ラブレス

4

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ラブレス

 

「ラブレス」

原題:Nelyubov

監督:アンドレイ・ズビャギンツェク

2017年 ロシア=フランス=ドイツーベルギー映画 

127分 R15+

キャスト:マルヤーナ・スピバク

     アレクセイ・ロズィン

     マトベイ・ノビコフ

     マリーナ・バシリエバ

     アンドリス・ケイシス

 

離婚が決まっているボリスとジェーニャ夫妻の

息子アレクセイが突然姿を消す。彼を施設に

入れようとする妻を責めていた夫だったが、互いの

新生活のために、息子の行方を捜し始めるものの

警察は一向にあてにならない。そこでボランティアに

捜索を依頼するのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 見終わってやはり心が暗く

なる映画でしたが、圧倒的な自然の美しさはここ

でも描かれています。


「不安」より「尊敬」


アンドレイ・ズビャギンツェク監督製作の

「父、帰る」(2003)は突然姿を現した父親を

ソ連崩壊になぞらえたというレビューもあったものの、

個人的にはよく分からない内容だったというのが本音

です。
そして「裁かれるのは善人のみ」(2014)では、

ロシア北部の小さな町で起こる不条理な出来事を圧倒的な

映像美と音楽で描いていました。主人公は日曜礼拝にも

行かず、それほど信心深くないのに、「悪」の象徴とも

いうべき市長が信仰心が厚いという設定で、ストーリーも

最後の砦である「神」が不在になった時、人間は大自然に

支配されるのだ..てなことを思ったような記憶があります。
この映画も冒頭から水面に倒れた大木、そしてしんしんと

降る雪、流れていく川の水が映り、何のBGMもなくただ

それが映り続けた後に、突然3羽の鳥が現れるという

極めて象徴的なものになっています。

そして一人の少年が下校途中にその森の木の枝に赤白模様の

リボンをひっかけます。それを下から見上げると、風に

ひらひらとはためくのです。このシーンはラストにも

映りますが、時の流れかそれともほかの意味でかモノクロに

なっています。またそれがとても遠くから映るのです。
世界滅亡のニュースがテレビで流される中、離婚のため

マンションを売却しようとしている夫妻のうち妻ジェーニャは、

実の母親でありながら、息子アレクセイにとことん冷たく

接します。これ、ネグレクトじゃないの?虐待じゃないの?

と思うほど。これは実は彼女と実母との関係にも起因している

ようですが、父親である夫ボリスはというと、これまた無関心、

無責任極まりないのです。

 

ラブレス
 

2人の喧嘩をドアに隠れて聞きながら、声を殺して泣く

アレクセイの姿は胸が痛くなります。夫妻はそれぞれ新しい

恋人がいて、ボリスはすでに子どもが生まれようとしているの

です。ジェーニャもまたに別の相手とアツアツで楽しんでいる

のに、2人ともその間アレクセイはどうしているのかと

一切思うことはありません。

 

ラブレス
 

そして突然アレクセイがいなくなるのですが、それを知るのは

担任から2日ほど登校していないという電話が入ったからで、

そこまで気づかなかった自分たちを責めるのは互いに相手のみ

であり、自分を責めることはありません。どこまでも自分中心

なのです。

 

ラブレス
 

愛が消えた夫妻には出会った時まで遡って憎しみが生まれ、

その一方で恋人との新しい生活に夢を抱くというあまりに

身勝手な姿を見せられると、この夫妻のどちらにも感情移入が

できないのです。

「うっかり妊娠した。失敗した。幸せになりたいの。」
逆にボランティアでアレクセイを捜す人々は、何も要求せず、

ただ「アレクセイを見つける」という目的のためだけに動くの

です。この無償の行為があまりに夫妻と対照的に映ります。
他人を思いやる、尊敬する、行動する、それらがボランティアに

全て反映されており、すっぽり抜け落ちていたのがこの夫妻

なのかもしれません。
映画終盤にウクライナ内戦のニュース映像が流れます。しかし

それに対し全く無関心で、さっとバルコニーに出てランニング

マシンに乗るジェーニャや赤ん坊を無造作にベビーサークルに

放り込むボリスを見るにつけ、彼らの心の中に抜け落ちたものは

補充されることはなく、そのまま穴として存在し続けているのだ

と実感するのです。
アレクセイ探しのポスターの赤い縁取り、ライトに照らされて

青く浮かび上がる建物の柱、黄色の街灯、そしてやはりしんしん

と降り続く白い雪が、冷え切った心を象徴しているかのようでした。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


犯罪の女王

4

JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

犯罪の女王

 

「犯罪の女王」

原題:The Queen of Crime

監督:イ・ヨソプ

2016年 韓国映画 103分

キャスト:パク・ジヨン

     チョ・ボルレ

     キム・デヒョン

 

司法試験の2次試験受験を控えた息子イクスから、

母ミギョンに高額な管理費の支払いを依頼する電話が

入る。不審に思ったミギョンは息子の住むマンション

を訪れると何やら不気味な住人と怪しげな管理人が

おり...。


<お勧め星>☆☆☆☆ 題名とは程遠い内容ですが、

ハラハラしつつクスクス笑え、また母の愛の強さも

実感します。


母さんデカの事件帖


司法試験=超難関という程度しか知識がないので、

とりあえず韓国の司法制度についてほんの少し調べて

みました。韓国では2009年からロースクールが

設立され、これにより2012年以降法曹人になる

ためには2種類の試験が行われているそうです。

1つは「司法試験」。これは大学で必須科目履修者なら

誰でも受けられるもの。(少し前までは学歴、出身国に

関係なく受験できたので一発逆転を狙って受験し、

何年も浪人する者もいたらしい)

