家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

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家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

出典:IMDb

 

「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」

監督:李闘士男

2018年 日本映画 115分

キャスト:榮倉奈々

     安田 顕

     大谷亮平

     野々すみ花

 

2回めの結婚が3年目を迎えようとしているじゅんは、

妻ちえとの「結婚3年目に確かめ合う約束」が気に

なって仕方がない。そしてある日、じゅんが帰宅すると

ちえが口から血を流して倒れており、慌てるじゅんの

そばで「おかえりなさい」と言う。その日からちえは

毎日死んだふりをしているのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 奇妙な出来事が何を意味している

のか、少しだけ考えさせられます。


ちょうどいい半分こ


結婚3年目は「3年目の浮気」という歌が流行ったり、

(今は相手を変えて「30年目の本気」という歌を出して

いる。30年目の本気はどうもイメージがわかないなあ)

「倦怠期」などという言葉で片付けられたりします。確かに

交際していても3年くらい経つと何かギクシャクしてくる

ものがある気がします。例えばあんなに自分のことを心配

してくれた彼に「束縛」を感じてしまったり、チャームポイント
だった眼鏡より、裸眼視力のいい男に心を惹かれたりと、

心だけでなく見た目へも好みが変わってくるかもしれません。
この映画の加賀美じゅんはちえと再婚して3年。前の結婚が

3年目に突然終わりを告げたことで、ちえとは

「3年目にお互いの気持ちを確かめ合おう」

と約束していたわけです。この約束はちえからすると
やや一方的にも思えますが、交際中のちえの姿を回想シーンで

見ると、いやこれはやはりしっかり確認しべきだよなと実感

します。極めて変わった女性なのです。でも榮倉奈々さんが

演じるととても可愛い。
この辺りのことをよく頭に残していれば、3年目の約束が

普通に果たされるはずもないと気づいていたかもしれません。

 

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。
出典:youtube

 

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

出典:youtube

 

ある日じゅんが帰宅すると、ちえが口から血を流して倒れて

おり、「救急車!!」と焦るじゅんに、むっくりと起き上がった

ちえが「おかえりなさい」と言います。そして何食わぬ顔で

夕食の支度をするのです。つまり「死んだふり」をしていたの

ですね。その日から、ちえは、ワニの口に頭を突っ込んだ姿、

刃物で刺されている姿、銃でこめかみを撃たれている姿、頭を

矢で射抜かれている姿など毎日よくもアイデアが尽きないものだ

と思うほどの姿で「死んだふり」をして出迎えるようになります。
最初は驚き次には少し楽しんでいたじゅんも、さすがに疲れて

くるのです。

そしてなぜちえがこんな姿で自分を出迎えるのか大きな疑問を

持ち始めるのです。そこで相談するのが会社の同僚佐野で
この役は大谷亮平さん。

 

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

出典:youtube

 

めっちゃかっこいい。妻役は野々すみ花さん。まさにお似合いの

夫婦だわ。...と思っていると外から見ただけではわからない

夫婦だけの苦悩があることが見えてきます。このくだりは
ちょっと余分だったような気がします。
逆にちえの気分転換にと、じゅんが進めたクリーニング店の

パートで知り合った店主のおじいさんとの交流やちえの父親との

絆は、絶対に描かれるべき内容でした。それによってちえの

奇怪な行動の意味がなんとなく分かってくるような気がするのです。

 

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。
出典:youtube

 

「月が綺麗ですね」「わたし、死んでもいいわ」これは外国語で

書かれた何という文を訳したものでしょうか。さあ、調べよう!

 

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愛しのアイリーン

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愛しのアイリーン

出典:youtube

 

「愛しのアイリーン」

監督:吉田恵輔

原作:新井英樹「愛しのアイリーン」

2018年 日本映画 137分 R15+

キャスト:安田 顕

     ナッツ・シトイ

     河合青葉

     ディオンヌ・モンサント

     福士誠治

     木野 花

 

42歳、独身の宍戸岩男は職場の同僚にフラれ、半ば

やけくそで嫁探しツアーに参加し、フィリピン人の

アイリーンと結婚する。しかし母ツルはアイリーンを

嫁と認めず、彼女に猟銃を突き付けるのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 田舎あるあるが詰め込まれている

