君と歩く世界

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JUGEMテーマ:洋画

君と歩く世界

「君と歩く世界」
原題:De rouille et d's
         Rust and Bone
監督:ジャック・オーディアール
2012年 フランス=ベルギー映画 122分
R15+
キャスト:マリオン・コティヤール
マティアス・スーナールツ
アルマン・ヴェルデュール
セリーヌ・サレット

5歳の息子サムとアリは、姉の家に居候し、警備員
として働き始める。彼が勤務するクラブでトラブル
を起こしたステフは、シャチの調教師をしていたが、
思わぬ事故で両足を失ってしまい...。

<お勧め星>☆☆☆ 邦題や思い描いていた内容と
全く異なっていて、感情移入しづらかったです。


予告編やキャッチフレーズから想像すると、シャチの
調教師だったマリオン・コティヤール演じるステファニー
が、ショーでのアクシデントで両足のひざ下を失い、絶望
の中、いかにして再生していくのか、そこにアリが関わって
くるのだろうと予想します。しかし実はメインのストーリー
は、マティアス・スーナールツ演じる、5歳の息子サム
(多分元妻の連れ子)を抱えた筋肉自慢のプー男、アリが
原題「錆と骨」が意味する通り、格闘家としての道が開かれる
までの話のようです。


君と歩く世界

アリは冒頭から、列車の座席に残っている飲食物をかき集め、
息子と貪り食うような世の中の底辺にいる男。彼は姉アナの
家を頼って行っても、彼女もトラック運転手をクビになった
夫をスーパーのレジ打ちで支えているような貧しい暮らしを
しているわけで、冷蔵庫にはスーパーから持ち帰った賞味期限
切れの食品しか入っていません。この時点で映画の内容が
邦題とかなりかけ離れていると感じます。
そんなアリがステファニーと出会ったのは、まだ事故の前で、
娼婦のような姿でクラブに現れ、男性客とトラブルになり、
警備員であったアリがそれを止めたことからです。なんで
こんな格好しているかは、映画の後半に彼女の口から
「見られるのが快感だった」
と語られます。あれ?全然いい話ではなくなってるぞ。


君と歩く世界

そしてステファニーはショーの最中に事故に遭い、不運にも
両足のひざ下を失うのです。絶望に暮れる彼女の姿は、声は
入らずとも、何につけても関心の無くなった表情から伺えます。
そんなステファニーをアリは海に連れ出し、かつての喜びを
思い出させるのかと思ったら、自分だけちゃっちゃと泳ぎに
行き、彼女は置いてきぼり。でも彼女は海の美しさを感じ、
トップレスで水の中に入っていきます。水の中ではかつての
まま自由に動けるのです。このシーンとシャチと再び会話する
シーンは予告編でも映っていましたね。

とはいえ映画はそんな甘っちょろいものではなく、アリは
格闘で賞金稼ぎを開始し、それだけの女性と楽しむ日々を送り、
サムのことすらそっちのけなのです。サムに手を挙げることは
幾度となくあり、こいつただの暴力単細胞男だな、とやや
嫌悪感を持ちます。
opeと称してステファニーの相手をするアリも、それは愛情
からではなく、自分の欲望のためだけのように思えてしまう。
ステファニーは、それによってかつての自信を取り戻していくし、
自分の生活を再建しようとするのですが、アリは、目の前の
ことしか考えられず、ステファニーに「思いやり」を指摘
されたとて理解できたのかどうか分からずじまい。


君と歩く世界

アリが警備会社の責任者からの指示で行ったことが、姉の
持ち帰り行為を映すことくらい理解できるだろうにねえ。
ラスト付近もなぜに立ちション?背後でサムは氷の中に落ちて
いますよ!これだけの恐怖を経て、やっと「孤独の恐怖」に
気づくというのはよっぽど単細胞なんじゃないだろうか。
最後まで違和感の残る映画でした。



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ヒトラー暗殺、13分の誤算

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JUGEMテーマ:洋画

ヒトラー暗殺、13分の誤算

「ヒトラー暗殺、13分の誤算」
原題:Elser
監督:オリバー・ヒルシュビーゲル
2015年 ドイツ映画 114分
キャスト:クリスティアン・フリーデル 
カタリーナ・シュトラー
ブルクハルト・クラウスナー
ヨハン・フォン・ビューロー

1939年ミュンヘンで演説を終えたヒトラーが
次の場所に移動した13分後、その壇上で爆発
が起きる。ヒトラー暗殺暗殺未遂事件として
拘束された犯人は、ゲオルクという平凡な家具
職人だった...。

