溺れるナイフ

3

JUGEMテーマ:邦画

 

溺れるナイフ

 

「溺れるナイフ」

監督:山戸結希

原作:ジョージ朝倉

2016年 日本映画 111分

キャスト:小松菜奈

     菅田将暉

     重岡大毅

     上白石萌音

 

少女雑誌のモデルだった夏芽は、親の都合で田舎の

旅館に引っ越してくる。彼女は海岸の岩場で1人の

少年を見つけ、その神々しさに惹かれていく...。

 

<お勧め星>☆☆ これはいけない。全然おもしろくない。

登場人物の誰にも感情移入できません。


「神」さんは航ちゃん?


「神」さんという言葉がしばしばでてくるのですが、当然

Godのほうの「神」ですよね。当然、髪さんでも紙さんでも、

カミさんでもないのです。それが微妙はイントネーションで

「神」と気づけないところもある。それは私の方言なのかしら。
原作はあったり前田のクラッカーの未読のコミック。

こんな話読むかいな!
まずティーン雑誌のモデルだった夏芽が、父親の実家である旅館

のある町に戻ってくるシーンから始まります。人気モデルだった

のになぜ?まあそこはいいとして、モデルだったらから、

掃き溜めに鶴のように可愛いし、スタイルも抜群。級友である

カナ役の上白石萌音ちゃんが、いかにもいも姉なので差がつく

というもの。しかし上白石さん、演技力は素晴らしいです。
さてそもそもの人物設定が口での説明程度で唐突に航一朗を見つけ、

彼の神々しさに惹かれていくのはかなり無理があります。そりゃ、

田舎の中学生で髪の毛がパツキンなら光り輝くというものです。

さらに、学校に居場所がないと打ち明ける夏芽の言葉の裏付けは

一切なくて、大人気じゃなかったですか〜。それが居場所が

ないということかしら。
そして、映画の話が持ち上がった時、レイプ未遂事件に巻き込まれ、

2人は別れる...らしい。ここの省略具合が大きすぎて、一気に

高校生になっている夏芽を見て、おお、時間がたったのだなと

気づく程度です。推理するに守ってほしかった夏芽と守り切れ

なかった航一朗の気持ちがすれ違ってお互いのプライドが、二度と

会わなくさせてしまったんだろうね。(極めて大雑把な推理)
高校生になってもずっと夏芽に優しい大友役は、ジャニーズWEST

の重岡大毅君。こんなにいい子を弄んじゃいけない。
退廃的な姿を見せる航一朗役の菅田将暉が、桃太郎の鬼ちゃんの

ように身軽に動き、光を浴びたり、水中の中では繊細さを感じ

させる少年を好演。同時期に公開された

「ディストラクション・ベイビーズ」でも小松さんと共演して

いましたね。彼が踊る火祭りのシーンのみ渾身の力が込めて

作られているようで、実際に起きたことんなのかどうか、夢か

現実か曖昧でありつつ、やはり事実なのだとわかるのは上手かった。

ここでも上白石さんの演技が光りました。
撮影機関が17日という短さの中で、これだけのものを作れたのは

素晴らしいというべきか。いやもったいないなあ。  

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


エンドレス 繰り返される悪夢

4

JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

エンドレス

 

「エンドレス 繰り返される悪夢」

原題:A Day

監督:チョ・サンホ

2017年 韓国映画 91分

キャスト:キム・ミョンミン

     ピョン・ヨハン

     シン・ヘソン

     チョ・ウヒョン

 

国際協力に参加する外科医ジュニョンは、

久しぶりの帰国で、娘ウンジョンとの再会を

楽しみにしていた。しかし待ち合わせ場所に

向かう途中、彼は交通事故現場に遭遇し、そこの

息絶えたウンジョンを見つけてしまう。そして

その後再び着陸の近づく航空機内で目覚めるのだった。


<お勧め星>☆☆半 ストーリーはよくできているの

ですが、冗長なシーンが気になりました。


タイムループの原因は?


韓国映画に出てくる子供ってなぜに親に溺愛され、

そして逆にマナーの悪いタイプが多いのでしょう。

血縁を大事にするお国柄なのに、親への尊敬はいつ

芽生えるのかしら。もっと素直にならんかい!

大体お菓子を食べながら、ヘッドホンを耳にはめて

道を歩くんじゃない!

親からのメールはすぐに返信すること!

