホ、ウジン役はコン・ユ、そして

    な、な、なんとチェサン役はイ・ビョンホン様でございます。

    出てくるシーンは少ないけれどさすがの存在感。
    またソン・ガンホ演じるジョンチュルがいつも通りとぼけた

    ような表情を浮かべながら、重要なシーンではまさに心に

    響く演技を見せてくれます。この映画ではヒガシ部長と話す時

    日本語を使うのですが、それがかなり流暢なんですよ。

    ヒガシ部長役の鶴見辰吾は、まあ、いつもの演技ですね。

    まさか彼が「3年B組金八先生」で杉田かおるとカップルだった

    なんて..ああこんなことは思い出すはずもないか。
    さてヒガシ部長は、表面上はジョンチュルを信じているように

    見えたものの、もう一人「ハシモト」と名乗る朝鮮人を同じ

    任務につけるわけです。つまり彼の監視役ですね。こいつが

    まことに嫌な奴でしてものすごく冷酷で残忍なのです。この

    映画の良さは、日本統治下の朝鮮半島で、一方的に朝鮮人が

    痛めつけられ、苦難の道を歩んだと日本人を「悪」と決めつけて

    はおらず、朝鮮人の中でも様々な人間がいたと示し、それを

    韓国で製作したということです。やけに自国を美化したり、

    相手国を貶めるような描き方は一切ありません。素晴らしい。
    ジョンチュルが同胞のためにと一肌脱ぐ計画を遂行する時の

    列車内のシーンは、もうドキドキものです。ジョンチュルを

    疑うハシモトと、ハシモトたちに見られないようにトイレに

    入って密談するジョンチュルとウジン。列車内も見事に再現

    されているし、そこで起きる銃撃戦もスピード感あふれるもので

    目が離せません。実は団員の中にも密偵がおり、ジュンチュルは

    その危険にも晒されつつ密偵をするわけですから、この

    騙し合いも見ものです。

     

    密偵

     

    目的地の京城駅での発砲、逃走シーンは全てが終わった静寂の

    中で天井から下を映し、床に横たわる団員と警官の血のりが

    それを赤く染めていく。

     

    密偵

     

    そしてその後、捕まったゲスンたちは酷い取り調べを受けます。

    このシーンはとても胸が痛くなりました。実際に起きたことだろう

    けれど、CIAがテロリストを拷問するのと、自分の祖国の人間が

    していた行為は、やはり受け止め方が異なるのだなと思って

    しまいます。やはり日本人なんだと実感するのです。辛い。
    ラストの木立の中を2人の男が別々の方向に向かって歩いて行く

    シーンは、まるで絵画のようで、流れる音楽も美しく、「第三の男」

    を彷彿とさせました。このような映画を日本で製作できるの

    だろうか。見終わってそればかり考えています。

     

     

     

     

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    侵入者 逃げ場のない家

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    侵入者

     

    「侵入者 逃げ場のない家」

    原題:Shut In/intruders

    監督:アダム・シンドラー

    2015年 アメリカ映画 90分

    キャスト:ロリー・カルキン

         ベス・リースグラフ

         ジャック・ケジー

         マーティン・スター

     

    末期がんを患う兄コンラッドと2人暮らしの

    アンナは広場恐怖症で10年以上家から出て

    いない。そして兄が亡くなり、その葬儀の日、

    自宅に3人組の強盗が侵入するのだった...。


    <お勧め星>☆☆ 全く予想外の展開にびっくり

    しますが、いまひとつ理解不能。


    あなたを許す。って誰を?

     

    <ネタバレしてると思う>


    「侵入者」という邦題なのに「逃げ場のない家」

    という副題がついていることに疑問を感じていたら

    内容を知って、ナットクデス。
    箱の中の古びた鍵を見つめるアンナが世話をして

    いるのは、末期のすい臓がんである兄コンラッド。

     

    侵入者

     

    この2人が異常に仲が良くて最初夫婦かと思ったほどです。

    なぜにこんなにつながりが深いのかは後で一応説明があります。
    そして兄が亡くなっても葬儀会場に行けないアンナは

    「広場恐怖症」という病なのです。単なる引きこもりではなく、

    玄関ドアから1歩たりとも足を踏み出すことができず、映画の

    序盤で無理やり出された時には失禁してしまうほど。唯一

    外部の人間と接するのは、1年間デリバリーを頼んでいる

    ダンで、この役はマコーレー・カルキンの弟ロリー・カルキンが

    演じています。兄にそっくりのルックスなので、
    「スクリーム4:ネクストジェネレーション」(2011)に

    出演した時もすぐにわかりました。

    「スクリーム」はわたしの心のバイブル...。「ハロー、シドニー」

     

    侵入者
     

    で、葬儀で留守だと思っていたこの家に3人組の強盗が侵入

    するものの、すぐにアンナがいることに気づき、アンナに

    金のありかを聞くわけです。

    はい、はい!ちょっといいですか!そこのテーブルの紙袋の中に
    入っていますよ。見えませんか?なぜに見えないふりをして

    だだっ広い家中をくまなく捜すんですか?

    もう困ったもんだわと思っていると、実はこの家凄いんです。
    アンナが強盗の一人に追いつめられ思わず首にフォークを

    ブスリとした時から、彼女の表情も変われば、ストーリーも

    一変します。

     

    侵入者

     

    この家にはあれこれからくりがありましてね、地下室に2人の

    強盗が入り込むと、な、な、なんと階段が平らになってしまう

    です。これは新喜劇のギャグみたい。

     

    侵入者

     

    でも滑り落ちるのではなく、壁と一体化するんです。そして

    次々とアンナが繰り出す技は、ボタン一つでドアが開閉でき

    たり、電気が点滅したり、監視カメラでその映像を見ながら、

    いたぶった相手の悲鳴を聞いたりと、脈略のない行動ばかり。

    簡単に言うと、強盗に入る家を間違えたんだけど、このアンナ

    とコンラッドの兄妹の残酷な行為が父親による虐待の産物だと

    しても、なぜアンナが「広場恐怖症」になったのかとか

    「変質者や犯罪者を拉致監禁し殺害すること」が「正義の行為」

    だと思うに至ったのか全くつながりません。
    始まりの姿から突然変わるストーリー展開を楽しむにしても、

    もう少しつじつまが合う内容にしたらよかったのになあ。

    惜しいなあ。それと拉致監禁場所で何が繰り広げられていたか、

    せめて回想シーンでもいれて見せてくれたらもっと怖くなった

    のになあ。ちょっと残念な映画です。

     

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    バリー・シール/アメリカをはめた男

    3

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    バリー・シール

     

    「バリー・シール/アメリカをはめた男」

    原題:American Made

    監督:ダグ・リーマン

    2017年 アメリカ映画 115分

    キャスト:トム・クルーズ

         ドナルド・グリーソン

         サラ・ライト

         E・ロジャー・ミッチェル

     

    1978年、TWA最年少のパイロットとして

    働くバリー・シールは、密輸に関わっていた

    ことを逆手に取られ、CIAから極秘の任務を依頼

    される。しかし彼はその任務と同時にメデジン

    カルテルの指示でコカインの密輸の手助けをする

    ことになる...。


    <お勧め星>☆☆ 伝説の犯罪者を軽いタッチで

    描いているのですが、わたしの好きな映画では

    ないです。


    歯が抜けても笑顔はバッチリ


    実在のバリー・シールは1991年、

    デニス・ホッパー主演「裏切りの代償」

    2016年「潜入者」で登場しているそうですが、

    「潜入者」のみ鑑賞済み。しかしかなりソフトな

    内容で、非情なシーンはほとんど見られず、かつ

    バリー・シールを演じたマイケル・バレを全然

    思い出せません。なのでこの映画で初めて

    バリー・シールという人物について深く知ることに

    なります。
    冒頭TWAのパイロットとして自動操縦をOFFにし、

    自ら操縦かんを握るシーンを見ると、やっぱりこの

    映画でも飛行機の操縦シーンはノースタントかと思

    ったら、やはりトムが操縦したと言う。
    急降下し、地面すれすれの低空飛行をするのもトムが

    自ら行ったのね。命知らずというか、いや他のシーン

    で亡くなったクルーもいるらしいから、笑っている

    場合じゃないと思うわ。

     

    バリー・シール
     

    パイロットをしつつ、ちょっと密輸を手伝っていたことを

    CIAのエージェント、シェイファーに知られ、「秘密工作」

    任務をほぼ無理やりに押し付けられます。引っ越しを余儀

    なくされても、身重の妻にブツクサ言われてもバリーは

    それはそれはすごく危険な状況を打破して、任務完了!

    白い歯キラーン。

    この映画では特にトムの笑顔が多く見られ、これがまた

    イラっとしてしまうのです。「口を閉じなさい」

     

    バリー・シール
     

    そしてCIAの任務を遂行中、逆にコロンビアのメデジン

    カルテルからコカインの密輸の手助けを、これまた有無を

    言わさずに押しつけられます。CIAの依頼で南米の革命兵士

    の写真を撮影し、その帰りにコカインをアメリカに密輸。

    バリーの信条は何なんだろう。
    またアメリカの大統領が変わり、南米への介入方針が変わると、

    バリーの仕事も変わっていく。けれどコカイン密輸は

    相変わらず行っていて、お金はもう隠す場所がないほど

    たくさん入ってくるんです。お金は入るけれど、バリーは

    どちらにとっても「コマ」の1つにすぎないと理解して

    いたのでしょうか。自慢の白い歯が折れるほどの暴行を受け、

    拘留されても家族の前では残った白い歯キラーンの笑顔を

    見せます。

     

    バリー・シール
     

    バリーの妻ルーシー役はサラ・ライト。テレビドラマ中心に

    活躍しているそうですが、どうもおつむが弱く思えてしまうのと、

    その弟JBがあまりにトロい。

     

    バリー・シール

     

    まあ、JBにしてもバリーにしてもその行く末がなんとなく

    明るく感じないのに、ものすごくノリがよく見ていられる

    のはポップな音楽のせいでしょうか。いやノリはよくなれ

    なかったな。最後まで面白いと思えなかった。映画に潜む

    アメリカという国への皮肉を感じ取ってしまったせいかも

    しれません。

     

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    犬ヶ島

    3

    JUGEMテーマ:洋画

     

    犬ヶ島

     

    「犬ヶ島」

    原題:Isle of Dogs

    監督:ウェス・アンダーソン

    2018年 アメリカ映画 101分

    声:コーユー・ランキン

      リーブ・シュレイバー

      ブライアン・クランストン

      エドワード・ノートン

      ボブ・バラバン

     

    ドッグ病が蔓延したメガ埼市では、市長が全ての

    犬を犬ヶ島へ追放すると宣言し、自身の養子アタル

    の警護犬スポッツが第一号としてゴミ島に追放される。
    ゴミの中で生き延びていた犬たちの前に、ある日

    アタルの乗った小型飛行機が降り立つのだった...。


    <お勧め星>☆☆☆☆

    犬好きかつウェス・アンダーソンの世界が大好きな人

    にはたまらない映画です。映像も音楽も楽しい。


    命には微妙なバランスがある


    ウェス・アンダーソン監督の映画は

    「ダージリン急行」(2007)、

    「ムーンライズ・キングダム」(2012)、

    「グランド・ブタペストホテル」(2013)と

    鑑賞しましたが、どれもまるでおとぎ話のような世界観

    と独特の色調を見せつつ、その中に深いストーリーを

    忍ばせていました。笑いの中に悲しみや恐怖が見え隠れ

    する、そんな感じです。
    この「犬ヶ島」に登場する人間や犬はすべて1つ1つ

    手作りで、900体もの人形を作ったとのこと。あの

    ふさふさと風になびく犬の毛は1本1本植えて行った

    のですね。それを動いている姿に見せるために気が遠く

    なるほどのカットを撮影したんだろうな..などと少しだけ

    考えたものの、そんなことよりストーリーがわくわく

    するんです。犬好きにとっては冒頭からぷんすかする

    内容で、メガ埼市の小林市長が反犬アレルギーを煽り、

    犬をゴミ島へ追放すると宣言します。この理由はドッグ病

    という謎の病気が蔓延し、犬たちがさまざまな症状を表し、

    人間に危害を加えるものも出てきたためで、科学党の

    渡辺教授が「有効な血清の存在」を主張しても一向に

    聞き入れられません。恐怖を煽ることは権力を一点に

    集中するのには最も有効な手段なのかもしれませんね。

     

    犬ヶ島
     

    そして追放される犬第一号は、市長の養子アタルの警護犬

    スポットなのです。青い瞳を見開いたまま、ケージはツーっと

    移動して島へ運ばれ、ドサッとゴミの中に落とされます。

    相変わらず見開いたままの青い瞳がその絶望感を物語るの

    です。

     

    犬ヶ島
     

    そして6か月後、チーフ、レックス、キング、デューク、

    ボスという5匹の犬がかつての名札をつけたまま登場。あ、

    チーフは野良犬なので名札はなしか。時々ノミだかダニが

    毛の間から動き回るのが見えるほどリアリティに富んでいます。
    その未来のないゴミ島に、突然1機の小型飛行機が降り立ち

    ます。それに乗っていたのがスポッツの飼い主のアタルで、

    彼は「スポッツを捜す」それだけの思いで養父の言いつけに

    背いて訪れたのです。

     