映画ですが、1人1人の気持ちを深く考えずにはいられない

内容です。


岩男が木に彫っていた文字


見る人によって受け止め方が全く異なる映画は結構存在

します。みんなが満点評価をつけるものはほとんど

ありませんが、評価が真っ二つに分かれるものとして

わたしは

「ブルックリン」(2015)と

「ラ・ラ・ランド」(2016)を思い出します。
「ブルックリン」はアイルランドとニューヨークの男性に

二股かけたしたたかな女性とエイリシュを批判する人達が

いました。あれは田舎から都会に住まいを移したことが

ない人にはぜーったいに理解できない感情なんだと強く

言いたい!一つの町で生まれ、育ち、同じ町の人間と家庭を

持ってそこそこ幸せに暮らしていたら、そりゃあ非難する

だろうな。
また「ラ・ラ・ランド」でも「どうしてミアは2年ぽっち

待てなかったんだ。極めて自己中じゃないか」と言う人

(多くが女性)の声を聞きました。そういう声を上げる人は、

あの公園の二人の会話がそれぞれの未来を語っていることに

気づかないんだろうな。二人は泣いていないけれど、見て

いる方は涙ボロボロです。と言ったら女性の友人が

「は?あんなねずみ顔の男(ライアン・ゴズリングにど失礼)
も魅力ないし、泣く要素ゼロでしょ。」と反論してきたので、

口を閉じました。はいはいその通りですねっと!
そしてこの映画では、田舎の跡取り息子、宍戸岩男42歳と

彼を溺愛する母親ツル、そして岩男が半ばやけくそで結婚した

フィリピン人のアイリーンの3人の心がエロスとバイオレンスの

中で描かれていきます。
今どき42歳で独身の男性なんて山ほどいると思うけれど、

田舎に住み、高収入でもなく、さらに親付きの男性のもとに

好んで嫁に来る(あえて「嫁」と表現)人は、限りなくゼロに

近いと思う。家だってボロいし、車だって古い軽のワゴン車だし、

仕事はパチンコ屋の店員だし、愛想もないし、アピール点

ゼロに等しいと思う。「真面目が取りえで..」

いやつまらない男ですよ。

 

愛しのアイリーン
出典:youtube

 

ツルの岩男に対する異常なほどの愛情は、まことに憎らしく、

時には恐ろしくもあり、その役を木野花さんが鬼気迫る演技で

見せています。しかし終盤にそれほどまでに岩男に執着する

理由がわかると、少しだけ彼女の心に共鳴することができる

のです。そしてこういう母親っていたよなとも思います。

 

愛しのアイリーン

出典:youtube

 

やくざ者(伊勢谷友介)を使ってまでアイリーンと別れさせ

たかったのは、息子可愛さ+「家」を守るということを託された

意地なのでしょう。知らんけど。

 

愛しのアイリーン
出典:youtube

 

またアイリーンも、貧しい家庭ゆえ、家族のために、つまり

金のために岩男と結婚したのは丸わかりで、そこに「愛」など

あったはずもないのです。しかしアイリーンが必死で日本語を

覚えようとする姿やどんなにツルに罵られても耐えている様子、

そして時折見せるとびっきりの笑顔を見ると、彼女の逞しさを

感じるのです。
では岩男はどうだったのでしょう。彼の生育環境から生まれた

気の弱さ(優しさと紙一重なので要注意)は、自らの気持ちが

抑えられない時、弱い者へ向かう暴力となって表れます。唯一

勇気を出してみたら、その結果がものすごく恐ろしい結果に

なってしまい、気弱な岩男はそれに耐えきれなくなるのです。
ラスト付近の雪の中のシーンは胸がギューッと締め付けられる

ようでした。そしてこんな現実が今も絶対に存在していると

思うと心が暗くなるのです。

 

 

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君が君で君だ

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君が君で君だ

出典:IMDb

 

「君が君で君だ」

監督:松居大悟

2018年 日本映画 104分

キャスト:池松壮亮

     キム・コッピ

     満島真之介

     大倉孝二

     高杉真宙

     向井理

               YOU

 

10年にわたり、向かいのボロアパートから一人の

女性を見続けている3人の男がいる。彼らは女性を

「姫」と呼び、彼女と接することなくひたすら姿を

見続けているのだったが、ある時女性の恋人が作った

借金の取り立て屋に姿を見られてしまい...。


<お勧め星>☆☆☆ 誰が一番その世界に入り込んで

いたのかを考えると胸が苦しくなります。


姫のすべてを受け入れる


キム・コッピは「息もできない」(2008)で初めて

知り、そして「クソすばらしいこの世界」(2013)

で成長した姿を見ました。「息もできない」は、まさに

息もできなくなるくらい重い映像がズシンと胸に突き刺さり、

逆に「クソ素晴らしいこの世界」では見事なスプラッター映画

である意味爽快感を感じました。

「この映画すごくいいからぜひ見てね!」

とは簡単にお勧めできないけれど、キム・コッピの存在感は

大きかったです。

 