<お勧め星>☆☆☆ 主人公の、その計画への
思いが見る側にうまく伝わらないのが残念です。


1939年、11月のミュンヘン。暗闇の中で何やら
作業をする一人の男が映ります。彼が誰で、何を
しているのか。それは不審人物として拘束された後、
先ほどの酒場で演説を行っていたヒトラーが移動した
直後、そこで爆発事件が起きたことから、彼がこの爆発
に関わっていたとわかってくるのです。
演説中のヒトラーに
「霧で飛行機は飛ばない」
というメモが渡され、彼は鉄道で移動することになった
ため、演説を早めに切り上げていたというのが計画の
失敗の原因だと気づくのは映画の中盤くらい。

この男ゲオルク・エルザーは、即ミュンヘンに連行され、
刑事警察局長ネーベとゲシュタポのミュラー局長より
尋問を受けるのですが、このミュラー役が「顔のない
ヒトラーたち」(2014)で、ナチスの犯罪を暴く検事
の仲間だったことで、かなり違和感を感じます。
でもこの役のヨハン・フォン・ビューローは、とても上手。
表情も変えずに、残虐な拷問や、ラスト付近の処刑シーン
に立ち会うのです。


ヒトラー暗殺、13分の誤算

ラスト付近に処刑されるのは、ゲオルクではなくあっという
ような人物なんだけど、そのシーンは長回しで、映画の中で
最も恐ろしく感じます。
ストーリーは、ゲオルクに黒幕がいると決めつけた上層部の
指示で、彼に自白を迫るため、拷問を加えていくシーンと
彼がこの計画を決行するまでの若き日々の回想シーンとで
描かれます。

1932年のゲオルクは音楽を愛し、女性とは自由に付き合う
自由人だったらしい。それが酒飲みの父のせいで実家に戻り、
家具職人の仕事を始めるわけですが、そこにも時代の波が
押し寄せ、町はヒトラー率いる社民党支持者が幅を利かせ
始めます。ゲオルクは特に左翼思想ではなかったのに、暴力
を嫌う平和主義者だったため、次第に赤色戦線に同調していく
のです。この辺りが極めて分かりづらく描かれているので、
なぜゲオルクが社民党に入党しなかったのか、そうすれば
経済的にも楽に暮らせたのに、敢えて苦しい生活を選んだ
意味が理解しにくいです。ただ、収穫祭でヒトラーを讃える

人々が町の運動会の様子を撮影した映画を流し、彼がいれば
ドイツはどんどん繁栄していく、と浮かれまくる町民の姿に
いち早く危険を察知したのが、ゲオルクだったということでしょう。


ヒトラー暗殺、13分の誤算

ゲオルクは他の女性と子供をもうけていながら、離婚したのか
結婚しなかったのか。そこも映画だけではわかりません。
さらになぜ暴力をふるう夫を持つエルザを気に入ったのか、
それはエルザも、違う男の子供をもうけているという奔放な
女性であり、彼と波長が合ったのでしょうか。
彼がエルザの姿を見て、一切応じなかった取り調べにも素直に
応じ始め、彼とエルザとの悲しい過去も描かれます。
「単独犯ではない」
と決めつけた上層部の判断で、ゲオルクは自白剤まで注射され
ますが、それでも自分一人で計画したと言い続ける。
ラストは別の人物の処刑シーンが映り、ゲオルク以外にも暗殺
計画を立てた人物がおり、それはゲオルクよりも5年遅く決行
したと知ると、その人物が、ゲオルクの「賢さ」を見抜いていた
発言をしていたことに気づくのです。


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17歳の肖像

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17歳の肖像

「17歳の肖像」
原題:An Education
監督:ロネ・シェルフィグ
2009年 イギリス映画 95分
キャスト:キャリー・マリガン
ピーター・サースガード
ドミニク・クーパー
ロザムンド・パイク
エマ・トンプソン

1961年、ロンドン。中流家庭の一人娘ジェニーは
成績が優秀でオックスフォード大を目指している。
そんな彼女が雨の日チェロを抱えて立っていると、
デヴィッドとい男性が声をかけてくるのだった。

<お勧め星>☆☆☆半 背伸びしたい17歳の頃の
気持ちを思い出します。キャリー・マリガンがとても
可愛いです。


「リン・バーバーの思い出」を元に映画化されたそう
です。リン・バーバーって誰?それはさておき、原題
「An Education」の通り、まさにこの映画は「教育」が
テーマなのです。それは学業だけでなく、人間としての
教養が主体ですが。
1961年、ロンドンで当時としては普通だったのかな。
かなり保守的な中流家庭に育ったジェニーは、成績優秀で
苦手なラテン語を抜かせば、オックスフォード大合格
間違いなしの秀才なのです。

父親は昔気質の男性で、娘をよい大学に入れ、そこで立派
な伴侶を見つけ、自分のような負け犬の生活を送ってほしく
ないと、考えているらしい。彼がとことんケチで、妻を
家庭に拘束する姿を見ると、序盤は嫌気がさすんだけれど、
これが終盤には、ささやかな幸せに見えてくるから不思議です。
娘が参加しているバンドのチェロも、大学入試の面接に好印象
だから許してるという。おおあさましい。
で、大雨の日にチェロを足元に置いて立っているジェニーに
素敵な車に乗った中年男が声をかけるのです。