    犬ヶ島
     

    実は、というか当然のことながらドッグ病の蔓延にはからくり

    があり、自分の権力を盤石にするために、病気を利用、

    捕獲員業者、犬型兵器業者と裏でつながっている様が、

    こっそり描かれ、やーね、まったく。こんなことで命を粗末に

    扱うなんて人間の風上にも置けないわと人間として思って

    しまう。一方で市長に反対する愛犬派団体も当然存在する

    けれど、「敵」とみなした相手を徹底的に攻撃する手法
    に対抗するにはあまりにも微力すぎるのです。

     

    犬ヶ島
     

    映画内で高校の留学生のトレイシーが真実を追求しようと

    仲間と戦う姿を見ると、若い力の強さも感じます。真実を

    追求しようと思考することが大事なんですよね。見たままを

    信じ込んだり、自分の信じたいものだけに接することの

    恐ろしさをもっと知らないといけないし、想像力を働かせる

    努力を常にしないといけないと思う。
    犬ヶ島にいる犬たちはほぼ元飼い犬であり、人間のエゴで

    様々な虐待を加えられたものもいるわけです。力の弱い者に

    力を持った者が好き放題していいはずがない。
    中盤に登場するナツメグという元ショードッグはとても

    綺麗でやけに声が色っぽいと思ったら、

    スカーレット・ヨハンソンが担当していました。ナツメグと

    恋仲になるチーフとスポッツの意外なつながりなどとても

    よくできたストーリーだし、スポッツとチーフがそれを

    知ったときに流す涙(犬は涙を流すのかなあ)がまことに

    リアルで胸がきゅっと痛くなります。そしてラストを迎えた時、

    こんな世界になったらいいなあと思うばかりでした。そうそう

    日本が舞台なので相撲や和太鼓、能などが見られ、言語も

    日本語と英語が入り乱れているものの全く違和感がなく、

    犬語を混ぜても(あるのか?出せるのか?)理解できるような

    気がしてしまいました。

     

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    ナイスガイズ!

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ナイスガイズ!

     

    「ナイスガイズ!」

    原題:The Nice Guys

    監督:シェーン・ブラック

    2016年 アメリカ映画 116分 PG12

    キャスト:ラッセル・クロウ

         ライアン・ゴズリング

         アンガーリー・ライス

         マット・ボーマー

         マーガレット・クアリー

     

    娘ホリーと暮らす私立探偵マーチは、アメリアと

    いう女性の居場所を捜す仕事を引き受ける。しかし

    その彼を突然ヒーリーという示談屋が襲い、さらには

    アメリアに関わる人々が連続して不審死を遂げている

    ことを知るのだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 練ったストーリーと、ポップな

    音楽、緩いアクションがとても楽しいです。


    You will never be happyのneverが消えた


    1987年映画「リーサルウェポン」の脚本を担当した

    シェーン・ブラックが監督。
    1977年のロスアンゼルス。日本で言うアメ車、

    アメリカだから国産車が、排ガス規制もなく、ガソリンを

    垂れ流しながらバカでかい車体でぶいぶい走っていた

    時代です。建物も街並みも当時の雰囲気(1979年に

    行った時こんな感じだった..と思う)を醸し出し、ポップな

    音楽に乗って映画が始まります。

    オープニングのシーンは必見。

     

    ナイスガイズ!
     

    さて認知症気味の老人の依頼を受け、ほぼ騙すように

    して金を受け取っている私立探偵マーチ役は

    ライアン・ゴズリング。本当に嗅覚を失っていて、嗅覚の

    ない探偵と自虐的に言うけれど、そのせいで妻を亡くした

    悲しい過去がさらりと語られます。それを話すのが、

    酒浸りのマーチを支える賢い娘ホリー。マーチはいかさま

    まがいの仕事をしているけれど、根は正直なのも見ている

    うちに伝わってきます。

     

    ナイスガイズ!
     

    一方、マーチが「わたしの姪は事故死したけれどその3日後に

    姿を見たから彼女を捜して」と頼まれたのに、アメリアを

    捜している人物をアメリア自身がぶちのめして!と依頼した

    ことから彼の元を訪れるのが示談屋ヒーリー。この老人が

    捜している姪の姿が見えた部屋がアメリアの部屋だったことで

    アメリアを捜していると思われたらしい。ヒーリー役は

    ラッセル・クロウ。この映画では目いっぱいからだを張って

    演技しているんだけれど、その体がめっちゃ重いので、ド派手な

    アクションなはずが何とも緩いものになっています。

    これはこれで好きだけど。
    ヒーリーに腕をへし折られたものの、その後「アメリア捜し」

    ということで何者かに襲われたり、行く先々に死人がいたりと

    謎は深まるばかりなのです。そこで活躍するのは、13歳なのに

    深夜パパと外出して車も運転し、ポルノ映画も見てしまう

    マーチの娘ホリーです。酒でボケたマーチの頭をカバーすべく

    切れ味抜群の頭脳を発揮するし、危険予知能力にもたけています。

    すごいぞ、ホリー!それでいて悪者の命を奪うことを止めると

    いうなかなかの正義感の持ち主なのです。

     

    ナイスガイズ!

     

    小さな悪を叩いても大きな悪は潰せないということを彼女の

    行動で体現しているのかもしれません。ストーリーとは

    ほとんど関係ないシーンであのライアン・ゴズリングが、

    「ラ・ラ・ランド」のセブが、ボケル、ボケる。いっぱい

    出てくるからいっぱい笑っちゃって〜!そう、イケメンと

    いうのはこのように3枚目も演じなければ演技派などと
    言えないのです。いつまでも「俺、主役だから」じゃノンノン。
    ストーリーの元にあるサスペンス要素はしっかりラストに

    回収され、なぜ死んだはずの姪がいたのか、とか、この

    殺し屋たちは誰が雇ったのかとかちゃーんと理解できます。
    あと5年もすれば、日本の電気自動車だらけに変わる、と

    マーチが映画内でつぶやいていたように、アメリカの自動車

    産業は一挙に斜陽化し、デトロイトは寂れた街となり、「エコ」

    な車がアメリカ国内を走り回るようになったんだよなあ。

    モーターショーで賑わった時代を懐かしむ人々の気持ちも

    ちょっぴりわかる映画でした。難しいことは考えずこの

    ナイスガイズコンビの姿を楽しむのが一番です。
    続編が絶対に見たいな。

     

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    もういない

    2

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    もういない

     

    「もういない」

    原題:Assassinee

    監督:ティエル・ビニスティー

    2012年 フランスTV映画 93分

    キャスト:パトリシア・カース

         セルジュ・アザナヴィシウス

         マリエ・ヴィンセント

     

    娘エバの20歳の誕生日パーティーの日、

    プレゼントの車を用意したものの、娘だけが

    戻ってこない。心配した母キャシーが警察に

    向かうと、農場で女性の遺体が発見されたと

    いう報せが入るのだった..。


    <お勧め星>☆☆半 ドキュメンタリータッチで

    被害者家族の悲しみ、苦しみをリアルに描いた

    映画です。


    残された者を大切に


    真っ赤のトヨタのビッツが届けられる家。あの車は

    この家の娘エバの誕生日プレゼントだとすぐに

    わかります。ただ「もういない」という題名から、

    この車をもらうべき人間は、つまりエバはここに

    現れることはないのだと確信するのです。

     

    もういない
     

    しかし映画内ではパーティーを楽しむ人々が嬉々として映り、

    母キャシー、息子ロラン、別れた夫リチャード、隣家の

    エリックたちの笑顔が見られる一方で、農場の土管の中

    から女性の脚が2本見えています。この2つがいつ

    つながるか、それから犯人は...。
    エバが運ばれた病院で持ち物から彼女と確認し、動揺の

    あまり財布を落とし、それをマスコミ関係者に拾われて

    しまうキャシー。さらに帰宅すると娘の部屋は警察に

    よって立ち入り禁止になっています。自分の家なのに入れない

    娘の部屋があり、自分の娘なのに会うことすらできません。

    そして財布から娘の身元がバレ、大々的にニュース報道される。
    事件が起きるたびにその被害者家族が命を失った悲しみ

    以上に周囲の好奇の目にさらされ、騒ぎ立てられ、

    知られたくもない過去を探られる。逆に被害者家族が

    知りたい捜査の情報は一切耳に入ってこない。
    幾重もの苦しみを背負わされるのはフランスも日本も

    全く変わりないのだと実感します。
    そしてストーリーは、容疑者が浮かび上がるものの

    真犯人は一向に捕まらず、キャシーは元夫リチャードと

    互いを責めあい、さらに互いに自身を悔いる日々を送り

    続ける姿が映ります。そこに「生きている人々」の存在が

    入り込む余地があるのだろうか。隣家のエリックまでも

    容疑者となると、怒りはエリックにぶつけられていきます。

    彼らが溜め込んでいく怒りのエネルギーをどうやって

    昇華できるのかと見ていてとても辛くなるのです。
    さらにキャシーは、自らが全てを知っていると思っていた

    エバが幾つも秘密を抱えていたことを知ったときに初めて、

    彼女はエバに対し、過干渉すぎたことやエバの価値観を

    認めなかったことに気づくわけです。いや、これは

    キャシーを責められないと思う。夫が女性を作って家を

    出て新しい家族を作っている状況では、子どもだけが

    生きがいになるし、またエバが文武両道でかつ美人だった

    から尚更エネルギーを注いでしまったんだろうなあ。決して

    息子ロランをおろそかに扱ったとはいえないけれど。
    そして究極の選択を迫られた時、キャシーはやっと再生の

    道を歩み始めるわけです。しかし実際に事件に遭った人

    たちでこのように前が向けた人はどれだけいるのだろうか。

    いつまでも立ち直れず、そこにい続ける人々だってたくさん

    いるんじゃないだろうか。見終わって深く考えてしまいました。

     

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    ミッション・インポッシブル3

    4

    JUGEMテーマ:アクション映画全般

     

    ミッションインポッシブル3

     

    「ミッション・インポッシブル3/M:i:3」

    原題:Mission Impossible 3

    監督:J・J・エイブラムス

    2006年 アメリカ映画 126分

    キャスト:トム・クルーズ

         ミシェル・モナハン

         フィリップ・シーモア=ホフマン

         ビング・レイムス

         ビリー・タラダップ

         エディ・マーサン

         サイモン・ペッグ

     

    ナースのジュリアと婚約したイーサンに、かつての

    教え子リンジー奪還の任務が与えられる。リンジー

    解放には成功したものの、彼女の頭に埋め込まれた

    爆薬が破裂し、彼女は死亡。さらに潜入先の

    デイヴィアンについての情報は得られず、
    イーサンはIMF局長から責められるのだったが...。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 3作目にしてベンジー登場。

    そしてやや複雑なストーリーとアクションがうまく

    融合しています。


    「無線を切って」

    リンジーの言葉を考えろ


    オープニングが素晴らしいんです。何がって、それは

    映画の終盤のシーンであり、まさに絶体絶命のピンチ!!

    10までカウントして「ズドン」。そしてあのテーマ曲

    が流れます。これぞスパイ映画の始まりにふさわしい。
    「1」ではブライアン・デ・パルマ監督らしいサスペンス

    要素が強く、アクションより謎解きに重きが置かれて

    いましたが、「2」ではジョン・ウー監督になり、もう

    フルスロットルのアクションシーンの連続です。その

    代わりにストーリーはものすごく単純で、個人的には

    このままの路線で行ったら、飽きられてしまったのでは?

    と思ってしまいます。そして「3」はJ・J・エイブラムス

    監督に変わり、ストーリーもアクションも十分堪能できる

    映画に仕上がっています。

     

    ミッションインポッシブル3
     

    いつの間にやらナースのジュリアと婚約し、イーサンが鼻の

    下を伸ばして真っ白い歯キラーンで笑っていると、

    「使い捨てカメラ」でミッションが届けられるのです。

    「2」で恋仲になったナイアとはもう終わってしまったのね、

    などとどうでもいいことを考えてしまう。
    それは別としてミッションは、ブラックマーケットのボス、

    デイヴィアンに捕まったかつての教え子リンジー奪還と

    デイヴィアンの情報入手なのですが、なんとか彼女を解放した

    ものの、頭に埋め込まれた爆薬が破裂して彼女は死亡するし、

    デイヴィアンについての情報は全く得られなかったことで、

    IMF局長に思いきり責め立てられるのです。だってもへった

    くれもない、それが任務だ!ちょっとパワハラじゃないの?

     

    ミッションインポッシブル3
     

    ところがリンジーは亡くなる前にイーサン宛てに謎のハガキを

    送っていたのです。ということで勝手にバチカンに乗り込む

    イーサンのチームは、イーサンの地上すれすれ中吊りアクション

    あり、ぺりぺりマスクあり、大爆発ありで派手の一言に尽きます。

    チームの紅一点ゼーンの真っ赤なドレスのデザインは衝撃的です。

    1回パンツが見えちゃったな。

     

    ミッションインポッシブル3
     

    そうそうイーサンがデイヴィアンのマスクを被り、彼になり

    すまして排水溝内を移動するけれど、それは

    フィリップ・シーモア・ホフマンが演じているから、どうしても

    動きがノロイのです。そこは笑ってしまいました。

     

    ミッションインポッシブル3
     

    さらに舞台は上海に移り、高層ビルから高層ビルへの飛び移りに

    振り子の原理が使われるのは、「ゴーストプロトコル」の

    ドバイでのシーンの原形だし、今作で始めて登場する

    サイモン・ペッグ演じるベンジーが2Dナビでイーサンを誘導

    するのは、「フォールアウト」の原形かしら。一番感動?したのは、

    遂にトム走りが見られたことでしょうか。
    それにしてもジュリアがナースで良かったし、ジュリアが一瞬で

    銃の扱いを覚えられる勇敢な女性で良かった。

    あーめでたしめでたし。

     

     

     

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    ハッピーエンド

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    ハッピーエンド

     

    「ハッピーエンド」

    原題:Happy End

    監督:ミヒャエル・ハネケ

    2017年 フランス=ドイツ=オーストリア映画 

    107分

    キャスト:イザベル・ユベール

         ジャン=ルイ・トランティニヤン

         マチュー・カンビッツ

         ファンティーヌ・アルドゥアン

         フランツ・ロゴフスキ

     

    母親が薬物過剰摂取で入院したエヴは離婚した

    父親トマの家に住むことになる。彼の実家は裕福で

    あり、はた目には幸せそうに見えるのだったが、実は

    家族それぞれが心に秘密を抱えていた。


    <お勧め星>☆☆☆半 ラストがいかにもハネケ監督

    らしいという感じでしたが、深く深く考えさせられ

    ました。


    無関心が悲劇を招く


    ミヒャエル・ハネケ監督映画でこれまで見たものは
    「ベニーズ・ビデオ」(1992)

    バーチャルの世界にのめりこんだ少年の歪んだ心 ×
    「ファニー・ゲーム」(1997)

    見終わって嫌悪感と不快感しか残らない ×
    「隠された秘密」(2005)

    血も凍るような復讐の真相は? 〇
    「白いリボン」(2009)

    純粋無垢の象徴である白いリボンが与える抑圧 〇
    「愛、アムール」(2012)

    唯一見終わってしみじみと感動します 〇
    と個人の好みで〇×をつけてみましたが、人間が不快に

    感じることが、まだ生への希望を抱いている証と監督

    自身が言うだけあって「不快」「嫌悪」を見る側に

    これでもかと見せていくのがまことにうまい。だから
    2度と見たくない映画も出てくるわけです。

    この映画は冒頭からスマホで自分の母親を動画撮影

    しながら、誰かとチャットしている少女がおり、その後

    飼っているハムスターのショッキングなシーン、そして

    母親の救急搬送、入院まで進んでいくのです。

     

    ハッピーエンド
     

    この不穏な空気感は主人公の少女エヴが、離婚した父親で、

    富豪の息子であり医者をしているトマの家に向かってからも

    くすぶり続けるのです。最初誰かわからなかったけれど、

    トマは妻アナイス、息子ポールがいるにもかかわらず
    チェリストと不倫をし、卑猥なチャットをしています。この

    内容ももう字幕を追うのが嫌になるほどのもの。ああ、この

    トマは根っからの女好きかつ変態なのだろうと思ってしまう。

     

    ハッピーエンド
     

    一方トマの姉で建設会社の社長アンヌ役はイザベル・ユベール。

    出演した映画では「愛、アムール」よりも「アスファルト」

    (2015)の方が未来への希望が強く感じられてわたしの

    大好きな映画の1つになっています。
    アンヌは父ジョルジュが母の介護のため引退した後家業を

    継いでおり、バリバリのやり手なんですが、息子ピエールは

    どうもヘタレで、彼女の過干渉ゆえか酒浸り。そうなんです。

    エヴが初めてこのロラン家の食卓の前に座った時、みなが

    自分の世界中心に動いていて、家族であっても相手への関心が

    ほとんどないつまり理解しようとする気持ちすらないことに

    気づくのです。唯一ジョルジュだけが関心を持っているよう

    だけれど、彼は認知症ですぐに忘れてしまう。

     

    ハッピーエンド
     

    ジョルジュはその後車の事故を起こし、車いす生活になると、

    自殺願望を抱くようになるのです。それはトマの浮気を知って、

    自分の居場所がなくなることに絶望し自殺を図ったエヴが

    体験した「死」と共振し、二人は心を通わせたかのように

    思えるのですが、いやいやエヴは本心はsns上の匿名の誰かに

    しかそれを明かしません。ここが複雑なところなのです。

    誰かが共感を持ち、この家族が未来に向かって明るく再出発!!

    などというありきたりの展開にならないのはわかっていた

    ことかな。
    ロラン家があるカレーという街は美しい場所であるけれど、実は

    移民、難民(イギリスへ密入国するための拠点)問題を抱えて

    いることに、彼らは一切関心を持たないのです。持っていない

    ことがわかるかのようにそういうシーンはほとんど映りません。

    アンヌが経営している建設会社の作業員たちの多くが移民であり、

    経済的に困窮していることは、死亡事故の当事者の姿を見て

    一目瞭然なのに、法と金銭で解決し、会社が盤石であること

    しか興味がない。それは自分の家族に対しても全く同じで、

    逆に言うと、家族に関心のない者が他人に関心を持つはずも

    ないのです。
    ラストに突然スマホを取り出し、撮影を始めるエヴの姿と、

    慌てて走って行くアンヌとトマの姿に未来への希望が見えた

    でしょうか。

     

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    ミッション:インポッシブル2/M:I-2

    4

    JUGEMテーマ:アクション映画全般

     

    ミッションインポッシブル2

     

    「ミッション:インポッシブル2/M:I-2」

    原題:Mission:Impossible 2

    監督:ジョン・ウー

    2000年 アメリカ映画 123分

    キャスト:トム・クルーズ

         ダグレイ・スコット

         ダンディ・ニュートン

         ヴィング・レイムス

     

    病原菌キメラとその治療薬ベレロフォンが略奪され、

    イーサンは盗みが得意なナイアをチームに加えて

    その回収任務が課せられる。


    <お勧め星>☆☆☆ アクションが十分すぎるほど堪

    できるけれど、スパイ物に真剣な恋愛は不要と実感。


    15分ごとにアホっぽい笑顔


    1に続いて2を鑑賞。監督がジョン・ウーに変わり、

    雰囲気が完ぺきにアクション映画になったと聞いて

    いましたが、まさにその通りです。元々のストーリーは

    いたってシンプルで、盗まれた病原菌とその治療薬を

    取り返すミッションに、盗んだ犯人ショーンの元カノで、

    国際指名手配中の盗人ナイアを利用するだけの話なのです。

     

    ミッションインポッシブル2
     

    が、しかーし、イーサンはこのナイアに接触した途端、いや

    一目見た途端にイチコロ。イーサンホイホイにかかったように

    もう、く・ぎ・づ・け。最初から鼻の下が伸びまくっています。

     

    ミッションインポッシブル2
     

    そのナイアの元恋人で悪人ショーンに

    「15分ごとにアホっぽい笑顔を浮かべている」

    とまで言われる始末。これがまさしく図星なので思わず

    吹き出してしまいました。
    入り組んだ人間関係はないし、善悪がはっきりしているし、

    この顔はぺりぺりと剥けるだろうと思っていると案の定、

    ぺりぺりなんだなあ。何回ぺりぺりはあったかしら。

    冒頭のロッククライミングシーンから、トムのための映画と

    わかり、そしてヘリでビルの屋上の開閉扉から侵入し、

    ロープで降りて、床面すれすれで水平に耐えるシーンは

    1でも見られました。さらにそのビルからスカイダイビング

    するシーンは最新作では成層圏ギリギリからのダイビングと

    スケールアップ。まさしくトムの成長の軌跡を見るようです。

    そうそう瞳ギリギリでとがったもの(今回はナイフ)が止まる

    シーンも1にあったなあ。

     

    ミッションインポッシブル2
     

    終盤のバイクアクションは、これを真似したら公道では絶対に

    捕まるような技を繰り出します。走るバイクに張り付いて

    (座っていない)銃を撃ちまくるなんてちょっと凄すぎる

    じゃないの。爆発シーンも幾度となく見られ、とにかく派手です。

     

    ミッションインポッシブル2

     

    さらに素手での格闘シーンもラストなんてなぜに武器を捨てて

    タイマン?だから危険になるんじゃないかと思いつつ、鼻血

    しか出ず、相変わらずきれいなイーサンの顔には白い歯がキラリ。
    ラストはのんびりハッピーだからよいのかしらね。アクション

    シーンでスロー映像が多いのはこの時代の流行もあったようで、

    今見ると結構ダルく感じるのは仕方ないですね。

    さて次は3を見るとしよう。

     

     

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