電話を無視するんじゃない!(あ、これは日本も同じか)
いわゆる紛争地での人道的な支援を行っている外科医

ジュニョンが、娘の交通事故現場に遭遇し、その死を

嘆いていると、あららという間に時間が戻って航空機の

中に座っている。さすがに幾度か繰り返すうちに、夢で

はなくこれは現実が何度も再現されているのだと気づく

わけです。じゃあどうするか。娘を事故に遭わせない

ようにする。高速道路の料金を踏み倒し、一方通行逆走、

スピード違反をしてもやはり間に合わない...。そこに

登場するのが第二の人物なんですよ。そうか彼も同じ

身の上だったのか、と二人でなんとかその事故を阻止

しようとするけれど、どれだけやってもやはり事故は

起きるんです。このあたりのテンポの良さはいいですね。

次々と繰り返され、ことごとく失敗する。

「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)のように

戦闘と死を繰り返し、戦闘技術を磨いていくという単純な

ものではないのです。
そうなんです。実は第三の人物がいるわけですよ。それは

二人のどちらにも関係している人物で、しかし多分その存在を

忘れられている人物。けれど第三の人物こそ最もこの

タイムループの根源に関わっており、彼も繰り返される事故に

絶望的な気持ちに追いやられているのです。その「絶望」は

ジュニョン、第二の人物ミンチョルとは真逆のものかもしれ

ません。このからくりは興味深かったです。なぜにジュニョンが

大学病院の教授を辞め、紛争地の人道支援に回ったのかという

理由にもつながってきます。ではどうこの事故を止めるのか、

そもそもこの無限タイムループをどうやって止めるのか。

ラストには例の小生意気なウンジョンが可愛いく見えてくる

から不思議なものです。繰り返される事故現場やその他の

シーンでも結構血みどろ連続なので、ファンタジーなんて

期待していたらびっくりすること間違いなし。それと邦画

によく見られる冗長なシーンがしばしばあり、そこはあくびが

出てしまいました。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


ラビング 愛という名前のふたり

4

JUGEMテーマ:洋画

 

ラビング

 

「ラビング 愛という名前のふたり」

原題:Loving

監督:ジェフ・ニコルズ

2016年 イギリス=アメリカ映画 122分

キャスト:ジョエル・エドガートン

     ルース・ネッガ

     マートン・ソーカス

     マイケル・シャノン

 

