つぐない

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JUGEMテーマ:洋画

 

つぐない

 

「つぐない」

原題:Atonement

監督:ジョー・ライト

原作:イアン・マキューアン「贖罪」

2007年 イギリス映画 130分

キャスト:キーラ・ナイトレイ

     シアーシャ・ローナン

     ロモーラ・ガライ

     ヴァネッサ・レッドグレイヴ

 

1935年、イングランド。官僚の娘ブライオニーは

小説家を夢見る多感な13歳。彼女は使用人の息子

ロビーに思いを寄せていたが、ある日姉セシーリアと

ロビーの関係に疑念を抱き、決定的な瞬間を目撃して

しまう。その後従妹ローラの暴行未遂事件が起き、

彼女は「犯人はロビー」と嘘の証言をするのだった...。


<お勧め星>☆☆☆☆ 幼さゆえの過ちが、決して

許されることのない結果を招いてしまったとしか言えません。


Come back to me


タイプライターの音が鳴り響き、きびきび屋敷を歩く

ブライオニーが映ります。この役はまだあどけない

シアーシャ・ローナン。

 

つぐない

 

わたしの大好きな映画「ブルックリン」(2015)では

すっかり大人の女性を演じていましたが、抜けるような白い

肌と繊細そうな瞳はそのまま残っています。ブライオニーは

小説家を目指しているようで、一人戯曲を書き続けているの

です。
映画はブライオニーとセシーリアの視点で、序盤同じ出来事が

それぞれ描かれ、ブライオニーの幼さゆえの誤解と嫉妬が事件の

伏線として敷かれていくのです。セシーリアと使用人ロビーが

同じケンブリッジ大学に通った間柄なのに、なぜぎくしゃく

しているのか。この揺れ動く感情をキーラ・ナイトレイが

気品ある演技で見せてくれます。もちろんイケメン、

ジェームズ・マカヴォイ演じるロビーの笑う、怒る、嘆く、

戸惑う、様々な表情が豊かであり、絶対に二人は結ばれて

ほしい!と願ってしまうのです。

 

つぐない
 

2人がこっそりテーブルの下で手をつなぐシーンは、本当に

このまま時間が止まればいいと思ってしまう。昔、貴乃花と

宮沢りえが婚約会見した時に、二人はテーブルの下で手を

つないでいると語ったけれど、好きで好きでたまらない感情が、

あの一点に集約されていると思うのです。
そして従兄の双子が家出をし、全員で捜索していると、双子の

姉ローラが誰かに襲われかけてしまう。ここでブライオニーは

「犯人はロビー」と断言するわけです。その前の出来事から

絶対にそう言うと思っていたけれど、その証言がどんな結果を

招くか、13歳の少女にわかるはずもなく、しかしそれは限り

なく残酷で、決して許されることのない事態に向かうきっかけ

になるのです。
中盤以降は、家を出て看護師になったセシーリアと進学せず

姉と同じ看護師を目指すブライオニーが映り、その一方で刑務所

からそのまま入隊したロビーの姿が描かれます。束の間の休暇に

セシーリアと再会したロビーは、彼女が乗るべきバスを待つとき

「バスが来ないといい」と呟くけれど、バスはすぐに来てしまう。

 

つぐない

 

そのバスが角を曲がるまで走って追いかけるロビーの姿を見ると

胸が痛くなります。バスが来るのが早すぎるって..。

 

つぐない
 

成長し、すべてを理解できたブライオニーの「つぐない」は

どうあるべきだったのか。いや自分ではどうしようもない運命が

あるのです。時代があるのです。戦争があるのです。

 

つぐない
 

彼女が書く最後の小説の中で、セシーリアとロビーが失ったもの

「幸せな日々」を取り戻すことが、ブライオニーができるせめて

もの「つぐない」だったのですね。本当に切ない映画でした。
そして衣装、音楽、景色が全て美しく、それが引き裂かれるのが、

あの嘘を起点としていることを実感します。

 

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夜明けの祈り

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JUGEMテーマ:洋画

 

夜明けの祈り

 

「夜明けの祈り」

原題:Les innocentes

監督:アンヌ・フォンテーヌ

2016年 フランス=ポーランド映画 115分

キャスト:ルー・ドゥ・ラージュ

     アガタ・ブゼク

     アガタ・クレジャ

     バンサン・マケーニュ

 

1945年12月、ソ連占領下のポーランドで1人の

修道女が、フランス赤十字の医師マチルドに助けを

求める。修道院では臨月の修道女が苦しんでおり、

彼女は帝王切開で出産を成功させるが、ここには

他にも妊娠した修道女がおり..。


<お勧め星>☆☆☆☆ 強い信仰心と現実のはざまで

揺れ動く人々の姿と使命感のみで動く女性を描いています。


絶望からの希望


映画を見て本当に良かったと思えるのは、普段味わえない

スリルやアクションシーンを体感できることや、個人の

好みだけれどドキドキハラハラする非現実の世界に入り

込めることなどと共に、歴史の教科書では決して取り

上げられることのない戦争の惨禍を知ることができること

です。もちろん、それを知ったときに衝撃は大きいけれど、

知らないままでいるよりも、知って、次にこの国のニュースが

報道された時に、そうか、この国には過去にこんな出来事が

あったのだと思い出し、今起きていることと何か関連が

あるのではないかと想像することができるのです。
この映画のヒロイン、フランス人医師マチルドは

マドレーヌ・ポーリアックという実在の人物であり、彼女の

医師としての倫理観、使命感に燃えた行動のすべてを描いて

います。彼女は無神論者だったようで、信仰心の厚い修道女

たちの姿とは真逆で、仕事が終われば、酒も飲むし、

同僚医師サミュエルと一夜を過ごすなど、それなりにストレスを

発散しています。

 

夜明けの祈り

 

負傷兵の手当てをするポーランドにおけるフランス人という

立場でなければ、ごく普通の若い女性の生活を送ったに

過ぎなかったでしょう。いやそこには第二次世界大戦という

大きな戦争がありました。そこでのフランス人の状況も幾つか

の映画で見たことがあります。

 

夜明けの祈り
 

美しい讃美歌を歌う修道女の声の後ろで、何か悲鳴が聞こえて

きます。それは何なのか。そして1人の修道女が町へ向かい、

ソ連人とポーランド人以外の医師を捜すのです。なぜ自国の

医師ではだめなのか。

 

夜明けの祈り

 

夜明けの祈り
 

マチルドが向かった修道院でなぜか臨月の修道女が苦しんで

います。男子禁制、神の花嫁であるはずの修道女がなぜこの

状況に置かれているのか。ここには第二次大戦後、ポーランドで

起きた悲劇が横たわっているのです。
ドイツ軍撤退後に侵攻してきたソ連軍兵士たちが、この修道院に

3度にわたって侵入し、修道女たちを次々にレイプしていき、

それによって数人の修道女が妊娠してしまったのです。

「貞節を守る」ことが彼女たちの教えの1つであり、守れなかった

ことは「罰」となり、それは「祈り」で神に赦しを求めるしかない

という。「受難は神の思し召し」。いやいやそれでも日に日に

お腹は大きくなるわけで、マチルドは検問しているソ連軍兵士の

目をかいくぐって修道院に向かうのです。最初はフランス

赤十字の任務にないから命令違反なのかと思いましたが、マチルド

自身もソ連兵に襲われかけるシーンもあったことや修道院が

ポーランド軍に家宅捜索を受けるシーンなどから、マチルドに

危害を加えるのは1つの要因だけではないと認識できるのです。
マチルドは何度も修道院に通い、また呼びだされ、次々と

赤ちゃんを取り上げていきますが、出産を喜ぶ修道女ばかり

ではなく、また、生まれた赤ん坊はすぐにシスターが養子に

出してしまう。ここは終盤にからくりがわかり、本当に悲しい

思いを抱きます。信仰のために取った行動が正しいか否か、

それは神に委ねたと言いつつ、実は自らの修道院の体面を守る

ためだけではなかったのかと。
戦争は敵味方に分かれ、戦い、多くの命を奪い、多くの物を

破壊するだけでなく、戦争が終結しても、数多くの爪痕を

残していきます。それは形としていつまでも存在し、時間や

賠償金、また信仰心だけでは解決できるものではないのです。
映画内でシスター・マリアが

「信仰は24時間の疑問と1分の希望」

と言うのも少しだけ理解できたような気がしました。
ただこのような事件が現在も紛争地帯で起きていることを

知っているだけに、なぜ世界は変われないのかと無力感

にも襲われるのです。

 

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サーミの血

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JUGEMテーマ:洋画

 

サーミの血

 

「サーミの血」

原題:Sameblod

監督:アマンダ・ケンネル

2016年 スウェーデン=デンマーク=ノルウェー映画 

108分

キャスト:レーネ=セシリア=スパルロク

     ミーア=エリーカ・スパルロク

     マイ=ドリス・リヒピ

     ユリウス・フレイシャンデル

 

1930年代、スウェーデン北部の山岳地帯に暮らす

サーミ人のエレは寄宿学校から高校への進学を希望

するも、教師にその資格がないと言われてしまう。

彼女は日頃から受けている様々な差別と偏見から逃れる

ため、パーティーで出会ったニクラスの元に向かうが...。


<お勧め星>☆☆☆☆ 全く知らない事実をまた映画で

見ることができました。


悪意のない差別こそ憎むべき存在


映画は全てヒロインのサーミ人、エレ・マリヤ視線で

描かれています。ラップランドという地名はイコール、

トナカイのイメージがあるのに、サーミ人という民族や

ヨイクという彼らが歌う歌は全く知りませんでした。

調べてみると「ラップランド」というのは「辺境」の地を

意味する蔑称であり、サーミ、サーメと彼らは自称して

いるそうです。この民族衣装はとても美しく山岳地帯に

映えるのです。
 

サーミの血
 

この映画での1930年代のサーミ人は、まさしく、

スウェーデン人とは別物と扱われており、生活の場はテント

なので当然なのですが、学校もサーミ人専用の寄宿学校で宿舎

から毎日ぞろぞろ集団で登校する姿が映ります。彼らは民族衣装を

まとっており、その文化を守るように半ば強制されつつ、

言語はスウェーデン語を話せと言われる。登校時には、

好奇心の目で見られ、「臭い、不潔」という言葉をかけられる

のです。
それは冒頭に老いたエレが(クリスティーナと名乗っている)

宿泊したホテルで、現在もスウェーデン人が

「トナカイ飼いは自然を大切にするのかと思ったら、森の中を

バイクで大騒ぎするのよ」
と語る話からも、今なおスウェーデン人の心の奥には

サーミ人への差別があることを知り、とても複雑な表情を

浮かべるのが印象的です。自分自身も

「あの人たちは汚いのよ」

と息子に語っています。

 

サーミの血
 

そんな彼女の少女時代の回想シーンで、彼女がそのように強く

思った原因が次々に明らかにされていきます。

 

サーミの血

 

標本のように身体測定をされ、全裸の写真を撮影されるのは、

彼らがサーミ人を同じ人間と思っていない証拠でもあるのです。
窓からスウェーデン人がのぞいているのがわかっているのに、

14歳の少女に全裸を強要するのはどう考えも酷すぎる。ただ

当時の研究では、サーミ人の脳はスウェーデン人より小さく、

文明に向いていないと報告されていたらしい。つまり原始人扱い

だったわけです。
エレは高校へ行きたい、恋もしたい、都会で生活したい、と

様々な夢を、とてつもなく強い意志で叶えていくわけですが、

その過程は一切描かれません。それは見る者がいくらでも想像

できる範囲のことだからなのです。

 

サーミの血
 

ニクラスと結婚するはずもないし、大体あのチャラ男はいか

にも都会人という感じで、ちょっと違う味の女子と楽しんだ

くらいにしか考えていなかったと思う。もちろんエレも彼に

恋したわけではなく、恋することを体験する相手として彼を

選んだに過ぎないのでしょう。最も辛く感じたのは、ニクラス

の誕生日会で、民俗学を学んでいるという女子学生がエレに

「ヨイクを歌って。本物を聞いたことがないのよ」
とおねだりするシーンで、それが全く悪意のない行為だからこそ

許しがたい屈辱を与えるのだと痛感しました。
サーミ人として伝統を守り、姉の分までトナカイの世話をして

一生を終えた妹ニェンナと全てを捨てスウェーデン人として

生活をすることを選んだエレとは、かつてはあれほどまでに

仲が良かったのだ、そして同じ苦痛を味わっていたのだという

ことに思いを馳せた時、エレは自分が失ったものの大きさに

気づいたように思います。エンドロールに流れるヨイクは、

本当に牧歌的でのどかな雰囲気を醸し出しています。

 

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灼熱

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JUGEMテーマ:邦画

 

灼熱

 

「灼熱」

原題:Zvizdan

監督:ダリボル・マタニッチ

2015年 クロアチア=スロベニア=セルビア映画 

123分 R15+

キャスト:ティノナ・ラゾビッチ

     ゴーラン・マルコビッチ

     ニベス・イバンコビッチ

     ダド・チョーシッチ

 

1991年クロアチア人とセルビア人の対立が深まる中、

アドリア海に近い村でクロアチア人のイヴァンとセルビア人

のイェレナは、2人で街へ逃げようと計画していた。

しかしイェレナの兄によって彼女は連れ戻されてしまう...。


<お勧め星>☆☆☆☆


愛は普遍的なもの


私個人から見ると、クロアチアとセルビアという国はイタリア

の東辺りにあって..くらいにしか印象がないのですが、

クロアチア人とセルビア人がたびたび対立してきたことは、

歴史や近年のニュースなどで知ることができています。
それでも遠い国、というイメージしか持てないのです。
映画のストーリーは三部作で、それぞれ民族紛争を背景に

して、ある若い男女のカップルの姿を描いていきます。

 

灼熱
 

まず1991年、イェレナ(セルビア人)とイヴァン

(クロアチア人)。恋人同士だった2人は、激しさを増す

民族対立を避けて街へ向かおうとするものの、イェレナの

兄サーシャによって阻止されてしまう。完全に非暴力で

トランペットを吹き続けるイヴァンの姿は強く心に残ります。

太陽が真上にあり、日差しがさんさんと降り注ぐ中での悲劇。

 

灼熱
 

次は2001年、クロアチア紛争後、復興に取り組む政府も

セルビア人に対しては消極的であり、ゾルカとナタシャ母娘は、

すっかり破壊された自宅へ戻って来るのです。荒廃した街並みや

銃撃、爆発の跡がその凄まじい戦禍を物語ります。そして家の

修理に訪れるのがアンテ。セルビア人である母娘は兄を

クロアチア人に、クロアチア人であるアンテは、父をセルビア人に

それぞれ殺害されており、紛争は終結したとはいえ、互いの胸の

中にくすぶり続ける憎しみは決して消えることがないのは、

ナタシャの態度で一目瞭然なのです。しかしどちらが悪いと

一方的に責めることで何かが解決するのだろうか。修理が終わる日、

アンテとナタシャは関係を持つのですが、ナタシャは

「これで終わりよ」と冷たく言い放ちます。紛争がなければ、恋を

したかもしれない、いや紛争がなければ出会うこともなかったのか。

沈んでいく夕陽が草原を赤く染めていきます。

 

灼熱
 

時を経て2011年。平和を取り戻したクロアチア国内で、

久しぶりに故郷に戻ってきたルカは、民族の違いで母親に

引き離されたかつての恋人マリヤの家を訪れるのです。平和を

取り戻したとはいえ、人々の心の中に差別が残っていることは、
2人が引き離された現実から知ることができます。さらに彼ら

には子供がおり、一度は拒絶したルカをマリヤは受け入れるかの

ごとく玄関扉を開けたまま、家の中に去っていくのです。
つまり小さなレベルでの和解が進んでいくことを意味し、それが

民族の対立を和らげていくのだと意味しているような気がしました。
三部作の男女はいずれも同じ俳優、女優が演じており、時代や

環境が異なっても、変わらずに存在するのは「愛」だと、とても

単純なことですが、大切なことを訴えます。但し2人がかなり

印象的なルックスなので、一目で同一人物だとわかり、敢えて

そういう設定にした監督の思いをどうとらえたらいいのか悩んで

しまいました。また必ず登場する黒い犬と海。

 

灼熱

 

すべてを見ているのが犬であり、海は誰もを同じように包み込み、

浮かばせ、潜らせる。第三部では、朝陽が昇るシーンが見られる

ことで、この長い対立にも夜明けが来ていることを意味していた

ような気がします。
「政治も過激な国家主義もけっして勝者はいないが、人間の

本質に備わる愛の力はすべてに勝る」監督自身の言葉です。

心に深く刻みたいと思います。

 

 

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未来を花束にして

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JUGEMテーマ:洋画

 

未来を花束にして

 

「未来を花束にして」

原題:Suffragette

監督:サラ・ガブロン

2015年 イギリス映画 106分

キャスト:キャリー・マリガン

     ヘレナ・ボナム=カーター

     ブレンダン・グリーソン

     アンヌ=マリー・ダフ

     メリル・ストリープ

 

1912年、ロンドンで洗濯女として働くモードは、

街で女性参政権要求の抗議行動をする婦人たちを目に

する。そして彼女は友人の代わりに公聴会で証言する

ことになるのだが、それをきっかけに彼女自身も活動に

賛同していくのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ とても多くの思いを抱きながら

見続けました。とにかく多くの人に見てほしい映画です。


他の生き方の存在


「すべての娘たちはこの歴史を知るべきであり、すべての

息子たちは胸に刻むべきだ」というメリル・ストリープの

言葉がこの映画の予告編の最後に流れていました。映画の

あらすじは女性の参政権がなかった20世紀初頭のイギリス

で巻き起こっていた女性たちによるその権利獲得運動のある

部分を見せているのです。

 

未来を花束にして
 

女性解放運動といえば1972年に日本で結成された中ピ連を

思い出す人はもうそれほどいないかもしれません。しかも

その活動期間は短く、マスコミの取り上げ方やまた団体の活動

自体も女性たちから多くの賛同を得ることはなかったと記憶

しています。
それではなく、根本的な女性の権利の主張、参政権、投票権、

親権などを男性と同様に求める活動をしていたのが

エメリン・パンクハーストという活動家で、彼女の思想に同調

した女性たちがイギリスの各地でデモやビラ配りなどを行って

いたのです。

 

未来を花束にして
 

ヒロインのモード役はキャリー・マリガン。実に多彩な演技の

できる女優さんで、この映画でも序盤は、現実を受け入れ、

それに何の疑問も持たず、流されるように日々の生活を送って

いく無口な女性から、後半には、権利獲得のために闘い、

自分たちの主義を主張する強い女性へと変わっているのは

まるで別人のようです。活動をリードする薬剤師イーディス役は

ヘレナ・ボナム・カーター。彼女の演技も見逃せません。
洗濯女として働くモードは、母親もその仕事についていて、父親

はいない。そして夫もその洗濯工場で働いているのです。どうやら

工場長が彼女の幼い頃、性的虐待をしていたことをほのめかす

シーンがあり、それで彼女を優遇するという極めて不条理な環境

にも耐えている?いや不条理と思っていないのかもしれません。
男性より長く働き、賃金は安く、けがや病気が多い劣悪な環境で

あっても、彼女にはそこで働く人生以外、外の世界を知るきっかけ

もなかったのです。そこに一筋の光を差し込むのが、街でたまたま

見かけた女性参政権獲得運動の活動家の姿です。そしてこれも

たまたま公聴会で証言することになり、それが参加者の賛同を得ると
彼女は自分が認められたことで少しの自信と、今の生活への少しの

疑問を持ち始めます。

 

未来を花束にして

 

とはいえ、その後参加したデモで、警官に暴行され、拘束される

ことが重なると、遂には家を追い出され、一人息子のジョージは

養子に出されてしまう。
ここは泣けます。

「あなたのママはモード・ワッツよ。いつか会いに来てね」

「レ・ミゼラブル」でコゼットを思い泣くフォンテーヌを見ても

泣けなかったのに、ここは泣けます。なぜだろう。どちらも

同じくらい不条理なのに。
彼女たちが非合法な手段で活動することを余儀なくされたのは、

あらゆる門戸が閉ざされてしまったことと、聞く耳を持たない

社会に対しての大きな反発だったと考えます。活動に目を向け

させようと爆破事件を起こしても新聞すら取り上げず、彼女たちの

訴えを知るものは増えず、さらに逮捕投獄者が増えるばかり。

そして命を懸けて行動するメアリーによって、ようやく世界の

目が彼女たちの活動に向けられるのです。
命が幾つ奪われれば、重要な権利を獲得できるのでしょうか。

その権利を決して粗末に扱ってはいけないのです。
イギリスでは1918年に30歳以上の女性に参政権が認められ、

1925年に母親の親権が、そして1928年に男女平等の

参政権が認められました。日本では、1925年に25歳以上の

男性の参政権、そして男女平等の参政権は1945年ポツダム宣言

によって認められたのだということを心に深く留めておきたいと

思います。本当にたくさんのことを考える映画でしたが、

100年以上たった今、根本的な考え方が変わったのか、そこも

考えてしまいました。

 

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人間の値打ち

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

人間の値打ち

 

「人間の値打ち」

原題:Il capitale umano

監督:パオロ・ビルツィ

2013年 イタリア=フランス映画 109分 

PG12

キャスト:バレリア・ブルーニ・テデスキ

     ファブリッツィオ・ベンティボリオ

     マティルデ・ジョリ

 

不動産業を営むディーノは、事実婚状態のロベルタ

と娘セレーナとの3人暮らし。彼はセレーナの交際

相手マッシの父親で投資ファンドで財を成している

ジョヴァンニに接近するが..。


<お勧め星>☆☆☆☆ いろいろな意味での「値打ち」

を考えさせられました。


人間の値打ちとは?


オープニングで何かの式典の片づけをするウェイターの

1人が、早めに仕事を切り上げ自転車で自宅に向かう

途中事故に遭います。彼の背中が闇に紛れていこうとする

その時、突然自動車のライトが前後に映り、そして彼を

崖下へと落下させるのです。
そして映画は4つの章に分かれ、この事故を巡る3人の

視点から描かれていきます。同じシーンであってもそこに

居合わせた3人が表情とは全く異なることを考えているのが

わかると、まことにおもしろい。
夕焼けを見て「明日は晴れてうれしいな」と思うか

「もう1日が暮れて寂しい」と思うか

「まだまだ夜は長いな」と思うようなものでしょうか。

(かなり違うな)

 

人間の値打ち
 

第1章ディーノ

不動産屋を営むものの、さらに儲けたくて娘セレーナの

交際相手マッシの父で投資ファンド会社を経営する

ジョヴァンニに近づく。そもそも彼は上流階級に憧れており、

それは娘を名門校に通わせていることからも伺えるのです。

彼がいかに卑しく俗物であるかは、いつもクチャクチャガムを

噛む姿や何とかジョヴァンニに取り入ろうとする姿から露骨に

わかり「さもしい」がぴったりの姿なのですが、彼にとっては

「金」こそ最も大事なものだと思っているのがよくわかります。

 

人間の値打ち
 

第2章

カルラ 裕福な夫ジョヴァンニを持ち何不自由ない生活を

しているものの、自分を認めてくれる人が誰もいない、

つまり自分というものが存在する価値を見出せないでいる

のです。この役を演じるバレリア・ブルーニ・テデスキは

「アスファルト」(2015)で、夜勤専門ナースを演じ、

退廃的な雰囲気を感じさせる姿を見せていましたが、この

映画でも満たされない心の持ち主を好演しています。声が

またこの役にぴったりなんです。ちょっとそこ、もっと

はっきり言ってごらん!と言いたくなるような感じ。彼女に

とって大切なのは「自分の存在価値」を認めてもらうこと。

 

人間の値打ち
 

第3章 セレーナ

この章で冒頭の事故の真相が明らかになります。誰が悪いと

一概に決められないけれど、誰がその車を運転していたかが

わかるわけです。なぜ運転していたのか。そこにはセレーナは

あの卑しい父親とは異なり、純粋な心の持ち主で、マッシなんて

アホとはとっくに別れていたんですよね。彼女が本当に恋した

のは、生まれも育ちも貧しいけれど、他人を思いやり、そのため

には罪をも被る優しく繊細な心の持ち主ルカ。ルカのセラピーを

しているのがセレーナの父と事実婚状態にある心療内科医ロベルタ

というつながり方です。セレーナにとっては「愛」こそが一番大事。
この3者の胸の内を描きつつ、第4章に入り、事故をめぐって

3者がどのように行動するか丁寧に描かれます。

もうね、ディーノなんて最低のクズなんですよ。それでも彼に

とって最優先すべきことは「金」。ここまで堕ちたくないもんだ

とあきれてしまう。一方でセレーナを演じたマティルデ・ジョリ

はこの映画がデビュー作で2000人以上の中から選ばれたとの

こと。彼女の初々しくも体当たりの演技を是非見てほしいです。
人にとって「値打ち」というものを何に求めるか、おそらくは

各々異なっていると思うけれど、少なくとも何が

「価値のあるものか」を等しく感じる人たちと過ごしたいと実感

する内容でした。

 

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わたしは、ダニエル・ブレイク

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JUGEMテーマ:洋画

 

わたしは、ダニエル・ブレイク

 

「わたしは、ダニエル・ブレイク」

原題:I,Daniel Blake

2016年 イギリス映画 100分

キャスト:デイブ・ジョーンズ

     ヘイリー・スクワイアーズ

     ディラン・フィリップ・マキアナン

     ブリアナ・シャン

     ケイト・ラッター

 

心臓病で医師から仕事を止められたダニエルは、

支援手当支給を申請するが却下されてしまう。

そして求職者手当申請のために訪れた役所で、職員

とトラブルになっているケイティというシングル

マザーと知り合うのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 一番に守るべきは国民の福祉

ではないかと実感させられる秀逸な映画です。


人間としての尊厳


ケン・ローチ監督の映画は大好きです。「天使の分け前」

(2013)では登場人物が少しだけ幸せになる姿を笑い

あり涙ありで描き、「ジミー、野を駆ける伝説」(2015)

では1930年代のアイルランドを舞台にしたジミーの

活動が美しい風景と共に描かれていました。どの映画も

心に大きな余韻を残します。「麦の穂を揺らす風」(2006)

に続き、カンヌ国際映画祭パルムドールを獲得したこの映画は、

ごく平凡な1人の初老の男性ダニエル・ブレイクが主人公です。

大工として40年真面目に働き、心を病んだ妻の介護を終えた

男が、心臓病で働くのを止められた時、国はどう救済の手を

差し伸べるのか。

 

わたしは、ダニエル・ブレイク

 

序盤から日本でもあるあると思う光景が見られます。わたし

も父が亡くなったとき、年金の手続きをした際、共済組合で

の電話では大変不快な思いをしました。年末28日だった

せいか、ろくに話を聞かず、送るものを読めばいいという

対応で、それが何なのか、いつ届くの、その後どうすれば

いいのかなどあれこれ問ううちに、「もうどうでもいい」

とまで思ったものです。いやしかしちゃんと手続しました

けどね。印鑑がすり減るほど押したわ、全く。
向こうからの電話待ち、部署のたらい回しなどは当たり前で、

ネットの使えないダニエルにネットで申請するしかないと

いう言葉を放つ職員に対しては、おいおいそれは無理だろう、

と言いたくなってしまう。結局緊縮財政になったときに一

番に削られるのが福祉予算であり、もちろんわずかな人々が

不正を働いているにせよ、絶対的に必要とする人々の困窮を

深める状況が加速していくわけです。

 

わたしは、ダニエル・ブレイク
 

同じ頃移民系女性で2人の子持ちのケイティも、少しのミスで

申請ができなくなり給付金がもらえなくなるのです。ここで

思い出すのは、実母が買ったものの使いこなせず解約しよう

としたらくらくスマホの件。歩くのがおぼつかないので

代理人として行くためにはネットでその用紙をダウンロード

せねばならず、実家にはプリンターがない。仕方なく片道

4時間かけてダウンロードした書類を持ってショップに行くと、

母親の携帯番号の8と6を書き間違えていたんです。もうさ、

6から8だからちょいと直せばいいと思ったんだけど、

それもだめ。名字の違う母親の印鑑を持っているはずもなく、

また実家に戻って訂正印を押して、翌日かなり待って申請

してようやく解約できたけれど、契約は簡単なのに解約は

とても面倒だと肌で感じました。
すっかり話は変わってしまいましたが、ダニエルは人間と

しての尊厳を守るために、あくまでも制度に従ってどんなに

理不尽なことも受け止めて行くのです。しかし彼の力では

どうしても対抗できない物事もあり、職員から「根が良くて

正直な人がホームレスになっていくのよ」と言われた時の

絶望感はいかほどかと思ってしまうのです。またケイティは

フードバンクで思わず缶詰を開けて食べてしまうほど飢えて

います。いつから国は国民に対しこんなに非情になったの

でしょうか。ケイティの泣く姿を見てダニエルも思わず涙

します。正直で媚びることなく隣人に優しくしている者が

救われる世の中ではなくなったのだということを知ると、

愕然とするほかありません。机上の空論はもう結構。すべての

人々が快適に暮らせる世の中が訪れるときが来るのでしょうか。

 

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アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男

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JUGEMテーマ:洋画

 

アイヒマンを追え!

 

「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」

原題:Der Staat gegen Fritz Bauer

監督:ラース・クラウメ

2015年 ドイツ映画 105分

キャスト:ブルクハルト・クラウスナー

     ロナルト・ツェアフェルト

     セバスチャン・ブロムベルグ

     イェルク・シュットアウフ

 

1950年代後半の西ドイツ、フランクフルト。

バウアー検事長はナチスの大物戦犯アイヒマンが

アルゼンチンに潜伏しているという情報を入手する。

しかし捜査機関や政権の中枢にナチスの戦犯が残って

おり、アイヒマン確保の計画はことごとく妨害される

のだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 本当の意味での正義を貫いた

気骨あふれる男の話です。


暴政に屈服してはいけない


第二次大戦後、海外に逃亡したナチスの戦犯アイヒマン

を巡る映画は「アイヒマンショー/歴史を映し出した男たち」

(2015)があり、アイヒマンがモサド(イスラエルの

諜報機関)に拉致されるシーンから始まりました。話は

それますが、モサドは最強のスパイ組織であり、

「007など幼稚園の遊びのようなもの」

とトップが語るほどの機関なのです。ちょっとググると

そのすごさがズラズラと出てきます。
そしてこの映画では拉致しイスラエルに移送したアイヒマンの

公開裁判の舞台裏を描いています。ガラス張りの席に

座らせられたアイヒマンは見世物であり、全ユダヤ人の憎悪の

対象であり、結論ありきの公開裁判で、この法廷にいた

ユダヤ人哲学者ハンナ・アーレントが、裁判の正当性につ

いて問題を投げかけたことから、激しい議論の的になりました。

これも「ハンナ・アーレント」(2012)で描かれており、

アイヒマンが極悪人の怪物だったわけではなく、思考を停止

して小役人的に与えられた義務を淡々と全うしていたことが、

この行動の根本にあるということを語っています。
一方アイヒマンのように大物戦犯ではなく、ホロコーストに

関わった収容所の幹部をドイツ人自身で裁くために奔走した

姿を描いた「顔のないヒトラーたち」(2014)もあります。

ドイツ人が自らの手でホロコーストの責任を問う裁判を実施

することがいかに苦難の道であったかは、それが1963年に

ようやく実現できたことからも十分すぎるほど伺えるのです。
さて今映画はそのアイヒマンだけではなく、戦後世界各地に

逃亡し身を隠したナチスの戦犯の行方を突き止め、ドイツ国内

で裁判を受けさせることを画策するドイツ検事長バウアーが

主人公です。第二次世界大戦に敗戦してから10年余りがたち、

経済発展が進むと、戦争の記憶は風化し、特に政権内部や

司法関係者にナチスの残党がいたため、バウアーの計画は

あらゆる方法で妨害されるのです。もう戦後じゃないか。

ヒトラーは自殺し、敗戦したこの国は既に新しい門出に舵を

切っているではないか。いつまで負の歴史を背負うのだ。

そんな思惑が蠢いていたわけです。しかしバウアー自身ユダヤ人

であることで収容所に送られ、そこでナチスに忠誠を誓うことで

釈放された経緯もあり、ナチスの戦犯をできうる限りの力で

見つけ出して裁判にかけたい思いが強かったことも十分理解

できます。

 

アイヒマンを追え!

 

彼に賛同する検事はカール一人であり、彼らはアイヒマンが

アルゼンチンに潜伏しているという情報を得ると、なんとか彼

の身柄を拘束しようと考えるのです。そこで登場するのが

イスラエルのモサド。すごいんですよね。実際の作戦基地には

目隠しで連れていかれるんです。今でもこうなんだろうなあ。

 

アイヒマンを追え!
 

バウアーの考えは極めてまっとうなもので「立派な憲法以上に

民主主義が必要だ」。民主主義は多数決ではなく、少数派の

意見にも耳を傾けることなのです。ここは強調したい。
で、カールの志の高さはバウアーのそれに匹敵するものなのですが、

それとともに同じような性的嗜好の持ち主であるとわかると、

この時代隠しておきたかったことも理解できます。ちなみに

この人男性だとは言われるまで全然気づきませんでした。

 

アイヒマンを追え!
 

終盤この性癖をネタにカールはゲープハルトからバウアーを

裏切るように脅されるわけです。彼がどちらを選ぶのか。

 

アイヒマンを追え!

 

彼は裕福なドイツ人家庭に育った妻が妊娠したばかりです。

ここは予想ができなかったなあ。
ナチスドイツの蛮行は幾度となく、そして様々な角度から

映画化されており、どれを見ても、戦争で犯した罪は赦される

べきではなく二度と繰り返さないことが、最も正しい姿である

と理解できるはずです。犯した罪への謝罪は永遠にし続け

なければならないと強く思うのです。

 

 

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太陽のめざめ

2

JUGEMテーマ:洋画

 

太陽のめざめ

 

「太陽のめざめ」

原題:La tete haute

監督:エマニュエル・ベルコ

2015年 フランス映画 119分 R15+

キャスト:カトリーヌ・ドヌーブ

     ロッド・パラド

     ブノワ・マジメル

     サラ・フォレスティエ

     ディアーヌ・ルーセル

 

マロニーは6歳の時からフローランス判事の保護下に

ある。彼は成長してもその攻撃行動は変わらず、遂に

田舎の更生施設に送られるが...。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 少年の更生の可能性を描いた

秀逸な作品です。

 

「自信の回復」には何が必要なのだろう?

 

原題は「頭を上げて」「胸を張って」というような意味。

前に見た「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」(2015)で、

フランスでは教師と生徒、教師同士がとことん話し合って

問題に取り組む姿勢を知りました。移民も多く、様々な人種の、

宗教を持つ人々が混在する国だからこそ「自由 平等 博愛」と

いう標語が限りなく必要なのだと思います。そうでなくても

持つべき考えなのは明らかなことですが。

 

太陽のめざめ
 

この映画の主人公のマロニーは、6歳の時から裁判所の世話に

なっているわけです。それは彼の母親の幼稚さに起因する

家庭環境の悪さであり、カトリーヌ・ドヌーブ演じる

フローランス判事は、6歳の時に彼を一時保護してから、

ずっと彼を担当しています。
母フェランドも中盤登場する実父と不仲なのがわかり、

(アバズレと言い放つ)ろくでもない男にコロリと騙される

女性なのですが、マロニーとは強い絆で結ばれているのが

わかるのです。普通の(なにが普通か言えないけれど)母子の

絆ではなく、極めて歪であることは第三者からしてみると

一目瞭然。

 

太陽のめざめ

 

人間は生誕直後から「泣く赤ちゃん」「噛む赤ちゃん」と

して観察されるという話を読んだことがあります。マロニーは

それで言うとまさに「噛む赤ちゃん」。新生児からの生育過程で、

愛情、善悪、倫理などを少しずつ周りの支えで吸収していく

はずなのに、マロニーにはそれがなかった。
喧嘩、暴力、反社会的な行動を行い、その場でただ叱り、

同情をひこうとする母親や懲罰だけを求める検事の

アドバイスでは、回復困難なのです。

 

太陽のめざめ
 

彼は判事とヤンという教育係(彼もマロニーのような境遇だった

ことがわかる)そして彼を無条件に愛し、彼の子供を身ごもる

テスとの出会いで、自分への自信を獲得します。

 

太陽のめざめ

 

映画内で幾度となく映る裁判所内で、問題を持つ母子や

少年少女がいかに多いかを思い知ると、これはフローレンス判事の

「忍耐」の賜物であると実感せざるを得ません。最後に裁判所を

出るときの、マロニーの自信に満ちた表情が印象的でした。

 

 

 

 

 

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ひつじ村の兄弟

4

JUGEMテーマ:洋画

 

ひつじ村の兄弟

 

「ひつじ村の兄弟」

原題:Hrutar

監督:グリームル・ハゥコーナルソン

2015年 アイスランド=デンマーク映画 

93分 R15+

キャスト:シグルヅル・グルヨンソ

     テオドル・ユーリウッツ

 

アイスランドの高原で牧羊に携わるキディーと

グミーは優良な羊を育ててきたが、40年間口を

きいていない。そして品評会で1位になったキディー

の羊がスクレイピーに感染している疑惑を持った

グミーは、そのことを仲間に打ち明けるのだった。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ アイスランドの大自然の

美しさとその過酷さを感じつつ、兄弟の心の動きが

上手く描かれています。

 

ひつじ村の兄弟

 

アイスランドののどかすぎるほどの景色を堪能できます。

このアイスランドという国は北ヨーロッパに位置する

島国で首都はレイキャヴィク。

 

ひつじ村の兄弟

 

こんなおとぎ話の世界のような街並みらしいです。すぐに

思い浮かべたのは

「レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー」という

裕木奈江さんが出演していた2009年のスプラッター映画。

違うんです。この映画はカンヌでも「ある視点賞」を獲得した

ほどの映画なんです。さてどこが素晴らしいのか。

登場するのは、隣接する敷地に住みながら40年間口をきいて

いない不仲な兄弟、キディーとグミー。そして彼らと同様に

牧羊で生計をたてている住民、獣医、保健局の職員など。

 

ひつじ村の兄弟

 

○見どころ

冒頭に羊の死骸を見つけ、耳のタグから隣で鳴く子羊を無言で

隣家に連れて行く男とそれを無言で受け取るやや髪の毛の薄い

同じような風貌の男が映ります。この2人が兄弟であり、口も

利かない仲だということは映像を見ていれば自然と伝わってくる。

なぜ不仲なのか?そこは敢えて説明がなかったけれど、この敷地の

名義が全て父親の意志でグミーのものになっていたことから、

何となく分かるような気がするのです。そこは想像しよう。

 

ひつじ村の兄弟

 

そして品評会で1位になったキディーの羊が、スクレイピーに感染

している疑いをグミーが仲間に話すと瞬く間に検査が入ります。

このスクレイピーは羊や山羊類の神経系を冒し、致死性の高い伝染病

かつ突発的に発症するらしい。そうなればもちろん鳥インフルエンザ

同様に、近隣の羊は全て殺処分になるわけです。

後で調べると、ここで飼育されている羊はアイスランディックシープ

という「世界で最も古く純粋な品種」ということで、この血統に

こだわる村人、特に兄弟の姿は納得できるというもの。処分後2年間の

収入保障や新たな羊購入資金を得ることができたとしても、血統は

途絶えるわけです。キディーはグミーの嫌がらせと考え、さらに

憎しみを募らせるけれど、実はグミーにも秘密があり、それをキディーは

知ってしまう。村人と歩調を合わせていたはずのグミーと、処分に

反抗し、村八分状態で酒に溺れるキディーが、同じ思いを持っていた

ことを知る瞬間は、言葉ではなく彼らの行動で全て理解できます。

カンヌ国際映画祭などヨーロッパの有名な映画祭で賞を獲得する映画の

ラストは大体唐突ですが、これも然り。キディーの家に飾ってあった

父と兄弟の昔の写真の時同様に兄が弟の世話をした時代に戻るためには、

生まれた時の姿に戻る必要があった気がしてなりません。

ホワイトアウトした世界が明るくなった時、希望が見えたのでしょうか。

 

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