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    • 2023.01.12 Thursday
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    修道士は沈黙する

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    修道士は沈黙する

    出典:IMDb

     

    「修道士は沈黙する」

    原題:Le Confessioni

    監督:ロベルト・アンドー

    2016年 イタリア=フランス映画 108分

    キャスト:トニ・セルビッロ

         コニー・ニールセン

         ピエルフランチェスコ・ファビアーノ

         マリ=ジョゼ・クローズ

         モーリッツ・ブライブトロイ

     

    ドイツ、ハイリゲンダムでG8財務相会議が開かれる。

    そこに招待された修道士はサルスは、会議前夜に

    ロシェ理事から「告解したい」と呼び出されるが、翌日

    彼が亡くなっていたことから、疑惑の目を向けられるの

    だった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 沈黙を貫く神父の姿と彼が放つ

    いくつかの言葉が心に残ります。


    犬は主人を選ぶ


    この映画が劇場公開スルーになったのは、もちろん内容が

    地味であることも影響しているだろうけれど、もしかしたら

    現在のG8財務相会議の核心をついているからじゃないかと

    疑ってしまうような思いを抱いてしまいます。
    本来富と無縁の人々を救うための会議であるはずが、国力の

    強い国々が勝手にG8と言って集まり、世界市場の動向のみを

    気に掛ける、つまりはなから貧しい国の発展など考えても

    いないという姿が描かれています。

     

    修道士は沈黙する
    出典:IMDb

     

    このG8財務相会議になぜか絵本作家セスやミュージシャンと

    共にカトリック教会の修道士サルスが招かれるのです。空港に

    降り立った時から場違い感を漂わせます。

     

    修道士は沈黙する

    出典:IMDb

     

    彼を招待したのは、実はIMF専務理事のロシェで、彼は会議

    前日の晩に「告解したい」とサルスを部屋に呼び出すのです。

    告解は絶対に他言しないものだし、告解した人は神から赦しを

    得ることができるというカトリック教会の儀礼の1つです。
    教会の暗い狭い部屋で口元だけ見える神父に告解する市民の姿は

    映画でしばしば映りますね。告解したらなんでも赦されるん

    だろうか。

    いやそもそも「洗礼」を受けていなければならず、家に仏壇と
    神棚がある家に育った私にはまずそこから入らないといけない

    ようです。仏壇がありお盆、お彼岸にはお寺や家で供養を行い、

    毎朝神棚の水を入れ替え、クリスマスにはジングルベルを歌って

    ケーキを食べるってどれだけ節操がないんだろう。最近では

    ハロウィンまで加わったからな。ハロウィンで騒ぐなら、

    お彼岸にもぼた餅を食べ合って騒げばいいのに。

    思い出すと小学校低学年の頃までは元旦に登校し、校長先生の

    お話を聞いていた気がします。あれは何の話をしたのか全然

    覚えていないし、いつなくなったのかも覚えていません。

     

    修道士は沈黙する
    出典:IMDb

     

    さてサルスが到着し、各国の大臣の集合写真を撮影すると、

    夜はロシェの誕生日パーティーなんです。ところがロシェが

    どうも不機嫌。それからロシェがサルスを呼び出し、

    「告解をしたい」という話をするわけです。その辺りから

    シーンは切れ切れとなり、ロシェの部屋から出てくるサルスを、

    セスがたまたま見かけてから、彼を探るために部屋ののぞき穴を

    作り、見始めるのです。そうそうサルスの行動ではなく部屋から

    聞こえてくる鳥の声を奇妙に感じてのぞき始めたんだった。

    セスの眼の大アップはサスペンス映画の定番のようなもので、

    ここからどんなことが起きるのかわくわくしてきます。
    案の定翌朝、ロシェはビニール袋をかぶった状態で亡くなって

    います。

    これは自殺なのか、他殺なのか。
    8か国の財務大臣は誰がどの国の人かは辛うじてイタリアと

    カナダがわかったくらいでしょうか。それでも彼らがロシェの

    絶大な力に支配されていたことが手に取るようにわかります。

    そのロシェが亡くなった途端、彼が最後に会った人物がサルスで

    あり「告解をした」ということで、その内容がとても気になり、

    疑心暗鬼になっていく姿は醜くもあり滑稽でもあります。
    誰一人としてロシェの死を悼むわけではなく、その死が、市場に

    及ぼす影響だけを気にする大臣たちの姿が、あまりにも露骨に

    描かれ、彼らの頭の中は、世界経済を牛耳っているという自覚が

    強すぎるのだと痛感します。そんな人たちに貧しい国のことなど

    考えられるはずもないのです。
    冒頭にロシェが書いていた数式が終盤に出されると、各国大臣が

    どよめき、その周りをドイツの大臣が連れて来た犬がものすごい

    勢いで回ります。これは混とんとした世界の中で、彼らは実は

    取り残されているということを意味しているのではないかとも

    思うのです。
    ロシェがICレコーダーに録音していた変わった鳥の声やこの犬が

    効果的に使われ、それらが何を意味しているのかもう一度見直して

    考えてみたいと思える映画でした。

     

     

     

     

    

     

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    未来を乗り換えた男

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    未来を乗り換えた男

    出典:IMDb

     

    「未来を乗り換えた男」

    原題:Transit

    監督:クリスティアン・ペッツォルト

    2018年 ドイツ=フランス映画 102分

    キャスト:フランツ・ロゴフスキ

         パウラ・ベーア

         ゴーデハート・ギーズ

     

    ファシズム体制下のドイツ。ヴァイデルという作家に

    手紙を渡すように依頼されたゲオルグは、彼の死を

    確認し、遺品を持って貨物列車に乗り込む。そして

    マルセイユにたどり着いたゲオルグは謎の女性を何度も

    見かけながら、自分の身を守るためにヴァイデルに

    なりすまし、メキシコへ亡命することを計画するのだった。


    <お勧め星>☆☆☆半 結構ややこしい内容ですが、現代の

    問題に置き換えて考えると納得できるものになっています。


    自分でなくてよかったという恥


    監督は「東ベルリンから来た女」(2012)

