夏の終止符

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夏の終止符

「夏の終止符」
原題:kak ya provyol etim/how i ended this summer
監督:アレクセイ・ポポグレブスキー
2010年   ロシア映画   124分
キャスト:グレゴリー・ドブリキン
     セルゲイ・プスケパリス

北極圏の放射線測定基地で働くセルゲイは、新米のパーシャに留守を
任せ、マス獲りに出かける。しかしその間にセルゲイの妻子が事故に
遭ったという連絡が入る。しかも寝坊により記録を忘れ、そのことをセルゲイ
に強く責められたパーシャは、伝えるべきことを彼に言い出せなくなってしまう。

夏の終止符

124分というやや長めの映画であり、登場人物はセルゲイとパーシャの2人、
さらに過酷な自然、海、草がわずかに生えた荒野が果てしなく広がり、単調な
日々の連続で少々眠くなりました。
後でググると、この舞台となったシベリアの果ての小さな孤島は、数年前に
原子核実験が行われ、島が放射線で汚染されたことから、住民は全員、避難
移住をさせられたという設定だそうです。この話題は現在の日本においてかなり
デリケートであり、映画の冒頭から放射線測定器が激しく反応する場所でパーシャ
が測定をするシーンは、とてもつらい気分にさせられました。
とりあえずセルゲイという気象ネット会社に働く男の元へ、チャラいパーシャという
イケメン君が働きに来るのです。

夏の終止符

暇さえあれば、ヘッドホンで音楽を聴き、オンラインゲームに興じる今の若者
です。セルゲイは、本土に避難した妻子を思いつつ、毎日ひたすら測定を
行ない、本部に報告しています。それに対してパーシャは、コンピューターの
画面の数字を見ながら、時々外の測定器を見に行くばかりです。これは飽きる
だろうなあ。セルゲイがこの地域の話をしたり、熊が出たことやアザラシ狩りの
話をしても、極めて適当に受け流してしまう。ガンコおやじVS今時の若者です。

夏の終止符

しかしマスが大好きな妻のために
「おら、ちょっくらマス獲りに行ってくるっぺ。」
とパーシャに留守を任せてセルゲイが船で出ていくと、急に彼はくつろぐんです。
小うるさいジジイが貸してくれた目覚ましなんか止めちゃうもん!
ところがそんな時に限って、セルゲイの妻子が事故に遭い、重大な状況にある、
という無線が入ります。ついでに目覚ましがなかったことで、寝過ごしてしまい、
彼は測定を適当に書きこんでしまうのです。
マスをいっぱい獲って帰ってきたセルゲイに、この大事な要件を話す前に、記録の
改ざんバレ、叱られてしまう。伝えなけらばならないのに、このガンコ親父は話し
をするタイミングを台無しにすることばかりするんです。そこは甘ちゃんのパーシャ
ですから、どんどんいじけて、いずれ迎えの船が来るからいいや、てな具合に
あれこれ知恵を絞って、本部とセルゲイが直接話をしないように仕組みます。
しかしそんな浅知恵はいずれバレるもの。2人でサウナ→極寒の海で泳ぐなんて
ことをして、心が通いかけたのもつかの間、真実を知ったセルゲイはパーシャを
銃で脅すのです。そんなセルゲイにハパーシャは
「あんたのマスのせいだ!」

夏の終止符

終盤はパーシャのサバイバル生活と飢えと寒さで、思いもかけない恐ろしい
出来事に遭遇するシーンが映ります。そしてセルゲイのマスを汚染されたマス
と入れ替え、それを彼に食べさせるシーンはもう鬼気迫るものがありますね。
ラストの暗闇に浮かぶセルゲイの基地の灯が何とも美しく、そして悲しく感じ
られました。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆



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選挙は終わったね。これからどんな国になるのかなあ。

4か月、3週と2日

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4か月、3週と2日

「4か月、3週と2日」
原題:4lumi,3saptamani si 2zile
      4months,3weeks and 2days
      4mois,3semanes,2jours
監督:クリスティアン・ムンジウ
2007年   ルーマニア映画   113分
キャスト:アナマリア・マリンカ
     ローラ・ヴシリウ
     ヴラド・イヴァノフ

1987年のルーマニア。法律で中絶が禁止されたいた時代、妊娠した
ルームメイトを助けるため、オティリアは闇医者との接触や手術を行う
ホテルの予約に奔走する。

4か月、3週と2日

ルーマニア映画で初めてカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞した
作品です。
1987年というのは、当時独裁政権の座にあったチャウシェスク大統領の
政権末期の時代で、共産主義実現のために、国民に耐乏生活を強いて
いたのです。彼がこの数年後失脚し、銃殺刑になった姿は、動画などで
幾度となく映されました。この映画でも生活必需品の不足、闇市の蔓延、
街燈の消えた暗い町並みなどが映り、彼らの極限状態がうかがい知れます。
チャウシェスクは労働力確保のために、最終的には、避妊や中絶までも
禁止していたのです。その頃日本はバブル景気に沸いていたのにね。
そんな中、女子大生オティリアのルームメイト、カビツァが妊娠してしまいます。
相手が誰なのか、なぜ彼女が中絶を選択したのかは一切わかりません。

4か月、3週と2日

ただオティリアは、カビツァに言われるがまま、予約したホテルへ向かう
のです。しかしそこで予約がとれていないのがわかります。このホテルの
フロントがすごく横柄なんですよ。次に向かった安ホテルも同じです。この
時代はこんなものだったのでしょうか。
その間にオティリアは、BFアディに
「今日は母の誕生日パーティーだから、グラジオラスを48本買って、家に
来てくれ。」
と頼まれてしまう。この忙しい日になんで...。

4か月、3週と2日

さらに本来ならガビツァ本人が接触するはずの闇医者ベベにも、体調が悪い
彼女のために、オティリアは代わりに会うことになります。この一連出来事が
彼女の不機嫌さをどんどん増長していくのですが、そこには教養のない家庭
で育った自らの境遇への不満と、逆に恵まれた環境にいるアディへの妬みも
混じっているかのように思われます。おそらくそれは、時の政権への不満に
起因しているのでしょう。
ブローブなる器具で中絶を行うベベへの報酬が足りず、自分の体で支払う
オティリア。

4か月、3週と2日

そこまでしてこの一人では何もできないルームメイト、ガビツァを助ける
理由がよくわかりません。オティリアだけが貧乏くじをひいているように思えます。
淡々としたストーリーと唐突なエンディング。
「これからどうする?」
と尋ねるカビツァに
「2度とこの話はしないことよ。」
と無表情に答えるオティリア。見る人にいろいろなことを考えさせる映画でした。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆


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ルミナリエは見たいけれど、寒すぎる...。

愛の勝利を ムッソリーニを愛した女

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愛の勝利を 

「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」
原題:vincere
監督:マルコ・ベロッキオ
2009年   イタリア=フランス映画  125分   R15+
キャスト:ジョヴァンナ・メッツォジョルノ
     フィリッポ・ティーミ
     ミケーラ・チェスコン

1907年、トレントで若き活動家であったムッソリーニと恋に落ちた
イーダは、彼と結婚し、全財産を彼に捧げ、息子も授かる。しかし
ムッソリーニには妻子がおり、次第にイーダ達から遠ざかっていく
のだった。

愛の勝利を 

ドイツのヒトラーと並ぶ独裁者ムッソリーニは、1945年バルチザン
によって逮捕され、略式裁判を経て銃殺、さらにミラノのロレート広場
に遺体をさらされ、市民の暴行を受けています。しかしながらヒトラー
とは違い、彼を支持し続ける人々が存在しているのは、ファシズムと
いう独裁政権を築きながらも、人種主義を大きく敬遠していたことに
起因することもあるかもしれません。でも日本人はやっぱり「アジアの
サル」と考えていたらしいです。

愛の勝利を 

映画は当時の記録フィルムとムッソリーニとイーダの恋愛模様、そして
イーダを遠ざけていく彼の姿を、彼がファシスト党首として政権のトップに
ついていく姿を重ねながら描いていきます。
1907年、トレントで警官に追われるムッソリーニを助けるイーダ・ダルセル。
この女優さんが大へん美しく、そして惜しげもなくその肉体を見せる体当たり
演技をしています。2人は恋に落ち、教会で式も挙げて、一人息子ベニート
をもうけるのですが、実は彼には妻子がいたのです。

愛の勝利を 

「妻はわたしよ。」
あくまでもムッソリーニの妻を主張するイーダを彼は、彼女の妹夫婦が暮らす
田舎へベニートとともに住まわせ、監視下におくのです。
既にムッソリーニの心はイーダから離れているのに、彼女はそれを認めず、
「彼がわたしを試している。」
と言い、幾度となくムッソリーニへの接近を試みるうちに、遂には精神病院へ入れ
られてしまうのです。もちろん彼女の主張は正しかったのでしょうが、精神的には
崩壊していたように見受けられます。

愛の勝利を 

そして息子ベニートの後見人は、妹の夫からベルナルディというムッソリーニの
側近へと変わり、息子とも一切会えなくなってしまうのです。精神病院という
外部とは全く接点のない状況ですら、彼女は様々な人に手紙を書き続け、自分が
ムッソリーニの妻であることを訴え続けます。ハラハラ雪が舞う中、病院の柵に
よじ登って手紙を外へ投げ続けるイーダ。そこにあるのは愛というより、イーダ
自身のプライドのような気がしてなりません。
ムッソリーニの邸で鶏の卵を回収する妻ラケーレの姿と精神病院の庭で鶏に
餌を与えるイーダの姿が交互に映しだされ、2人の女性の人生に大きな違いを
感じざるを得ませんでした。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆


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また雷が鳴り始めた。犬の散歩に行くというのに...。

神々と男たち

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神々と男たち

「神々と男たち」
原題:des hommes et des dieux
監督:グザヴィエ・ボーヴォワ
2010年   フランス映画   120分   PG12
キャスト:ランベール・ウィルソン
     マイケル・ロンズデール
     オリヴィエ・ラブルダン
     フィリップ・ロダンバッッシュ

1990年代、アルジェリアの山奥の修道院には、8人の修道士が生活
していた。彼らは、村の人々と助け合い、イスラム教とも共存し、平和に
暮らしていたのだが、アルジェリア国内で内戦が起こり、彼らの村にも
危険が迫ってくるのだった。

神々と男たち

2010年カンヌ映画祭グランプリに輝いた作品です。いかにもヨーロッパの
人が好みそうな内容になっています。
1996年、アルジェリアで起きたイスラム過激派によるフランス人修道士の
誘拐、殺害事件を題材に描かれています。
アルジェリアの山奥にある小さな村の修道院で、イスラム教徒の村人と共に
つましく生活する8人の修道士たち。彼らはその修道院と共に育った村人の元、
居心地のいい村で、ある者は医師として診療をし、またある者は農作業をし、
静かに祈りを続ける日々を送っていたのです。
まずキリスト教と縁もゆかりもない私にとっては、この映像が淡々と流れると
ついつい眠くなってきました。そしてとてつもなく美しい声で歌う賛美歌は子守唄
のように聞こえてくるのです。
そんな静かな修道院の生活にもアルジェリア国内で起きた内戦による影響が
暗い影を落とし始めます。今日は町で少女がスカーフで髪の毛を覆っていなかった
がゆえに、バス内で刺殺され、まるでゴミのように放り出された。そして違う日には
クロアチア人たちが過激派集団に襲われ、のどを掻き切られた...。信仰に身をゆだね
俗世間の出来事には動じないはずの修道士たちにも、ここに残るべきか否かで
心が揺れ動く者が出始めるのです。
クリスマスの夜には、過激派が突然修道院に侵入します。

神々と男たち

それに対して、クリスチャン修道士は
「わたしたちはイスラム教徒の隣人です。」
などと穏やかに話をし、けがをした過激派の1人の治療をして帰すのです。う〜ん、
これが理解できるほど気高い信仰心を持った人物ばかりなのだろうか。
さらにフランス政府からも帰国命令が出され、アルジェリア軍もものものしい装備で
修道院へやって来ます。そもそも植民地支配していたのはフランスであり、彼らが
今、内戦に陥っているのは、そこに起因していると考えるのが軍人たちです。そうだ、
そうだ。修道院の人々は寛大すぎるのです。