君が君で君だ

出典:youtube 


そしてこの映画では、勝手に「姫」と呼ばれ、向かいのアパートに

住む3人の男たちに一日中監視、盗聴、盗撮されているのです。

ほぼストーカー状態ですが、彼らは特に接触を求めるわけではなく、
逆に接触すること、姿を見られることを極力避けているという感じ。

汚いアパートに新聞や段ボールで覆いをかけ、ひたすら「姫」の

姿を見て、声を盗み聞き、同じものを食べる。それだけでうれしい
らしい。ソンというその女性と共に3人の過去が時系列バラバラに

描かれていきます。そこで気づくのは、ソンが母の夢をかなえるため、

日本語を勉強するために韓国から夢いっぱいで来日した当初の
透き通ったような姿や笑顔が、ほとんど明るい日差しの下で映って

いたのにひきかえ、母を亡くし、ダメ男に貢ぐような女性に落ちて

行く過程では、次第に夜や雨のシーンが多く、暗く薄汚れているように
映されていくことです。

客観的に見ると、重い男が嫌いなくせに、自分が重くなっている

ことに気づかない、夢を追うのを諦めたら、他の人物の夢を支える

ことに希望を見出すという、女性の立場からするとこれは都合の

いい女になるタイプだと思ってしまいます。
一方、そんな彼女をなんと10年間も見続けている3人の男は、

ソンが歌が大好きな尾崎豊、顔が好きなブラット・ピット、信条が

好きな坂本龍馬とそれぞれ名乗り、本当の名前を捨て、ちっとも

似ていないのにその名前で呼び合うわけです。彼らはこの狭い

アパートの一室を「城」と呼び、そこに存在するのがソンという

「姫」であり、「姫」をただただ見守るのが使命と考えている

ようです。ここがまずおかしい。
しかしその世界にどっぷり浸かっている3人はそれなりに幸せなのです。

少し前に80年代のアイドル歌手のコンサートに行く機会があって、

そこでどう見ても母と息子で訪れている2人を見たのですが、
息子は(50代近い)オープニングから立ちっぱなしで、アイドルの

振りを全て真似しながら歌を歌っていました。その時隣に母らしき人は、

ずっと座ったままで、まあ高齢だからしんどいのでしょうが、
こうやっていつもコンサートに来ていたのだろうか、と目の前の

アイドルだった歌手の姿よりも気になってしまいました。自分の

世界に浸かってしまい、そこから出ることがなくなると、ある部分では
幸せだけれど、ある部分ではかなり歪な姿になってしまうかも。

そしてソンの恋人が作った借金を取り立てに来た友枝(向井理)と

ボス星野(YOU)がその空間を引き裂いてしまうと、とっ散らかって

いながらも存在し続けた世界が、風船の空気が抜けていくようにしぼんで
いくのです。それも小さな穴なので少しずつです。

向井理とYOUの言い合いはすごいですねえ。キレイな顔の俳優さんと

おしゃれな女優さんがこんな演技を見せるなんて思いもしません

でした。さらには間の抜けたようなソンの恋人ソウタ役の高杉真宙が

またイケメンなんです。なのにクズなんです。しかしクズになって

しまった理由はソンにもないわけではない。それらをすべて知っている

3人はソウタを「王子」とまで呼びます。このズレ具合が、見ている側に

一風変わった空気を送り込むのです。
3人は明らかに究極の愛を追求していたけれど、それは現実に手に

したいと思っていたのではなく、あの空間で共有できていたものだった

かもしれません。「姫」のすべてを受け入れるという狂気を
止めたのが「中途半端」な友枝なのも皮肉です。何が常識で何が

狂気かの境は、極めてあいまいですが、今までなかったものが急に

現れた時、自分の見てきた世界が色あせていくことに気づく者が多いし、
それでもその世界を捨てきれない者がいるのも確かなんでしょう。

個人にとっての幸せは個人にしか理解できないものだから。

 

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南瓜とマヨネーズ

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南瓜とマヨネーズ

 

「南瓜とマヨネーズ」

監督:冨永昌敬

原作:魚喃キリコ

2017年 日本映画 93分

キャスト:臼田あさ美

     大賀

     浅香航大

     若葉竜也

     大友 律

     光石 研

     オダギリジョー

 

ミュージシャンを目指す恋人せいいちのため、

ツチダはライブハウスで働きながら、キャバクラ

にも勤め始める。そして店の客に愛人契約の話を

持ち掛けられるのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 忘れてしまった遠い昔の

感情を思い出させる映画です。胸がキュンとなります。


ダメ男を好きになる重い女


「糟糠の妻」ってよく耳にしますよね。演歌歌手の

下積み時代を支える妻が、身を削って生活費を稼ぎ、

ひたすら夫のために尽くすのです。そして売れて

しまうと、若くて可愛い子に乗り換えてしまう
こともよくある話。そうだ、お笑いの世界でもあるし、

スポーツの世界でもあるし、何かの芸で世間に認められる

までの期間が長ければ長いほど、そういう女性が幾人も

存在するのかもしれません。それが美しいと思うのは

成功した状況が見えてきた時であって、一向に埋もれた

ままの場合「ヒモ」になってしまんだろうな。(勝手な想像)

 

南瓜とマヨネーズ
 

この映画のツチダも、音楽にこだわりがあるミュージシャンを

目指すせいいちのために、とにかく生活費を稼ぐんです。

「今日はどんな曲を書いたの?」ツチダは浮気するより

無職でいる男の方がいいという極端な考えを話す、実は

とても重い女なんですよ。せいいちのためにキャバクラで働き、

金持ちの客に愛人契約を迫られても、全て受け入れます。

 

南瓜とマヨネーズ

 

だってせいいちのためだもん。

 

南瓜とマヨネーズ
 

せいいち役は「ゆとりですがなにか」でゆとり世代を大好演

した大賀。こういう役がほんとうにぴったりです。一日中家に

閉じこもり、だーらだら発泡酒を飲み(ビールでないところが

可愛い)自分のペースで過ごしていく。生活費はツチダが全て

稼いでくれるんです。実はせいいちは、かなり音楽のこだわりが

あって、メジャーデビューできるチャンスをそのこだわりの

せいで潰していたらしい。音楽に対しては結構マジメなんです。

 

南瓜とマヨネーズ
 

それに引き換え、ツチダのかつての恋人ハギオ(オダギリジョー)

はとことん軽い男です。このタイプの男って絶対に会った

ことがあるし、もしかしたら引っかかったことがあるかも

しれない。20代前半くらいまでだと、ルックスが良くて

口がうまくて、甘え上手な男性の言う言葉が「うそ」と

感じていても「自分だけには誠実。自分が彼を支えるのだ」

なんて考えてしまっただろうな。今ならこのダメダメ男、

顔洗って出直して来い!と言えちゃうのに。
ハギオが乗り捨てたバイクが回収されていくのをやはり

追いかけようとするツチダは、ハギオに

「お前、どうせハギオ!って寄って来る」

と言われてしまいます。全て見透かされているんです。
この自信たっぷりのハギオも憎めないし、せいいちとの関係に

行き詰ったツチダが、ハギオに走る気持ちもなぜかわかって

しまうのが女性なんだと思う。
てなわけで、忘れていたはるか昔の感情を少しだけ思い出させ、

懐かしい気持ちになる映画でした。

 

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後妻業の女

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後妻業の女

 

「後妻業の女」

2016年 日本映画 127分 PG12

監督:鶴橋康夫

原作:黒川博行 「後妻業」

キャスト:大竹しのぶ

     豊川悦司

     余貴美子

     津川雅彦

     尾野真千子

     永瀬正敏

 

小夜子は、金持ち老人の後妻になり、金品を

巻き上げる後妻業の女である。彼女を仕切って

いるのは、表向きは結婚相談所を主宰する柏木で

あり、その紹介で小夜子は次々に老人を虜に

していくが..。


<お勧め星>☆☆☆ 実は極悪な犯罪を描いている

のに、あまりにコミカルで、それがすっかり消えて

しまっているのはやっぱり納得できません。


好きなことは読書と夜空を見上げること


この映画のジャケットは「家族はつらいよ」の

色調と似ているんです。そして笑顔溢れるこの2人。

「家族はつらいよ」が昭和を感じさせるほのぼの

三世代同居一家の話だったのに対し、こちらは
真逆の金持ち老人を騙しては結婚し、金品を巻き

上げてあの世に送るというアブノーマルな人たちの

話です。
大竹しのぶ演じる小夜子をはじめとして、彼女の

周りは悪い奴ばかり。大竹しのぶといえば

「青春の門」(1975)の織江役での鮮烈な

デビューを決して忘れることはできません。

それが「黒い家」(1999)では金の亡者の

極悪非道な女を演じ、アッと驚いたことも覚えて

います。あの映画は怖かった。
大竹しのぶの関西弁が上手いのかどうかわたしには

判断できなかったけれど、甘ったれた声で老人に

媚を売ったかと思うと、野太い声で啖呵を切り、

煙草に火をつける。これがこの人の本性で全く
もって下品な女だと実感し、それを観客に見せつける

からすごい。

 

後妻業の女
 

小夜子は何回も結婚しており、一人息子ひろしがいるものの、

こいつもクズだし、彼女が所属している結婚相談所の所長、

柏木もクズの中のクズです。この役は豊川悦司が演じていて、

やけにはまっているのなんのって。

 

後妻業の女

 

口八丁手八丁の上、絶倫らしく、真由美という北新地のホ

ステスと付き合っていたかと思うと、若い女、理紗にも手を

出している。理紗役の樋井明日香の脱ぎっぷりの良さには
生唾ごっくんです。演技力はうーんだけど、それを十分カバー

しているのかな。
小夜子が2015年に内縁の妻に収まった金持ちの独居老人、

耕造が倒れ、昏睡状態になった時、病院に駆け付けた彼の娘は

長谷川京子と尾野真千子。この下の娘(尾野真千子)と小夜子の

バトルは映画のクライマックスではないかと思うのです。

始めからちょいちょい言葉での言い争いはあるのですが、

小汚い飲み屋の座敷での大乱闘は本気度1000%です。

 

後妻業の女

 

あれは絶対の本気で殴っていると思う。尾野真千子が

奈良県出身でコテコテの関西弁を使うので、それがさらに

迫力を増しています。豊川悦司も大阪八尾市出身なのね。

どおりでうまいと思った。

前から思っているのですが、関西弁というのは本当に

イントネーションが難しく、関東に移住した関西人が関東弁を

覚えて話すのはとても簡単、しかし関東出身者が関西に

移住して関西弁を話すのはかなりのスキルが必要です。見事に

やってのけるのは渡辺謙さんくらいです。

(これはわたしの頭の中で思っていること)

全然関係ないのですが、三河弁も実は難しく、いえ多分

どこの方言でも微妙なイントネーションは、地元民でないと

発音できないと思うのです。NHKの朝ドラ「純情きらり」、

深夜ドラマ「みんな!エスパーだよ!」は本当に変な言葉が

使われていました。
さて小夜子の過去は、耕造の娘が雇った興信所の男によって

つらつらとバレてしまいます。そんな頃小夜子は逆に

騙されるのです。ここで初めて知る「竿師」という職業。

この職業である「通天閣」の持ち主役は笑福亭鶴瓶。

「家族に乾杯!」の穏やかな口調と優しい目が一変して、

小夜子に暴力をふるう時には、本当に怖いのはこういう

タイプの男性なんだなと妙に冷めた目で見ていました。
ラストはなんとなくいい話に収まっていたのと、小夜子も

含め悪者に何も制裁が下っていないことにはどうかと思うわ。

原作はどうなんだろう。

 

 

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妻よ薔薇のように 家族はつらいよ 3

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家族はつらいよ3

 

「妻よ薔薇のように 家族はつらいよ 3」

監督:山田洋二

2018年 日本映画 123分

キャスト:橋爪功

     吉行和子

     西村まさ彦

     夏川結衣

     中嶋朋子

     妻夫木聡

     蒼井 優

 

平田家の長男の嫁史枝がうたた寝をしている間に、

家に空き巣が侵入する。そして盗まれたものの中に

冷蔵庫に隠した彼女のへそくりがあったことから、

夫幸之助に叱られ、彼女は遂に家出をしてしまう。
日頃家事を一切史枝任せだった平田家は大騒ぎに

なってしまうのだった。

 

笑いの中に隠されたもの


「家族はつらいよ」シリーズ第3弾を一般公開に

先駆けて行われた試写会で鑑賞してきました。当日は

山田洋二監督ご本人のトークショーもあるということで、

最前列中央かぶりつき席にて、首を45度に傾けること

2時間超。
実は1,2をどちらも見ていて、登場人物をしっかり

把握しており、かつ自分の好みの映画ではないと散々

文句を書いてきたシリーズです。
1では、結婚50周年を迎える平田夫妻(周造、富子)

に巻き起こる熟年離婚騒動、2では、その周造が免許返納を

巡り、家族を巻き込んでの大騒動を取り上げ、いずれも

一家全員が集まり知恵を絞って問題を解決して大団円と

なります。もちろんすったもんだの連続でドタバタコメディ

要素もたっぷり。それがなんとも歯がゆいというか、現実

離れしているというか、こんな家族は昭和でも珍しいもの

だったと感じたものでした。
さて、3も同じように事件が起きるのです。そして今回の

主役は、長男幸之助と史枝夫婦。幸之助は周造と同じく、

仕事人間で家庭のことは一切顧みないにもかかわらず、

家計は自分が握っています。給料から毎月の生活費を史枝に

渡すというまあ、今ではめったに見ない光景を見せられます。

大体現金で渡すというのはいつの時代のことなんだろう。

さらに彼女は完ぺきな専業主婦で、習い事の一つもせず、
友人とランチを楽しむわけでもなく、日々食事を作り、弁当を

作り、家族を送り出すと、さあ家中の掃除開始となるわけです。
あ〜あ、あり得ないことだらけ。それでも周囲の観客の多く

からは「うん、うん」「そうよね〜」などという頷く声が

聞こえ、時折大爆笑も沸き起こるのです。多分、自分たちの

世代では、どれもこれも経験してきたシーンばかりなのでしょう。
終盤のお決まりのしんみりシーンでは、鼻水をすする音も

聞こえます。ここは泣きどころか、と思い、瞬きをしない

ままいると、なぜか涙がポロリ。これは本物の涙じゃないのか!
そんなこんなで予定調和の世界を見せられ終了。ところが監督が

登場してトークが始めると、今までの考えが一変します。
「みなさん、こんな家族は幸せだよ、と思うし、今どきこんな

家族はいないと思うでしょう?」
と観客に語り掛けたのです。そうなんです。平田家に起きて

きたこと、そしてこれから起こるであろう、いや、必ず起きる

はずの出来事は、厳しいものばかりなのです。それを敢えて

笑いに変えて描いていることに気がつくのです。考えてみれば、

辛いシーンもとことん辛くは感じられないのは、亭主関白の

周造も幸之助も、心の底には優しさを持ち合わせていることを

最初から知っているからなのです。
物事をそのまま描くだけが映画じゃない。明るく楽しく笑って

過ごせる時間を持つのも映画の醍醐味だと思います。そこから

少しでも活力を得られたなら、この映画を観た価値があるという

ものですよね。
お土産は、なぜか、丸美屋ののりたまと釜飯の素、麻婆豆腐中辛

でした。どこかにこれらが使われていたかな?
とにかくこの世界観を楽しんでほしいと思います。お勧めです。

 

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君の膵臓をたべたい

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君の膵臓を食べたい

 

「君の膵臓をたべたい」

監督:月川 翔

原作:住野よる

2017年 日本映画 115分

キャスト:浜辺美波

     北村匠海

     大友花恋

     矢本悠馬

     北川景子

     小栗 旬

 

同級生、桜良が膵臓の病に侵されているという

秘密を知った「僕」は、彼女に急接近される。

「僕」はそんな彼女の願いを一つずつ叶えて行くが...。


<お勧め星>☆☆☆ この手の話は好みではないけれど、

やはりそれを実感しました。


誰かとつながること


原作は未読なので、題名の意味は全く分からず、とは

いえそのままの意味ではないと感じながら鑑賞。映画は、

現在高校教師をしている「僕」が、かつて図書委員だった

ことから、老朽化した図書館の建て替えのため、在書整理

の担当になるところから始まります。現在の「僕」役は

小栗旬。かなりくたびれた感じで最初誰だかわからなかった

です。

 

君の膵臓を食べたい

 

この12年後の姿は原作には登場しないらしく、映画では

高校時代の「僕」とヒロイン桜良との姿を、現在の「僕」が

図書整理をしながら回想していくという展開になっています。

しかしながら高校時代の「僕」役が北村匠海でめっちゃ

イケメン。小栗旬もイケメンだけれど、あの濃い顔が成長

するとこんなシュッとした感じになるとは到底思えません。

一方桜良の親友恭子の12年後が北村景子が演じていますが、

こちらはもう綺麗になりすぎている。

 

君の膵臓を食べたい

 

君の膵臓を食べたい

 

このままだと「お鼻整形した?」とまず聞きたくなる。この

辺りは見た目なので話とはあまり関係ありません。
高校時代の「僕」は誰とも関りを持たず、「ネクラ」なわけで、

たまたまクラスの人気者桜良の秘密を知り、それ以降

「仲良し君」と呼ばれて、ほぼ一方的に付きまとわれるのです。

浜辺美波さん、普通。(あくまでも個人の好みです)
難病物にありがちな、涙がちょちょぎれるシーンが連続して

あるわけではないので、個人的には好感触だったのですが、

なぜか心が入り込めないのです。そうだ、この映画の高校時代

には「大人」がほとんど出てこないのだ。「僕」の家も桜良の

家も学校でも「大人」は出てきません。それは敢えてなの

でしょうか。もしかしたら終盤の「泣き」ポイント、その1で

登場する桜良の母親の存在を強めたかったのかしら。

 

君の膵臓を食べたい
 

それからセリフに深い意味を込めた言葉が多すぎて、小説なら

頭に入るけれど、映画の内容をセリフで補ったら、何のための

映像かと思ってしまうのです。
「人に臓器を食べてもらうと魂がその人の中で生き続ける」

的なセリフがばんばん登場し、ふむふむとなるけれど、それが

繰り返されると心に残らなくなってくるのです。
そして「泣き」ポイント、その2に至るまでがまどろっこしいので、

せっかく北川さんが嗚咽を漏らしても、こっちは全然泣けません。

北川さん、泣いてもきれいねえ。(そんなこと思っている場合じゃない)
誰かとつながることが「生きる」こと。その言葉はとても大事

だし、限られた命ですら、思いがけないことで失われることも

あるから、普通の日々を大事にしようという、ごく当たり前の

ことを再確認する感じで、どうもわたしの好みの映画じゃないなあ

と思ってしまいました。

 

 

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ケンとカズ

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ケンとカズ

 

「ケンとカズ」

監督:小路紘史

2016年 日本映画 98分 PG12

キャスト:カトウシンスケ

     毎熊克哉

     飯島珠奈

     藤原季節

     高野春樹

 

ケンとカズは自動車修理工として働く陰で、

覚せい剤の売人をしている。しかしケンは恋人に

子供ができたことから、その仕事から足を洗おう

とするが...。


<お勧め星>☆☆☆ 底辺ヤクザの暗く地味な世界を

とことん暗く描いています。


無機質な中の愛情


低予算であるのは一目瞭然。ヤクザと言って現れる

のがたった二人ずつだけだったり、シーンもどこかの

脇道と自動車修理工場とケンとカズの自宅、そして

堤防の上です。出演者も誰一人として知った顔はいません。

だからこそ演技に新鮮味があり、またカメラの多種多様な

映し方によって、極めてリアルな映像になっています。
カズ役の毎熊克哉が、もうね、ピッタリなんですよ。こう

いう不良というかチンピラをどこかで見かけたら、絶対に

お手を触れて...違う、絶対に目を合わせてはいけません。

前から歩いてきたら進路を開けましょう。
一方カズ役のカトウシンスケは、結構普通のお兄ちゃんで、

彼が先に覚せい剤の売人の仕事をしていて、カズを誘った

とは到底思えないんです。この辺りも細かい説明がない

ので推測するしかないのですが、多分少年鑑別所かなにかで

知り合って、出所後自動車修理工場に一緒に働き始めたものの、

ケンの先輩で末端ヤクザのボス、藤堂から売人の仕事を持ち

掛けられたのでしょう。(違うかも)ヤクザといえども

ピラミッドの底辺にはうじゃうじゃこんな人たちが蠢いている

わけで、ケンとカズの下にはテルという後輩もいるし、彼らが

同じようにテルを顎で使う。どうも見ていて気分のいいもの

ではありません。まあ、こういう所に街でたむろっている

10代のアホチンが入り込んでいくのでしょうね。

声を大にして言いたい。もっと語彙を増やそうぜ。
で、この2人に共通するのは「金が必要」なことなんです。

ケンは恋人が身ごもったことで、まとまった金を持ってこの

世界から足を洗いたいし、カズは認知症の母を施設に入れる

ためにの費用がいるわけです。だったら普通に汗水たらして

働こうという考えは起こることなく、手っ取り早く「売人」と

いう仕事で金を稼いでいる。カズの成育環境は劣悪で、まあ彼が

このような暴力的な性格になってしまったのも理解できるの

です。しかし前にも書いたように、ケンについては、割と

いい人だし、恋人もいる。かつてワルだったのかしらねと

思うけれど、決定的な説明シーンは見当たりまでんでした。
映画全体から漂う、無機質な空気感は、殺伐とした風景と

相まって登場人物の心中を描いているように見えました。
でもね、やっぱり勉強しようよ。そして働こうよ。

そうしないとこうなっちゃうよ。

ラストの車の座席のシーンは結構良かったです。

 

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ミュージアム

4

JUGEMテーマ:邦画

 

ミュージアム

 

「ミュージアム」

監督:大友啓史

原作:巴 亮介

2016年 日本映画 132分

キャスト:小栗 旬

     尾野真千子

     野村周平

     丸山智巳

     田畑智子

 

猟奇的な殺人事件がいずれも雨の日に起き、

現場には謎のメモが残され、雨合羽を着た人物の

目撃情報があった。警視庁捜査一課の西村は、

連続殺人としてそのつながりを調べて行くが...。


<お勧め星>☆☆☆ 132分にしなくても90分程度

でまとめてもよかった感じ


恐怖を弱める家族愛


「声」ってすごく耳に残るから、雨合羽の男が誰か

1発でわかってしまう。それはいいとしても、冒頭から

思い切りもったいぶった殺害現場の映し方。ここは

TVドラマ「キリング」のようにちゃちゃっと見せた方が

ドキリとするのになあ。原作は巴亮介という方の同名漫画

だそうですが、もちろん未読。なにやら家庭問題を抱える

警視庁捜査一課の沢村久志が、この事件の担当になるものの

組織の一員でありながら、当然のごとく指示に全然従わない。

これはよくあるパターンですね。

 

ミュージアム

 

そして次々に猟奇的な殺人事件が起こるわけです。そして

現場には「ドッグフードの刑」「母の痛みを知りましょうの刑」

「均等の愛の刑」「ずっと美しくの刑」「針千本飲ますの刑」と

その殺害方法についてのメモがご丁寧に置かれているわけです。

 

ミュージアム

 

ミュージアム

 

そこそこグロいシーンが映りますが、ホラー映画で慣れて

いれば別に平気。逆に血が苦手な方は見ない方がいいかも

しれません。そして被害者の共通項を探っていくと3年前に

行われた裁判員裁判に行きつくわけですよ。ここまでは

まあテンポもよく進み、そうか、あの雨合羽の男はその事件の

関係者か、と思うとあっさり裏切られます。この犯人捜しの

過程が最も面白く、犯人が誰か沢村が知った時点(これは

完ぺきに違法捜査)からは、急にスローダウンします。家庭を

顧みないから家族に見捨てられただの、妻の流産を知らなかった

だの、こちらはどうでもいい。また沢村自身の生い立ちも

どうでもいい。鼻水まで垂らして小栗旬が熱演するとこちらは

どんどんあくびが出ちゃうって。妻遥役の尾野真千子もこの役に

あまり合っていないし、もちろん演技は上手だけれど、最後まで

良妻のイメージに違和感を覚え続けます。
カエル男の熱演も確かに素晴らしく、気色わるい。でも同じ

シーンが続くと確実に飽きます。
それでも終盤の庭に出てきた途端に「ああ、これだ!」という

ところはすっかり忘れていました。(でも普通武装してたら

射殺するでしょう)そしてラストのラストにビデオカメラで

ズームアップされる沢村の息子の手の動きは、まさに不気味

そのものでしたね。
まあ期待していたほどでもなかったです。

 

 

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何者

3

JUGEMテーマ:邦画

 

何者

 

「何者」

監督:三浦大輔

原作:朝井リョウ

2016年 日本映画 97分

キャスト:佐藤 健

     有村架純

     二階堂ふみ

     菅田将暉

     岡田将生

     山田孝之

 

拓人とルームメイトの光太郎は就活中。同じ

アパートの2階に同級生瑞月の友人が住んでいた

ことから、そこを就活会議場と決め、それぞれ

活動し始めるが...。

 

<お勧め星>☆☆☆半 映画の方がずっと面白かった。

 

本音を見せることはかっこ悪いのか。

 

原作は「桐島、部活やめるってよ!」の朝井リョウの

同名小説で、この作品が映画化されると聞き、本を

読んだものの、何となく後味が悪く、結局WOWOWにて

鑑賞。原作本の方は、文字の数が極端に少なく、Twitterの

文面がずらずら並んでおり、その行間を読み取らないと、

中身がうまく伝わらないという感じがしました。

facebookのメアドからTwitterのアカウントを検索?

そうなんだー。

したがって映像化された時に、個々の表情が目の前で

見られたのでずっと理解しやすかったです。

 

何者
 

何者

 

御山大学で、演劇にのめり込んだ拓人、バンド活動で人気を

博した光太郎はどちらも留年。さらに同級生、瑞月は

海外留学のためやはり留年し、5年生に就活をするわけです。
皆同じリクルートスーツを着込み、同じ髪型、黒いバッグ、

黒い靴..。いつからこうなったんだろう。その異様な姿に

すっかり慣れたもののその中から個性を見出せるのだろうか。

 

何者

 

何者
 

そして瑞月のホームステイ先で知り合った理香と

その同棲相手隆良も登場します。本ではそれぞれの説明が

もう少し詳しくされていたような気がしますが、映画は

終始拓人目線で進みます。エントリーから試験の合否に

至るまでメールで届くという世界に身を置くと、私生活でも

それを常に活用している若者たちは、いつ「本音」を

語るのでしょうか。光太郎のように裏表のない人間もいる

かもしれないけれど、人間関係を潤滑にするために?

周りから浮かないために?「本音」を隠しているうちに、

自分が「何者」であったことすら忘れてしまうのかもしれません。
終盤に判明する拓人と理香の裏の姿を批判し合うシーンは、

まさに背筋がゾッとします。
但し、演劇の置き換えて拓人の心の中、つまり「裏垢」で

語っていたことを描いていく手法は素晴らしく、ラストも

なんとなくすがすがしいものでした。

 

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