もう1つは「弁護士試験」。これはロースクルール修了生

なら誰でも合格できるレベルのもので、このロースクール

の授業料が高額なため、貧しく、地縁、血縁などのない

人たちは入れるはずもない。またロースクールで落第

しないために賄賂が飛び交っていたとかなんとか。

やはり法曹界だけはせめて薄汚れていない世界であると

思いたいですね。でもきっと違うんだろうな。

但し「司法試験」合格者は100%就職できるというので、

映画に登場する人たちのようにとにかく猛勉強をして

合格を目指すのは当たり前なのですね。
そんな背景を頭の中に置いて映画を鑑賞。

主人公の息子が暮らすトンイルマンションは「マンション」

と名前がついているだけで、日本で言う木賃宿のようです。

そしてそこに暮らす司法試験浪人生は浪人の年数毎に

昼間勉強する場所が異なる、と入り口に座るオ・ドッグが

語ります。

 

犯罪の女王
 

この暗い雰囲気とはかけ離れた始まり方がこの映画の特徴で、

一人息子イクスが検事になったかのように嬉々として美容院

を経営する母ミギョン。彼女はどうやら違法な施術をして

いるらしい。あ、その注射、わたしにも打ってくれませんか...。
そして久しぶりに電話をかけてきたイクスの言葉が

「管理費120万ウォンを出してほしい」...高い。

ここはソウルに行って確かめないとっ。

そこからミギョン母さんの精力的な活動が始まるのです。
まず、管理事務所の人たちがめっちゃ怪しい。マンションの

住民は部屋番号で呼ばれるんですが、どいつもこいつも

不審人物ばかり。あああ、あの子なんで殴られてるの?
実はイクスの部屋404号室の管理費は403号室と共同の

水道メーターがほとんどを占めていて、となると403号室が

終日かけ流し温泉しているのかと思ってしまう、いや思わない。
402号室の女子ジンスクは、引きこもりゆえに、マンション

での不気味な話を聞かせます。これはもうホラーの世界なんです。

でもミギョンはぜんぜんひるみません。彼女の唯一の弱味は

イクスに叱られること、イクスの邪魔をすること。でも

はっきり言ってここに滞在すること自体が邪魔なんだよね。

そうこうして彼女は一度はマンションを去ろうとするのですが、

この数日で培った人脈?を駆使して高額な水道料金への真相に

近づいていくのです。だいたい中盤に先が読めてきますが、

それでも飽きずに見られるのは、ストーリーのテンポの良さと

個性的な登場人物がたくさん存在するからです。彼らが

誰一人として無駄になっていません。

 

犯罪の女王
 

ミギョンと管理事務所勤務のゲーテが403号室に侵入した

シーンはドキドキものです。その上帰宅した403号室から

隠れる姿は、どう見ても新喜劇のワンカットだよなー。
とにかく母さんは強い。痛くても息子のためなら強い。
ラストは爽快でしたが、韓国の闇の一部分を垣間見た気がして

心が暗くなったのも確かです。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ

 


女神の見えざる手

3

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

女神の見えざる手

 

「女神の見えざる手」

原題:Miss Sloane

監督:ジョン・マッデン

2016年 アメリカ=フランス映画 132分

キャスト:ジェシカ・チャスティン

     マーク・ストロング

     ググ・バサ=ロー

     アリソン・ピル

     マイケル・スタールバーグ

 

ロビイストとして活躍するスローンは、銃規制法案を

巡り、反対派の活動を要請する会社を退職し、賛成派

の小さな会社に移籍する。彼女の強引すぎるほどの

手法で、議員たちが賛成派に変わっていくが...。


<お勧め星 >☆☆☆☆ 最後まで一気に見られます。

とにかく強い。そして見事な展開です。


境界線が見えない


「勝者は敵の一歩先を行く」その言葉を口にする

ジェシカ・チャスティン演じる

マデリン・エリザベス・スローンの真っ赤な唇の動き

から始まるこの映画では、とにかく彼女がしゃべります。

睡眠障害があり、眠らないと死ぬ恐れがあると医者に

指摘されつつ、全く意に介さず、薬を飲みながら目標に

向かって突き進むのです。
ジェシカ・チャスティンといえば、

「ツリー・オブ・ライフ」(2011)では優しく

聖母のような母を演じ、

「ゼロ・ダーク・サーティー」(2012)では冷徹な

CIAのエージェント、

「オッデセイ」(2015)では、懐メロカセットを

火星の置き忘れちゃううっかり屋の宇宙飛行士...いや

あれは違う。そもそも懐メロではなく、1970年代の

ディスコミュージックであり、マット・デイモンだって
その曲に合わせて踊っていたではありませんか。また

うっかり置き忘れたのではなく、想定外の大砂嵐に

よって宇宙船で退避せざるを得なくなった時、持って

これなかったんだよ。ついでにマット・デイモンも
置いてきちゃったんだよ。

 

女神の見えざる手
 

それはさておき、この映画では、世間一般で言うところの

「女性」の部分を捨て、男性以上の男性力を感じる

(ちょっと表現がおかしい?)人物を演じています。それでも

服装はからだにフィットした物が多く、ハイヒールを履いて

いるところだけが女性を感じさせます。彼女の過去や家庭環境

は一切わかりません。

 

女神の見えざる手
 

銃規制強化法案の破棄を勧めるロビー活動を頑なに拒否する

ところを見ると、何か事件に遭ったことがあるのか、それとも

本人の信条なのか。ただスローンは、その目的のために

あらゆる手段を使うのです。
それは非合法のサポートチームすら雇い、またチーム内を

監視し、さらには絶対に隠しておくべきだった事実さえ活用

してしまう。これはやはり他人への敬意が全くないとしか

言いようがないのです。

 

女神の見えざる手
 

目的のために手段を選ばず、それで実った功績が認められた

のであれば、本人の心の満足感は得られるだろうけれど、

そこに「信頼」とか「友情」とかは全く存在しなくなって

しまう。そんなこと百も承知なんだろうな。

 

女神の見えざる手
 

ロビー活動と同時並行で映る連邦議会での聴聞委員会で、

彼女に対し唯一「真実でないこと」を語ったのがエスコート

サービスの男だったのも皮肉です。それは彼が単に仕事に

忠実だっただけなのかもしれません。プロというのは

そういうものなんだろうな。ペラペラしゃべる人物ほど

信用できないものはないと思う。
彼女はこれからも「鉄の女」(この言葉は好きではない)を

演じ続けるだろうし、それはまさしく孤独との戦いなんだけれど、

それが彼女の選んだ人生なのだから他人がとやかく言うこと

ではないとも思うのでした。
ラストに1カットで、カメラ側に誰か立っていたようにも

思える表情をスローンが浮かべていたけれど、やはり誰も立って

いなかったんでしょうね。

それにしてもロビーストはアメリカには3万人も存在するという。

言葉で相手を叩きのめしたみたいと思う時があるけれど、言葉が

出ずへらへらしてしまう自分がかなり悲しくなります。トホホ

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ

 

 


アトミック・ブロンド

4

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

アトミック・ブロンド

 

「アトミック・ブロンド」

原題:Atomic Blonde

監督:デビッド・リーチ

2017年 アメリカ=ドイツ=スウェーデン映画 

115分 R15+

キャスト:シャーリーズ・セロン

     ジェームズ・マカボイ

     エディ・マーサン

     ジョン・グッドマン

     トビー・ジョーンズ

 

MI6のスパイ、ロレーンは、機密情報の入った腕時計を

奪還する任務のため、ベルリン入りをする。そこで

パーシヴァルという男と共に行動するはずだったが、

彼女の行く先々には敵が待ち受けており...。


<お勧め星>☆☆☆☆ 音楽もシーャーリーズ・セロンも

かっこいいです。そしてストーリーも最後の最後まで

気が抜けません。

 

ウォッカの氷入り

洋楽に全く疎いのですが、この映画で使われている曲を

調べたら、80年代の有名なものばかりで、それらが

シーンに見事にマッチして使われています。
シャーリーズ・セロンといえば「モンスター」(2003)

で14堊量したことが特に印象に残っています。

 

シャリーズ

 

ヒッチハイクをしながら娼婦として生活費を稼ぐ、スレた

女性を見事に演じ切っていました。この映画は、彼女の

役作りに完成度の高さを見るのにふさわしい作品であり、

実際、この映画のアイリーンを見た時、まさかこれがあの

美しいシャーリーズ?と言葉を失ったほどです。眉毛も抜いて、
だぶついた腹の肉を揺らせながら、汚い言葉を発し続ける。

これでアカデミー賞主演女優賞を受賞したのですが、授賞式に

合わせてあっという間に体を元通りにしたのは有名な話。

「体重を増やすより減らす方が苦手」
と言っているのは、現在減量進行中のわたしにも耳が痛い

言葉です。また「マッドマックス 怒りのデスロード」

(2015)では丸刈りにノーメークというこれまた誰か

わからない風貌になっていました。
これは本当にわからなかったぞ。

さてこの映画の舞台は東西冷戦末期、ベルリンの壁崩壊直前の

ベルリンです。そのベルリンでマイクロチップの入った腕時計を

奪われたMI6は、それを奪還するため、ロレーンという

女スパイを送り込むのです。冒頭はこの腕時計を奪われる

シーンであり、次には、傷だらけのロレーンが美しい裸体を

氷風呂に沈めるシーンが映ります。ドキン。こんなに有名に

なってもしっかり裸体を見せてくださるのは役者根性に満ちた
証拠で、ちょっと人気が出ちゃうと、水着すらも着なく

なっちゃう日本の若い女優さんとは大違いだわ。関係ない

けれど、かつてはアイドルも「オールスター水泳大会」で

ビキニで歌を歌ったものよね。今そんなことを要求すると

セクハラ、パワハラと言われてしまうから、時代の変遷は

早いと実感します。あの番組の時テレビの画面の真下に行って、

のぞき見している人もいたもので(無意味なのに)それはそれで
楽しい時代だったかもしれないなと思ったりします。

 

アトミック・ブロンド
 

ロレーンは、ベルリンにいる一匹狼的存在のスパイ、

パーシヴァルと共に任務を遂行するように求められているのに、

こいつが本当に曲者で、敵なのか味方なのかまったく

わかりません。この役は「つぐない」(2007)

「スプリット」(2017)などのジェームズ・マカボイ。

「つぐない」は誰にでもお勧めする映画だけれど「スプリット」

はシャラマン監督らしい(良い意味でも悪い意味でも)
映画でした。このパーシヴァルが待っているはずの空港に、

だいたい違う車がいるじゃないの。この車の中での格闘シーン

からもう、ロレーンすごい!!の尽きるのです。その後も

部屋に侵入してきた敵をそこにある「物」を武器にして、

バッタバッタと倒していきます。ゴムホース、冷蔵庫の扉、

鍋..。銃を持っていなくとも相手から奪って、バンバン撃ち、

弾倉が空になるとポイ。次の武器に移るというものすごい

スピード感にあふれています。

もたもたして「あ、弾が..」なんてへまは一切いたしません。

 

アトミック・ブロンド
 

このキレキレのアクションが80年代の名曲にのって

スタイリッシュに映されていくので、誰もがシャーリーズの

ファンになること間違いなしです。途中、フランス人の

女スパイ、デルフィーヌとの濡れ場がありますが、惚れた

晴れたなどが一切ないのが、見ていてとても気分がいいです。

ロレーンとパーシヴァルが...なんてならなくて良かったわ。

それとローレンの手助けをするバーテンダーに扮したスパイ、

メルケル役のビル・スカルスガルドの素敵なことといったら

ありません。

 

アトミック・ブロンド
 

ラストのラストまで捻ってあり、そしてロレーンの強さと

美しさに圧倒される映画でした。すごく楽しかった。

 

 

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


疑惑

2

JUGEMテーマ:邦画

 

疑惑

 

「疑惑」

監督:野村芳太郎

原作:松本清張

1982年 二本映画 127分

キャスト:岩下志麻

     桃井かおり

     鹿賀丈史

     柄本 明

     真野響子

 

富山新港で、白河福太郎と妻球磨子の乗った車が

海へ転落し、球磨子のみ助かる。福太郎には多額の

保険金が掛けられていたことから、球磨子は保険金

を狙った殺人犯として逮捕されるが..。


<お勧め星>☆☆☆☆ 事件の真相より女同士の

バチバチ飛び散る火花にものすごいパワーを感じます。


白いスーツに赤ワイン、顔に赤ワイン


映画内には女性がたくさん登場しますが、主役の

2人の個性が大変強烈です。後に北陸一の毒婦と

呼ばれる白河球磨子役の桃井かおりは、気性が荒く、

男にだらしがなく、金に目がない女性を好演。

物憂げな表情でダラダラ動いていたかと思うと突然

狂ったようにキレる姿には恐怖すら覚えます。

球磨子はこの映画の中では「悪い女」なのです。

誰もよく言わない。誰からも好かれない。

 

疑惑
 

一方国選弁護人で、弁護の引き受け手のない球磨子を弁護

することになるのが岩下志麻演じる佐原律子。

「あんたの人を見下すような目つきが嫌い」

と球磨子が言う通り、冷たく相手を押さえつけるような
視線を送りながら、厳しい言葉をぴしゃりと言い放ちます。

彼女はこの映画では「冷たい女」だと思うのです。

 

疑惑

 

私生活では夫と別れ、一人娘と月に1回会うのを楽しみに

している。なぜか母親役が似合わないんだよな。「鬼畜」

(1978)で演じた怒りに満ちた母親役のイメージが

すりこまれているのだろうか。あの映画は怖かった。本当に

怖かった。
もう一人はラスト付近に登場する律子の元夫が再婚した妻、

咲江を演じる真野響子です。若く美しく、そしてなにより

「優しさ」を感じます。考えてみるとこの映画の中で

「優しい」と混じる女性は彼女くらいしかいなかったのでは

ないでしょうか。
球磨子が夫を保険金目当てに殺害したのかどうか、その真相は

裁判で明らかになっていく事実と、世間の考えをある方向に

導こうとする新聞記者が書く記事、つまり

「北陸一の毒婦が行った保険金殺人」
とが次第に離れていく、そんな状況が少しずつ体感できます。

 

疑惑

 

それでも最後付近まで、真相がなになのか、全く分からないの

です。あのシーンを軽く見てしまったのがいけなかったな。
公開から35年経った今では、個人情報保護とか加害者保護とか、

当時とは全く異なる状況になっているけれど、真実でないことが

拡散されていくスピードは当時とは比べようにない速さになって

います。何が真相なのか、それをしっかり調べないで書き立てたり、

それを鵜呑みにして意見を述べたりすることがどんなに愚かしい

ことか、肝に銘じないといけません。
裁判が終わり、バーで対峙した球磨子と律子のシーンでは、

球磨子が律子の真っ白いスーツに赤ワインをドバドバかけると、

律子はグラスの赤ワインを球磨子の顔にぴしゃっとかける。この

絶妙なタイミングを見て、二人はもしかしたら両極端にいる

けれど、同じように誰からも好かれない女性なのではないかと

思ってしまいました。それにしても映画内の男性が、記者の秋谷を

除いて弱いんです。特に球磨子の元ヒモ、豊崎(鹿賀丈史)に

至ってはちゃらんぽらんを通り越して、まさに

ヒモにふさわしい男

とさえ思えて可愛げも感じてしまいました。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


消された女

5

JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

消された女

 

「消された女」

原題:Insane

監督:イ・チョルハ

2016年 韓国映画 91分

キャスト:カン・イェウォン

     イ・サンユン

     チェ・ジノ

 

やらせ疑惑で仕事を干されたテレビ局ディレクター、

ナムスは、精神病院火災場所でのオカルト番組制作を

任される。ところがそこに全身大やけどの人物がおり、

その身元を調べるうちに、この火災と警察署長殺人

事件の繋がりに気づくのだったが...。


<お勧め星>☆☆☆☆ ホラーっぽいけれどサスペンス

要素はしっかり練りこまれています。もう1回確認

したくなる映画というのは本当ですね。


ボールペン


「保護者2人の同意と精神科専門医1人の診断があれば、

患者本人の同意なしに「保護入院」措置を実行できる

”精神保健法24条”。この法律が韓国国内で悪用されて

拉致監禁事件が多く発生し、この法律についての問題を

提起するために製作されたこの映画によって、2017年

9月には、この法律が憲法違反であるという判決が出された

そうです。
法律に関して問題を提起した映画では最も記憶に残っている

のが「39 刑法第三十九条」(1999)で、鈴木京香さん

と役所広司さんの演技が見事でした。内容も「公平な裁き」

は誰にとって「公平」なのか、それは「公正」であって

「公平」ではないのではないか、ほぼすっぴんの鈴木京香さん

の熱演を見ていつまでも考え続けた映画でした。ひたすら

娯楽を追求する映画も楽しいけれど、強いメッセージ性
のある映画は、やはり存在すべきだし、それによって、

気づいていなかったことや見て見ぬふりをしていたことに

スポットライトを当てる役目を果たすことも必要だと思うの

です。
この映画は、白昼、若い女性が路上で突然拉致されるシーン

から始まります。これはとにかくインパクト大ですね。あんな

大都会の真ん中、人通りの多い歩道で、急に若い女性が拉致

されたのに、周りの誰も声を上げません。車が救急車である

こともその原因の一つかもしれませんが、何か大きな事件を

目撃しても、それが「大きなこと」と認識するまでに、人間は

少し時間を要する気がするのです。そして後で、何が起きたか

知った時、「あれがそうか」と納得するような。したがって、

その後なんの情報も得ることがなければ、自然と記憶から薄れて

いくのだと思います。

 

消された女
 

一方テレビディレクターのナムスは、担当番組でヤラセ疑惑が

起き、仕事を干されて1年。一発逆転を狙ってある投稿を

取材すると決めるのです。いえ、最初は「ゴーストロード」

というほぼヤラセのお化け発見番組だったのですが、それに

投稿してきたのがカン・スアという精神病院火災でやけどを

負った人物であり、その名前は入院患者のリストにない。

さらに現場で大やけどの人物を発見し、彼の身元を調べるうちに、

この火災の不自然さ、そして同じ日に起きたスアの父で警察

署長殺人事件、さらにはその容疑者がスアであることから、

社会派ジャーナリストの血が騒ぐわけです。韓国映画において

「警察」というものは全く信用できない存在であり、大きな

権力と共に動いていると思っています。

実際はどうなんでしょうね。

 

消された女
 

ナムスが取材を進めて行くのと同時に、精神病院に監禁されて

いた時のスアの酷い状況が描かれます。この病院の院長チャンが

全く悪いやつなんです。

 

消された女

 

見るからに悪そうで、そして色と欲にまみれて医療従事者に

あるまじき行為を繰り返していきます。時々ドキリとするので

要注意。
映画が進んでいくうちに、なんだ、これはあれだな、と思い

ついてしまった筋書き通りに映像は進みますが、なんとラストの

一言であらゆることを繋ぎなおさないといけなくなります。

そうか、だから話に違和感があったんだな。

ラストの呼び鈴の相手は誰なのか、監督自身が

「見る人が考えてほしい」と言っています。

多分あの人でしょうね。もう一回見て確認したいシーンが

幾つもありました。

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


デトロイト

3

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

デトロイト

 

「デトロイト」

原題:Detroit

監督:キャスリン・ビグロー

2017年 アメリカ映画 142分

キャスト:ジョン・ボイエガー

     ウィル・ポールター

     アルジー・スミス

     ジェイコブ・ラティモア

     ジェイソン・ミッチェル

 

1967年7月、デトロイトで黒人による大規模な

暴動が起きる。暴動3日目の夜、アルジェ・モーテル

から響いた数発の銃声が、そこにいた黒人が多く

含まれた客に対する警官たちの非情な行為が始まる

のだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 差別主義者の暴力的な姿を

鮮明に印象づけています。


命の価値は5000ドル


自分より強い者に「力」を振りかざすことは、そもそも

「権力」という強大な力が相手にあるわけだから限り

なく不可能。したがって弱い人間であればあるほど、

自分より弱い立場の者に薄っぺらな「力」を振りかざす

ものだと常々考えています。そしてそれは例えば、大人が

子供に、力の強い男性が体力的に劣った女性に、また

人間が動物に行うのと同じ構図なのだと思うのです。
実はこの映画は公開当初から、見たいという気持ちと

同じくらい、見たら必ず心が暗くなるという気持ちで

揺れ動いていました。今回、何とか力を振り絞って鑑賞。
監督は「ハート・ロッカー」(2009)

「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012)

のキャスリン・ビグローです。イラクにおけるアメリカ

軍爆発処理班兵士の姿を描いた「ハート・ロッカー」は
緊迫した状況が終始続き、画面から砂が舞ってくるかの

ように感じられました。また「ゼロ・ダーク・サーティ」

ではビンラディンの行方を追うCIAの狂気に満ちた任務を

ヒロインを通じて描いており能天気に「アメリカ万歳」

映画では終わっていなかったです。

「エンド・オブ・ザ・ホワイトハウス」(2013)

「ホワイトハウスダウン」(2013)のような

エンタテインメント性がないのでその手の映画が好きな人

にはかなりつらい時間になるかもしれません。
1967年デトロイト。権力や社会への不満から大暴動を

起こした黒人への対応に警察、州兵、軍まで駆り出された

その街で、ウィル・ポールター演じる白人警官クラウスは、

略奪していく丸腰の黒人を背後から撃ってしまう。もうね、

こいつが完ぺきな「差別主義者」なんですが、これっぽちも

それが悪いと考えていないのが大変特徴のある眉毛を持つ顔に

あらわれているのです。「ここで止めなければもっと悪い

方向に向かう」とペロリと話すけれど、上司には叱責され

「殺人」として報告すると言われてしまうのです。おそらくは

警官の中でも能力的に劣っていたのでしょうね。それでも

混乱する街の警備に当たるため、そのまま任務を続けるわけ

です。

 

デトロイト


一方暴動を起こす黒人たちを横目に、同じ黒人である

ディスミュークスは食料品店の警備員として働いています。

極めて現実的な男であり、反抗することが自らを危険に

晒すし、生活の基盤を失うと考えていたと思う。

 

デトロイト
 

もう一組はザ・ドラマティックスとしてメジャーデビューを

めざすラリーやフレッドをはじめとする黒人の若者たちです。

 

デトロイト

 

この3つがアルジェ・モーテルを舞台に交錯し、いくつもの

悲劇を生んでいくのです。全く関係のない部屋から(いや

そこに少し前までラリーたちはいたか)放たれたおもちゃの

銃の音を周りにいた警官隊は「狙撃者存在」と認識します。

そしてモーテルにクラウス、フリン、デメンズが突入し、

モーテルの客を拘束し、威圧的に暴力的に不当な尋問を行って

いくのです。このシーンは極めて長く、見ていると本当に

気分が悪くなります。この緊迫した晩に警察への不満を表す

ためにふざけたカールにも非がないわけではない。しかし

そこから延々と続くクラウス主体の行動は、「銃のありか」

を知るためではなく、自分たちの不満や暴動を起こす黒人へ

の怒り、恐怖などが鬱積したものではなかったのでしょうか。
その後警察での尋問、裁判シーンとつながりますが、ここでも

まことに不当な扱いを黒人たちは受け続けるのです。クラウス

たちを担当する弁護士が、これまた嫌らしいったらありゃあ

しない。また被告人席のクラウスが全然悪いと思っていない

表情を浮かべているんですよ。演技が上手すぎて、ちょっと

一発張り倒したくなるくらい。

この半世紀前の事件がいつまた起きてもおかしくないような

状況に陥っている気がして、人種間の差別意識は消えることは

ないんだろうかと絶望に近い気持ちに襲われます。そして

自分の心の中で、せめて自分だけは、人種、民族、宗教などで

差別することが絶対にないようにしたいと強く心に誓うのです。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ

 

 


セールスマン

4

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

セールスマン

 

「セールスマン」

原題:Forushande

監督:アスガー・ファルハディ

2016年 イラン=フランス映画 124分

キャスト:シャハブ・ホセイニ

     タラネ・アリシュスティ

     ババク・カリミ

 

国語教師エマッドは、妻ラナと俳優として舞台に

立っている。2人の住むアパートが倒壊の恐れが

あり、急遽引っ越しをするのだが、ある晩、ラナは

侵入してきた男に襲われてしまうのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 舞台に始まり舞台に終わる。

人生はそういうものかもしれません。


暴力が生み出すもの


ファルハディ監督の映画では「彼女が消えた浜辺」

(2009)「別離」(2011)と見ていますが、

どちらも大好きな作品です。「彼女が消えた浜辺」

では、一人の女性が姿を消し、仲が良かった友人、

夫婦がそれをきっかけに険悪な雰囲気に変わっていく

様をどこまでも青い空と、白い砂浜を舞台に描かれて

しました。真相がわかった後に何もなかったかのように

帰っていく彼らの表情がいろいろな思いを起こさせる

ものになっています。

「別離」は、娘の教育のため外国に移住したい妻と

実父の介護のため国に残りたい夫との離婚話から始まり、

雇われた貧しい介助人の女性に起きた悲劇から起こる

人間模様が丁寧に描かれています。全ての決定権を

持つ男性と地位が低い女性、また貧富の差を見せ、

根本に横たわる宗教の厳しい戒律を印象づけています。

それでも「別離」では若い世代に希望の持てるものに

なっていました。
「セールスマン」は、アーサー・ミラー原作の舞台劇

「セールスマンの死」を演じる夫妻の舞台上の姿と

私生活を重ね合わせて描いていきます。アパートの倒壊の

危険があり、慌てて避難する住民たちの中にエマッドと
ラナがいます。彼らは俳優仲間ババクの紹介で礼金なしの

物件に入居するのですが、どうも隣人やババクが前の住人

について口ごもるのです。おまけに荷物が1部屋に

置きっぱなしであり、約束の日にも取りに来ません。それ

でも夫妻は「この部屋で赤ちゃんができるかも〜」などと

希望に胸を膨らませ笑顔で語り合い、笑い合うのです。

 

セールスマン

 

2人の笑顔はこれ以降に見られたでしょうか。
エマッドが帰宅したと思い、オートロックを開け、

玄関ドアを開けてシャワーを浴びようとするラナの姿は、

次には病院に駆けつけるエマッドの姿へと変わります。

何が起きたのか、それはあのドアとラナの怪我が物語るのです。
たくさんの証拠があり、救出してくれた隣人の証言もあるから

警察の届けて犯人を捜すのはたやすいことでしょう。しかし、

ラナはそれを望まないのです。そこにはイスラム法

「シャリーア」の存在とが重くのしかかるだけでなく、彼女

自身の「恥」という気持ちがかなり深いと思う。犯人を

見つけ出し復讐したいというラマッドと、実はすべてを忘れて

なかったことにしてしまいたいラマの心が次第にすれ違い、

その距離がどんどん広がっていく様を映像から感じ取ることが

できます。

 

セールスマン
 

その隙間をうめようと舞台仲間の女性の息子を招いてご馳走を

ふるまうラナに「カード(キャッシュカード)は出てきたのか?」

とラマッドが尋ね、「出てこないけど引き出しのお金で買ったわ」と
答えるラマ。無理やりなのかもしれないけれど、久しぶりの笑顔に

あふれた食卓が凍り付く瞬間です。

 

セールスマン

 

つまりその金は例の男が置いて行ったものだということです。
序盤はあんなに穏やかだったラマッドが、職場でも舞台でも

家庭でも怒りっぽくなり、次第に暴力的になっていく。

そして明るかったラナがいつも悲しそうな顔しか見せなく

なっていく。一つの事件が夫妻をこんなにも変えるのかと

思うのと同時に、ラスト付近に起きた悲劇は、真実を追求する

ことがさらなる悲劇を生んでしまうことを実感します。いや、

だからといって事件は許されないけれど。
ラストにいつもと同じように舞台に立つためにメイクをする

2人が映りますが、老いを感じさせるために少しずつ皺を描き、

白髪を見せていく。このように実生活でもともに老いを迎えて

行けるのだろうか。再び信頼し合い、笑い合えるのだろうか。

そんなことを考えながら、暴力に対する暴力が生み出すものは、

さらなる悲劇でしかなく、それは小さな範囲だったものが、

取り巻く人々へ次々に波及していくのだと思ってしまいました。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ


密偵

4

JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

密偵

 

「密偵」

原題:The Age of Shadows

監督:キム・ジウン

2016年 韓国映画 140分

キャスト:ソン・ガンホ

     コン・ユ

     ハン・ジミン

     鶴見辰吾

     オム・テク

     イ・ビョンホン

 

1920年代、日本統治下の朝鮮半島で警務局に

勤めるジョンチュルは、ヒガシ部長から義烈団を

捕まえることを指示される。ジョンチュルは義烈団

の隊長ウジンとの接触を試みるが..。


<お勧め星>☆☆☆☆ ストーリー、映像、音楽、

俳優すべてにおいて心にズシンと来る映画でした。

 

密偵


「前進あるのみ」


第一次世界大戦直後ですから、日本でいうと大正時代の

朝鮮半島では、朝鮮民族の中でも「親日派」と

「抗日派」に分かれ、同じ民族でありながら、日々の

暮らしのために、自分の地位のために、家族のために
朝鮮総督府に服従する人々と、独立運動を繰り広げる

人々とが争っていたわけです。
冒頭、京城の骨董品を扱う商人に、仏像を持ちこむ

義勇団のジャンオクは、あっという間に警察に包囲

され、警務として働くジョンチュルの説得を受ける

ものの、自らのこめかみを撃ち抜きます。2人は

かつては幼なじみだったとはいえ、このように対立し、

また同胞さえ売るような輩も存在するのです。この

追跡シーンの映像は瓦屋根の上を走るジャンオクと

それを追う多数の警察隊の姿が次々に映し出され、

そのスリルは抜群。ちょっと日本の時代劇の「忍び」

を思い出しました。

 

密偵
 

そしてジョンチュルはヒガシ部長から、義烈団の団長チェサン

を捕まえるために、ウジンと接触するように指示されるのです。

チェサン役はソン・ガンホ、ウジン役はコン・ユ、そして

な、な、なんとチェサン役はイ・ビョンホン様でございます。

出てくるシーンは少ないけれどさすがの存在感。
またソン・ガンホ演じるジョンチュルがいつも通りとぼけた

ような表情を浮かべながら、重要なシーンではまさに心に

響く演技を見せてくれます。この映画ではヒガシ部長と話す時

日本語を使うのですが、それがかなり流暢なんですよ。

ヒガシ部長役の鶴見辰吾は、まあ、いつもの演技ですね。

まさか彼が「3年B組金八先生」で杉田かおるとカップルだった

なんて..ああこんなことは思い出すはずもないか。
さてヒガシ部長は、表面上はジョンチュルを信じているように

見えたものの、もう一人「ハシモト」と名乗る朝鮮人を同じ

任務につけるわけです。つまり彼の監視役ですね。こいつが

まことに嫌な奴でしてものすごく冷酷で残忍なのです。この

映画の良さは、日本統治下の朝鮮半島で、一方的に朝鮮人が

痛めつけられ、苦難の道を歩んだと日本人を「悪」と決めつけて

はおらず、朝鮮人の中でも様々な人間がいたと示し、それを

韓国で製作したということです。やけに自国を美化したり、

相手国を貶めるような描き方は一切ありません。素晴らしい。
ジョンチュルが同胞のためにと一肌脱ぐ計画を遂行する時の

列車内のシーンは、もうドキドキものです。ジョンチュルを

疑うハシモトと、ハシモトたちに見られないようにトイレに

入って密談するジョンチュルとウジン。列車内も見事に再現

されているし、そこで起きる銃撃戦もスピード感あふれるもので

目が離せません。実は団員の中にも密偵がおり、ジュンチュルは

その危険にも晒されつつ密偵をするわけですから、この

騙し合いも見ものです。

 

密偵

 

目的地の京城駅での発砲、逃走シーンは全てが終わった静寂の

中で天井から下を映し、床に横たわる団員と警官の血のりが

それを赤く染めていく。

 

密偵

 

そしてその後、捕まったゲスンたちは酷い取り調べを受けます。

このシーンはとても胸が痛くなりました。実際に起きたことだろう

けれど、CIAがテロリストを拷問するのと、自分の祖国の人間が

していた行為は、やはり受け止め方が異なるのだなと思って

しまいます。やはり日本人なんだと実感するのです。辛い。
ラストの木立の中を2人の男が別々の方向に向かって歩いて行く

シーンは、まるで絵画のようで、流れる音楽も美しく、「第三の男」

を彷彿とさせました。このような映画を日本で製作できるの

だろうか。見終わってそればかり考えています。

 

 

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ

 

 


ナイスガイズ!

4

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ナイスガイズ!

 

「ナイスガイズ!」

原題:The Nice Guys

監督:シェーン・ブラック

2016年 アメリカ映画 116分 PG12

キャスト:ラッセル・クロウ

     ライアン・ゴズリング

     アンガーリー・ライス

     マット・ボーマー

     マーガレット・クアリー

 

娘ホリーと暮らす私立探偵マーチは、アメリアと

いう女性の居場所を捜す仕事を引き受ける。しかし

その彼を突然ヒーリーという示談屋が襲い、さらには

アメリアに関わる人々が連続して不審死を遂げている

ことを知るのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 練ったストーリーと、ポップな

音楽、緩いアクションがとても楽しいです。


You will never be happyのneverが消えた


1987年映画「リーサルウェポン」の脚本を担当した

シェーン・ブラックが監督。
1977年のロスアンゼルス。日本で言うアメ車、

アメリカだから国産車が、排ガス規制もなく、ガソリンを

垂れ流しながらバカでかい車体でぶいぶい走っていた

時代です。建物も街並みも当時の雰囲気(1979年に

行った時こんな感じだった..と思う)を醸し出し、ポップな

音楽に乗って映画が始まります。

オープニングのシーンは必見。

 

ナイスガイズ!
 

さて認知症気味の老人の依頼を受け、ほぼ騙すように

して金を受け取っている私立探偵マーチ役は

ライアン・ゴズリング。本当に嗅覚を失っていて、嗅覚の

ない探偵と自虐的に言うけれど、そのせいで妻を亡くした

悲しい過去がさらりと語られます。それを話すのが、

酒浸りのマーチを支える賢い娘ホリー。マーチはいかさま

まがいの仕事をしているけれど、根は正直なのも見ている

うちに伝わってきます。

 

ナイスガイズ!
 

一方、マーチが「わたしの姪は事故死したけれどその3日後に

姿を見たから彼女を捜して」と頼まれたのに、アメリアを

捜している人物をアメリア自身がぶちのめして!と依頼した

ことから彼の元を訪れるのが示談屋ヒーリー。この老人が

捜している姪の姿が見えた部屋がアメリアの部屋だったことで

アメリアを捜していると思われたらしい。ヒーリー役は

ラッセル・クロウ。この映画では目いっぱいからだを張って

演技しているんだけれど、その体がめっちゃ重いので、ド派手な

アクションなはずが何とも緩いものになっています。

これはこれで好きだけど。
ヒーリーに腕をへし折られたものの、その後「アメリア捜し」

ということで何者かに襲われたり、行く先々に死人がいたりと

謎は深まるばかりなのです。そこで活躍するのは、13歳なのに

深夜パパと外出して車も運転し、ポルノ映画も見てしまう

マーチの娘ホリーです。酒でボケたマーチの頭をカバーすべく

切れ味抜群の頭脳を発揮するし、危険予知能力にもたけています。

すごいぞ、ホリー!それでいて悪者の命を奪うことを止めると

いうなかなかの正義感の持ち主なのです。

 

ナイスガイズ!

 

小さな悪を叩いても大きな悪は潰せないということを彼女の

行動で体現しているのかもしれません。ストーリーとは

ほとんど関係ないシーンであのライアン・ゴズリングが、

「ラ・ラ・ランド」のセブが、ボケル、ボケる。いっぱい

出てくるからいっぱい笑っちゃって〜!そう、イケメンと

いうのはこのように3枚目も演じなければ演技派などと
言えないのです。いつまでも「俺、主役だから」じゃノンノン。
ストーリーの元にあるサスペンス要素はしっかりラストに

回収され、なぜ死んだはずの姪がいたのか、とか、この

殺し屋たちは誰が雇ったのかとかちゃーんと理解できます。
あと5年もすれば、日本の電気自動車だらけに変わる、と

マーチが映画内でつぶやいていたように、アメリカの自動車

産業は一挙に斜陽化し、デトロイトは寂れた街となり、「エコ」

な車がアメリカ国内を走り回るようになったんだよなあ。

モーターショーで賑わった時代を懐かしむ人々の気持ちも

ちょっぴりわかる映画でした。難しいことは考えずこの

ナイスガイズコンビの姿を楽しむのが一番です。
続編が絶対に見たいな。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村  人気ブログランキングへ



カレンダー

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

ブログランキング

今日のわんこ

powered by 撮影スタジオ.jp

アマゾン

遊びにきてくれてありがとう!

カウンター

死語レッスン

最新記事

categories

過去の記事

コメントありがとうございます!

トラックバックありがとうございます!

recommend

お友達

ミス・マープルについて

書いた記事数:3071 最後に更新した日:2019/11/20

あの映画を探そう!

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM