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    • 2023.01.12 Thursday
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    サーティーン/13 誘拐事件ファイル シーズン1

    5

    JUGEMテーマ:海外ドラマ

     

    サーティーン

    出典:IMDb

     

    「サーティーン/13 誘拐事件ファイル」シーズン1

    原題:Thirteen

    監督:ヴァネッサ・キャスウィル

       チャイナ・ムー=ヤング

    2015年 イギリス 

    キャスト:ジョディ・カマー

         ナターシャ・リトル

         スチュアート・グレアム

         ヴァリーン・ケイン

     

    1人の女性がある家から逃げ出してくる。彼女は

    13年前に誘拐されたアイビーと名乗るが、娘の

    帰りを待ち望んだはずの家族は戸惑いを隠せない。

    さらに彼女の供述が二転三転するうえ、別の少女が
    犯人らしき人物に誘拐されてしまうのだった。


    <お勧め星>☆☆☆半 ストーリがしっかりしており、

    流れる音楽も魅力的です。ラストまで見ごたえが

    あります。


    家族を作る


    Amazonプライムにてシーズン1が無料配信だったので、

    5話を連続して見ました。連続して見たくなるほど

    ハラハラするドラマです。日本のテレビドラマで

    サスペンスタッチのものは、「ダルい」と感じる
    ことがしばしばで、どうして暗い方へ逃げるのかとか

    ついていったらダメという人と接触したり、事件の捜査に

    関しても、監察医やら葬儀屋、旅館の女将、現場に来る

    はずもない偉い立場の警察幹部などが登場して、

    「これぞドラマ!」と思ってしまいます。
    それらと比べると欧米のテレビドラマは、警察物では、

    捜査方法や事件の描写がかなりリアルであり、散りばめられた

    謎を、少しずつ解き明かしていく様は見事なものが

    あります。デンマークがオリジナルであるアメリカの

    テレビドラマ「キリング」は、しょっぱなからぐいぐい

    引き込まれ、シーズン1で事件が解決すると信じて全話

    見終わった時、シーズン2にまたがった内容と知って唖然茫然。

    でも見ずにはいられず、3日かけて1,2シーズンを

    見終わりました。女刑事リンデンがそれほど美人でないのに

    引き換え、部下で相棒のホールダーがイケメンだけど、かつて

    不良でドラッグ中毒だったなどの設定も良かった。さらに

    二人に恋愛模様がこれっぽちも起こる気配がないのも気に

    入りました。

    捜査に恋愛は不要!
    で、この「サーティーン」は13年間監禁されたきたアイビーが、

    突然逃亡し、警察に保護を求めたことから事件が始まります。

    アイビー自身は誘拐されたとき13歳で、心は当時のままなのに、
    家族、友人、日常生活は全て13年という年月を経て変わって

    しまっているのです。それを認識できないアイビーとまるで

    はれ物に触るように扱う家族の姿と、彼女を突き放すかのように

    事情聴取するエリオットとリサという警官が映ります。

     

    サーティーン

    出典:IMDb

     

    エリオットとリサはチームを組んで捜査をしていくんですが、

    彼らがどうやら私生活でも深く繋がっていると早々に知ると、

    やれやれだぜ、と思ってしまう。
    ここは不要だよなあ。
    まあそれを無視できるほど内容に気持ちが入り込んでいくので

    大丈夫です。

     

    サーティーン
    出典:IMDb

     

    アイビーの家族の方も、父は愛人と暮らしているし、母は

    アイビーの通っていた中学の校長とちょっと怪しい。それと

    妹エマは結婚を控えたグレッグを同居させています。13年の

    間に彼女の周りは大きく変わっているのです。

     

    サーティーン

    出典:IMDb

     

    また、ずっと心のより所にしていたらしい初恋の相手ティムは

    なんと別の人と結婚しています。(当たり前だよね)

    でも言い出せないティムってちょっとどうなんだろう。ただ

    ティムがアイビーのために13年分の音楽をipodに入れ、操作方法も

    説明して、聞かせてあげるシーンは、流れる歌の歌詞が彼らと

    被ってしまうようなもので、ここは大好きです。
    しかし犯人がわかり、その男が10歳の少女を新たに誘拐した

    ことがわかると、アイビー自身に疑いの目が向けられるんですね。

    さらにほかの事実も出てくると、アイビーの供述の信ぴょう性が

    薄れていきます。
    そもそも「なぜ逃げださなかったのか」
    ラスト10分くらいまで、この事件がどうなるのかハラハラ

    ドキドキの連続です。アイビーの胸の内をじっくり考えなおすと

    納得のいく内容でした。でもやっぱり警官同士の恋愛はいらんな。

     

     

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    ガザの美容室

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    ガザの美容室

    出典:IMDb

     

    「ガザの美容室」

    原題:Degrade

    監督:タルザン・ナザール

       アララブ・ナザール

    2015年 パレスチナ=カタール=フランス映画 

    85分

    キャスト:ヒアム・アッパス

         ヴィクトリア・パリツカ

         マイサ・アブドゥ・エルハディ

     

    ガザにある一軒の美容室に数名の女性客が順番を

    待っている。ごく日常の会話をかわす女性たちだったが、

    店の外で銃撃や爆撃が始まり、店から出られなくなって

    しまう。


    <お勧め星>☆☆☆半 パレスチナ地区内での抗争に

    飽き飽きした女性たちの姿を鮮明に描いています。


    外の男たちと中の女たち


    1994年オスロ合意により、パレスチナ暫定自治協定が

    結ばれ、パレスチナ解放機構(PLO)の主流派「ファタハ」

    主導でパレスチナ自治が始まったものの、2006年選挙で、

    イスラム組織「ハマス」が勝利を収めると、2007年には、

    ガザでハマスがファタハを排除し始めます。その時から

    イスラエルによる封鎖が始まったのです。

    (ニュースウィーク日本版より)
    新聞でパレスチナへのイスラエル軍の空爆の理由が

    「ハマスによるイスラエル人への危害」

    と書かれているのを目にするのは、このハマスが軍事面で

    強力であり、それに対抗するためにさらに大きな武力を

    用いているわけです。これに今はアメリカが大きな関心を

    持ち始めてしまい、混迷の一途をたどっています。
    「ガザ」地区というと「もう一人の息子」(2012)では、

    イスラエルで暮らす青年が、実は湾岸戦争中の出生時に、

    今は高い壁で隔てられているパレスチナ地区の子供と取り

    違えられていたことを知らされ、宗教、紛争、壁のせいで、

    多くの苦悩を抱え込んでしまうという姿が描かれていました。

    その時のイスラエルが、近代的な街並みであったのに比べ、

    壁を隔てたパレスチナ地区は、破壊された建物や整備されて

    いない道路、そしてその中でかなり貧しく暮らす人々が映って

    いたと思います。
    しかしこの映画では、そんな街並みは全く映らず、1軒の

    美容室の内部がほぼ舞台です。実はガザ地区も富裕層がおり、

    彼らは高級な店で買い物をし、豊かな暮らしをしているらしい。

    この美容室に来ている女性たちも、貧困にあえぐという姿とは

    少し違う感じがします。ガザ=仕事なし、紛争ばかり、貧しい

    暮らしと決めつけるのではなく、その中でも人々は日々の

    暮らしを送っているのです。

     

    ガザの美容室
    出典:IMDb

     

    美容室にいる女性たちは、全く個性的な人々ばかりで、女主人は

    ロシア人、手伝いの美容師は、マフィアのダメ男と別れられず

    にいて、電話ばかりしています。ちょっと言わせてもらうと、

    本当に仕事がノロい。物資が十分でないことを考慮しても、

    手がさっさと動きません。「これが私のやり方よ」

    はい、わかりました。

     

    ガザの美容室
    出典:youtube

     

    ドラッグをしゃぶるおしゃべり女は、夫が戦争で負傷しているし、

    隣には人一倍信仰心が厚いヒジャブ姿の女がいます。しかし

    この女の夫は浪費癖があり、さらに強権的らしい。

     

    ガザの美容室

    出典:youtube

     

    鏡の前できれいにメイクしてもらう結婚式を控えた女性は、

    後ろで待つ姑と実母の正反対の指示に泣きべそをかいているし、

    突然入ってきた身重の客は産気づいてしまう。さらに離婚話

    を進めている派手な中年女性は、始終イラつき、たばこを吸い、

    文句ばかり言っています。なんで下着姿かと思ったら、脱毛

    処理しているんですね。

    なんだ、この喧騒は。
    いやこの喧騒には流血や破壊はない。それがあるのは、今まさに

    外で起きている、イスラム系警察とマフィアとの戦いなのです。

    銃撃、ロケット砲の音が鳴り響き、美容室は揺れ、停電して

    しまいます。
    それでも彼女たちにとってはこれが日常であり、ひとたび

    争いごとが起きたら、女は家の中に入って静かにしている(いや

    のぞき見しているか)ことに慣れきっているのです。
    ドラッグの飴をなめている女性が「女は有能よ」と言いながら、

    ファタハもハマスも敵であり、この客たちにそれぞれ国の重要

    ポストを決めていくシーンは、なかなか興味深いです。

    同じパレスチナ人同士の争いにとことん嫌気がさしていることが

    伺えるのです。

    イスラエルの病院に行こうと思っても、強力なコネがなければ

    不可能で、ハマスの検問、ファタハの検問をくぐれたとしても

    行き着く先はイスラエルの刑務所という話には絶望を感じて

    しまいました。
    実際にはイスラエル軍の大規模な空爆で多くの命が奪われ、

    建物が破壊されているけれど、そこに住む人々にとって、最も

    厄介な問題はパレスチナ人同士の争いだということに尽きると

    思います。

     

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    ビリーブ 未来への大逆転

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    ビリーブ

    出典:IMDb

     

    「ビリーブ 未来への大逆転」

    原題:On the Basis of Sex

    監督:ミミ・レダー

    2018年 アメリカ映画 120分

    キャスト:フェリシティ・ジョーンズ

         アーミー・ハマー

         ジャスティン・セロー

         キャシー・ベイツ

     

    1956年、ハーバード大学法科大学院に入学した

    ルースは、夫マーティン、娘ジェーンと暮らし、勉学に

    励む日々を送る。そして極めて優秀な成績で卒業した

    ものの法律事務所での職は得られず、大学講師として

    働き始めるが、マーティンが持ち帰ったある案件に目を

    留めるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆半 自然と胸が熱くなります。

    これこそ今もなお求められているものだと実感するのです。


    We did it


    1993年アメリカ合衆国最高裁判事となった

    ルース・ベイダー・ギンズバーグの伝記映画で、ルース役は

    「博士と彼女のセオリー」(2014)でホーキンズ博士の

    妻役を演じたフェリシティ・ジョーンズ。
    そして夫マーティン役は、

    「ソーシャル・ネットワーク」(2010)で双子役を演じた

    というより

    「君の名前で僕を呼んで」(2017)で強烈な印象を残した

    私の大好きなアーミー・ハマーです。あの映画でのオリヴァー役

    はとてもいい男だったなあ。そして映画自体も胸がキュンキュン

    するものだったなあ。

     

    ビリーブ
    出典:IMDb

     

    1956年、ぞろぞろ歩くスーツ姿の男性に混じって1人の

    女性が映ります。これはハーバード大学法科大学院の入学式

    風景であり、女子学生を受け入れて6年目、そしてその年は

    たった9人のみ入学という状況が説明されるのです。それを

    説明する学部長の嫌みったらしい事。親が高名な弁護士で

    その親の事務所を手伝うための入学は褒められ、看護師や

    教師は自分のしたいことではないと発言した女子学生には

    「ばかばかしい」と一蹴します。
    500人超の入学者の中で女子学生が9人と聞くと、私の姉が

    入学した高校のことを思い出します。田舎の中学から女子で

    たった一人進学した地元の進学校では、入学者500人のうち、

    女子学生は10人余りで、確か1クラスにまとめられていたはず。

    姉の中学の同級生の女子は、ほとんど商業科や家政科のある

    高校に通った時代です。そんなに昔ではないけれど、考えてみると

    半世紀近く前になるか。
    その後入学試験方法が変わり、男女比はほぼ半々になっていると

    思うけれど、先生の頭の固さはどうだろうな。

     

    ビリーブ
    出典:IMDb

     

    さて成績がたいへん優秀なルースには、同窓の夫マーティン、

    娘ジェーンがおり、マーティンと二人三脚で生活と学業を

    続けていたのです。夫が病気に倒れると、夫の代わりに

    講義に出席し、二人分のタイプを打ちます。そのとき

    「裁定は時代の空気に左右される」

    と言ったある判事の言葉を心に留めるのです。
    映像から見る限り、ルースの生育家庭や当時の家庭環境は

    かなり進歩的であり、さらに勤勉さも加わって彼女が多くの

    知識を入手できたと思っています。当時の女性の姿ー夫が外で

    働き、生活を支え、妻は子供を産み、育て、夫のために料理や

    洗濯など家事を行うーとは真反対であったとも言えます。

    パーティーに出席しても議論をするのは男性のみで、女性は

    ファッションやグルメや子育ての話をしている。(だと思う)

    男性に対し意見を言うなんて生意気以外の何物でもないとまでは

    言わないけれど、高校時代に「反論するなんて生意気だ」と

    男子に言われたことを根に持つ私は、今も本当の思いを口に

    するのは憚られてしまいます。

    「キミの漢文は20点だったけれど、わたしは95点だったよ。

    参ったか!」と心の中で今でも思っている。

    (あまりに幼稚すぎるか)
    ルースは性差別を是正したいと願っているけれど、ヒステリックに

    その考えを押し付けて行くわけではありません。却下されると割と

    簡単に引き下がります。
    さらにマーティンが持ち帰ったある案件に目をつけ、他の裁判で

    敗訴したケニオン弁護士のもとに向かうと「まだ時期は早いんだよ」

    と言われてしまいます。このケニオン弁護士役はキャシー・ベイツ。

     

    ビリーブ
    出典:IMDb

     

    シルエットだけでわかってしまうからすごいな。
    しかし1970年だに入り、娘ジェーンが同じような道を歩もうと

    し始めると、彼女に「ママは行動が伴っていない」と言われる

    のです。ニューヨークで母娘2人をからかった作業員たちに

    しっかり反論し、一人でタクシーを止めに行くジェーンはすごく

    かっこいいですよ。ルースができなかったことが今行動できる

    時代になりつつあることを体感します。
    女性、母親、ユダヤ系ということで法律事務所で働けなかった

    自分が、その姿にも後押しされ、米国自由人権協会の協力も得て、

    ある案件を活用して、逆の方向から性差別を主張していく様は、

    法廷での女性弁護士への偏見もあって、かなりもどかしいですが、

    どのように反論していくか、本当に見てほしい姿です。
    そして時代が逆行しているような錯覚にとらわれる今まさに

    この時代にこそ見るべき映画だと思うのです。終盤のルースの弁論は

    非の打ち所がないほど素晴らしく聞いていると自然と涙がこぼれて

    きました。

     

     

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    ホワイト・ボーイ・リック

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ホワイト・ボーイ・リック

    出典:IMDb

     

    「ホワイト・ボーイ・リック」

    原題:White Boy Rick

    監督:ヤン・ドマーシュ

    キャスト:マシュー・マコノヒー

         ジェニファー・ジェイソン・リー

         エディ・マーサン

         ベル・パウリー

         ブルース・ダーン

     

    1984年、銃を違法改造し、ギャングたちに

    売買している父を持つ14歳のリックは、FBIの

    情報提供者としてスカウトされる。彼は顔見知り

    のギャングに近づき麻薬取引の情報を入手するため
    麻薬売買に手を染めるようになる...。


    <お勧め星>☆☆☆ かなり単調な内容で、脇役の

    演技力のみが光ります。


    デトロイトという街


    かつて自動車産業で栄えたデトロイトという街が

    全米で最も危険な都市1位にになったのが1999年。

    それ以降1,2位を常に争っています。その中に

    ホワイト・アメリカンの存在する割合は1割強で

    ほとんどがアフリカ系アメリカ人が占めており、映画の

    主役となるリックが、ホワイト・ボーイ・リックと

    呼ばれているのも、その地域では珍しい白人のためだと

    思われるのです。
    なぜに彼ら一家(祖父母も近所に住む)がその地域に

    住んでいるのか説明はありません。

    それと「アニマル・キングダム」(2010)のように

    一家そろってワルばかり、というわけでもないのです。
    14歳でFBIの情報提供者となり、16歳で麻薬王と

    なったリチャード・ワーシュ・Jr.の実話ベースに

    映画は進みますが、あくまでもベースで、ストーリー上

    では「麻薬王」になるまでの話は描かれません。
    この辺りもやや予告情報が大げさで、ふたを開けてみたら

    それほどでもないじゃん!という感じ。
    銃を購入し、不法に改造して、ギャングたちに売りさばく

    父と、クズ男と付き合い、ドラッグに溺れる姉を持つ

    リックが、2年の間に「何」をしでかしたか。

     

    ホワイト・ボーイ・リック
    出典:IMDb

     

    「ダラス・バイヤーズ・クラブ」(2013)よりも

    「リンカーン弁護士」(2011)でリンカーンを乗り回す

    ド派手な弁護士役や「マジック・マイク」(2012)での

    ストリップ劇場のオーナー役が大好きなマシュー・マコノヒー

    がリックの父親、リチャードを演じます。

     

    ホワイト・ボーイ・リック

    出典:IMDb

     

    そしてFBI捜査官にジェニファー・ジェイソン・リー、麻薬の

    大物ディーラー役にエディ・マーサンが登場し、なんとも

    豪華な脇役の中で、主役のリックは、学校で廊下に立たされて

    いるところをスカウトされた新人リッチー・メリットは、映画内

    のセリフ通り「不細工」かも。まあここにイケメンキャラな不要

    かしら。
    ルックスは別として、このリックが悲しいほど無表情なのです。

    それはクールというより、同じ表情しかできないというのが

    わかってしまいます。
    14歳の息子を連れて銃の見本市に行き、銃を半ば脅しながら

    値切って購入し、それにサイレンサーを違法につけてギャング

    たちに販売する父も父だけれど、デトロイトという街では、

    警察だけでなく市長をはじめとする市の幹部までも、ほとんどが

    ギャングとつながっているというのは映画で幾度も見てきました。

     

    ホワイト・ボーイ・リック

    出典:IMDb

     

    本当にそうなんだろうな。確かめに行く気も起らないけれど。
    銃はいいが、麻薬はダメだ!という父の言いつけを守らず、FBIに

    情報提供者にされたリックは、麻薬ビジネスに手を染めます。

    14歳ってまだ義務教育で学校に行っている時期だけれど、

    この街の半分に近い層が職務上無学であると知ると、勉強して

    何になる夢も持てない街では手っ取り早く金を稼ぐことが

    優先されるのもわかる気がします。
    ラスベガスでギャングのボスたちの取り巻きの一人として、

    闊歩するリックの誇らしげな顔は、傍から見ると不釣り合いで

    悲しく感じますが、本人的には得意満面なんだろうな。
    2年の間にFBI情報提供者→麻薬売買→銃撃を受ける→人工肛門

    の体になる→娘が生まれる...。普通の人に取れば10年以上の

    濃い日々を送ったのかもしれません。それもよくない意味です。
    貧困から這い上がる方法がどこを見渡しても見つからない、

    蟻地獄のような街が描かれていました。

     

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    男と女

    4

    JUGEMテーマ:韓国映画全般

     

    男と女

    出典:IMDb

     

    「男と女」

    原題:A Man and a Woman

    監督:イ・ユンギ

    2017年 韓国映画 115分 PG12

    キャスト:コン・ユ

         チョン・ドヨン

         パク・ビョンウン

     

    フィンランドのヘルシンキで国際学校に子供が

    通うサンミンとギホン。互いの名前を名乗らぬまま

    関係を持つが、ソウルに戻った後、彼らは再び逢瀬を

    重ねるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆ メロドラマの王道っぽいけれど、

    主演の二人の色気にうっとりしてしまいます。


    曖昧な受け答え


    コン・ユといえば、高身長のイケメンで

    「トガニ 幼き瞳の告発」(2011)では優しい教師の

    姿を演じ、

    「新感染 ファイナル・エクスプレス」(2016)では

    娘のためにとにかく戦い続けるカッコいい父親の姿を

    演じました。この人、脱いだら体もすごいんです。腹筋が

    完璧に割れています。
    一方、チョン・ドヨンといえば、韓国映画の女優さんに

    しては珍しく?自然な顔立ちの方で、

    「ハウスメイド」(2010)のメイド役や

    「マルティニークの祈り」(2013)での身に覚えのない罪で
    刑務所に入れられてしまう平凡な、本当に平凡な主婦の役が

    とても印象的です。メイクをした時とほぼすっぴんの時で

    こんなにも雰囲気が違うのかと思ってしまいます。
    舞台は極寒の地と呼ぶにふさわしいフィンランド、ヘルシンキ。

    舞い散る雪がまさに氷の結晶のようにキラキラ輝いています。

    そこで国際学校に通わせているサンミンの息子ジョンファは、

    何か障がいを持っているらしい。韓国のサラ金のCMの歌を

    ひたすら歌い続け、1つのことに固執する姿を見てもそれが

    伺えます。そしてこの学校でキャンプに行くということが

    心配でたまらないサンミンは、教師に注意されて同行するのを

    諦めるとふと向こうの方に同じく娘を連れて来たギホンを

    見つけるのです。こんな場所で同じ国の人と出会うなんて。

    それもめっちゃイケメン(と思ったどうかは知りません)。

    タバコの火を借りたのがきっかけとはいえ、この人が

    ブサイク男なら、せいぜいタバコのを火を借りて

    「ほな、さいなら」だっただろうし、一緒にキャンプ場

    近くまで行こうと誘われても断ったに違いない、とわたしは

    謎の確信を持っています。
    コン・ユだもの。女性だってチョン・ドヨンだもの。
    「息子がいないと生きていないと思ったのに、気が楽になった」

    とつい本音を漏らしてしまうサンミンをすっと抱きしめる

    ギホン。森の中のサウナ小屋でのラブシーンは、かなり

    ソフトですが、とても艶っぽく、胸がどきどきします。BGMが

    美しいのとギホンの指がとても細くてきれいなのです。

     

    男と女
    出典:IMDb

     

    名前すら知らないまま別れた二人ですが、ソウルに

    戻ってきた後に、何と再会します。それはほぼギホンの

    ストーカー行為ですね。いつ教え合ったのか知らないけれど、

    携帯電話が鳴りそれに出ると「僕だよ」。

    さらに外を見ると彼の車が止まっていて、彼がこちらを

    見ています。コン・ユだから許す。
    ギホンの娘も心の病を持っているし、さらに妻までも心を

    病んでいるらしい。ただ共通して言えることは、どちらも

    経済的にかなりゆとりがあるということです。ソウルの狭い

    路地の奥のボロ家や郊外の長屋に住んでいるのではなく、

    近代的な建物に住んでいます。またサンミンはファッション

    関係の仕事で自立している女性です。ギホンも建築関係で

    かなり成功を収めている男性で、生活面の苦労は一切

    ないのです。そこにラブストーリーが生まれると、本当に

    夢物語のようになり、「不倫」という言葉が消えて「恋愛」

    という表現しか残らなくなる気がします。
    二人の逢瀬は、携帯電話の着信や子供の目覚めで邪魔される

    ことが多いですが、そのもどかしさもひっくるめて美しいのです。

     

    男と女
    出典:IMDb

     

    サンミンが出張のため列車に乗ると、着信があり、それに

    出ると、何と隣の席に彼がやって来る。席を移動して通路を

    挟んで座りなおすサンミンに「遠すぎる」と言うギホン。

    ずるいぞ、これは。
    これほどプッシュするギホンにサンミンが幾度となく指摘する

    のが「あなたは曖昧に生きている」ということです。その言葉は

    ラストまで心に残ります。

    あそこで彼女と逃避行したら...

    あそこで彼女のもとに駆け寄ったら...

    あそこでドアを開けたら...

    あそこで車を出発させたら...。
    サンミンとギホンの気持ちの強さは同じだったけれど、二人の

    決意の違いがこうさせてしまったのだし、これでよかったのだ

    とも思います。でもね、わたしはサンミンが好きです。
    美しいフィンランドの雪景色と音楽がマッチしてまるで欧米映画を

    見ているよう気がしていました。

     

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    家へ帰ろう

    3

    JUGEMテーマ:洋画

     

    家へ帰ろう

    出典:IMDb

     

    「家へ帰ろう」

    原題:El ultimo traje/The Last Suit

    監督:パブロ・ソラーズ

    2017年 アルゼンチン=スペイン映画 93分

    キャスト:ミゲル・アンヘル・ソラ

         オルガ・ポラズ

         アンヘラ・モリーナ

         ユリア・ベアホルト

     

    ブエノスアイレス在住のアブラハムは老人ホーム入所前日、

    娘や孫たちに囲まれ、記念撮影をする。そして家政婦が

    1着のスーツを見せ「これはどうします?」と尋ねてから、

    彼はそのスーツと共にある場所に向かうことを決意するの

    だった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 気難しそうな老人の胸の奥にしまって

    あった思いを知った時、思わず涙がこぼれます。


    封印した記憶とスーツ


    学生時代のゼミの教授の専攻が「ポーランド現代史」だった

    けれど、エアヘッドだったので、ポーランドという国について

    ほとんど興味を持たず、また知る努力もせず、ただ見た目が

    かっこいいというだけでゲバラを中心にキューバ革命について

    卒論を書きました。今考えると全て参考文献から丸写しして

    いたような気がします。ああ、恥ずかしい。
    そのポーランドは、現在ナチス占領時代の損害賠償540億ドル

    をドイツに請求することを検討し始めている

    (2018 9/1付 朝日新聞より)

    と知り、そしてこの映画を見て、ポーランド人に対し、先の
    大戦中ドイツ軍が何を行ったのでしょうか。

    それはあまりにも非情な行為の数々なのです。ユダヤ人に対する

    ホロコーストは幾つもの映画で目にしますが、ポーランドに

    対するドイツ軍、ソビエト連邦軍の行為は

    「カティンの森」(2007)で初めて知ったくらいです。西から

    ドイツ軍、東からソビエト軍が侵攻し、国を分断されたポーランド

    において、ヒトラー率いるドイツ軍は、彼の著書「我が闘争」
    で計画されたように大ドイツとして東ドイツが構成されるとし、

    ポーランド文化そのものを破壊していきました。「カティンの森」

    ではポーランド軍将校はソ連軍、兵士はドイツ軍の捕虜になったと

    描かれていましたが、一般人は、ユダヤ人同様の扱いを受けていた

    のです。

    「家へ帰ろう」の主人公アブラハムが時折夢に見る過去の忌まわしい

    記憶や彼が語る言葉から、彼がワルシャワでの生活をほとんど口に

    しなかった理由がおのずとわかってきます。
    序盤は老人ホームに入る前日の、そこそこ和やかそうに見える一家の

    姿がややコミカルに描かれ、偏屈だけれど少しおちゃめなアブラハム

    の性格が少しだけわかります。その彼が急に表情を変えたのは
    1着のスーツを目にしたときです。そのときからある決意を抱き、

    即行動に移すのです。

     

    家へ帰ろう
    出典:IMDb

     

    マドリッドまで乗った飛行機の中で、話しかけ続け、相手が嫌がって

    席を立つと、ゆったり3席独占して横になるアブラハム。

    なかなかやるぞ。しかし入国審査で「目的」を話さないアブラハムは
    管理官に別室に呼ばれるし、そこで例の相手と再会です。なんと彼は

    妻子に会いに来たもののビザなし渡航かつ金がないので強制送還される

    と言う。ここでケチなアブラハムは温情を示すんですよね。
    足が悪く家から出ることが少なかった老人が、あかの他人と接した

    ことで、気持ちが変化していくのがわかります。

    ほんの少しですけどね。

     

    家へ帰ろう
    出典:IMDb

     

    またマドリッドのホテルの女主人は、すばらしい歌声を披露し、

    さらに久しぶりに男と女同士の会話をするんです。かつては

    アブラハムもモテたのかもしれない。ところが留守中にホテルに

    何者かが侵入し、有り金を全て盗まれてしまいます。

    アブラハムがっかり。

    そのときのアドバイスもこの女主人がしてくれたし、移動する際の

    運転手は例の空港の青年です。

     

    家へ帰ろう
    出典:IMDb

     

    勘当していた娘に金を借り、パリから目的地に行こうとすると、

    彼が絶対に通りたくないし、名前すら口にしたくない国を通過する

    ことに気づくのです。この時言葉の通じない駅で駅員に必死で

    訴えるのですが、その言葉を理解しているだろうし、その歴史も

    少しは知っているであろうという年頃の人々がみな眉をひそめる

    のです。

    「ノードイツ」「ポーランド」
    その場を助けてくれたのは、スペイン語も話せるパリに住む女性

    ですが、なんとドイツ人です。アブラハムが最も忌み嫌うドイツ人が

    手を差し出すというのは何とも皮肉なことだけれど、その巡り合わせが
    彼の心中を吐露するきっかけにもなるのです。

    「罪は何だったのか」
    「この目で見た」
    楽しそうに創作物語を披露していた可愛い彼の妹やそれを笑いながら

    聞いていた彼の両親も含め多くの人々は、その後どうなったの

    でしょうか。さらに切断を勧められている彼の右足を傷めた原因は
    なんだったのでしょうか。あまりにむごい戦争の傷跡は、70年間

    封印され、決して思い出さないようにしてきたことが強く伝わります。
    マドリッド、パリ、そしてワルシャワで人と出会い、人に助けられ、

    最終目的地で彼がしたかったことができたのかどうか、必ず自分の

    眼で確かめてほしいです。
    列車の窓から見えるのどかな景色や歴史と現代が混在する街並みにも

    目を奪われてしまいました。大好きな映画です。

     

     

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    誰もがそれを知っている

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    誰もがそれを知っている

    出典:IMDb

     

    「誰もがそれを知っている」

    原題:Todos lo saben/Everybody Knows

    監督:アスガー・ファルディ

    2018年 イタリア=フランス=スペイン映画 

    133分

    キャスト:ペネロペ・クルス

         ハビエル・バルデム

         リカルド・ダリン

         バルバラ・レニー

     

    妹の結婚式に出席するため、アルゼンチンからスペインに

    帰省したラウラと子供たちは、家族や幼馴染のパコとの

    再会を喜び合う。しかし式の後のパーティーの最中に

    ラウラの娘イレーネが誘拐されてしまい、それをきっかけに

    様々な人々の秘密が暴かれていくのだった。


    <お勧め星>☆☆☆半 人間関係が複雑でさらにそれぞれの

    心中を映像から察するしかなく、やや不完全燃焼の印象です。


    平凡な日常は砂山

     

     

     

    <ネタバレしていないと思うけれど注意してね>


    アスガー・ファルディ監督の作品はいくつも見ており、結構

    大好きなものばかりです。
    「彼女が消えた浜辺」(2009)
    カスピ海のリゾート地の海岸で姿を消した1人の女性を

    巡って、仲の良かった夫婦、友人同士が互いを責め立てて

    いく。冒頭に車の窓を全開にして大騒ぎをしていた男女が

    どう変わっていくか、どこまでも美しい浜辺の青空と共に

    描かれていました。
    「別離」(2011)
    娘の教育のため、外国に移住したい妻と実父の介護のため

    国に残りたい夫との離婚話から始まり、貧しい介助人に

    起きた悲劇を重ね合わせて、宗教戒律の厳しさ、男中心の

    社会、貧富の差を強く印象付けています。
    「ある過去の行方」(2013)
    離婚手続きをするためテヘランから妻のいるフランスに

    来た夫が、妻にはすでに再婚相手がおり、さらにその

    再婚相手には、実は植物状態の正妻がいて..というかなり

    ややこしい人間関係と肝心なことが最後まではっきり

    わからなかったと覚えています。

    で、どうなんだという感じでした。
    「セールスマン」(2016)
    舞台劇を演じる夫妻の妻が、ある時暴行され、その事件を

    きっかけに夫婦の関係が少しずつひび割れていく様を、

    舞台上の演劇を同時に映しながら描いています。まさに

    水面に放った石の波形がどんどん広がっていく姿そのもの

    という感じでした。
    いずれの作品も明確なラストが提示されず、見る側が

    推測するものになっています。

    個人的には「彼女が消えた浜辺」が一番好きで、はしゃいで

    いた浜辺の人々の声が悲鳴に変わった瞬間からの映画の展開の

    仕方が、登場人物の心の奥底を抉り出していくような気分に

    襲われます。それでいて景色はどこをとっても美しいのです。
    「誰もがそれを知っている」もまさしく同じような展開です。

     

    誰もがそれを知っている

    出典:IMDb

     

    アルゼンチンから妹の結婚式に出席するためにスペインに

    戻ったラウラの娘イレーネが結婚式のパーティーの最中に

    誘拐されてしまう事件から始まります。

     

    誰もがそれを知っている

    出典:IMDb

     

    とにかく登場人物が多く、その関係を知るのに一苦労です。

    ラウラ役のペネロペ・クルスやパコ役のハビエル・バルデム、

    またラウラの夫アレハンドロ役のリカルド・ダリンはすぐに

    覚えられるけれど、同じような年恰好の男性、女性がどれも

    同じに見えてしまう。
    そして身代金を要求するメールまで届いたのに

    「なぜに警察に届けないのか」

    とずっと疑問に思い続けました。しかしスペインの小さな町では、

    誰が何をしたか、話したかなどは一晩で伝わってしまう。
    したがってまずは体面を繕いたかったのだと判断しました。
    ラウラにはアルゼンチンに残った夫アレハンドロがいるものの、

    この町には元恋人パコがいて、イレーネが誘拐された時、

    ひたすら彼に頼るのです。パコもラウラのために妻ベアが

    止めるのも無視してイレーネ捜しに奔走します。ラウラの

    依存心とパコの責任感の強さには少しあきれ返るほどだった

    けれど、それについてはある隠された事実

    (実は誰もが知っていた)が背後にあるとわかると納得です。
    「あの日に戻りたい、もう一度」を結婚式でみんなで歌って

    いました。そんな思いは誰もが持っているけれど、それが

    叶わないことも誰もが知っているはずなんですよね。

     

     

     

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    さらば愛しきアウトロー

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    さらば愛しきアウトロー

    出典:IMDb

     

    「さらば愛しきアウトロー」

    原題:The Old Man & The Gun

    監督:デヴィッド・ロウリー

    2018年 アメリカ映画 94分

    キャスト:ロバート・レッドフォード

         ケイシー・アフレック

         シシー・スペイセク

         ダニー・グローヴン

     

    1980年代のアメリカで銀行強盗と16回の

    脱獄を繰り返しているタッカーを刑事ハントが

    ひたすら追い続ける。そしてタッカーは遂に銀行の

    金ではなく金塊を狙う計画を立てるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆ ひたすらのどかな強盗の話で

    年齢を重ねたレッドフォードの人生と重なります。


    銃を地面に置く


    山口百恵が引退発表をし最後のステージで最終曲を

    歌い終わった時、マイクを持ったまま舞台を後に

    しました。その後松田聖子が婚約を発表した時の

    ステージは、マイクを持ったまま舞台のそでに下がる

    という対照的な行動をとったことは今でも覚えています。

    ああ、でも聖子ちゃんは何回結婚したんだっけ。

    そもそもその前にも数多くの噂が流れていたなあ。

    女性が結婚すれば、仕事をやめ家庭に入るのが普通

    だった時代に、今から考えると聖子ちゃんは時代の先を

    行く女性だったのかもしれません。
    そんな話と全然関係ないけれど、この映画は

    レッドフォードが俳優として最後の作品だと公言して

    いるものです。

     

    さらば愛しきアウトロー
    出典:IMDb

     

    70歳にして銀行強盗を重ねるタッカーとその仲間は、

    あくまでも人を傷つけずに紳士的な態度で金を奪うことが

    モットーなのです。
    「キミは美人だね」
    「キミは仕事熱心だ」
    などと銃を見せて金を奪った相手を褒めるセリフを残して

    現場を去るので、被害者本人は、タッカーのそれほど悪い

    印象を持たないどころか、逆に「紳士的」とまで褒めて

    しまいます。かなりキザだけど、かつてイケメン俳優で

    一世を風靡したレッドフォードだから許せちゃう。

    彼が出演した映画で一番好きなのは「追憶」(1973)で

    人気者でハンサムのレッドフォードと口から唾を飛ばす

    勢いで理想に燃える活動家のバーブラ・ストライザンドの

    組み合わせが両極端だと思ったことを覚えています。

    バーブラが歌う「The Way We Were」は今聞いても涙が

    自然と流れてきます。

     

    さらば愛しきアウトロー
    出典:IMDb

     

    さて一方のタッカーたちを追う刑事ハント役は、

    ケイシー・アフレック。最初ケイシーと気づきませんでした。

    典型的な童顔だったのに、それがいつの間にか渋さを

    感じさせる中年になっているんです。

     

    さらば愛しきアウトロー
    出典:IMDb

     

    またタッカーといい雰囲気になるジュエル役の

    シシー・スペイセクが最高にキュートな女性です。

    「キャリー」(1976)での線の細さがそのまま残り、

    皴の一つ一つに優しい年輪が刻まれているような雰囲気
    なのです。
    ストーリーは実話がベースなので特に目新しいものはなく、

    ひたすらのんびりとした銀行強盗シーン、カーチェイスが

    続き、時々クスリと笑えるようなセリフや映像が映ります。

    タッカーにとって記憶の中からすっかり消え去っていた事実が、

    まさか...。おーっとここは言っちゃいけない。
    「スクリーン」「ロードショー」という映画雑誌の表紙を飾り、

    付録のポスターにもなっていたレッドフォードは、最後まで

    紳士としてふるまって銀幕を去るのでしょうか。かっこいいな。

     

     

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    ラ・ヨローナ〜泣く女

    4

    JUGEMテーマ:Horror

     

    ラ・ヨローナ

    出典:IMDb

     

    「ラ・ヨローナ〜泣く女」

    原題:the Curse of La Lalorna

    監督:マイケル・シャヴェズ

    2019年 アメリカ映画 93分

    キャスト:リンダ・カーデリーニ

         ローマン・クリストウ

         レイモンド・クルツ

     

    ケースワーカーとして働くアンナは担当する

    パトリシアに虐待の疑いがあることを告げられる。

    アンナは警察官と共に彼女の息子二人を保護するが、

    彼らはその晩川で溺死してしまい、たまたま現場に

    来ていたアンナの息子クリスが不気味な女を目撃して

    しまう。そしてその日からアンナの家で恐ろしい

    出来事が次々に起こるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆半 決して晩に一人で見ないで

    ください。湯船につかっていると...。キャー!


    神父の対症療法


    「死霊館」シリーズのジェームズ・ワン、

    「IT/イット”それ”が見えたら終わり。」の脚本

    ゲイリー・ドーベルマンが製作に加わっており、それ

    だけで期待が高まるというものです。

    始まりは1963年メキシコ。
    1人の女が息子の頭を川の水の中へ突っ込んでいるのを、

    物陰からもう一人の息子が見ています。そして逃げようと

    した途端、女に捕まり、同じように水の中に押し込まれる

    のです。これが誰で、何を意味しているのか。
    そして1973年ロサンゼルス。ソーシャルワーカーの

    アンナは警官だった夫が殉職し、息子クリスと娘サムの

    世話をしつつ、仕事にも励む超多忙なママさんなのです。

    そんな彼女が担当しているパトリシアに息子虐待の疑いが

    かかり、彼女は警官と自宅に向かいます。

    今から約50年前でも児童虐待への動きは早かったのですね。

    今の日本もこのように動きが早く権限が強ければ、救える

    命がたくさんあるのに。そんなことを考えながら見ていると、

    パトリシアの様子は明らかにおかしいし、ようやく入った

    家の中も何やら文字が描かれている異様な姿をしています。

    そして鎖でくくられたドアの中にいた子供2人は腕にやけどの

    傷があるのです。これはもうアウト。

     

    ラ・ヨローナ

    出典:IMDb

     

    ラ・ヨローナ

    出典:IMDb

     

    パトリシアは逮捕され、息子は施設の収容され「もう安心よ」

    とアンナが言うと「どこにいてもアイツは来る」と息子の一人が

    答えるのです。
    「アイツ」
    そして施設の部屋が消灯されると、先ほど隣に寝ていた兄の

    姿がない。明かりが消えると何かが変化する..「IT」でも

    ありました。弟が廊下に出て兄の姿を持つけると、兄は次々に

    角を曲がっていきます。この進み方もどこかで見たようなもの

    ですが、やはりドキドキします。絶対にこの後に何かが起きる、

    あ!起きた!
    「水」で思い出すのは「仄暗い水の底から」(2002)です。

    「リング」(1998)ではビデオテープと井戸が恐怖アイテム

    だったのに、さらに水道の水が新アイテムとして加わり、それは

    それはゾクゾクしました。結構ホラー映画は好きなのですが、

    この映画は1回見ただけでもう見たくないほど怖いです。
    その後兄弟が川で溺死体で発見されたことを知らされたアンナは

    現場に向かうのです。たまたまその車に乗ってきたクリスと

    サムのうちクリスは、ちょーっと外に出てのぞき見をしようと

    したらシクシク泣く女をみてしまいます。こら出るんじゃない!

    恐怖アンテナがピンと立ったクリスは急いで車に戻るけれど、

    その女がクリスの足を引っ張るは、閉めようとしたドアを

    開けようとするは、お決まりのロックをどんどん解除するはで

    大パニックです。最終的に女がフロントガラスにピタッと

    張り付きます。この辺りでトイレに行きたくなると困りますね。

    もしトイレに行ってもドアは全開にしないと後ろを振り返った
    時に何か水が落ちているような気がします。

    けっして漏らしたわけではないのです、たぶん。
    この晩からアンナ一家に恐怖が襲い掛かります。本当にホラーの

    定番の窓の開閉音や、突然消える電気、さらに「泣き声」が

    頻繁に聞こえるのです。

     

    ラ・ヨローナ

    出典:IMDb

     

    そして「水」は例の女を誘うかのように、サムが入浴中、
    いつも通りアンナが髪の毛を洗ってくれていると思うと、実は

    その手は生きた人間のものではありません。入浴シーンは

    序盤にも出てきているので、サムがアンナと勘違いするのも

    当然と思うのです。でも

    「ママ、ちょっと今日は力が強いわよ」...。

     

    ラ・ヨローナ
    出典:IMDb

     

    結局アンナは元神父のラファエルに助けを求めるのですが、

    この人自信満々の割に結構弱いんです。「死霊館」の

    ウォーレン夫妻のように絶対に信頼できる気がしない。終盤は

    次々に襲い掛かる恐怖とそれに立ち向かうラファエル、アンナ、

    クリス、サムの姿が映り、一難去ってまた一難という感じです。

    それでも最後まで飽きることなく見られました。

     

    ラ・ヨローナ
    出典:IMDb

     

    映画の中でちょっとだけ映ったアナベル人形やペレス神父の姿を

    見ると、この映画もシリーズ化されていくような気がしました。

    それにはもっと強い神父が必要だな。

     

     

     

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    THE GUILTY/ギルティ

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ギルティ

    出典:IMDb

     

    「THE GUILTY/ギルティ」

    原題:Den skyldige/The Guilty

    監督:グスタフ・モーラー

    2018年 デンマーク映画 88分

    キャスト:ヤコブ・セーターグレン

         イェシカ・ディナウェ

         ヨハン・オルセン

     

    緊急通報室のオペレーター、アスガーは、

    「今まさに誘拐されている」という女性の通報を

    受ける。彼は女性を救うため、聞こえてくる声や

    音に耳を澄ませるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆


    緊急だからなのか

     

    電話での会話がほとんどの映画で思い浮かべるのは

    [リミット](2010)です。男が目を覚ますと、

    そこは狭い狭い棺の中で、その棺は土中に埋まって

    いるらしい。棺の中にはライター、ペンと携帯電話が

    入っており、体の向きをあちこち変えながらそれを手に

    取り、助けを求めるのです。まず、警察、女友達、FBI

    など。携帯電話で通話し続けたらそりゃバッテリーが

    なくなるし、そもそも土中に埋まっている棺の酸素だって

    なくなってくるはずです。まさに「時間」との戦いなの

    ですが、公共機関での手続きが当然のことながら

    「マニュアル通り」であり、すごくイライラします。

    社会保障番号なんて言っている暇ないんだよ!

    あ、でも最近知ったのですが、マイナンバーカードの

    顔写真付きは「印籠」のように公的機関で通用しますので、

    自動車免許証を持っていない高齢者にはぜひとも作る

    ことをお勧めします。
    家の場合、高齢の母親が持っています。

    「そんなもの使わないでしょう?」

    と鼻で笑っていたのに、歩くのが不自由になり、

    ゆうちょ銀行での口座解約をしようと考えた母は、現地に

    行けません。行っても文字が書けないのでどうすれば

    いいかと尋ねたら「顔写真付きマイナンバーカード」と

    委任状で大丈夫でした。鼻で笑ってごめんなさい。
    棺の中の男はライアン・レイノルズで、彼だけが90分間

    映り続けます。「ここはどこなのか」「助けは来るのか」

    絶望的な状況が少しずつ変わっていった時、少し違和感を

    覚え始めるんですよ。その先は見てのお楽しみです。いや

    期待ではなく、元気が有り余っている時にお勧めする映画です。

     

    ギルティ
    出典:IMDb

     

    そしてこの「THE GUILTY/ギルティ」は緊急通報室の

    オペレーター、アスガーが通報を受け、緊急性が高いものを

    最も近い現場の指令室へ回し、あとは酔っ払いへのアドバイスや

    悪戯への対応に追われている姿が映ります。なんかやる気なさそう

    だし、周りの同僚からも反感を持たれている感じですね。

     

    ギルティ

    出典:IMDb

     

    「明日が終わればもとに戻れるんだ」かつての上司らしき男

    との電話での会話で、なんとなく彼の立場が分かってきます。
    すると一人の女性からかかってきた電話があまりに不自然な

    内容なことに気づくのです。アスガーはピンと来ます。もちろん

    あらすじがわかっている私もピンと来ました。

    遂にかかってきたか、これこそ問題の電話だと。しかしすぐに

    切れてしまいます。彼の仕事はあくまでもオペレーターなので、

    捜査など指揮できるはずもないのに、もういてもたっても

    いられなくなり、あちこちへ電話をするのです。アスガー、

    周りから完ぺきに浮きまくっているし、もう帰る時間だし、

    私的な通話を上司に注意されているし、しかし彼の「挽回したい」

    という気持ちがそう行動させたのかもしれません。
    「挽回」というのはもちろん今の職場からの移動(なぜ閑職に

    いるのかは説明アリ)だけでなく、彼の私生活面も指しているのだ

    と気づきます。
    一方、電話の女性には自宅の残してきた娘と赤ちゃんがいることが

    わかると、アスガーはささっと調べて自宅に電話をかけるのです。

    この娘の言葉でさらに彼の推理に確信を持ち、必ず救い出すからな!
    と確約までしてしまいます。はい!わたしも同じ推理です。

    ここで違うことを考える人はいるのだろうか。それこそ灰色の

    脳細胞を持つポアロかミス・マープルかはたまた明智小五郎か

    ホームズか。

     

    ギルティ
    出典:IMDb

     

    この緊迫したやり取りが明るい方向に進みかけた時、さてなにが

    わかるでしょうか。
    一つの方向に向いた考えを逆のものに変えるのは本当に難しく、

    一度目の考えより何倍も多くの事実が必要なのだと感じました。

    だからこそ事実をたくさん集めるべきなのです。しかしそれに

    時間が加わった時完ぺきな判断ができるのか疑問です。

     

     

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