人生タクシー

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JUGEMテーマ:洋画

 

人生タクシー

 

「人生タクシー」

原題:Taxi

監督:ジャファル・パナヒ

2015年 イラン映画 82分

キャスト:ジャファル・パナヒ

 

パナヒ監督が運転する1台のタクシーにテヘラン

市民が次々に乗り込んでくる。彼らは路上強盗やら

事故に遭って病院へ向かう夫婦やら金魚鉢を手に

した婦人たちなど境遇は全く異なり、それらを車載

カメラが映し出していくのだった。


<お勧め星>☆☆☆ 監督の置かれた状況を考えると

極めてアイデアに富んだ秀逸な作品です。


尋問官の声は耳から離れない


ジャファル・パナヒ監督は少し調べるとすぐにわかり

ますが、イランにおいて反体制的な作風で映画を作り、

2009年大統領選で改憲派を支持したことで2度

逮捕された上、20年間の映画製作、脚本執筆、

海外旅行、インタビュー禁止という立場にあるのです。
タクシーの運転手が主人公の映画は最近見たものでは

「しあわせへのまわり道」(2014)を思い出します。

それについては既にDVDになっているので是非ご

覧くださいとお勧めするにとどめますが、その映画とは

全く異なる手法であり内容であり見終わって多くのことを

考えさせるものになっています。そもそも監督自らが

タクシーのハンドルを握り、その車載カメラで客の姿や

街の様子を映すなどということを誰が思いつくでしょうか。
イラン映画には多くの制約があり、「イスラム文化指導省」

に認められないと上映はおろか製作もできません。これまで

に見たイラン映画は「運動靴と赤い金魚」(1997)

「チャドルと生きる」(2000)「彼女が消えた浜辺」

(2009)「別離」(2011)で、どの映画も多くの

慣習、制約に縛られたイラン国内の人々を特に子供や女

性を中心に描いていました。
『俗悪なリアリズム』は禁じられているため、なにかしらで

象徴したり、想像させるシーンが数多く見られます。

『俗悪な』って、映画内で監督の実の姪ハナが疑問を呈して

いる通り、都合がいい現実のみを描くことが良くて、その

『俗悪さ』を招いた原因やまさに『俗悪』になっている

今の世の中を描くのを禁じるのは、その社会を作り出した

指導者自身がそれ自体の存在を否定するという、全く矛盾した

行為なのです。とはいえ映画はその様子を軽妙に描いていきます。
乗り合いが常のタクシーの最初に乗っているのは3人で、

軽微な罪で死刑になったことを発端に死刑制度について討論を

始めるのは、路上強盗と女教師。そして助手席にいるのは、

海外のDVDを違法に販売する業者。

 

人生タクシー
 

次は突然タクシーを止めるバイク事故に遭った夫婦で、

血まみれの夫は「紙をくれ」と言う。パナヒがティッシュを

差し出すと「遺書を書く紙だ」と言うのです。そうか、

イランでは妻の立場が極めて低く、もしもこの夫が亡くなったら

わずかな財産は夫の男兄弟にわたってしまうわけか。これが

どう見ても死にそうもないケガなのが笑えます。

 

人生タクシー
 

その後金魚鉢を持ったおしゃべりな女性2人が乗り込んできて

「急がないと死んでしまう」と言う。この死んでしまう理由

もおかしければ(いやこれは笑ってはいけない)車の揺れで

金魚鉢が割れてしまい、大混乱になる様もおかしい。

 

人生タクシー
 

そして姪ハナを拾うのだけれど、彼女の個性もかなり強く、

正義感にあふれ、好奇心が強く、意思も強いのです。それで

いて叔父の立場はよくわかっていないらしい。それでもハナの

姿を見ると他の映画でも思いましたが、たくましい女性に

よってこの国に未来は明るいものになるのではないかという

淡い期待を持つのです。と同時に裕福な夫妻の結婚式のわきで

ゴミを漁り、落とした金を拾っていく少年のボロボロの衣服を

見るにつけ、この国においても貧富の格差はかなり大きのだと

実感します。それは、冒頭の客の女教師が

「誰もが悪人ではなく、その犯罪には理由があるのだ」と語った

言葉が思い起こされ、それはラスト映像にもつながっていきます。

 

人生タクシー
 

バレーボールの観戦に行っただけで逮捕拘留されている女性も

含め、イランという国の不条理さを見せつけられる内容でした。

終盤パナヒは「ある声」に耳を澄ませます。それは拘禁されていた

時の尋問官の声であり、彼は目隠しをされていたため相手の姿を

見ていないけれど、その声が耳から離れないほどの行為を受けた

ことをさりげなく見ている側に知らしめるのです。

それでも空爆で破壊され毎日多くの人々が亡くなっていく国に

比べると、戒律に厳しい宗教指導者であろうとも強力な政権が

運営できている方が国民にとっては救いがあるのではないかと

思ってしまいます。それは絶対に理想ではないにしろ。

 

 

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偽りの忠誠 ナチスが愛した女

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偽りの忠誠

 

「偽りの忠誠 ナチスが愛した女」

原題:The Exception

監督:デビッド・ルボー

2016年 アメリカ=イギリス映画 108分

キャスト:リリー・ジェームズ

     ジェイ・コートニー

     ジャネット・マクティア

     クリストファー・プラマー

 

オランダに亡命した元皇帝ヴィルヘルム2世の

邸宅へドイツ軍将校ブラントが護衛役として赴任

する。彼はその邸のメイド、ミーカと恋に落ちるが、

彼女には重大な秘密があり...。


<お勧め星>☆☆☆ メロドラマとして鑑賞すれば普通


リリーちゃんにドキリ


原題の「The Exception」は除外、例外、特例などと

いう意味になるけれど、どれがあてはまるのだろう。
舞台は1940年代のオランダ。ナチスがドイツを

支配した後、元皇帝ヴィルヘルム2世はその地に亡命

していたのです。とはいえまだドイツがヨーロッパ各地を

占領していく時代のことで、大そうな邸宅に住み、多くの

使用人に囲まれてまあ悠々自適に暮らしていた模様。

彼が亡くなるのは独ソ戦が始まる直前であり、ヒトラーを

称えている話もしているので、彼の主義には一定の賛同を

持っていたと思われます。この役を演じる

クリストファー・プラマーがまさに皇帝そのものなんですよ。

2015年映画「手紙は憶えている」のように認知症を

患うわけでもなく、威厳に満ちて、皇帝の座に返り咲く

ことを期待しつつ、戦闘における様々な戦術を模索する

日々を送る。一方で彼の性格は苛烈であり、激高しやすい

という姿も食事のシーンなどで見受けられます。

妻ヘルミーネ役は「ハンナ・アーレント」(2012)

のジャネット・マクティア。

 

偽りの忠誠
 

そしてストーリーのメインは何と言っても甘い甘い、メイド、

ミーカとドイツ軍大尉グラントとの「恋愛」なのです。

ここはちょっと肩透かしを食らった感じです。邦題に「ナチス」

とつくとなぜか第二次大戦におけるナイツドイツの蛮行や

それに耐え、抵抗し、無残にも殺されていった数多くの人々の

姿を思い浮かべてしまう。違うんですよ。
このミーカちゃんは、ヴィルヘルム2世にも気に入られているし、

グラントには一目ぼれされちゃう。だって「シンデレラ」

(2015)のリリー・ジェームズですもん。

「ベイビー・ドライバー」(2017)のデボラですもん。

 

偽りの忠誠
 

グラント大尉なんて赴任したその晩に、離れにやって来た

ミーカに「服を脱げ」なんて言うんですよ。それにしれ〜っと

従うミーカもすごいです。

 

偽りの忠誠

 

グラント役は「ダイ・ハード/ラスト・デイ」(2013)

のジェイ・コートニーなんですが、あのアホぶりとは打って

変わって結構かっこいい役だし、からだもマッチョで魅力的

です。ちなみに2回目はミーカに「服を脱いで」と言われて、

同じようにしれ〜っと脱いでしまうというお互いに潔い姿を

見せてくれます。この戦時中のスパイ捜しにやっきになって

いる同僚をよそにとっても甘い時間をちょいちょい過ごすのです。

この秘密の恋愛が、「恋愛禁止令」が出ているのについイケメン

と写真を撮られちゃうアイドル歌手みたいで、ドキドキするん

です。もちろんのぞき見している年長メイドもいれば、彼女を

目の敵にしているヘルミーネの存在もあるけれど、全然大丈夫。

だってこっちにはなんせ元皇帝がついているもーん。で、

この辺りにイギリスと通じるスパイがいるという話を聞き、

ゲシュタポもやってきて捜査をするんです。誰がスパイか

なんて最初からわかっていますよね。それをどうやって

見つからないようにするか、そんなことはミーカが努力しなく

てもちゃんと守ってくれる人がいるんです。

映画の中盤に登場するヒムラー役は「おみおくりの作法」

(2013)のエディ・マーサンで、彼の優しい表情とは裏腹に

冷酷な言葉を発する時だけ「戦争」というものを実感します。

 

偽りの忠誠
 

彼女の生い立ちは自らの口からちょっと語られるし、映画内に

序盤から挿入される射殺された人々の映像はブラントが戦争に

参加した時のものらしい。しかしどちらも特に深い意味を

持っていなくて、ただこの二人の行く末がどうなるのかを

見るだけのような内容になっています。まあ、ラストは

ほっこりするものなのでいいのでしょうか。たまには

こんな甘い、食べすぎると頭が痛くなるようなチョコレートを

少し口にしたような気分になる映画もいいかもしれません。

 

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gifted/ギフテッド

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ギフテッド

 

「gifted/ギフテッド」

原題:Gifted

監督:マーク・ウェブ

2017年 アメリカ映画 101分

キャスト:クリス・エバンス

     マッケンナ・グレイス

     ジェニー・スレイト

     オクタヴィア・スペンサー

 

フランクは、フロリダのある町で、姪のメアリーと

暮らしている。メアリーは数学的才能に秀でているが、

彼は彼女を普通の小学生として育てたいと思っていた。

しかしメアリーの祖母イブリンは、彼女の才能を伸ばす

ためにより良い環境で育てることを提案するのだった。


<お勧め星>☆☆☆ ストーリーは普通なんだけど子役

の演技が素晴らしいです。


普通に暮らす自由


監督は「(500)日のサマー」(2009)の

マーク・ウェブ。トムとサマーの出会いから完ぺきな別れ、

そしてそれぞれの道を進み始める500日の夏の終わりを、

ちょっと胸キュン、時々イラ、最後納得、という感じで

描いていました。

 

ギフテッド
 

この映画は予告編で幾度となく見ているので、メアリーの

天才ぶりはわかっていましたが、前歯がなかったり

(永久歯に生え変わる)体型が7歳の少女そのもので、

まさにこの役は彼女のためにあるのかと思うほどでした。
もう記憶が定かではないのですが、小学校の頃、知能検査

だったかクレペリン検査だったか全員受けさせらる時期が

あって、時間内の到底解けるはずもない膨大な量の問題に

取り組まされた覚えがあります。あれはいったい何のテスト

で何のために受けたのか、今調べてみても一向にわからず、

ただわかったのは、当時から「天才」ではなかったという

ことだけです。大体あのテストは戻ってこなかったしなあ。
メアリーは数学的才能に秀でているいわゆる天才児で、

その母でフランクの姉ダイアンも天才数学者だったものの、

ある日自殺してしまったのです。

 

ギフテッド

 

それがきっかけで同じ数学者である実母イブリン、つまり

メアリーの祖母、とは疎遠となり、フランクとメアリーは

フロリダでごく普通の暮らしているわけで、なぜかわから

ないけれど、近所に住むロバータがものすごく親身になって

彼らを見守ってくれています。ロバータ役は「ドリーム」

(2016)のオクタヴィア・スペンサー。このおばちゃま

とフランク達がなぜにこんなに懇意なのかは最後まで

説明がなかったけれど、彼女の良い人オーラで映画が何と

なく心地よくなることは確かです。

 

ギフテッド
 

さらに忘れちゃいけないのは、右目がない猫のフレッドの

存在です。メアリーを巡ってフランクとイブリンが対立し、

法廷闘争へと発展、そして苦渋の決断をした後に、このフ

レッドの存在があったからこそ、物事が良い方向に変わっていく。
ちょっと終盤は駆け足っぽくて物足りなさも感じましたが、

「キャプテンアメリカ」の優しい父親代わり姿や恋愛シーン

も楽しめたので、ラストも含めてチャラとしましょうか。

 

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ドリーム

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ドリーム

 

「ドリーム」

原題:Hidden Figures

監督:セオドア・メルフィ

2016年 アメリカ映画 127分

キャスト:タラジ・P・ヘンソン

     オクタビア・スペンサー

     ジャネール・モネイ

     ケビン・コスナー

     キルステン・ダンスト

 

1961年NASAに勤務するキャサリン、メアリー、

ドロシーは、女性でありかつ黒人であることから、

いくつもの差別を受けながらもそれぞれの夢を

かなえていく..。


<お勧め星>☆☆☆半 夢に向かって自分の力で未

来を切り開いていく姿がとても清々しい。


偏見を持っていないという思い込み


この映画の舞台となった時代が東西冷戦真っただ中の

1961年。そしてアメリカ国内でまだ白人と黒人の

分離政策が行われていたバージニア州での様子です。

このようにリアルに有色人種を差別していた時代を

見るのは本当に辛いですが、その差別が今は一切

なくなったかというとそんなはずもなく、「差別主義者

ではない」と言い切っていながら心の内ではそのもの

ズバリであるという白人の姿は「ゲット・アウト」

(2017)でとても不穏に描かれていて、空恐ろしく

なりました。

 

ドリーム
 

ドロシー役のオクタビア・スペンサーは「ヘルプ〜心が

つなぐストーリー〜」(2011)でも1960年代の

黒人女性を演じ、そこでは白人家庭でメイドとして働く

女性たちの権利を静かに主張する、穏やかなそして芯の

強い姿を見せていました。

 

ドリーム

 

そして冒頭に飛び級するほど賢い少女が映りますが、その

キャサリンの後の再婚相手ジムは「ムーンライト」(2016)

のマハーシャラ・アリ。さらにNASAでの計算係の

上司ミッチェル役はキルステン・ダンスト、そして責任者

ハリソン役はケビン・コスナーと豪華な顔ぶれです。
幾つもの苦労話をそれぞれの立場から映します。たとえば、

ドロシーがどんなに年数を積んで仕事をしても昇進は

できません。それどころか臨時採用のままなのです。

 

ドリーム

 

またメアリーも自分の能力のいかせる部署への転属は、

不可能な条件を克服するしかない、つまり不可能なのです。

さらにどんなに未知の数式を正しく計算できてもキャサリンは、

「検算係」にすぎない。これらの不条理な姿をいくつもの

エピソードを組み込んでテンポよく映していきます。
ただ自分の権利を主張するだけではないのです。また大きな声で

反論するわけでもないのです。わたしの知り合いのアメリカ人

男性が地下鉄の中で見た光景では、大音量で音楽を聴きながら

ステップを踏んでいる黒人女性を注意した白人男性に対し、

その女性が激怒し、最後は「差別主義者」と言い放ったそうです。

このマナー1つをとっても白人が黒人に対し注意をすることの

難しさは今も大変デリケートな問題であるとも思うのです。

ちょうど公開中の「デトロイト」(2017)では黒人に対する

白人の恐怖感が大暴動へとつながった事件を扱っていますが、

現在もなお、いや今は一層そういう面が露呈してきた気がして

なりません。この映画では個人的にとても心に残ったのが

キルステン・ダンスト演じるミッチェルの役どころで、

「わたしは偏見を持っていないの」

と能力を見せ始めたドロシーに言うと、ドロシーが

「知っていますよ。あなたはそう思い込んでいるんです」と

言い返したときの、ミッチェルの表情が、なんともいえない

居心地の悪さを感じさせとてもうまく描かれていたと思います。
映画のテーマが困難を乗り越えて夢を実現していった実在の

女性たちの姿のため、メアリーの夫が人種差別撤廃の活動を

していたことや、実際のデモ、世間の流れなどはあまり

描かれず、やや物足りない部分もありましたが、逆に焦点が

ぼけなくてよかったのかもしれません。60年代のファッション

や車も楽しめるもので、時折入り込む音楽も軽快で楽しいものでした。

 

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汚れたミルク

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汚れたミルク

 

「汚れたミルク」

原題:Tigers

監督:ダニス・タノヴィッチ

2014年 フランス=インド=イギリス映画 

90分

キャスト:イムラン・ハシュミ

     ギータンジャリ

     ダニー・ヒューストン

     カーリド・アブラッター

     アディル・フセイン

 

多国籍企業で働くパキスタン人アヤンは、彼が

医療関係者に営業販売した粉ミルクにより、命を

落とす乳児が急増しているいることを知る。彼は

職を辞めその企業相手に訴えを起こそうとするが..。


<お勧め星>☆☆☆半 多国籍企業に歯向かった一人

の勇敢な男性の姿が静かに描かれています。


正義を覆い隠す権力


監督は「鉄くず拾いの物語」(2013)の

ダニス・タノヴィッチ。ボスニア・ヘルツェゴヴィナに

住むロマ族の女性が一家に保険証がないために診療を

断られ、夫が一人奔走する姿を描いていました。

ラストまで苦難の連続で見終わっても何も解決できて

いないじゃないかという思いに駆られたものです。

社会構造の変化で取り残された弱者を彼らの視点から

地味ながら丁寧に映しています。

 

汚れたミルク
 

この映画でも発展途上国であるパキスタンにおける

1人の多国籍企業のセールスマンにスポットを当て、

彼とその家族が貧しい生活から、一気にトップセールスマン

となり、富と自信を獲得する姿、そして真実を知った

ときの驚愕、その後の国家規模の相手との戦いの姿が、

それ自体をテレビのドキュメンタリー番組で放映しよう

としたドイツのスタッフと主人公アナンとのスカイプでの

会話を通して描いています。多国籍企業の名前は「ネスレ」

と出ているから、これを知らしめる目的もあったの

でしょう。番組の制作過程で匿名に変えられています。

 

汚れたミルク
 

原題の「Tigers」はネスレの営業担当責任者が

「虎のように吠えろ。君たちは虎だ!」と言ったところから

来ていると思います。アナンもtigerであったわけです。

日本でもMRは医師に薬を買ってもらうために、せっせと

営業していますよね。営業用の資金も会社から支給されて

いるはず。ここがパキスタンでは露骨な収賄が行われていた

と描かれ、それを知らせたアナンは誰にも相手にされなく

なるわけです。多国籍企業は国家にも多くの支援を行って

いるため、アナンは唯一の友人の医師ファイズと人権支援組織

からの力添えをもらうしかなくなるのです。冒頭は極彩色で

美しく感じられたアナンの家族の服装や(結婚式だから当然か)

表情が、彼の立場の変化と共に暗く、モノクロのような映像に

変わっていくのも心の内を暗示しているようです。
日本でも粉ミルクにヒ素が混入した事件がありましたが、

それではなく、母乳の出る母親にまで粉ミルクを推進した

医師、そしてインフラの不整備で不衛生な水で粉ミルクを

作る母親たちによってそれを飲んだ乳児が下痢を起こし

栄養失調となってどんどん亡くなっていくのです。この映像は

1990年代当時のもので、目をそむけたくなるような

赤ちゃんの姿が映ります。ここで問題なのは、同じような

事件が過去にも起きており、それを知っていながら貧しい

地域の人々にこの粉ミルクを勧めた多国籍企業の責任、

ひいてはそれで国が潤っている国家の責任でもあるのです。
ラストは今のアヤンの状況が字幕で流れますが、彼の行動で

何かが変わったのか、今世界のどこかに同じように取り

残された人々が多くいるのではないかと深く考えさせられる

内容でした。

 

 

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ハイエナ・ロード

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ハイエナ・ロード

 

「ハイエナ・ロード」

原題:Hyena Road

監督:ポール・グロス

2015年 カナダ映画 120分 R15+

キャスト:ロッシフ・サザーランド

     ポール・グロス

     クリスティーン・ホーン

     ナビル・エルーアハビ

 

アフガニスタンで復興道路建設の任務につく

カナダ軍の狙撃手ライアンは、タリバンの急襲を

受けたところを、謎の現地老人に保護される。彼は

「砂漠のライオン」と呼ばれる伝説の男であること

を知るが、その彼の孫娘が拉致されてしまう...。


<お勧め星>☆☆☆ 戦闘シーンはリアルであり、

また不毛な任務を強く印象づけます。


平和維持活動って何だ?


カナダ軍の全面協力を得た上、15億円という巨額の

費用を投じて製作されただけあり、戦闘シーンはまこと

にリアルです。「アメリカン・スナイパー」(2014)

のクリスと同じ狙撃手であるライアンが冒頭に、

爆弾を仕掛けた敵を狙撃するシーンはスコープ越しに

映る相手が何を置いたか現認した瞬間引き金がひかれ、

見事に頭に命中。

 

ハイエナ・ロード

 

まるでシューティングゲームを見ているような錯覚を

覚えてしまいます。しかしその後、道路のくぼみが突然

爆発し、大人数のタリバンがライアンたちを急襲するのです。

ヒュンヒュン、ドカン、パンなどと様々な音と立ち込める

土煙がたたみかけるように画面いっぱいに映り、敵を監視

していた時の「静」から一気に「動」に変わります。

 

ハイエナ・ロード

 

ものすごくスリルがあるんです。そしてかろうじて逃げ込んだ

村で、謎の老人が助けの手を差し出します。この老人の瞳は

左右で色が異なるのです。かつて「砂漠のライオン」と呼ばれた

伝説の戦士であるこの男は、ソ連軍と戦った時に幾度も負傷

しても不死身の体で立ち向かったという。ソ連軍と戦い、

そして今は様々な敵の脅威にさらされている。この地の複雑な

歴史を思い知らされます。
カナダ軍はあくまでも復興活動に参加しているという建前が

あるのですが、それは「ある戦争」(2015)でのデンマーク軍

同様「平和」を維持するため「敵」を倒すことを求められる

わけです。なんともおかしな話ですが、それに参加せざるを

得ない。「平和」と「戦争」は同列に扱うべきものかどうかも

疑問に思ってしまうけれど、そこは頭の中にしまっておこう。
カナダ映画なのでその負傷兵や死亡した兵士の姿は、凄まじいもの

が映ります。でもこれこそが戦場の真の姿なのですよね。

(あ、戦闘地域ではないか)

 

ハイエナ・ロード
 

で、話はもう一つあって、ライアンは基地にいるジェニファーと

いう大尉と休暇中に恋愛を楽しんだらしい。そして彼女は妊娠

している...。それをライアンに伝えた時点で彼には死亡フラグが

たちましたね。この話は必要だったのかな。

 

ハイエナ・ロード
 

ライアンの友人であり、現場の指揮を執るピートとの意見の

対立も、その場の「正義」をとるか、カナダ軍の「大義」を

とるのかという、全く異なる次元のものであり、それを瞬時に

判断して現地の人々を犠牲にしていくのが正当な行為なのかと

痛感します。やはりこの手の映画は見終わって気分が良くなる

ものではないですね。

 

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ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

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ミス・ペレグリン

 

「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」

原題:Miss Peregrine's Home for Peculiar Children

監督:ティム・バートン

2016年 アメリカ映画 127分

キャスト:エバ・グリーン

     エイサ・バターフィールド

     サミュエル・L・ジャクソン

     ルバート・エベレット

 

ジェイクは内気で友人のいない孤独な少年。彼と大の

仲良しの祖父エイブが両目を繰りぬかれ

「ミス・ペレグリンに会え」と言い残して亡くなった

ことから精神科医の治療を受けることになる。ジェイクは

精神科医の勧めもあり、ミス・ペレグリンがいるという

ケルン島を訪れるが..。


<お勧め星>☆☆☆半 少しわかりづらい部分もあった

けれど、個性あふれる登場人物と不思議な世界観を楽しめ

ました。


孤独な少年の成長


原題にpeculiar childrenとあるように、ミス・ペレグリンが

施設で世話をする子供たちは特殊な能力を持っているのです。

超能力を発揮して地球を守る「ファンタスティック・フォー」

(2005)とは全く異なり、普通に暮らしたいけれど、その

能力ゆえ世間から離れて暮らさざるを得ないという

悲しい身の上の子供たち...かと思ったら全くそんな風には

見えません。

 

ミス・ペレグリン

 

さらに子供たちは12人いて、それぞれ区別するのに大変か

と思ったら、ものすごく特殊な能力なのでラストにはしっかり

判別ができるようになっています。子供でもない男女たちも

ミス・ペレグリンにかかると9歳の対応になるらしい。衣食住

ルール通りに生活させられています。
さて、本題はジェイクがなぜミス・ペレグリンに会わなければ

ならなかったのかということで、そこには認知症と言われていた

祖父エイブの存在があるのです。幼いころから夢物語を聞かされ

続け、それが「え?嘘じゃね?」と学校で笑われてから、

ジェイクは大好きな祖父の話を信用しなくなっていていた時、

いや、信用しなくなってからだいぶ経ってから、祖父が突然

殺害される。それも彼の眼の前で両目を繰りぬかれた状態で

息絶えていったのです。「ミス・ペレグリンに会え」が最後の

言葉で、何回読んでも「クレぺリン」と思っていたこのややこしい

名前の持ち主は誰か。両親はジェイクが心的外傷後ストレス障害

にあると考え、精神科医にかかり、彼女の勧めでミス・ペレグリン

のいるとされるケルン島へ向かうのです。映画内でミス・ペレグリン

が語るように、この特殊能力は、代々ではなく隔世遺伝することが

多いらしく、どうやらジェイクのお父ちゃんにはなかった模様。
そしてなぜ祖父が倒れていた場所にいた怪物をジェイクしか

見えなかったのか、ということの意味が次第に分かってくるのです。
ケルン島でのミス・ペレグリンの施設は1943年のナチスの

空爆で破壊されており、その無残な姿を見ても、後に「ループ」を

使って時間を戻すシーンを見ると、少しも恐怖を感じません。

 

ミス・ペレグリン

 

原作はシリアスかつ残虐なシーンもあったそうですが、

ティム・バートン監督によって全く違うものに姿を変えました。

 

ミス・ペレグリン
 

終盤のホローガストと呼ばれる怪物たち(異能者の目玉を

食べると元の人間に戻れるかもという邪悪な奴ら)とガイコツ

軍団の争いも、まるでショーを楽しんでいるかのように思えて

しまいます。

 

ミス・ペレグリン
 

バロンという永遠の命を欲したラスボス役は、

サミュエル・L・ジャクソンで、彼が持っていたのは、なりたい

人物になれるというもの。だからジェイクが2人現れちゃう。

ここは結構簡単に片付いてしまった感じもしますが、まあ、

勧善懲悪でいいかもしれません。
少し納得がいかないのはラストで、ジェイクは苦労して

2016年から1942年に戻るのですが、第二次世界大戦時に

東京にイギリスの船が停泊できたのか、それとジェイクが

いなくなった2016年は、元々ジェイクが存在しないことに

なったのか、失踪扱いになったのか、そこがわかりませでした。
まあ、気分の良いラストなので良しとします。音楽も良いです。

 

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リトル・ボーイ 小さなボクと戦争

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リトル・ボーイ

 

「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」

原題:Little Boy

監督:アレハンドロ・モンテベルデ

2015年 メキシコ=アメリカ映画 106分

キャスト:ジェイコブ・サルバーティ

     エミリー・ワトソン

     ケイリー=ヒロユキ・タガワ

     マイケル・ラパポート

 

第二次大戦中のアメリカ西海岸の小さな町に住む

8歳のペッパーは、背が低く周りから「リトル・ボーイ」

と呼ばれている。仲間にバカにされる彼の唯一の

相棒は父ジェームズだったが、その父が出征してしまう。


<お勧め星>☆☆☆ 父を思う息子の気持ちを描いたこと

考えると感動するはずなのにそれほどでもない。


邦題を考えろ


主人公の少年、ペッパーは、成長が遅く、背が低い

ことで周囲から「リトル・ボーイ」と呼ばれているのです。

 

リトル・ボーイ

 

実際にはよくありがちな大きな(ふとっっちょ)ガキ大将

からは差別的な言葉で呼ばれるのですが、そこを大人が

とがめるシーンがあって、やけに善意に満ちているなあと

思ってしまう。
ただ「リトル・ボーイ」自体が1945年広島に投下された

原子爆弾のコードネームであることを知っていると、当事国

である日本では絶対に使ってほしくなかった名称だと思うの

です。変な邦題をつけることが多いんだから「小さなボクと戦争」

で良くないかしら。
映画は背が低いため仲間からからかわれ続けるペッパーの姿

から始まるんです。彼は父親だけが「相棒」で、その彼の視点で

描かれていきます。だからあまり深く考えなくてもいいのかな
「Do you believe you can do this?」やれると思うか?という

マジシャンの言葉を引用し、父は息子に勇気と希望を与える

のですが、長男が扁平足のため入隊できず、代わりに父が入隊

します。これは強制だったのかなあ。

 

リトル・ボーイ
 

一方でこの町には「ハシモト」という日系人がおり、彼は

敵国の人間として町民の憎悪の対象になっているのです。

息子が戦死した人間には、何十年アメリカに住んでいようと

日本人は日本人であり、彼が殺したわけでもないのに怒りの

矛先が個人に変わってしまう。そんなことは今でもあちこち

の国で起きていること。

 

リトル・ボーイ
 

そこに登場するのがオリバー司祭であり、ペッパーにリストを

渡し、それを実行していけば彼の父が戻るだろうと諭すわけ

です。8歳の少年がクリアするには容易いことばかりですが、

それを行うことで彼の視野が広がっていくのも確かです。

ジャップ、ニップと差別的に呼ばれていた「ハシモト」にも

家族がいて、戦争のせいで音信不通になっていると言う話を

聞くと、幼いながら、寂しいのは自分だけではないと気づく

わけです。こんな蔑称で呼ばれることの屈辱を呼ぶ側も

呼ばれた側も肝に銘じないといけない。口が裂けても言う

もんじゃないと学校で教えてほしい。子どもの成長物語と

宗教感を絡めた話に加え、戦争もキーポイントになっているので、

どれも表面上をなぞっただけのように後半は特に顕著に感じら

れます。「原爆投下で戦争が終わる」→兵士が戻ってくると喜ぶ

町民を見て、母エマが「一つに街が消えたのよ」と悲しい顔を

します。

 

リトル・ボーイ

 

それだけで済ませてしまうことに、あのきのこ雲の映像で

一つで済ませてしまったことに、さらには

「リトル・ボーイのパワーだ」

とはしゃぐ人々の姿に感動など覚えるはずもないのです。

そういう映画ではないことはよくわかっているけれど。
映画的にはハッピーエンドですが、わたしの心は少しも

ハッピーにはなりませんでした。

 

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奇蹟がくれた数式

4

JUGEMテーマ:洋画

 

奇蹟がくれた数式

 

「奇蹟がくれた数式」

原題:The Man Who Knew Infinity

監督:マシュー・ブラウン

2015年 イギリス映画 108分

キャスト:デブ・パテル

     ジェレミー・アイアンズ

     デビカ・ビセ

     トビー・ジョーン

     ズスティーブン・フライ

 

1914年、インド人ラマヌジャンは、イギリスの

ケンブリッジ大学のハーディ教授に招かれイギリスへ

渡る。彼は天才的な数式を発見していくが、周囲の

目は冷たく、また本国に残してきた妻への思いも募る

のだった。


<お勧め星>☆☆☆半 伝記映画としてとても上手に

作られています。


数学ではなく数覚


数学についてラマヌジャンが妻にその楽しさを語る

シーンがあります。そこで彼は海岸の砂を手に取り砂の

粒でたとえ話をするのですが、数学オンチの私には

まったく理解できません。それは天才であったラマヌジャンが、

その数学に対し、深い愛情を感じ、そこに眠る無限の謎を

解き明かしていく喜びに取りつかれていたのだと思うのです。
高校時代、数学や物理が得意な生徒が幾人かいて、なぜ

その公式に結びつくのか、どうしたらその発想ができる

のか不思議でたまりませんでした。逆に彼らの中には、

国語の論述問題が苦手という人もいる。それが学問の世界

かもしれません。両方苦手でもスポーツだけはできます!

という子もいましたね。
主役のラマヌジャン役を演じるデブ・パテルは、

「スラムドッグ$ミリオネア」(2008)

「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(2011)

でもインド人として登場し、豊かな表情には大変好感が

持てました。
1914年、インド、マドラスで、学位のないラマヌジャンの

不遇な身の上から、ケンブリッジ大学に招聘されたものの、

「インド人」であるがゆえの差別、第一次世界大戦勃発に

よる学術部門での苦悩、またマドラスにおける実母の妻に

対する仕打ちなどが次々に映ります。
映画の中では「数学」について話をするシーンがあちこちに

映り、「博士と彼女のセオリー」(2014)のように

私生活に重きが置かれておらず、あくまでも数学者としての

ラマヌジャンの真摯な姿が全編に渡って流されます。病に

侵されたことも、その後の展開も出来る限り最小限の映像で

収めて、ラマヌジャンとハーディ教授、リトルウッド教授の

研究の姿を描き切ったことは、ポイントのズレがなく見られると

思います。またラマヌジャンによって、ハーディ教授自身も

「他人との関わり方」を身につけて行くのもわかるのです。

学者バカではやはり共同研究はできなし、他人の賛同を得る

ことも難しい。ラマヌジャンは無神論者のハーディ教授に自らの

発想は

「女神(ヒンドゥー教?)が毎朝枕元に数式を置いていく」と

語るのです。(マドラスは現在はチェンナイという名称)やはり

宗教に心のよりどころを持つと、逆境にも立ち向かえるのだろうか。

いやそこには才能というものがプラスされなければいけないな。

彼の死から一世紀を経て「ブラック・ホールの研究」に彼の

数式が役立っているということを知ると、やはり宇宙規模の

能力の持ち主だったのだと納得します。そしてその魅力に

取りつかれた者はいつの時代もその夢の中から抜け出せなく

なるのだろうなと勝手に考えています。

 

 

 

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ムーンライト

4

JUGEMテーマ:洋画

 

ムーンライト

 

「ムーンライト」

原題:Moonlight

監督:バリー・ジェンキンス

2016年 アメリカ映画 111分 R15+

キャスト:トレバンテ・ローズ

     アンドレ・ホランド

     ジャネール・モネイ

     アシュトン・サンダース

     ジャハール・ジェローム

 

同級生にいじめられているシャロンは、麻薬の

売人フアンに救われる。しかし彼はシャロンの

母親に麻薬を売っている張本人だった。そして

自らがゲイであると気づいた頃、シャロンは

同級生のケヴィンの恋心を抱く...。


<お勧め星>☆☆☆ 静かに心にしみこむ映画です。


自分は何者なのか


ストーリーは、1.「リトル」シャロンの子供時代

2.「シャロン」シャロンの高校時代

3.「ブラック」シャロンが大人になった時 の3部構成に

分かれています。3人が演じ分けていますが、1と3の

シャロンの雰囲気がとても良く似ていて、あの小さな体も

鍛え上げればこのようになるのだろうとまさに実感するのです。

 

ムーンライト
 

いずれにせよ、内気で孤独かつ不幸な身の上であることは

ほとんど変化がなく、大人になったシャロンも心のより

どころがない空虚な瞳をしていることでそれを物語ります。
この映画では、特に光と音楽と色が巧妙に組み合わさっていて、

1でフアンが「月明かりの黒人の背中はブルーに見える」と

言った通り、ラストシーンでは子供時代のシャロンの背中が

月明かりに青みがかって浮かび上がります。

 

ムーンライト
 

子供時代麻薬中毒の母親のネグレクト、学校でのいじめに

あうシャロンは、フアンと出会うことで「父親」のような

存在を獲得するのですが、その存在は、母親の麻薬の売人で

あるということであっけなく理想から遠のきます。

 

ムーンライト
 

さらに高校時代、フアン亡き後、シャロンが逃げ込むのは

相変わらず、フアンの恋人だったテレサの家であり、彼女に

「愛と自信を持つこと」を諭されます。そして恋心を抱いて

いたケヴィンとの夢のような時間の後に訪れるある事件。

ここでもシャロンは自分の夢からあっけなく放り出されて

しまうのです。

 

ムーンライト
 

全てが不条理の連続であり、成長したシャロンが、フアンと

見間違うほどの麻薬の売人になっていたとしても何ら疑問は

抱きません。いかにも売人であるかを物語るかのような金歯、

ダイヤのピアス、バカでかい車、カーステレオの音楽。

それでいて彼の伏し目がちな姿は幼少期のそれと何ら変わり

がなく、彼の心の「孤独」をそのまま反映しているのです。
母親から電話には出なくても、ケヴィンからの電話にはすぐに

出る。シャロンの純粋さの現れでしょうか。
押し付ける愛は相手の重荷にしかならず、しかしながらそれに

答えるのも愛の形の1つであり、愛というものは無条件に

与えられるものではないのだと痛感する内容でした。
街灯、電車のガラスに映るぼやけた灯り、夜の闇に浮かび上がる

オレンジの光、青白い砂などカゲロウのように儚い存在に感じ、

逆に赤い光が見えると母親がピンクの壁紙をバックに登場するなど、

色使いでシャロンの心の内を描いているようでした。音楽も

シーンごとに効果的に使われていたと思います。
付け加えるならば、見る人を選ぶ映画であり、わたしは静かな

感動を覚えましたが2回は見たいとは思いません。

 

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