神々と男たち

しかし、修道士たちは、強い信仰心に基づいてそこに残ることを決意します。
「愛と忠誠によって人々は殉教する。愛は全てを許し、全てに耐える」
彼らがそこに残ることを選択したことは、過激派の標的となり、彼らの交渉に利用
される恐れが大きいことも全て知った上でのことなのですね。いわゆる自己責任と
いうことでしょうか。危険を承知で紛争地域に入り、過激派に拘束された日本人を多くの
人々は責めたてましたが、彼らの中にもこのような思いの人間がいたのかもしれません。
修道士たちは神の使いとしてこの世に存在する身の上。全てを捨てて、神に使える
決意を持って存在しているのです。この決意を揺るがすものは、たとえどんなに大きな
暴力であっても太刀打ちできないということでしょうか。
終盤「白鳥の湖」をかけながら、ワインを酌み交わす9人(1人は食料等を運んでここに
来たのです。)の修道士は、全員が涙を流し続けます。この涙の意味は何だろう。

神々と男たち

ラストのBGMもなく、吹雪の山を隊列を組んで進んでいく、過激派と7人の修道士の
姿を見続けると、怒り、嘆き、悟りなど様々な感情が頭の中で堂々巡りします。
彼らは真の殉教者だったのか、それとも自己満足だったのか。この事件の背景を
考えると答えはたやすく出そうにありません。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆



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今日は快晴。布団干しや掃除をしたらもう疲れた。

ソフィアの夜明け

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ソフィアの夜明け

「ソフィアの夜明け」
原題:eastern plays
監督:カメン・カレフ
2009年   ブルガリア映画   89分
キャスト:フリスト・フリストフ
     オバネス・ドゥロシャン
     サーデット・ウシュル・アクソイ

ブルガリアに住むイツォは、ドラッグ中毒の治療を受けながら、先の
見えない不安な日々を送っている。そして恋人と喧嘩別れした晩、
ネオナチ集団に襲われるトルコ人一家と遭遇する。彼も同様に
暴行を受けるが、その中に実の弟ゲオルギを見つける。イツォは
そのトルコ人の娘ウシュルと親しくなるのだが...。

ソフィアの夜明け

ブルガリアといえば、ヨーグルトと琴欧州しか思い浮かばない乏しい知識の
頭で鑑賞しました。
ストーリーは、ブルガリアの首都ソフィアに住むイツォの姿から始まります。
彼は木工技師の仕事をしているのですが、実は芸術家であり、さらにドラッグ
中毒の治療を受けているのです。ドラッグは止められたものの今度は、起き抜け
から寝るまでビールをあおる日々を送っています。ビール、タバコを手にするシーン
の連続で、彼はしっかり食事をしているのかなあ、などといらない心配をしてしまい
ました。

ソフィアの夜明け

イツォ役のフリスト・フリストフは、この映画のクランクアップ間際にドラッグによって
他界したそうです。この映画の終わり方が唐突なのはそのせいなのかしら。
そしてイツォの恋人ニキ役はフリストの本当の恋人ニコリナ、イツォのアパート
(大柄な白人とルームシェアしている)もフリストの実際の住まい、イツォの行きつけ
の店もフリストの行きつけの店、イツォが治療に向かうクリニックもフリストが治療を
受けていたクリニックだそうです。つまり彼のための映画なのです。それは監督が
フリストを見出し、初めての主演作品にしたことからわかります。
イツォには弟ゲオルギがいるのですが、父と義理の母(恋人かな)に反発してネオナチ
集団の足を踏み入れます。


ソフィアの夜明け

スキンヘッドにし、タトゥーを入れ、他民族を暴行する。それは何の大義があるの
でしょうか?大義などはなく、経済が停滞し、疲弊した社会にうごめく行き場のない
若者の受け入れ先になっているのかもしれません。さらに彼らを利用して勢力を
伸ばしていく右派政治家。モヤモヤと鬱屈した心が透けて見えるようです。
イツォが恋人ニキと喧嘩別れをした帰り道、ネオナチ集団に襲われているトルコ人
一家を見つけます。するとその中に何とゲオルギがいるのです。イツォはただの
アル中かと思いきや実は、かなり賢い人物で、弟を叱るでもなく
「ネオナチはその頭(スキンヘッド)だけにしておけ。」
とくぎを刺すのです。
一方ケガを追いながらも救急車を呼び、トルコ人を助けたイツォはその娘ウシュル
とメアドを交換するのです。彼女も聡明で
「みんな病んでいる。」
「知っていながら間違った方向に向かっている。」
「みんな自由になる努力をしていない。」
自分の考えを滔々と語ります。その言葉にかすかな光を見つけたイツォは、彼女と
再び会おうと約束しますが、娘の両親の考えで、早々に帰国してしまうのです。
そしていつものように飲んだくれて朝帰りするイツォ。そこで出会った老人の手助け
をし、彼の部屋で一眠りした後、何かがふっきれるのです。何とも言えない居心地
の良さを体感したのです。

ソフィアの夜明け

帰国するトルコ人一家の車がゲオルギを撥ねそうになるシーンがあったので
まだストーリーはつながると思っていたら、唐突にエンディング。
フリストが生きていたらストーリーは変わっていたのかしら。
東欧特有の薄暗い雰囲気の中、何かが再生していく感じを受ける映画でした。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆



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今朝は久しぶりの爽やかな朝。お風呂掃除なんかしちゃった。

サラエボの花

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サラエボの花

「サラエボの花」
原題:grbavica
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
2006年   ボスニア・ヘルツェゴビナ=オーストリア
        =ドイツ=クロアチア映画   95分
キャスト:ミヤナ・カラノヴィッチ
     ルナ・ミヨヴィッチ
     レオンア・ルチェフ
     ケナン・チャティチ

エスマは12歳の娘サラと2人暮らしで、生活のためにナイトクラブで
働き始める。ある日、サラの修学旅行代が必要になり、シャヒード
(殉教者)であればその費用が免除されると聞き、サラはその証明書を
学校に提出するように母親に迫る。しかし、エスマには娘に話していない
重大な秘密を持っていたのだった。サラエボの花

1992年、旧ユーゴスラヴィア解体後に勃発したボスニア紛争は、激しい憎しみ
と多くの犠牲者を生み、1995年に一応決着したことになっています。ここでも
民族浄化と称してセルビア人によるムスリム人迫害が起こっていたのです。
そして当時医学生だったエスマは紛争後、娘サラを出産し、女で一つで育てています。

サラエボの花

原題の「grbavica」は、サラエボの中でも、戦争中ボスニア人に包囲され、制圧
された地域であったことで、実はエスマにとって身も心も大きな傷を負わされて
いたのです。
冒頭、男子生徒と殴り合いのけんかを始める男勝りな少女サラは、顔も知らない
父親がシャヒードであると信じ、それを誇りに思って生きています。

サラエボの花

しかし、母娘の生活は苦しく、エスマはナイトクラブで働き始めるのです。さらに
サラの修学旅行代が必要なのに、クラブでの前借もさせてもらえない。
「悲しみを分かち合う会」では、悲しい過去を訴える女性を尻目にうつろな表情を
浮かべ、最後に手に入る助成金を手にするときだけ、エスマは生き生きとした
顔つきになるのです。過去を帳消しになんてできるはずもない、それより日々の
生活の糧の方が重要なのですね。
一方ではクラブの男性客の姿に吐き気をもよおしてしまいます。彼女の過去に
何があったのか。
学校では、サラはケンカをした男子生徒サミルの父親もシャヒードであると知り、
急に親しくなっていきます。
「父親の最後は知るべきだ。」
と彼に言われ、またいかにも女子って感じの女生徒3人組から
「戦没者名簿にあなたのお父さんの名前はないわよ。」
なんて言われて、サラは母親に激しく詰め寄るのです。

サラエボの花

幼くて何もわかっていなかった少女が、いろいろな面で大人に近づいていく
気持ちと重なり、彼女がとても可愛らしく感じられます。
「ママ、大好き〜!」
と言いながら、授業をさぼってサミルと廃墟でタバコを吸ったり、キスをする。
いかにも危うい少女の心の内がうまく描かれています。しかし、娘の詰問に
母親が叫びながら告白した、娘の出生の秘密。これほどまでに悲惨な
事実を一人で抱え込んできたエスマの慟哭が響きます。
しかし映画のラストでは、修学旅行へ向かう娘のバスに向かって、笑顔を
浮かべながら、必死で手を振る母親とそれを見て、同級生と歌を歌い始める
サラの姿が映ります。これが人間のと強さなのだと実感し、希望をつないで
いくシーンとなっています。

<マープルの採点>
お勧め星   ☆☆☆


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今日は涼しい。昨日は夏至だったのね。大雨だったからわからなかった。

サラエボ、希望の街角

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    サラエボ

    「サラエボ、希望の街角」 
    原題:na putu
    監督:ヤスミラ・ジュバーニッチ
    2010年   ボスニア・ヘルツェゴビナ=オーストリア
            =ドイツ=クロアチア映画  104分  R-15
    キャスト:ルオン・ルチェフ
         ミリヤナ・カラノヴィッチ
         マリヤ・ケーン

    サラエボに住むアマルとルナの同棲カップルは、子供ができる
    のを心待ちにしていた。しかし、アル中のアマルが失職し、その後
    彼の戦友の誘いでイスラム原理主義にのめりこんでいくと、2人
    の間に大きな溝ができていくのだった。

    サラエボ

    ボスニア紛争から15年後のサラエボ。見た目は元の美しい町並みに
    戻ったかに見えますが、人々の心の中には大きな影を落としたまま
    なのです。
    客室乗務員のルナは、恋人で管制官のアマルと同棲中です。
    マリヤ・ケーンという女優さんがルナを演じていますが、ちょっとふくよかで
    それが愛くるしい顔立ちと相まって、とても魅力的です。

    サラエボ

    2人は子供が欲しくて不妊治療に通っているのですが、戦争で受けた
    心の傷からアル中になっているアマルは、勤務中に飲酒をしているのが
    バレて、失職してしまうのです。それでも彼を健気に支え続けるルナ。
    ルナ自身も母親を戦争で亡くし、家を追われたつらい過去を引きずって
    います。その苦しみをお互いに共有して、信頼し合って同棲してきたの
    ですが、ある日、アマルは戦友バフリヤとばったり出会います。バフリヤは
    イスラム教原理主義の指導者でもあり、彼の紹介で、アマルは、彼らの
    キャンプ地で仕事をすることになるのです。
    信仰は自由だし、何も否定することはありませんが、共同生活をして、同じ
    教えを毎日受けていたら、ある意味洗脳されていく気がします。同じ価値観
    を持たないものを否定する、という恐ろしい状態になる気もするのです。

    サラエボ

    ルナ自身もイスラム教を信仰しています。しかし彼女のそれはかなり
    リベラルなもので、信仰に全てを捧げているわけではありません。逆に
    アマルは、セラピーでも治せなかったアルコールに溺れる弱い自分が、
    信仰にすがることによって救われ、平穏さを取り戻せたと確信してしまう
    のです。この2人にかつてのような愛がはぐくめるはずもありません。


    サラエボ

    イスラム原理主義の女性が
    「西洋の女性はキャリアの奴隷。女らしさを殺している。女性の出産は
    義務よ。」
    などと発言するのは、仕事を持ち、かつ不妊に悩むルナの心を深く
    傷つけます。さらにバフリヤが2番目の妻として未成年の女性を迎えたことも
    ルナには受け入れがたいことなのです。
    なんでR-15なのかと思いますが、時々出てくるルナとアマルのラブシーン
    のせいかしら。別に普通なんだけど。
    イスラム原理主義への偏見を払しょくするのではなく、ルナの心の中での
    新しいスタートを表現したかった映画でしょうか。ラストはかなり唐突です。
    ちょっと眠かったけど、ルナの可愛いさに免じて☆を1つ増やします。

    <マープルの採点>
    お勧め星  ☆☆☆

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    桜が散って次は皐かな。

    不倫期限

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      不倫期限

      「不倫期限」
      原題:marti,dupa cracium/Tuesday,after Christmas
      監督:ラドゥー・ムンテアン
      2010年   ルーマニア映画  99分
      キャスト:ミミ・ブラネスク
           マリア・ポビスタス
           ミレーラ・オプリショル

      パウルは、娘が通う歯科の女性医師ラルーカと不倫関係にある。一時の気の迷いだと
      思っていたこの気持ちが、実は彼の本心であると気づいた時、パウルは妻に全てを
      告白するのであった。

      不倫期限

      原題は英語題名そのまま「火曜日、クリスマスの後で」という意味だそうです。
      オープニングから、かなりきわどいシーンの連続で、これはちょっと見るのをやめようかな、
      と思ってしまいましたが、それ以降は意外と心地よいストーリーです。
      ジャケットの女性はラルーカで、お尻の上に「皮」という刺青が彫ってあります。彼女の部屋
      の様子からも、日本好きなのが伺えます。

      不倫期限

      結婚10年目の中年のごく普通の男性パウルは、、娘マーラが通う歯科の医師ラルーカと
      不倫関係にあります。一方では、妻娘とごく普通に暮らしながら、時間を見つけてはラルーカと
      逢引きをしているのです。そして日増しに彼女への思いが高まっていく。
      そんな時、マーラの治療に、たまたま妻アドリアナもやって来ます。ラルーカから娘の治療方針
      を聞くシーンでは、パウルの居心地の悪さとラルーカの表面には出さない嫉妬心が画面から
      伝わってきます。別にこれといった動きもないのですが、全てを知っている観客にはなぜか
      スリルが感じられるのです。

      不倫期限

      そしてその後パウルはラルーカに必死で電話をかけ続け、ようやく電話に出てくれたラルーカに
      「よかった。電話に出てくれて。」
      と胸をなでおろすような、優しい、いや優柔不断で気の弱い男の典型でもあります。
      「買い物をして帰る。何かいるものはある?」
      妻と電話で話しながら、ラルーカの実家へ彼女に会いにパウロは向かいます。この気持ちの
      切り替えはどうやっているんだろう。

      不倫期限

      男のずるさとそれを知っていて許してしまう女の弱さ。
      と思いきや、誠実?なパウロは妻に全てを告白します。
      「今、恋をしているんだ。」
      (多分私に対してだわ。)という感じで微笑む妻アドリアナ。
      「好きな女がいるんだ。」
      この告白から唐突に訪れるエンディングまで、淡々と描かれていきます。この後どうなるのか
      そんなことは一切触れていません。このエンディングには、え?と思わされます。でもこの映画
      にはぴったりのものじゃないかな。
      結構好きな映画です。

      <マープルの採点>
      お勧め星   ☆☆☆
      エロエロ星  ☆☆

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      ボローニャの夕暮れ

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        JUGEMテーマ:洋画
         
        ボローニャの夕暮れ

        「ボローニャの夕暮れ」
        原題:il papa di Giovanna
        監督:プピ・アヴァティ
        2008年   イタリア映画  104分
        キャスト:シルヴィオ・オルランド
             フランチェスカ・ネリ
             エッジオ・グレッジオ
             アルバ・ロルヴァケル

        イタリア、ボローニャで高校の美術教師をしているミケーレには、妻と一人娘
        ジョヴァンナがいる。彼は内気な娘をこよなく愛し、彼女のために様々な
        アドバイスし続けている。しかしある日、娘の友人が学校で殺害され、彼女に
        疑いがかかるのだった。

        ボローニャの夕暮れ

        原題は「ジョヴァンナの父」。まさにそのままのストーリーです。
        1938年、ナチスの台頭で一挙にファシズムが蔓延して行ったヨーロッパ。
        イタリアでは、ムッソリーニが指導者として政権を制圧しつつあったのです。
        その時代、高校の美術教師ミケーレ・カサーリは、17歳の一人娘ジョヴァンナが
        大切でならないのです。

        ボローニャの夕暮れ

        全編を通して感じられるのは、子供への深い愛情と過干渉は紙一重だということ。
        そして戦火の中では、人々は他人への愛でしかつながることができなかった、という
        ことです。
        ジョヴァンナが心を寄せているらしき男子生徒ダルマストリに、ミケーレは及第点を
        あげるから娘を傷つけるな、という脅しともとれる方法で接するのです。



        一方母親デリアは、スタイルが良く、美人で周りの人々に好かれている。彼女が
        「あの子は問題を抱えているのよ。」
        と言った言葉は、ジョヴァンナの危険な精神状態をさしていたのでしょう。女性だから
        理解できたのか、それとも娘への愛情がミケーレほど強くなかったから、客観的に
        判断できたのでしょうか。

        ボローニャの夕暮れ

        そしてジョヴァンナの友人マルチェッラが、高校の体育館で刺殺体で発見されます。
        そういえば家の洗面所のタオルや壁に血がついていたなあ、でもまさか...。いやこんな
        純粋で優しいジョヴァンナに限って心配はない。この親バカ父さんは、裁判で事実が
        明らかになっても彼女を擁護し続けるのです。
        彼女の精神状態が誰から見ても異常であるのに、
        「真実は一つだ。」と。

        ボローニャの夕暮れ

        施設送りになった娘に、必死で会いに行くミケーレの姿は、穏やかな表情と小柄な体型
        と相まって、なぜか切なくも感じられます。
        一方デリアは1度も娘に面会をすることもなく、さらにミケーレに指摘された通り、彼の
        親友セルジョ警部の元へと去って行きます。
        このあたりの2人の心の動きは私には理解できません。
        戦争が終わり、新しいイタリアが誕生した時、偶然映画館で再会した父娘と元妻は、ほどなく
        一緒に暮らし始めます。やっと母と娘の心がつながったのでしょうか。
        最初と最後のナレーションはジョヴァンナが行っています。ジョヴァンナ役のアルバ・ロルヴァケル
        の演技が光っていました。

        <マープルの採点>
        お勧め星   ☆☆☆



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        「クィーン」

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        JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

        クィーン

        「クィーン」
        原題:the queen
        監督:スティーヴン・フリアーズ
        2006年   イギリス映画  104分
        キャスト:ヘレン・ミレン
             ジェームズ・クロムウェル
             アレックス・ジェニングス

        1997年8月7日、パリでダイアナ元皇太子妃が
        交通事故死する。
        長年女王の頭痛の種であったダイアナは既に
        王室を去り、無関係であると女王は考えていた。
        しかし日毎に増す国民の声は王室への批判へと
        変わっていく。
        時の首相ブレアは、国民と女王の融和を模索
        し始めるのだった。

        クィーン クィーン

        「消されたヘッドライン」のヘレン・ミレンが女王を
        演じています。気高く誇り高く、威風堂々としている
        姿は素晴らしいです。

        クィーン

        一方、労働党の若き首相ブレアを「ブラッド・ダイアモンド」
        のマイケル・シーンが演じています。本物によく似ています。
        とにかくイギリス王室のみならず、イギリス人の国民性、
        控えめで品位を大切にする習性がよくわかります。
        「しきたり」が一番であり、「しきたり」に従わず、「ハート」で
        行動するのは下品に値するのでしょう。日本でもそういう面が
        あるよねえ。
        淡々としたストーリーの中で、どこまでが真実なのか伺いかね
        ますが、アメリカ人とは全く違う国民性であることは確かですね。
        「全くもって美しい」と感動した鹿が、鹿狩り仕留められてことを知り、
        それに心を傷める女王は、一人の人間としての本来の姿なのでしょう。
        それとダイアナを重ね合わせているとしたら、あまりに失礼だけど。

        クィーン

        何のサスペンス要素もありませんが、ダイアナが亡くなった後の
        女王と民衆、そして首相、取り巻く人々の心の駆け引きがとても
        おもしろいです。

        <マープルの採点>
        お勧め星   ☆☆☆
        グロ星
        ハラハラ星  ☆
        エロエロ星
        ダルダル星



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