多くの州で異人種間の結婚が禁止されていた1958年、

黒人の恋人ミルドレッドの妊娠を知った白人のリチャードは、

ワシントンD.C.で結婚する。しかし故郷に戻ると保安官に

逮捕され、2人は25年間州外追放処分となってしまうの

だった。


<お勧め星>☆☆☆☆  淡々としたストーリーでありながら、

ラストには静かな感動の波が押し寄せます。


彼が私を守った


予告編は実に動きのあるもので、州法で禁じられた異人種間

の結婚をしたカップルが、逮捕され、非情な判決を受け、

それに耐え、そして闘うかのように思われました。しかし、

本編では、逮捕され、裁判を受けるシーンも淡々と描かれ、

それを2人は不当と思いながらも受け入れています。法律で

決まっていることに立ち向かおうとする姿などはみじんも

感じられないのです。
そもそも内容の多くが、リチャードとミルドレッドの日常生活を

映すもので、故郷バージニアに思いを馳せながらも判決を受け入れ、

10年近くワシントンで暮らし、その後、秘密裏に州へ戻り、

周囲から身を隠すように暮らすこととを選びます。それがなぜ、

急に動き出すかというと、そこにはいわゆる「人権派の弁護士」

の姿があるわけで、この後沸き起こる公民権運動の先駆け裁判と

して、最高裁に上告を受理してもらうことが最終目的だったの

かもしれないし、世間に注目させる目的も含んでいたのかも

しれません。

主役リチャードを演じるのは「ザ・ギフト」(2015)の

ジョエル・エドガートン。いかにも武骨で、優しい心を持って

いるけれど、その感情をほとんど表に表さない男性を好演。

「ザ・ギフト」のウルトラ怖いおっさんとは大違いです。中盤、

雑誌ライフの記者役で

「ドリームホーム 99%を操る男たち」(2014)の

マイケル・シャノンが登場するので、何か魂胆があるのかと

思うけれど、それはないです。しかし彼が書いた記事は

「結婚という名の犯罪」というセンセーショナルな題名を

つけられており、表面的には何もなかったかのように

振舞っているリチャードの職場の誰かが、その記事をレンガに

張り付けて車に放り込んでします。表面的に「差別はしない」

と口にする人たちの心の奥底が見えたようでここは怖かった。

またかつては親しかったリチャードの故郷の黒人たちから

「お前は白人ではなくなったんだ」と言われる姿も辛かった。

その気持ちは理解できるけれど。ここでリチャードは初めて

大泣きするんですよ。ミルドレッドの腕の中で。自分は何一つ

変わっていないのに周囲はどんどん変わっていくのです。
英雄視されることを嫌ったミルドレッドの気持ちを生かす形で、

(リチャードは裁判の数年後に事故死)静かなストーリーを

展開し、ラストに大きな余韻を残す内容になっていました。
人種などという人間というくくりの中の些細な事柄で分類する

ことが、いかに愚かで悲しいことか。ほんの50年前の裁判で

勝ち取った権利がどれだけ重要なものであったのか。それらを

踏まえてみてほしい映画です。
「異人種間結婚の脅威」という考えを作り上げたのは、

誰だったのか、そもそも「脅威」など存在したのか。いろいろ

考えると怒りがこみ上げますが、人種問題を扱った映画は、

美談として演出されがちで、それはややもすると不快にも

感じ取れてしまう。それが一切なかったこの映画は極めて

秀逸だと思うのです。

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


エンド・オブ・トンネル

4

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

エンド・オブ・トンネル

 

「エンド・オブ・トンネル」

原題:Al final del tunel

監督:ロドリゴ・グランデ

2016年 アルゼンチン=スペイン映画 120分

キャスト:レオナルド・スバラーリャ

     クララ・ラゴ

     パブロ・エチャリ

     フェデリコ・ルッピ

 

事故で妻娘を失い、車いす生活を送るホアキンの家の

2階を、ベルタとその娘が借りることになる。地下室で

仕事をするホアキンは、ある時壁越しに「銀行強盗計画」

の話を耳にし、彼らがトンネルを掘っていることを知って

しまう。


<お勧め星>☆☆☆半 いろいろ惜しいところもあるけれど、

ハラハラドキドキさせられました。


女か運で全てが決まる


酷評してあるレビューもあるのですが、個人的には小さな

伏線をしっかり回収していて丁寧に作られた映画だなと

思っています。まあ、主人公のホアキンが車いす生活で

ある必然性とか、間借りするベルタがストリッパーの設定

なのに最初のほうでちょっとだけ踊るのみというのは、

納得がいかないことでもありますが。
冒頭、絶望的な表情で衰弱している愛犬カシミーロを見つめる

ホアキンは、クッキーに薬を注射するのです。(なぜにこの家

には注射器がたくさんあるのだろう。彼の痛み止めでも打つ

ためか)もちろん愛犬を安楽死させるためなのです。ホアキンの

今の状況は映画ではほとんど説明されず、廃れた庭の草の中

に子供用の滑り台があったり、一家3人の写真が飾ってある

ことなどから、事故で妻子を失い、彼は下半身が不自由に

なったのだと勝手に(そう作品紹介に書いてある)納得します。

ここは何かで説明が欲しいところ。

さて、そんな陰気な彼の家に、図々しいベルタという女性が、

娘ベティを連れて間借りを申し込み、勝手に荷物まで運び入れ

ちゃうし、あちこち家の中を探索し片づけたりするわけです。

この女おかしい..。でもこのやけにラテンのノリの女性は

もしかしたら奇跡的にも本当に存在するかもしれないと思う

のは偏見だろうか。
そして毎日地下室で仕事をするホアキンは「耳」を使う仕事

なので、壁越しの変な音に気付くんですね〜。

ここ上手いです。どうやら壁越しに、銀行強盗を計画する

悪い奴らがトンネルを掘っているらしいと気づくと、

「!」

金を奪ってやろう、そして競売にかけられそうなこの家を

守ろうと考えるのかな。ちょっとこの辺りのホアキンの心が

読めませんでした。ここでこの映画でラスト付近と並ぶ

インパクトのある映像が出るんですねえ。仲間を裏切って

女と連絡を取っていた強盗の1人が、ボスのガレリトに

殺害されるんです。すごいんです。まず体を横たわらせて

手足を縛り、足を刺した後、頭に毛布をかぶせてつるはしで...。

少しずつ毛布が赤く染まり、ピッピッと血の点々が飛ぶ

のです。ここは誠にリアル(本物を見たことないけど)。
ところがそのガレリトとベルタの関係をホアキンが知り、

なぜ彼女が無理やりこの家に住み着いたかすっかりわかって

しまうと、ベルタに薬を打ちさらに縛り上げるんです。でも

何かをするわけではありません。何かをさせないためなんです。

ホアキンはベティがなぜ口を利かなくなったのかその理由を

知ると、失った自分の家族と勝手に重ねあわせてしまう。

えっと、そこはベルタの了解はなかったような。
トンネル内をほふく前進、後退で移動するホアキンは、何度も

強盗団に見つかりそうになるし、なぜかかくれんぼう好きな

ベティが、強盗団のアジトに行ってしまったりして、もう

ドキドキなんですぅ。
でもやはり下半身は動かなくとも(これ本当に関係ない)

頭のさえたホアキンと、暴力で人を支配するガレリトでは、

見ている側は、金をパクろうとしていたにしろ、ホアキンを

応援するというもの。

ホアキン、がんばれ!
題名の「トンネルの出口」は、かつて家族で暮らした家を出て、

新しい人生を始めることも意味するのだなと知り、少し感動します。
毒入りクッキー、腕時計、強盗団のメンバーの名前...頭脳プレイ

にたけた男の勝利ですね。しつこいようですが、

下半身不自由の設定にする必要はあったのだろうか。大体、

ジャケットみたく銃を構えたカッコい姿なんてなかったしね。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ

 

 


九龍猟奇殺人事件

1

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

九龍猟奇殺人事件

 

「九龍猟奇殺人事件」

原題:Port of Call

監督:フィリップ・ユン

2015年 香港映画 98分

キャスト:アーロン・クォック

     エイレン・チン

     パトリック・タム

     ジェシー・リー

     マイケル・ニン

 

2010年、香港でバラバラ殺人事件が起こる。

被害者は、モデル死亡の16歳の女性で、犯人は

すぐに自首するが、犯行の動機が一向にわからない

のだった。


<お勧め星>☆☆半 いまひとつ入り込めない映画

でした。


孤独の共有は愛なのか


ちょうど世間で猟奇的な殺人事件が騒がれているときに

こんな映画を見ちゃってどうかしてる...。見終わって

まずそう思ったのと、香港のスラム街の酷さを実感しました。

観光で見る香港のきらびやかな風景とは全く異なり、

ヒロインのように夢を抱いて大陸から移住した人々が

行き着く先は、落ちて行って二度と這い上がることの

できない人生しかないのかと絶望感に包まれます。
映画は2009年のワン・ジェイメイの姿、高校に通う

ちょっとかわいいけれど誰にも心を開かない女の子と

2010年、香港でボロアパートの1室から大量の血痕が

見つかった事件が続いて映り、あの可愛い子が被害者なの

だなと知るのです。このアパートが本当にボロい。

わたしが学生だったうん十年前、トイレ、洗面所共同と

いうアパートがたくさんあったけれど、それよりもボロイと

思うな。ああ、そういえば、1階が何かのお店で、2階を

貸し部屋にしているところに住んでいる学生もいて、

玄関には住人の靴が散乱していたっけ。あんな感じ。

(と言っても伝わらないよなあ)
そして犯人ティンはすぐに自首するので事件はあっという間に

解決...というわけにはいかず、まず遺体がない。被害者の

身元は血液型や遺留品で判明したのでしょうか。それでも

犯人探しというサスペンス要素はなく、ティンとジェイメイ

(英語名カマ)の過去や、なぜか担当刑事チョン達の姿が

細切れに描かれるのです。チョン刑事が離婚している話は

いらないでしょう。
この映画ですごいのは2点。ヒロイン、ジェイメイを演じる

ジェシー・リーの脱ぎっぷりの良さと、後半裁判で明らかに

なる、犯人ティンが彼女をどのように殺害し、どのように

解体したのかが、まことにリアルな映像です。これはちょっと

苦手な人には無理かも。
ジェイメイはものすごく孤独であり、また背が低いことで

モデルの夢をあきらめざるを得なかった、さらになぜに

いくつも仕事を掛け持ちしていたのかがわかると、彼女に

同情しか覚えないのです。
ラストのチョン刑事とどうやらいい仲になったらしい

ジェイメイの姉の姿は余分だよなあ。作り方を変えたら

もっと面白くなったのに、これが香港では賞を獲得していたと

知ると、共感を覚える部分が多いのでしょうね。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


奴隷の島、消えた人々

3

JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

奴隷の島

 