「キミのそのチェロが心配なんだ」おばさんアラーム点灯!
ピーター・サースガードがナンパ親父を好演。うぶなジェニー
はその言葉にころり。このデヴィッドは、友人ダニーと恋人
ヘレンと共にジェニーに華やかな遊びを教えるわけです。


17歳の肖像

デヴィッドやダニーの仕事が、実は違法ぎりぎりのやばいもの
であることは、早々にわかってしまうし、デヴィッドの口から
も話されます。でも退屈な日々を送っていたジェニーにはこの
刺激的で派手な生活は、ものすごく魅力的なのです。そうよね。
電気代や調度品をけちる父に比べたら、彼らはオシャレな店に
繰り出し、美しい服も身につけさせてくれるし、大人の遊びも
教えてくれます。


17歳の肖像

彼女を注意する校長先生にも
「がつがつ勉強して何の意味があるの?」
などと高飛車な発言をする始末。フランス嫌いの父の目を盗んで
聴いていた憧れのフランスの歌も、デヴィッドは現地で聴かせて
くれるのです。もう、勉強なんかばかばかしい。
これは中学生が「日本人なのになぜ英語を勉強するんですか」と
聞いてくるのに似ているな。それは英語が苦手なことの言い訳
にすぎないぞ。つまりジェニーも楽して優雅な暮らしを手に入れる
ことを選ぼうとしたわけです。
なんせデヴィッドは口八丁手八丁なもんで、両親の心もすぐに
つかんでしまいます。かわいそうなのは、ジェニーにちょっと気が
あったグラハムかな。キミの人生は放浪1年の後に広がるのだよ。


17歳の肖像

ジェニーの小論文の才能を認めていたガリ勉メガネのスタッブス
先生へも、ジェニーはものすごく酷い言葉を浴びせるわけですが、
スタッブス先生は大人なのです。
そして案の定デヴィッドは、最高にクズな男であり、それを親に
説明する勇気すらないカスだったのです。ジェニーの家から走り
去る車のエンジン音が、彼女の気持ちの悔しさを表現してくれます。
ジェニーどん底。
だってデヴィッドには妻子がいて、おまけにジェニーのような
目に遭った女性が幾人もいて、さらに近所に住んでいたときた。
ここまで堕ちてやっとジェニーは「人生に近道などない」と
悟るわけです。そしてやはり頼りになるのはスタッブス先生。
ラスト付近は駆け足になっていますが、彼女が語る大学生活と
そこでの恋人とのフランス旅行の話がちょっと笑えました。
いい映画です。



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バッド・エデュケーション

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バッド・エデュケーション

「バッド・エデュケーション」
原題:La Mala Educacion
         Bad Education
監督:ペドロ・アルモドハル
2004年 スペイン映画 105分
キャスト:ガエル・ガルシア・ベルナル
フェレ・マルティネス
ハビエル・カマラ

スランプに陥っている映画監督エンリケのもとに
かつて神学校で親友だったイグナシオがやってくる。
あまりの変貌に驚くエンリケだったが、イグナシオが
書いた神学校時代の経験の脚本を読み、映画化すること
を決意する...。

<お勧め星>☆☆☆半 ゾクリとするような終盤の展開と
彼らのその後が字幕で流れると、悲しさも感じます。


最近この類の映画について書くことが多いのですが、今回
もゲイの映画です。
時系列は、回想シーンや現在、そして映画のシーンが混在し
どれが本物のイグナシオ?と感じることもしばしばです。
とりあえず大筋は


バッド・エデュケーション

 /裕ご篤弔箸覆辰織┘鵐螢韻里發箸鬚つての神学校時代
の親友イグナシオと名乗る男が現れ、彼が持参した神学校での
悲惨な体験をつづった脚本を映画化する話に至るまでの姿。


バッド・エデュケーション

◆/棲惺算代、マノロ神父のお気に入りだったイグナシオと
初恋をしてしまうエンリケの姿。神父はイグナシオをこよなく
愛し、性的虐待を繰り返していたのです。

 映画完成後に突然現れたマノロ神父(今は編集者ベレグエル)
が語るイグナシオについての真実とイグナシオの弟フアンとの
関係。


この3つを基本に話は進みます。とにかく嫌になるほどホモの
姿が描かれて、もうお腹いっぱいと思っていると、実はイグナシオ
は既に死んでいるという事実をエンリケが知り、そこからじゃあ
この男は誰なのか?という疑惑が起こります。それが誰かはすぐに
わかるけれど、顔が同じなのに体型を変えているのは、映像の
マジックか、それとも体を絞ったのか、そこはわかりませんでした。


バッド・エデュケーション

神学校で聖職者によって行われていた性的虐待から始まるイグナシオ
の非業の人生は、それに携わったマノロ神父の悲惨な人生を呼んだ
と考えられ、ラストに字幕で流れるエンリケのその後は
情熱をもって映画監督に仕事に携わった
とあり、情熱→苦しみ→究極の愛であることを表している
.......らしい。実はちょっとこの辺りはわからなかったのよね。


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マイ・マザー

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マイ・マザー

「マイ・マザー」
原題:J’ai tue ma mere,
         I killed my mother
監督:グザヴィエ・ドラン
2009年 カナダ映画 103分
キャスト:グザヴィエ・ドラン
アンヌ・ドルヴァル
フランソワ・アルノー
スザンヌ・クレマン

母と2人暮らしの高校生ユベールは、ことあるごとに
母といさかいを起こしてばかり。国語の成績以外は
悲惨な状況の彼を、母は元夫と相談して寄宿学校に
入れることにするが...。

<お勧め星>☆☆☆ 究極のマザコン映画といったら
失礼になるかな。


グザヴィエ・ドランが19歳の時に初監督した映画です。
彼の監督作品は「Mommy/マミー」(2014)を見た
のみで、それ以外には主演した「エレファント・ソング」
(2014)でのマイケル役が印象に残っています。独特
の感性の持ち主であることは、時折入り込む果物や花など
の静物やスローモーション、極端なクローズアップ映像
などに表れ、「芸術家」の雰囲気を醸し出しています。
監督自身がゲイであるため、主役のユベールと恋人との
ラブシーンはリアルであり、それを美しく描いていると
感じるのは深読み過ぎかな。


マイ・マザー

オープニングは、モノクロの自撮りのインタビュー映像に映る
ユベールからです。
「母を愛しているけれど、母とは思わない」...。
そして食べ物を口にする、その母の口元が大映しになり、息子
がその姿を嫌悪しているのが強く伝わります。その後に始まる
母子のいさかいは、際限がなく、この母にしてこの息子アリと
思っていたら、映画の中盤に少しだけ登場する別れた父も同じ
ように激しい口調で、これでは家族は築けなかったなと実感。


マイ・マザー

ユベールは母のすべてを嫌っており、彼女の服のセンスまで
指摘しますが、確かにこれはどうかと思う。向かって左側の
スタンドの柄は壁にかかっている虎の縞模様とよくマッチ
している、とシャンタルは言うのです。パンツはヒョウ柄!
敢えてこういう設定にしたんだろうね。
学校で家族について調べる課題が出ると
「父はいません。母は死にました」

としれ〜とユベールは語ります。その後すごい剣幕で学校に
乗り込んでくるシャンタン。これにはジュリー先生もユベール
に同情するのです。しかし実はユベールはゲイであり、2か月
付き合っているアントナンという恋人がいます。それについても
母であるシャンタンは、たまたま行った日焼けサロンで、彼の
母から知らされるという始末。


マイ・マザー

「お前には母はできない」
と喧嘩の時怒鳴るユベールに
「子供すら持てないだろう人にはわからないのよ」
と言い返すシャンタン。売り言葉に買い言葉はどこまでも続く
のです。
息子の扱いに困り、シャンタンは元夫と相談して彼を寄宿学校
へ入れることに決め、それにも怒るユベール。でもちゃんと
寄宿学校へ行くのですよ。その時に
「今日僕が死んだら?」
とユベールは尋ね、母の答えを聞かずに去っていきます、その
後ろ姿に
「わたしも明日死ぬわ」

とつぶやくシャンタン。とがっている時期は、何につけても
親を批判したくなるし、大嫌いになったのを思い出します。
だけどその年になった時、きっと同じ思いをさせられるのだろう
なあ。
寄宿学校にもう1年行くことを知ったユベールは学校から失踪
します。部屋には「王国で待っている」と書かれた手紙が残されて
おり、「王国」をすぐに理解するのはシャンタンのみなのです。
ラストに流れるユベールが幼い頃のホームビデオ映像は、これ
から2人が同じように仲良くなれるかどうかわからないけれど
なぜか少しだけ心を和ませるものになっています。




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クロワッサンで朝食を

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クロワッサンで朝食を

「クロワッサンで朝食を」
原題:Une Estonienne a Paris
監督:イルマル・ラーグ
2012年 フランス=エストニア=ベルギー映画
95分
キャスト:ジャンヌ・モロー
ライネ・マギ
パトリック・ピノー
フランソワ・ブークラー

エストニアに住むアンヌは、介護していた母親を亡くし
心のよりどころをなくしていた。そんな彼女にパリに
住むエストニア出身の老女の家政婦の話が舞い込み、
彼女は憧れのパリへ向かうのだったが...。

<お勧め星>☆☆☆ 偏屈ばあさんの話だけれど、ラスト
は少しだけ幸せになれる映画です。


御年88歳のジャンヌ・モローが85歳の時の映画です。
とにかく彼女の存在感が素晴らしい。気高さと美貌を
兼ね揃えていた若い時代を通り過ごし、優しい老女とは
真反対の姿を見せてくれます。
エストニアは、ラトビア、リトアニアと共にバルト三国と
呼ばれ、美しい森と雪の国なのです。そんな寒い雪の夜、
酔った元夫を引きずって帰宅するアンヌには、認知症の
老いた母がおり、その介護のため老人ホームを辞めて2年。
しかしその母が突然亡くなると、独立した子供たちとも
暮らせず、途方に暮れてしまうのです。そんな時、パリに
住むエストニア人の老女のお世話係として働く仕事が舞い
込みます。かつて憧れ、フランス語も習ったアンヌにとって
パリへ行くことは喜びに変わります。


クロワッサンで朝食を

ところが空港で待っていたステファンに連れられて向かった
家にはフリーダという一人暮らしの老女がおり、幾人も
家政婦が辞めているらしい。暗闇の中で目をパチリと開く
フリーダの姿は、恐怖すら覚えます。
初日にスープやハムなどの朝食を用意すると、彼女はすぐに
下げさせ、ろくに目を合わすこともありません。フリーダの
朝食はクロワッサンと紅茶であり、そのクロワッサンは、
パン屋で買ったおいしいものと決まっている、と後で知って
アンヌはがんばってパン屋で購入します。その間、パリの
街を歩き回り、凱旋門やエッフェル塔を見、ショッピングも
楽しむのです。


クロワッサンで朝食を

しかし心を許しそうになっては、再び心を閉ざすフリーダ
にはアンヌもステファンも振り回されっぱなしなのです。
実はステファンは、フリーダのかつての恋人であり、夫が
生きている間から関係があったと知るのは映画の終盤。
フリーダは他人のことなどお構いなく、自分の欲望のまま
生きてきたのです。またステファンはフリーダに今のカフェ
をプレゼントされている。ということで彼女のそばを離れる
ことができないらしい。


クロワッサンで朝食を

ステファンに見せるこの優しい笑顔は、彼女がかつて本当に
愛していたからで、自分の夫とステファン以外にも愛人が
たくさんいたと自分からアンヌに話します。
アンヌとフリーダが少し心を通わせるようになった時、彼女
はステファンのカフェに行こう、とアンヌを誘うのです。
しかしここでもフリーダは、女王様のような扱いを受けること
が当然と考えているし、
「客の男は変わらないのに、女は変わるのはなぜ?」
などと不機嫌になってしまう。自分の老いを認めざるを得ない
瞬間だったのでしょうか。いやそれはとっくに知っていて、
だからこそ薬棚に鍵をかけるように言われていたのですね。

アンヌがかつてフリーダがエストニア出身の人々との合唱団に
いたことを知り、本当に善意で仲間を家に招待すると、フリーダ
は彼らが率先して家に来てくれたのと信じてしまいます。これが
火種となり、フリーダは仲間からかつての不貞行為を責められ、
彼女は追い返してしまうのです。この時フリーダはフランス語、
仲間はエストニア語を話し、エストニアとも決別しているフリーダ
の心の内を知ることができます。
アンヌも遂に怒り心頭、遂にフリーダに別れを告げるのですが、
その後、家の中で音がしたり、ノック音がすると、
「アンヌ?」
と尋ねるフリーダの声が響きます。彼女はやはり「孤独」な老人
にすぎないのです。それをさらけ出すには年を取り過ぎてしまった。
ラストは本当に優しいもので、きっとこれからもフリーダは
変わらないだろうけれど、それに寄り添う人が増えたと実感します。

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息子のまなざし

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息子のまなざし

「息子のまなざし」
原題:Le Fils
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ
リュック・ダルデンヌ
2002年 フランス映画 103分
キャスト:オリビエ・グルメ
モルガン・マリンヌ
イザベラ・スパール
レミー・ルノー
ナッシム・ハッサイーニ

職業訓練校の木工クラスを担当するオリヴィエの
元にフランシスという少年が入所してくる。当初
手一杯ということで、他のクラスに回したその少年
が、実はオリヴィエの息子殺しの犯人だったこと
を知り、彼は自らのクラスに入れるのだった。

<お勧め星>☆☆☆半 BGMもなく淡々と描かれる
映像に登場人物の心の動きが上手く表れています。


とても静かな映画なのです。その中にピンと張り詰め
緊張はラストまで続き、パッとエンドロールに変わった
途端、やっとその糸が緩みます。
オープニングは厳しく訓練生に仕事を教えるオリヴィエ
の姿が映り、彼は妻と離婚していて、彼女は再婚を決め
さらに妊娠を告げに来るところまで一気に描かれます。
後から考えると、妻は既に新しい命を授かっており、
人生の再スタートを切っていたのですね。


息子のまなざし

「なぜ今なんだ」
「なぜ今日なんだ」
実はオリヴィエの訓練校に1人の少年が入学してきたのです。
新入生フランシスを見て、オリヴィエは明らかに動揺します。
それは階段を上下に移動したり、煙草をひっきりなしに吸い、
さらにはロッカーの開閉を繰り返すなどの仕草で如実に表れ
るのです。フランシスは、5年間少年院に収容されていて出所
したのですが、彼は実はオリヴィエの息子を殺した犯人だった
のです。
フランシスの後をつけて家を突き止めたり、偶然会ったふり
をして夕食のファストフードを一緒に食べたりすると、全く
普通の16歳に見えてしまう。いや違う。彼は殺人を犯した
宿敵なのだ。妻には、少年の存在を伝えただけで、自分の
クラスには入れなかったと嘘をつきます。その話をしただけで
混乱してしまうマガリの姿は、当然の姿なのです。まだ5年
しか経っていないのですから。


息子のまなざし

ところがこのフランシスから話を聞き出すうちに、彼は父が
おらず、母にも嫌われていて戻る家がないと知ります。
「昔のことだよ」
オリヴィエにとって重要な事件をその一言で片づけてしまう。
オリヴィエの弟の製材所から木材を運搬するために出かけた
車の中で、その話を聞くと、急ブレーキを踏んで彼を驚かせ
ます。
いつオリヴィエが行動するのだろう。いつ真実を話すのだろう
と思っていると、2人は木について話し始め、フランシスが
思いのほか真面目に仕事に取り組む姿勢を知るのです。そして
1人ずつで運び出していた材木を2人で運び始めた時、突然
オリヴィエは口を開きます。
「お前が殺したのは俺の息子だ」

フランシスは猛ダッシュで逃げるのですよ。
「5年も償ったんだ」
いや5年しか償ってないぞ。たまたまカーラジオを盗むとき、
後部座席で騒いだオリヴィエの息子の声を止めようと喉を
押さえ、窒息死させてしまったとはいえ、その罪は5年ごとき
で償えるものではないのです。
「何もしない」
と必死でフランシスを追いかけるオリヴィエは、林の中で遂に
彼を押さえつけ、彼の首に手をかけるのです。しかしオリヴィエは
その後、何もなかったかのように、仕事を再開します。そこへ
戻ってきたフランシスも同じように淡々と仕事をするのです。
息子を失った喪失感から再生するために、フランシスの存在が
必要だったということでしょうか。


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ぼくを葬る

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ぼくを葬る

「ぼくを葬る」
原題:Le Temps qui reste
監督:フランソワ・オゾン
2005年 フランス映画 81分 R15+
キャスト:メルヴィル・プボー
ジャンヌ・モロー
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ
ダニエル・デュヴァル

パリに住む売れっ子カメラマン、ロマンは脳腫瘍が
転移し、余命3か月と宣告される。彼は同棲相手の
サシャに一方的に別れを告げ、家族の元に向かうが
病気を言い出せず、逆にいさかいを起こしてしまう。

<お勧め星>☆☆☆ 設定は別として、消えゆく命を
受け入れていく青年の姿が美しく描かれています。


「がん患者への余命宣告」って最近では、いとも簡単に
行われるのです。わたしの父の場合も、若い医師が
「ガンであり、かつステージ4の末期だけれども、
抗ガン剤+放射線治療を受ければ助かるかも」と言おうと
するのを「かぎりなくステージ4に近い」と言い直して
もらうように医師に耳打ちしたことを思い出します。
父の場合は82歳だったから受け止め方も異なるかも
しれませんが、この映画の主人公ロマンは31歳で
売れっ子カメラマン。ゲイであるがゆえに家族とも距離
を置かれているけれど、可愛いサシャという恋人もいる。
そんな彼が突然ガンが見つかり、余命3か月と宣告されたら
こんな感じになるのかな、と映像を見ていました。


ぼくを葬る

彼は恋人サシャにきわめて酷い言葉を投げつけて別れを告げ、
自らの病気を打ち明けに家族の元に向かうも、確執のある姉を
怒らせる言葉を吐き、父にも意地悪な話を仕掛けるのです。
時折入り込む少年時代の思い出は、彼の頭が少しずつぼんやり
していく様を描いているようです。


ぼくを葬る

そしてジャンヌ・モロー演じる祖母ローラの家に行き、初めて
自分の病気を打ち明け涙を流します。
「なぜ私だけに話したの?」
「おばあちゃんは、一番死に近いから」
ローラは、夫に死なれた後、息子であるロマンの父を捨て、家を
出て他の愛人と暮らしていたという。なぜ家を出たのかは
「生存本能が働いた」
つまり、こよなく愛した夫を失ったとき、夫そっくりの息子と
暮らしていたら、自らの生きる道を失っていたからだと言うの
です。彼女にもらったバラが少しずつしおれていくようにロマン
も弱っていきます。


ぼくを葬る

そして実は祖母の家に行く途中で立ち寄ったダイナーの主人夫婦
から、「妻の子供をもうけてくれ」と頼まれていたのです。
オーナーは不妊であり、妻は正常であるから、ロマンに相手を
してほしいということ。子供嫌いでゲイのロマンが、まさに死期を
悟った時にこの申し出を思い出し、それを受け入れるのは、
「生存本能が働いた」
のかもしれませんね。
ラスト、痩せた体で1人ビーチに行き、少年時代を思い出しつつ、
砂浜に身を横たえます。太陽が傾き、やがて周りの人々が去って
いき、夜の闇夜が来ようとするときになっても、彼は目をつぶって
横たわったままなのです。それはいつだったのか。日没とともに
消えていく彼の命を描きながら、余韻の残るラストになっていました。



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サウルの息子

4
JUGEMテーマ:洋画


サウルの息子

「サウルの息子」
原題:Saul fia
監督:ネメシュ・ラースロー
2015年 ハンガリー映画 107分
キャスト:ルーリグ・ゲーザ
モルナール・レベンテ
ユルス・レチン
トッド・シャルモン
ジョーテール・シャンドール

1944年、アウシュビッツ収容所で、同胞の死体処理班
として働くサウルは、ガス室で息子そっくりの少年が
生き残ったのを見つける。彼は即処刑されるが、サウル
は少年を解剖せずに、何とか手厚く埋葬したいと願う...。

<お勧め星>☆☆☆ 全編に漂う重苦しい雰囲気はラスト
直前の一瞬だけ明るさを帯びます。


第68回カンヌ国際映画祭グランプリ、第88回アカデミー賞
外国語映画賞を獲得した作品です。
同胞をガス室送りにし、その処理までこなすユダヤ人
「ゾンダーコマンド」を描いた映画は「灰の記憶」(2001)
で初めて知りました。あの映画では、ゾンダーコマンドが生き
残っていた1人の少女を隠すのと、収容所内の爆発計画を
スリリングに描いていましたが、この映画はほぼサウルの
視点でのみ映像が進みます。したがって彼の後ろで行われて
いるガス室に入っていくユダヤ人の姿や、その後響き渡る悲鳴、
そして死体処理などが、ほとんどぼやけた映像で表されるのです。


サウルの息子

ハンガリー系ユダヤ人であるアウスランダー・サウルは、同胞を
ガス室に誘導し、その死体を処理する任務にあたることで、ガス室
送りを先延ばしにされていわけで、彼らの先には確実に同じ運命が
待っているのです。自らの手を汚したくなかったナチスドイツの
極めて卑劣な手法は、幾度見ても耐え難い映像です。
そんな毎日を送るサウルは、ある日、ガス処理後生き残っている
1人の少年を発見します。しかし少年は医師によってすぐに殺害
され、解剖へと回されることになるのです。サウルはその少年が
「自分の息子」だと主張し、解剖医(彼もおそらくユダヤ系)に
解剖せず、埋葬してほしいと懇願します。解剖医も自らの意志で
そんな行為をしているわけではありません。彼が少しの間隠した
死体をサウルは持ち帰り、何とかユダヤ教の司祭ラビの手で葬儀
を行おうと行動します。彼がここまで葬儀にこだわった理由は

彼自身の罪悪感なのでしょう。強制されたとはいえ同胞をガス室
に送り、その死体を処理するゾンダーコマンドとして行動すること
で、自らの命を延ばすという日々が、おそらくはとても辛いこと
だったはずです。
映画内でサウルは親しいユダヤ人に幾度も
「お前に息子はいない」
と言われます。
「俺の妻の子じゃないんだ」
サウルは言葉に詰まってこう答えるのです。

毎日の過酷に任務とカポと呼ばれる監視者(これもユダヤ人)の目を
かいくぐって捜し当てたラビは、彼のせいで射殺されます。


サウルの息子

それでもサウルはラビを捜し続けるのです。少年の死体を隠した
医師も
「死体を1つ用意しろ」
とサウルに耳打ちする。彼もいずれ処理される運命であり、この
行為のせいでそれが早まるかもしれないのです。


サウルの息子

そして終盤ラビと称する人物を見つけた時には、収容所内で暴動
が発生しており、サウルたちは逃げるしかありませんでした。
彼らが到着を待ったソ連軍は、終戦後ハンガリーを占領下に置き、
再び彼らを苦しめることになるのです。
サウルに本当に息子がいたのか、ということより、サウルの心は
救済されたのか、ということを訴えたかったのでしょうか。BGM
は一切なくサウルのラビを捜したいという強い意志のみが描かれて
いる映像でした。



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愛してる、愛してない

5
JUGEMテーマ:洋画

愛してる、愛してない

「愛してる、愛してない」
原題:A La Folie...Pas Du Tout/He loves me...
He loes me not
監督:レティシア・コロンバン
2002年 フランス映画 96分
キャスト:オドレイ・トトゥ
     サミュエル・ルービアン
     イザベル・カレ
     クレマン・シボニー

画学生のアンジェリクは、外科医ロイックと不倫中。
彼とフィレンツェに旅行することが決まり、彼女は
胸を躍らせて空港で待つが、彼は一向に現れないのだった。

<お勧め星>☆☆☆半 おしゃれな恋愛ものと思っていたら
まさかの展開に、びっくり!そしてうまく作られていると実感
します。


<ネタばれ>
ヒロイン、アンジェリク役は「アメリ」(2001)の
オドレイ・トトゥ。


愛してる、愛してない

とても可愛いし、まさにパリジェンヌという感じです。絵画
学校に通う学生らしくファッションもおしゃれです。
アンジェリクはただいま恋の真っ最中で、相手は
ロイック・ルガレックという心臓外科医。彼女の頭の中は彼の
ことでいっぱいなので、モデルを見てデッサンしても顔は
ロイックになってしまう始末です。
でもロイックには妻ラシェルがいて、いわば「不倫」なんだけど、
彼は妻とは別れると言っていくれる。ロイックが「ゲス」で
なければ、大丈夫でしょう...。でもなぜかアンジェリクと
約束をしてもいつも彼はすっぽかすのです。おまけにラシェルは
妊娠5か月だという。
アンジェリクに心を寄せる医学生ダヴィッドは、彼女を弄んでいると
怒るけれど、当のアンジェリクは、誕生日に自画像を贈ってその後
食事、ともうウキウキしています。


愛してる、愛してない

アンジェリクがとても純粋に彼を愛しているのがわかるので、
ロイックが「悪者」で、妻に離婚を切り出せないいい加減な男と
思えてきます。ただ、少し心にひっかかるのが、ベビーシッターを
している縁で留守宅の植物の手入れを頼まれたアンジェリクが、
その世話を一切せず、散らかし放題だし、まるで自分の家のように
その家を使うことなんです。さらにバイトにも遅れ、友人に借りた
バイクは大きく破損し、彼女はケガもしています。恋に夢中で
いろいろなことがおろそかなのかしら。
じゃああんなに楽しみにしていたフィレンツェ旅行に行くために
空港で待つアンジェリクをロイックがすっぽかしたのななぜ?
やっぱり彼はアンジェリクを弄んだのね。その後ロイックの周りで
様々な事件が起き、それでもラシェルを選んだロイックを見て
遂にアンジェリクはガス栓を開きます。その心臓の鼓動のシーンから
再び冒頭に戻るのです。


愛してる、愛してない

すると今度はロイックの視点で同じシーンが描かれなおします。
あれまびっくり!彼は妻とものすごく仲がいいし、患者の愚痴に
辟易しているけれど妊娠中の妻のために献身的な態度をとっています。
あら、アンジェリクはいずこへ〜。オープニングのシーンでロイックの
誕生日にバラ1輪を届けたのは、彼は完全に妻だと思っているし、
自画像を贈ったのもどこかのだれかわかないと言う。
つまりアンジェリクがロイックに恋愛妄想を抱き、完全にストーカー
状態だったことがわかるのです。彼がたまたまアンジェリクを
家まで送って行ったのもアンジェリクが留守番を頼まれた家が、
ロイックの家の向かいだったからで、夜中に窓ガラスをコンコン
したのは妻のために牛乳を借りたかったから。さらに受付のアニタを
クビにしたことでダヴィッドが怒ってきたと勘違いしていたのです。
すべての勘違いが、彼自身だけでなく妻をも苦しめ、さらに妻は
突然バイクにはねられ子供を流産してしまう。

バイク事故?そうかそうだったのね。またやたらボディタッチを求める
患者に遂にブチ切れたロイックは彼女を平手打ちすると、彼女から告訴
されます。この事件のニュースもアンジェリクがじっと見ていたのは、
この苦境から彼を救いたい一心だったのね。ここまでくるとアンジェリク
の怖さと、誰かわからない人間から届く手紙や贈り物にひどく戸惑う
ロイックの恐怖心が強く伝わります。
そしてアンジェリクの存在を知らずに向かいの女性がガス自殺を
図ったと知り、必死で人工呼吸するロイックが映るのです。やめて、
あなたはまた狙われるわよ!
ラストシーンは精神治療施設から退院するアンジェリクの晴れやかな
顔が映ります。


愛してる、愛してない

でも彼女が飲んでいたはずの薬は、彼女の病室の壁にこんな風に
貼り付けてあったのよ。つまり彼女の病は全然治っておらず、怪我を
させられ、必死のリハビリを妻と乗り切り、娘をもうけて静かに暮らす
ロイックへの思いはまだ消えていないことに気づくと愕然とします。
冒頭の1本のバラは、妻の出産を喜び花束を買ったロイックが、
たまたまシッターに来ていたアンジェリクに1本あげただけのことで、
それが彼女は2人が恋に落ちたと思い込むきっかけになったという
皮肉なものでした。アンジェリクのファッションや自然あふれる景色や
パリの美しい姿とは裏腹にサスペンスタッチの内容が印象的でした。


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