    「あの日のように抱きしめて」(2015)の

    クリスティアン・ペッツォルトです。

    「東ベルリンから来た女」は、ベルリンの壁崩壊前の

    東ドイツを舞台にした小児科医バルバラの話で、医師と

    してのモラルと自分の将来を天秤にかけざるをえなかった

    女性の葛藤が描かれていました。秘密警察シュタージの

    監視対象に対する行為は、身体精査などというおよそ

    非人道的なものが存在し、恐怖しか感じません。
    そして「あの日のように抱きしめて」はナチス強制収容所で

    顔に大けがを負い、再生手術を受けた女性が、彼女に

    気づかない自分の夫の態度に驚きつつ、それを受け入れて

    いくもので、自分の存在をアピールする妻とひたすら

    それから目をそらそうとする夫との駆け引きは見ごたえが

    あります。
    この「未来を乗り換えた男」はファシズム体制下のドイツ

    から逃れてきたゲオルクという男性が主人公です。

    彼は反体制派の仲間から作家ヴァイデルへの手紙を託される

    のです。
    ずっと疑問なのは、ゲオルクがなぜIDを持っていないのか

    とか「ドイツ人と占領軍の掃討作戦」は何に対して行われる

    のかとか、そもそもこれはいつの時代の話なのかということ

    です。通信手段は固定電話や手紙なのに、道路を走っている

    警察車両は現代のもの。これが最後まで違和感として漂い

    続けるものの、中盤あたりでゲオルクが可愛がっていた子供と

    その母が姿を消し、その部屋に数えきれないほどの難民らしき

    人たちがいるのを見ると、これはナチス時代の迫害と今

    ヨーロッパで起きている難民排斥の波と被るのではないかと

    感じます。

    その話は別にして、ゲオルクはヴァイデルの死を知らされ、

    彼の遺品を半ば押し付けられるのです。そしてケガをした

    ハインツと貨物列車に乗り込みマルセイユにたどり着くと、

    彼は亡くなり、ゲオルクは辛うじて追手から逃れることが

    できます。彼は仲間の指示通りハインツの家をたずねると、

    そこには息子と耳が不自由な母親が住んでいる。

     

    未来を乗り換えた男

    出典:IMDb

     

    この二人がドイツ人の風貌ではないのです。ここはとても

    ややこしいです。

     

    未来を乗り換えた男
    出典:IMDb

     

    さらに街では同じ女性に数回出会い、2回は誰かと間違えられ

    肩に手をかけられます。この女性は誰なのか?
    それを知った時には、ゲオルクは身の危険を感じてヴァイデルに

    なりすまし、メキシコへ渡航する手続きを進めています。

    マルセイユ→メキシコ→アメリカへと乗り継ぐらしい。そのときの

    メキシコ領事の

    「捨てられた者と捨てた者とどちらが先に忘れる?」

    という問いも意味深ですね。ゲオルクだけ亡命することを知り、

    ハインツの息子は二度と会おうとしません。またヴァイデルは妻に

    絶縁状を送られていたらしいのです。

     

    未来を乗り換えた男
    出典:IMDb

     

    そして例の女は医者のリヒャルトと愛人関係にあるのに、ゲオルク

    にも気のあるそぶりを見せます。

    ゲオルクが彼女のためのビザ申請に成功すると(これは成功と

    いうのかしら)酒場で二人は大喜びするのです。

     

    未来を乗り換えた男
    出典:IMDb

     

    そのとき周りにいた人たちの冷たい視線は

    「不幸な者は他人の幸福を嫌う」

    というナレーションとぴったりなんです。また映画内でゲオルクが

    ヴァイデルになりすまして取り締まりから逃れた時に他の女性が

    連行されますが、そのときホテルにいた人々がみな下を向くのです。

    「自分でなくてよかった」と考えたことを恥じているという

    ナレーションがここで流れ、その通りだと感じます。
    最終的にゲオルクが決断したことは、タクシー内で例の女性マリーに

    聞いた言葉が引き金でしょうが、全て振り返ってもあの選択しか

    ありえなかったと思うのです。ゲオルク、リヒャルド、マリーの
    胸の内を深く考えてしまう映画でした。

     

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    スケア・キャンペーン

    4

    JUGEMテーマ:Horror

     

    スケア・キャンペーン

    出典:IMDb

     

    「スケア・キャンペーン」

    原題:Scare Campaign

    監督:コリン・ケアンズ

       キャメロン・ケアンズ

    2016年 オーストラリア映画 76分

    キャスト:ミーガン・ワーナー

         イアン・メドウズ

         オリヴィア・デヨング

         ジョシュ・クォン・タート

     

    「スケア・キャンペーン」というホラー系ドッキリ

    番組を制作しているマーカスは上司から視聴率アップ

    を要求される。彼はスタッフと共に廃墟となった

    精神病院で撮影を開始するが...。


    <お勧め星>☆☆ 何度も繰り返されるどんでん返しで

    ラストが読めてしまいます。


    あんたがそれを言えた口ではない


    映画の終盤に「スケア・キャンペーン」のチーフ、

    マーカスが

    「残酷さで気を引くだけで創造力のかけらもない!」

    「トリックや意表を突く展開は!」と叫ぶのですが、

    あなたの口からその言葉を出されましても...
    と思ってしまいます。
    視聴率至上主義のアホが作る「スケア・キャンペーン」

    という番組はそれなりに人気があり、長寿番組らしい。

    オープニングの廃病院のシーンはゾクリとしました。

    だいたい夜の病院とか学校とかお墓とかそれが舞台に

    なっただけで怖いというものです。そこでターゲットに

    リアルなホラー系ドッキリを仕掛けるのです。

    アクシデントが起きてこそ、視聴者の好奇心をくすぐる

    らしい。
    はっきり言って「とても悪趣味です」
    しかしyoutubeなどでも趣味が悪くて目をそむけたく

    なるような動画に限って、再生回数が何十万回だったり

    するから、人間の好奇心の強さに際限はないのだと思って

    しまいます。

    最近では一般の人が事件や事故や災害の現場を撮影し、

    その動画をテレビ局などが買い取って放映しているので、

    それこそ「ナイトクローラー」(2014)の主人公を

    「悪趣味極まりない」と言い切ってしまえない状況に

    あると思っています。現場の動画を見たことで何か得を

    することがあるのでしょうか。危険を知らせる意味で

    あれば目的も存在しますが、何度でも繰り返し映る事故や

    事件の現場の動画は人間としての良心で敢えて採用しない

    という選択肢もあっていいのにと思うことが多いです。

     

    スケア・キャンペーン
    出典:IMDb

     

    さて、この「スケア・キャンペーン」より人気を博しているのが、

    「マスクフリークス」というネット上で本物の殺戮ショーを

    繰り返すもの。ああ、かつて「スナッフフィルム」が話題に上った

    時期がありました。それが本当に存在するのかどうか、唯一

    「ウクライナ21」という事件だけがネット上に流出した映像だ

    と言われています。こんなもの見たくない。
    でもマーカスはなんとか起死回生を図りたいわけです。そこで

    新人女優?アビゲイルを採用し、元カノ?今カノ?のエマとともに

    精神病院跡で撮影を開始します。

     

    スケア・キャンペーン

    出典:IMDb

     

    スケア・キャンペーン

    出典:IMDb

     

    エマはさすがにこの仕事もマーカスにも「限界」を感じて

    いるのに、撮影現場でイチャコラべたべたする間柄で、

    どっちもどっちという感じ。

     

    スケア・キャンペーン
    出典:IMDb

     

    そして撮影をしているとなんとターゲットが襲ってくるんですね。

    ぎゃ〜!安心してください。この映画では何度でもどんでん返しが

    あると書いたじゃないですか。

    ところでアビゲイルの手元をよーく見ると彼女は何かのサイトを

    見ています。はいはいわかっちゃいましたよ。さあ、それがいつ

    始まるか。短い映画ですのでちゃちゃとしていますよ。そして

    結構みんなどん臭いのです。
    ラストだってちょっと賢かったらわかってしまうのになあ。
    わたしからのアドバイス。

    「逃げられるときに逃げておこう」

    「ちょっと確認、見捨てておけない、は禁句」

    これってホラーの定番じゃん。

     

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    1922

    4

    JUGEMテーマ:Horror

     

    1922

    出典:IMDb

     

    「1922」

    原題:1922

    監督:ザック・ヒルディッチ

    原作:スティーヴン・キング

    2017年 アメリカ映画 102分

    キャスト:トーマス・ジェーン

         モリー・パーカー

         ディラン・シュミット

     

    1930年、ホテルの一室でウィルフレッドは

    かつて自分が犯した罪を告白する手紙を書いていた。

    彼は1922年、妻が親から相続した土地で農業を

    営んでいたが、その土地を売却しようとする妻と
    対立してしまい..。


    <お勧め星>☆☆☆ あ〜不気味だ。気色悪いわ。

    見終わって気分もよくならないわ。


    ネズミ駆除には何が効果的?

     

     

     

    <ネタバレしているかも>


    2010年に出版された「Full Dark,No Stars」と

    いう小説に収められた短編の内の1つです。

    スティーヴン・キングの小説は数多く映画化されていて、

    その中で最も好きなのはもちろん

    「スタンド・バイ・ミー」(1980)
    です。音楽もよかった。そして何より今は亡き

    リバー・フェニックスの美少年ぶりに目を奪われました。

    シシー・スペイク主演の1976年映画「キャリー」は

    ヒロインの線の細い少女役にシシーがぴったりで70年代

    特有のホラーの雰囲気もあって怖いけれど切なかったです。

    ほかにも「シャイニング」(1980)

    「デッド・ゾーン」(1983)

    「ミザリー」(1990)

    「ショーシャンクの空に」(1994)
    などなど何度でも見たい映画が(いや「ミザリー」の

    キャシー・ベイツは1回見ればいい。)数多く作られて

    います。「It」(1990)は2017年にリメイクされ

    ましたが、なんと珍しくリメイク版の方が怖いのです。

    そして続編というかオリジナルでは成長後まで描いていたのに、

    2017年版では少年少女時代のみだったので、その後の

    映画がまた公開されるということで、期待が高まります。
    こんなにピエロを怖い存在にしてそれでも誕生日会に

    呼ぶのかしら。ピエロに扮した人が来て子供たちを

    楽しませたら、そのメイクが取れなくなってしまわないか

    心配だわ。それは「クラウン」(2014)。
    さてこの映画の主役ウィルフレッド役は「ミスト」(2007)

    でも主人公を演じていたトーマス・ジェーンです。

    「ミスト」(2007)に関しては、原作「霧」の方が

    100倍怖くて、映画になったらなんだか違う雰囲気の話に

    変わっていた気がします。これは個人の好みなので気に

    しないでね。
    時は1922年、世界恐慌が始まる1929年から遡ること

    7年。農業分野でも不況であった時代、ネブラスカ州の田舎で、

    ウィルフレッドは妻アルレット、息子ヘンリーと農業をして

    暮らしているのです。

     

    1922
    出典:IMDb

     

    1922

    出典:IMDb

     

    見渡す限り広がる農場は妻が親から受け継いだもので、妻は、

    農業を嫌い、土地を売却して街で暮らしたいと願っています。

    結構手際がよく売却先も決めて来たし、弁護士も雇っている。

    しかしウィルフレッドにとっては、大事なのは「この土地」と

    「息子」で、アルレットの話に耳を傾けるはずもないのです。

    冒頭に農作業の合間に、アルレットの作ったレモネードを

    ウィルフレッドとヘンリーが飲み、アルレットはその姿を
    穏やかな表情で見つめています。彼らが本当に幸せそうで、

    背景の農場も夕日に輝いて美しく見えるのを目に焼き付けて

    おくといいと思います。なぜならここからどんどん暗い話に

    なっていくからです。

     

    1922
    出典:IMDb

     

    息子ヘンリーは隣家(と言っても視界に入らないくらい遠い)の

    娘シャノンと恋仲になり、ウィルフレッドはそれを利用しようと

    考えるんですね。醜いですね。
    「お前、母さんはこの土地を売って街へ引っ越すぞ。そしたら

    シャノンとは終わりだな」
    ウィルフレッドの悪魔のささやきを聞かされ、さらにアルレットに

    シャノンを侮辱されたヘンリーは、ウィルフレッドの妻殺し計画に

    加担するのですよ。これがまあ、枕で押さえつけるとか綺麗に

    済ませるのではなく、包丁でグサグサ指していくという残虐極まり

    ない方法です。小説ではどんな風に描写されていたのか読みたく

    ないけれど、ちょっと読んでみたい。

    そして遺体を庭の井戸に放り込むんです。ところが翌日血で汚れた

    シーツなどを放り込もうとすると、山ほどネズミがたかっていて、

    アップになったアルレットの口からはゆっくり尻尾から大きな

    ネズミが出てきます。ぎょえ〜。
    この時からチューチュー声を出すネズミの存在がウィルフレッドの

    頭から離れなくなるんです。殺鼠剤ってまだ存在しなかったのかな。

    いやそんなもので退治できるはずもない。
    ストーリーは予想通り、どんどん悪い方向に展開していきます。

    だいたいスティーヴン・キングの映画で全員がハッピーなラストを

    迎えるものってあったかしら。
     

    1922
    出典:IMDb

     

    「死んだ妻だけ知る秘密」を地下室で耳元で囁かれるづける

    ウィルフレッドの姿はもう不気味極まりないし、囁くアルレット

    の顔はネズミにかじられているし、これはどこまでが夢でどこまでが

    現実かわかりません。
    ラストシーンも「結局は誰も逃げられないのだ」という絶望しか

    残らず、あの時の違う選択をしていたら、家族3人仲良く

    暮らせたのに..などという後悔の念ばかりが漂っていました。最も

    大事にしていた「農場」も「息子」ももう戻らないし、それは全て

    彼の蒔いた種なのです。

     

     

     

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    ロスト・マネー 偽りの報酬

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ロスト・マネー

    出典:IMDb

     

    「ロスト・マネー 偽りの報酬」

    原題:Widows

    監督:スティーブ・マックイーン

    2018年 アメリカ映画 129分

    キャスト:ビオラ・デイビス

         ミシェル・ロドリゲス

         エリザベス・デビッキ

         シンシア・エルホ

         コリン・ファレル

         リーアム・ニーソン

     

    シカゴで4人の強盗犯が逃げ込んだ倉庫の爆発で

    死亡する。そしてその金が市議会議員候補ジャマール

    のものであったため、強盗の主犯格ハリーの妻ヴェロニカ

    は金の返済を迫られるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆ 豪華な俳優陣に目を見張りますが、

    内容は普通。


    神父様、あなたはどちらの味方ですか?


    1983年放映のイギリスBBC製同名ミニシリーズを

    「それでも夜が明ける」(2013)の

    スティーブ・マックイーン監督が映画化したものです。

    「妻たちの落とし前」という邦題で劇場公開予定でしたが、

    中止になりました。「ロスト・マネー 恐怖の報酬」

    「妻たちの落とし前」どちらも題名がいまいち。
    「それでも夜が明ける」では自由黒人ソロモンの12年間の

    奴隷生活を描いていました。ソロモンが騙されて

    売り飛ばされ、働かされる農場の監督官役のポール・ダノが

    本当に陰湿で、そればかり印象に残っています。
    アカデミー賞作品賞を受賞したものの、個人的には

    「自由黒人」というものの存在を初めて知った程度の感動しか

    覚えませんでした。
    さてこの「ロスト・マネー」では、とにかく登場する俳優が

    豪華です。シカゴ市議会18ブロック候補ジャック・マリガン役

    はコリン・ファレル、その対抗馬ジャマール・マニングの弟役が

    「ゲット・アウト」(2017)のダニエル・カルーヤです。

     

    ロスト・マネー

    出典:IMDb

     

    ロスト・マネー

    出典:IMDb

     

    「ゲット・アウト」は劇場で鑑賞しましたが、(毎度おなじみ

    ボッチ鑑賞)「何かがおかしい」というポスターの通り、

    最初から違和感を覚え、それがまさかあのような展開に
    なっていようとは...。「わたしは全然差別していないのよ」

    という温和な顔と裏腹の心の内があのような恐怖になって

    現れるなんて...。これぜひとも見てほしい映画です。
    そして序盤に派手な強盗シーンを繰り広げる4人の男性の内

    リーダー格のハリー役はなんとリーアム・ニーソン。

     

    ロスト・マネー

    出典:IMDb

     

    隠れこんだ倉庫で車ごと大爆発してしまうんです。その前に

    映った妻ヴェロニカとのネチネチチューシーンは、

    「電車の中のべたべたカップルのキモさ」並みに気色が悪い

    けれど、お二人ともきれいだから許す。

     

    ロスト・マネー

    出典:IMDb

     

    そのヴェロニカ役は「ヘルプ〜心がつなぐストーリー」(2011)

    のビオラ・デイビス、同じように夫を亡くしたリンダ役は

    ミシェル・ロドリゲス、アリス役はエリザベス・デビッキという

    素晴らしい顔ぶれです。特にエリザベス・デビッキの190cmと

    いう高身長とツイギー人形のように手足が細く長くスタイル抜群の

    美人ぶりには目が釘付けになります。彼女の映画内の母親役が

    「アニマル・キングダム」(2010)の肝っ玉ばあさん、

    ジャッキー・ウィーバーでこの映画では娘にエスコートサービスで

    稼ぐように促す腹黒い自己中女性を演じています。怖いんですよ。
    彼女たちの夫が強奪した金が、市議会議員候補ジャマールのもので、

    それを30日以内に返却するように迫られたヴェロニカが、

    ひょんなことで手に入れた夫の犯罪計画ノートを活用して、一攫千金を
    狙うというのがこの映画の主要なストーリーです。

     

    ロスト・マネー

    出典:IMDb

     

    中盤以降までそれぞれの境遇や夫との関係、市議会議員候補ジャックと

    ジャマールの状況が細かく描かれ、とにかくジャマールの弟の残虐性

    にはどきりとさせられてばかりです。ヴェロニカの愛犬をあんな風に

    掴むなんて許せないわ!
    ところで、ハリーがどんな人物だったのかということについては、

    あまり丁寧に説明されず、それほどのワルだったのかとか、なぜ

    この地域で勢力を持っていたのかよくわかりません。それと中盤付近に
    発覚する事実で、先が読めてしまうのがとても残念です。あれは

    最後にわかった方がよかったんじゃないかなあ。
    またジャックと父親の対立と彼が何を目的に行動していたのかも

    十分理解できませんでした。
    それでもアフリカ系住民の貧しくすさんだ生活がリアルに描かれ、

    彼らを支配する白人たちの偽善的な行動にも目が向けられた気が

    します。しないよりした方がいいに決まっているけれど、それは
    現代の奴隷のようなものになってしまうとも思うんですよね。

     

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    ブラジルー消えゆく民主主義

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    ブラジル

    出典:IMDb

     

    「ブラジルー消えゆく民主主義」

    原題:Democracia em Vertigem

             The Edge of Democracy

    2019年 ブラジル映画 121分

    監督:ペドロ・コスタ

     

    2002年、労働者党のルーラ・ダ・シルヴァが

    大統領に当選し、ブラジルは21年続いた軍事独裁政権

    に終止符を打つ。彼とその後継者であった

    ジウマ・ルセフ大統領の盛衰を、監督自身の家族の

    歴史も踏まえて描いていく..。


    <お勧め星>☆☆☆☆☆ これは絶対に見てほしい映画

    です。ブラジルの民主主義が崩壊していくのを見ている

    のに、違うものを見ているかのように思います。


    民主主義が機能している時、資本家は怯えている


    ブラジルについて持っている知識といえば、日系移民が

    多いんだろうな、とか、サッカーワールドカップや

    リオデジャネイロ五輪が開催されたな、程度で、以前に

    観た「チリの闘い」同様に全く知らなかったことばかりが

    映像として目の前に現れます。
    2000年代以降「BRICs」と呼ばれ、インド、ロシア、

    中国と共に著しい経済成長を遂げた来たこのブラジルの

    国内で何が起きていたのか。本当に最初から最後まで一気に

    見られます。そして弱った民主制がどこに向かうのか、

    この目ではっきり見て取れるのです。
    映画はペドロ・コスタ監督のナレーションやインタビューで

    構成されており、その時々の社会や政治家の姿を映しつつ、

    彼女の家族も映されます。コスタ自身、祖父がブラジル有数の

    大会社の経営者でありつつ、彼女の両親は、軍事独裁政権への

    反体制活動家で、投獄された体験の持ち主です。コスタの

    考えも両親に近いけれど、どちらにも存在する「闇」を覆

    い隠すことなく語っているのが特徴です。
    2018年4月7日、元大統領ルーラ・ダ・シルヴァが逮捕

    されます。この逮捕までの経緯の前に、ブランコ将軍から

    始まった軍事独裁政権下で、貧困にあえぎ、逮捕、拷問、

    虐殺におびえる民衆の姿が描かれます。そしてその中で

    労働者の星として政界入りを表明したのがルーラです。
    「階級も人種も性別も信教も関係なく、人という粘土で結びつこう」
    当時のブラジル議会443名のうち労働者階級が2名という

    数字を知らされると驚愕します。後に登場しますが、ブラジルの

    司法制度は、検察官=裁判官という歪なもので、これが近代国家の

    姿なのだろうかと思ってしまう。長らく続いた軍事独裁政権は

    「司法」の存在など必要としなかったのでしょう。
    ルーラが大統領に当選し、歓喜の雄たけびを上げ、街中を行進

    する民衆の笑顔をよそに、ルーラ自身は、議会を動かすために

    「ブラジル民主労働党」と手を組むわけです。これが労働党とは

    思想が大きく異なる反共、極右政党だったとしても、多くの

    政党が乱立するブラジル議会の中で持論を通すためには、

    「ある程度の数」が必要だったわけです。これが「失敗」の

    始まりだったとしてもそれ以外の方法を選ぶ時間はなかった

    とも思われます。
    そしてルーラは「ボルサ・ファミリア」という政策で極貧家庭を

    救済し、アフリカ系住民の進学率を上げ、失業率を最小にすることに

    成功します。さらに経済力も世界で7位という驚異的な伸び率を
    示すのです。民衆にとって生活水準が上がることは、目の前の

    喜びであるけれど、国家単位で見ると、その国の経済力の上昇

    こそが重要で、そこに世界最大の海底油田が発見されるということが

    起きます。

     

    ブラジル
    出典:IMDb

     

    一方ルーラの後継者として指名されたジウマ・ルセフはブラジル初

    の女性大統領であり(すごいね、アメリカだってできていないのに)

    かつての軍事政権時代ゲリラとして戦った人物でもあったのです。
    ここまでが成功して行く状況で、ここからその転落が始まります。
    まずはエジプトで起こった「アラブの春」に触発された民衆のデモで、

    彼らは「再び民主主義を!」と求めるのです。これは当時、圧政下

    でもなかった国民が、自分たちの生活水準のさらなる向上を願って
    大きな意味を唱えたわけではないのだと思っています。しかしそれを

    利用する政敵が現れるのです。ただ、ルーラ、ジウマ路線が全く

    クリーンであったというわけではありません。今までずっと続いていた

    企業と政治家の繋がりを、違法な盗聴行為をしてまで告発するのが、

    メディアを活用するモロ判事で、この告発を逃れるために、裏で

    様々な人々が駆け引きを繰り広げるのです。この件で

    「ブラジル民主労働党」から追放されたクナ議員は、労働党入りを

    求め、それを拒否されたことから、後のジウマ大統領弾劾の時に、

    根拠のない弾劾裁判を承認するんです。思想信条など関係ない、

    自らの地位に恋々としがみつくというのはこのようなことを言うん

    だろうな。
    ジウマ大統領の最大の失敗(といえるのでしょうか)は、金利を下げ、

    連立を組んでいた「ブラジル民主労働党」を政権から排除したことに

    尽きると思います。富裕層、銀行を敵に回すことは、弱った民主制を
    さらに弱体化させ、機能しなくさせてしまう威力を持っています。
    終盤に議会前の広場で、ジウマ弾劾賛成派と反対派が赤と青に分かれて

    勢ぞろいします。どう見ても弾劾反対の赤色の方が多いのに誰でも

    気づくでしょう。「国民の分断」が何を招くか、それは「民主制の死」
    しかありえないと感じます。
    結局ジウマは弾劾され、ルーラは確固たる証拠もないまま逮捕され、

    テメル(ジウマ時代の副大統領)が大統領に就任した後に就任したのは、

    かつての軍政を称賛した軍人ボルソナーロです。彼の発言は
    ミニトランプと言われるほど過激であり、

    「無能な者には暴力で対抗する」

    という人物なのです。これが民衆の望んだ未来だったのでしょうか。

    国民のためでなく、政治家のため、外国企業のため、市場を維持し、

    それは国家機関が都合よく操作できるということを本当に望んでいた

    のでしょうか。「ボルサ・ファミリア」の功罪も考えてしまいます。
    少しだけ頭をよぎったのは、東西ドイツ統一後、旧東ドイツ出身者が

    「オスタルギー」という思いに浸っている老人が存在するという話

    でした。あまり関係ないけれど。

     

     

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    ビリー・リンの永遠の一日

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    ビリー・リーン

    出典:IMDb

     

    「ビリー・リンの永遠の一日」

    原題:Bily Lynn's Long Halftime Walk

    監督:アン・リー

    2016年 アメリカ映画 113分

    キャスト:ジョー・アルウィン

         クリステン・スチュワート

         クリス・タッカー

         ギャレット・ヘドランド

         ビン・ディーゼル

     

    イラク戦争で負傷した上官を援護し、敵を倒した

    リン特技兵は、一躍英雄となり、彼の部隊は全米で

    熱狂的な歓迎を受ける。しかしリンは戦争で負った

    心の傷が癒えず次の出征を姉に止められているのだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ リンの頬に伝わる涙の意味は、

    悲しみなのか絶望なのか恐怖なのかと深く考えてしまい

    ます。


    故郷ではクズ、戦地では英雄


    監督は「ブロークバック・マウンテン」(2005)

    「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流」(2012)の

    アン・リー。
    「ブロークバック・マウンテン」はアメリカ中西部を舞台に

    したカウ・ボーイ同士のラブ・ストーリーで、とにかく印象

    に残っているのが、季節労働者として過酷な作業にあたる

    2人の男の姿でした。そこでまさかのラブストーリーが

    繰り広げられるとは思わなかったのですが、切なくて、

    どうすることもできない胸の内を、大自然と共に描いています。
    一方の「ライ・オブ・パイ」はアカデミー賞監督賞を獲得した

    大作です。でも今でもやっぱり監督賞も「アルゴ」だったよ、

    とずっと心の中で思っている映画です。

    題名通り、トラとずっと大海原を漂流する話が描かれ、へえ、

    すごい冒険だったんだ、と思うと、ラスト2,3分で

    「こんな風にも考えられるよ」

    と語られる。さてどちらが真実でしょうか。いや真実なんて

    最初から分かっていたのにと思ってしまいます。どこまでも

    続く大海と夜に広がる満天の星の美しさ、そして嵐のシーンの

    迫力、さらに86%がCGであるトラが全て本物に見えてしまう

    ほどの見事な映像でした。
    そしてこの映画はイラク戦争中、負傷した上官をただ一人で

    助けようとした19歳のビリー・リンを描いています。

    イラク戦争はそもそも存在しなかった大量破壊兵器を大義にし、

    アルカイダともつながっていると判断したアメリカが始めた

    戦争であり、その戦後処理から大きな混乱を招いています。

    その戦争には大きな利権が渦巻いていると映画内で語るテキサス

    の業者が映りました。
    さらにフセインを倒し、民衆を独裁政権から救い、かつ学校を

    作り道路を整備した有志連合に対し、イラク国民が感謝しているか

    というと全く逆であり、平穏な生活を破壊され、家族を亡くした

    憎しみが増すばかりなのです。有志連合側も、民間人の中に

    かつての政府軍が隠れていることを疑い、疑惑を持つとすぐに

    連行していく。連行されたら戻ってこないと泣いているイラク人母

    の姿やその子供の憎しみに満ちた目も映ります。

    まさに憎しみの連鎖を招いているのです。
    それに気づいているのでしょうか、気づいていないふりをしている

    のでしょうか。

     

    ビリー・リン
    出典:IMDb

     

    そしてイラクでのリンの行動が、戦争への関心が薄れている国内に

    向けての格好の材料として使われるのです。たった一人で銃撃

    された上官を助けに向かい、そして向かってきた敵を倒したリンの

    いた第2部隊は、「ブラボー隊」と呼ばれ、全米を回ることになる

    のです。今回は次の出征前の日、アメフトのハーフタイムショーに

    出演します。リンをはじめとして兵士はいずれも若く、生活のために
    入隊した者がほとんどであり、「入隊ボーナス」「保険付き」が

    いかに魅力的なのかを知ると、前日に集まった金持ちたちとの格差の

    大きさに驚いてしまう。かたやへっぽこチームのスタジアムの年間

    シートを買う権利を購入したり、彼らをハマーのリムジンで迎えに

    来ることさえおちゃのこさいさいなのです。

    そんなこと今頃知ったのかって感じか。
    そしてリンにとって「英雄になった日」は彼個人としては

    「人生最悪の一日」であり、それを何度もインタビューされるたびに、

    その光景がフラッシュバックします。終盤、その時に起きたことが

    全て映りますが、「人を殺す」ことが「戦争」であったとしても、

    彼の行為は特別に胸に刻まれたもので、それを何度も思い出させる

    のは拷問に近いと思う。

     

    ビリー・リン
    出典:IMDb

     

    「戦争は地球の裏側のこと」と語るチアガールのフェイゾンの

    言葉はそのままスタジアムで熱狂する人々と同じなのでしょう。

    彼らにとって「戦争」はまさに「ハーフタイムショー」の1つに

    すぎないのだと感じると愕然とします。そしてアメリカ国歌斉唱

    の時にリンが流した涙は、何に対してのものだったのかを考える

    とこの映画の深さを実感するのです。

     

    ビリー・リン
    出典:IMDb

     

    リンの上官ブリーム軍曹役が「ワイルドスピード」シリーズの

    ヴィン・ディーゼルでした。一目でわかる風貌と特徴のある声です。

     

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    ステラー真昼の誘拐ー

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ステラ

    出典:IMDb

     

    「ステラー真昼の誘拐ー」

    原題:Kidnapping Stella

    監督:トーマス・ジーベン

    2019年 ドイツ映画 89分

    キャスト:イェク・ハーゼ

         マックス・ボン・デル・グレーベン

         クレーメンス・シック

     

    トムは刑務所で一緒に服役したヴィックの計画通り

    ステラという女性を誘拐する。裕福な父親から金を奪い、

    悠々自適な生活を手に入れるはずだったが、実はステラ

    はトムの元カノだった..。


    <お勧め星>☆☆半 なんとも説明不足で冒頭のスリル

    だけが楽しかったという映画です。


    アリスじゃなくてステラだよ。


    2009年イギリス映画「アリス・クリードの失踪」の

    リメイクということですが、設定は同じでも、展開や

    人物像を変えると全く別物になってしまうという典型例

    だと思います。
    「アリス・クリードの失踪」はシリーズとして結構好きな

    「ディセント」の2の監督J・ブレイクソンが手掛けて

    います。

    何といってもテンポがいい。チャチャと誘拐準備をし、

    チャチャと女を捕まえ、あら、全裸にして着替えをして

    しまいます。リアルな排泄シーンもあり、ちょっとそこは..

    と思うけれど、しっかり映像化されています。さらに

    あっと驚くような人間関係が広がり「ええ〜」と思いつつ、
    ラストには余韻が漂っていました。

     

    ステラ
    出典:IMDb

     

    一方今作は、同じくチャチャと準備し、チャチャと女を誘拐

    するシーンまでは同じなのに、下着姿でお着換えです。誘拐

    されるステラがアリス同様にぽっちゃり女子なのは、なかなか

    いい感じ。
    また犯人のヴィックとトム(アリス版ではダニー)のうち、

    トムがまことにトロくて気弱なのはオリジナルと同じです。

    気弱というより、少し思慮が浅いというか、前頭葉が発達して

    いないというか、つまり
    アホ。

     

    ステラ
    出典:IMDb

     

    あまりにトロいので「おい、こら!!」と何度も画面の中の

    トムに向かって怒鳴ってしまいました。
    ヴィックとトム、そしてステラの攻防のみが映り、要するに

    登場人物3人の映画です。BGMもドキドキするようなものが

    流れますが、なんか間が抜けているんです。

    刑務所で準備万端にしていた割にはいったいどういう計画だった

    のか、一向に見えてきません。見えてこないから思いがけない

    展開があるのかと感じますが、そんなわけあるはずないのです。

    がっかり。
    ステラの家庭環境がどうだったのかは、ただセリフで語られる

    のみだし、ヴィックとトムのつながりも弱くて、どうも不完全燃焼

    で終わってしまいました。だからラストに納得できないんだよ。

     

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    死霊館のシスター

    4

    JUGEMテーマ:Horror

     

    死霊館のシスター

    出典:IMDb

     

    「死霊館のシスター」

    原題:The Nun

    監督:コリン・ハーディ

    2018年 アメリカ映画 96分

    キャスト:タイッサ・ファーミガ

         デミアン・ビチル

         シャーロット・ホープ

         リリー・ボーダン

         ボニー・アーロンズ

     

    1952年、ルーマニアの修道院で一人のシスターが

    首つり自殺をする。バチカン教皇庁の指示で現地の

    調査に向かったバーク神父と尼僧志願生アイリーンは、

    その修道院で恐怖の夜を過ごすことになるのだった..。


    <お勧め星>☆☆半 怖いけれど途中あくびが出ました。

    でもラストはなるほど!


    フレンチ=農夫モーリス


    それはそれは恐ろしい「死霊館」(2013)は今も

    なお1人で見るのに勇気がいる...わけでもないけれど、

    ちょっと覚悟がいります。古い屋敷に響くドアの開閉音や

    ロッキングチェアーのゆれる音、床板がキシキシと鳴り、

    どこからともなくひそひそ声や笑い声が聞こえてきます。

    それと暗闇がとても効果的に使われ、悪霊研究家の

    ウォーレン夫妻が実際に手掛けた事件が元ネタと知ると、

    さらに背筋が寒くなるのです。

    その後「アナベル 死霊館の人形」(2014)

    「死霊館 エンフィールド事件」(2016)

    「アナベル 死霊人形の誕生」(2017)

    とアナベルシリーズと死霊館シリーズが続き、
    今回のスピンオフ版「死霊館のシスター」となるわけです。

    時系列で見ると
    1952年 死霊館のシスター
    1958年 アナベル 死霊人形の誕生
    1970年 アナベル 死霊館の人形
    1971年 死霊館
    1977年 死霊館 エンフィールド事件
    そして、アナベルシリーズはすでに次回作が製作されている

    ようです。これらのどの作品も大そううまく作られており、

    「はずれ」はないのですが、唯一「アナベル 死霊館の人形」が

    「死霊館」を見た直後の作品だったため、少し拍子抜けしたのを

    覚えています。想定内の恐怖という感じでしょうか。

    (想定外ってどんなものを指すのかちょっと言われへん)
    1952年ルーマニアの聖カルタ修道院。高い山の上に

    そびえたつ古い建物は、それだけでおどろどろしく感じます。

    家の近所に修道院が2つありますが、1つは同じように高い丘の

    上にあり、一つは人家が密集する地区にあるのに、高い塀に

    覆われていて中が見えません。あれはなぜに塀が高いのでしょうね。

    シスターたちは高齢者ばかりで、駅のそばの整形外科で膝や腰の

    治療を受けているのをしばしば目にします。
    さてこの聖カルタ修道院の「Gods Ends Here」と書かれた

    ドアの前に立つ2人のシスターのうち、年配のシスターが若い

    シスターに「鍵」を託しその部屋に入っていくと、再び戻る

    ことはありません。さらには若いシスターも自ら首をつって

    しまうのです。遠くから近づいてくるものはなんでしょうか。

    そしてこの修道院に食糧を配達している若者が、カラスに顔を

    つつかれたシスターの遺体を発見するのです。
    どきり!この映画ではどきり!シーンがしばしば現れるので、

    この時点で耐性をつけておくといいと思います。
    そしてバチカンの教皇庁から、聖職者の自殺の調査を託される

    のがバーク神父です。説明不足のようにも感じましたが、彼は

    悪魔祓いの免許を持っているし、実績もあるらしい。さらに

    ルーマニアに土地勘があるということで、一緒に連れていく

    のが尼僧志願生アイリーンです。これが、ウォーレン妻を

    演じたヴェラ・ファーミガの妹タリッサ・ファーミガ。

     

    死霊館のシスター
    出典:IMDb

     

    バーク神父、アイリーン、フレンチで向かう教会は、十字架に

    囲まれ、人気のない岩山の上で、周りは不気味な森に囲まれて

    いるのです。こんな修道院いやだ。

    そして日数が経っているのに、全く乾いていない、いや逆に

    広がっている死んだシスターの血痕をまたいで教会内に入ります。

    そこからびっくり、どっきり、ギョギョギョの連続。

     

    死霊館のシスター

    出典:IMDb

     

    死霊館のシスター

    出典:IMDb

     

    さらにそれほど使えないバーク神父とやたらにヒーハー息遣いが

    荒く、すぐに悲鳴を上げるアイリーンにイラついて、途中あくびが

    出てしまいました。確かに怖がらせ要素はふんだんに盛り込まれて

    いるのですが、それがあまりに頻繁に起きると飽きるというものです。
    但し、油断大敵なんですよ。ラスト付近は

    「おおう、このアイデアというものは想像しなかったわ」

    と思い、フレンチが後にウォーレン夫妻と関りがあったと知ると、

    やはりよくできた映画だと思うのです。

    次も絶対に見よう。

     

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    ゆれる人魚

    4

    JUGEMテーマ:Horror

     

    ゆれる人魚

    出典:IMDb

     

    「ゆれる人魚」

    原題:The Lure

    監督:アグニェシュカ・スモチンスカ

    2015年 ポーランド映画 92分 R15+

    キャスト:キンガ・プレイス

         マルタ・マズレク

         ミハリナ・オルシャンスカ

         ヤーコブ・ジェルシャル

         シグナムント・マラウッソ

     

    1980年代のポーランド。人魚の姉妹がナイトクラブ

    のステージにあがり人気を博すようになる。しかし姉の

    シルバーがバンドマンのミーテクに恋をしたことから、

    妹ゴールデンとの関係に変化が起きてしまう...。


    <お勧め星>☆☆☆ ホラーというかファンタジーというか

    ミュージカルというかどのジャンルに入るかわからない

    けれど、切ない映画です。


    どこにも穴がない


    アンデルセン童話「人魚姫」にツイストを加えた

    ホラー・ファンタジーと紹介しているものが多いけれど、

    ミュージカル要素が全編にわたって散りばめてあるし、突然

    歌いだすのが苦手な人には受け入れにくい映画なことは確か

    です。

    アンデルセン童話の「人魚姫」の内容も何やらうろ覚えだし、

    ディズニー映画「リトル・マーメイド」も未見です。そもそも

    ディズニー映画になった時点で。オリジナルストーリーから

    離れてしまうことは簡単にわかってしまう。ダークな部分は

    消し去られて「夢」と「希望」と「愛」に満ちた映画に

    なったんだろうなあ。(2018年に実写化もされている

    けれど、全然見る気なし)
    本当のアンデルセン童話を読んでみると、これは私が幼い頃

    絵本で読んだものとは異なり、かなり残酷で悲しい話になって

    います。尾ひれを足に変えたら、歩くたびにすごく痛いって、

    そんな話は書いてなかったはず。さてそれをどんな風に

    ツイストしたのでしょう。
    冒頭、水の中から岸で歌を歌う男女3人を見つける2人の

    女の子?が映ります。彼らの歌に返し歌として送るのが

    「決してあなたを食べたりはしない...」。

    ここで「ん?」と感じてしまう。この子たちもしかして人間を

    食べるのかしら。そしてこの時点でどちらかが、イケメンの

    方のバンドマンに恋すると確信します。いやこのバンドマン、

    ミーテクがまことにイケメンです。昨年観た「ボヘミアンラプソディー」
    のロジャー役を演じた俳優さんに似た感じ。

     

    ゆれる人魚

    出典:IMDb

     

    つまり目鼻立ちがはっきりした金髪の白人男性です。髪の毛や

    肌の色は異なれど、岡田将生くんとか高良健吾くんとか

    三浦春馬くんとか、城田優くんとか、私の大好きなタイプに

    似ている...と思う。
    そしてこの二人の姉妹、シルバーとゴールデンは、彼らの

    バンドが演奏しているナイトクラブに引き取られるのです。

    ストリップすらあるクラブなのでこんな若い女の子が働いて

    大丈夫かしら?
    といらない心配をすると、おお、最初から二人が全裸で登場します。

    でも

    「どこにも穴がない」。

    バービー人形のような体なのです。そして水をかけると、なんと

    いうことでしょう。下半身が尾ひれに変わります。

     

    ゆれる人魚
    出典:IMDb

     

    ところがこの姉妹がそれほど可愛いわけではないのと、尾ひれが

    美しくないのです。ファンタジー要素は少ししぼむかな。まあ、

    上半身はほとんど露出しているのでこのクラブでは大人気になります。
    歌声もきれいだし、ステージ上の水槽に入ると、あっという間に

    人魚に変わるのです。人魚が美しくない代わりに、映画内で

    しばしば見られるミュージカルタッチのシーンの歌は、美しいもの

    ばかりで、後半に登場するパンクロッカー、トリトンの歌以外は、

    どれも心にしっとりと染み込んでいくのです。
    シルバーとゴールデンのうち、シルバーは初日からミーテクに心を

    奪われてしまいます。よく考えるとこの姉妹の年齢はいくつ

    なんでしょう。タバコもお酒も初めて嗜むし、体つきもどことなく

    幼い感じです。でも彼女たちが隠している秘密は、オリジナル童話の

    「人魚姫」とは全く異なるもので、ここはどちらかというと

    オカルトっぽいかしら。
    映像は夢か現実かわからないシーンが突然入り込んだり、ストーリーが

    飛んだりして、かなり戸惑うけれど、最終的には童話に近づいて

    いきます。

     

    ゆれる人魚
    出典:IMDb

     

    最初にバンドと一緒に登場する姉妹とボーカルの女性の姿はどう

    見ても「ミニスカポリス」ですよね。

     

     

     

     

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