「奴隷の島、消えた人々」

原題:No Tomorrow

監督:イ・ジスン

2015年 韓国映画 88分

キャスト:パク・ヒョジュ

     ペ・ソンウ

     イ・ヒョヌク

     リュ・ジュンヨル

 

テレビ局の記者、ヘリは、カメラマンのソクフンと

塩田での不当な労働状況の取材に向かう。知的障がい

の人々が奴隷のように働かされている姿を見て、

彼女は告発のための証拠集めを始めるが、作業員の

口は堅く...。


<お勧め星>☆☆☆ 思っていた内容と全く異なり、

ゾクリとする恐怖を感じました。


無関心はやがて忘却へ


2014年、韓国で起きた新安塩田奴隷労働事件に

インスパイアされて作られた映画なのですが、その

事件を調べたうえで鑑賞すると全く別物になっている

ことに気づきます。まず実際は100名ほどいたらしい

作業員が4,5人でしょうか。また塩田のある問題の島の

住民も4,5人くらいしか映りません。シーンも限られて

おり予算がかなり少なかったことが伺えます。そこでの

方向転換でしょうか。いやこの事件を忘れないために作った

のだと思いたいです。
韓国社会への問題提起ではあるにしろ、そもそもの人権問題

でなく、な、なんとスリラーになっているのです。
冒頭からなぜに警察署でヘリの映るビデオ映像を再生している

のか。そして病院に横たわる人物が誰なのか。P.O.V映像

つまりカメラマン、ソクフンが撮影した映像でヘリたちが

塩田のある島について聞きまわる様子が目に入ります。

いつ、何が起きるんだろう。やっとたどり着いた疑惑の島

では、島民はなぜかその塩田の持ち主について口を濁すし、

作業員は明らかに知的障がいがある。さらに持ち主の息子は

ガラが悪いし、その父である社長は地元警察までも頭を下げる

人物なんですよね。これについては毎度おなじみ感があります。

一応本土へは戻るんですよ。このまま止めとけばいいのに、

と思うけれど、実は事件を中途半端に取材したくないヘリの

過去もあって、とことん突き止めようとするんですね。

寒いんです。作業員の足は裸足でしもやけがつぶれているし、

体や顔にはあざがあるんです。
てな具合に社会派と思わせておいて、ソクフンの妻から

「妊娠した」という電話がかかると、ピン、と来ました。

(かなり遅い)
短い映画だし登場人物も少ないので、さらっと見られます。

そしてゾクリとします。よーく名前を覚えておきましょう。
真実を知っているのがヘリだけであり、彼女が意識不明の間に

ネットで、彼女の犯行説やら私生活が暴かれていくのは、

日本も韓国も変わらず、その方がずっと怖いと思ってしまい

ました。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


ライク・ア・キラー 妻を殺したかった男

3

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ライクアキラー

 

「ライク・ア・キラー 妻を殺したかった男」

原題:A Kind of Murder

監督:アンディ・ゴダード

原作:パトリシア・ハイスミス「妻を殺したかった男」

2016年 アメリカ映画 95分

キャスト:パトリック・ウィルソン

     ジェシカ・ピール

     ビンセント・カーシーザー

     ヘイリー・ベネット

     エディ・マーサン

 

建築家ウォルターは、過去の浮気が原因で妻クララとの

仲が上手くいっていない。彼のささやかな趣味は犯罪小説を

書くこと。そんな彼はバス休憩所で起きた殺人事件の記事を

目にするのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 パトリシア・ハイスミス原作だけ

あって不合理な展開に胸がざわつきます。


願望と行動は同類なのか


主役のウォルターを演じるのは、あの「死霊館」(2013)

で夫婦漫才じゃなかった夫婦心霊研究家の夫を演じた

パトリック・ウィルソン。彼はイケメンなのに、妻に尻に

敷かれた男役がよく似合うんです。
冒頭の映画館のシーンに出ているのは「おみおくりの作法」

(2013)「シャーロックホームズ」シリーズなどの

エディ・マーサン。「おみおくりの作法」は個人的にお勧めの

映画です。静かで孤独な男を彼がとても上手に演じていました。

エディ・マーフィじゃないんでよろしくね。さて次のシーンでは、

妻クララをバス乗り場まで見送るウォルターが映るのですが、

どう見てもウォルターは妻に疎ましがられているように

見受けられます。さてこの人たちがどうつながるのか。
なぜにクララがウォルターに冷たいのかは、どうやら彼の

浮気癖にあるらしく、それが原因で、クララは猜疑心が強く、

彼を束縛し、ついには精神科の診察を勧められているほどの

状況らしい。年代的にみても1960年当時は、今のように

心療内科など存在しなかっただろうし、ノイローゼ=精神科と

みなされ、なかなか治療に向かう勇気が起きなかったのだろうな

というのは想像に難くないです。
そしてウォルターは建築家としても有名なんだけど、地下室で

こっそり犯罪小説を書くのが趣味。だからスクラップブックに

様々な事件の切り抜きが貼ってあるのです。そしてある時

見つけたのが、バス休憩所での女性遺体発見事件。これは

自分の小説に参考になりそうだし、詳しく知ると、遺体で

見つかった女性の夫が犯人と疑われているという。ウォルターは

好奇心に加え、その夫キンメルに一方的に共通点

(これがまた自分だけそう思っているのに気づかない)を

見つけるんですよ。困りますね。相手は全然共通点があるなんて

思っていないし、できたらこの事件についてあれこれ調べて

ほしくないのに。この勘違いというのは、原作者の小説に

よく見受けられる意地悪さを象徴し、さらにコービー刑事という、

一方的にキンメルを犯人と決めつける、ものすごく意地悪な男も

登場します。
「離婚するなら自殺してやる」
クララの捨て台詞も見ている側には、もう意地悪としか思え

ないんです。重いんですよ。それこそ「おもえもん」の世界

なんです。とはいえウォルター視点からの情報ではそう感じる

ものの、実際は、ウォルターはクララの言う通り、エリーなんて

若い女性と浮気しているし、どれが真実なのか途中でわから

なくなります。クララの実母の病状悪化でバスに乗り込んだのを

見ると、そのバスを車で追うウォルターは、たぶんキンメルと

同じ考えで行動している気分になっていたのでしょう。

ものすごい思い込みなんだけど。
警察のいい加減な取り調べや暴行、さらに勝手に家に入り込んで

中を調べるというあり得ない行為も当時はあったんだろうなあ。
キンメルのアリバイを証言したトニーが急に翻意した理由とか、

ウォルターの家のメイドが急に辞めた理由とか、細かなところの

説明は全然されないので、とりあえず目のまえの映像で理解する

しかありません。事件の真相も結局のところどうだったんだろう。

どちらにもとれる内容でした。
ただ1点、とても残念なのは、クライマックスの地下のシーンで、

暗すぎて人物の区別がつかないところです。みんなハットと

コート姿だから、せめて何か違いをつけてほしかったなあ。

しばしば入り込む雪の降る情景が印象的です。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ

 

 


永い言い訳

4

JUGEMテーマ:邦画

 

永い言い訳

 

「永い言い訳」

監督:西川美和

2016年 日本映画 124分 PG12

キャスト:本木雅弘

     竹原ピストル

     藤田健心

     深津絵里

     池松壮亮

 

作家の幸夫は、不倫相手と逢瀬を楽しんでいる時、

妻夏子の事故死の知らせを受ける。彼女の死に涙が

出ない幸夫のもとに、同じ事故で妻を失った夏子の

親友の夫陽一が連絡してくるのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 男性の視点から人間の心を

描いた秀逸な映画です。


泣けない理由は自分が弱いから


西川美和監督作品で鑑賞したものは「ゆれる」(2006)、

「夢売るふたり」(2012)。個人的には「ゆれる」の

まさに兄弟のゆれる心を描いた方が、静かで

かつ残酷であり、そして希望のあるラストで好みです。
監督自身が、絶対条件としていた「二枚目の主人公」

衣笠幸夫(この名前もググると監督の思いが伝わります)役

は本木雅弘。二枚目という外見のせいで逆に不幸になって

しまう男を、時折大げさすぎるほどの表情を見せながら

演じています。イメージは冷静で物静かな、CMのように

日本茶を飲んでいる感じなので、このギャップには驚かされる

のです。一方事故死した妻夏子の親友の夫、大宮陽一役は

竹原ピストルで、これがまたはまり役。思いが全て顔に

出るし、行動にも出てしまう。そんな単純な男なのです。
20年連れ添い、子供を作らず優雅な高級マンション暮らしの

衣笠家は、室内が殺伐としており、家庭ではなく単なる「箱」

であるのに対し、2人の子供がいて狭い団地に住む大宮家は

生活感丸出し。洗濯物はカーテンレールにかかっているし、

食卓も物であふれかえっています。それでもこれが「家庭」

なんだろうなと実感します。
妻に全く関心がなかった幸夫がなぜ大宮の子供の世話をするのか。

そこには3年ほどろくに物が書けずにいた幸夫にとって小説の

ネタになると考えたのは至極当然なことなのです。わたしも

幸夫の行動のきっかけはそれだと思うのですが、大宮家の子供、

特に長男真平の冷静な姿に自分を重ね合わせたのではないかと

考え始めたのは、映画の終盤です。
妻の死に泣けず、おまけに妻の「もう愛していない ひとかけらも」

という保存してある未送信メールを見てしまった幸夫の喪失感と、

母ではなく父が死んでいればよかったと思い続けたいた真平の心が、

ある部分でシンクロしたのではないか。
あれこれ言葉を並び立てても、その中身は空洞なままであり、

その言葉に息を吹き込むのは、そばに寄り添う人や寄り添いたいと

思う人に存在なのだなあと実感します。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ

 

 


女教師〜シークレット・レッスン〜

4

JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

女教師

 

「女教師〜シークレット・レッスン〜」

原題:Misbehavior

監督:キム・テヨン

2017年 韓国映画 97分

キャスト:キム・ハヌル

     ユ・イニョン

     イ・ウォングン

 

<お勧め星>☆☆☆ よくできているけれど

昼メロっぽくてドロドロしているなあ。


何が彼女を悪魔にしたのか


韓国といえば「格差社会」であり、(日本でも

そうだけれど)家柄、学歴、コネがあらゆることろに

はびこっています。有名大学に入れなければまずそこで

一生かけても越えられない壁ができてしまう。逆に

持っているもの、つまり財閥だいまだに存在し、

ナッツ姫のように兵役逃れのために息子を海外に

住まわせたり、有名大学入学すらも可能らしい。特に

映画でよく扱われるのは警察のいい加減さで、上司の

顔色を伺いながら適当な証拠をでっちあげて、それらしい

犯人も仕立て上げ、それが冤罪であると信じ、独自の

捜査をする刑事が現れるというストーリーは幾度と

なく見てきました。
この映画では、「私を忘れないで」(2016)の

キム・ハヌル演じる、見るからに幸薄そうな男子校の

非正規採用教師ヒョジュが主役。服装も地味だし、

髪型も無造作に一つにくくっただけ。30歳はとうに

すぎているでしょうか。いつまでも正規採用されず、

家では10年来のヒモのような男が居座っている。

映画の中にはクズっぷりを見せる人間が幾人か出て

きますが、まずは第一号ですね。
そしてたまたま産休に入った教師の代わりにヒョジュは

担任を持つわけです。その中にバレエ特待生ジェハがおり、

夜体育館で黙々と練習する彼の姿に、自らの夢を重ねた

のかしらねえ。だって天使のような笑顔を見せるんだもん。

純粋無垢に見えたこのジェハ。
そんな頃理事長の娘ヘヨンが正規採用の教師として赴任

します。あんたさー、金もあるし、金持ちの婚約者もいるし、

何も働かなくても嫁入り修行してればいいんじゃないの〜?

と誰でも思うはず。全くの世間知らずのような雰囲気だし、

ブリブリの服装で出勤するんです。「せんぱーい」なんて

言われてもヒョジュはめちゃくちゃ冷たくしちゃう。

分かるよ、その気持ち。でも絶対にかなわないんだよ。

さらにそのヘヨンとジェハが体育倉庫で抱き合っている

現場を目撃するわけです。ブッチーン!1回目の怒りの

糸が切れますね。同時にヒモ男が家を出ていく。ブチ。

これは少しだけ切れたかな。このようにヒョジュの心の

糸は怒りで幾度となく切られていくのです。ジェハが見事

バレエコンクールで銀賞を獲ってウキウキしているヒョジュが

あまりに哀れでたまりません。その後、今度は深く糸が

グサリと切れます。そしてジェハとヘヨンとの真相を

知って、それでも自分の仕事のために耐えようと思ったのに...。

ブチチチ〜〜ンン!多分地響きが起きるくらい音を立てて

切れたと思う。その時の無表情なヒョジュの顔がものすごく

怖いです。だいたいヘヨンになんか最初から勝てる相手では

ないんですよ。それは自分でもわかっていたからヒョジュは

冷たい態度をとることで、プライドを保っていたのかも

しれません。そこにジェハなんて迷える羊のように見える

少年が絡んできたから、ものすごいことになるんです。
ラストを正当化しませんが、「ざまあ」とは思ってしまいます。

(いやな性格だ)

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


弁護人

3

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

弁護人

 

「弁護人」

原題:The Attorney

監督:ヤン・ウソク

2013年 韓国映画 127分

キャスト:ソン・ガンホ

     イム・シワン

     キム・ヨンエ

     クァク・ドウォン

     ソン・ヨンチャン

     オ・ダルス

 

1978年高卒で裁判官になったウソクは、

不動産登記専門弁護士に転身する。彼は、次々と

仕事を拡大し、釜山で最も稼ぐ弁護士の1人となるが、

その彼がかつて世話になった食堂の息子が不当な

裁判を受ける話を知ってしまう。


<お勧め星>☆☆☆☆ やはり丁寧に作られており、

俳優陣の演技力も素晴らしいです。


愛国と正義は共存しないのか


ソン・ガンホが主演なので安定の演技力なのは当たり前

のこと。そういえばこの人、朴槿恵大統領時代

「ブラックリスト」に載っていた俳優の1人だとか。

つまり国家を批判したり扇動する恐れがある人たちの

リストがまだ存在したということなのですね。
映画の前半では高卒で異例の裁判官となり、ひたすらお金を

稼ぐことに明け暮れる弁護士に転身するウソクと、後半には

国家保安法違反で逮捕された知人の息子の弁護をする

人権派のウソクはまるで別人のようです。ソウル大での

デモについて「勉強が嫌いだからデモなんかするんだ」と

言い切るのは、彼が大学に行っていないことへの劣等感の

裏返しであり、それはかつての学戦運動の際、それを阻止

する機動隊員が「あんな学生たちは親からの金でのほほんと

暮らしているとんでもない奴らだ」と刷り込まれた構図と

似ているかのように感じます。自分の知らないことを知る

努力をしないと、誰かの言いなりになってしまう。それは

とても恐ろしいことです。
映画内で出てくる釜林(プリム)事件は、全斗換政権が

釜山地域の民主勢力を抹殺するために、学生や社会人を

不当に逮捕、監禁、拷問した事件で、この拷問から自白調書を

書かせるシーンまでがまことに生々しく描かれています。

クァク・ドウォン警監演じるチャ・ドウォンが、また怖い

のなんのって。そしてその拷問を受けた1人ジヌ役はZE:Aの

イム・シワンで、韓国ってアイドルでもこんなリアルな役を

演じるんだと感動すら覚えるのです。
昔の恩人の息子のために税法専門の金儲け弁護士から一転して

人権派弁護士と変わり、それによって大企業の顧問弁護士の

座も捨ててしまう。そこまでしてウソクが求めたものは

何だろう。当時(今も多分そう)韓国司法界は、出来レースで

あり、いかに「量刑」を軽くするかを裁判官、検事、弁護士で

前もって打ち合わせているという、およそ真理の追求とは程遠い

もの。したがってウソクの求める「無罪」というものを勝ち取る

ことは限りなく困難であり、次々に証拠を出しても、それを覆す

不条理な手段を使われるのです。たまたまウソクがジヌと接見

でき、彼の体に残る拷問の跡や彼の話を聞けたから、裁判でも

主張はできたけれど、もし会うことすらないまま裁判に入って

いたら、不当な逮捕、さらに国家転覆計画の疑いなど晴らす

こともできなかったのです。いや、結局晴らせないけれど。
ウソクの孤軍奮闘ぶりは一般庶民からすると極めてまっとうな

ことなのに、全てを拒絶され、法をふりかざして「愛国」を

声高に叫ぶ権力には、立ち向かうことができないのです。
韓国にすると、北朝鮮というのは自国の領土を共産主義の金氏が

率いる労働党が占領しているという考えがあるわけで、2国の

存在を主張する人々は、そもそもの建国精神を揺るがすことに

ほかならないのです。このソン・ウソクが後の廬武鉉大統領が

モデルとなっており、彼の最期は韓国歴代大統領の

それと同じ道筋をたどったものの、1つ異なるのは、彼の死後、

彼への評価が見直され、極めて高い人気を保っているということ。

彼は最後まで庶民に寄り添う人間だったのでしょう。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ



カレンダー

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>

ブログ村

今日のわんこ

powered by 撮影スタジオ.jp

遊びにきてくれてありがとう!

カウンター

祝日カレンダー

Sakura Calendar

最新記事

categories

過去の記事

コメントありがとうございます!

トラックバックありがとうございます!

recommend

お友達

ミス・マープルについて

書いた記事数:2695 最後に更新した日:2017/11/23

あの映画を探そう!

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM